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採用

体験入社とは?導入のメリット・デメリットと注意点について解説【専門家監修】

採用後の早期離職やミスマッチを回避する方法として注目されているのが「体験入社」です。体験入社とは、面接だけでは分からない職場の雰囲気や業務内容などを、候補者が入社前に体験できる制度です。

本記事では、体験入社の概要や企業が導入するメリット・デメリット、具体的な導入手順について解説します。

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体験入社とは?

体験入社の概要、混同されやすい「インターンシップ」との違いや、体験入社を導入する企業が増えている背景について解説します。

体験入社の概要

体験入社とは、職場見学、会社説明、模擬課題への取り組みや社員との面談などを通じて入社を希望する候補者と企業が入社前の相互理解を深めるために行われる施策です。入社を希望する候補者が、一定期間実際に企業で働くこともあります。

そのような場合、候補者が配属予定の部署で実際の業務に近いタスクを行う設計にすることもできます。企業側は候補者の実務スキルや人柄などをチェックできる一方、候補者も自分に合った職場や業務内容かどうかを見極められます。

なお、書類選考通過後や一次面接通過後、内定後の入社前の確認など、企業によって体験入社を行うタイミングはさまざまです。

体験入社とインターンシップの違い

体験入社もインターンシップも、どちらも仕事の適性を見極めるための制度という点では同じですが、対象者や体験内容等が異なります。

<体験入社とインターンシップの違い>
項目体験入社インターンシップ
対象者採用希望者学生(大学生・高校生)
主な目的採用前の相互理解、ミスマッチ防止職業理解、キャリア教育
体験内容職場見学を主にした見学型や実際の職場環境における業務内容の体験をする就労型がある職場見学、会社説明、ワークショップ、グループ課題などの見学型が多い
給与・報酬実際の就労に該当する場合は発生するプログラム内容による(職場見学・会社説明のみの場合は無給が一般的)
体験入社は採用希望者が対象であるのに対し、インターンシップの主な対象者は学生で、就業体験のための制度です。

インターンシップは学生のキャリア形成支援や職業理解の促進を主な目的としているのに対し、体験入社は採用選考や入社前の相互理解、ミスマッチ防止を目的として実施される点が大きな違いです。

また、体験入社では中途採用者や既卒者を対象に、実際の職場環境や業務内容を体験してもらう場合が多く、企業・候補者双方が入社後の働き方を具体的にイメージできるという特徴があります。

なお、体験入社やインターンシップの名称にかかわらず、実際に企業の指揮命令下で労務を提供していると認められる場合には、労働関係法令が適用されるため、制度設計や運用には注意が必要です。

体験入社を導入する企業が増えている背景

体験入社を通して候補者と企業が相互理解を深め、採用後の早期離職やミスマッチを防止できるため、体験入社の導入を検討する企業が増えています。

日本では労働人口が減少傾向にあり、採用難が深刻化している現状があります。そのため、企業が人材を確保するためにミスマッチや早期離職の防止が一層求められているのです。

企業間の採用競争が激化しているなかで、企業は体験入社を通じて自社の魅力を候補者へアピールし、優秀な人材を早い段階から囲い込む取り組みにより採用につなげたい狙いがあります。

体験入社を導入するメリット

体験入社を導入することで、企業側が得られるメリットを解説します。

  • 実際の職場で仕事と組織への適性を見極められる
  • 応募書類や面接だけでは分からない職務能力を把握できる
  • 自社をアピールしつつ、入社へのモチベーションを高めることができる
  • 人事担当者の業務削減にもつながる
  • 自社の改善点を把握できる

実際の職場で仕事と組織への適性を見極められる

体験入社では、候補者が実際の職場を訪れ、社員とのコミュニケーションや業務の見学、職場体験、模擬課題などを通じて、仕事の適性や社風との相性を見極められます。

実際の業務の体験入社では、実際の業務や業務に近い内容を体験することで、候補者の実務スキルや仕事への取り組み方を確認しやすくなります。一方、見学型の体験入社であっても、職場の雰囲気や社員同士の関わり方、働き方の実態などを直接確認できるため、企業文化との適合性を把握することが可能です。

候補者にとっても、「この職場なら仕事を続けられそう」「想像していた働き方と違う」など、求人票や面接だけでは分からない細かい点まで確認できるため、納得したうえで選考に進めるでしょう。

ミスマッチによる早期退職は企業にとっても候補者にとっても避けるべき道です。採用前の体験入社によって職場環境や業務内容、働く人々の雰囲気を確認できる体験入社は、双方の相互理解を深め、入社後のミスマッチを防ぐうえで双方にとって大きなメリットといえます。

応募書類や面接だけでは分からない職務能力を把握できる

応募書類や面接の内容のみでは、正確に候補者の適性を見極めるのは難しいのが現状ですが、体験入社を実施することで、書類や面接では把握しきれない情報を得られるようになります。

就労型の体験入社では、候補者に実際の業務や業務に近い内容を体験してもらうことで、知識やスキルのレベル、業務への取り組み方、周囲とのコミュニケーションの取り方などを具体的に確認できます。そのため、「期待していたスキルを保有していなかった」「実際の業務との相性がよくなかった」といった採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。

一方、見学型の体験入社であっても、職場見学や社員との座談会、ミーティングへの参加などを通じて、候補者がどのような点に関心を持つのか、仕事やキャリアに対してどのような考え方を持っているのかを把握しやすくなります。また、候補者自身も企業の雰囲気や働き方を確認できるため、入社後のイメージとのギャップを減らせるでしょう。

このように、体験入社は実務スキルの確認だけでなく、候補者の価値観や人柄、仕事に対する考え方を理解する機会にもなります。企業と候補者の双方が相互理解を深めることで、長く定着する採用につながりやすくなります。

自社をアピールしつつ、入社へのモチベーションを向上できる

候補者の適性の見極めだけが、体験入社の目的ではありません。体験入社を利用すれば、候補者に自社の魅力をアピールできるだけでなく、入社へのモチベーションを高めることもできます。

候補者は、企業で自分が働く姿をリアルにイメージできるため、入社後の不安を払拭でき、「この会社で働きたい」とモチベーションを維持しやすくなります。

優秀な人材は他社と同時進行で採用活動を進めているケースもあるため、一緒に働くチームメンバーの人柄や企業の魅力がアピールできれば、採用につなげられるでしょう。

人事担当者の業務削減にもつながる

体験入社によって離職率が軽減すれば、人事担当者の業務削減につながります。離職者が出ると、雇用・社会保険の手続き等が発生し、さらに、新たに人の採用も必要なため人事・労務関連の業務が増えてしまいます。

体験入社の実施にも手間は発生しますが、退職者を減らすことで退社・入社にともなう手続きの負担が軽減し、その分従業員のキャリア育成や職場環境の改善など、人材定着のための施策に時間をかけられます。

自社の改善点を把握できる

体験入社に参加した候補者に対し、座談会や交流企画などで自社の教育体制や職場環境などについて率直にフィードバックを受ける機会を設けることも有用です。

このような機会を設けると、組織が抱える課題やこれから改善すべき点を把握することができます。

体験入社で把握できる課題の例
  1. 業務の属人化
  2. マニュアルや教育のための資料不足
  3. 現場社員の受け入れ態勢やフォロー体制
  4. 求人情報・採用時の内容説明と実際の業務のギャップ

候補者だけでなく、候補者の受け入れ先の部署の担当者にも話を聞けば、組織内の課題や問題点を早めに把握でき、改善につなげられるでしょう。

体験入社を導入するデメリット

体験入社を導入するデメリットについて解説します。

賃金の支払いが発生するケースがある

体験入社には、職場見学や社員との交流を中心とした「見学型」と、実際の業務や業務に近い内容を体験する「就労型」があります。どちらの形式で実施するかによって、賃金の取り扱いは異なります。

見学型の場合

職場見学や会社説明、社員との座談会、オフィスツアーなど、業務に従事せず職場理解を目的として実施する場合は、必ずしも賃金の支払いが必要になるわけではありません。

ただし、実態として業務への参加や労務の提供が認められる場合は、見学型として運用していても労働関係法令が適用される可能性があります。

就労型の場合

候補者が企業の指揮命令のもとで実際の業務に従事する場合は、名称にかかわらず労働関係法令が適用される可能性があり、賃金の支払いが必要となることがあります。たとえば、次のようなケースでは、労働者として扱われる可能性が高くなります。

<体験入社で候補者に実務を任せる場合>
実務を任せる場合には賃金の支払いが発生する可能性があります。
職場見学や会社説明のみの場合は無給ですが、以下に該当する場合は、賃金の支払いが発生する可能性が高いでしょう。
  1. 見学や体験などの要素が少なく、実際の業務が中心である
  2. 従業員と同様の業務を担当している
  3. 企業の指示に従って業務を行っている
  4. その業務が企業の事業運営や利益創出に直接関わっている

時間と手間がかかる

体験入社を実施するにあたっては、受け入れ体制の準備や社内通知はもちろん、プログラムの設計、実施期間中の指導・フォロー、終了後の振り返りや評価など、時間や手間がかかります。

特に就労型の体験入社を実施する場合は、労働関係法令への対応も必要になります。候補者の労働者性が認められる場合には、労働条件通知書の交付や雇用契約の締結、労働時間の管理、賃金の支払い、労災保険の適用などについて検討しなければなりません。

また、候補者のの指導やフォロー、教育を担当する社員がその間通常業務に割ける時間が少なくなるため、他のメンバーの業務負担が増える可能性もあります。

見学型の体験入社であっても、スケジュール調整や受け入れ部署との連携、職場見学や座談会の準備などが必要となるため、一定の運営負荷は避けられません。

実施期間が数週間や数ヶ月などの場合は、スケジュール設定を計画的に行うなど、現場に負担がかからないよう配慮する必要があります。

体験入社を始めるための手順

企業が体験入社を導入する際の主な流れは、以下のとおりです。

  • ステップ1:体験入社の目的の設定
  • ステップ2:受け入れ体制の検討
  • ステップ3:体験入社のプログラム内容の設定
  • ステップ4:スケジュール調整と契約書の作成
  • ステップ5:体験入社の実施

ステップ1:体験入社の目的の設定

まずは、体験入社の目的を設定します。目的が曖昧なままだと、自社の課題を解決できなくなってしまいます。目的を設定するときは、自社の課題を可視化しておくと良いでしょう。

<体験入社の目的設定例>
課題目的設定の例
ミスマッチによる早期離職が多い体験入社を通じて、業務内容や職場環境との整合性を確認する
内定辞退率が高い体験入社で自社の魅力や就労のイメージを候補者へ伝える
採用後にスキル不足が判明することがある体験入社の項目として業務理解や模擬課題演習を行い、適性を確認する

ステップ2:見学型・就労型の選択と受け入れ体制の検討

体験入社の目的を設定したら、まずは見学型で実施するか、就労型で実施するかを検討します。

見学型では、職場見学や社員との座談会、ミーティング見学などを中心に実施します。一方、就労型では、候補者が実際の業務や業務に近い内容を体験します。

受け入れ先の部署で誰が何を担当するのか、候補者にどのような体験を提供するのかをあらかじめ決めておきましょう。候補者の何を見るべきか、評価基準や実施時の注意事項についても周知しておくことが重要です。

仕事の内容によっては、セキュリティ上の問題で体験内容に制限があったり、対応できる時間帯が限られる場面もあります。体験可能な範囲について、事前に現場担当者と話し合うことが大切です。

ステップ3:体験入社のプログラム内容の設定

体験入社の受け入れ先が決まったら、体験入社のプログラム内容を決めていきます。プログラムの内容は、体験入社の目的に合わせて設定するのがポイントです。

たとえば、社風やチームメンバーとの相性を確認したいのであれば、職場見学や社員との交流の機会を充実させるとよいでしょう。また、業務適性を確認したい場合は、実務に近い模擬課題や業務理解につながるワークショップを取り入れる方法があります。

就労型の場合は、候補者が担当する業務内容や指導担当者、実施時間などを具体的に定めておくことが重要です。

プログラムの内容がある程度決まったところで、1日のスケジュール表も作成しておくと、体験入社をスムーズに実施できます。

<体験入社のスケジュール例(見学型・1日)>
  • 10:00 採用担当者から体験入社の説明
  • 10:30 社内案内・部署紹介
  • 11:00 チームミーティングの見学
  • 12:00 従業員との昼食
  • 13:00 職場見学・業務説明
  • 15:00 従業員との座談会
  • 16:00 振り返り・質疑応答
  • 17:00 解散

<体験入社のスケジュール例(就労型・短期雇用型・1日)>
  • 09:00 出社・雇用手続きの確認
  • 09:30 オリエンテーション(就業ルール、安全衛生教育、業務説明)
  • 10:00 業務体験
  • 12:00 休憩
  • 13:00 業務体験
  • 16:00 担当者による評価・フィードバック
  • 16:30 質疑応答・今後の選考説明
  • 17:00 終了

ステップ4:スケジュール調整と契約書の作成

体験入社のプログラムが決まったら、受け入れ先の部署と相談し、スケジュール調整を行います。入館証やPCなど、体験入社で必要な備品については事前にリスト化して用意しておきましょう。

見学型の場合は、秘密保持契約書(NDA)や誓約書などを締結し、情報漏洩防止のためのルールを明確にしておくことが重要です。
 
就労型の場合は、実施内容によって労働関係法令が適用されます。そのため、雇用契約書や労働条件通知書の作成、賃金の取り扱い、労働時間管理、労災保険の適用などについて事前に確認しておく必要があります。
 
実施直前になって慌てることがないよう、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。

ステップ5:体験入社の実施

体験入社の当日は、あらかじめ定めたスケジュールに沿って進行していきます。候補者が不安なく参加できるよう、担当者によるフォローや質疑応答の時間も設けるとよいでしょう。

体験入社後には候補者にお礼メールを送信し、候補者へのフォローアップを行いましょう。その際、実施後は候補者から感想やフィードバックを収集するとともに、受け入れ部署からも評価や意見を集めます。

選考状況にもよりますが、数日以内に体験入社をふまえた評価会議を行い、採用・不採用を決定・通知します。採用となる場合は条件面の最終確認や入社準備を進め、正式な入社日に向けて受け入れ体制を整えていきます。

おすすめの体験入社プログラム

体験入社で実施されることが多い、おすすめのプログラムを紹介します。

  • 朝礼への参加【見学型】
  • 社員との座談会【見学型】
  • チームミーティングへの参加【見学型】
  • 自社についての説明【見学型】
  • ワークショップ【見学型・就労型】
  • 会社周辺で社員とのランチ【見学型】

朝礼への参加【見学型】

組織の方針や風通しの良さが表れるのが、朝礼です。配属予定の部署で朝礼を行っている場合は、候補者に朝礼を見学してもらうことで職場のコミュニケーションの取り方や組織文化を理解してもらえます。

朝礼には複数の従業員が参加するため、候補者にも自己紹介をしてもらえば、社員とのコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。

実際の職場の空気感を知ってもらう意味でおすすめのプログラムです。

社員との座談会【見学型】

人事担当者ではなく、実際に働いている社員から職場のリアルな現状を聞けるのが、「社員との座談会」です。仕事のやりがいや苦労話を聞くことで、候補者は入社後の働き方を具体的にイメージしやすくなります。

座談会では、参加者の名前が分かるように所属部署と名前を記載した名札を用意しておくと、親交を深めやすいでしょう。以下のような、「トークテーマ」をあらかじめ決めておくとスムーズです。
  1. 1日のタイムスケジュールと働き方
  2. 仕事でのやりがい
  3. 仕事で大変だと思うこと
  4. 困ったときのサポート体制
  5. 入社後のキャリア形成
  6. 座談会に参加している社員の入社動機


業務や働き方に関する情報を多角的に共有することで、候補者と企業の認識のズレやミスマッチを減らせます。

チームミーティングへの参加【見学型】

チームミーティングを見学してもらうと、実際の働き方や社内のコミュニケーション・情報伝達の様子を肌で感じてもらえます。入社後のイメージのズレを防ぐためにも有効です。

成果を報告するだけでなく、意見交換やディスカッションが行われるミーティングのほうが、より職場の雰囲気が伝わりやすいです。

ただし、経営戦略や未公開データ、顧客情報などの機密情報を取り扱う場合は、事前に秘密保持契約や誓約書を結び、参加範囲を適切に制限する必要があります。

自社についての説明【見学型】

体験入社に参加する候補者の中には、他の企業と同時進行で採用活動を進めているケースもあるかもしれません。自社のサービスや経営方針について説明し、事業の将来性などの魅力をアピールする場を設けるのもおすすめです。

自社についての理解を深めてもらえば、入社後のミスマッチ軽減にもつながります。

評価制度やキャリアパス、自社が大切にしている価値観など、なかなか面接では伝えきれない情報を共有することで、自社への理解を深めてもらいましょう。

ワークショップ【見学型・就労型】

候補者の実際のスキルや考え方を把握しやすいのが、ワークショップです。

見学型の場合は、模擬課題やケーススタディなどを用いて、候補者の思考プロセスや問題解決能力を確認します。

就労型の場合は、実際の業務や業務に近い内容を体験してもらうことで、実務能力や仕事への取り組み方を確認できます。ただし、企業の指揮命令のもとで業務に従事する場合は、労働関係法令が適用される可能性があるため、制度設計には注意が必要です。

<ワークショップのテーマ例>
職種ワークショップテーマの例
企画・マーケティング職設定したペルソナをもとに新しいプロモーション施策の立案
営業職自社の商品やサービスを題材にした商談シミュレーション
事務職データ入力、書類作成などのタスク処理
機密情報の取り扱いには十分に注意し、必要に応じてサンプルデータの提供や体験入社用としてデータを加工しておくなどの工夫が必要です。社内で使っている用語がある場合はドキュメントでまとめておき、候補者に共有できるように準備しておきましょう。

会社周辺で社員とのランチ【見学型】

昼食の時間を活用して、会社周辺のお店で配属予定先の社員とのランチを企画するのもおすすめです。カジュアルな雰囲気の中で会話することで、候補者は職場の人間関係や社員の雰囲気を身近に感じることができます。

また、オフィス周辺の環境や利便性を知る機会にもなります。職場での理解を深めるためのプログラムとして無理のない範囲で実施するとよいでしょう。

なお、ランチは候補者のプライベートな事情や家族構成、結婚・出産予定などを確認する場ではありません。業務内容や働き方、職場環境など、採用や業務に関連するテーマを中心にコミュニケーションを図ることが重要です。

体験入社を導入する際の注意点

体験入社は採用後のミスマッチ防止や相互理解の促進に役立つ制度です。一方で実施方法によっては労働関係諸法令の制約や機密情報の取り扱いなど、事前に準備すべき内容も多くあります 。

特に、見学型と就労型では必要な準備や法的な取り扱いが異なるため、自社の実施目的に応じて適切な制度設計を行うことが重要です。

体験入社で注意すべきポイントを解説します。

関連する部署で受け入れる体制を整えておく

体験入社の実施にあたっては、候補者が安心して参加できるよう、関連部署で受け入れ態勢を整えておく必要があります。

事前の打ち合わせやスケジュールの調整はもちろん、担当する従業員が急遽不在になった場合のフォロー役まで決めておくことが大切です。候補者に対し、いつ・どこに・どのような目的で体験入社を実施するのか、従業員へ周知しておきましょう。

就労型の場合は、業務指導を行う担当者や労務管理を行う担当者を明確にし、安全衛生上の配慮や情報管理体制についても確認しておく必要があります。

受け入れ部署と事前にすりあわせを行っておく

候補者の受け入れ先の部署には、体験入社の目的や評価基準など、あらかじめすり合わせを行っておくと、その後の選考がスムーズです。

すりあわせておくべき内容
  1. 体験入社の目的
  2. 体験入社は見学型・就労型のいずれの方法で実施するか
  3. 体験入社の1日のスケジュール
  4. 候補者に実施してもらう内容や課題
  5. 候補者を指導する従業員やサポート体制 
  6. 評価基準
  7. 機密情報や顧客情報などの取り扱いのルール

特に就労型の場合は、候補者に任せる業務内容を明確にし、法令上問題のない範囲で実施できるよう事前に確認しておくことが重要です。

候補者と事前にすり合わせする

候補者とも事前に体験入社の概要についてすり合わせておく必要があります。

就業中の候補者の場合は体験入社に合わせて有給を取得したり、仕事を調整したりするケースもあるかもしれません。あらかじめ大まかなスケジュールを伝えたうえで、細かい日程調整を行うと良いでしょう。

また、見学型・就労型の別や当日の流れ、服装、持ち物、評価の有無などについても事前に説明しておくことで、候補者の不安軽減につながります。遠方の候補者に対しては、オンライン説明会やリモートによる職場紹介などを組み合わせる方法も有効です。

本社での体験入社が難しい候補者にはリモートによる体験入社の実施も検討しておくなど、候補者が参加しやすい体制を整えておくことも重要です。

目的に沿ったプログラムを設定する

せっかく体験入社を実施しても、本来の目的とプログラムの内容が合っていないと、期待している効果が得られません 。

スキルの確認か、それとも社風との相性を確認するのかによっても、プログラムの内容は変わってきます。実施期間が1日か数週間かによっても、実施方法は大きく変わってきます。

たとえば、職場の雰囲気や社員との相性を確認したいのであれば、見学型のプログラムを中心に構成するとよいでしょう。一方、業務適性やスキルを確認したい場合は、模擬課題や就労型の体験を取り入れる方法があります。

体験入社のプログラムを決めるときは、体験入社の目的を明確にし、相互理解と適正確認を考慮したプログラムを設定することが重要です。

就労型の場合は労働関係法令への対応を確認する

就労型の体験入社では、候補者が実際に労務を提供する場合、労働者として取り扱われる可能性があります。そのため、実施内容によっては次のような事項について事前に確認・調整を経て行う必要があります。
  1. 雇用契約書や労働条件通知書の作成
  2. 賃金の支払い方法
  3. 労働時間や休憩時間の管理
  4. 労災保険の適用
  5. 安全衛生教育の実施

体験入社という名称であっても、実態として労働者性が認められる場合には、通常の労働法令が適用される点に注意しましょう。

機密情報漏洩を防ぐために秘密保持契約を結ぶ

体験入社では、候補者が社内設備や業務資料、顧客情報などに接する可能性があります。そのため、アクセス権限の管理や秘密保持契約(NDA) ・誓約書の締結などを行い、情報漏洩防止策を講じる取り組みが重要です。

また、悪意がなくても社内の様子が分かるような写真や情報をSNSにアップしてしまうケースもあります。写真撮影の可否やSNSの利用に関するルールを事前に説明・提示しておきましょう。

特に、顧客情報や未公開情報を取り扱う部署では、体験内容そのものを制限することも検討する必要があります。

体験入社であっても、企業が保有する情報資産を守るという観点は変わりません。口頭の説明だけでなく、書面によるルールの共有と同意取得を徹底しましょう。

まとめ:ミスマッチ防止には体験入社の実施がおすすめ

体験入社の導入は、企業と候補者が入社前に相互理解を深めるための有効な取り組みです。企業は候補者の業務適性や価値観、仕事への向き合い方をより具体的に把握できます。候補者にとっても、会社の雰囲気や職場環境、同僚となる人々の雰囲気をリアルに体感できるので、ミスマッチを事前に防ぐことにもつながります。

体験入社をスムーズに進めるためには、見学型・就労型によって法的な取り扱いや必要な準備が異なることを理解し、事前に適切な受け入れ体制を整えておかなくてはいけません。自社理解を深め、優秀な人材の採用に活かしたい企業は、体験入社の導入をぜひ検討してみてください。

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関連ページ:リアル職場体験とは| ミイダス サポートセンター
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※本記事内で紹介されているサービスに関して、記事監修の専門家は関与しておらず、またサービスの監修もしていません。
※本記事は2026年6月(監修時期)現在の内容に基づいて記載されたものです。


監修者
記事監修者村井 真子

村井社会保険労務士事務所 代表/社会保険労務士・キャリアコンサルタント・経営学修士(MBA)

総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』『職場問題ハラスメントのトリセツ』、漫画『御社のモメゴト』の原作など。

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