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離職率が高い会社・業界の特徴は?要因・デメリットと離職率を下げる対策を解説

離職率が高いと、採用活動に多額のコストがかかったり社員の負担が増えたりなどのデメリットが多くあります。イメージアップや人材確保のためにも、離職率を改善する施策を実施している企業も多いのではないでしょうか。

会社や業界によって、離職率の状況が異なるとの声も聞かれます。高い離職率を回避するためには、離職率が高い会社・業界の特徴や離職率が高まる要因を知り、離職率が高いままであることのデメリットと対策を把握しておく必要があります。

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離職率とは?定義や計算方法、注目される理由を確認

グラフを眺めるビジネスパーソン
離職率とは「ある期間働いていた人のうち、一定期間後に退職した人の割合」を指します。法令の定めはありませんが、厚生労働省の雇用動向調査で用いられる計算式は次の通りです。
離職率 = 離職者数 ÷ ある期間の労働者数 × 100(%)
Aの離職者数はその年の1月1日から12月31日の数をいい、Bの常用労働者数はその年の1月1日時点のものを指します。

離職率は雇用動向調査以外でも算出されます。一般的には年間または月間などの単位で計算され、「新卒」「中途採用者」「全社員」など、対象とする人物や期間は目的や企業によって異なります。

例えば、A社の全従業員50名のうち(※)、1年間(2021年4月〜2022年3月)で5名離職した場合は次のような計算になります。
※2021年4月1日時点の人数
5(1年間で離職した人数)÷ 50(全従業員)× 100(%)= 10%(離職率)
離職率は人事管理や組織運営の健全性や効率性を評価するための重要な指標の一つです。離職率を把握することで、組織の状況を正しく理解する助けになるでしょう。

離職率と定着率との違い

離職率と同様によく耳にするワードとして挙げられるのが「定着率」です。違いを簡単に確認しておきましょう。

定着率とは「入社後の従業員がどのくらい定着しているか」を示す数値を指します。計算方法は次の通りです。
定着率=一定期間後に勤務している人数 ÷ 一定期間の開始時人数×100(%)
離職率とは正反対の意味合いがあります。2つのワードをセットで覚えておくと分かりやすいでしょう。

定着率について詳しく知りたい方は、下記の記事とあわせてご覧ください。

【関連記事:定着率とは?定着率を上げる方法を紹介します

離職率が注目される理由

離職率は、働く側・経営者や人事担当者ともに注目するポイントです。

働く人にとっては「自分自身がその会社で安心して働けるか」を確認するための指標です。離職率が高すぎる場合、安定して働き続けられない事情があるのではないかと警戒して入社を踏みとどまったり、入社後に気づいた場合は実際の不利益を感じて退職を選んだりします。

経営者や人事担当者にとっては、「経営の安定・向上」を図るための指標です。離職が相次ぐと採用コストがかかるだけでなく、生産性も下がり、組織に大きなダメージを与えます。

離職率の高さが引き起こす不利益については、別の項で詳しく解説します。

離職率の平均はどのくらい?離職率の高い業界・低い業界を確認

図表と電卓
厚生労働省の「雇用動向調査」の結果から、現在の離職率の水準や業界による違いを確認してみましょう。

人材不足が叫ばれる中、ここ数年のトレンドでは、一度は大きく上がった入職率が約10年前の水準まで落ち込み、入職率・離職率ともにやや動きの少ない状態にあります。
(本項参考:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省

人材不足について関心のある方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:人手不足が深刻化する日本|現状と原因、企業が実施したい6つの対策

離職率の現状

(出典:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省)
(出典:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
厚生労働省の調査によれば、2021年の離職率は13.9%でした。

入職率から離職率を引いたものを「入職超過率」といいます。入職超過率がプラスであれば入職率が離職率を上回っており(入職超過)、マイナスであれば離職率が入職率を上回っている(離職超過)状態です。

2021年の入職率は14.0%であるため、入職超過率は0.1%となり、わずかに入職する人のほうが多かった結果です。

なお、入職率の内訳は転職した人が8.7%、新卒者や1年以上就業経験のない人が5.2%と転職する人のほうが多いことがわかります。

離職率が高い業界と傾向

産業別入職率・離職率
(出典:令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
上図の青色の棒は入職率を、緑色の棒は離職率を表します。

離職率が最も高いのが「宿泊業・飲食サービス業」で 25.6%、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」が 22.3%です。

これらの業界については新型コロナウイルス感染症などのため、事業活動の縮小を余儀なくされたことの影響も考えられますが、従来の水準からみて極端に離職率が上がったとはいえません。

業界の特徴からみて、離職率が高くなりやすい原因には以下があると考えられます。
  • ライフスタイルの変化に対応しにくい
  • 勤務時間が長い
  • 心身の負荷に給与が釣り合わない

【ライフスタイルの変化に対応しにくい】

サービス業の場合、24時間体制や土日祝日の営業があるなど、シフト制を採用している職場が多くあります。

正社員の場合は特に、家事や体調の心配があっても夜勤や土日祝日の勤務を求められるなど、ライフスタイルの変化に対応しづらい点から離職を選ぶ人が多い傾向にあります。

また、在宅勤務には対応しにくいことも離職率を高くする特徴のひとつです。

【勤務時間が長い】

勤務時間が長さもこれらの業界の特徴のひとつです。

自身の終業時刻を過ぎていてもお客様対応を断ることは難しく、忙しい時間帯には残業も珍しくありません。さらに、責任者であれば人手が足りないときに余分に勤務し、穴を埋めなければならない事情もあります。

どのようなライフスタイルをとっていても、勤務時間が長い状態が慢性化すると、心身に負担がかかり、健康面で心配が出ます。
外食・中食産業における働き方の現状と課題
(出典:第4回働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会 外食・中食産業における働き方の現状と課題について|農林水産省食料産業局
宿泊業や飲食業は季節によって繁忙期・閑散期の差が大きい業種です。忙しいからとすぐに人員を増やすことは難しい一方で、人員の不足が顧客の不満に直結するリスクもあります。

そのため、従業員は所定外労働の発生や、休みも取りにくい状況に陥り、結果的に離職につながりやすいといえるでしょう。

【心身の負荷に給与が釣り合わない】

サービス業界では多くの職種・業務で身体的な負荷がかかる、いわゆる肉体労働や立ち仕事が含まれます。身体的な特徴については個人間の差が大きい部分でありながらも、疲労を感じる場面は他の業種よりも多くなるでしょう。

また、直接お客様に接する仕事や人に対するサービスを提供する仕事である点から、心理的なストレスを感じやすいのも特徴です。

コミュニケーションが顧客への価値や企業イメージを大きく左右する業務は「感情労働」とも呼ばれます。働く人には自らの感情をコントロールし、良い印象を与え続けるよう時には気持ちを抑え込むことが求められるため、ストレスを抱えやすくなります。

心身にこれだけ多くの負担がある中で、「宿泊業・飲食サービス業」や「生活関連サービス業・娯楽業」の給与は他の業界に比べ低い傾向にあります。(参考:労働統計要覧(令和4年度)|厚生労働省

同世代と比べて給与が低く、つらい仕事であれば、離職やキャリアチェンジを考える人が増えても不思議ではありません。

離職率が低い業界と傾向

一方で、上記の厚生労働省の調査によると、複合サービス事業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業など、保険や金融・インフラ関係の業界において離職率が低い傾向が明らかになりました。

離職率が低い理由としては、
  • 給料が安定している・納得できる
  • ライフスタイルに合った働き方がかなう
といった点が挙げられます。

【給料が安定している・納得できる】

インフラ業界や金融業界の給与は、他の業界に比べて高い傾向があります。離職率の高い業界と比べると、2倍以上の平均給与の差がある場合もあり、この傾向は多少世の中の経済状況が変動した時期でも大きく変わることはありませんでした。

責任の重い仕事であったとしても納得感がある給料を得られるため、積極的に離職しようと考える人は少ないと考えられます。

【ライフスタイルに合った働き方がかなう】

インフラ関係の業界には大企業も多くあります。福利厚生が充実していたり、有給休暇を取得しやすかったり、出産・育児・介護に伴う働き方の調整ができたりと、ライフスタイルが変化しても会社側が応援してくれる仕組みが整っている場合が少なくありません。

また、スタートアップ企業やベンチャー企業であったとしても、情報通信業などでは比較的新しい文化を受け入れる傾向があります。フレックスタイム制度やリモートワークを導入したり、時短勤務を認めたりすることで優秀な人材を逃さない工夫をしている企業も見受けられます。

日本の離職率は世界と比べて低い?

性別・年齢階級別勤続年数
(出典:データブック国際労働比較2023 p. 139|独立行政法人労働政策研究・研修機構
世界各国に比べ、日本では同じ企業で長く勤続する人が多い傾向にあります。

日本は年功序列や終身雇用制度が導入されており、長く働けば働くほど昇給・昇進する傾向があることが一因です。

日本の離職率が低いと言われている理由と、今後の展望について、世界との比較から見てみましょう。

年功序列と海外の雇用文化

【日本の年功序列制度】

日本の企業文化においては長らく、長期間の勤続とともに昇進や給与の増加がある「年功序列制度」が一般的でした。年功序列制度は、従業員が組織に長く貢献することを評価し、キャリアの安定性や企業に対する忠誠心を重視する特徴があります。

年功序列に新卒一括採用、終身雇用制度の文化が紐づき、従業員は同じ職位に長く留まることが大半でした。

年功序列制度の良いところは、キャリアだけでなく従業員の雇用が安定し、一定の給与が得られ、経済的な安定を得られる点です。

しかし、価値観の多様化に伴い、年功序列制度に対する反発の声も高まっていきました。

「出る杭は打たれる」「長いものには巻かれろ」という文化ではイノベーションが起きにくい、有能な人材が育たないか、流出してしまうなどの理由から、近年では成果主義や能力評価の導入を進め、年功序列制度だけではないジョブ型雇用などの方法を採用する企業も増えています。

ジョブ型雇用については別の項で解説します。

【海外の雇用文化】

多くの海外の国々では、日本の年功序列制度とは異なる雇用文化が存在します。主な特徴は以下のとおりです。
  • 成果主義とスキル
  • フラットな組織構造
  • キャリアの柔軟性
  • ワークライフバランス
  • 多様性とインクルージョン
多くの海外企業では、成果やスキルに基づいて昇進や給与の評価が行われる傾向があります。能力や実績が評価され、従業員間で切磋琢磨し、上下関係にかかわらず自分の意見を発言しやすい雰囲気があります。

また、多くの国で挑戦を歓迎する文化があることも特徴です。キャリアの選択肢や転職の機会が多い国もあり、従業員は自身の興味やスキルに合わせてキャリアを築くことができます。アルムナイといって、一度退職して勉学や他社での業務を経験し、再び会社に戻るような働き方も可能です。

一度仕事に就いて資金を貯めたり、見識を深めたりして、新たな関心のもと大学・大学院などに通い直す人も少なくありません。日本では「社会人大学生」という言葉がありますが、欧米では社会人入学が珍しくなく、高校を卒業したばかりの人と社会人とが同級生になっても同じように学びを重ね、それぞれのキャリアを描きます。

さらに、ワークライフバランスや多様性が重視され、効率的な働き方や柔軟な労働環境を認め合う傾向もあります。バックグラウンドの異なる多国籍のチームを形成する企業が多いため、必然的に年功序列制度ではない方法で給与テーブルを定め、評価を行う必要があるわけです。

これらの理由から、海外では離職率が低いことが必ずしも悪いこととはみなされません。海外の採用事情についてより詳しく知りたい方は、次の記事もご覧ください。

【関連記事:海外と日本の採用方法の違いとは?日本企業も真似できる?

日本もジョブ型雇用の導入により離職率が高くなる?

ジョブ型雇用は海外ではポピュラーな雇用方法で、徐々に日本でも導入されています。そしてジョブ型雇用の導入によって、離職率が高くなる可能性があるのです。

そもそも日本では、主な雇用方法として次の2つが挙げられます。
  • メンバーシップ雇用
  • ジョブ型雇用
メンバーシップ雇用とは「採用後に業務内容や勤務地を割り当てられる」方法で、日本企業で多く取り入れられています。

一方で、ジョブ型雇用は「業務内容や勤務地、労働時間などを明確にしたうえで、応募者の合意のもとに採用する」システムです。

メンバーシップ雇用のメリットとしては、ジョブローテーション制度と相性がよく、事業の縮小が決まっても配置換えで雇用を守りやすい点が挙げられます。ただし、能力やパフォーマンスの低い従業員も簡単に解雇ができない点はデメリットです。

ジョブ型雇用は、求職者のスキルや得意分野を理解し、お互いの合意のうえで業務に遂行します。そのため生産性の向上や、スキルに見合った給料を支払えるなどのメリットがあります。ただしポジションごとに担当業務と管轄が決められているため、やりたい仕事ができなくなれば転職を選ぶ従業員が増加するでしょう。

上記のような特徴の違いから、結果的にジョブ型雇用の導入によって離職率が高まると考えられます。

離職率が高くなる要因

考え事をするビジネスパーソン
離職率が高くなる要因として、
  • 人間関係のストレス
  • 業務内容に対する不満
  • 働き方の柔軟性
  • やりがいやキャリアアップが見込めない
  • 給料と業務量・業務の責任が見合っていない
  • 残業が多い
などが挙げられます。それぞれの要因を見ていきましょう。

人間関係のストレス

人間関係のストレスはよくある離職理由のひとつです。

職場はたくさんの人が行き交う場であり、自分との意見が合わずに衝突してしまうシーンも多々あります。特に、先輩や上司と意見が合わなかったり、自分のアイデアを受け入れてもらえない機会が多かったりすると離職の原因になりかねません。

入社前に想像していた社内の雰囲気と入社後のイメージが異なり、なじめないケースも早期離職の要因となります。

人間関係のストレスが離職理由につながる原因には、お互いの本音が伝わりにくいことがあります。

人間関係のストレスがあるからといって、明らかなハラスメントがある、いじめをしているという場合ばかりではありません。むしろ、小さな不満や不安が積み重なり、思いのすれ違いが起きて修復できないままに退職してしまう人のほうが多いのです。

部下に退職の意思を打ち明けられたとき「早く相談してくれればよかった」と考える上司は少なくありませんが、部下からすれば毎日SOSのサインを出していたのかもしれません。社内のコミュニケーションについて、こちらの記事でも詳しくお伝えしています。

【関連記事:社内のコミュニケーションストレスの原因は?軽減方法を解説

業務内容に対する不満

業務内容に対する不満も離職に直結しやすいでしょう。

原因としては、
  • その人に合った部署の配置が行えていない
  • その人の潜在能力やパーソナリティが把握できていない
などが挙げられます。

従業員のスキルや潜在能力に合わせた人材配置、育成を行う必要があるでしょう。早期離職を防ぐためには、スキルや潜在能力に合っているかどうかを採用の段階で見極めることが重要です。

「優秀な人がほしい」と願っても、その人が最も能力を発揮できる仕事を自社で用意できなかったり、個人としては素晴らしい能力を持っていても、チームのメンバーや文化と合わず能力が開花しなかったりしてはもったいないことです。

どんな企業でもフィットする「優秀な人」を探すよりも、自社に合う人材を探すほうが、組織全体の生産性を高め、成果をあげていくためには重要です。

適材適所の人材配置や採用についてより深く知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:アセスメント採用で適材適所を実現!組織にもたらす効果や方法を解説します
【関連記事:人事異動の目的を解説!適材適所を実現する流れとポイントとは?

働き方が選べない

雇用形態や働き方に多様性がない企業も離職を招きやすいと言えます。

結婚や出産・介護などでライフスタイルが変わると、働き方を見直さなければなりません。勤務日を減らしたり、短時間勤務や在宅ワークなどにシフトしたりする必要があるでしょう。

近年では、従業員が月の総労働時間に対して始業・就業時間を決められるフレックスタイム制度や短時間勤務、リモートワークなどを導入する企業も増えています。

従業員側の生活を汲み取った柔軟な対応をしなければ離職率アップ・定着率低下につながるでしょう。
すべての部門で働き方を変えることは難しくても、一部の部門で融通がきくようにすることも効果的です。働き方に選択の幅があることで従業員が安心感を持ち、お互いに相談しやすくなる可能性があります。

リモートワークの導入にお悩みの方には、こちらの記事もおすすめです。

【関連記事:リモートワーク(テレワーク)でサボる人への対処方法は廃止しかない?働き方・マネジメントや求人の工夫を解説

やりがいやキャリアアップが見込めない

やりがいがないと離職を考えるリスクが上がるでしょう。求人広告やセミナーなどで「当社はやりがいがあります!」と全面にアピールしても、実際には入社してみないとわかりません。

なお採用した人材が具体的にどんな業務にやりがいを感じるかは、採用時点では判断しにくいでしょう。そのため、コンピテンシー診断や構造化面接などの工夫を取り入れる必要があります。本人が「思っていたやりがいを感じられない」と考えた場合、早期離職につながる可能性があります。

給料と業務量が見合っていない

やりがいがないと離職を考えるリスクが上がります。

とはいえ、企業側が「この業務はやりがいがある」と考えていても、採用した人材が同じようにその業務にやりがいを感じるとは限りません。

また、具体的にどのような業務にやりがいを感じるかを採用時点で見極めることは簡単ではありません。たとえば、「あなたがこれまで仕事でやりがいを感じた場面について話してください」と質問しても、同じような状況が自社では想像できない、本人がうまく答えられないといった場合、判断がつきません。

そのため、コンピテンシー診断や構造化面接などの工夫を取り入れる必要があります。構造化面接の導入をお考えの方は、ぜひその前にこちらの記事をご一読ください。

【関連記事:構造化面接は採用に有効?導入される理由やメリット、質問例をまとめて解説

給料と業務量・業務の責任が見合っていない

給料と業務量が見合っていないと離職につながります。

「こんなに働いているのに、1カ月の給料が上がらない」「ボーナスの評価基準がよくわからない」「部下に押しつけるわけにいかないからいつも自分が負担を被っている」など、疲労感や負担の重さを苦にして離職してしまう人がいます。

そもそも給料と業務量、業務内容や責任の重さが噛み合っていないと感じるのは、なんらかの不安や不満があるからです。
  • 将来への不安を押し下げる(希望をもたせる)
  • 負担をねぎらい、負担の偏重を解消する
  • 不安や不満を上司・人事担当者がつかみとる仕組みを設ける
個々人の思いと会社側の事情をすり合わせる必要がありますが、これらの工夫である程度働く側の不安や不満を下げる助けになります。

従業員の不安や不満を受け止める方法のひとつに、1on1ミーティングがあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法

残業が多い

残業が多いのも離職の原因となります。

近年は働き方改革やグローバル化の影響で残業時間は減少傾向にありますが、依然として残業が当たり前になっている職種も多数存在します。プライベートの時間が取れず、仕事しかしていないと感じると離職を考える人もいるでしょう。

先に挙げた離職率の高い業界でも、残業の多い傾向があります。働き手を増やすことで業務を分散する、オートメーションを駆使して業務の効率化を図るなど、できる範囲でのダイナミックな改革が必要です。

生産性向上に関心のある方は、ぜひ以下の記事もチェックしてください。

【関連記事:生産性向上とは?必要とされる背景や具体的な取り組み施策を解説!

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離職率の高さが引き起こすデメリット

虫眼鏡でDemeritの文字を覗く様子
離職率の高さが引き起こすデメリットは、次の通りです。
  • 採用、教育コストが無駄になる
  • 企業にノウハウがたまりにくい
  • 企業のイメージダウンにつながる
  • 人材確保が難しく、既存社員の負担が増える
それぞれのデメリットを確認していきましょう。

採用・教育コストが無駄になる

離職する人が増加した場合、採用や教育コストが無駄になります。新卒採用にかかるコストは1人あたり平均で約90万円、中途採用は約100万円と言われています。

教育コストは企業によっても異なりますが、ビジネスマナー研修やOJTなどを行ったあとの離職は莫大な損失です。また、離職者の穴を埋めるために、再び採用コストがかかってしまいます。

コストを抑えるためにも企業は離職率を下げる必要があるでしょう。

企業にノウハウがたまりにくい

企業の離職率が高いと、企業独自のノウハウが蓄積されにくくなります。そうするとスキルの継承がしづらくなってしまい、結果として生産性が低下してしまうでしょう。

離職者を補充するために従業員を雇っても、まともなノウハウを確立できないため、今までの新人と同様に離職してしまう悪循環を生みます。最悪の場合、人手不足で倒産という事態を引き起こしかねません。

企業のイメージダウンにつながる

離職率は企業のイメージにも影響します。求職者はハローワークや就職四季報などで気になった企業の離職率の調査が可能です。離職率が高い、またはデータを開示していない場合、労働環境が悪い・きついなどのマイナスイメージを持たれてしまう可能性が高まります。

たとえ企業側に何か仕方のない事情があったとしても、高い離職率は求職者に不信感と疑問を抱かせ、応募を妨げる原因になるでしょう。

数年続けて離職率が高いと、特に不信感を持たれてしまいます。求職者を確保するためにも、離職率を下げる対策を行ったほうが良いでしょう。

人材確保が難しく、既存社員の負担が増える

離職率が高くなると、人材が確保しにくくなり既存の従業員の負担が増えます。

離職率を参考にしている人材の応募が減るだけでなく、せっかく採用した人材も定着しないため、人手不足に陥ります。そうなると既存の社員の業務が増え、不満が溜まり離職の連鎖を招いてしまうおそれもあるのです。

離職率の低さ=働きやすさではない

ミーティングする人々
ここまで離職率のデメリットについて解説してきました。しかし、離職率が低いからといって必ずしも働きやすさにつながるわけではありません。

企業によっては、
  • 年功序列で昇給やキャリアアップに時間がかかる
  • 社内の活性化がされていない
  • 離職する人が少なく、辞めると言えない
というネガティブな理由により離職する人が少ない場合もあります。

むしろ「一定程度人材が入れ替わることで、組織内の新陳代謝が起こり新たな考えやイノベーションが生まれる」という考え方もあります。特にスタートアップ企業などでみられます。

組織自体も変化していくものであり、そのフェーズごとに必要な人材像が異なるため、人の入れ替わりを悲観せず、多様な価値観を受け入れることで成長しようとする考えです。

企業側は離職率のパーセンテージばかり気にするのではなく、自社の理念や成長フェーズ、文化にしたがって対策を立てると良いでしょう。

離職率を下げるにはどうしたらいい?

クエスチョンマークを手にのせるビジネスパーソン
離職率を下げるためには、次のような対策が考えられます。
  • キャリアパスを複数用意
  • AIやIoTを活用し、残業を減らす
  • 働き方の幅を増やす
  • 採用時のミスマッチを減らす
  • 従業員や応募者のコンピテンシーを把握する

キャリアパスを複数用意する

キャリアパスとは業務においての立ち位置や、将来にたどり着くと考えられるキャリアの道筋のことです。

一般的には、
  • 社内の異動
  • 昇進に関わるステップアップ
など、新人社員が社内でキャリアアップする道筋を指します。

社員に自社でのキャリアパスを説明すると、スキルや経験を磨くことで得られる役職を確認できるため、モチベーションアップや業務に対する意識改善効果が見込めます。

複数のキャリアパスを用意し一人ひとりに合った働き方を示すことで、社員は自分が自社で活躍するイメージをしやすくなるでしょう。やりがいや目標を持って日々の業務に取り組めるため、離職率を下げる効果を期待できます。

また、複数のキャリアパスの具体的な例として「複線型人事制度」があります。ジェネラリスト型の総合職としてのルートと専門職のルートを設け、いずれかを選択してキャリアを積み上げる方法で、近年採用する企業が増えています。

AIやIoTを活用し残業を極力減らす

宿泊業や飲食業などはAIロボットやIoT(Internet of Things)を活用し、従業員の負担や残業を減らすよう心がけていく必要があるでしょう。

「AIロボットを導入するのはお金がかかるのでは?」と思いがちですが、上記の業種は人の入れ替わりが激しいのも特徴です。採用コストや育成コストを考えれば、デジタルを活用するのもひとつの方法といえるでしょう。

働き方の幅を増やす

働き方の多様性は離職率を下げるとともに、企業のアピールポイントにもなるでしょう。
  • 短時間・中時間・長時間など、日によってシフトを変えられる
  • フレックス制度を導入する
  • 週数回はリモートワークにする
  • 業務委託を導入する
といった多種多様な働き方を準備しておけば、ライフスタイルの変化による離職を防げます。

子育てや介護など、家族都合のほかに、自身の体調変化による離職も防ぐことができます。加齢による体調変化やがんなどの病気を抱えることは誰しもあり得るため、働き方の幅を増やすしくみづくりを進めることは誰もが関係することでしょう。

採用時のミスマッチを減らす

離職率を下げるには、採用時のミスマッチをなくすと効果的です。人によって仕事に関するストレスは異なります。とはいえ、どんなことでストレスを感じるのかは普段の環境では気づきにくいのが実情です。

採用のミスマッチをなくすには、自社で発生しやすいストレスを把握し、そのストレスに耐えられる人材を採用する必要があります。

また、求職者が自社の社風にフィットするかも離職を防止するポイントです。入社してから「思っていたのと違った」という結果を招くのはお互いに不幸です。面接の段階で言いづらいことや答えづらいことも含め、事前に認識を擦り合わせることで、ミスマッチ防止につながります。

従業員や応募者の潜在能力(コンピテンシー)を把握する

コンピテンシーの活用も、離職率を下げる方法として挙げられます。

ビジネスシーンにおけるコンピテンシー(competency)とは「その人の思考性や行動特性」という意味です。

コンピテンシーを活用する方法としては、まず自社に在籍する優秀な人材(ハイパフォーマー)に、仕事をする上で心がけていることなどをヒアリングします。そしてヒアリング内容から自社で長期的に活躍する人材に共通する特性を把握します。

自社のコンピテンシーを理解することで、今後採用すべき人材が見つけやすくなり、採用コストを削減する効果を期待できるのです。

コンピテンシーについて詳しく知りたい方は、ぜひ下記の関連記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:コンピテンシーとは?4つの活用シーンや分析ツールの導入事例を紹介
【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説

ミイダスとは

ミイダスのサービス説明
コンピテンシー診断の導入を検討されている方にはミイダスがおすすめです。

42万4,950社(2022年12月時点)が導入するアセスメントリクルーティングサービス「ミイダス」では簡単なアンケートに回答するだけで、求職者や従業員のパーソナリティの特徴・ストレス要因・上司または部下になった際のタイプなど、41項目ものコンピテンシー(行動特性)を幅広く分析できます。

ミイダスで用意しているコンピテンシー項目は次の通りです。
コンピテンシー項目コンピテンシー定義
ヴァイタリティ活動的
行動することで生き生きとする。常に忙しくしていたい。やるべきことが沢山ある状態を楽しいと思う。

競争性
勝ちたいと思う。競争を楽しみ、負けることを嫌う。
人あたり社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

面倒み
他人に共感でき、思いやりがある。世話好きで他人の個人的な問題にも支援を惜しまない。
チームワーク社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

協議性
広く相談し、ほかの人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない。
創造的思考力創造的
新しいアイデアを生み出す。新しいものを作り上げることを好む。独創的な解決を考える。

概念性
理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う。
問題解決力データへの関心
数字を扱うことが好きで統計データを分析することを楽しむ。事実や数字に基づいて判断する。

概念性
理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う。
状況適応力社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

人間への関心
人の行動や動機を理解しようとする。人を分析することを楽しむ。
プレッシャーへの耐力余裕
リラックスできる。あまり緊張しない。概ね冷静で落ち着いている。

タフ
あまり他人の言動で傷ついたりしない。侮辱を聞き流せる。自分への批判に対して鈍感である。
オーガナイズ能力先見性
長期的な味方をする。将来の目標を設定し、戦略的に考える。

緻密
物事の細部に目がいく。物事を順序立てて系統的に処理することを好む。細部にとらわれすぎることがある。
統率力指導性
リーダーとなって指揮を取り、何をすべきか人に指示する。主導権を取ることを好む。

協議性
広く相談し、他の人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない。
下記のグラフは、一般的な見極め基準とミイダスのコンピテンシーを利用した見極め基準の効果の違いを表しています。
採用と活躍に関する研究結果
学歴や職務経験年数を重視した採用方法に比べて、ミイダスの見極め基準を活用したほうが採用後に人材が活躍しているというデータが出ています。

また、離職率が高くなる原因として「入社後のミスマッチ」が挙げられます。ミイダスのフィッティング人材分析機能(コンピテンシー診断)を活用すれば、自社のコンピテンシーと合う求職者に直接スカウトすることも可能です。

「人が足りないから」といった理由のみで採用するのではなく、自社に合っていて長期的に活躍してくれる人材か事前に把握できればお互いのメリットになるでしょう。

ミイダスご契約企業様にはお使いいただける、コンピテンシーを活用して人事の力を高める講座のダイジェスト動画もぜひご覧ください。
さらに、採用した人材のその後のコンディションを把握できる「組織サーベイ」も離職率改善に役立ちます。

組織サーベイでは、毎月の簡単なアンケートでデータを収集。社員の変化や離職の兆候をリアルタイムで把握できます。コンピテンシー診断の結果と合わせ、一人ひとりにあった適切なアプローチを可能にします。

はたらく人ファーストアワード

なお、朝日新聞社とミイダスの共催で「はたらく人ファーストアワード2023」が開催されます。「はたらく人ファースト」を行っている企業を称え、その取り組みを発信していくことで、「はたらく人ファースト」な働き方を推進していくものです。

離職率を押し下げる取り組みは、「はたらく人ファースト」につながります。

「はたらく人ファースト宣言」に賛同し、無料で実施できる「はたらきがいサーベイ」を実施することで応募できます。

はたらきがいサーベイを活用することで従業員満足度や貢献意欲などが数値でわかり、アワード参加が企業のブランド価値を高めます。ぜひご参加ください。

はたらく人ファーストアワード2023について詳しく見る

離職率を理解して、自社に合った対策を立てる

この記事では、
  • 離職率とは
  • 離職率が高くなる要因
  • 離職率の高さが引き起こすデメリット
  • 離職率を下げるための対策
  • ミイダスのコンピテンシー診断
について解説しました。

離職率が高いとネガティブなイメージを抱くかもしれませんが、低いからと言って必ずしも働きやすい企業とは限りません。あくまでも数値であることを念頭に入れておきましょう。

とはいえ、毎年離職率が高い場合は、今一度離職の要因や改善点を確認する必要があります。 コンピテンシー診断のようなアセスメントツールで客観的な分析を取り入れると、効果的な施策を立てやすいでしょう。

離職率や入社後のミスマッチに悩んでいる方はぜひミイダスのコンピテンシー診断を活用してみてください。

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