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コンピテンシーとは?4つの活用シーンや分析ツールの導入事例を紹介
「コンピテンシー」とは、仕事で高い成果を出しているハイパフォーマーに共通する行動特性や思考性を指す用語です。人事評価や組織マネジメント、採用活動、人材教育などコンピテンシーを活用できるシーンは数多くあります。
しかし、人事領域においてコンピテンシーの導入で高い効果を得るには、いくつかの注意点を把握しておくことが大切です。
コンピテンシーとは?
コンピテンシーとは、ハイパフォーマーに共通する行動特性や思考性を指す言葉です。
コンピテンシーでは、- どのようなことを意識して作業に取り組んでいるのか?
- 高い成果につながる行動や習慣は、どういう理由で行っているのか?
などの観点から自社で高い成果を出す従業員たちの思考・行動を分析します。
とはいえ、コンピテンシーと言われてもあまりピンと来ない人も多いのではないでしょうか。まず、人材マネジメントで使われる関連語と比べながら、コンピテンシーについて理解を深めましょう。
ここでは、次の関連語とコンピテンシーの違いを解説します。- スキル
- アビリティ
- コア・コンピタンス
コンピテンシーとスキルの違い
スキルは、従業員が持つ「専門的な技能や能力」です。具体的には、以下のようなものがスキルと呼ばれます。- プログラミング能力
- 営業力
- 英語でのコンサルティング力 など
一方でコンピテンシーは、「専門的な技能や能力を発揮するための力」です。例えば、営業分野でのコンピテンシーは、- お客様の立場に立って共感しながら話を聴ける
- お客様とスムーズに信頼関係を築ける
- 第一印象がとても良い
などが挙げられます。
コンピテンシーは、保有するスキルを発揮するために意識すべき行動や思考です。高いスキルがあっても、それを行動に活用できなければ、成果にはつながりません。
逆に「スキルはあるのに成果を上げられない」と悩む従業員も、コンピテンシーを磨くことでその人本来のスキルを発揮できます。
とはいえ、コンピテンシーにはスキルのような汎用性はありません。なぜなら、どのようなコンピテンシーが仕事の成果に結びつきやすいかは、業界や職種、社風などによって異なるためです。
「どの企業や組織でも活躍できるコンピテンシー」はないため、自社に合ったコンピテンシーを見つける必要がある点に留意しておきましょう。コンピテンシーとアビリティの違い
アビリティとは「能力や才能、技能」を指す言葉です。
アビリティには、生まれ持った能力だけではなく、練習や訓練努力でできるようになった技能も含まれます。この点はスキルに似ていますが、一般的にアビリティはスキルほど高いレベルのものではありません。
コンピテンシーは「スキルやアビリティを活かすために必要な行動特性」と言えます。コンピテンシーとコア・コンピタンスの違い
コンピテンシーとコア・コンピタンスの違いは「個人」か「組織」かという点です。
コンピテンシーは、ハイパフォーマーという「個人」が高い成果を発揮する力を意味します。
一方でコア・コンピタンスは、以下のように「組織」がお客様や社会に提供できる力です。- 複数の市場に影響を与えられる力
- お客様の暮らしを豊かにする力
- 競合から模倣されないオリジナリティ など
つまり、コア・コンピタンスは企業が持つ特色や技術、組織力と言えます。コア・コンピタンスに合ったコンピテンシーを持つ人材が集まることで、組織として高い成果が得られると考えると分かりやすいでしょう。コンピテンシーの歴史と注目される背景
次に、コンピテンシーの歴史について見ていきます。
コンピテンシーは、もともと1950年代に心理学用語として誕生した言葉です。その後、1970年代前半に行われた米国・ハーバード大学のマクレランド教授の調査によって、人事用語として広く知られるようになりました。日本でコンピテンシーが注目される背景
日本でコンピテンシーが注目され始めたのは、1990年代のバブル崩壊後、日本の人事評価制度がそれまでの年功序列から成果主義へシフトし始めたことがきっかけです。
近年の日本では、少子高齢化による労働人口の不足が問題となっています。また、グローバル化やコロナショックの影響で、多くの企業が市況の急激な変化に晒されています。各企業がこれらの問題から脱却するには、従業員の行動の質を高め、課題を解決し、生産性を向上する必要があるでしょう。
しかし、多くの企業が取り入れている職能資格制度では、評価が年功序列になりやすく、また上司や人事担当者のバイアスが入りやすいという問題が生じています。
そこで、厳しい時代を乗り切る客観的な指標としてコンピテンシーが注目されるようになったのです。多くの日本企業は人材を活用できていない

出典:㈱HRビジョン『日本の人事部 人事白書2021』 上記は、『日本の人事部』が正会員を対象として2021年3月に行った「経営戦略を実現するために必要な人材を、人事部門が採用、配置、育成できているかどうか」のアンケート結果です。
人材マネジメントは経営戦略の実現において重要ですが、現実は「当てはまらない」「どちらかといえば当てはまらない」が合わせて69.6%。人材が十分に活用できていない現状が浮き彫りとなっています。
人材活用が難航する理由として、まず挙げられるのが「人材活用の重要性を分かっていない」「人の過不足しか見ていない」という経営陣の問題です。加えて「人事部に戦略的人事を考える余裕がない」という人事部門のリソース不足も挙げられます。
したがって、旧態依然とした意識からの脱却や人材活用の効率化を図るためにも、コンピテンシーが求められているのです。
コンピテンシーを人材活用に導入した事例やメリット・デメリットについては、以下の記事をご参照ください。
【コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説】コンピテンシーの4つの活用シーンとメリット
コンピテンシーの客観的な評価は、さまざまなシーンで活用できます。
ここでは、- 人事評価
- 採用・面接
- 社員教育・能力開発
- 組織マネジメント
の4つの活用シーンとそれぞれのメリットを説明します。人事評価
もっともポピュラーなコンピテンシーの活用シーンは人事評価です。コンピテンシーを人事評価に取り入れると、実際に社内で実績をあげているハイパフォーマーの行動特性や思考性を基準とした評価が可能となります。
従業員の行動や思考については、職務職能資格制度でも「やる気」や「意欲」などの項目で評価対象ではあります。しかし、その評価基準は上司や評価者による差が大きく、公平性を保つのは容易ではありません。
その点、コンピテンシー評価では「なぜそのコンピテンシーが評価されるのか」「どのレベルなら評価基準に達すると判断できるか」が明確となるため、より納得感の強い評価が実現できます。
【コンピテンシー評価とは?導入方法や評価項目を解説】
なお人事評価には、コンピテンシー評価のほかに、以下のような人材アセスメントツールも使用されます。- 適性検査
- アセスメント研修
- 360度診断 など
いずれも対象の従業員を客観的かつ公平に評価しようと試みるものです。
自社の人事評価制度を考える際には、これらの評価手法を上手に組み合わせることが大切です。評価の目的と測定したい項目を明確にし、最適なツールを利用してみましょう。
人事評価に利用できるアセスメントツールおよびコンピテンシー評価については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
【アセスメントツールとは?5つの導入メリット・選び方の3つのポイントなどを完全解説】採用・面接
採用活動では、採用基準の一つとしてコンピテンシーを活用します。
例えば、中途採用を予定している部門において、実際に成果をあげている従業員のコンピテンシーを分析すれば、採用後も活躍する人材を見極めやすいでしょう。
また、新卒社員を採用する場合も、自社に定着した若手のコンピテンシーを評価基準に取り入れれば、定着しやすい人材の傾向が見えるはずです。
コンピテンシーを取り入れた採用面接では、以下のようなフレーズを使った構造化面接の形式を取ります。- どうしてその行動を取ろうと考えたのですか?
- どのような工夫で課題を乗り越えましたか?
- 業務を遂行するうえで、どのようなことを意識していますか?
コンピテンシー面接や非構造化面接(自由面接)について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【コンピテンシー面接とは?質問例も紹介】
【コンピテンシー面接を導入するには?マニュアルや流れを紹介】
【非構造化面接(自由面接)のメリット・デメリットとは?】社員教育・能力開発
社員研修で自社のハイパフォーマーのコンピテンシーを示せば、従業員に次のような意識を持ってもらえるでしょう。- 成果につながりやすい行動特性
- ポジションに求められる考え方
上記のような意識を持ってもらうことで、企業が従業員に求める成長の方向性が明確になり、効率的な人材育成が可能です。
ただし、コンピテンシーを能力開発に活かす際は人事部門や上司が行動特性などを一方的に伝えるだけでは不十分でしょう。従業員が自ら「どうなりたいか?」を考え、納得してもらうことが大切です。
【コンピテンシーを人材育成に取り入れるメリットや導入方法、注意点を解説】
また、1on1の社内面談で評価をフィードバックする際に、コンピテンシーの項目に触れるのも効果的です。客観的な基準に基づいて公平に評価されていると分かれば、従業員との信頼関係の構築につながるでしょう。組織マネジメント
コンピテンシーは、組織運営やチームビルディングといった組織マネジメントに活用できます。
例えば、現チームで意思決定に参加できていない人材には、配属チームを変えるなどの方法もあります。また、現在の部門で期待した成果をあげられていない人材についても、本人のスキル不足なのか、部門と本人の特性が合っていないのかを客観的に判断できます。
従業員のコンピテンシーを把握することで、適材適所の配置や最適な仕事の割り振りが可能となるのです。加えて、リーダーを任せたい人材が本当にそのポジションに適しているかも見極めやすくなるでしょう。
コンピテンシーによる適材適所の人材活用、昇格アセスメントおよびコンピテンシーを用いた人事評価については、以下の記事をご参照ください。
【アセスメントを活用してくすぶり人材を活躍人材に】
【昇格アセスメントを取り入れた人事評価が重要!従来の見極め方法の欠点は?】コンピテンシーにもデメリットや注意点はある?
コンピテンシーそのものにデメリットはありません。しかし、コンピテンシーを人事領域に活用する場合は、次の点に注意が必要です。- 導入目標がないと成功しない
- コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
- 定期的な振り返りと改善が必要
注意点を意識せずコンピテンシーを活用しても、期待した効果やメリットを得られない可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。導入目標がないと成功しない
コンピテンシーを導入しても、採用や人材マネジメントの課題がすぐに解決するわけではありません。コンピテンシーを取り入れる際は自社の現状を分析したうえで、以下を考える必要があります。- コンピテンシー導入で何を改善したいか
- どのような手段であれば、自社でも無理なく導入できるか など
例えば、中途採用の定着率に課題を抱えているなら、実際に定着している社員を基にした採用評価基準の作成が必要になるでしょう。
コンピテンシーを効果的に活用するには、明確な導入目標が求められるのです。コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
一般的に、組織のハイパフォーマーは1人ではありません。部門・部署・役職ごとに、複数人のハイパフォーマーが存在するはずです。
しかし、部署や役職別にヒアリングを行うと、何人もの対象を調査・分析することになります。また、人によっては自分が高い成果を上げられる理由をうまく言語化できない場合もあります。
そのため、コンピテンシーを導入して人事評価や採用などの精度を上げるには、ヒアリングや分析だけで多くの時間がかかるでしょう。定期的な振り返りと改善が必要
コンピテンシーを活用する場合は、定期的な振り返りや改善が必要です。日本企業の人事評価制度は、バブル崩壊後、年功序列から成果主義中心の評価にシフトしつつあります。
これと同様の大きな変化は、今後も起こる可能性が高いでしょう。例えば、コロナ禍でのテレワークの導入や副業解禁などの流れで、現在の評価基準も見直す必要が出てきています。
また、企業のいる市況自体が、時代の変化で大きく変わる可能性もあります。コンピテンシーは導入して終わりではなく、定期的な見直しや改善が求められるものなのです。コンピテンシーを導入する流れ
コンピテンシーを導入したい場合、どのような流れで行えば良いのでしょうか?
『ミイダス』のようなコンピテンシー診断ツールを使わずに、自社でイチからコンピテンシーを導入する場合は、以下のような流れになります。- 社内のハイパフォーマーを選定し、ヒアリングを行う
- コンピテンシーモデルを作成する
- 評価基準を作成する
- 実務にコンピテンシーモデルを導入する
- コンピテンシーモデルの評価と改善
コンピテンシーモデルとは?
コンピテンシーを活用する際、まず行うべきなのはコンピテンシーモデルの作成です。
コンピテンシーモデルとは、自社のハイパフォーマーたちに共通するコンピテンシーをすべて備えた、架空の人物像です。「自社が理想とする従業員像」とも言い換えられます。
コンピテンシーモデルは主に以下の3つです。- 実在のハイパフォーマーを基にした「実在型モデル」
- 企業理念や経営戦略などを基にした「理想形モデル」
- 実在型と理想型それぞれのメリットを取り入れた「ハイブリット型モデル」
実在型モデル
実在型モデルを作成する際は、自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行います。自社で実際に活躍している人材から作成するため比較的取り入れやすく、従業員もモデルのイメージがしやすいでしょう。理想型モデル
理想型モデルは、企業理念や経営戦略に沿って作成します。例えば、他部署とうまく連携できるリーダーを理想とするならば、コンピテンシーモデルには「統率力がある」「人あたりがよい」などのコンピテンシーが含まれるでしょう。
一方で、自社の現状を考えずに高い理想像を掲げてしまう可能性があるため、注意が必要です。ハイブリッド型モデル
ハイブリッド型モデルは名の通り、実在型と理想型の良い部分を活用して作成するモデルです。まずは自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行い、実在型モデルを作成し、その後、自社が求める理想像をプラスします。
実在型モデルに比べて理想像があまりにもかけ離れてしまうと、コンピテンシーモデルを作成した意味がなくなるため気を付けましょう。
実在型モデルとハイブリッド型モデルに関しては、ハイパフォーマーたちにヒアリングが必要です。しかし、「なぜあなたは好業績をあげられるのですか?」と質問しても、本人がうまく言語化できるとは限りません。
そこで、調査するコンピテンシー項目にあらかじめ目星をつけておき、対象がそれらのコンピテンシーを持っているかを判断する形でヒアリングを進めます。この項目決めのときに活躍するのが『コンピテンシーディクショナリー』です。コンピテンシーディクショナリーとは?
コンピテンシーディクショナリーとは、ライル・M・スペンサーとシグネ・M・スペンサーが開発した、各職種に必要なコンピテンシーをまとめたものです。
以下の6つの領域に関して、コンピテンシー全20項目が設定されています。 コンピテンシー コンピテンシー項目 達成・行動 ・達成思考
・秩序、品質、正確性への関心
・イニシアチブ(率先力)
・情報収集 援助・対人支援 ・対人理解
・顧客支援方向 インパクト・対人影響力 ・影響力
・組織感覚
・関係の構築 管理領域 ・他者の育成
・指導力
・チームワークと協力
・チームリーダーシップ 知的領域 ・分析的思考
・概念的思考
・技術的、専門職的、管理的専門性 個人の効果性 ・自己管理
・自信
・柔軟性
・組織コミットメント
上記のコンピテンシーディクショナリーを参考に、ハイパフォーマーの思考プロセスを分析し、共通するコンピテンシーを抽出します。
とはいえ、コンピテンシー項目は「必ずこれを使うべき」といった決まった型式はありません。自社の状況に応じて項目を追加・選択しましょう。ジョブ型雇用の広がりで従業員もコンピテンシーを意識

ここまで、企業側の視点からコンピテンシーについて解説してきました。しかし、コンピテンシーは決して企業にだけメリットがあるわけではありません。
近年では、従業員も自身のキャリアを考えるうえでコンピテンシーを意識しつつあります。
2021年に『転職2.0』(村上臣 著)という書籍が発売され、話題となったのをご存知でしょうか。こちらの動画で語られているように、ジョブ型雇用の広がりによって個人が主体的にキャリアを考える時代が始まっています。転職が当たり前になる時代を迎える前に、企業側も従業員の意識の変化を把握しておく必要があります。
ここでは、次の視点で従業員側から見たコンピテンシーの重要性を解説します。- メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
- 個人のキャリアに対する意識の変化
- 転職が当然だからこそ適材適所が重要
メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
日本企業の多くは、メンバーシップ雇用を中心としてきました。しかし、近年は海外のようなジョブ型雇用を導入する企業が増えています。
簡単にそれぞれの雇用について把握しておきましょう。 雇用の種類 概要 メンバーシップ雇用 企業側は業務内容や勤務地を決めずに採用し、その後に勤務地と業務を割り当てる雇用システム ジョブ型雇用 勤務地や業務内容、雇用条件を明確にて採用し、従業員は事前に合意した職務で働く雇用システム
日本企業においては、新卒採用はメンバーシップ雇用、中途採用はジョブ型雇用を採用しているケースが多いでしょう。
ジョブ型雇用では、企業は職務(ジョブ)をベースにマッチする人材を探し、採用される側も転職を前提に企業でキャリア形成をします。コンピテンシーは企業が人材を採用する際に役立ちますが、採用される側からしても、自身のコンピテンシーに合った企業で働けることはキャリアにプラスになるのです。個人のキャリアに対する意識の変化
『転職2.0』では、自身のキャリアを以下の5つのカテゴリーで分析する考え方が提示されています。- ポジション(役割)
- スキル
- 業種
- 経験
- コンピテンシー
つまり、5つのカテゴリーを掛け合わせて市場価値を高め、転職や就職を成功させようというわけです。
コンピテンシーを意識した求職活動が従業員側に広まりつつあるなかで、企業側としてもコンピテンシーを無視してジョブ型雇用を進めるのは難しいと言えるでしょう。転職が当然だからこそ適材適所が重要
適材適所の人員配置は組織力向上につながります。
しかし、ジョブ型雇用が広まり転職が当たり前になれば、従業員の望まない配置転換は離職につながる恐れがあります。異動を伝える際は、従業員のキャリア形成にプラスに働くという説明がより重要になるのです。
その際、コンピテンシー診断などのアセスメント結果を提示できれば、納得してもらいやすくなります。学問の場でもコンピテンシーが導入されつつあるコンピテンシーは企業だけにとどまらず、大学でも積極的に活用されています。大学といえばそれぞれが興味のある分野を勉強する場ですが、社会に出ると学力だけではなく、コミュニケーション力や行動力も求められるでしょう。
加えて、ポテンシャル(潜在能力)を重視する企業も増えています。そのため、大学によっては学生のうちから自身のコンピテンシーを把握させ、社会で活躍できる能力を養わせたいと考えているのです。
ここでは、2つの大学の事例を紹介します。中央大学「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」
中央大学では、「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」という学修プログラムを行っています。長い間通う大学生活のなかで、知性だけではなくコンピテンシーどちらも伸ばすことが大切だと考えています。
中央大学では、- コミュニケーション力
- 問題解決力
- 知識獲得力
- 組織的行動力
- 創造力
- 自己実現力
- 多様性創発力
といった7つのカテゴリーと31のキーワードを設定して、学生が自主的にコンピテンシーの向上に努めています。
学生生活でコンピテンシー診断を繰り返すことで、自身の潜在能力を把握しどのような企業や分野で活躍できるのかも自覚できるようになるのです。
また中央大学の公式サイトでは、OB・OGがどのようにしてコンピテンシーを発掘していったのか事例を紹介しています。関東学園大学「コンピテンシー育成プログラム」
群馬県太田市にある関東学園大学では「コンピテンシー育成プログラム」を導入しています。
関東学園大学では、- リーダーシップ
- 表現力
- 人との交流/協業
- 主体性/積極性
- 職業観、社会への関心
- 論理的思考力
といった6つのコンピテンシーを定めて、随時担任とそれぞれのコンピテンシーレベルにあわせて目標を設定します。そして年度の終了時に次年度の目標や計画の相談しながら、自身のコンピテンシーを伸ばしていくのです。
実際に、関東学園大学卒業生を採用している企業からも、彼らの積極性やリーダーシップに可能性を感じていると評価されています。
これらの取り組みを見ても、社会人になる前からコンピテンシーを重要視しているのが分かります。将来的に、企業を支える若者たちが自身のコンピテンシーを伸ばして企業を選ぶ時代が来ると言っても過言ではありません。
また、企業が感覚や学歴だけではなく、コンピテンシーといった公平な評価で採用や人事を行っているかどうかも求職者の志望動機につながる可能性も高まります。
したがって、企業側も自社のコンピテンシー分析や定期的な見直し、改善する必要があるでしょう。コンピテンシーの分析におすすめの「ミイダス」

コンピテンシーでは、
とはいえ、コンピテンシーと言われてもあまりピンと来ない人も多いのではないでしょうか。まず、人材マネジメントで使われる関連語と比べながら、コンピテンシーについて理解を深めましょう。
ここでは、次の関連語とコンピテンシーの違いを解説します。
コンピテンシーは、保有するスキルを発揮するために意識すべき行動や思考です。高いスキルがあっても、それを行動に活用できなければ、成果にはつながりません。
逆に「スキルはあるのに成果を上げられない」と悩む従業員も、コンピテンシーを磨くことでその人本来のスキルを発揮できます。
とはいえ、コンピテンシーにはスキルのような汎用性はありません。なぜなら、どのようなコンピテンシーが仕事の成果に結びつきやすいかは、業界や職種、社風などによって異なるためです。
「どの企業や組織でも活躍できるコンピテンシー」はないため、自社に合ったコンピテンシーを見つける必要がある点に留意しておきましょう。
アビリティには、生まれ持った能力だけではなく、練習や訓練努力でできるようになった技能も含まれます。この点はスキルに似ていますが、一般的にアビリティはスキルほど高いレベルのものではありません。
コンピテンシーは「スキルやアビリティを活かすために必要な行動特性」と言えます。
コンピテンシーは、ハイパフォーマーという「個人」が高い成果を発揮する力を意味します。
一方でコア・コンピタンスは、以下のように「組織」がお客様や社会に提供できる力です。

コンピテンシーは、もともと1950年代に心理学用語として誕生した言葉です。その後、1970年代前半に行われた米国・ハーバード大学のマクレランド教授の調査によって、人事用語として広く知られるようになりました。
日本でコンピテンシーが注目される背景
近年の日本では、少子高齢化による労働人口の不足が問題となっています。また、グローバル化やコロナショックの影響で、多くの企業が市況の急激な変化に晒されています。各企業がこれらの問題から脱却するには、従業員の行動の質を高め、課題を解決し、生産性を向上する必要があるでしょう。
しかし、多くの企業が取り入れている職能資格制度では、評価が年功序列になりやすく、また上司や人事担当者のバイアスが入りやすいという問題が生じています。
そこで、厳しい時代を乗り切る客観的な指標としてコンピテンシーが注目されるようになったのです。
多くの日本企業は人材を活用できていない

人材マネジメントは経営戦略の実現において重要ですが、現実は「当てはまらない」「どちらかといえば当てはまらない」が合わせて69.6%。人材が十分に活用できていない現状が浮き彫りとなっています。
人材活用が難航する理由として、まず挙げられるのが「人材活用の重要性を分かっていない」「人の過不足しか見ていない」という経営陣の問題です。加えて「人事部に戦略的人事を考える余裕がない」という人事部門のリソース不足も挙げられます。
したがって、旧態依然とした意識からの脱却や人材活用の効率化を図るためにも、コンピテンシーが求められているのです。
コンピテンシーを人材活用に導入した事例やメリット・デメリットについては、以下の記事をご参照ください。
【コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説】
コンピテンシーの4つの活用シーンとメリット
コンピテンシーの客観的な評価は、さまざまなシーンで活用できます。
ここでは、- 人事評価
- 採用・面接
- 社員教育・能力開発
- 組織マネジメント
の4つの活用シーンとそれぞれのメリットを説明します。人事評価
もっともポピュラーなコンピテンシーの活用シーンは人事評価です。コンピテンシーを人事評価に取り入れると、実際に社内で実績をあげているハイパフォーマーの行動特性や思考性を基準とした評価が可能となります。
従業員の行動や思考については、職務職能資格制度でも「やる気」や「意欲」などの項目で評価対象ではあります。しかし、その評価基準は上司や評価者による差が大きく、公平性を保つのは容易ではありません。
その点、コンピテンシー評価では「なぜそのコンピテンシーが評価されるのか」「どのレベルなら評価基準に達すると判断できるか」が明確となるため、より納得感の強い評価が実現できます。
【コンピテンシー評価とは?導入方法や評価項目を解説】
なお人事評価には、コンピテンシー評価のほかに、以下のような人材アセスメントツールも使用されます。- 適性検査
- アセスメント研修
- 360度診断 など
いずれも対象の従業員を客観的かつ公平に評価しようと試みるものです。
自社の人事評価制度を考える際には、これらの評価手法を上手に組み合わせることが大切です。評価の目的と測定したい項目を明確にし、最適なツールを利用してみましょう。
人事評価に利用できるアセスメントツールおよびコンピテンシー評価については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
【アセスメントツールとは?5つの導入メリット・選び方の3つのポイントなどを完全解説】採用・面接
採用活動では、採用基準の一つとしてコンピテンシーを活用します。
例えば、中途採用を予定している部門において、実際に成果をあげている従業員のコンピテンシーを分析すれば、採用後も活躍する人材を見極めやすいでしょう。
また、新卒社員を採用する場合も、自社に定着した若手のコンピテンシーを評価基準に取り入れれば、定着しやすい人材の傾向が見えるはずです。
コンピテンシーを取り入れた採用面接では、以下のようなフレーズを使った構造化面接の形式を取ります。- どうしてその行動を取ろうと考えたのですか?
- どのような工夫で課題を乗り越えましたか?
- 業務を遂行するうえで、どのようなことを意識していますか?
コンピテンシー面接や非構造化面接(自由面接)について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
【コンピテンシー面接とは?質問例も紹介】
【コンピテンシー面接を導入するには?マニュアルや流れを紹介】
【非構造化面接(自由面接)のメリット・デメリットとは?】社員教育・能力開発
社員研修で自社のハイパフォーマーのコンピテンシーを示せば、従業員に次のような意識を持ってもらえるでしょう。- 成果につながりやすい行動特性
- ポジションに求められる考え方
上記のような意識を持ってもらうことで、企業が従業員に求める成長の方向性が明確になり、効率的な人材育成が可能です。
ただし、コンピテンシーを能力開発に活かす際は人事部門や上司が行動特性などを一方的に伝えるだけでは不十分でしょう。従業員が自ら「どうなりたいか?」を考え、納得してもらうことが大切です。
【コンピテンシーを人材育成に取り入れるメリットや導入方法、注意点を解説】
また、1on1の社内面談で評価をフィードバックする際に、コンピテンシーの項目に触れるのも効果的です。客観的な基準に基づいて公平に評価されていると分かれば、従業員との信頼関係の構築につながるでしょう。組織マネジメント
コンピテンシーは、組織運営やチームビルディングといった組織マネジメントに活用できます。
例えば、現チームで意思決定に参加できていない人材には、配属チームを変えるなどの方法もあります。また、現在の部門で期待した成果をあげられていない人材についても、本人のスキル不足なのか、部門と本人の特性が合っていないのかを客観的に判断できます。
従業員のコンピテンシーを把握することで、適材適所の配置や最適な仕事の割り振りが可能となるのです。加えて、リーダーを任せたい人材が本当にそのポジションに適しているかも見極めやすくなるでしょう。
コンピテンシーによる適材適所の人材活用、昇格アセスメントおよびコンピテンシーを用いた人事評価については、以下の記事をご参照ください。
【アセスメントを活用してくすぶり人材を活躍人材に】
【昇格アセスメントを取り入れた人事評価が重要!従来の見極め方法の欠点は?】コンピテンシーにもデメリットや注意点はある?
コンピテンシーそのものにデメリットはありません。しかし、コンピテンシーを人事領域に活用する場合は、次の点に注意が必要です。- 導入目標がないと成功しない
- コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
- 定期的な振り返りと改善が必要
注意点を意識せずコンピテンシーを活用しても、期待した効果やメリットを得られない可能性があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。導入目標がないと成功しない
コンピテンシーを導入しても、採用や人材マネジメントの課題がすぐに解決するわけではありません。コンピテンシーを取り入れる際は自社の現状を分析したうえで、以下を考える必要があります。- コンピテンシー導入で何を改善したいか
- どのような手段であれば、自社でも無理なく導入できるか など
例えば、中途採用の定着率に課題を抱えているなら、実際に定着している社員を基にした採用評価基準の作成が必要になるでしょう。
コンピテンシーを効果的に活用するには、明確な導入目標が求められるのです。コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
一般的に、組織のハイパフォーマーは1人ではありません。部門・部署・役職ごとに、複数人のハイパフォーマーが存在するはずです。
しかし、部署や役職別にヒアリングを行うと、何人もの対象を調査・分析することになります。また、人によっては自分が高い成果を上げられる理由をうまく言語化できない場合もあります。
そのため、コンピテンシーを導入して人事評価や採用などの精度を上げるには、ヒアリングや分析だけで多くの時間がかかるでしょう。定期的な振り返りと改善が必要
コンピテンシーを活用する場合は、定期的な振り返りや改善が必要です。日本企業の人事評価制度は、バブル崩壊後、年功序列から成果主義中心の評価にシフトしつつあります。
これと同様の大きな変化は、今後も起こる可能性が高いでしょう。例えば、コロナ禍でのテレワークの導入や副業解禁などの流れで、現在の評価基準も見直す必要が出てきています。
また、企業のいる市況自体が、時代の変化で大きく変わる可能性もあります。コンピテンシーは導入して終わりではなく、定期的な見直しや改善が求められるものなのです。コンピテンシーを導入する流れ
コンピテンシーを導入したい場合、どのような流れで行えば良いのでしょうか?
『ミイダス』のようなコンピテンシー診断ツールを使わずに、自社でイチからコンピテンシーを導入する場合は、以下のような流れになります。- 社内のハイパフォーマーを選定し、ヒアリングを行う
- コンピテンシーモデルを作成する
- 評価基準を作成する
- 実務にコンピテンシーモデルを導入する
- コンピテンシーモデルの評価と改善
コンピテンシーモデルとは?
コンピテンシーを活用する際、まず行うべきなのはコンピテンシーモデルの作成です。
コンピテンシーモデルとは、自社のハイパフォーマーたちに共通するコンピテンシーをすべて備えた、架空の人物像です。「自社が理想とする従業員像」とも言い換えられます。
コンピテンシーモデルは主に以下の3つです。- 実在のハイパフォーマーを基にした「実在型モデル」
- 企業理念や経営戦略などを基にした「理想形モデル」
- 実在型と理想型それぞれのメリットを取り入れた「ハイブリット型モデル」
実在型モデル
実在型モデルを作成する際は、自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行います。自社で実際に活躍している人材から作成するため比較的取り入れやすく、従業員もモデルのイメージがしやすいでしょう。理想型モデル
理想型モデルは、企業理念や経営戦略に沿って作成します。例えば、他部署とうまく連携できるリーダーを理想とするならば、コンピテンシーモデルには「統率力がある」「人あたりがよい」などのコンピテンシーが含まれるでしょう。
一方で、自社の現状を考えずに高い理想像を掲げてしまう可能性があるため、注意が必要です。ハイブリッド型モデル
ハイブリッド型モデルは名の通り、実在型と理想型の良い部分を活用して作成するモデルです。まずは自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行い、実在型モデルを作成し、その後、自社が求める理想像をプラスします。
実在型モデルに比べて理想像があまりにもかけ離れてしまうと、コンピテンシーモデルを作成した意味がなくなるため気を付けましょう。
実在型モデルとハイブリッド型モデルに関しては、ハイパフォーマーたちにヒアリングが必要です。しかし、「なぜあなたは好業績をあげられるのですか?」と質問しても、本人がうまく言語化できるとは限りません。
そこで、調査するコンピテンシー項目にあらかじめ目星をつけておき、対象がそれらのコンピテンシーを持っているかを判断する形でヒアリングを進めます。この項目決めのときに活躍するのが『コンピテンシーディクショナリー』です。コンピテンシーディクショナリーとは?
コンピテンシーディクショナリーとは、ライル・M・スペンサーとシグネ・M・スペンサーが開発した、各職種に必要なコンピテンシーをまとめたものです。
以下の6つの領域に関して、コンピテンシー全20項目が設定されています。 コンピテンシー コンピテンシー項目 達成・行動 ・達成思考
・秩序、品質、正確性への関心
・イニシアチブ(率先力)
・情報収集 援助・対人支援 ・対人理解
・顧客支援方向 インパクト・対人影響力 ・影響力
・組織感覚
・関係の構築 管理領域 ・他者の育成
・指導力
・チームワークと協力
・チームリーダーシップ 知的領域 ・分析的思考
・概念的思考
・技術的、専門職的、管理的専門性 個人の効果性 ・自己管理
・自信
・柔軟性
・組織コミットメント
上記のコンピテンシーディクショナリーを参考に、ハイパフォーマーの思考プロセスを分析し、共通するコンピテンシーを抽出します。
とはいえ、コンピテンシー項目は「必ずこれを使うべき」といった決まった型式はありません。自社の状況に応じて項目を追加・選択しましょう。ジョブ型雇用の広がりで従業員もコンピテンシーを意識

ここまで、企業側の視点からコンピテンシーについて解説してきました。しかし、コンピテンシーは決して企業にだけメリットがあるわけではありません。
近年では、従業員も自身のキャリアを考えるうえでコンピテンシーを意識しつつあります。
2021年に『転職2.0』(村上臣 著)という書籍が発売され、話題となったのをご存知でしょうか。こちらの動画で語られているように、ジョブ型雇用の広がりによって個人が主体的にキャリアを考える時代が始まっています。転職が当たり前になる時代を迎える前に、企業側も従業員の意識の変化を把握しておく必要があります。
ここでは、次の視点で従業員側から見たコンピテンシーの重要性を解説します。- メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
- 個人のキャリアに対する意識の変化
- 転職が当然だからこそ適材適所が重要
メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
日本企業の多くは、メンバーシップ雇用を中心としてきました。しかし、近年は海外のようなジョブ型雇用を導入する企業が増えています。
簡単にそれぞれの雇用について把握しておきましょう。 雇用の種類 概要 メンバーシップ雇用 企業側は業務内容や勤務地を決めずに採用し、その後に勤務地と業務を割り当てる雇用システム ジョブ型雇用 勤務地や業務内容、雇用条件を明確にて採用し、従業員は事前に合意した職務で働く雇用システム
日本企業においては、新卒採用はメンバーシップ雇用、中途採用はジョブ型雇用を採用しているケースが多いでしょう。
ジョブ型雇用では、企業は職務(ジョブ)をベースにマッチする人材を探し、採用される側も転職を前提に企業でキャリア形成をします。コンピテンシーは企業が人材を採用する際に役立ちますが、採用される側からしても、自身のコンピテンシーに合った企業で働けることはキャリアにプラスになるのです。個人のキャリアに対する意識の変化
『転職2.0』では、自身のキャリアを以下の5つのカテゴリーで分析する考え方が提示されています。- ポジション(役割)
- スキル
- 業種
- 経験
- コンピテンシー
つまり、5つのカテゴリーを掛け合わせて市場価値を高め、転職や就職を成功させようというわけです。
コンピテンシーを意識した求職活動が従業員側に広まりつつあるなかで、企業側としてもコンピテンシーを無視してジョブ型雇用を進めるのは難しいと言えるでしょう。転職が当然だからこそ適材適所が重要
適材適所の人員配置は組織力向上につながります。
しかし、ジョブ型雇用が広まり転職が当たり前になれば、従業員の望まない配置転換は離職につながる恐れがあります。異動を伝える際は、従業員のキャリア形成にプラスに働くという説明がより重要になるのです。
その際、コンピテンシー診断などのアセスメント結果を提示できれば、納得してもらいやすくなります。学問の場でもコンピテンシーが導入されつつあるコンピテンシーは企業だけにとどまらず、大学でも積極的に活用されています。大学といえばそれぞれが興味のある分野を勉強する場ですが、社会に出ると学力だけではなく、コミュニケーション力や行動力も求められるでしょう。
加えて、ポテンシャル(潜在能力)を重視する企業も増えています。そのため、大学によっては学生のうちから自身のコンピテンシーを把握させ、社会で活躍できる能力を養わせたいと考えているのです。
ここでは、2つの大学の事例を紹介します。中央大学「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」
中央大学では、「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」という学修プログラムを行っています。長い間通う大学生活のなかで、知性だけではなくコンピテンシーどちらも伸ばすことが大切だと考えています。
中央大学では、- コミュニケーション力
- 問題解決力
- 知識獲得力
- 組織的行動力
- 創造力
- 自己実現力
- 多様性創発力
といった7つのカテゴリーと31のキーワードを設定して、学生が自主的にコンピテンシーの向上に努めています。
学生生活でコンピテンシー診断を繰り返すことで、自身の潜在能力を把握しどのような企業や分野で活躍できるのかも自覚できるようになるのです。
また中央大学の公式サイトでは、OB・OGがどのようにしてコンピテンシーを発掘していったのか事例を紹介しています。関東学園大学「コンピテンシー育成プログラム」
群馬県太田市にある関東学園大学では「コンピテンシー育成プログラム」を導入しています。
関東学園大学では、- リーダーシップ
- 表現力
- 人との交流/協業
- 主体性/積極性
- 職業観、社会への関心
- 論理的思考力
といった6つのコンピテンシーを定めて、随時担任とそれぞれのコンピテンシーレベルにあわせて目標を設定します。そして年度の終了時に次年度の目標や計画の相談しながら、自身のコンピテンシーを伸ばしていくのです。
実際に、関東学園大学卒業生を採用している企業からも、彼らの積極性やリーダーシップに可能性を感じていると評価されています。
これらの取り組みを見ても、社会人になる前からコンピテンシーを重要視しているのが分かります。将来的に、企業を支える若者たちが自身のコンピテンシーを伸ばして企業を選ぶ時代が来ると言っても過言ではありません。
また、企業が感覚や学歴だけではなく、コンピテンシーといった公平な評価で採用や人事を行っているかどうかも求職者の志望動機につながる可能性も高まります。
したがって、企業側も自社のコンピテンシー分析や定期的な見直し、改善する必要があるでしょう。コンピテンシーの分析におすすめの「ミイダス」

ここでは、
従業員の行動や思考については、職務職能資格制度でも「やる気」や「意欲」などの項目で評価対象ではあります。しかし、その評価基準は上司や評価者による差が大きく、公平性を保つのは容易ではありません。
その点、コンピテンシー評価では「なぜそのコンピテンシーが評価されるのか」「どのレベルなら評価基準に達すると判断できるか」が明確となるため、より納得感の強い評価が実現できます。
【コンピテンシー評価とは?導入方法や評価項目を解説】
なお人事評価には、コンピテンシー評価のほかに、以下のような人材アセスメントツールも使用されます。
自社の人事評価制度を考える際には、これらの評価手法を上手に組み合わせることが大切です。評価の目的と測定したい項目を明確にし、最適なツールを利用してみましょう。
人事評価に利用できるアセスメントツールおよびコンピテンシー評価については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひご参考ください。
【アセスメントツールとは?5つの導入メリット・選び方の3つのポイントなどを完全解説】
例えば、中途採用を予定している部門において、実際に成果をあげている従業員のコンピテンシーを分析すれば、採用後も活躍する人材を見極めやすいでしょう。
また、新卒社員を採用する場合も、自社に定着した若手のコンピテンシーを評価基準に取り入れれば、定着しやすい人材の傾向が見えるはずです。
コンピテンシーを取り入れた採用面接では、以下のようなフレーズを使った構造化面接の形式を取ります。
【コンピテンシー面接とは?質問例も紹介】
【コンピテンシー面接を導入するには?マニュアルや流れを紹介】
【非構造化面接(自由面接)のメリット・デメリットとは?】
ただし、コンピテンシーを能力開発に活かす際は人事部門や上司が行動特性などを一方的に伝えるだけでは不十分でしょう。従業員が自ら「どうなりたいか?」を考え、納得してもらうことが大切です。
【コンピテンシーを人材育成に取り入れるメリットや導入方法、注意点を解説】
また、1on1の社内面談で評価をフィードバックする際に、コンピテンシーの項目に触れるのも効果的です。客観的な基準に基づいて公平に評価されていると分かれば、従業員との信頼関係の構築につながるでしょう。
例えば、現チームで意思決定に参加できていない人材には、配属チームを変えるなどの方法もあります。また、現在の部門で期待した成果をあげられていない人材についても、本人のスキル不足なのか、部門と本人の特性が合っていないのかを客観的に判断できます。
従業員のコンピテンシーを把握することで、適材適所の配置や最適な仕事の割り振りが可能となるのです。加えて、リーダーを任せたい人材が本当にそのポジションに適しているかも見極めやすくなるでしょう。
コンピテンシーによる適材適所の人材活用、昇格アセスメントおよびコンピテンシーを用いた人事評価については、以下の記事をご参照ください。
【アセスメントを活用してくすぶり人材を活躍人材に】
【昇格アセスメントを取り入れた人事評価が重要!従来の見極め方法の欠点は?】

- 導入目標がないと成功しない
- コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
- 定期的な振り返りと改善が必要
導入目標がないと成功しない
- コンピテンシー導入で何を改善したいか
- どのような手段であれば、自社でも無理なく導入できるか など
コンピテンシーを効果的に活用するには、明確な導入目標が求められるのです。
コンピテンシーの項目設定に手間と時間がかかる
しかし、部署や役職別にヒアリングを行うと、何人もの対象を調査・分析することになります。また、人によっては自分が高い成果を上げられる理由をうまく言語化できない場合もあります。
そのため、コンピテンシーを導入して人事評価や採用などの精度を上げるには、ヒアリングや分析だけで多くの時間がかかるでしょう。
定期的な振り返りと改善が必要
これと同様の大きな変化は、今後も起こる可能性が高いでしょう。例えば、コロナ禍でのテレワークの導入や副業解禁などの流れで、現在の評価基準も見直す必要が出てきています。
また、企業のいる市況自体が、時代の変化で大きく変わる可能性もあります。コンピテンシーは導入して終わりではなく、定期的な見直しや改善が求められるものなのです。
コンピテンシーを導入する流れ
コンピテンシーを導入したい場合、どのような流れで行えば良いのでしょうか?
『ミイダス』のようなコンピテンシー診断ツールを使わずに、自社でイチからコンピテンシーを導入する場合は、以下のような流れになります。- 社内のハイパフォーマーを選定し、ヒアリングを行う
- コンピテンシーモデルを作成する
- 評価基準を作成する
- 実務にコンピテンシーモデルを導入する
- コンピテンシーモデルの評価と改善
コンピテンシーモデルとは?
コンピテンシーを活用する際、まず行うべきなのはコンピテンシーモデルの作成です。
コンピテンシーモデルとは、自社のハイパフォーマーたちに共通するコンピテンシーをすべて備えた、架空の人物像です。「自社が理想とする従業員像」とも言い換えられます。
コンピテンシーモデルは主に以下の3つです。- 実在のハイパフォーマーを基にした「実在型モデル」
- 企業理念や経営戦略などを基にした「理想形モデル」
- 実在型と理想型それぞれのメリットを取り入れた「ハイブリット型モデル」
実在型モデル
実在型モデルを作成する際は、自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行います。自社で実際に活躍している人材から作成するため比較的取り入れやすく、従業員もモデルのイメージがしやすいでしょう。理想型モデル
理想型モデルは、企業理念や経営戦略に沿って作成します。例えば、他部署とうまく連携できるリーダーを理想とするならば、コンピテンシーモデルには「統率力がある」「人あたりがよい」などのコンピテンシーが含まれるでしょう。
一方で、自社の現状を考えずに高い理想像を掲げてしまう可能性があるため、注意が必要です。ハイブリッド型モデル
ハイブリッド型モデルは名の通り、実在型と理想型の良い部分を活用して作成するモデルです。まずは自社のハイパフォーマーたちからヒアリングを行い、実在型モデルを作成し、その後、自社が求める理想像をプラスします。
実在型モデルに比べて理想像があまりにもかけ離れてしまうと、コンピテンシーモデルを作成した意味がなくなるため気を付けましょう。
実在型モデルとハイブリッド型モデルに関しては、ハイパフォーマーたちにヒアリングが必要です。しかし、「なぜあなたは好業績をあげられるのですか?」と質問しても、本人がうまく言語化できるとは限りません。
そこで、調査するコンピテンシー項目にあらかじめ目星をつけておき、対象がそれらのコンピテンシーを持っているかを判断する形でヒアリングを進めます。この項目決めのときに活躍するのが『コンピテンシーディクショナリー』です。コンピテンシーディクショナリーとは?
コンピテンシーディクショナリーとは、ライル・M・スペンサーとシグネ・M・スペンサーが開発した、各職種に必要なコンピテンシーをまとめたものです。
以下の6つの領域に関して、コンピテンシー全20項目が設定されています。 コンピテンシー コンピテンシー項目 達成・行動 ・達成思考
・秩序、品質、正確性への関心
・イニシアチブ(率先力)
・情報収集 援助・対人支援 ・対人理解
・顧客支援方向 インパクト・対人影響力 ・影響力
・組織感覚
・関係の構築 管理領域 ・他者の育成
・指導力
・チームワークと協力
・チームリーダーシップ 知的領域 ・分析的思考
・概念的思考
・技術的、専門職的、管理的専門性 個人の効果性 ・自己管理
・自信
・柔軟性
・組織コミットメント
上記のコンピテンシーディクショナリーを参考に、ハイパフォーマーの思考プロセスを分析し、共通するコンピテンシーを抽出します。
とはいえ、コンピテンシー項目は「必ずこれを使うべき」といった決まった型式はありません。自社の状況に応じて項目を追加・選択しましょう。ジョブ型雇用の広がりで従業員もコンピテンシーを意識

ここまで、企業側の視点からコンピテンシーについて解説してきました。しかし、コンピテンシーは決して企業にだけメリットがあるわけではありません。
近年では、従業員も自身のキャリアを考えるうえでコンピテンシーを意識しつつあります。
2021年に『転職2.0』(村上臣 著)という書籍が発売され、話題となったのをご存知でしょうか。こちらの動画で語られているように、ジョブ型雇用の広がりによって個人が主体的にキャリアを考える時代が始まっています。転職が当たり前になる時代を迎える前に、企業側も従業員の意識の変化を把握しておく必要があります。
ここでは、次の視点で従業員側から見たコンピテンシーの重要性を解説します。- メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
- 個人のキャリアに対する意識の変化
- 転職が当然だからこそ適材適所が重要
メンバーシップ雇用とジョブ型雇用の違い
日本企業の多くは、メンバーシップ雇用を中心としてきました。しかし、近年は海外のようなジョブ型雇用を導入する企業が増えています。
簡単にそれぞれの雇用について把握しておきましょう。 雇用の種類 概要 メンバーシップ雇用 企業側は業務内容や勤務地を決めずに採用し、その後に勤務地と業務を割り当てる雇用システム ジョブ型雇用 勤務地や業務内容、雇用条件を明確にて採用し、従業員は事前に合意した職務で働く雇用システム
日本企業においては、新卒採用はメンバーシップ雇用、中途採用はジョブ型雇用を採用しているケースが多いでしょう。
ジョブ型雇用では、企業は職務(ジョブ)をベースにマッチする人材を探し、採用される側も転職を前提に企業でキャリア形成をします。コンピテンシーは企業が人材を採用する際に役立ちますが、採用される側からしても、自身のコンピテンシーに合った企業で働けることはキャリアにプラスになるのです。個人のキャリアに対する意識の変化
『転職2.0』では、自身のキャリアを以下の5つのカテゴリーで分析する考え方が提示されています。- ポジション(役割)
- スキル
- 業種
- 経験
- コンピテンシー
つまり、5つのカテゴリーを掛け合わせて市場価値を高め、転職や就職を成功させようというわけです。
コンピテンシーを意識した求職活動が従業員側に広まりつつあるなかで、企業側としてもコンピテンシーを無視してジョブ型雇用を進めるのは難しいと言えるでしょう。転職が当然だからこそ適材適所が重要
適材適所の人員配置は組織力向上につながります。
しかし、ジョブ型雇用が広まり転職が当たり前になれば、従業員の望まない配置転換は離職につながる恐れがあります。異動を伝える際は、従業員のキャリア形成にプラスに働くという説明がより重要になるのです。
その際、コンピテンシー診断などのアセスメント結果を提示できれば、納得してもらいやすくなります。学問の場でもコンピテンシーが導入されつつあるコンピテンシーは企業だけにとどまらず、大学でも積極的に活用されています。大学といえばそれぞれが興味のある分野を勉強する場ですが、社会に出ると学力だけではなく、コミュニケーション力や行動力も求められるでしょう。
加えて、ポテンシャル(潜在能力)を重視する企業も増えています。そのため、大学によっては学生のうちから自身のコンピテンシーを把握させ、社会で活躍できる能力を養わせたいと考えているのです。
ここでは、2つの大学の事例を紹介します。中央大学「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」
中央大学では、「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」という学修プログラムを行っています。長い間通う大学生活のなかで、知性だけではなくコンピテンシーどちらも伸ばすことが大切だと考えています。
中央大学では、- コミュニケーション力
- 問題解決力
- 知識獲得力
- 組織的行動力
- 創造力
- 自己実現力
- 多様性創発力
といった7つのカテゴリーと31のキーワードを設定して、学生が自主的にコンピテンシーの向上に努めています。
学生生活でコンピテンシー診断を繰り返すことで、自身の潜在能力を把握しどのような企業や分野で活躍できるのかも自覚できるようになるのです。
また中央大学の公式サイトでは、OB・OGがどのようにしてコンピテンシーを発掘していったのか事例を紹介しています。関東学園大学「コンピテンシー育成プログラム」
群馬県太田市にある関東学園大学では「コンピテンシー育成プログラム」を導入しています。
関東学園大学では、- リーダーシップ
- 表現力
- 人との交流/協業
- 主体性/積極性
- 職業観、社会への関心
- 論理的思考力
といった6つのコンピテンシーを定めて、随時担任とそれぞれのコンピテンシーレベルにあわせて目標を設定します。そして年度の終了時に次年度の目標や計画の相談しながら、自身のコンピテンシーを伸ばしていくのです。
実際に、関東学園大学卒業生を採用している企業からも、彼らの積極性やリーダーシップに可能性を感じていると評価されています。
これらの取り組みを見ても、社会人になる前からコンピテンシーを重要視しているのが分かります。将来的に、企業を支える若者たちが自身のコンピテンシーを伸ばして企業を選ぶ時代が来ると言っても過言ではありません。
また、企業が感覚や学歴だけではなく、コンピテンシーといった公平な評価で採用や人事を行っているかどうかも求職者の志望動機につながる可能性も高まります。
したがって、企業側も自社のコンピテンシー分析や定期的な見直し、改善する必要があるでしょう。コンピテンシーの分析におすすめの「ミイダス」

『ミイダス』のようなコンピテンシー診断ツールを使わずに、自社でイチからコンピテンシーを導入する場合は、以下のような流れになります。
コンピテンシーモデルとは、自社のハイパフォーマーたちに共通するコンピテンシーをすべて備えた、架空の人物像です。「自社が理想とする従業員像」とも言い換えられます。
コンピテンシーモデルは主に以下の3つです。
一方で、自社の現状を考えずに高い理想像を掲げてしまう可能性があるため、注意が必要です。
実在型モデルに比べて理想像があまりにもかけ離れてしまうと、コンピテンシーモデルを作成した意味がなくなるため気を付けましょう。
実在型モデルとハイブリッド型モデルに関しては、ハイパフォーマーたちにヒアリングが必要です。しかし、「なぜあなたは好業績をあげられるのですか?」と質問しても、本人がうまく言語化できるとは限りません。
そこで、調査するコンピテンシー項目にあらかじめ目星をつけておき、対象がそれらのコンピテンシーを持っているかを判断する形でヒアリングを進めます。この項目決めのときに活躍するのが『コンピテンシーディクショナリー』です。
以下の6つの領域に関して、コンピテンシー全20項目が設定されています。
コンピテンシー | コンピテンシー項目 |
達成・行動 | ・達成思考 ・秩序、品質、正確性への関心 ・イニシアチブ(率先力) ・情報収集 |
援助・対人支援 | ・対人理解 ・顧客支援方向 |
インパクト・対人影響力 | ・影響力 ・組織感覚 ・関係の構築 |
管理領域 | ・他者の育成 ・指導力 ・チームワークと協力 ・チームリーダーシップ |
知的領域 | ・分析的思考 ・概念的思考 ・技術的、専門職的、管理的専門性 |
個人の効果性 | ・自己管理 ・自信 ・柔軟性 ・組織コミットメント |
とはいえ、コンピテンシー項目は「必ずこれを使うべき」といった決まった型式はありません。自社の状況に応じて項目を追加・選択しましょう。

近年では、従業員も自身のキャリアを考えるうえでコンピテンシーを意識しつつあります。
2021年に『転職2.0』(村上臣 著)という書籍が発売され、話題となったのをご存知でしょうか。こちらの動画で語られているように、ジョブ型雇用の広がりによって個人が主体的にキャリアを考える時代が始まっています。
ここでは、次の視点で従業員側から見たコンピテンシーの重要性を解説します。
簡単にそれぞれの雇用について把握しておきましょう。
雇用の種類 | 概要 |
メンバーシップ雇用 | 企業側は業務内容や勤務地を決めずに採用し、その後に勤務地と業務を割り当てる雇用システム |
ジョブ型雇用 | 勤務地や業務内容、雇用条件を明確にて採用し、従業員は事前に合意した職務で働く雇用システム |
ジョブ型雇用では、企業は職務(ジョブ)をベースにマッチする人材を探し、採用される側も転職を前提に企業でキャリア形成をします。コンピテンシーは企業が人材を採用する際に役立ちますが、採用される側からしても、自身のコンピテンシーに合った企業で働けることはキャリアにプラスになるのです。
コンピテンシーを意識した求職活動が従業員側に広まりつつあるなかで、企業側としてもコンピテンシーを無視してジョブ型雇用を進めるのは難しいと言えるでしょう。
しかし、ジョブ型雇用が広まり転職が当たり前になれば、従業員の望まない配置転換は離職につながる恐れがあります。異動を伝える際は、従業員のキャリア形成にプラスに働くという説明がより重要になるのです。
その際、コンピテンシー診断などのアセスメント結果を提示できれば、納得してもらいやすくなります。
加えて、ポテンシャル(潜在能力)を重視する企業も増えています。そのため、大学によっては学生のうちから自身のコンピテンシーを把握させ、社会で活躍できる能力を養わせたいと考えているのです。
ここでは、2つの大学の事例を紹介します。
中央大学「知性(専門的技術)」×「行動特性(コンピテンシー)」
中央大学では、
- コミュニケーション力
- 問題解決力
- 知識獲得力
- 組織的行動力
- 創造力
- 自己実現力
- 多様性創発力
学生生活でコンピテンシー診断を繰り返すことで、自身の潜在能力を把握しどのような企業や分野で活躍できるのかも自覚できるようになるのです。
また中央大学の公式サイトでは、OB・OGがどのようにしてコンピテンシーを発掘していったのか事例を紹介しています。
関東学園大学「コンピテンシー育成プログラム」
関東学園大学では、
- リーダーシップ
- 表現力
- 人との交流/協業
- 主体性/積極性
- 職業観、社会への関心
- 論理的思考力
実際に、関東学園大学卒業生を採用している企業からも、彼らの積極性やリーダーシップに可能性を感じていると評価されています。
これらの取り組みを見ても、社会人になる前からコンピテンシーを重要視しているのが分かります。将来的に、企業を支える若者たちが自身のコンピテンシーを伸ばして企業を選ぶ時代が来ると言っても過言ではありません。
また、企業が感覚や学歴だけではなく、コンピテンシーといった公平な評価で採用や人事を行っているかどうかも求職者の志望動機につながる可能性も高まります。
したがって、企業側も自社のコンピテンシー分析や定期的な見直し、改善する必要があるでしょう。
コンピテンシーの分析におすすめの「ミイダス」

コンピテンシー項目 | コンピテンシー定義 |
ヴァイタリティ | 活動的 行動することで生き生きとする。常に忙しくしていたい。 やるべきことが沢山ある状態を楽しいと思う
勝ちたいと思う。競争を楽しみ、負けることを嫌う |
人あたり | 社会性 初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる 面倒み 他人に共感でき、思いやりがある。世話好きで他人の個人的な問題にも支援を惜しまない |
チームワーク | 社会性 初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる 協議性 広く相談し、他の人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない |
創造的思考力 | 創造的 新しいアイデアを生み出す。新しいものを作り上げることを好む。独創的な解決法を考える 概念性 理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う |
問題解決力 | データへの関心 数字を扱うことが好きで統計データを分析することを楽しむ。事実や数字に基づいて判断する 概念性 理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う |
状況適応力 | 社会性 初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる 人間への関心 人の行動や動機を理解しようとする。人を分析することを楽しむ |
プレッシャーへの耐力 | 余裕 リラックスできる。あまり緊張しない。概ね冷静で落ち着いている タフ あまり他人の言動で傷ついたりしない。侮辱を聞き流せる。自分への批判に対して鈍感である |
オーガナイズ能力 | 先見性 長期的な味方をする。将来の目標を設定し、戦略的に考える 緻密 物事の細部に目がいく。物事を順序立てて系統的に処理することを好む。細部にとらわれすぎることがある |
統率力 | 指導性 リーダーとなって指揮を取り、何をすべきか人に指示する。主導権を取ることを好む 協議性 広く相談し、他の人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない |
「ミイダス」を採用活動で使う際には、自社の従業員を基に採用基準の要件定義が可能です。
また、「ミイダス」には多くの求職者(転職希望者)が登録しており、1,733もの項目を使って自社にフィットする人材の検索も行えます。さらに検索した条件を保存すれば、条件に合致する新規対象者に自動でアプローチできる機能もあり、採用活動の効率化にも役立ちます。
【ミイダスサービス概要資料】
【ミイダス導入事例】
ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。
まずは無料トライアルをお試しください。
アカウントを登録して「コンピテンシー診断」を利用する※アカウントの登録及びご登録後のご利用は無料です。
ミイダスを導入した企業事例最後に、ミイダスのコンピテンシー診断を導入した企業を3社紹介します。コンピテンシー診断は業種問わずさまざまなシーンで活用できます。コンピテンシー診断の導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。コンピテンシー診断で定着率アップ!有限会社ベース様
青森県八戸市に拠点を置く有限会社ベース様は、介護事業を展開しています。ミイダスを導入する前から応募者の数に関しては良好でしたが、入社後の定着率が上がらず悩んでいたそうです。
定着率の悪さは入社前後のミスマッチが原因ではないかと考え、求職者のパーソナリティやストレス耐性などが把握できるミイダスのコンピテンシー診断を導入しました。求職者のデータの可視化や企業から気になる人材にアプローチできる「スカウト機能」によって、入社後の定着率だけではなく、採用にかける時間や手間も省けるのも魅力的だと言います。
【有限会社ベース様の詳しい導入事例はこちら】自社にフィットする未経験者と出会いたい。株式会社エコリース様
徳島県板野郡に本社を置く株式会社エコリース様は、プレハブ施設の電気や空調、防災などのサービスを行っている企業です。今までは、ハローワークやWebの求人広告を活用していましたが、企業側からスカウトはできず応募者を待つことしかできなかったと言います。
一方でミイダスは登録者の情報が確認できるため、自社が欲しい人材に直接スカウトが可能。また現在は中長期を見据えて、未経験者でもコンピテンシーやパーソナリティが自社の理念に合った人材を採用したいと考えているそうです。
現在は社員のコンピテンシー診断を順次進めているそうですが、社員が持つストレス要因に関して新しい発見があったといいます。今後はコンピテンシー診断を経て、ストレスを軽減できる組織作りを目指すとのことです。
【株式会社エコリース様の詳しい導入事例はこちら】社長もミイダスのコンピテンシー診断を高評価!日本ハイボルテージケーブル株式会社様
日本ハイボルテージケーブル株式会社様は、千葉県富津市を拠点に高電圧海底ケーブルを製造している外資系企業です。従業員には設備のメンテナンスや保善など高度なスキルが求められます。加えて多くの外国の方が在籍している職場のため、スムーズな英語が話せる人材を必要としていました。
また日本ハイボルテージケーブル株式会社様は、SPIDという後任者や個人の成長について評価・分析を行う制度を導入しています。SPIDとは、従業員の評価とともに「この人が離職したら会社にどのくらいの損失を与えるか」を示すリスクの管理データを指します。
今まではSPIDの評価を社員の感覚で判断していたそうですが、ミイダスを導入してから応募者のポテンシャルがデータとして確認できるようになりました。
さらに、マネージャーたちのコンピテンシー診断結果を確認したら「プレッシャーの耐力」の数値が高い人ばかりだったことが判明しました。社長や役員からもミイダスのコンピテンシー診断について高い評価を得ているそうです。
企業のリスク管理にもミイダスのコンピテンシー診断は活用できます。
【日本ハイボルテージケーブル株式会社様の詳しい導入事例はこちら】人材マネジメントにコンピテンシーを活用するコンピテンシーはハイパフォーマーに共通した行動特性や思考性であり、以下のシーンで活用できます。- 人事評価
- 採用・面接
- 社員教育・能力開発
- 組織マネジメント
人材マネジメントにコンピテンシーを活用することで、自社にフィットした人材の採用や、適材適所の人材配置による組織力強化を実現できます。
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定着率の悪さは入社前後のミスマッチが原因ではないかと考え、求職者のパーソナリティやストレス耐性などが把握できるミイダスのコンピテンシー診断を導入しました。求職者のデータの可視化や企業から気になる人材にアプローチできる「スカウト機能」によって、入社後の定着率だけではなく、採用にかける時間や手間も省けるのも魅力的だと言います。
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一方でミイダスは登録者の情報が確認できるため、自社が欲しい人材に直接スカウトが可能。また現在は中長期を見据えて、未経験者でもコンピテンシーやパーソナリティが自社の理念に合った人材を採用したいと考えているそうです。
現在は社員のコンピテンシー診断を順次進めているそうですが、社員が持つストレス要因に関して新しい発見があったといいます。今後はコンピテンシー診断を経て、ストレスを軽減できる組織作りを目指すとのことです。
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また日本ハイボルテージケーブル株式会社様は、SPIDという後任者や個人の成長について評価・分析を行う制度を導入しています。SPIDとは、従業員の評価とともに「この人が離職したら会社にどのくらいの損失を与えるか」を示すリスクの管理データを指します。
今まではSPIDの評価を社員の感覚で判断していたそうですが、ミイダスを導入してから応募者のポテンシャルがデータとして確認できるようになりました。
さらに、マネージャーたちのコンピテンシー診断結果を確認したら「プレッシャーの耐力」の数値が高い人ばかりだったことが判明しました。社長や役員からもミイダスのコンピテンシー診断について高い評価を得ているそうです。
企業のリスク管理にもミイダスのコンピテンシー診断は活用できます。
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