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なぜ人事異動情報(内示)は秘密にしなければならないのか?仕組み作りのポイントも解説

人事異動情報を正式に公表する前に、あらかじめ本人に異動の旨を伝えることを「内示」と言います。

人事異動情報は重要な機密情報のため、取り扱いには十分な注意が必要です。正式な辞令の前に内示情報が漏洩してしまうと、思わぬトラブルや混乱を招き、社内外に悪影響を与える可能性があります。

そのため、基本的に内示の内容は秘密にしなければなりません。しかし、社内で適切な仕組みやルールを作らなければ、簡単に口外されてしまうリスクがあるでしょう。

そこで本記事では、内示を秘密にしなければならない理由や、内示の注意点、漏洩を防止する方法をくわしく紹介します。

記事後半では、内示による離職やモチベーション低下を防ぐアイデア、おすすめシステムも紹介します。未然にトラブルを防ぎ、スムーズに人事異動を行いたい方はぜひ最後までご一読ください。

なお、事業の発展につなげるための人事異動・配置を実施するための方法は、以下の資料にまとめています。離職や意欲低下を防ぎ、適材適所が叶うヒントを紹介していますので、ぜひご活用ください。

【無料ダウンロード資料】適切な人事異動・配置をするための方法とは

記事を動画で解説

人事異動情報を秘密にする「内示」とは?

企業の会議室のイメージ
まずは内示について正しく理解するために、内示の定義と、似ている言葉「辞令」との違いを解説します。

内示とは

そもそも「内示」という言葉にはどのような意味があるのでしょうか?

内示とは「内々にしめすこと」や「非公式に通知すること」を表し、「口外禁止」と同じ意味をもちます。ビジネスにおいては、企業側が人事異動情報を本人や関係者などの一部の人たちに秘密で伝えることを指す言葉です。

一般的な内示のやり取りは、以下のようなイメージです。
▼内示のシチュエーション例:一般社員の部署異動が決まった場合

人事担当者や上司が本人を会議室に呼び出し、

「〇月、あなたには〇〇部に異動してもらいます。辞令は追って出されます。」

と口頭伝達する。
くわしい内示の定義や似た語句との使い分け、社員への伝え方のポイントなどは以下の記事で解説しています。あわせてご確認ください。

【関連記事:人事異動の内示とは?異動のトラブルを避ける方法や伝え方を解説

内示の役割と効果

内示には、早めに本人に人事異動を伝えることで、準備や心構えを促す役割があります。

加えて、内示による効果には、以下が挙げられます。
  • 人事異動の意思確認する効果
  • 口外しないよう要請する効果
内示とは、後述する「辞令」や「発令」と異なり、正式な決定事項ではありません。したがって、会社によっては内示として伝達することで、本人へ事実上の異動を打診する場合もあります。本人へ内示した後に、正式な手続きを経て人事異動が確定するのです。

また内示には、人事異動情報を周りに言わないよう本人に伝えることで、機密情報であることを自覚してもらい、漏洩を防ぐ効果もあります。

内示と辞令の違い

内示と似たような言葉に「辞令」があります。

内示と辞令の違いは以下の通りです。
    順序   確定性  公式性  公開性  対象 
 内示   前    ×   ×   ×  限定的 
 辞令   後    〇   〇   〇  会社全体 
辞令を出す行為のことを「発令」と言い、区別して用いられることもあります。

内示の段階ではまだ人事異動が決定事項ではないため、本人や関係者のみに任意で通達します。

一方で辞令は、社員の転勤や昇給、昇進、新規採用などの人事異動が正式決定したことを知らせる公式文書です。そのため、一度出した辞令の途中変更はできません。

なぜ秘密に?人事異動の情報を内示する2つの理由

人事異動情報を秘密にする目的は、主に次の2点です。
・事業戦略上の問題
・社内の無用な混乱を防ぐため

事業戦略上の問題

1つ目の理由は「事業戦略への悪影響を防ぐため」です。

社員の就いているポジションが重要であればあるほど、事業における機密性は増します。そのような社員が内示の段階で周りに情報を漏らしてしまうと、さまざまな悪影響が予想されます。
 
たとえば代表取締役の内示が出た際にうっかり周りに漏らしてしまうと、最悪の場合、株価の暴落につながりかねません。なぜなら、投資家たちが「代表取締役変更によって企業が不安定になるのでは?」と考える可能性があるからです。
 
このように内示の情報漏洩が原因で、企業の存続に関わる重要な問題に発展することもあります。そのため、内示は原則として口外禁止となっています。

社内の無用な混乱を防ぐため

2つ目の理由は「正式な辞令が出るまでの期間の仕事に支障をきたす可能性があるから」です。
 
たとえば、部下が直属の上司をさしおいて昇進の内示を受けていた場合、上司に伝わってしまうと不満や妬みなどを買い、社内で混乱や不和を生じさせる場合があります。

会社をよりよくするための人事異動であるにもかかわらず、内示の情報漏洩によって社員が悪影響を被っては意味がありません。
 
もし内示の情報漏洩によって悪影響があった場合には、人事異動の変更や取り消しを考えざるを得ないこともあるでしょう。当事者にとっては立場が揺らぐことになるため、内示が安易に変更されることは好ましくありません。

このような混乱を防ぐため、辞令が出るまでは内示の内容は周りに秘密にする必要があるのです。

人事異動情報(内示)を秘密にしなければならない期間とは?

人事異動情報を秘密にするビジネスマンのイメージ
社員が人事異動を秘密にしなければならない期間は、一般的にはその事実を知ったときから、つまり「内示を受けた段階から辞令が出るまで」です。

企業にもよりますが、多くの企業では辞令が出される約1~2カ月前に内示が出されます。そのため、同様に秘密にしなければならない期間も約1~2カ月間が目安となるでしょう。

内示する時点で社員は秘密を抱えることになるため、少なからず負担が生じます。秘密にする期間が長いほど漏洩リスクも高まるため、内示のタイミングには細心の注意を払いましょう。

【5W1Hで解説】人事異動の情報が漏洩する背景・原因

人事異動の情報が秘密であるイメージ
「内示は口外禁止」という共通認識があるにもかかわらず、人事異動情報が発令前に漏れてしまうことがあります。なぜ、漏れてしまうのでしょうか。
 
ここでは、内示の情報漏洩の背景や原因を、5W1Hに分けて説明します。
▼内示の情報漏洩に関する5W1H
When:いつ漏洩するのか
Where:どこで漏れるのか
Who:誰が漏らしてしまうのか
What:どのような情報が漏れるのか
Why:なぜ漏洩するのか
How:どのように漏洩するのか

【When】内示はいつ漏洩するのか

情報が漏れるタイミングとして一般的に考えられるのは「本人への内示の後」です。本人が口外禁止を破り、他者に言ってしまうケースです。
 
そのほかには、以下のような場面や人事異動情報の管理不足で漏れる可能性もあります。
  • 本人の上司に打診し、本人より先に上司の周りにいる人に情報が伝わったとき
  • 人事部門や役職者の会議などで情報共有された際、参加者以外に情報が流れてしまったとき
  • 印刷された会議資料に人事異動の情報が載っており、うっかり置き忘れてしまったとき
  • シュレッダーをかけ忘れて担当外の人物に知られてしまったとき
  • メールやチャットツールでメッセージを誤送信してしまったとき
口外禁止の周知や情報管理方法の整備はもちろん、責任ある立場の人や人事担当者には、機密性の高い情報の取り扱いに関して教育し、コンプライアンスリスクの意識を高める必要もあります。

【Where】内示はどこで漏れるのか

情報が漏洩する場所としては、次の4つが挙げられます。
  • 社内
  • 社外で、業務上接点のある場所
  • 社外で、業務上接点のない場所
  • オンライン
社内の場合は、仮に情報が漏洩したとしても社内の規則などで取り締まることが可能です。しかし、一度会社の外に情報が漏れてしまうと、情報の回収や影響を食い止めるための措置がうまく行えないこともあります。
 
特にオンラインで情報漏洩が起きた場合、会社の社会的信用を大きく損なう懸念があります。たとえばSNSの投稿で、投稿者本人は異動の情報を漏らしたつもりでなくても、読み手にそのような印象を与えたり、異動の事実がなくても「異動がある」ように誤認させたりする場合もあり、注意が必要です。

異動の対象者が役員など、会社の株価に影響しかねない人物の異動情報である場合、事実であっても誤認であっても大きな問題になるでしょう。

そのため、SNSやブログなど、拡散力の強いインターネット上には安易な投稿をさせない仕組みが不可欠だと言えます。

【Who】内示は誰が漏らしてしまうのか

情報を漏洩する可能性がある人は「その人事異動の情報や内示を知ることが可能なすべての人」です。内示を受けた本人はもちろん、人事担当者、上司、偶然情報を知ってしまった人、社外の第三者など多岐にわたります。

誰でも起こりがちなのが、内示を受けた本人の家庭からの情報漏洩でしょう。

本人が家族に内示の内容を伝え、家族が深く考えずに周囲に伝えてしまうことは、典型的な漏洩パターンと言えます。家族や友人など仕事に関係ない相手だと思っていても、巡り巡って会社の業務と接点がある人に情報が渡る可能性も否定しきれません。
 
家族に情報を共有する場合は、家族に対しても口外禁止を貫いてもらう必要があります。誰でも漏洩に加担してしまうリスクを共有したうえで、情報が漏れない仕組みを設けることが大切です。
 
また、情報漏洩は些細なヒューマンエラーで漏れてしまうケースも多々あります。
 
たとえば、以下のようなケースです。
  • 情報の置き忘れ
  • メッセージの誤送信
  • 口頭伝達をする場合に周りに声が聞こえてしまう
  • 電話やWeb会議などのマイクが会話の音声を拾ってしまう など
情報漏洩のリスクは社内にあふれています。細かいことにも気を配り、情報が漏れない工夫をしましょう。

【What】内示でどのような情報が漏れるのか

内示の時点では、人事異動の情報も正式な決定事項ではありません。したがって、漏洩する情報も「非公式で不確定要素を含むもの」と言えます。

たとえば、異動の時期や後任者などを調整している段階でも、あたかも決定事項であるかのように伝わるリスクがあります。もし間違った情報が口外されたとしても、聞いた人は内示の時点では事実かどうかを確かめる術がありません。
 
情報が漏洩しないように策を講じることが大前提ですが、内示を実施する方は共有する情報を最小限にとどめて、不確定要素を憶測で伝えないことも重要です。不明な点やあいまいな部分は「まだ決まっていない」と伝え、事実を正しく共有しましょう。

【Why】内示はなぜ漏洩するのか

人事異動情報の漏洩の原因として、主に3つが挙げられます。
1. 情報管理のルールがない、あるいは機能していないこと
2. 情報管理の仕組みがない、あるいは不都合であること
3. 情報の受け手の感情を刺激してしまうこと

1. 情報管理のルールがない、あるいは機能していない

内示を共有した際に「口外禁止」と伝えていなかったり、リスクのある行動を具体的に示せていなかったりすると、情報が漏れやすくなります。聞いた人も、何を守ればよいのかわからないからです。
 
社内の統一ルールを定め、人事情報をどのように扱うべきなのか、誰でも理解できるように明文化することをおすすめします。

2. 情報管理の仕組みがない、あるいは不都合である

社内に情報管理に関するルールがあっても、実際には機能しない場合があります。その理由の1つは、社員の普段の行動や社内環境に即したルールになっていないことです。 
たとえば「内示は口頭で伝える」というルールを設けていたとします。直接口頭で伝えられる場合は問題ありませんが、遠方の社員に内示する場合は、Web会議や通話用のツールが必要です。

その場合、漏洩防止のために音が漏れない環境や設備、誰に伝えたのかを記録しておくなどの工夫や対策は欠かせません。しかし、こうした仕組みがなければ漏洩してしまう可能性があるのです。
 
そのため、情報管理に関するルールを設ける段階で、使用するツール類や情報管理の媒体、会議のあり方などを細かく確認して、最適なルールを定めるとよいでしょう。
 
なお、情報管理の仕組みやツールを見直し、業務効率化を図りたいとお考えの方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事:採用DXとは?入社後の活躍につながる考え方

3. 情報の受け手の感情を刺激してしまう

「内示情報を受け取った人の感情を刺激してしまう」ことによって、口外されるケースもあります。たとえば、内示を受けた本人やその周りの人が「納得がいかない」または「異動に浮かれてしまう」ことで、情報をわざと漏らすような状況が典型的です。

そのため、企業側は故意に情報を漏らすことがないように「口外禁止である」と明確に伝えなければなりません。
 
人事異動の目的は、異動する本人の自己実現だけではなく、会社の利益や成長のために必要な適材適所でもあります。
 
このような情報漏洩リスクを防ぐ方法の1つとして、普段から本人と会社側との間で、キャリアプランや先々の希望、業務適性などを共有しておくことが有効です。双方でキャリアに対する見通しが立っていれば、人事異動の事実を受け入れやすくなり、必要以上に感情を刺激されることがなくなるでしょう。

前向きに内示を受け入れるためにも、普段のアセスメント(人材の特性を客観的に評価すること)は重要です。

なお、人材の適性や資質を図るには、行動特性(コンピテンシー)を分析する「コンピテンシー診断(テスト)」や適性診断が役立ちます。

人材アセスメントやコンピテンシーについては、以下の記事でくわしく解説しています。スムーズな内示を実現させるヒントとして、ぜひご一読ください。

【関連記事:人材アセスメントとは?メリットや活用方法について詳しく解説
【関連記事:人材アセスメントと組織アセスメントの違いは?成功させるポイントも解説
【関連記事:コンピテンシーとは?4つの活用シーンや分析ツールの導入事例を紹介
【関連記事:コンピテンシーテストとは?例題や無料診断ツール・導入のコツを紹介

【How】内示はどのように漏洩するのか

人事異動の情報が漏洩するパターンとして最も多いのが「日常会話」でしょう。口頭かテキストかに限らず、何気ない会話の中で重要な情報に触れる機会は多いものです。

したがって、発言したり会話に加わったりしている当人同士が「情報漏洩している」と自覚しにくい場合もあります。
 
特に内示は確定事項ではなく、調整中の段階で出されることも多いため「どの段階の情報が漏れたのか」により内容が異なります。
 
加えて、漏洩した情報自体も変化しやすいものです。日常会話や噂話のような形で口外された情報は、情報の受け取り手の解釈や思い込みなどから、元の情報とはまったく別の内容に塗り替えられていることもあります。

内示された情報が一旦漏れてしまうと、会社側からの正式な発令以外には軌道修正が難しいと言わざるを得ません。

人事異動情報(内示)の漏洩で生じるリスクとは?デメリット・注意点を解説

パソコン上に置かれた開錠された鍵
ここまで、人事異動情報の内示の概要や、情報漏洩の背景や原因を解説しました。

内示が漏洩することで起こる悪影響やリスクは多数あります。しかし、漏洩によって生じるリスクやデメリットを事前に把握できれば、内示をスムーズに実施し、仕組みを整えることも可能です。

ここでは、主なリスクを5つ紹介します。
1. 人事異動情報の悪用
2. 人事異動の拒否・心理的な抵抗による離職
3. 社員の意欲やモチベーション低下
4. 企業や社員からの信頼・信用を失う
5. 人事異動の調整や内示取り消しを招く

【リスク1】人事異動情報の悪用

1つ目のリスクが「人事異動情報の悪用」です。

特に会社にとって大きな影響力をもつ役員などの異動情報が社外に漏れてしまうと、それらの情報を悪用した口外や取引などが発生する恐れがあります。たとえば、事業に影響する人事異動情報が競合他社に漏れてしまうと、自社を優位にするために利用される可能性があるでしょう。

すると、売上の減少や株価の暴落、取引先との関係悪化など、事業への悪影響を及ぼすリスクがあります。

【リスク2】人事異動の拒否・心理的な抵抗による離職

2つ目のリスクは「社員の離職につながる可能性があること」です。

たとえば、異動に納得できない社員が大きなショックを受け、不満を漏らしたり、抵抗心から自暴自棄になってしまったりする可能性があります。すると、失望や会社への不満から、退職を選択することも考えられるでしょう。

また、異動対象の本人だけではなく、異動先の社員が辞めるリスクもあります。

人間関係では「合う・合わない」の相性があります。たとえば、自分と相性の悪い上司や部下、または同僚が自分の部署へ異動すると知った場合、ショックや不安から退職を考えてしまうリスクもあるでしょう。

直接異動に関係する社員でなくても、そのような混乱から社内全体の雰囲気が悪くなったことで、会社を信用できず辞めたいと考える社員もいるかもしれません。

正式な辞令の前に内示が漏洩することで、このような離職リスクが高まってしまいます。

【リスク3】社員の意欲やモチベーション低下

3つ目のリスクは「社員の意欲やモチベーションの低下につながる可能性があること」です。

たとえば、希望していた部署に異動が叶わない場合や、適性に合わない部署へ異動になった場合、業務への意欲やモチベーションの低下を招きます。

また、異動の理由や目的が分からず、納得がいかない場合も同様です。「会社は何もわかってくれない、理解してくれない」と絶望し、やる気を削いでしまうのです。

すると悪い雰囲気が社内に広がってしまい、ほかの社員の士気も下がってしまうでしょう。

モチベーションの低下は、業務効率の低下や離職リスクの増加などに直結します。

モチベーションの概要やモチベーションを向上させるマネジメントの方法について知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

【関連記事:モチベーションとは?やる気を引き出す動機づけ要因とモチベーションマネジメントの手法を解説

【リスク4】企業や社員からの信頼・信用を失う

4つ目のリスクは「企業や社員から信頼や信用を損なってしまうこと」です。

正式な辞令が発令される前に、真偽が定かではない人事異動情報が出回ってしまうことで、社内が混乱してしまいます。すると、社員は「この会社を信用して大丈夫だろうか」「情報管理方法が徹底されていない」と不安や不信感を抱くでしょう。

また社外に内示の内容が漏れることで、取引先の企業や世間からも不信感を抱かれ、社会的な信用を失いかねません。

結果的に、事業や株価にも悪影響を与え、最悪の場合、会社の存続が難しくなるリスクがあります。

【リスク5】人事異動の調整や内示取り消しを招く

5つ目のリスクは「人事異動の調整や内示の取り消しを招くこと」です。

辞令前に人事異動情報の内示が漏れてしまうことで、大きく動揺しショックを受ける社員が出る可能性があります。すると、異動に不満を抱いた社員から抗議や退職の申し出があるなど、社内に悪影響が広がることも考えられます。

そのような状況は会社にとって大きな損失です。そのため、問題を拡大させないために、人事異動情報を取り消しや変更せざるを得ないケースもあるでしょう。

そのような対応は手間がかかるだけでなく、社内外からの信頼を失う可能性もあるため、極力避けるべき事態と言えます。

【人事異動の6パターン別】内示の特徴と伝え方のポイント

内示を伝える企業の人事担当者
会社における人事異動には、主に以下の6つのパターンが考えられます。
1. 昇進・昇格
2. 降格・降職
3. 転勤・転任
4. 部署異動・配置転換
5. 解雇・免職
6. 新規採用
いずれの場合にも、社員に内示することが想定されます。
 
ここでは、6つの人事異動のパターンにおける内示の特徴や、伝え方のポイントを具体的に解説します。

異動パターンによっては内示による社内リスクの発生が想定されるため、特に内示の仕方に注意を払わなければならない場合もあります。以下で解説する各特徴を理解することで、トラブルのないスムーズな内示を実施できるでしょう。

1. 昇進・昇格

昇進・昇格とは、現在のポジションより上の階層に立場が変わることを意味します。

【特徴】
昇進・昇格する本人だけでなく、新しい部下となる人にとっては「上司が変わる」ことになるため、一大事です。
 
また、一般的に昇進・昇格する本人にとっては喜ばしい事情ですが、昇進や昇格できるポストには限りがあり、厳しい昇進要件を満たすために社員同士で切磋琢磨していることも少なくありません。同期入社の人や同じ職位の人よりも先に昇進することになった場合、妬みを買うこともあり得ます。
 
その反面、『日本の人事部 人事白書2021』の調査によれば、専門職志向が強く、ビジネスリーダーを希望する社員が少ないという声もあります。昇進・昇格が必ずしも本人にとって望むものではなく、不満をもつ可能性もあるでしょう。

(参考:『日本の人事部 人事白書2021』112ページ)

このように、昇進・昇格は社員にとって一喜一憂する出来事であるため、社員のモチベーションを変化させやすいリスクがあるのです。

昇進と昇格の違いは以下の記事でも解説しています。メリットやデメリット、人材の見極め方法も解説していますので、昇進や昇格による人事異動を行う場合は必見の内容でしょう。

【関連記事:昇進と昇格の違いを解説!社員から拒否されたときの対応も
 
【内示のポイント】
昇進・昇格を内示する場合は、本人だけでなく社内全体のモチベーションを維持し、士気を高める必要があります。
 
内示の段階では昇進・昇格後に期待する役割を伝え、どのような目標を立てて行動するのかをすり合わせ、正式に辞令が出た後にスムーズに動けるよう、すべきことをまとめて確認し合うとよいでしょう。

なお、昇格させる際の評価基準として、アセスメントツールを用いることを「昇格アセスメント」と言います。アセスメントツールとは、見えにくい人材の適性や資質を可視化し、客観的に評価できるツールです。

昇格アセスメントは納得感のある人事評価が可能なため、昇格の判断や人事異動、内示をスムーズに行うために導入するのも得策でしょう。

「アセスメント」の概要は以下の記事でわかりやすく解説しています。

【関連記事:「アセスメント」の使い方を簡単にわかりやすく解説【例文あり・分野別】

昇格アセスメントの重要性やメリットについては、以下の記事をご覧ください。
 
【関連記事:昇格アセスメントを取り入れた人事評価が重要!従来の見極め方法の欠点は?

2. 降格・降職

降格とは人事制度上の等級を引き下げること、降職とは役職を解いたり引き下げたりすることです。会社側の判断や評価による場合だけでなく、本人の希望を汲んで役職を降りることもあります。
 
【特徴】
会社の規模にもよりますが、ポジティブなイメージの昇進・昇格に比べて、社内全体にネガティブな印象をもたらしやすいのが降格・降職による異動です。

本人の意思によらない降格・降職であれば、本人からの口外や人事担当者、上司などの悪口として情報が広まることもあり得ます。受け取る人次第では、従業員エンゲージメントの低下を招くことにもつながるでしょう。

【内示のポイント】
降格・降職に関してはネガティブなイメージがつきまとうため、内示情報が先走って漏れてしまうと、根拠のない噂が広まってしまう危険性もあります。そのため、口外禁止を徹底し、内示の時期や社員の性格や立場を考慮して、慎重に内示を行いましょう。

また、降格・降職は、辞令が出た後も本人が会社に残って働くことが前提です。したがって、どのような理由による降格・降職であっても円滑に業務が続けられるように、会社側も内示の秘密を守る旨を約束することが大切です。

3. 転勤・転任

転勤・転任の場合、現在と勤務地が変わります。転居を伴うことが多いため、内示の必要性が高い人事異動のパターンと言えます。
 
【特徴】
転勤・転任の内示は、外部との癒着などの不正防止や予定外の事態への対応の余地を残す目的で、直前に通達される会社もあります。しかし、転居に関して家族やパートナーとの相談や調整が必要になることをふまえて、内示から辞令までの期間が長くなる傾向にあります。
 
働く場所が変わるので、異動後にフォローしようと思っても簡単にできることばかりではありません。そのため、引き継ぎをより入念にしておく必要があります。現在の部署内やお客さま、取引先など多くのステークホルダーに影響が及ぶことに注意しましょう。

なお、転勤に関する辞令の特徴や時期、起こりうる問題などを以下の記事でくわしく解説しています。転勤に伴う内示を行う際は、さまざまなリスクを避けるために知っておきたい内容です。

【関連記事:転勤辞令とは?辞令の正しい書き方や人事トラブルの対処法を解説
【関連記事:転勤の時期とは?企業にとってのメリットとデメリットを解説
【関連記事:会社都合の転勤や人事異動で起こりうる問題とは?

 
【内示のポイント】
転勤・転任を内示する場合は、正式発令までの期間の長さに応じて、段階的に周りへ情報を共有していくことも一案です。部署内でも特に引き継ぎなどで密に連携すべき人に対しては、例外的に優先して共有する必要もあり得ます。
 
そのような場合の制限やルールを整え、あくまで「内示」であることを理解し、必要以上に情報が広まらないよう対策しておきましょう。

4. 部署異動・配置転換

部署異動や配置転換は、頻度の高い人事異動のパターンです。昨今は、適性検査や「コンピテンシー診断」などのアセスメントツールを活用して、異動や仕事の割り振りを行う企業も増えてきました。

アセスメントツールを利用することで、人材の適性や資質を客観的に把握できるため、精度が高い適材適所やマネジメントを実現できるメリットがあります。

「コンピテンシー診断」やアセスメントツールの概要や導入方法は以下をご覧ください。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説
【関連記事:アセスメントツールとは?5つの導入メリット・選び方の3つのポイントなどを完全解説


【特徴】
部署異動や配置転換の目的は以下が挙げられます。
  • ジョブローテーション
  • 本人のキャリアプラン
  • 家庭の事情などによる異動の希望
  • 会社の組織体制の変更や経営戦略による異動 など
異動により役割の変更が生じるため、転勤・転任の場合と同様に業務の引き継ぎが必要です。部署内でしか閲覧できない情報や、日々変化していく取引の状況などもふまえ、異動時点で引き継ぎを終えておくことが原則です。
 
【内示のポイント】
部署異動や配置転換に伴う内示で問題となりやすいのが「内示と業務の引き継ぎのタイミング」です。

たとえば内示を受けた社員本人が先走り、急に業務マニュアルを作成したり、自分の業務を後輩に教えたりすると、周りの社員は違和感や不信感を抱くことがあります。
 
一方で、辞令が出てから後任者を探すのでは、引き継ぎの時間が足りないことも想定できます。そのため、新たな体制で既存の業務を滞りなく行えるように、逆算して内示のタイミングを決める必要があるのです。
 
また、転勤・転任の場合にも言えることですが、異動後の業務についても内示の段階で調整したり、教育を開始したりする場合があります。このような普段と異なる動きに対して、社員は思った以上に敏感に察知するものです。
 
内示はあくまで正式な発令がなされる前の段階であり、社内の混乱を避けるためにも目立つ動きは避け「辞令が出てから動く」という前提を共有しておきましょう。

そのほか、組織変更に伴う異動を成功させるポイントは以下の記事で解説しています。あわせてご確認ください。

【関連記事:組織変更に伴う人事異動を成功させるには?意味や手法を解説

なお「ミイダス」では、人事異動や人材評価に役立つ「コンピテンシー診断」を提供しています。人材の適性や資質を数値で客観的に把握できるため、精度の高い適性の見極めや適材適所に役立つでしょう。

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5. 解雇・免職

解雇や免職は懲戒措置の1つとして行われるだけではなく、体調不良など、やむを得ない事情でもあり得ます。

【特徴】
やむを得ない事情があるとはいえ「解雇」や「免職」と聞くと、社員には非常に大きなインパクトを与えます。降格・降職の場合と同様に、不用意に噂が広まるようなことは避けなければなりません。
 
【内示のポイント】
解雇や免職は、基本的には本人の希望と反する結果であり、本人が不満のあまり内示を口外してしまうリスクがあります。口外といっても社内で直接発言するだけではなく、SNSに書き込む、社外で口にするなど、会社のコントロールが及びにくい場面で情報が漏れる可能性もゼロではありません。

会社のルールに違反して解雇や免職となる場合など、本人の規範意識や倫理観に訴えるだけでは統制しきれないケースもあります。
 
したがって、内示の時点で厳重に口外禁止と伝えることが必要です。顧問弁護士など法律の専門家を頼れる場合は、必要に応じて連携するのもよいでしょう。手続き上の手間や交渉のリスクを考えて内示に関するルールを整備することで、発令までの間、情報を保護しやすくなります。

6. 新規採用

新規採用の内示は「社員本人の入社前に行われるもの」であり、ほかのパターンの内示と決定的に異なります。

【特徴】
新規採用を伴う内示として、似たような言葉に「内定」があります。厳密な区別はありませんが、一定の拘束力をもつ「内定」に比べ「内示」はやや不確定要素の多い状態を指すケースがほとんどです。
 
具体的には、次のように使い分けられます。
  • 内定:内定通知書などの文書で内定の事実を伝えている状態
  • 内々定:口頭で内定の事実を伝え、文書通知を行っていない場合
  • 内示:内定や入社の手続きを開始する旨、口頭で伝えること
【内示のポイント】
入社前の人にとっては、会社の細かい事情はわかりにくく、社内にいれば伝えやすいニュアンスも伝わらないことが多いものです。伝える内容やタイミングに注意し、少なくとも誤解を与えないように注意しなければなりません。
 
新規採用の場合、内示によって不信感が生じてしまうと、最悪の場合は内定を辞退されてしまいます。
 
人事担当者は、わからないことや不安はないか、逐一確認しながら丁寧に手続きを進めましょう。

「つい言ってしまった」を防ぐ!人事異動情報(内示)を漏洩させない4つの対処方法

人事異動情報(内示)を漏洩させないための規則
内示段階で人事異動情報が漏れてしまうと、正しくない内容が広まってしまうリスクや、不信感から社員のエンゲージメントを下げてしまう可能性があります。
 
情報漏洩を防ぎ、適切に人事異動情報を発令するために、以下の4点を意識するとよいでしょう。
1. ルールを設ける
2. 情報取り扱いの仕組み・環境を整える
3. 情報取り扱いに関し、コンプライアンスの周知や教育を行う
4. 内示した社員への疑問や不安に対するフォローを行う
以下では、内示トラブルを防ぎ、スムーズに進めるための対処法を解説します。

【対処方法1】内示から辞令を出すまでのルールを策定する

適切に内示や辞令を出すために、人事異動の情報伝達に関するルールを作る必要があります。特に次の3点は、ルールの中に必ず盛り込みましょう。
  • 情報共有する関係者の範囲
  • 口外禁止の期間
  • 内示の方法

情報共有する関係者の範囲を決める

内示によるトラブルを防ぐために特に重要なことは「内示を知らせる人の範囲を決めること」です。

内示の情報は基本的に口外禁止ですが、内示を受けた社員が「この人にならいいだろう」と勝手に判断して同僚に情報を伝えてしまうケースがあります。起こりがちなのが、社員が家族に共有し、さらにその家族が口外するパターンです。
 
そのため、あらかじめ内示を知らせる関係者の範囲を決めて伝えることで、情報の拡散や漏洩を防げます。
 
また、機密性の高い情報に触れる社員には、重点的にコンプライアンス教育や注意喚起の必要があるでしょう。

内示を口外禁止とする期間を決める

辞令が出されるタイミングがわからなければ、いつまで内示の情報を隠しておけばよいのか、不安になる社員もいるでしょう。

そのため、内示を秘密にする期間を事前に伝え、社員に安心感を与えることで情報の漏洩を防ぐ効果があります。
 
正式な発令までは口外禁止とすることが一般的ですが、担当業務の後任者や関係性の深い相手などに対して、必要な範囲で共有を認めることもあります。辞令前の情報共有に関する規定は特に慎重に設計しましょう。
 
また、段階的に情報共有を行い、相手によって口外禁止期間を変える場合は特に注意が必要です。段階的に知らせる相手に対しても、秘密を守ってもらうよう、場合分けの目安や期間を制度に盛り込んでおきましょう。

内示の方法を決める

内示の方法を社内で決めることも、伝達ミスによる情報漏洩の防止につながります。
 
基本的に内示は口頭による通達が適しています。なぜなら、メールや文書、チャットなどで伝えた場合、誤送信や置き忘れなどのミスによって内示の情報が漏洩するリスクがあるからです。
 
また、内示の方法を統一することも重要です。ある人には口頭で、ある人には文書でといったバラバラの内示通達をした場合、万が一情報が漏洩した際に情報元の特定ができず、さらに悪い状況を生んでしまうこともあります。
 
伝達方法を統一することで、不適切な情報共有を排除する効果も期待できます。

【対処方法2】情報取り扱いの仕組み・環境を整える

情報管理のルールを設けるのと同時に、ルールが守れる土壌を整備します。ルールを守るために必要な資源を揃え、ルートを作りましょう。
 
内示を共有する関係者を絞り、口外禁止の期間を設定したとしても、大きなタイムラグがなく情報を伝える仕組みがなければ、情報の正当性やルールの有効性が揺らぎかねません。

内示は非公式にもたらされる情報であり、秘密にしておくものです。そのため、社内で取り扱い方法やルールを定めておかなければ、個々人の解釈にばらつきが生じる危険性があります。
 
情報取り扱いの仕組みや環境を整える方法としては、以下の取り組みが挙げられます。
  • 定例会議の活用や、チャットツールの音声通話機能を利用して短時間で共有する
  • 内示の関係者に連絡するルートを体系化する
  • 内示以外の人事情報へのアクセスを制限する
これらを実現するには、適切なデジタルツールを使うことも有効です。ただし、設定や操作ミスで情報が筒抜けになってしまうことのないよう、管理しやすいツールを用いましょう。

【対処方法3】情報取り扱いに関し、コンプライアンスの周知や教育を行う

情報取り扱いのルールや仕組みを整えた後は、社員に教育を行い、適切に機能させることが重要です。
 
内示の口外禁止を徹底しようとしても、噂好きな社員は情報を漏らしてしまうかもしれません。そのため、口外禁止を破ることはコンプライアンス違反になると理解してもらう必要があります。
 
多くの場合、個人情報保護や機密事項を守ることに関して、入社時に誓約書を取り交わしています。情報関連の法改正は頻度が高いため、情報リテラシーに関する教育は定期的に行う価値の高い内容です。定期的な研修の際にも、社内規定をあらためて見直し、確認するとよいでしょう。
 
特に内示を共有される頻度の高い人に関しては、重点的に研修を行い、法令・規則の遵守を徹底することをおすすめします。機密性の高い情報に触れる頻度に合わせて研修のレベルを変化させ、規則の意味合いや目的の理解度を高め、社内のリテラシーを上げることが重要です。
 
口外禁止にした情報を漏らした社員が発生した場合や、社内ルールの徹底に不安のある場合は、ルールの中に厳しい罰則を盛り込むことも検討しましょう。そうすれば、以降の情報漏洩防止につながります。
 
その際、単に「処罰を受ける可能性がある」という危機感を植え付けるだけでは、ルールや仕組みが有効に機能しません。ルールや仕組みを整えた目的は「安心・安全に業務ができること」であると伝えましょう。

【対処方法4】内示した社員への疑問や不安に対するフォローを行う

内示を受けた社員に対するフォローを適切に行うことも重要です。

内示を受けた人が秘密を守らなければならない期間は、本人にとっても不安や緊張感を抱えることになります。そのため、必要以上に期間が長期化しないように配慮が必要です。

また、人事異動は社員にとって業務や環境の変化が起こるため、負担が大きい出来事です。そのため、内示で異動を告げられた直後は大きく動揺するかもしれません。場合によっては感情的になり、モチベーションの低下や大きな不安につながってしまいます。

そのため会社側は、対象の社員の疑問や不安などに応え、できるだけ負担を軽減できるようなフォローを心がけましょう。

たとえば、転勤で引っ越しに伴う異動の場合は一緒に引き継ぎスケジュールを考えたり、各手続きをサポートしたりすると、社員は安心して異動の準備ができます。

また、社員の性格や異動への捉え方を会社側が考慮して、伝え方やフォローの仕方を工夫するのも効果的です。

内示トラブルによる離職を防ぐ!人事業務のポイント・アイデア

人事異動の内示をする社員のイメージ
ここまで、人事異動の内示による漏洩リスクや問題を防ぐための対処法をお伝えしました。

内示によるトラブルにはさまざまな内容がありますが、大きな問題の1つに社員の離職が挙げられるでしょう。労働人口が低下している中、どの企業でも人手不足で悩んでいるものです。そのような中、適切な人事異動や内示を行えないことで、貴重な人材を失ってしまうことは大きな損失です。

そこで以下では、内示トラブルによる離職を防ぐためのアイデアやポイントを紹介します。
・内示する対象社員を理解し、伝え方を考慮する
・納得感のある適切な人事評価や異動を実施する
・適切なマネジメントで部下のコンディションを把握し、意欲や生産性の低下を防ぐ

内示する対象社員を理解し、伝え方を考慮する

内示する際は、基本的に本人に口頭で伝えることがベストです。内示の経緯や詳細を丁寧に伝えられるほか、異動に伴う社員の不安や疑問などもその場で対応できます。また、口外禁止を徹底してもらうためにも有効です。

あわせて、内示する対象の社員の性格や考え方などをふまえて伝え方も考慮するとよいでしょう。

たとえば、成長意欲が高い社員の場合、異動が社員のスキルアップや将来のポジションに必要な経験だと具体的に説明すれば、納得して異動を受け入れられると言えます。

反対に、異動の意図や目的が見えない場合や、社員の適性に沿わないポジションへの異動である場合は、不安から離職の可能性を高めてしまいます。

普段から社員の向き不向きや考え方、価値観などを把握しておき、内示の際は前向きに異動を受け入れられる伝え方を選びましょう。

納得感のある適切な人事評価や異動を実施する

内示による離職を防ぐには、納得感のある人事評価や人事異動を実施することが大事です。

たとえば、社員の希望とは反する部署へ異動させる場合、社員から評価方法や評価基準が見えにくいと「自分は会社に評価されていない」「人事評価に納得できない」などと失望や不信感を抱かれる可能性があります。

するとモチベーションの低下や評価に対する不満から、社員が離職する可能性が高まります。

普段から納得感のある人事評価やマネジメントを行うことで、人事異動に関しても意図や基準が明確に伝わり、納得して受け入れてもらいやすくなるでしょう。

なお、中小企業における人事評価精度の導入方法や作り方などは、以下の記事で解説しています。具体的な導入事例も紹介していますので、納得感のある人事評価を実施したい方は、ぜひご覧ください。

【関連記事:【事例あり】中小企業のための人事評価制度とは?作り方やシステムを紹介

適切なマネジメントで部下のコンディションを把握し、意欲や生産性の低下を防ぐ

人事異動の内示を伝えるタイミングも重要です。普段から社員のモチベーションやコンディションなどを把握しておくとよいでしょう。

たとえば、心身に大きなストレスを感じて業務への意欲が低下している時期に異動の内示をした場合、ストレスや不安から退職を検討する可能性があります。

人事異動は社員にとって大きな負担を伴うものです。社員のコンディションが悪い状態で異動を実施してしまうと、突然の休職や退職を招きかねません。

そのため、定期的な1on1ミーティングや普段の仕事ぶりなどで、社員のモチベーションや心身の状態などのコンディションを把握しておきましょう。

有意義な1on1ミーティングを行うヒントや具体的な方法を以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法

スムーズな人事異動・離職防止に「ミイダス」がおすすめ!3つの理由

ミイダスのサービス紹介の資料
前項では、内示による離職防止のためのアイデアやポイントを解説しました。

とはいえ、

「社員の適性や資質を明確に把握するのは難しい」
「基本リモートワーク環境のため、部下のモチベーションが見えにくい」

など、さまざまな課題から実現できないと思う方もいるのではないでしょうか。そのような場合は、アセスメントツールの活用が役立ちます。

特におすすめするツールは「ミイダス」です。

ミイダスでは、適切な人事異動や人事評価に役立つ「コンピテンシー診断」やモチベーションを把握できる「組織サーベイ」を提供しています。

以下では、ミイダスがスムーズな人事異動の実現や内示による離職防止に有効な理由を3つ紹介します。
1. コンピテンシー診断で人材の適性や資質が把握できるため、納得感ある異動や内示の伝え方が可能
2. 上司・部下の相性も把握できるため、異動先の相性を考慮した人事異動が可能
3. 組織サーベイでモチベーションの把握ができるため、適切な時期でのフォローや内示が可能

1. コンピテンシー診断で人材の適性や資質が把握できるため、納得感ある異動や内示の伝え方が可能

ミイダスのコンピテンシー診断の資料
「ミイダス」「コンピテンシー診断」は、人材の適性や資質を数値で可視化するツールです。全41項目のコンピテンシー項目(行動特性の項目)の傾向を、10段階の数値で表します。

具体的には、以下の5つの分野の傾向や特徴を把握できます。
  • マネジメント資質
  • パーソナリティの特徴
  • 職務適性
  • 上下関係適性
  • ストレス要因
各コンピテンシーテスト項目の傾向を把握できることで、社員の向いている業務の傾向や、ストレスに感じやすい環境などが数値で客観的に把握できます。

そのため、たとえば人事異動の内示の際、本人や関係部署に「コンピテンシー診断」の結果をもとに「より適性が活かせる部署へ異動する」と伝えることで、理解してもらいやすくなるでしょう。

結果として、人事異動に対して不満を募らせるリスクや、モチベーションの低下による離職を防ぐことにもつながります。

2. 上司・部下の相性も把握できるため、異動先の相性を考慮した人事異動が可能

「ミイダス」「コンピテンシー診断」では、上司と部下の相性も数値で可視化できます。

以下は、ミイダスの上司と部下のタイプ別の相性表です。
ミイダスの上司・部下タイプの相性の資料
上司と部下の相性を「コンピテンシー診断」で把握・想定すれば、両者の相性が良い部署へ異動させることが可能です。

上司と部下の相性が良いと、有効なマネジメントにも役立ちます。反対に相性が悪ければ、指示や意見がお互いに伝わりにくく、業務効率を低下させたりストレスを生み出したりするリスクがあります。

よってミイダスの「コンピテンシー診断」は、人事異動による離職リスクを低下させるほか、事業の成長にも有効なツールと言えるでしょう。

3. 組織サーベイでモチベーションの把握ができるため、適切な時期でのフォローや内示が可能

ミイダスの組織サーベイの資料
「ミイダス」「組織サーベイ」は、社員のモチベーションをグラフで可視化するサービスです。

モチベーションがパッと見て把握できるため、定期的に実施すれば社員のコンディションの変化に気づくことが可能です。すると、適切なタイミングでフォローや面談などを実施できるため、有意義なマネジメントや育成にも役立つでしょう。

また、1回5分程度の簡単なアンケートを社員に実施してもらう仕組みのため、社員に大きな負担をかけず実施できる点もメリットです。

人事異動の内示のタイミングも、社員のモチベーションに配慮して実施できるため、ネガティブな問題の発生や離職リスクを下げることにもつながります。

適材適所の人事異動を実現させ、内示をスムーズに行おう

適材適所で人事異動の内示をするイメージ
本記事では、人事異動に伴う内示をテーマに、以下の内容を解説しました。
・内示の意味
・内示する理由
・人事異動のパターン別の内示の特徴と伝え方のポイント
・人事異動情報が漏洩する原因
・人事異動情報が漏洩すると生じるリスクやデメリット
・人事異動情報を漏洩させないためのポイント
・スムーズな人事異動に役立つおすすめツール
内示の意味や必要性を理解して適切に実施するためには、必要なルール設計や体制、社員の教育などが重要です。
 
人事異動とは、適材適所を実現するための施策です。
 
組織にとって最高の人材配置を実施するためには、その仕事のポジションに必要な知識・能力・適性を知ることが重要です。その上で、異動する社員がスキルや資質を持ち合わせているかどうかを見極めた配置が、適材適所への第一歩になります。
 
これらは会社のメリットだけでなく、異動する社員にとっても重要です。自らの描くキャリアを実現できるかどうか見通しを立て、目標をもって業務を行ったり、スキルアップに取り組んだりすることにつながるからです。

会社に属する立場として自らの将来への予測や希望を持ち、前向きな気持ちでいられることは、従業員エンゲージメントを高めます。
 
なお、本記事でも紹介した「ミイダス」では、会社風土や活躍する社員の特性を可視化する「コンピテンシー診断」を提供しています。適切なアセスメントを行い、人事異動を成功させるためにも有効です。
 
また、ミイダスの「フィッティング人材分析」は採用活動でも力を発揮します。自社にフィットする人材の傾向・特徴を把握できることに加え、特徴にマッチする求職者へ直接アプローチすることが可能です。
 
さらに、認知バイアスを可視化する「バイアス診断ゲーム」もご利用いただけます。
 
診断ゲームでは、候補者自身が意思決定や選択する際の「癖」を測れます。NTTデータ研究所とミイダスとの共同開発による独自の診断ゲームです。
 
これらの診断ツールを活用することで、採用時のマッチング精度を高め、入社後のマネジメントにも活用できます。マネジメントする側が評価するだけでなく、社員自らが「どのような能力を高めればよいのか」「何が向いているのか」を知り、自己研鑽を促します。
 
「適材適所の人材配置を実現したい」「社員のキャリア実現を会社も後押ししたい」などとお考えの方は、ぜひミイダスをご活用ください。

フィッティング人材分析・バイアス診断ゲームともに、無料でご利用いただけます。
 
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ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

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