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フェローとは?メリットとデメリット、制度の導入ポイントを解説

フェローとは、高い専門技術や知識を有する人の役職、称号のことです。学術機関や医療業界など、多様な分野で用いられている用語で、分野によって意味や役割は異なります。

高い専門技術やスキルを持つ人材を確保し、支援する「フェロー制度」は、企業の競争力向上やイノベーションの創出につながる取り組みとして注目されています。しかし、どのように導入すればよいのか、迷う方もいるでしょう。

本記事では、フェローの意味やフェロー制度を導入するメリットとデメリット、企業の導入事例と導入を成功させるポイントを解説します。

また、ミイダスでは自社に合った人材を採用する具体的な手順やポイントをまとめた資料を無料で提供しています。フェロー制度の導入にも役立つ方法を紹介していますので、ぜひ以下よりご活用ください。

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フェローとは「専門的な技術・知識を持っている人の役職・称号」

笑顔で微笑むビジネスマン
ビジネスシーンで用いられるフェロー(fellow)とは、高い技術や専門知識、優秀な業績を持つ人に与えられる役職や称号のことです。英語の「fellow」は、もともと「仲間」「同僚」「同士」を意味する単語で、「フェローシップ(fellowship)」を略して使われています。

企業におけるフェローは単なる役職に留まらず、技術の開発やイノベーションの創出など、組織の発展につながる重要な役割として重視されているのです。

フェローという用語は企業のほかにも学術分野や医療業界など、さまざまな分野で用いられており、分野によって意味や役割が異なります。

次の章では、各業界で用いられる具体的な意味や役割を解説します。

【業界別】フェローの意味と使われ方

腕組みをするビジネスマン
フェローの意味や使い方は、業界や分野によって異なります。ここでは、3つの分野における意味や使われ方を紹介します。

【企業】
企業やビジネスシーンでのフェローとは、「専門性の高い技術・スキル、業績を持つ人の役職」を指します。具体的には、研究職や高度な専門知識を持つ人材(専門家)がフェローとして認定されます。

また、こうした専門性を持つ人材を支援する仕組みが「フェロー制度」です。認定される具体的な要件や基準、支援の内容は企業によって異なります。支援内容の例としては、研究資金や研究施設の提供などが挙げられます。

【大学研究機関・学会】
大学や研究機関、学会などでもフェローが使われます。具体的な意味と使われ方は次の通りです。
  • 特別研究員・特別会員:大学・研究機関や学会に従事し、高い功績をあげた人に与える称号を指す。
  • 研究費の支給対象となる研究者(特待校友):特別に研究費の支給を行う研究者を指す。イギリス等では「特待校友」と呼ばれることもある。
  • 評議員:専門的知見から意見を述べる人物を指す。若手研究者の育成目的で助言を行うこともある。
共通しているのは、特定の分野で高い専門性を持ち、分野の研究や発展に大きく貢献している人材である点です。

【医療業界】
日本の医療業界においてフェローとは、主に医師免許を取得して3年目以降の「後期研修医」を指します。「専攻医」とも呼ばれます。

医師免許の取得後、一般的には正式に医師として活動するまで2年ほど「初期研修医」として病院内をローテーションし、臨床実務を学びます。その初期研修医の期間を終え、各診療科の専門研修を受けている医師のことをフェローと呼ぶのです。ただし、医療機関によってフェローと呼ばれる人の要件は異なります。

フェロー制度を導入するメリット

グッドサインをするビジネスマン
ここでは、フェロー制度を導入する具体的なメリットを3つ解説します。

人材育成や組織の成長につながる

フェロー制度の導入は、従業員の育成や組織全体の成長を促進する効果があります。

フェローは高い専門知識やスキルを持っているため、社内において特定の分野の事業やプロジェクトの推進役として活躍し、リーダーシップを発揮することが期待されます。

例えば、フェローと従業員がコミュニケーションを取ることで、業務において技術的なアドバイスや指導を得る機会につながり、従業員の技術が高まるでしょう。結果として、新しい技術の開発や部署全体の成長につながると言えます。

フェロー制度を設けることで、優秀な人材を確保するだけでなく、組織の成長につながる効果が期待でき、長期的な事業の発展を導けると考えられるでしょう。

自社の成長に欠かせないリーダーシップを持つ人材の特徴や見極め方について知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

【関連記事:リーダーシップとは?マネジメントとの違いや求められる資質、見極めに使えるツールも紹介

企業の競争力を高める

フェローの存在は、企業の競争力向上にも大きく貢献します。

フェローの持つ専門性を活かし、新しい技術を開発し事業を展開することで、製品やサービスの品質をより高められます。高い専門知識を活用して、自社の製品やサービスの改善や新たな価値を創出する技術開発などが進められるでしょう。結果として、競合他社との差別化につながることが期待できるのです。

例えば、AIやIoTの分野で著名な研究者をフェローとして迎えることで、自社の製品に新しい技術を取り入れられ、競合他社に先駆けて新しい価値を提供できるかもしれません。

こうした取り組みは、企業の競争優位性を高め、ブランド価値の向上にもつながると言えます。

イノベーション創出につながる

フェローの専門的な知見やスキルは、新たな技術の開発や価値を創出し、イノベーションにつながることが期待できます。フェローが技術的なビジョンを示すことで、企業が目指す新たな方向性を見出すとも考えられます。

フェローの知見を積極的に事業に活用することで、自社の次世代の製品・サービス開発や新規事業の立ち上げを推進することが可能です。例えば、フェローが持つ最先端の研究成果や技術の知識は、イノベーションのきっかけとなる重要なアイデアになり得るでしょう。

また、フェローが技術的なビジョンを打ち出すことで、企業の研究開発の方向性が明確になり、効率的な作業分担やリソース配分が可能になります。

こうした取り組みは、企業の中長期的な成長とイノベーションの強化につながると言えます。

なお、イノベーションの種類やイノベーション人材の育成方法については、以下の記事で解説していますので、理解を深めたい方はあわせてご一読ください。

【関連記事:イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説

【関連記事:イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説

フェロー制度を導入するデメリット

考えごとをするビジネスマン
フェロー制度の導入の際は、注意すべき点もあります。ここでは、制度を導入する際に考慮すべきデメリットを3つ紹介します。

確実な成果や業績につながるかは不透明

フェローの採用や支援に多額の資金や資源を投入しても、直接的な利益や成果につながるとは限りません。

例えば、フェローが新たな技術を開発できたとしても、期待していた成果が得られなかったり、市場のニーズとマッチしなかったりするリスクがあります。また、画期的な発見や発明につながるまでに長い年月を要することもあるでしょう。

そのため、フェロー制度を導入する際は確実な成果が出にくいことと、長期的な視点で活用することを認識し、慎重に費用対効果を検討する必要があります。

費用対効果を検討する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:費用対効果とは?注目される理由や人事・採用業務を効率化する方法を紹介

フェロー制度の選考基準の適切な設計が難しい

制度を導入する際、選考基準を設計する必要がありますが、その設計は容易ではありません。

高い専門性を評価するための明確な基準作りは難しく、選考基準があいまいだとフェロー制度に対する信頼を損ねる原因となり、フェローや従業員の不公平感や不満につながるおそれがあります。一方で、細かい選考基準を設定すると、なかなか採用につながらない可能性があります。

また、フェローが自社の社風にフィットしていなければ、従業員と意見が対立し、社内の人間関係に悪影響を与えるリスクもあるでしょう。

このように、フェローの選考基準の設計にはさまざまな角度から検討する必要があるため、人事の負担となる点に注意が必要です。

多額の人件費やコストが発生する

優秀なフェローを採用するには、高額な報酬の支払いや研究に必要な設備など、さまざまなコストが発生します。企業の財務に大きな影響を与える可能性があるため、フェロー制度の導入を検討する際は、自社の財務状況を確認し、長期的な視点で投資計画を立てることが重要です。

また、フェローの活動が自社の成果に直結するとは限らないことにも考慮する必要があります。採用コストの削減方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、導入を検討している方はあわせてご一読ください。

【関連記事:採用コストとは?平均相場や増える原因、削減する方法を紹介

フェロー制度を導入した企業事例

会社のビル
ここでは、実際にフェロー制度を導入した企業を2つ紹介します。導入を検討する際の参考にしてみてください。

株式会社電通総研

株式会社電通総研は、2021年1月より「フェロー制度」を導入しています。この制度は、幅広い分野で高い専門知識や技術、優れた実績を持つ人材を執行役員や上席執行役員と同等の待遇でフェローを迎え入れる仕組みです。

同社のフェロー制度は、以下のような役割を担うことを目的としています。
  • 経営層への提言:経営層への提言を通じて、高い専門性を経営に活かす
  • 新規ビジネスの開拓:新しいビジネス分野や顧客を開拓し、企業価値を向上させる
フェローの対象者は社内外の人材を問わず広く設定されており、導入初年度には2名のフェローが選ばれました。また、制度の導入によって、専門性の高い社員のやる気を引き出し、高い専門人材を採用しやすくする効果も期待されています。

参考:「『フェロー制度』の導入について」|株式会社電通総研|PR TIMES

住友生命保険相互会社

住友生命保険相互会社では、2023年4月に「エグゼクティブ・フェロー制度」を導入しています。同社の制度は、社内外から高度な専門知識を持つ人材を登用し、執行役員と同等の権限を付与しています。

同社のエグゼクティブ・フェローの主な役割は、次の通りです。
  • 門性を要するプロジェクトの推進:特命事項を担当する
  • 経営効率の向上:意思決定や業務のスピードを高め、企業の競争力を強化する
導入初年度には、2名のエグゼクティブ・フェローが選ばれ、同社の価値提供を強化する取り組みが始まっています。

参考:「エグゼクティブ・フェロー制度の導入について」|住友生命保険相互会社

フェロー制度の導入時に企業がするべきこと

フェロー制度を設計するビジネスパーソン達の手元
フェロー制度を導入するには、事前の準備と適切な設計が欠かせません。ここでは、フェロー制度を導入する際に企業が取り組むことを解説します。

組織の現状と課題を明確化する

制度を導入する前に、まず自社の現状と課題を明確にする必要があります。

例えば、「自社製品に新機能を追加して競争力を高めたい」など導入目的を具体的にすることで、フェローの役割が明確になります。すると、フェロー制度の設計や運用の方向性が定まりやすくなり、スムーズな策定が可能です。

組織の課題を特定する際は、経営層だけでなく、現場の従業員の意見も取り入れることも大切です。現場の課題と従業員のニーズを考慮して制度設計することで、フェロー制度に対する社内の理解と協力を得やすくなるでしょう。

フェローの採用要件・基準を設定する

制度の導入には、具体的なフェローの採用要件と基準の設定が欠かせません。

フェローに求めるスキルや能力、経験、実績などを洗い出し、認定要件を決めていきます。その際、経歴やスキルだけでなく「自社の社風や価値観にフィットするか」という視点も考慮することで、採用後の社内での摩擦を減らし、スムーズな運用が期待できるでしょう。

また、フェローの社内での役割や責任も明確にします。例えば「経営層への提言」や「新規事業の立ち上げ」など、フェローに期待する業務をイメージできるようにすることで、採用後の効果的な運用につながります。

採用要件・基準や人材要件の具体的な作り方やポイントは、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【関連記事:採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説

【関連記事:面接での採用基準とは?採用したい人材を見極める評価項目を解説

フェローの選定方法と選定後のフローを検討する

制度を円滑に運用するためには、選定方法と選定後の運用フローをしっかりと設計することが重要です。

選定方法としては社内公募や推薦などがありますが、どの方法を採用する場合でも、公平性と透明性が求められます。選考フローを明確にすることで、フェロー本人や社内の納得感を高めることが可能です。

また、フェローの活動を評価する基準もあらかじめ検討し、適切に報酬やキャリアに反映させる仕組みを構築することも大切です。適切な制度設計を行うことで、フェローのモチベーションを維持し、より制度の成果を高めることが期待できます。

さらに、フェローを支援するための研究設備や資金の準備も欠かせません。具体的な資金計画を立て、必要なリソースを明確にしておくことで、運用後のトラブルを防げるでしょう。

失敗しない人材採用のポイントや採用プロセスの効率化については、以下の記事をご確認ください。

【関連記事:失敗しない人材採用とは?意味や課題、戦略を成功させる方法

【関連記事:【人事必読】採用プロセスの改善・効率化方法を解説!新卒と中途採用のどちらにも効果的

フェロー制度の導入を成功させるポイント

腕組みをする2人のビジネスパーソンの手元
フェロー制度の導入を成功させるための2つのポイントを解説します。

公平で納得感のある制度を設計し、目的を周知し理解を得る

制度の導入をスムーズに進めるには、公平な制度設計に加えて、社内に制度の目的と重要性を周知し、理解を得ることが大切です。

フェロー制度の導入は、一部の社員にとっては不公平感や不満を抱くリスクがあります。

例えば、フェローと従業員の意見や仕事のスタイルが合わない場合、意見が対立し、人間関係の悪化を招くこともあり得るでしょう。その結果、従業員の離職やモチベーション低下につながる可能性が高まります。

【関連記事:社員が仕事を辞める理由とは?離職する人の特徴や前兆、対策を紹介

そのため、フェローが社風と合い、協調性を持ってチームに溶け込めるかどうかを採用時に見極めることが重要です。フェロー制度の目的や期待される効果を丁寧に説明し、社員の理解と協力を得ることがポイントと言えるでしょう。

以下の記事では、仕事におけるモチベーションや協調性の見極め方について解説していますので、制度設計のヒントとしてあわせてご覧ください。

【関連記事:モチベーションとは?低下する要因やマネジメントを成功させる方法を解説

【関連記事:ビジネスシーンにおける協調性とは?重視される理由や面接で見抜く方法を解説

社風にフィットする人材を選定し、適材適所を目指す

フェロー制度の成功には、自社に適したフェローを選定し、高い専門性や能力を発揮できる役割に配置することが欠かせません。

そのためには、自社の特徴やニーズをふまえて、社風とマッチする人材の見極めが重要です。従業員との相性を考慮せずに採用すると、業務の進め方や価値観の違いからコミュニケーションがうまく取れず、現場の生産性低下や組織内の混乱を招くリスクがあるためです。

企業と人材の相性を見極める方法や、適材適所のポイントは、以下の記事で解説しています。

【関連記事:カルチャーフィットとは?企業と人材の相性を見極める採用基準を解説

【関連記事:適材適所の採用・人材配置とは?メリットとデメリット、実現方法を解説

しかし、人事担当者の主観や勘に頼った選定では、ミスマッチの可能性があります。そこで有効なのが、人材の特徴を客観的に可視化する適性診断やコンピテンシー診断の活用です。

例えば、ミイダスの「コンピテンシー診断」を用いることで、フェロー候補者の適性や特徴を多面的に評価し、自社との相性を数値で客観的に見極められます。

適性検査やコンピテンシー診断の活用方法については、以下の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

【関連記事:適性検査とは?活用シーンや導入するメリット、弱点を解説

【関連記事:コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説

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フェロー制度の導入は制度設計と人材選定がカギ

会議を行うビジネスパーソン達
本記事では、フェローについて導入のメリットとデメリット、成功させるためのポイントを解説しました。

フェローとは、高い専門スキルを持つ人に与えられる役職または称号のことです。フェロー制度の導入には、高度な専門性を持つ人材の確保や人材育成、イノベーション創出などのメリットが期待できます。

制度の導入を成功させるためには、公平かつ納得感のある制度設計と自社の社風に合った人材の選定が重要です。その際は、ミイダスの「コンピテンシー診断」が役立ちます。客観的な指標でフェロー候補者の適性や特徴を多面的に評価し、自社との相性を見極められます。結果として、制度のスムーズな導入につながるでしょう。

そのほか、ミイダスには従業員のモチベーションを把握できる「組織サーベイ」や、人材の認知バイアスの傾向を把握できる「バイアス診断ゲーム」など、採用や育成に役立つ機能も提供しています。

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