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採用

カルチャーフィットとは?企業と人材の相性を見極める採用基準を解説

「これは良い人材だ」と思って採用したはずの人が、入社後間もなく離職してしまうことはありませんか?早期離職による企業の損失は、実に187.5万円にも上ると言われています。

企業としてはその損失を防ぎ、長く定着してくれる人材を採用したいもの。しかし、人材の最適な見極め方がわからず、採用活動に苦慮する担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、人材の定着に欠かせない観点として採用の現場で注目を集めている評価基準「カルチャーフィット」について解説します。

早期離職せず重要な戦力となる人材を獲得し、組織の力を高めていくには、スキルや経験だけではなく「カルチャーフィット」にも注目した人材の見極めが大切です。ぜひ最後までお読みください。

また、自社にフィットし定着する人材を採用したいとお考えの方は、成功手法についてのお役立ち資料や、アセスメントツールとして話題のコンピテンシー診断の解説記事もぜひご活用ください。

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【関連記事「コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説 」】

カルチャーフィットとは?意味やイメージを確認

握手する人
「カルチャーフィット」とは、企業文化と求職者の価値観が適合した状態を指します。

「求職者が自社の社風にどのくらい合っているか?」という意味で使われ「価値観マッチング」などと表現される場合もあります。採用候補者がカルチャーフィットしているかどうかで、入社後の活躍や会社への定着度が大きく変わります。

カルチャーフィットしていれば、従業員側は大きな方向性やビジョン、理念などに共感を示し意欲的に働くことができます。さらに、日常的な業務指示やコミュニケーション、作業においても組織と調和しながら進められるため、より効率的に行えます。

そのため、カルチャーフィットは採用や人事配置のプロセスにおいて重要な要素とされ、採用基準に取り入れる企業が増えているのです。

まずはカルチャーフィットの具体的な意味・イメージと、カルチャーフィット以外に採用場面で登場する「スキルフィット(スキルマッチ)」について確認しましょう。

カルチャーフィットの意味・イメージ

前述のとおり「カルチャーフィット」は、組織において、個人と組織の文化や価値観が適合しているかどうかを評価する概念です。

同じ会社の中でカルチャーフィットしている人としていない人の例を見てみましょう。

以下のような企業(X社)があるとします。X社で働くAさんは、カルチャーフィットしている人物、Bさんはカルチャーフィットしていない人物であり、AさんとBさんはともに技術部門で同種の開発業務に従事していると仮定します。

【会社の例(X社)】
事業内容:ITインフラのシステム構築・サポート
企業規模:従業員数約200名、売上高25億円前後で推移
歴史:地方にある老舗企業で、日本の高度成長期に設立。多拠点化を進めながら経済成長・IT技術の発展とともに成長を遂げてきた。本社のある地方都市を中心に5拠点があり、それぞれの拠点で地場企業にサービスを提供し続けている
顧客属性:地方企業、官公庁がメイン。企業グループ全体へのサービス事例が多く、お客様の関連企業のためにオーダーメイドで製品を開発することも多い
今後の課題:現在のお客様へのサービスを切れ目なくつないでいくこと、新たなプロダクトを開発しお客様に役立てるよう、技術力を維持・向上すること
理念:信頼、誠実、正確、謙虚
大切にしている価値観:チームワーク、コンプライアンス、持続可能性
【Aさん(カルチャーフィットしている人物)】
性格:石橋を叩いて渡るタイプ。
大切にしている価値観:一つひとつ確かめながら丁寧に仕事を行うこと。不明な点は解消してから前に進むこと。いつでも話し合い、納得して無理なく働くこと。
【Bさん(カルチャーフィットしていない人物)】
性格:走りながら考えるタイプ。
大切にしている価値観:迅速に仕事を進め、いつでも軌道修正すること。立ち止まるよりも常に前に進み、成長すること。お客様の笑顔を最優先に努力すること。
【エピソード:現在開発中の案件で追加の要望が入ったが、急いでいる場合】
3日後に仮納品を控えている状況で、お客様から仕様追加の要望が入った。
主にデザイン面の変更でバグが発生するものではないが、ご要望を叶えようとすると当初の要望と競合する可能性がある。
加えて、納期に間に合わせようとするとやや無理のあるオーダーで、残業が避けられない。
お客様はこれまでの流れから完成を心待ちにしており、納期に間に合う前提で新たな予定を組み立てている。

Aさんの意見:お客様に事情を説明し、デメリットを解消してから慎重に進めるため納期を後ろ倒しにする交渉をしたほうが良い。

Bさんの意見:バグが出ないのだから、納期に間に合うようにお客様の要望を叶えるものを作るべきだ。少々残業すれば良いのであれば、変更前・変更後の2つのパターンを提示し、あとで最終調整すれば良い。
同じ業務に取り組んでいても、カルチャーフィットの有無で意見が異なる場合があります。

一般論で言えば、Aさんの意見もBさんの意見も間違いではありません。
個人間のやりとりであれば、都度交渉して進めれば良いかもしれませんが、組織での取り組みとなれば巻き込む人が多いため、ある程度方向性が見通せなければ混乱が生じてしまいます。

X社の企業文化においてBさんのようにスピード感を求める人物がいる場合、Bさん自身が孤立する可能性やチーム全体に混乱をきたし、生産性が下がってしまう可能性があります。

スキルフィット(スキルマッチ)

カルチャーフィットとは別に、スキルフィットという言葉があります。スキルフィットは、人材採用の際に候補者のスキルや専門知識が求められる業務やポジションに適合しているかどうかを評価する概念です。スキルマッチとも呼ばれます。

企業側が求めるスキルは求人票や募集要項で表現され、具体的な資格要件を設けたり、「◯◯の作成ができること」など、備えているべきスキルが明記されているケースが大半です。

求人票や募集要項については、こちらの記事もぜひご一読ください。

【関連記事「求人票の役割・内容とは?募集要項との違いや記載事項、求職者が見るポイントを解説」】
【関連記事「【記入例あり】募集要項の書き方とは?必須項目や注意点など解説」】

スキルの言語化が難しい場合は、経験年数で評価したり、実技試験を課したりするなど、別の方法を組み合わせて判断することもあります。

実際の採用場面では、スキルフィットだけで評価するのではなく、さまざまな要素を組み合わせながら判断されます。

上記の例でいえば、AさんもBさんも同程度のスキルを持っている場合、スキルフィットだけでは候補者を絞り込めません。

スキルフィットだけで評価を行って候補者を絞り込めない事態や、社風に合わない人を採用して後々チーム全体の生産性を下げてしまう事態を避けるためにも、カルチャーフィットの観点はきわめて重要なのです。

スキルフィットに着目した採用の問題点については別の項で詳しく解説します。

カルチャーフィットが注目される背景

 退職する人
カルチャーフィットが注目を集める背景には、深刻な人手不足があります。

厚生労働省の調査によると、入社後3年以内に早期退職した人の割合は全体の3割。加えて入社後半年以内に退職する「超早期退職」も増えており、早期退職率の高まりが人手不足の原因と見られています。
中小企業における就業者の離職率
出典:中小企業庁 中小企業白書2015(272ページ)
では入社後、数年もしないうちに退職してしまうのはなぜでしょうか?リクナビネクストの調査では下記のような結果が出ています。

【退職理由の本音ランキング】
1位上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)
2位労働時間・環境が不満だった(14%)
3位同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)
4位給与が低かった(12%)
5位仕事内容が面白くなかった(9%)
6位社長がワンマンだった(7%)
7位社風が合わなかった(6%)
7位会社の経営方針・経営状況が変化した(6%)
7位キャリアアップしたかった(6%)
10位昇進・評価が不満だった(4%)
引用:転職理由と退職理由の本音ランキングBest10|リクナビNEXT
主な退職理由は「人間関係や企業文化とのミスマッチ」です。職場の空気に馴染めず退職してしまう人が非常に多いことがわかります。

これまでは、資格や前職での実績などスキル重視の選考が主流でした。しかし、スキルだけでは適正の見極めが不十分となり、企業文化への適応率も見直されるようになったのです。

スキルを重視(スキルフィット)した採用の問題点

SKILLSと書かれたサイコロ
業務に必要なスキルを採用候補者が備えているかを見極めるのは、もちろん大切なことです。スキルがなければ業務に差し支える心配もあるでしょう。

しかし、スキルを重視しすぎると、人材を見誤り、採用のミスマッチを引き起こすリスクが高まります。というのも、人材を評価する際に「高スキル=入社後の活躍」と思い込みがちだからです。

スキルフィットを重視した採用の問題点として以下の3点が考えられます。
  • 「スキルがある=仕事ができる」ではない
  • スキル以外の部分を正しく評価できない
  • 候補者・企業ともにスキルという「手段が目的化」する
採用ミスマッチについては以下の記事でも詳しくお伝えしています。
【関連記事「採用ミスマッチはなぜ起こる?原因と対策を解説」】

「スキルがある=仕事ができる」ではない

スキルがあるから、仕事ができるとは断言できません。たとえば「法人営業10年」の採用候補者を「これまでの経験を活かして即戦力になってくれるだろう」と期待したり、「TOEIC900点の取得者」を「外国人を相手にした営業も任せられるだろう」と思い込んだりすることがあります。

法人営業10年の経験は紛れもない事実ですが、そこから得た知識やスキルは測定が難しいだけでなく、転職して立場や働くフィールドが変化すると通用しない場合もあります。
経験年数や経験した業務内容をもとに評価を行う場合は、そこでの学びのエピソードや考えを深く聴き取らなければなりません。

また、数値で評価されたり資格を保有していたりする場合でも、その事実と業務遂行能力とが直接に結びつくものではありません。「TOEIC900点」で英語力が証明されたとしても、営業の仕事においてはコミュニケーション能力や相手の文化に配慮する力も求められます。

特に未経験業務においては、スキルと業務遂行能力が直接的に結びつきにくいことがあります。

また、同じ営業部門に配属される場合でも、マネージャー候補として後輩育成を任せたい場合は、自らの営業スキルが高いだけでなく、指導力や周囲との関係性にも目を向けなければなりません。TOEIC900点でも営業未経験者の場合はポテンシャル採用となり、「伸びしろ」を別の角度から評価する必要があります。

法人営業10年やTOEIC900点は一見数値や資格、経験値で示される「客観的な事実」ですが、「即戦力になってくれる」「営業も任せられる」といった評価は、あくまで採用担当側の主観であり、仕事ができると断定できる材料にはなりません。

スキル以外の部分もあわせて評価することが大切です。

ポテンシャル採用についてはこちらの記事もお役立てください。

【関連記事「ポテンシャル採用とは?新卒・中途採用との違いやメリット、企業事例を紹介」】

スキル以外の部分を正しく評価できない

スキルは前述のとおり客観的なもの事実として現れるため、インパクトがある点が否めません。

インパクトが強いために、採用候補者の一部分を良いと感じた場合、そのほかの部分に対して適正な評価をせずに、良いと思い込んでしまうことがあります。この心理効果を「ハロー効果」と呼びます。スキルに捉われると、知らず知らずのうちにハロー効果が起こり、人材の評価を見誤ってしまうのです。

たとえば、「法人営業10年」の経験がある候補者に対し、さまざまな人の対応をしてきたことでコミュニケーションスキルが高いだろうと考えてしまう場合や、「TOEIC900点」の人は、異文化理解があり多少の文化の際にはストレスを感じずに乗り切れるだろうと見込んでしまう場合があります。

中途採用においてよくある失敗は、このハロー効果による採用のミスマッチが原因の1つと見られています。そのため、採用で成功するには、スキルだけでなくカルチャーフィットを見極める視点も非常に大切です。

候補者・企業ともにスキルという「手段が目的化」する

スキルを採用選考の評価指標に組み入れている場合、一定のレベルに達していなければ採用しないという「仕切り」として効果を発揮することがあります。

明確な基準であるがゆえに、スキルの重要性が強調されてしまうと、採用する企業側だけでなく、候補者自身もスキルを重視し、スキルありきの転職、採用になってしまう危険をはらんでいます。

「スキル重視で採用します」と明記して募集を行う企業は、スキルを高く評価してほしいと考える求職者にとっては魅力的に映ります。しかし、現実にはスキル以外の部分で判断することもあり、採用後に高評価したスキルが直結しない部門への配置転換が行われることもあるでしょう。

たとえば法人営業10年の経験者が法人営業部門から配置転換となった場合や、TOEIC900点の保有者が入社後、海外取引を終了した場合、モチベーションを失って離職するかもしれません。

スキルを高く評価することで、スキルという手段が働く目的と化してしまうと、従業員エンゲージメントが下がってしまうのです。

カルチャーフィット重視のメリット

楽しそうに働く人々
採用時にカルチャーフィットを重視するメリットは下記の3点です。
  • 早期離職を防げる
  • 生産性が向上する
  • 従業員エンゲージメントが向上する
順に解説します。

メリット①早期離職を防げる

カルチャーフィットを重視する一番のメリットは、早期離職に歯止めをかけられる点です。自社の社風や価値観にフィットした人を採用するため、入社後のギャップを理由に退職する人の割合減少が期待できます。

また、似た価値観を持つ社員が集まれば、コミュニケーションが円滑になる効果もあります。

とある会社で「マッチ率50%以下の人は面接に呼ばない」というルールをつくったところ、翌年1年間の新卒離職率が0%になったそうです。ほかにもマッチ率の高い人材を優先して選出することで、内定承諾率が20%向上した会社もあります。

会社に長く定着してもらうには、採用段階でカルチャーフィットした人材の見極めが重要です。

メリット②生産性が向上する

 社内にカルチャーフィットした人材が増えると、業務の生産性向上が期待できます。会社の経営方針や大切にしている考え方にフィットできていれば、社員自ら「自社にとって何が必要か」「何が求められているのか」を察知し、自主的に動けるようになるためです。

また同じ価値観を共有する者同士が集まると、組織全体としての一体感も生まれます。カルチャーフィットを取り入れた採用活動は、社内に良いサイクルをもたらし、結果的に生産性向上が期待できるのです。

メリット③従業員エンゲージメントが向上する

カルチャーフィットした人材が集まり、コミュニケーションが活性化したり、生産性が向上したりすると、従業員自身が会社に対してポジティブな印象を形成します。安心して会社に所属し、過ごすことができるため、会社の将来に対しても希望を持つことができるのです。

入社してしばらく経ち、業務に慣れてくると、会社の理念やビジョン、経営計画と自らの業務との結びつきを理解することができます。

そのとき、会社の文化と自らの価値観がフィットしていれば、日々の業務がどのように会社の将来に貢献しているかを感じ取りやすく、さらに意欲的に取り組むことができるでしょう。

足元の業務だけでなく、会社の将来を見通して前向きな気持ちになれることで、ますます会社に貢献したいと考えるようになります。

カルチャーフィット重視のデメリット

カルチャーフィットのデメリットは、過大評価しすぎると、企業内の多様性が失われる点です。

企業全体に同じ意見を持つ人ばかりが集まると守りの体制が強くなり、新しい発想や活発な議論、イノベーションが起きにくくなってしまいます。これでは、企業の成長が停滞する一因にもなりかねません。特に組織体制を見直したり、新たな事業を立ち上げたりするときにはカルチャーフィット以外の要素の重要性も増します。

企業として成長し続けるには、カルチャーフィットを1つの指標にとどめ、新しい風を取り入れる柔軟な姿勢も必要です。

イノベーションについては以下の記事もぜひご一読ください。

【関連記事「イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説」】

カルチャーフィットを見極める5つの方法

電球
人材がカルチャーフィットしているか、採用段階で見極める方法について解説します。

理想的な流れは以下のとおりです。

1.自社のカルチャーを言語化する
2.カルチャーを考慮したペルソナを採用する
3.採用候補者の価値観を確認する
4.リファレンスチェックを行う
5.自社イベント・ワークショップ・インターンに参加してもらう

リファレンスチェックや自社イベントは実施できれば行いたいところですが、少なくとも1~3までは必ず実施し、カルチャーフィットを見極めましょう。

自社のカルチャーを言語化する

まずは自社のカルチャーを明確に定義しましょう。採用担当者が「自社のカルチャーとは何か」をきちんと理解していなければ、カルチャーマッチしているか判断しようがありません。

企業理念やそれに沿った行動とはどういうものなのかを、わかりやすく書き出しておく必要があります。

おすすめは「クレド」を作ることです。
クレドとは、会社全体で社員が心がけるべき信条や行動規範をまとめたもので、企業理念をより具体的かつ実践的に表現するイメージです。

まずは、コーポレートアイデンティティ(CI)と呼ばれる理念やミッション、ビジョン、バリュー(会社が大切にしている価値)を言語化し、そこから導かれるクレドをまとめていきます。

選考では求職者がクレドに合致するかどうかを見ていきます。
ホームページやパンフレットであらかじめクレドの内容を発信しておけば、価値観や企業文化に共感する求職者を集めることも可能です。

カルチャーを考慮した採用ペルソナを作成する

自社のカルチャーを言語化できたら「採用ペルソナ」を作りましょう。「ペルソナ」とは自社が求める理想の社員像を指します。

自社のカルチャーに沿った「理想の社員像」が明確になれば、人選の指標にできます。
採用ペルソナを作る手順は以下のとおりです。

1.社内で活躍する社員を複数名集め、その社員の行動特性や価値観をデータ分析する
2.データが集まったら、優れた社員に見られる行動特性を洗い出し、採用時に活用する評価項目を作る
3.配属予定の現場社員にヒアリングし、求められる人材像や能力について情報収集する

この作業が面倒だからと手を抜いてしまうと、会社側と社員側双方に「思っていたのと違った」といったギャップが生まれてしまいます。客観的なデータが集まったら、現場の社員とイメージを擦り合わせ、採用ペルソナを固めましょう。

活躍する社員のもつ特性を「コンピテンシー」と呼び、採用の場面でも重要視されています。
コンピテンシーについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

【関連記事「【簡単に解説】コンピテンシーとは?意味や使い方、活用事例を紹介」】

採用候補者の価値観を確認する

採用候補者の価値観を深掘りして確認しましょう。カルチャーフィットを見極められる質問を準備し、候補者の考えに共感できるか、企業文化に適応できそうか確認します。

採用候補者が過去にどのような経験をしてきたのかなど、大きな決定に至るまでの思考や行動のプロセスをヒアリングします。

多面的に判断するために、配属先のメンバーや直属の上司と面談する機会を設けると、より効果的に候補者の価値観を深掘りできるでしょう。

カルチャーフィットを確認できる質問例については後述します。

リファレンスチェックを実施する

リファレンスチェックとは、採用候補者が勤めていた会社関係者に問い合わせることを指します。一般的にリファレンスチェックは、経歴や職歴、保有資格に嘘がないかを確認する目的で行われますが、カルチャーフィットを客観的に知る手段としても有効です。

前職で一緒に働いていた社員や採用時の人事担当に、採用候補者の人柄や勤務態度について確認します。そこから見えてくる人物像から自社のカルチャーに適合しているか見極められます。

面接だけではわからない、前職における候補者の姿を見て、自社の価値観と合っているか確認しましょう。 

自社イベント・ワークショップ・インターンに参加してもらう

自社のイベントやワークショップ、インターンに参加してもらい、採用候補者の適性を確認しましょう。既存社員とのリアルなやりとりや仕事をする様子を見て、会社の雰囲気に合っているか見極められます。

試験の最終段階で社内イベントに参加させたり、一定の期間、体験入社させたりといったことが可能です。内々定者に「カフェタイム」と題して、ざっくばらんなトークタイムを設ける企業もあります。リラックスした状態で、ざっくばらんに候補者の過去についてヒアリングし、人物像を深掘りできる方法です。

採用側と採用候補者側、双方の入社後のギャップを埋める有効な手段と言えます。

体験入社については、以下の記事でも詳しくご説明しています。

【関連記事「体験入社とは?導入するメリットや注意点、導入方法をまとめて紹介」】

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カルチャーフィットを見極める質問例

クエスチョンマーク
カルチャーフィットを見極めるために、面接における質問の仕方にも工夫が必要です。

ポイントは以下の3点です。
  • 自社のカルチャーに関する質問をする
  • STAR型の質問をする
  • 逆質問を求める
ここでは、質問の例を挙げて解説します。

自社のカルチャーに関する質問をする

自社のカルチャーについての考えを質問しましょう。具体例は下記のとおりです。
  • 当社は◯◯という考えを大切にしています。あなたは◯◯についてどのように考えていますか。
  • 当社の理念は◯◯なのですが、あなたが◯◯を感じた(◯◯について考えた)エピソードがあればお聞かせください。
自社カルチャーへの共感度を知ると同時に、発信している内容を理解して応答するかを確認して「転職先について知ろう」という候補者の積極性や意欲を知ることができます。

「知っているかどうか」とテストするような質問の仕方では候補者を萎縮させてしまうため言葉選びの工夫は必要ですが、情報収集能力も測れるので、ぜひ面接の場で投げかけてみてください。

STAR型の質問をする

採用候補者の価値観を確認するには、STAR型の質問もおすすめです。STAR型の質問とは、採用面接や評価のプロセスでよく使用される質問形式です。STARは、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を表しています。

STAR型の質問では、候補者の過去の経験や具体的な事例を通じて評価することができます。カルチャーフィットだけでなく、スキルフィットも見極められます。

過去の実績や経験に基づいた行動や思考について、下記の順番で掘り下げてみましょう。

1.当時の状況(Situation)
2.当時の課題(Task)
3.取った行動(Action)
4.得られた結果(Result)

具体例は下記のとおりです。

「仕事で困難な問題に直面したときのことを教えてください。」(Situation)
「どのようにして課題を克服しましたか?」(Task)
「そのとき取った具体的な行動について教えてください。」(Action)
「課題を克服した結果、どのようなことを学びましたか?」(Result)

採用候補者の人柄や価値観を的確に知れる質問方法です。応募者自身の自己理解が進むと同時に、企業も応募者を評価しやすくなります。

逆質問を求める

面接の終盤に、採用候補者に「何かご質問や不安な点はありますか?」と逆に質問を求めてみましょう。自由度が高い質問だからこそ、採用候補者の本音が浮き彫りになります。

会社の方向性に合わない質問が出ると、そこで自社のカルチャーにはフィットしない人物だと判断できるかもしれません。たとえば、社員の積極性を重視する会社で「研修制度は充実していますか?」と質問された場合には「自力で学ぶ姿勢はないのか?」と探ることができます。

また「とくにありません」なんて返されると「そこまで自社の志望度は高くないのか?」と感じ取れるでしょう。採用候補者のリアルな人物像が垣間見える質問なので、面接の最後に入れると良いでしょう。

そのほか、面接の際のポイントを以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

【関連記事「面接で適切に採用判断するには?採用基準をもとに人材を見極める方法も解説」】

カルチャーフィット重視の採用で成功している企業例

円陣を組むビジネスパーソン
実際にカルチャーフィット重視の選考活動を行っている会社を2社ご紹介します。
  • ザッポス(Zappos.com)
  • 株式会社ココナラ
それぞれ見ていきましょう。

ザッポス(Zappos.com)

アマゾン傘下の大手靴小売サービス・ザッポスでは、コアバリュー(組織における中心的な価値観)に基づいて採用活動を展開しています。10個のコアバリューそれぞれにSTAR型の質問を多数用意し、カルチャーフィットを確認しているそうです。

選考過程で手渡される「カルチャーブック」には社員の声が書かれており、カルチャーブックを受け取ってから面接に案内される仕組みです。一次面接を担当するのは人事担当者ではなくリードと呼ばれる現場責任者で、人事担当者から質問の仕方を丁寧にレクチャーされて面接の質を保つ工夫がなされています。

中でも目を見張るのは、最終選考で採用候補者に仕掛ける「4,000ドルのオファー」。「もしザッポスが自分に合わないと思ったら、4,000ドルあげるので辞めても良いですよ」という提案をするのだそうです。

「自社の企業文化に合わない人は、お金を払ってでも入社させたくない」というザッポスのカルチャーフィットへの強いこだわりが見て取れます。

株式会社ココナラ

「知識・スキル・経験を売り買いするマーケット」で知られるココナラでも、カルチャーフィット重視の採用活動が行われています。

一次選考で必須スキルを、二次・三次の面接でカルチャーフィットを確認するそうです。最終選考は創業者自らが面接を行い、カルチャーフィットを確認するそうですが、面接に3時間かかることも珍しくないのだとか。

「人生のターニングポイントで何を選択基準にしたか」を候補者の人生を振り返りながら探ります。その選択基準にココナラらしさがあるかを見極めるのだそうです。

参考:株式会社ココナラ 採用情報

ミイダスのフィッティング人材分析機能を活用してカルチャーフィットを見極めよう

コンピテンシー診断の画面
カルチャーフィットを見極めて活躍する人材を採用するには、「ミイダス」の活用がおすすめです。

42万4,950社(2022年12月時点)が導入するアセスメントリクルーティングサービス、「ミイダス」には、「活躍要因診断」という診断機能があります。
活躍要因診断では、自社でどのような社員が定着・活躍できるのかについて定量的な分析が可能です。

コンピテンシー診断では、活躍する社員やイノベーション人材を41の項目から分析し、自社に必要なイノベーション人材のコンピテンシーモデルを簡単に作成できます。

コンピテンシー診断の内容を用いて社風や現在のチームにフィットしやすい人材を分析し、可視化できる「フィッティング人材分析」の機能もあります。採用だけでなく、イノベーション人材を採用したり、異動させたりする場合のミスマッチを回避するためにも重要な機能です。

ミイダスにはコンピテンシー診断を受験した求職者が20万人以上登録しており、フィットする人材に自動でアプローチすることも可能です。1,733もの項目から重視する特徴を絞り込んで検索できます。

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さらに、採用ミスマッチの防止に有効なおすすめ機能として「ミイダス組織サーベイ」があります。現状把握とタイミングを逃さないフォローアップのために有用な機能です。
社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態と組織全体の状態を把握します。

組織文化にあった人材を獲得し、会社の業績を伸ばしていくには、採用選考のときにのみアセスメントを行えばよいのではありません。組織の現状を正しく把握し、カルチャーフィットを重視する割合も調整しながら、その都度適切な人材を迎え入れて配置していくのが重要です。

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