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採用

採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説

採用活動において「採用要件」を明確に定めることは非常に重要です。しかし、実はよく理解できていない、なんとなく手探りで採用要件を決めている、という担当者の方も多いのではないでしょうか。

採用要件が定義できていない、もしくは間違った採用要件で進めてしまった場合、以下のような状態に陥ってしまうでしょう。

面接官によって採用の基準にばらつきがあり、求める人材を安定して獲得できない
せっかく入社しても早期退職してしまい、離職率が高くなる

そこで本記事では、採用要件の定義や採用要件を定める目的、作り方について解説します。
採用(人材)要件の定義に関して、お悩みの採用担当者様はぜひご参考ください。

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記事を動画で解説

採用要件(人材要件)とは

採用要件とは、自社が求める人材像の基準を明確にしたものを指します。

採用要件の定義は、
  • どんな労働条件を定めるか
  • どんなスキル・価値観を持っているか
  • 当社に必要な人柄や行動特性は何か
などを基準に決めていきます。

採用要件は人材要件とも呼ばれており、この基準があいまいなまま採用活動を開始すると、企業と応募者のミスマッチが生じ、お互いに望まない結果を招いてしまう恐れがあります。結果的に退職者を増やしてしまう原因にもなり得るのです。

採用要件の定義が求められる理由

なぜ各企業が採用要件を定義づける必要があるのでしょうか。その理由として、以下のような日本社会の変化が関係していると考えられます。
  • 少子高齢化による採用市場の変化
  • 転職に対する価値観の変化
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。

少子高齢化による採用市場の変化

採用要件を強化すべき理由として、少子高齢化による採用市場の変化が挙げられます。戦後日本は高度経済成長期を迎えたことで人口は増加、経済もすさまじい発展を遂げました。多くの企業が会社の業績をあげるために、たくさんの若者を雇用しました。

そのため1980年頃も現在と同じ売り手市場にありましたが、異なるのは若年層の人口数です。下記のグラフをご覧ください。
令和4年版 少子化社会対策白書
出典:令和4年版 少子化社会対策白書 全体版(PDF版) - 少子化対策:政策統括官(共生社会政策担当) - 内閣府
1980年と2020年の人口割合を見比べてみましょう。一見すると、差はないように見えますが、年齢の構成にかなり違いがあり、1980年頃は人口のほとんどが0~64歳を占めているのがわかります。一方2020年は65歳以上の高齢者割合が増加していくとの推計が出されています。

さらに2020年以降は全体の人口減少、とくに若い層の人口が減っていくと予測されています。若者が減少すると、新卒採用はいままでのように「求人を出していれば、応募者が来る」ケースは自ずと減っていくでしょう。

企業側は待つスタンスではなく、自社で活躍できる人材を積極的に確保していく必要があるのです。

仕事に対する価値観の変化

仕事に対する価値観の変化も、採用要件の定義強化に大きな影響を与えていると考えられます。

2022年のパーソル総合研究所の調査によると、20代の仕事選びで重視する点として「休みが取れる」「人間関係」などは減少傾向にあり、
  • 社会に貢献している
  • いろいろな知識やスキルが得られる
  • 入社後の研修や教育が充実している
などが増加傾向にあります。

「出典:株式会社パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査

たとえば、一昔前の求人広告に「明るい人、元気な人募集」「風通しの良い職場環境」と書かれたとしましょう。人柄重視という宣伝にはなりますが、募集条件があいまいすぎるがゆえに、「ここでは成長できなさそう」「明るいというのはどの基準で決めているの?」など求職者の不安を煽ってしまうリスクもあります。

近年はやりがいを求める若者が増えているため、採用要件が決まっていれば自社で活躍できる人材と出会いやすくなります。時代の変化や年齢層、求める人材とともに企業側も採用方法を工夫する必要があるのです。

【関連記事:働く人の価値観は変化している?活躍人材を見抜くの特徴や採用方法を紹介

採用要件の定義のメリット

冒頭で述べたように、採用活動において「採用要件の定義が最重要」といっても過言ではありません。

採用要件の定義がもたらす目的とメリットは次の4つです。
  • 応募者を適切に評価できる
  • 自社と内定者のミスマッチを未然に防げる
  • 採用要件をもとに採用活動を円滑に進められる
  • 軌道修正にすばやく対応できる
それぞれのメリットを見ていきましょう。

応募者を適切に評価できる

基準を明確にせずに採用すると、優秀な人材を正しく見抜けないリスクがあります。

明確な採用要件を定め、客観的な評価ができる仕組みを整えることで、面接担当者ごとの評価のばらつきを減らせます。

また長期的な視点で見ても、採用要件を明確化しておけば「この基準は適切だったか」「今後の採用の方向性をどうするか」と振り返って分析し、軌道修正しやすくなります。誰が面接を担当するかにかかわらず、応募者を正しく評価し、最適な人材を獲得できる状態が作れるのです。

面接の評価について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:面接で適切に採用判断するには?採用基準をもとに人材を見極める方法も解説
【関連記事:構造化面接は採用に有効?効果やメリット、質問例をまとめて解説 

自社と内定者のミスマッチを未然に防げる

「採用のミスマッチ」は企業と応募者の双方にとって、機会の損失や不利益となります。せっかく入社してもスキルを生かせない、社風が合わないといった状況が続けば、社員のモチベーションやパフォーマンス維持は難しく、早期離職につながるでしょう。

採用や入社後の教育には人件費と時間がかかるため、ミスマッチが増えるほど不要なコストが拡大し、その分本当に欲しい人材を採用する機会も逃してしまいます。

なお、入社後のパフォーマンスを見極めるには、一般的な自由面接や学歴、職務経験では不十分(活躍相関が低い)であると分かっています。したがって、適切な採用要件を定義し、それに照らし合わせた評価を行うことが、双方のミスマッチを防ぐカギとなるのです。

採用ミスマッチや採用にかかる費用に関しては、以下の記事もあわせてご参考ください。

【関連記事:採用ミスマッチはなぜ起こる?原因と対策を解説
【関連記事:採用ミスマッチを防ぐにはどうすればいい?対策や導入事例を詳しく
【関連記事:採用コストの削減方法とは?コストが増えてしまう原因や減らすコツを紹介 

採用要件をもとに採用活動を円滑に進められる

採用活動は一般的に以下の5段階で進めます。
1.要件定義
2.募集
3.選考
4.内定
5.定着
採用要件の定義は最初のステップであり、採用要件をもとにそれ以降の採用活動が行われます。つまり、採用要件がしっかり定まっていないと、すべての採用活動が間違った方向に進む可能性もあるのです。

採用は企業の発展を支える一大プロジェクトであり、失敗すれば大きな損失となります。採用活動にはコストも時間もかかるため、できるだけ最短で最善の結果を出せるよう、軸となる採用要件の定義には注力しましょう。

選考基準について知りたい方は、こちらもあわせてご覧ください。
【関連記事:選考基準の決め方と選考時の注意点について 

軌道修正にすばやく対応できる

基準を明確にせずに曖昧なままで採用すると、入社後にミスマッチが判明したり、優秀な人材を不採用にしてしまう可能性が高くなります。明確な採用要件を定め、客観的な評価基準を定めることで、面接担当者ごとの評価のばらつきを減らせます。

また長期的な視点で見ても、「この基準は適切だったか」「今後の採用の方向性をどうするか」と効果の分析が可能となり、軌道修正がしやすいというメリットがあります。誰が面接を担当するかに関わらず応募者を正しく評価し、最適な人材を獲得するのが採用要件の目的です。

採用要件を定義しないとどうなる?

採用要件を定義せずに採用活動を行うと、以下のようなデメリットが生じます。
  • ほしい人材から応募が来ない
  • 採用したい人材を確保できない
  • 求職者の内定承諾を得られない
  • 離職率が高まる

ほしい人材から応募が来ない

採用要件を十分に決めていないと、ほしい人材から応募が来ない可能性があります。求職者は求人広告に記載されている労働条件や、必須・希望スキルなど、自分に合っているか確認したうえで応募します。

しかし企業側は採用要件があいまいだと、いざ入社したあとに求職者は満足しても、企業側は「ほしい人材のイメージとは異なっていた……」というケースもゼロではありません。

採用したい人材を確保できない

企業側できちんと採用要件を決めておかないと、採用したい人材を確保できません。採用要件を定義していない場合、採用担当者それぞれの主観に頼って選考することになります。

自社に必要な人材を見抜けず、ミスマッチが発生してしまう要因にもなるでしょう。

求職者の内定承諾を得られない

現在、採用は売り手市場にあり、企業側が求職者を選ぶのではなく、求職者側が企業を選ぶケースも増えています。

そのため、企業側が「入社してほしい理由」を明示する必要があるのです。理由が不明瞭の場合、「私だからでなく、ただ人手がほしいだけか……」「こだわりがない企業なのかな?成長できなさそうだから内定断ろうかな」など、ほかの企業が選ばれてしまうリスクがあります。

離職者が増える

採用要件が決まっていないと、離職率が増える可能性があります。採用要件を定義せずに採用すると、人材像にズレが生じるためミスマッチが起こりやすくなります。

入社後「私この業務苦手なのに、何でここに配属されたんだろう?」「面接官が言っていたことと話が違う……」などの齟齬が出てしまい早期離職者が増える原因になるでしょう。

離職率について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事:離職率が高い要因とは?デメリットや対策を解説 

採用要件の作り方

採用要件を決める会議
求める人材、必要な人材は企業によって異なります。一般的にいわれる「優秀な人材」を採用しても、自社にマッチするとは限りません。

仮に高いスキルを持つ人材を採用したところで、そのスキルを活かせる仕事がない、社風と合わないといったミスマッチが起きると、活躍できずに離職してしまう可能性も潜んでいます。

しかし「採用要件を決めたほうがよいのはわかったけれど、どこから始めたらいいの?」とお悩みの採用担当者も多いのではないでしょうか。

自社に最適な採用要件の作り方は、大まかに2つのパターンにわけられます。
【A】未来の事業や組織から逆算して定義する(演繹的アプローチ)
【B】すでに活躍している人材から定義する(帰納的アプローチ)
これは、どちらかの手法が優れているわけではありません。

自社が求める人材の基準を「未来」もしくは「過去〜現在」から考えるかという「視点」の違いです。理想としては、両方のバランスを考慮しつつ、採用要件を決められると良いでしょう。

それぞれのアプローチ方法を解説していきます。

【A】未来の事業や組織から逆算して定義する(演繹的アプローチ)

採用要件を定義する方法として、一般的に紹介されることが多いのは演繹(えんえき)的アプローチです。採用を含む人員計画は、企業の組織作りに直結するものであり、今後の「ありたい姿」から必要な人材を検討する手法は、非常に合理的といえます。

演繹的アプローチは次の流れで進めます。
A-1.経営方針・事業計画を確認する
A-2.現場責任者、該当部署の社員にヒアリング
A-3.求める人材の基準をリストアップする
A-4.求める基準に優先順位をつける(MUST・WANT・NEGATIVE)
A-5.ペルソナに落とし込む

A-1.経営方針・事業計画を確認する

まずは自社の経営方針や事業計画を確認し、採用担当者自身がその内容を深く理解しましょう。詳細な経営方針や事業計画については、あらためて経営層へのヒアリングを行うことが必要です。この時点で、採用の目的や大まかな方向性をすり合わせておけば、認識のズレも防げます。

また、採用活動には予算が必要なため、事業計画とはとくに切り離せません。まずは経営層としっかり連携し、単なる増員・欠員補充には留まらない採用の価値を共有することが大切です。それにより、人事にありがちな「経営層が採用に対して積極的じゃない」という状況から脱し、昨今注目の高まる「戦略人事」へと舵を切れるでしょう。

A-2.現場責任者、該当部署の社員にヒアリング

次に、今回の採用活動で獲得したい人材について、現場責任者や該当部署の社員にヒアリングを行います。
  • 現在の状況
  • 部署として目指す姿
  • 任せたい業務
など、具体的に話してもらい、徹底的に洗い出すことが大切です。

実際に採用した新入社員が働くのは、配属されるその部署です。現場感覚をきちんと理解し、時には寄り添い、全員を巻き込む気持ちで臨みましょう。そうすれば、入社後の受け入れにも協力が得られ、スムーズな定着・活躍が期待できます。

A-3.求める人材の基準をリストアップする

経営層や現場へのヒアリングを終えたら、求める人物像の条件について、以下のように項目を分けてリストアップします。
  • 条件:勤務地や勤務時間、待遇面の条件
  • スキル:保有資格や技術、スキルなど
  • 人柄:個人の人柄や価値観、仕事に対する姿勢
リストアップのポイントは「どのような仕事を任せたいか」をまず明確にして、「それができる人」を採用の基準とすることです。抽象的な言葉を使わず、具体的に決めていきましょう。

<条件>
勤務内容、勤務地や勤務時間、給与や保障といった待遇など、もっとも基本的な項目が「条件」です。条件面での折り合いがつかなければ、スキルや熱意があっても採用は難しいでしょう。自社の状況や相場との照らし合わせが必要になります。

<スキル>
自社に専門的なスキルや経験、免許や資格が必須かどうかを考えます。経験年数や資格といった経歴の他に、コミュニケーション能力やマネジメントスキルなど、履歴書では判断できない個人の能力もこの項目に含まれます。

<人柄>
人柄は後天的に変化しにくい項目です。よって長期的な視点で採用要件を定める場合は、応募者の価値観と自社の社風が合っているかの見極めがとくに重要です。

応募者の価値観によって「仕事内容、働きやすさ、待遇のどれを重視するか」が決まるため、その合致度によって、入社後の勤務姿勢や意欲にも影響が出てくるでしょう。また、性格はコミュニケーション能力やリーダシップの有無を判断する材料にもなります。

A-4.求める基準に優先順位をつける(MUST・WANT・NEGATIVE)

求める人材の基準が出揃ったら、その中で優先順位をつけていきます。すべての基準を満たす完璧な応募者はいません。理想を追い求めず、以下の3つに振り分けて考えましょう。

MUST(必須条件):絶対に欠かせない条件
WANT(希望条件):あると望ましい条件
NEGATIVE(不要条件):評価しない条件、もしくは避けたい条件

考え方として、基準を満たさなければ業務が遂行できないものはMUST(必須条件)、入社後に経験や研修で習得可能であればWANT(希望条件)となります。具体的な業務内容と照らし合わせて範囲を決めてください。

また、後天的に伸ばしにくい能力を重視するといった優先順位付けも有効です。加えて、「このような知識やスキルは不要」「こういう価値観の人には入社してほしくない」といった基準は、NEGATIVE(不要条件)として明確にしておきましょう。これにより、自社に最適な採用要件が定義できます。

A-5.ペルソナに落とし込む

ここまでのステップで、採用要件の軸が見えてきたはずです。しかし採用成功を狙うなら、もう一歩踏み込んで「ペルソナ」を設定することをおすすめします。

ペルソナとは、マーケティングの分野で「商品やサービスを利用する典型的なユーザー像」を指します。採用におけるペルソナ(採用ペルソナ)は「採用要件を具体化した、自社が求める人物像」と考えると良いでしょう。できるだけ詳細に、いきいきと感じられるレベルでリアルな人物イメージを描きます。

採用ペルソナを設定すると、ただ要件を並べるよりも求める人材のイメージが明確になり、採用関係者の間で認識のズレが起きにくくなります。また、応募者の視点に立ちやすくなり、採用サイトの制作やメディア選定、スカウト文作成など、採用活動全般に活かせるでしょう。

【B】すでに活躍している人材から定義する(帰納的アプローチ)

採用要件を定義するには「現在自社で活躍している社員をベースにして基準を定める」帰納的アプローチも効果的です。すでに活躍している人を分析し、どんな条件であれば自社に合うのかを洗い出します。

ここで大事なのは、活躍している人がなぜ活躍できているのか、その要因を紐解くことです。資格・スキル・経験だけではなく、その人のどのような能力・行動特性が仕事に影響を与えているのかを把握するのが重要です。

なお、活躍人材から採用要件を考える場合も「A-1.経営方針・事業計画を確認する」のステップが前提となります。自社が目指す方向性をふまえたうえで、矛盾や逸脱がないように考えていきましょう。
B-1.活躍人材のリストアップ
B-2.活躍人材のキャリアの洗い出し
B-3.スキル・能力の共通点の整理
B-4.活躍人材への適性検査&共通点の整理
B-5.ペルソナに落とし込む

B-1.活躍人材のリストアップ

帰納的アプローチはまず、自社で活躍している社員をリストアップします。ポイントは以下の3つです。
1. 部署ごとに各責任者がリストアップ・検討する
2. 定量的に測れる項目・客観的事実にもとづく項目を指標にする(主観の排除)
3. 上位2割(20%)に該当する社員を「活躍人材」とする
3番目の上位2割(20%)を活躍人材と位置づけるのは「2-6-2の法則」によるものです。集団においては、パフォーマンスの高い人が2割、中くらいの人が6割、低い人が2割の割合で存在するといわれ、その法則にしたがって上位2割を「活躍している」とみなします。

B-2.活躍人材のキャリアの洗い出し

活躍人材が定義できたら、その人のキャリアを洗い出します。
例えば、中途入社、新卒入社のパターンにわけて考えます。それぞれの項目をヒアリングし、深掘りしていきましょう。
対象ヒアリング項目
中途入社の社員・前職と現職の役割(業種、職種、役職、在籍していたプロジェクト)
・前職と現職の期間(勤続年数、役職やプロジェクトの在籍期間)
・前職と現職の実績(目標達成率、組織内順位、売上実績)
・入社と退職理由(入社した理由、前職を退職した理由)
・現在のスキルや仕事(保有するスキル、現在の業務内容や在籍プロジェクト)
・資格(保有する資格)
新卒入社の社員・学生時代の課外活動(学生時代のアルバイト、サークル、部活など)
・大学名、学部、ゼミ(学校名、学部などの専攻内容、所属していたゼミ)
・成績(学生時代の成績や表彰歴)
・入社理由(採用選考時に聞いた志望動機や入社理由)
・選考官(選考で関わった面接官やリクルーター)
・メンター(入社直後の担当上司やメンター)
対象に合わせた項目を設定してヒアリングしていくことで、自社で活躍している人材の共通項が把握できます。

B-3.スキル・能力の共通点の整理

キャリアを洗い出したら、活躍人材に共通する要素を整理していきます。B-2の内容を表にまとめ、共通点をチェックしてみてください。共通点が見えにくい場合は、もう一段大きな枠組みでとらえてみてください。

例えば、前職が「通信会社で営業マネージャー」「EC会社でWEBディレクター」という2人がいた場合、「IT業界で管理業務に携わっていた」といった傾向を見いだせます。さまざまな視点から共通点を探してみましょう。

B-4.活躍人材への適性検査&共通点の整理

さらに適性検査を活用して、活躍人材のパーソナリティ(性格や価値観、行動特性)を明らかにし、その共通点も整理できると良いでしょう。

ここで取り入れやすい診断ツールとしては、米ギャラップ社の「クリフトンストレングス(旧:ストレングスファインダー)」が挙げられます。クリフトンストレングスとは、約1時間に177の項目が表示され、自分にもっとも当てはまるものに回答するテストです。

その他の適性検査について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【関連記事:【適性検査とは?】30種類の検査の特徴と選び方を一挙解説

B-5.ペルソナに落とし込む

さまざまな角度から活躍人材の共通点を整理できたら、最後はA-5(演繹的アプローチ)と同様に、ペルソナに落とし込みます。実際の社員をベースに要件を抽出しているため、前述の【A】演繹的アプローチよりも、具体的な人物イメージを描きやすいかもしれません。

活躍人材の共通点は、自社にマッチする採用要件の大きなヒントとなります。さらに、そこから詳細な人物像を設定することで、関係者同士の共通認識が深まり、スムーズな採用活動につながるでしょう。

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採用要件定義からペルソナ設定までの具体例【営業職の場合】

ここまで、演繹的アプローチと帰納的アプローチの2つの方法を解説しました。とはいえ、説明だけ読んでいても、具体的にどのように取り入れればよいかイメージが湧きにくいかもしれません。ここでは営業職を例に、採用要件定義からペルソナ設定までの具体例を紹介します。

ここでは、上記【B:帰納的アプローチ】である「すでに活躍している人材から定義する」という手法を軸に、自社に合う採用要件を作っていきます。

営業職における採用要件の作り方は次の通りです。
1.活躍している営業社員をリストアップする
2.活躍人材のキャリア・スキル・能力を整理する
3.「活躍する可能性の高い人材」をペルソナに設定する93

1.活躍している営業社員をリストアップする

たとえば採用要件を決めるために重要な事業計画をヒアリングした結果、売上拡大のために「高いパフォーマンスを発揮できる営業人材が必要」という採用目的が明確になった場合、営業職として求められる要件には、次が挙げられます。
  • 目標達成率の高さ
  • 社内MVPの受賞・表彰
  • リピート率の高さ
  • リーダーや部長等への昇進の早さ
  • 平均受注単価の高さ
  • 受注率の高さ など
いずれも主観を含まず、定量的に測れる・客観的事実にもとづく項目であるのが重要です。自社に適した要件を選び(必要に応じて追加し)、営業部の社員を対象に、各項目ごとの評価をまとめます。その後、営業部内で上位2割(20%)の社員を活躍人材としてリストアップしましょう。

2.活躍人材のキャリア・スキル・能力を整理する

営業職の活躍人材をリストアップできたら、各社員のキャリアについて洗い出し、スキルや能力について整理しましょう。以下のようなフォーマットも参考にしてください。

【法人営業の場合】
法人営業の活躍人材スキル
【個人営業の場合】
個人営業の活躍人材スキル

3.「活躍する可能性の高い人材」をペルソナに設定する

自社で活躍している営業社員について共通点を整理したうえで、以下のようなデータが得られたとします。
キャリア前職の役割IT業界の法人営業
前職の期間3年間~
入社した理由給与が高い
現在のスキル・仕事コンピュータハードウェアの知識ハードウェアの企画
資格ITパスポート
スキル・能力営業目標達成率120%以上
組織内順位上位20%以上
対象顧客新規顧客メイン
営業スタイル提案型営業
前職の業種同業種
適性検査
(ストレングスファインダー)
上位1位達成欲
上位2位競争性
上位3位回復志向
これだけでも「自社で活躍する可能性が高い条件」が分かり、採用要件の軸は見えてきます。さらにここから、より具体的なイメージに落とし込み、自社が求める人物像をペルソナとして設定しましょう。例えば、以下のような形が考えられます。
ハイパフォーマーのペルソナ例
この例では業務に直結する部分のみを挙げていますが、以下のようなパーソナルな情報も盛り込むと、よりリアルな人物像を描けます。自社の採用要件として理解・活用が進むよう、十分なペルソナ設計が大切です。
  • 年齢
  • 性別
  • 居住地
  • 恋人・配偶者の有無(家族構成)
  • ライフスタイル
  • 趣味
  • 現在の収入
ペルソナは複数(2〜3人)設定しておくと良いでしょう。なぜなら、実際にはさまざまな応募者がいるため、1人のペルソナだけでは判断しにくい場面が出てくるからです。複数人をイメージすることで、多角的なアプローチも可能になります。

なお、ひとくちに「営業職」といっても、企業やポジションによって採用要件は千差万別です。同業種・同職種であっても、企業規模や社風などは異なるため、他社の事例をそのまま自社に適用はできません。その点に注意し、自社独自の採用要件を考えましょう。

ここで紹介した資料(スキル・能力整理のフォーマット含む)は、以下から無料でダウンロード可能です。より細かい内容を掲載しているので、ぜひご活用ください。

無料ダウンロード可:活躍する営業社員の採用を成功させる方法

採用要件を定義する際の注意点

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採用要件を定義する際は、いくつか押さえておきたい注意点があります。前提として、最初に述べた3つのメリットを忘れないようにしましょう。
  • 応募者を正しく評価する
  • 自社と内定者のミスマッチを防ぐ
  • 採用要件をもとに採用活動を円滑に進める
これらの目的を見失い、採用要件の細部にこだわりすぎると「木を見て森を見ず」の状態になってしまいます。ゴールは採用ではなく、あくまでも入社後の活躍です。採用活動全体を見通し、今どのフェーズを進めているのかという感覚は常に持っておきましょう。

要件を増やしすぎない

企業としては、できるだけ優秀な人材を獲得したいというのが本音です。そのため、採用要件に優先順位をつけられず、あれもこれもと要件を増やしてしまうケースがあります。

しかしこれでは「高望み」であり、採用要件をすべて満たす理想の人材はなかなか現れません。仮にいたとしても、そんなハイスペックな人材が本当に自社を選んでくれるのか、といった冷静な視点も必要です。応募者を必要以上に絞り込まないよう、優先順位を明確にし、多くを求めすぎないようにしましょう。

客観的なデータ(アセスメント)を活用する

ヒアリングした内容をもとに採用要件を組み立てると、しばしば主観的な要素が入ってしまうことがあります。そうすると「正しい評価」や「ミスマッチを防ぐ」目的から離れてしまうため、注意しなくてはなりません。

とくに人の行動や思考パターンは捉えるのが難しく、あいまいになりがちな要因です。ミイダスの「コンピテンシー診断」のような分析ツールを活用し、できるだけ客観的な評価を取り入れましょう。数値化した社員のデータを採用要件に当てはめれば、採用担当者の主観や相対的な評価によるばらつきを抑え、ミスマッチを減らせます。

個人の特性の可視化は、採用だけでなく、既存の社員に活躍の場を設ける手法としても有効です。企業全体の長期的なパフォーマンス向上にも役立つでしょう。

アセスメントツールについて詳しく知りたい、もしくは導入を検討中ならば、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:アセスメントツールとは?5つの導入メリット・選び方の3つのポイントなどを完全解説
【関連記事:アセスメント採用で適材適所を実現!組織にもたらす効果や方法を解説します
【関連記事:アセスメントテストとは?効果や実施方法を分かりやすく解説 

PDCAサイクルを回して改善していく

PDCAとは、以下の頭文字を取った業務改善手法です。
  • Plan(計画)
  • Do(実行)
  • Check(評価)
  • Action(改善)
採用においてもこの考え方は活用できます。採用要件の定義は採用活動の最初に行いますが、一度作ったら変えられないわけではありません。P(計画)→D(実行)→C(評価)→A(改善)のサイクルを回し、常により良い方向へ軌道修正しましょう。

実際に採用活動を進めてみて、思うような成果につながらない場合は、大幅な修正を考えることも必要です。間違った採用要件を貫いて失敗しては、元も子もありません。こまめなPDCAを実践すれば、採用市場の変化にも柔軟に対応できます。

PDCAサイクルについて詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説

採用要件の活用方法

採用要件は「作ったら終わり」ではありません。むしろここからが採用活動のスタートであり、定義した採用要件をどのように活かすかが大切です。

ここでは2つの活用方法を紹介します。
  • 社内・社外の採用関係者と共有する
  • 採用広告やオウンドメディア、スカウト文などに反映する

社内・社外の採用関係者と共有する

採用要件は社内の関係者全員としっかり共有することが必要です。とくに面接担当者とは丁寧に認識を揃え、ブレのない正確な評価ができるよう準備しておきましょう。

また、求人広告やエージェントなど、採用活動では社外の業者に依頼する機会も多々あります。自社はどんな人材を求めているのか、具体的なペルソナまできちんと伝えることで、最適な人材と出会える可能性が高まるはずです。

採用広告やオウンドメディア、スカウト文などに反映する

ペルソナは、選考の基準として用いるだけでなく、採用活動全般に幅広く活用できます。具体的には、以下のような場面が挙げられるでしょう。
  • 採用チャネルの選定
  • 求人広告の切り口や表現
  • ダイレクトリクルーティングのスカウト文
  • 自社採用ページの見せ方
  • SNSでの発信軸
ペルソナの目線を意識すれば、判断・発信内容に統一感が出てメッセージ性が強くなり、本当に欲しい人材に届きやすくなります。逆に、ミスマッチな人材からの応募は減るため、より質の高い母集団形成が可能です。

【関連記事:母集団形成とは?採用の質を高める実践8ステップと13の形成手法

採用要件を明確に定義して自社に最適な人材を採用しよう

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応募者を正しく評価し、双方のミスマッチを防ぐため、採用要件の定義は非常に重要です。採用要件をしっかり定められるかどうかが、以降の採用活動すべてを左右します。

実際に採用要件を考え始めると、その難しさや奥深さに悩まされるかもしれません。そんな場合は、今回紹介した「未来の事業や組織から逆算して定義する」「すでに活躍している人材から定義する」という2つのアプローチから取り組んでみてください。

ペルソナまでしっかり定義できたら、社内・社外の採用関係者と共有するだけでなく、採用活動全般において活用しましょう。採用要件に基づく一貫性のある取り組みが、必ず採用活動の実を結んでくれるはずです。

ミイダスなら採用要件に関する悩み・課題を一挙に解決

ミイダス利用の流れ
採用要件を定義することは大切ですが、一から始めるとなると工数と時間がかかるのも事実。「なるべく負担を減らしたい……」とお考えならば、ミイダスの導入がおすすめです。

ミイダスは、応募者の分析から要件定義、入社後の社員育成、社員のコンディションチェックまで幅広くサポートできます。

ミイダスを導入すると、
  • コンピテンシー診断
  • バイアス診断ゲーム
  • 組織サーベイ
  • ミイダス質問集
などのサービスが利用可能です。なかでも、活躍要因診断は無料で利用でき、何人採用しても定額制なので経営者の負担も抑えられます。今回は要件定義に関わるコンピテンシー診断とバイアス診断ゲームについて詳しく説明します。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

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コンピテンシー診断を参考に採用要件を定義できる

採用要件を決めるためには、現場監督や社員にヒアリングする必要があります。しかし、ヒアリング対象者が部下の理想像が明確でなかったり、課題感を把握していなかったりする可能性もゼロではありません。

また、現場の声は主観的な意見が強くなる傾向があるため、ズレが生じてしまうこともあるでしょう。そんなときに活躍するのがミイダスの「コンピテンシー診断」です。

コンピテンシー診断とは、個人の行動特性や思考性を分析し、仕事における潜在能力や社員の思考傾向を把握できるテストを指します。

ミイダスのコンピテンシー診断では
  • 統率力
  • プレッシャーへの耐力
  • 創造的思考力
  • 問題的解決力
  • チームワーク
など、全9項目・10段階で評価し、社員の行動特性や思考性の把握が可能です。採用要件の定義は、客観的な評価を取り入れることで、定期的な軌道修正の工程も減らせるでしょう。

コンピテンシー診断について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説
【関連記事:【簡単に解説】コンピテンシーとは?意味や使い方、活用事例を紹介

バイアス診断ゲームで採用担当者や現場社員の主観も見直せる

採用要件の定義決めや面接の際に活躍するのがバイアス診断ゲーム。バイアス診断ゲームを受けることで、無意識的に働いてしまう思考の癖(認知バイアス)を認識できます。

採用要件を決めたとしても、面接時に面接官が抱くバイアスによって主観的な判断が混在しブレが生じてしまうでしょう。しかし、面接官が自身が抱きやすいバイアスを認知しておけば、自社で活躍する人材を見極めやすくなります。

ミイダスを導入した企業事例

ここまで、ミイダスのサービスについて説明しました。では実際にミイダスを導入した企業事例を3つ紹介します。導入をお考えの方はぜひご参考ください。

有限会社本杉工機

京都府久御山町に拠点を置く有限会社本杉工機は、鉄道や産業用モーターの修理・整備を行っている企業です。


近年日本において、環境問題に対する意識が高まっていることから、新しい産業用モーターを購入するのではなく、修理や定期的なメンテナンスを行うお客様が増加したため、採用を強化することになりました。

また、採用の課題として定着率が低い点が挙げられていました。求人時点で詳細な採用要件が決められず、入社後のミスマッチが問題となっていたそうです。

そんな矢先、地元の金融機関からミイダスを紹介され、トライアル契約。コンピテンシー診断で求職者の業務の向き・不向き、どんなことにストレスを抱くのかなども把握できるため、ミスマッチを防ぎ、定着率アップに活用していきたいと考えているそうです。

有限会社本杉工機の事例を詳しく知りたい方はこちら

オオホリ建託株式会社

オオホリ建託株式会社は、山形県山形市で建設施工やデザイン企画、ほかにもフードサービスコンサルタントやインターネットメディア事業など幅広く展開している企業です。

いままでのオオホリ建託株式会社の採用スタイルは、建築関係の学校や同業他社からの紹介が多かったそうです。しかし建築士や建築施工管理技士など資格をもつ人材を定期的に採用するのには限界がありました。

そこでミイダスを活用し、企業側から条件に合った人材にアプローチしていく方法に方向転換することに。会社のメンバーにコンピテンシー診断を実施してもらったところ、組織の傾向がわかり、採用の可能性を見いだせたそうです。

オオホリ建託株式会社の事例を詳しく知りたい方はこちら

採用要件を定義して優秀な人材と出会える確率をあげよう

今回は、採用要件(人材要件)が求められる背景や実際に定義する場合の作り方、注意点などを解説しました。採用要件をつくるには、ある程度工数がかかります。しかし定義することでミスマッチを防いだり、今後の自社の採用サイトを作成したりする際に活用できます。

また、ミイダスを活用すれば「未経験でも良い人材」の採用要件を立てられるため、自社にぴったりの人材を幅広く獲得できるでしょう。

採用要件定義でお悩みの方、簡単で効率的な採用を行いたい方は、以下よりぜひミイダスにご登録ください。活躍・定着人材を分析できる「コンピテンシー診断」は15名まで無料でご利用いただけます。

なお、ミイダスをご契約いただいた法人様は、コンピテンシー診断やバイアス診断ゲームの結果を実務で活用する方法を解説する動画教材もご利用いただけます。

まずは以下の無料動画をご覧いただき、各コンテンツがどのようなものか確認してみてください。

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