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採用

試用期間とは?設定方法と必要事項・解雇や労働契約上の注意点

履歴書や職務経歴書などの応募書類と複数回の面接だけでは、人材の適性や能力を正しく判断するのは難しいでしょう。実際に業務を任せてみなければわからない部分が多いもの。

そこで有効なのが、本採用までに一定期間を設けて人材を見極める「試用期間」の導入です。試用期間は、企業側・求職者側のミスマッチを回避し、人材の定着にもつながりやすくなることがメリットです。

反面、試用期間の対応によってはトラブルに発展するリスクがあるため、事前に知っておくべき法的な注意事項もあります。

この記事では、試用期間の設定方法や解雇時の注意点などを詳しく解説します。記事後半では、試用期間後の人材の退職やミスマッチの防止策も紹介していますので、スムーズな試用期間の実現に役立つでしょう。

なお、ミスマッチを防ぐ採用選考について知りたい方は、こちらの記事もぜひご覧ください。

【関連記事:優秀な人材の特徴と見極め方とは?採用担当が面接で失敗しないポイント

また、自社にフィットし定着する人材を採用したい方は、以下の成功手法についてのお役立ち資料や、アセスメントツールとして話題の「コンピテンシー診断」の解説記事もぜひご活用ください。

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【関連記事: コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説

試用期間とは?詳細を解説

就業規則
まずは試用期間の概要を確認しましょう。試用期間について、以下の項目を解説します。
  • 目的
  • 一般的な期間
  • 雇用契約の有無
  • 対象者
試用期間の基本的な意味を知ることで有効な試用期間を設けられ、人材の活躍や定着を実現できるでしょう。

試用期間を本採用前に設ける目的

試用期間とは「人柄や能力、適性を評価するために一定期間設けられる、本採用するかどうかを決定するための期間」です。

選考を経て採用しても、その日から活躍が約束されているとは言い難いでしょう。そのため、入社してからもしばらくの間、相互にマッチングを確かめるために試用期間が設定されます。

実際に、採用した従業員に対して試用期間を設ける企業の割合は87.4%にものぼり、多くの企業が導入しています。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「従業員の採用と退職に関する実態調査
-労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ)-」

試用期間の期間は「3か月~6か月程度」が一般的

期間はそれぞれの会社の就業規則上で定められます。したがって、試用期間の長さに法的な定めはありません。

期間は「6か月以内」であることが一般的で、多くの場合は「3か月」以内です。会社によって異なりますが、見極めにはある程度の期間が必要と言えます。

ただし、従業員にとっては本採用されるかどうかの不安定な期間であり、試用期間が1年~2年と長すぎると不安につながります。人材の離職や求職者から避けられるなどのリスクがあるため、適切な期間を設定することが重要です。

試用期間中も雇用契約は成立

雇用契約は、試用期間中であっても成立しています。雇用契約は口頭でも結ぶことが可能で、契約書の交付が義務付けられているわけではありません。しかし、労働条件を巡ってトラブルになるのを避けるために契約書を交わすことがほとんどです。

試用期間中の雇用契約は、正社員の契約と同様に、就業規則や雇用契約書を取り交わして行います。

よって試用期間は「まだ採用選考中である」という位置づけではありません。

なお、試用期間中は解約(解雇)する権利を留保している状態で「解約権留保付労働契約」と理解されています。

参考となる判例:三菱樹脂事件 最大判昭48.12.12 民集27-11-1536

ただし、明らかに自社にマッチしない人を「試用期間だから」と安易に採用してかまわないものではありません。「自社に合わなければ、試用期間後に解雇すればいい」と安易に導入すると、トラブルが発生するリスクがあります。

選考プロセスで見抜ける人材の適性や資質は慎重に評価し、継続して勤務することを前提で採用した人材に試用期間を設けることが求められます。

試用期間は正社員以外(パート・アルバイト)も対象

試用期間は、新卒採用・中途採用どちらの場合にも適用できます。また、正社員だけではなく、契約社員やパート、アルバイトといった雇用形態でも試用期間の設定が可能です。

ここで気を付けるべきは、試用期間は「一つの雇用形態における最初の一定期間」です。したがって「試用期間の〇か月は契約社員、本採用後は正社員」といった契約は一つの契約ではできません。

期間の決められた契約社員として雇用したあと、正社員に登用する制度を設けたい場合は、最初の契約期間終了後に別契約として正社員の雇用契約を結ぶことになります。

よって、求人票の備考欄などには「契約社員としての雇用期間で適性を見極め、契約終了後に本人希望と実績に応じて正社員登用を検討」のように記載することが重要です。

なお、求人票に書くべき内容や書いてはいけない内容、効果的な書き方などは下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:求人票の書き方とは?効果的な作成方法や必須項目などを解説

試用期間中の労働条件は基本的に同じ

試用期間中でも、労働条件は本採用後と同じに設定しているケースが多い印象です。しかし中には、試用期間中の給与を低く設定している企業もあります。

実は、試用期間と本採用後で待遇を変えることは可能です。ただし試用期間中の労働条件と、本採用後の労働条件をそれぞれ明示する必要があります。

最低賃金を下回らなければ、企業側は自由に試用期間中の給与を設定できます。また都道府県労働局長の許可を得られれば、限度はありますが、最低賃金以下の給与設定も可能です。

しかし、試用期間中だけとはいえ著しく低い給与体系を設定してしまうと応募者が少なくなりかねません。よほどの理由がなければ、試用期間中でも労働条件は本採用後と同じにしておいたほうが良いでしょう。

研修期間とは違う?試用期間と似ている言葉

試用期間に研修を受ける新入社員
試用期間は、労働基準法など法律上の文言では「試みの使用期間」という言い回しが用いられることがあります。試みの使用期間とは、解雇予告期間をおかず即時解雇が可能な期間で、入社後14日間です。

一方で、試用期間と似た意味の言葉が日常用語には複数存在します。

例えば、次のような言葉です。
  • 仮採用
  • 研修期間
  • 見習い期間
  • インターン
  • トライアル雇用
これらの言葉と試用期間の違いを確認しましょう。

【仮採用】

「本採用」と対照的な意味で使われる「仮採用」は、試用期間と同じ意味で用いられることもあります。一方で「採用すること自体が仮決定である」という意味合いで用いられることもあります。ただし、内定・内々定後、雇用契約を結ぶまでの期間に研修や追加の課題を出されるなどが雇用契約を結ぶ前にある場合は、試用期間とはいえません。

【研修期間】

研修期間とは、多くの場合「入社後、現場で独り立ちする前にトレーニングする期間」を指します。例えば、接客対応や営業活動を単独で行うのではなく、先輩について学び、指導を受ける期間がこれにあたります。業務に必要なスキルや知識を取得させることが主な目的です。

一方で、独り立ちをしていても試用期間はあります。試用期間は会社とのマッチングを確かめる期間であり、研修期間のように人材を教育する期間ではないのです。

【見習い期間】

見習い期間とは、研修期間とほぼ同義で「業務に必要な知識や技術を身につけるために設けられる期間」です。業界・業種によっては雇用契約の有無にかかわらず「見習い」という言葉を使うことがあります。例えば職場で学生実習が行われるとき、お客様に対して「見習いです」と説明する場面などです。

【インターン】

インターンとは「就業体験」のことです。学生が社会経験や業界研究の目的で行う場合や、社会人であっても未経験の業界を知るために行うことがあります。

インターンで雇用契約を結ぶ場合は、継続雇用を前提としないことがほとんどです。試用期間との違いは、継続して勤めてもらう前提の有無です。

【トライアル雇用】

トライアル雇用とは「ハローワーク等が紹介した求職者を原則3か月間雇用し、適性や能力を見極めたのち、正式に雇用する仕組みのこと」です。試用期間と違うのが以下の3点です。
  • 期間が限定されていること
  • 条件を満たせば助成金が受け取れること
  • 雇用を継続する義務がないこと
トライアル雇用は国(厚生労働省)が提供している制度であり、条件に適合すれば助成金を享受できます。また、試用期間と異なり、本採用が前提ではなく、トライアル雇用期間終了時に継続の有無を判断します。

トライアル雇用の仕組みや助成金、活用事例については以下の記事で解説していますので、違いをより理解したい方はぜひご覧ください。

【関連記事:トライアル雇用とは?試用期間との違いやトライアル雇用助成金の要件も解説

試用期間を設ける2つのメリット

試用期間に指導を受けるビジネスパーソン達
試用期間を設ける主なメリットは、大きく分けて以下の2つです。
1. 採用ミスマッチの回避につながる
2. 試用期間終了後の人材配置がしやすい

【メリット1】採用ミスマッチの回避につながる

試用期間を設けることで「採用ミスマッチ」のリスクを回避し、採用後の定着にもつながる可能性が高くなります。採用ミスマッチとは、企業と求職者との間で起こる認識の違いを指します。採用ミスマッチの防止こそ、試用期間の最大の目的であり、メリットといえるでしょう。

採用ミスマッチや防止策については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事:採用ミスマッチを防ぐにはどうすればいい?対策や導入事例を詳しく

応募書類や面接だけで、求職者のパーソナリティや能力を的確に判断することは困難です。自社の社風や既存社員との相性などは、実際に働いてみなければわからないことも多いでしょう。

試用期間を設けることで、
  • 会社側:「本採用しても問題ないか?」
  • 求職者側:「この会社で問題なく働き続けられるか?」
の最終判断ができ、採用後のミスマッチが減らせます。もし、自社に適合しない正当な理由がある場合、入社後14日以内なら即時解雇が可能です(ただし、試用期間中の解雇には注意点もあるため、後述しています)。

【メリット2】試用期間終了後の人材配置がしやすい

試用期間中の実務を通じて、従業員のより詳細な適性や意向を知ることが可能です。そのため、効果的に本採用後の人材配置や業務分担がしやすくなることも大きなメリットと言えるでしょう。

例えば、業務における作業のスピードやコミュニケーションのとり方、提案の内容などには、本人が面接でアピールできていない特徴が現れることもあります。

こうした実務でなければ把握しにくい人材の特徴を配属前に知ることで、人材の強みが発揮できる適材適所が実現しやすくなります。すると自社への定着につながり、早期離職の防止も期待できるでしょう。

なお、適材適所の人材配置の重要性や具体的な手順については、以下記事で詳しく解説しています。適材適所には生産性向上や人件費のコスト削減にもつながるメリットもあるため、人事担当者はぜひ知っておきたい内容です。

【関連記事:適材適所の採用・人材配置とは?メリットとデメリット、実現方法を解説

試用期間を設けるデメリットは?抱えがちな4つの課題

試用期間を設けるデメリットを考えるビジネスマン
先述したように、試用期間にはメリットがある一方、デメリットも存在します。試用期間の際、人事サイドが抱えがちな主な課題を4つ解説します。
1. 人材の適性や資質の見極めが難しい
2. 本採用までの採用工数・コストが発生する
3. 本採用辞退(退職)のリスクが発生する
4. 能力不足を改善させるための伝え方(対応)が難しい
特に3つ目の「本採用辞退(退職)のリスクが発生する」は、企業側が試用期間を設ける前に知っておきたいリスクです。

【課題1】人材の適性や資質の見極めが難しい

1つ目の課題は「従業員の適性や資質の正しい見極めができない可能性があること」です。約3か月~6か月という限られた試用期間の中で、的確に従業員を見極められるかどうかは、評価者によると言えます。

例えば、評価者の主観や感覚・好みなどで「こういう考え方の傾向があるかも」「試用期間では行っていないが、多分あの業務も向いているだろう」と根拠がない判断・評価をする可能性もあります。すると、適性がなかった場合は生産性低下やモチベーション低下につながってしまうリスクがあるでしょう。

また、試用期間中に取り組んだ業務の様子のみで判断すると、そのほかの業務の適性やポテンシャルなどを見落とすケースも考えられます。

まずは社内で人材を見極める基準やポイントなどを明確にして、評価者が適切な評価を行える仕組みや社内教育などを実施することが重要です。

【課題2】本採用までの採用工数・コストが発生する

2つ目の課題は「本採用までに一定の時間や工数・コストが発生する」です。

試用期間を適切に見極めるには、人事担当者や上司・先輩社員などが、常に注意深く従業員の様子を観察する必要があります。教育のためのスケジュール管理やフローの構築なども欠かせません。既存業務もこなしながら、こうした見極めの実施は負担と言えます。

採用工数の概要やコスト削減に関しては、以下記事をご覧ください。

【関連記事:採用工数とは?見直せばコスト削減や採用成功につながる!

【課題3】本採用辞退(退職)のリスクが発生する

3つ目の課題は「本採用辞退(退職)のリスクがある」です。

試用期間中、従業員は「本採用の前」という不安定な状況に置かれます。そのため「無事に採用されるかわからない」「どのように評価されているのだろうか?」などの不安や悩みを抱えてしまいがちです。すると、不安からのモチベーションの低下につながることも考えられます。

また、試用期間は企業側が人材を見極める期間である一方、従業員側も「この会社でやっていけるかどうか?」を見極める期間です。

そのため、試用期間で上司や先輩の対応に不安や不満、不信感などを抱いた場合、試用期間後に本採用を辞退されるリスクがあります。よって、人事は試用期間中の既存社員の対応や教育フロー、適切なフィードバックなどが実施できる環境を作り、離職につながるリスクを抑えることが重要です。

【課題4】能力不足を改善させるための伝え方(対応)が難しい

4つ目の課題は「能力不足の従業員を改善させるための伝え方・対応が難しい」です。

試用期間中、従業員に勤務態度や能力面などで不足や改善点がある場合、適切に注意や完全策などを伝えなければなりません。自社に合わないからといって、正当な理由なく一方的な解雇はトラブルにつながるリスクがあるからです。そのため、改善を促す対応が企業には求められます。

しかし、従業員への伝え方(フィードバック)に注意しなければ、モチベーションの低下や関係性の悪化につながる可能性があります。すると先述したように「この上司とは合わないから、試用期間が終わったら辞めよう」「社風が合わないかも」と従業員から本採用を拒否されることにつながりかねません。

また、企業側もそうしたリスクを恐れて「どのような声かけが効果的かわからない」と上司や教育担当者がストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。すると、社内全体のモチベーション低下や自社にフィットした従業員に育たず、双方にマイナスな試用期間になる可能性があります。

試用期間を設定・記載する4つのポイントと注意点

書類を確認する人
試用期間を設ける際、期間の長さや試用期間中の待遇などを決めなければならない事項があります。

また、それらの条件を雇用契約書だけでなく、求人票や求人広告にも記載しなければなりません。試用期間開始前には、労働条件通知書兼雇入通知書などの書面に加えて説明を行い、会社側と労働者側での認識の一致を図ることが重要です。トラブル防止はもちろん、企業への信頼にもつながります。

ここでは、試用期間を設ける際に決めるべき4つの事項とポイントを解説します。

【試用期間のポイント1】長さ

試用期間の長さについて明確な法規定はなく、各企業で長さを決定します。試用期間を活用する場合は必ず、会社の就業規則などに規定をおきます。

長さを設定する際のポイントは、以下の通りです。
  • 期間は最大でも1年以内にする
  • 雇用形態を考慮する
冒頭で取り上げた独立行政法人労働政策研究・研修機構の「従業員の採用と退職に関する実態調査」によれば、正社員の試用期間の長さは、新卒・中途採用のいずれにおいても、「3か月程度」の割合が高く、次いで「6か月程度」となっています。

ただし、試用期間の長さの上限が決められていないからといって、無尽蔵に長い期間を設定することは問題があるとされています。雇用契約を結んでいても、試用期間が終わった状態と比べて労働者が不安定な状況におかれるからです。せっかく雇い入れた人材が「長期間不安定な状態のままであれば、転職しよう」と考えてしまうリスクがあります。

試用期間中の本人だけでなく、社内全体の従業員エンゲージメントにも影響し得ることなので、最大でも「1年以内」に設定するのが望ましいでしょう。

雇用形態によっても試用期間の長さは変わってきます。パートやアルバイトなど正社員以外の雇用形態では、正社員よりも業務や責任の範囲が狭くなります。そういった観点から、正社員以外の雇用形態においては、上記よりも短めの試用期間に設定されることがほとんどです。

また、どうしても従業員の見極めに期間が必要な場合は、試用期間を延長できることがあります。詳しくは後の章で解説します。

【試用期間のポイント2】給料(残業・手当・ボーナスなど)

試用期間だからといって、無給は違法です。試用期間の給料は、本採用時よりも低く設定できます。その際に注意する点は「最低賃金」です。

都道府県労働局長の許可を受ければ、個別に最低賃金の減額が認められていますが(減額率は最大20%、期間は6か月まで)、原則として「最低賃金以上の給料」を設定しなければなりません。

参考:厚生労働省「最低賃金制度の概要」
参考:厚生労働省「最低賃金の減額の特例許可申請について~ 「試の使用期間中の者」(最低賃金法第7条第2号) ~」

しかしながら、試用期間中とその後の給料に変化をつけていない場合も多いようです。実際に労働政策研究・研修機構の調査によれば、試用期間後の本採用での賃金の変化は、
  • 「昇給させる」:11.3%
  • 「手当などが増える」:24.0%
  • 「特に変化しない」:59.6%
という回答結果が出ています。つまり「賃金が上昇する、または手当が増える」とした企業は全体の約3割に留まり、賃金は「特に変化しない」企業は約5~6割となりました。

参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査-労働契約をめぐる実態に関する調査(Ⅰ)-」

また、試用期間中であっても、雇用契約を交わした労働者であることに変わりはないため、残業や深夜勤務があれば残業代や必要な手当を支払う必要があります。

なお、ボーナス(賞与)については、そもそも企業の側に支払う義務がありません。そのため、試用期間中にボーナスを支給しなくても違法にはなりません。ただし、労働契約書や就業規則等に「試用期間中はボーナスを支給しない」など、試用期間の待遇や条件は必ず明記・規定しておきましょう。

【試用期間のポイント3】各種保険(労働保険・社会保険)

各種保険についても、試用期間中だからといって扱いが変わるわけではありません。

労働保険(労災保険・雇用保険)や社会保険(健康保険・厚生年金)といった各種保険は、法で定められた強制加入の保険です。従業員の希望や雇用形態などで加入する・しないを決めるものではなく、従業員が加入要件を満たす場合は、必ず加入させる必要があります。

なお、加入手続きは労働者を雇う企業側が行います。加入する・しないの判断は雇用契約の内容や条件に加えて、その後の就労実態によって下されます。勤務途中であっても要件を満たせば加入、外れれば脱退の手続きが必要です。

【試用期間のポイント4】雇用形態

前章でも触れたように、試用期間中と後とでは雇用形態が変化しません。もしも「一定期間は有期雇用契約とし、その後正社員雇用を行いたい」と考える場合は、雇用形態が変わる際に再度、雇用契約書の取り交わしが必要です。

自社内で有期雇用契約から無期雇用契約に転換する場合だけでなく、紹介予定派遣の仕組みを活用して見極めを行い、会社に合いそうな人を自社で正式に採用するケースもみられます。

なお、有期雇用契約の更新に関しては、上限規制があります。試用期間はあくまで雇用契約期間中のことであり、試用期間中も上限の通算期間にカウントされる点には注意しましょう。

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試用期間が終了したあとの対応(本採用・延長)

荷物を運ぶ人
試用期間が終了した後の処理としては、原則として本採用になります。

ただ、なんらかの事情で試用期間中に人材の見極めができずに期間を延長するケースもあります。

ここでは、試用期間終了後の対応として
  • 試用期間後の本採用の実態
  • 本採用後の労務管理
  • 試用期間の延長
について解説します。

試用期間後の本採用の実態

試用期間は、採用を前提としています。そのため、試用期間後は原則として本採用するケースがほとんどです。

労働政策研究・研修機構の「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査」によると、試用期間終了後の本採用について「ここ5年間本採用しなかった事例はない」と回答した企業が58.0%、「企業側から本採用にしないことはない」と回答した企業が27.4%となりました。

この結果から、試用期間終了後に本採用に至るケースが多いと言えます。

本採用時の労務管理

基本的には、試用期間中と終了後とで労務管理の方法に差異はありません。試用期間中でも法定の労働者の権利が発生し、試用期間中の従業員を除外する規定がなければ、福利厚生の制度も適用されることになります。

例えば、有給休暇は法定の休暇であるため、試用期間中の勤務実績も考慮されて発生します。法定通りの付与であれば、有給休暇は「6か月間継続して勤務し全所定の労働日の8割以上出勤した労働者」に与えられます。この6か月の継続勤務は本採用からではなく「試用期間を含んだ雇い入れ日から起算」です。

したがって、3か月間の試用期間があった場合、本採用後3か月以降経てば、有給休暇は一般労働者と同様に10日間付与されます。

また、基本的には入社時点で各種保険等の加入手続きをしているため、本採用になったからといって、新たに手続きを要することはありません。

試用期間の延長は可能(ただし労働者本人の合意が必要)

試用期間の延長は可能です。法による制限はありませんが、基本的には以下のケースに該当する場合のみ有効です。違法やトラブルリスク回避のために知っておきましょう。
  • 就業規則や雇用契約書等に延長について明記してある
  • 事前に延長の可能性を伝えてある
  • 延長すべき正当な理由がある
  • 適切な期間の長さである
試用期間延長の可能性があることやその理由、期間について、就業規則などの書面と説明により「試用期間前に労働者本人の合意が得られている場合」に限られるのです。逆に、試用期間の開始時点で、延長の可能性などが明示されていなかった場合は、原則として認めるべきでないとされています。

とはいえ、双方の合意があり、延長に関して合理的で客観的な理由がある場合は試用期間開始時の明示有無に関わらず、延長が認められるケースもあります。試用期間は会社側が労働者を見極める期間であると同時に、労働者本人にとって「この会社で働き続けられるかどうか」を判断する期間でもあるからです。

例えば、従業員本人から「試用期間を延長してほしい」と申し出がなされる場合もあります。その場合は本人、配属現場の上司、人事担当者による面談の機会を設けて丁寧に話し合い、「どのような点に不安があるのか?どうすれば安心して働けるのか?」などを確認しましょう。

場合によっては早期離職の危険信号の可能性もあるため、注意が必要です。

不当解雇に注意!試用期間における解雇(本採用拒否)

解雇予告通知書のイメージ
試用期間中、正当な理由なく従業員を解雇することは原則としてできません。

解雇を実施する際には、留意すべき注意点やポイントがあります。ここでは試用期間での解雇について解説します。
  • 解雇(本採用拒否)には客観的合理性が必要
  • 解雇予告のタイミング
  • 解雇の通知方法
トラブル発生のリスクを回避するためにも、しっかり理解しましょう。

解雇(本採用拒否)には客観的合理性が必要

結論として、試用期間終了後に解雇(本採用拒否)できるケースもあります。ただし、一方的・不合理な解雇は認められません。

一般的に、試用期間中の解雇事由については「会社都合」や「社員として不適格と認められる」など、会社に特別な解雇権が就業規則や雇用契約等に明記されています。試用期間中や試用期間後における解雇に関する定めは、本採用後の解雇可能要件に比べると許容範囲は広く企業側の自由度は高いものです。

しかし、それでは労働者側が非常に不利な状況になってしまうため、双方にとって利益のバランスをどのように取るかが重要なポイントです。客観的に見て合理的であり、社会通念上相当であると認められる理由が解雇には必要となります。

合理的で社会通念上相当だと認められる理由には、次のようなものが挙げられます。
  • 勤怠実績が芳しくない場合
  • 心身の健康状態に問題があり業務遂行に困難が生じる場合
  • 経歴やスキルが採用選考で確認したものと相違があり、業務に差し障る場合
  • 適性や能力が実務にマッチしない場合
例えば、勤怠や健康などに問題がある場合や、経歴やスキルが面接時に聞いていた内容と異なり、業務遂行上困難である場合などは「解雇が妥当である」と判断されやすくなります。勤怠や健康状態、経歴や数値で測れるスキルなどは、それら自体が客観的な指標になりやすいからです。

試用期間中に適性や能力の不一致があると評価した場合も、本採用の拒否は可能です。ただし、この場合は一方的な本採用拒否ではなく、指導や注意など企業側の努力も求められます。そうした企業側の努力があったにもかかわらず、状況が改善されない場合は、解雇の客観的合理性が認められる可能性はあります。

解雇予告のタイミング

従業員を解雇する場合は。基本的に「30日前まで」の予告が必要です。また、解雇日の30日前を満たさない予告は「解雇予告手当」を支払う義務が発生します。

労働基準法では以下のように定められています。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
引用:労働基準法第20条1項
上記の解雇予告の規定が適用されるのは、試用開始から14日を超えて使用されている労働者に対しての解雇の場合です。試用開始から14日未満の場合は適用されません。

参考:厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」

解雇の通知方法

従業員を解雇する際は、解雇日や解雇通知を行った事実を証明する通知書を作成するのが望ましいと言えます。通知方法は法による定めはなく口頭でも可能ですが、トラブル発生を防止するために通知書を作成しましょう。

なお、解雇の通知書には以下の種類があります。
  • 解雇通知書:入社後14日以内に即時解雇する場合の通知書(予告の必要がないケース)
  • 解雇予告通知書:解雇前に予告する場合の通知書
該当するタイミングに合わせて作成します。

解雇予告通知書には以下の事項を記載しましょう。
▼解雇予告通知書に記載する項目
・解雇を通知する日
・解雇される従業員名
・従業員を解雇する会社名
・正式な解雇日
・解雇の理由
解雇とは、トラブルが発生しやすいケースと言えます。従業員から「不当解雇だ」と訴訟を提起されないためにも、必要な処理や注意点は必ず把握しておきましょう。

試用期間プログラムの組み立て方

新人指導の様子
実りのある試用期間にするには、本採用可否の判断に役立つ情報を事前に整理し、観察したい項目を決めて、必要な経験をしてもらうと良いでしょう。

配属先を決めてOJT(職場内訓練)として現場に委ねてしまうケースが多いものですが、どのような人物なのかわかり切っていない状態で任されてしまうと、配属現場に混乱をきたすことがあります。新しいメンバーを迎え入れることで現場が疲弊しないために、会社の実態に即して試用期間プログラムを組み立てておくのも一案です。

以下では、
  • 試用期間で人事担当者が確認すべき項目
  • 試用期間プログラムで人材を見極める4つのポイント
を解説します。

OJTのメリットや具体的な進め方について知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【関連記事:OJTとは?意味をわかりやすく解説!OFF-JTとの違いや研修の進め方など

また、適材適所の人材配置についてのお役立ち資料も、ぜひご活用ください。

【無料ダウンロード可】適切な人事異動・配置をするための方法とは

試用期間で人事担当者が確認すべき項目

試用期間中は、採用した人材が安定して勤続でき、戦力になるかを見極めるために、以下のことを重点的に確認しましょう。確認する重要度を3つに分けておくと、解雇(本採用拒否)をしなければならない場合の理由として正当であるか、判断しやすくなります。

【最重要項目】
  • 勤怠が安定しているかどうか
  • 選考中にアピールしていた内容に相違がないか
  • 経歴・業務経験を偽っていないか
  • 健康状態に大きな問題はないか
  • 職場のルールを守れるか
これらに問題がある場合は、解雇について検討する必要性が高まります。勤務実績や業務の最低限のスピードやスキルなど、客観的事実で判断できる内容なので、必ず確認しましょう。

【積極的に確認しておきたい項目】
  • スキルや適性が担当業務にマッチしているか
  • 職場のルールを理解しようとする姿勢があるか
  • 指摘されたことを改善しようとしているか
  • わからないことを質問し、手順や業務の内容を身につけているか
慣れない場に入り込み、新しいことを覚えるのにはある程度時間はかかりますが、いつまでも新人のままではいられません。業務を覚えて戦力になれるよう、必要な指導を受けながら自らも努力し、手順やスキルを向上させる様子があるかどうか観察しましょう。

【人材定着のために確認したい項目】
  • コミュニケーションスタイル
  • 既存メンバーとの相性
  • 職場の文化を理解しようとする姿勢があるか
  • 会議等で有意義な提案をし、職場に利益をもたらせるか
これらは解雇事由としては不十分ですが、人材が定着するためには、スキルだけでは足りません。組織である以上、既存メンバーとのコミュニケーションは不可欠です。性格や気持ちの面でマッチングがかなわなければ、長期間にわたる活躍は期待できません。

部署内、社内の他者とどのようにかかわっているか、チームワークを高める人材であるか、可能な限り検討しましょう。

試用期間プログラムで人材を見極める4つのポイント

前項の確認しておきたい項目を踏まえて、試用期間プログラムを組み立てていきます。
その際、必要なことを最大限観察できるように、特に以下の4つのポイントに注意してプログラムを作りましょう。
1. 質疑応答・面談・フィードバックのための時間を設定する
2. 職場の全体像が把握できるようにする
3. 可能な限り多くのメンバーと触れ合うチャンスを設ける
4. 教育担当者の負荷を考慮する

1. 質疑応答・面談・フィードバックのための時間を設定する

最重要項目である従業員の観察がきちんと実施できるように、1on1ミーティングなどの面談をこまめに設ける必要があります。入社直後は1週間に1度程度と高頻度で面談することも少なくありません。人事担当者や上司、教育担当者などと気軽にコミュニケーションを取れる機会を保障しましょう。

社員間のコミュニケーションを円滑に保つと、こまめなフィードバックを行う機会にもなるため、不足しているスキルを補う効果も期待できます。教わる側、教える側ともに時間的余裕があるよう、職場全体で配慮しましょう。

なお、意義のある1on1ミーティングやフィードバックの方法やポイントを以下の記事で解説しています。ぜひご覧ください。

【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法
【関連記事:フィードバックとは?意味や重要性、効果的に実践するためのテクニックを紹介

2. 職場の全体像が把握できるようにする

職場の全体像が従業員に把握できるような取り組みをしましょう。

試用期間の従業員が社内に馴染み、性格や人柄なども見極めるには自社に安心感を抱いてもらうことも大切です。そのためには、社内の部署や役割などの全体像がわかる仕組みづくりを検討するとよいでしょう。
  • 誰がどの部署にいるか
  • 各部署が何をしているのか
  • 社内のどこに何があるのか
  • 各部署にはどんな人がいるのか
などがわかることで、試用期間中の従業員は安心感が高まります。例えば、組織図や社内の全体図の配布、自己紹介の機会を設ける、社内案内(見学)などを行うとよいかもしれません。自社にとって効果的な取り組みを考えてみましょう。

3. 可能な限り多くのメンバーと触れ合うチャンスを設ける

多くのメンバーと触れ合う機会を設けることも検討するとよいでしょう。従業員の協調性やコミュニケーションの特性や強み・弱みが判明することもあります。協調性やコミュニケーション能力は、どの仕事でも欠かせないスキルです。

例えば、ジョブローテーションや一定期間の他部署見学、先輩との同行やシャドウイングは比較的導入しやすいので、積極的に取り入れることをおすすめします。

なお、ビジネスにおける協調性やコミュニケーション能力や採用時の見極め方のポイントを以下の記事で解説しています。従業員の適性を図るためには、理解しておきたい内容です。

【関連記事:協調性とは?ビジネスで必要な理由やある人の特徴、面接で見抜く方法を解説
【関連記事:コミュニケーション能力とは?高い人の特徴・鍛え方と採用時の見極め方

4. 教育担当者の負荷を考慮する

試用期間中は、評価対象の従業員本人だけでなく、教育担当者のフォローも重要です。

教育担当者になるだけで業務の負荷がかかるもの。スキルや業務の成果だけでは推し量れないコミュニケーションの悩みや「どう教えればよいかわからない」などの不安に向き合う場として、人事担当者や上司が必ず話を聴き、問題がある場合は早期に解決するようにしましょう。

これらを踏まえて、試用期間中に本採用の可否を判断したり、人材配置を検討したりします。スキルや勤怠の実績だけでなく、相性や風土を考慮して慎重に決断しましょう。

試用期間でのトラブルや退職の防止方法

就業規則を指さす女性
ここまで、試用期間にはメリットもある反面、対策しておかなければトラブルや退職リスクにつながる可能性があることをお伝えしました。

こうしたトラブルやリスクを防止して、スムーズに試用期間を行うための方法をお伝えします。以下の点を注意し、安心して試用期間を設けましょう。
  • 試用期間の目的や詳細を契約書や就業規則に明記・共有する
  • 人材の勤務状態や指摘事項・経緯などを文書に記録する
  • 求人票に記載する仕事内容を具体的に書く
  • 試用期間中だからと不当な扱いをしない
  • 退職までの日数に関する就業規則を見直す
  • 人材の特徴を考慮した育成プログラムやフィードバックを実施する

試用期間の目的や詳細を契約書や就業規則に明記・共有する

試用期間の目的や期間、条件などの詳細は就業規則や雇用契約書、求人票などに必ず明記しましょう。「伝えた」「聞いていない」と認識のズレによるトラブル発生や違反を防止できます。

試用期間は、「〇年〇月〇日~〇年〇月〇日」のように具体的な期間を明示するか、「入社後〇か月」のように記載し、契約時に目的や待遇も十分に説明しましょう。

人材の勤務状態や指摘事項・経緯などを文書に記録する

もしも試用期間中に解雇したい従業員が出た場合、客観的な理由や証明が必要となります。
そのためには、試用期間中の勤務態度やフィードバック内容、教育担当者の意見、経緯などを記録しておくことが重要です。

万が一解雇の必要性が出た場合、客観的な証拠として有利になり、違法や不当解雇等のトラブルを回避できます。

求人票に記載する仕事内容を具体的に書く

試用期間中によくあるトラブルのひとつに「想像していた仕事内容と違った」ということが挙げられます。
  • チャレンジングな職場環境と聞いていたが、実際は風通しが悪かった
  • 自分のスキルや経験を活かせると聞いていたが、入社後は関係ない仕事ばかりさせられている
  • そもそも求人票に書かれていた仕事内容から想像できる業務との乖離が激しい
  • 「手厚い研修がある」と聞いていたのに、入社後はいきなり仕事を任されてフォローが一切なかった など
このような理由から、試用期間中に退職を考える人も一定数います。ネガティブなことをあえて求人票に記載する必要はありませんが、実際の仕事内容とかけ離れたことを書いてしまうと、入社後のミスマッチにつながりかねません。

求人票には入社後に任せる予定の業務を具体的に記載したり、面接の場で仕事内容について伝えておいたりすることが重要です。

試用期間中だからと不当な扱いをしない

試用期間中といっても従業員を雇用していることには変わりません。しかしなかには、下記のような不当な扱いをする企業も存在するようです。
  • 試用期間中の残業代を払わない
  • 条件を満たしているのに社会保険へ加入させない
  • 6か月以上勤務しているのに「試用期間中だから」と有給が付与されない など
上記のような対応をしてしまうと、従業員との間で大きなトラブルが発生しかねません。ルールを理解し、試用期間中といえども適切な対応を行いましょう。

退職までの日数に関する就業規則を見直す

試用期間中に、社員から退職の申し出を受ける場合もあるでしょう。就業規則に定めがない場合、2週間前までに退職の意思を会社に伝えれば社員は退職できます。

しかし会社によっては、2週間ではうまく引き継ぎができず、業務に悪影響が発生しかねません。そこでおすすめなのが、退職についてのルールを就業規則に盛り込むことです。

たとえば「退職1か月前までには会社へ退職の意思を伝える」といった内容を就業規則に盛り込むことで、企業としては余裕をもって新規採用や人事異動を行えます。

ただし「6か月前には退職の意思を伝えること」とあまりに長い期間を設定して働かせ続けたり退職を拒んだりすると、裁判で「違法」と判断される場合もあるようです。就業規則を改定する場合は、社労士や弁護士など、法律の専門家から意見を聞くことをおすすめします。

人材の特徴を考慮した育成プログラムやフィードバックを実施する

試用期間の対象となる従業員の特徴を考慮した育成プログラムや、指導・フィードバックを実施することも離職防止に有効と言えます。有効なフィードバックや指摘には、従業員が受け取りやすい伝え方やコミュニケーションが重要です。しかし、人には相性があるため、伝え方や受け取り方には違いや特徴があります。

もし教育担当者と新人の相性が悪い場合、人間関係の悪化や不安・不満につながりやすくなり、離職リスクが高まります。

そうした事態を防ぐには、入社選考時に人材の職務適性を把握するために実施する「適性検査」や「コンピテンシー診断(テスト)」などの結果を分析するのもおすすめです。人材の特徴やコミュニケーションの傾向を把握するヒントになるでしょう。

適性検査やコンピテンシー診断(テスト)の特徴や選び方、導入方法については、以下の記事で解説しています。

【関連記事:【適性検査とは?】30種類の検査の特徴と選び方を一挙解説
【関連記事:コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説
【関連記事:コンピテンシーテストとは?例題や無料診断ツール・導入のコツを紹介


それらの結果を踏まえて、人事担当者は実務を教える教育担当者と従業員の考え方や性格などを考慮して組み合わせるのも効果的です。

コミュニケーションが円滑になり、かつ適性にあったフィードバックや教育指導をすると「この会社で今後も働いていけそうだ」と安心し、離職防止できるでしょう。

「ミイダス」がミスマッチのない採用と人材配置を後押し

コンピテンシー診断の画面
試用期間はあくまで雇用契約を結んだ後のことです。採用選考の段階で明らかなミスマッチを排除できるに越したことはありません。とはいえ、応募書類や面接での精度の高い見極めは難しいものです。

そこでおすすめなのが、人材アセスメントツール「ミイダス」の活用です。

ミイダスには、自社にフィットする人材を採用するための機能が充実しています。また、試用期間中に人材配置のための見極めや効果的なフィードバック、円滑なコミュニケーションに役立ちます。

具体的には、ミイダスの以下の機能が採用や人材配置に有効です。

「コンピテンシー診断」で人材の特徴やコミュニケーション方法を把握

コンピテンシー診断の画像
ミイダスの「コンピテンシー診断」を受験してもらうことで、従業員の内面的な特徴をデータ化し、社内の実態を客観的に数値で把握できます。

具体的には、以下の5分野の適性や特徴の傾向を10段階の数値で細かく分析します。(全41項目)
  • マネジメント資質
  • パーソナリティの特徴
  • 職務適性
  • 上下関係適性
  • ストレス要因
これらを把握できることで、従業員が「どの部署に配置すると強みが活かされそうか?」「将来管理職やリーダー候補として期待できる資質はあるのか?」などを把握し、効果的な人材配置に役立てます。また、社内で活躍する人材である「ハイパフォーマー」の特徴がわかるため、自社にフィットする人材を特定できるのです。

【関連記事:ハイパフォーマーとは?特徴や分析方法、離職を防ぐ方法を徹底解説

これらの傾向は数値で可視化されるため、人事配置のわかりやすい評価基準となり、評価者の主観によるバラつきもなくなるでしょう。結果として、自社にフィットした人材の採用ができ、ミスマッチによる早期離職のリスク減につながります。

また、従業員の上司・部下のタイプも把握可能です。(下図参照)
ミイダスの上司・部下タイプの説明画像
従業員が上司または部下の立場になった場合の特徴がわかります。コミュニケーションの傾向もわかるため、フィードバックの際どのような伝え方や捉え方をするのかを予測できます。

また、上司・部下タイプから相性の良い・悪いの組み合わせも把握可能です。(下記の図参照)
ミイダスの上司・部下タイプの相性の組み合わせ図
既存社員にもコンピテンシー診断を受験してもらうことで、試用期間の教育担当者の「上司タイプ」と新人の「部下のタイプ」を考慮した適切な組み合わせがかないます。

試用期間の対象となる新人と相性の良い従業員を教育担当者として任命することで、有効な指導ができるほか、モチベーションの低下やコミュニケーションのズレによる離職防止に役立つでしょう。

「組織サーベイ」で試用期間中のモチベーションを把握

ミイダスの組織サーベイの画像
ミイダスの「組織サーベイ」は、従業員のモチベーションの把握に役立ちます。組織サーベイは、従業員に簡単なアンケートを実施して従業員のコンディションをグラフ化する機能です。

試用期間中の従業員は、慣れない環境や業務に加えて、本採用前という不安定な立場です。よって会社に素直に悩みや本心を話せる人がいないことも多く、不安や不満などを本人も無意識に抱えてしまうと考えられます。

試用期間での定期的な面談の際にこの組織サーベイを活用することで、従業員のモチベーションを確認しながらコミュニケーションを取ることが可能です。もしモチベーションが下がっている場合は、効果的なタイミングでフォローできるため、生産性の低下や離職の防止につながるでしょう。

ミイダス組織サーベイのお問い合わせはこちら

「バイアス診断ゲーム」で面接だけでは見抜けない資質を把握

ミイダスのバイアス診断ゲームの認知バイアスの説明画像
ミイダスでは「バイアス診断ゲーム」という、人材の思考のクセを把握できるゲームも提供しています。バイアスの項目は「現状維持」「衝動制御」などがあり、計22項目の分析が可能です。

コンピテンシー診断と組み合わせて実施することで、より人材の特徴を精度高く判断することが可能です。

採用選考において、面接だけでは見抜けない「バイアス」については、以下の記事をご覧ください。

【関連記事:採用面接を補うバイアス診断ゲームとは?面接だけで決めない中途採用が重要に!

トライ(体験入社)の実施や業務委託の募集も可能

またミイダスには、正社員だけではなく「トライ(体験入社)」や「スポット・レギュラー(業務委託・複業人材の採用)」という募集方法があるのも特徴です。
  • トライ(体験入社):選考中に求職者が実際に業務を体験できる応募方法
  • スポット:最短1時間から働くことのできる業務委託の雇用形態
  • レギュラー:数か月単位で稼働してもらう形態
実務を通じて見極めを行うという意味では、雇用契約締結後の試用期間に比べて、ミイダスのトライやスポット・レギュラーは会社にとっても労働者本人にとってもリスクが小さいといえます。


▼ミイダスの詳しい機能については、以下をご覧ください。

ミイダスの機能一覧を見る

なお、体験入社については、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事:体験入社とは?導入するメリットや注意点、導入方法をまとめて紹介

効果的な試用期間を設けて適材適所を実現させよう

笑顔でミーティングをしているビジネスパーソン達
本記事では、試用期間を設けるときのポイントや注意点、試用期間プログラムの組み立て方を解説しました。

試用期間とは「人材が自社に合っているか?」を見極めるための期間です。ただし、本採用が前提となっているため、正当な理由なく解雇はできません。試用期間におけるトラブルを防ぐには、法的な決まりへの理解はもちろん、従業員の適性や資質の把握も欠かせません。

試用期間後、突然の離職の申し出を防ぐためにも、適切なコミュニケーションや育成プログラムを行うなどして対処しましょう。

なお、本記事でも紹介した「ミイダス」の「コンピテンシー診断」は、人材の適性や特徴を客観的に把握できるツールです。自社にフィットした人材の採用や適材適所のための人材配置に役立ちます。

現在、ミイダスの「コンピテンシー診断」は、30名まで無料でご利用いただけます。活躍する人材の分析から採用までワンストップで提供するミイダスを、この機会にぜひご活用ください。

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