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採用

企業がミドル層を採用する5つのポイント!面接時の注意点も解説

日本の少子高齢化が深刻化するなか、転職市場ではミドル層と呼ばれる30代〜50代に注目が集まっています。

就職氷河期を経験してきた世代として、実力と精神力を兼ね備えた人材が多いとされるミドル層。本記事では、企業がミドル層を採用するポイントや面接時の注意点、ミドル層の採用でよくある疑問・悩みについて解説します。

また、自社にあった人材採用にお悩みの方に向けて、無料のお役立ち資料も用意しています。
社風にあった定着人材の採用を成功させる方法

ミドル層とは何歳からか

ミドル層のイメージ
「ミドル層」の年齢に厳密な定義はありませんが、現在の転職市場では35〜54歳までの中堅人材を指すことが多いでしょう。
  • ヤング層:〜34歳
  • ミドル層:35〜54歳
  • シニア層:55歳〜
ただし、業界や企業によっては30〜50歳を「ミドル層」と呼んでいたり、管理職経験者を意味していたりする場合もあります。

そのため企業としては、求人掲載予定の媒体における「ミドル層」の定義をよく確認するとともに、自社の考える年齢層とは少し外れた候補者からの応募も想定しておきましょう。

求職者においても、35歳前後の人はヤング層向けの求人に、55歳前後の人はシニア層向け求人にも目を向けると、転職先の選択肢を広げられます。

ミドル層の採用が注目される理由

「できる」ミドル層は奪い合いになっている
かつて「転職は35歳まで」とされていましたが、いまはもうその常識は通用しません。ヤング層の売り手市場が続いているのと並行して、優秀なミドル層の奪い合いも激化しています。

なぜ、近年になってミドル層の採用に注目が集まったのでしょうか?おもな理由として次の3つが考えられます。
  • 若手世代(ヤング層)の減少
  • マネジメント人材の不足
  • 「転職」に対する意識の変化

若手世代(ヤング層)の減少

人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)
出典:総務省統計局「人口推計(2021年(令和3年)10月1日現在)
‐全国:年齢(各歳)、男女別人口 ・ 都道府県:年齢(5歳階級)、男女別人口‐
少子高齢化が進み、生産人口は減少の一途を辿っています。とくに35歳未満のヤング層においては、今後も先細りになることが人口推計からも明らかです。

ヤング層の採用、とりわけ新卒採用では大企業が有利であり、中小企業が優秀な若手を獲得するのは非常に難しい状況と言えるでしょう。

よって高齢化が問題となっている業界を中心に、人手不足を補う目的でミドル層まで採用枠が広がっています。

マネジメント人材の不足

マネジメント人材の不足も、ミドル層の採用が加速した理由の1つです。

現在の管理職層の多くは、1990年代半ばから2000年代前半にかけて社会に出た、いわゆる就職氷河期世代です。不況によって当時の新卒採用を控えた結果、マネジメント人材が欠如してしまった企業は少なくありません。

そのため、管理職経験者の多いミドル層で、優秀なマネジメント人材の奪い合いが発生しているのです。

「転職」に対する意識の変化

終身雇用が崩れ、キャリア形成やキャリアアップの手段として転職を視野にいれる人が増えました。「転職」への心理的ハードルが下がり、ヤング層はもちろん、ミドル層も転職をポジティブに捉えるよう意識が変化しています。
転職市場や働く人々の意識の変化により、それまで中途採用をヤング層に絞っていた企業も、ミドル層の採用を検討せざるを得ない状況となっています。

企業がミドル層を採用するメリット

活躍するミドル層
ミドル層は10〜30年ほどの社会人経験を持つベテラン人材が中心です。ただ人手不足を補う以外にも、ミドル層の採用にはさまざまなメリットがあります。
  • 豊富な経験値がある
  • 教育コストが抑制できる
  • 人脈や業界情報を持っている

豊富な経験値がある

ミドル層には、10年以上の経験に基づいた即戦力が期待できます。
  • 業界に精通した専門スキル
  • 管理職としてチームを統括した経験
  • 部下や後輩の育成経験
  • 経営の領域に関わった経験
これらは、20代のヤング層にはないミドル層ならではの貴重な経験値といってよいでしょう。ミドル層を適切なポジションで採用できれば、組織の活性化が実現できます。

教育コストが抑制できる

ミドル層の多くは、どの仕事でも活用できるポータブルスキルを備えているため、教育コストを抑制できます。

ポータブルスキルとは「職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのこと」(厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)」より引用)。たとえば次のようなスキルです。
  • 情報収集や分析によって現状を把握するスキル
  • 課題を抽出し、解決までの計画を立てるスキル
  • 社内外の人間と利害調整や合意形成を行うスキル
つまり、どのような業種・職種であっても必要となる「社会人としての基礎的スキル」と言い換えてよいでしょう。

一般的に、新卒で採用した新人はポータブルスキルを持っていません。よって新人研修やOJTで教育が必要になります。

一方、社会人経験の長いミドル層は教育がすでに完了しているため、教育コストを抑えて戦力化できます。

人脈や業界情報を持っている

50代以上のミドル層のなかには、経営や事業戦略に関わった経験を持ち、自社にはない人脈や業界経験を携えている人材もいます。企業がこれまでとまったく異なる分野に挑戦する場合は、その道の経験値が高いミドル層が頼りになることでしょう。

組織の強化や最適化をはかる意味でも、自社に足りない面を補えるミドル層の採用はメリットが大きいと言えます。

ミドル層を採用するときの5つのポイント

ミドル層の候補者のイメージ
では、ミドル層を採用するとなった場合、どのようなポイントを押さえればいいのでしょうか? ここでは、次の5つにわけて紹介します。
1.求める能力の優先順位をつける
2.採用後のポジションの流動性を把握しておく
3.社風に合う人物像を定義しておく
4.リファラル採用を検討する
5.採用後の教育制度を用意する

1.求める能力の優先順位をつける

まずは人材の求める能力の優先順位を決めましょう。「どのような人を採用するか」は採用要件や人材要件と呼ばれ、ミドル層に限らず、どの層を採用するときも必要になります。

中途採用支援サイト『エン 人事のミカタ』が行った「企業のミドル層(35歳~55歳)採用意識調査」によると、ミドル層に求める能力の1位が「専門性」、2位が「自社にない能力・経験」、3位が「マネジメント能力」とのこと。
年功序列が崩れたとはいえ、ミドル層の給与水準はヤング層よりも上です。中途採用ではどの企業も候補者の実務経験やスキルを見ますが、ミドル層では給与に見合うだけの希少価値を求める企業が多いと言えるでしょう。
採用要件の具体的な作成方法については、こちらの記事をご覧ください。
【関連記事:採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説

2.採用後のポジションの流動性を把握しておく

ほとんどの中途採用では、採用後のポジションや業務内容が決まっている状態で採用活動を行います。ただ、求人スタートから入社までの期間で事情が変わることも珍しくはないでしょう。

ミドル層の採用では「どこまでフィックスされていて、採用後に変更となる可能性はどれくらいあるのか」をできるだけ見積もっておくことが重要です。なぜならば、採用選考ではミドル層も「この会社で自分のキャリアプランを実現できるだろうか」と企業を冷静に評価するためです。
  • 面接で言っていたポジションとは違うところを任せられた
  • 最初は希望どおりの業務内容だったが、すぐに別の業務へ変更になった
  • 面接時に入って欲しいと言われたプロジェクトとは別のものに参加させられた
このような状況になると、キャリアプランが崩れるとして離職につながるおそれがあります。募集〜入社までの期間中に事情が変わる可能性があるなら、採用前にしっかり説明し、納得を得ておきましょう。

3.社風に合う人物像を定義しておく

採用活動では、企業文化に合った人材の採用が求められます。どれだけ豊富な経験があり、ポジションにマッチするスキルを備えていても、社風にあわない人材は企業に定着してくれません。

企業のビジョンや価値観などを人事担当者のなかで言語化し、自社なりの「社風に合う人物像」を定義しておく必要があるでしょう。

これまでの採用活動に基づいて「定着しやすい人材の特徴」をリストアップするのもよいですが、より客観的に定義するならアセスメントツールの活用がおすすめです。

アセスメントツールとしては、たとえばコンピテンシー診断が挙げられます。コンピテンシーとは、その人の仕事における思考性や行動特性のこと。コンピテンシーを分析すれば、自社の社風にフィットする人材の特徴が可視化できます。

コンピテンシーおよびコンピテンシー診断の詳細は、こちらの関連記事をご覧ください。

【関連記事:コンピテンシーとは?4つの活用シーンや分析ツールの導入事例を紹介
【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
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4.リファラル採用を検討する

ミドル層の採用方法として、従業員の紹介や推薦で人材を採用する「リファラル採用」も選択肢の1つです。
  • エージェントなどを使うより採用コストを抑えられる
  • 社風をよく理解している従業員の推薦のため、定着人材を採用できる可能性が高い
  • 従来の縁故採用と違い、他の候補者と同じように選考を行って人材を見極められる
リファラル採用は欧米でよく使われる採用方法で、近年は日本でも導入する企業が増えています。

ミドル層、とくに管理職以上のハイクラス転職になると、転職エージェントを活用する企業も多いでしょう。とはいえ、なかには転職を視野に入れながらも、まだ具体的に行動していない人材もいます。

リファラル採用なら、そのような転職市場に出ていない人材とも幅広く接触できます。

5.採用後の教育制度を用意する

日本の人事部 人事白書2021』によると、課長クラス向けに研修を行っていると回答した企業は全体の約6割。そのうち「研修会社や外部講師による集合研修」が約7割となっています。

なお、ミイダスでも契約中の企業さま限定で、無料で学べる研修コンテンツをリリースしました。ミイダスのコンピテンシー診断やバイアス診断ゲームの結果を活用し、従業員一人ひとりの特性にあった講座で効果的に成長を促せる内容となっています。ぜひこちらの動画で概要をご確認ください。

ミドル層の採用面接における注意点

面接の準備をする採用担当者たちのイメージ
優秀なミドル層は争奪戦となっており、採用面接では「選ぶ側」であると同時に「選ばれる側」であると認識しておく必要があります。

ここからは、ミドル層の採用面接における注意点を紹介します。
  • プライベートに配慮する
  • 候補者のキャリアプランを確認する
  • 候補者のキャリアを適切に評価する
  • 管理職としてのコミュニケーション能力を見極める

プライベートに配慮する

ミドル層のなかには、
  • 親の介護があって転勤が難しい
  • 子どもの関係で長期出張は難しい
  • 定期的な通院が必要
など、プライベートに配慮が必要な人もいます。

面接で希望する働き方を確認するとともに、在宅勤務やフレックスタイム制度を導入しているのであれば、しっかりアピールしましょう。

候補者のキャリアプランを確認する

候補者のキャリアプランをヒアリングし、自社で実現できる可能性があるか検討しましょう。
  • 将来は新規プロジェクトの立ち上げに携わって欲しい
  • 海外勤務も視野に入れて欲しい
など、候補者のキャリアアップにつながる提案ができれば、入社へのモチベーションを高められます。

ただし、ミドル層のなかには「スペシャリストとして第一線で働き続けたい」と考える候補者もいます。「ミドル層なら管理職を目指したいはずだ」と決めつけず、柔軟な視点で候補者の意向を確かめましょう。

また、候補者のキャリアプランに沿えない場合でも「それは難しいが、こういったキャリアはどうだろうか?」と誠実に対応することが大切です。

候補者のキャリアを適切に評価する

ミドル層のなかには華々しい経歴や職務経験を持つ人もいます。そのような候補者の面接をすると、どうしても「優秀に違いない」と決めつける認知バイアスが面接官のなかに発生しやすくなります。

ただ、候補者のキャリアのすべてが自社のなかで活用できるとは限りません。自社としての評価軸を持って適切に評価するよう心がけましょう。

認知バイアスおよび認知バイアス測定ツールについてはこちらをご覧ください。
【関連記事採用面接を補うバイアス診断ゲームとは?面接だけで決めない中途採用が重要に!

管理職としてのコミュニケーション能力を見極める

ミドル層をマネジメント職や管理職候補として採用する場合は、「管理職としてのコミュニケーション能力」の見極めも重要です。

管理職に求められるコミュニケーション能力とは何でしょうか?ミドル層の採用では、人柄、とくに柔軟性や適応力を重視するという声がありますが、これを深掘りすると次の3つの能力と言い換えられます。
  • 部署やメンバーの調整力
  • 世代間ギャップを越えて信頼関係を築く能力
  • 多様性を許容できる能力
年下の社員に対して横柄な態度を取ったり、1つのやり方に固執したりするようでは管理職は務まりません。自社の従業員を率いる人材として十分なコミュニケーション能力を持っているか、面接で見極めましょう。

なお、昨今の採用活動ではオンライン面接が広まりつつあります。オンライン面接のポイントについては、こちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
【関連記事コロナ禍で進む「オンライン面接」。 「構造化面接」との併用で、見極め精度は格段に向上する!

ミドル層の採用でよくある悩みや疑問

ミドル層の採用において、採用担当者が抱えやすい悩みや疑問について解説します。
  • ミドル層の未経験採用はあり?
  • ミドル層の女性採用のポイントは?
  • 活躍してくれないミドル層の採用を避けるには?

ミドル層の未経験採用はあり?

結論を先に言うと、現時点で経験者の採用で苦戦している企業は、異業種や異職種からのミドル層の転職希望者も積極的に採用ターゲットへ加えるべきです。

近年の転職市場全体で異業種・異職種への転職も一般化しており、ミドル層では異なる職種への転職は多くないものの、異業種への転職は半数を越えるとの調査結果もあります(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「ミドルエイジ層の転職と能力開発・キャリア形成―ミドルエイジ層の転職に関わる人々のインタビュー調査記録―」)自社で活かせるスキル、経験、適性があれば、業種や職種は問わないとする企業は少なくありません。

「新しい業界や職種へ挑戦したい」「これまでと違うキャリアを形成したい」と考えるミドル層へ目を向けることで、母集団を広げられます。

未経験者採用や業界動向の詳細については、こちらの記事をご覧ください。
【関連記事未経験者採用を成功させるには?業界動向やメリット、見極めポイントを解説

ミドル層の女性採用のポイントは?

ミドル層のなかには、高い学歴や確かなスキルと経験がありながら、ブランクゆえに社会に埋もれてしまっている女性求職者は少なくありません。とくに母集団形成が難しい専門職の採用ほど、ミドル層の女性を採用ターゲットに加えるメリットは大きいと言えるでしょう。

ただし、ミドル層の女性は、家庭の都合で柔軟な働き方を必要としている割合が男性よりも高くなります。
  • リモート勤務
  • 時短勤務
  • フレックスタイム制
といった、プライベートと仕事を両立しやすい制度の導入を並行して進められるかが女性採用を成功させる鍵です。

女性採用については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事:女性採用のメリット8つ!成長する企業は女性を採用している理由
【関連記事:女性採用に強いサービス10選 効果的にマッチングする方法を解説
【関連記事:女性からの応募を集める求人のポイントや避けられる企業の特徴を解説
【関連記事:「女性を採用したくない」は時代遅れ?女性採用の必要性とメリット

活躍してくれないミドル層の採用を避けるには?

「ミドルの人材を採用したけれど、のんびりしていて、まったく働いてくれない」という話を聞いたことはないでしょうか?
  • 面接のときと印象が違う
  • 働き方に主体性がない
  • チームメンバーと相性が悪かった
採用での見極めに失敗すると、まれに上記のような問題へ発展してしまいます。採用担当者としては頭の痛い事態と言えるでしょう。
採用方法と入社後のパフォーマンスの相関を調査したグラフ
こちらは採用方法と入社後のパフォーマンスの相関を調査したグラフです。実務試験などの青色で囲った項目は、入社後のパフォーマンスとの相関が強い採用方法。対して、職務経験年数以下は相関が弱い採用方法となります。

職務経験や自由面接といったミドル層の採用で重視される採用方法では、そもそも見極めが難しいことが調査からわかっています。

したがって、精度が高いとされる構造化面接や実務試験などを併用するのが効果的な解決策と言えるでしょう。また、コンピテンシー診断を導入し、あらかじめチームメンバーの特性を診断しておくことで、チームや社風と相性の良い人材タイプを把握・採用できます。

【関連記事構造化面接は採用に有効?効果やメリット、質問例をまとめて解説
【関連記事コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説
【関連記事採用面接で活躍人材を見抜ける人・見抜けない人、 両者の「差」とは?

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ミドル層の採用成功は企業・メンバーとの相性
ミドル層の採用では、即戦力となれるスキルや経験に加えて、社風や既存メンバーとの相性が重視されます。既存の従業員とぶつかってしまったり、自社のやり方に馴染めなかったりすると、本人や周囲の離職を招くおそれがあります。

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