本記事では、その構造化面接について基礎知識やメリット、導入方法、質問例などを解説します。ほかの面接手法との違いやそれぞれに向いている企業についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
◎ 採用面接の2つの鉄則
◎ 採用面接の基本的な流れ
◎ ”これだけは聞きたい” 質問内容4選⋯⋯など
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構造化面接とは?その目的と重要性
すべての採用候補者に対して、あらかじめ同一の基準で設計された中核的な質問を行い、採用後には同じ評価尺度・基準で合否を判定します。ただし、合理的配慮が必要な候補者に対する場合や、事前に設計しておいた追加の質問をすることもできます。これらの工夫により、候補者を公平に評価するのが、構造化面接の目的です。
もともと構造化面接は、臨床心理学の分野で古くから活用されてきた面接手法のひとつで、さまざまな現場に取り入れられてきました。一見シンプルですが、質問を作成するのが難しく、実施するには入念な準備が必要です。
構造化面接が重要視される理由
- 人手不足による生産性向上が重要課題であるため
- 採用ミスマッチを防ぐため
- 公正さが求められる時代へ適応するため
今後は、少子高齢化などによる深刻な人手不足が予測されています。企業が人手不足に対応するには、生産性向上が欠かせません。構造化面接では的確に人材を見極め、本来採用すべき人材の取りこぼしによる機会損失や採用ミスマッチを防げるので、生産性向上につながります。
また、昨今はさまざまな家庭の事情、ジェンダー、出身国といった多様性(ダイバーシティ)を意識して、候補者へ適切な質問を行うことの重要性が増しています。構造化面接では事前に質問を決めておくため、不適切な質問がないか複数人でチェックでき、公正な面接を実施しやすいといえます。
非構造化面接、半構造化面接との違い
非構造化面接とは?
面接官と候補者が会話を通じて自由なやり取りができるので、履歴書など書類からは分からない、応募者の隠された顔を引き出しやすくなります。自社の魅力も伝えやすいでしょう。
しかし、面接官の力量に左右され、バイアスの影響を受けやすいなどのデメリットがあります。非構造化面接の質を上げるなら、適性検査や「コンピテンシー診断」などの客観性のある評価基準とあわせて行う必要があるでしょう。
半構造化面接とは?
誰が面接官でも一定の情報が得られ、必要に応じて情報を掘り下げられるので、公平性と柔軟性のバランスが良い手法といえます。
一方で、質問項目や評価基準を事前に設定する手間や、バイアス対策が求められるなど、構造化面接と非構造化面接どちらのデメリットも補わなければいけません。評価のバラつきは、構造化面接よりは少なく、非構造化面接よりは多くなりやすいです。
構造化面接・非構造化面接・半構造化面接、それぞれ向いている企業とは
<各面接手法の効果を得やすい企業例>
| 面接手法 | 特徴 | 効果を得やすい企業 |
|---|---|---|
| 構造化面接 | 事前に決めた質問をマニュアル通りに投げかける | ・面接官が複数いて、評価にバラつきがある ・面接する求職者の数が多い ・採用しても早期離職が多い ・候補者1人にかかる面接の時間が長い ・面接後に誰を採用するのか悩む、あるいは人手不足のため応募があれば採用している |
| 非構造化面接 | 面接官の裁量に任せて自由に質問を投げかける | ・採用戦略がまだ固まっていない(スタートアップ企業など) ・採用を前提として応募者の入社意欲を引き出したい ・面接官が少数精鋭である |
| 半構造化面接 | 事前に質問を終えたら、自由に質問できる | ・構造化面接のように面接フローの構築に時間をかけられない ・個々の求職者に対し個別に気になるところを自由な質問でフォローしていきたい |
構造化面接を導入するメリット
- 面接の公平性を高められる
- 採用ミスマッチを防ぐことができる
- 客観的な評価ができる
- 採用活動の効率化を図れる
面接の公平性を高められる
構造化面接は、すべての候補者に対して同一の基準で設計された質問を投げかけ、事前に決めておいた評価基準に沿って、公平な視点で採用の合否を判断できます。評価基準が明確なため、特に職務に関する評価について判断理由を説明しやすい点もメリットです。
今は多様性の時代です。厚生労働省でも、家族状況や生活環境といった応募者の適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないよう注意喚起を行っています。構造化面接は、事前に質問項目が決まっているため、相手への配慮がない不適切な質問をするリスクも減らせます。
採用ミスマッチを防ぐことができる
下図は、人材アセスメントツールを提供する「ミイダス」が調査した採用手法と入社後のパフォーマンスの相関の結果です。
<採用の手法と入社後のパフォーマンスの相関関係>

入社後、必ず活躍するのを完全予測1とした場合に、0.4以上の相関係数があれば「パフォーマンスと相関がある」といわれています。学歴や自由面接は0.10と相関が弱いのに対し、構造化面接の相関係数は0.40となっており、人材の活躍との相関が強いと分かります。
この調査結果からも、構造化面接は採用ミスマッチを比較的防ぐやすい手法であるといえるでしょう。
客観的な評価ができる
主観の多くは、面接官が無意識に抱いているバイアスがかかわっています。たとえば、前職の企業イメージや知名度、学歴、容姿などに、評価が左右されてしまうこともあります。
しかし、構造化面接では一定の評価基準を定めたうえで面接を実施するので、上記のような面接官の主観による評価のブレは生じにくくなります。複数人を採用する場合も、客観的かつ公平な評価のもと点数の高い人から採用できるでしょう。
採用活動の効率化を図れる
また、候補者の雰囲気や熱意などが伝わりにくいオンライン面接でも、構造化面接は評価がしやすいとされています。オンライン面接をうまく導入できれば、採用活動のさらなる効率化が図れます。
構造化面接を導入するデメリット
質問に対する回答が偏りがちになる
候補者のなかには、質問される内容を予測して返答する言葉を練習してくる人や、本音を隠して回答する人もいます。候補者の内面を深く知れるような質問を用意し、本質とは異なる回答をしていないか見極める工夫が求められます。
質問の設計に時間がかかる
苦労して質問を作成しても、同じ質問を毎年使い回すことはできません。採用の目的が変わったり、候補者同士で情報共有が行われたりする可能性があるからです。
このように、構造化面接には一時的に工数はかかります。しかし、体制が整えば採用ミスマッチを減らせるので、長期的な視点で見れば採用活動の効率化が期待できます。
面接で入社意欲を高める効果が得にくい
決められた質問を次々と投げかけるので、雰囲気が固くなりやすいためです。固い雰囲気の面接は、候補者の内面を引き出しにくいうえに、冷たい印象を与えるかもしれません。
この対策として、構造化面接では笑顔や柔らかい口調を意識するのがおすすめです。面接とは別にコミュニケーションをとる機会を設けるなど、選考プロセスの見直しも試みましょう。
候補者の潜在能力や特性を見極めるのが難しい
候補者の内面を見極めたい場合は、次のような手法を組み合わせると効果が期待できます。
- 面接を複数回に分けて、別の面接手法でもアプローチする
- 業務の適性やストレス耐性を測るアセスメントツールを活用する
- 本人の明示同意を得た上で、職務関連事項に限定して前職での勤務態度や実績を照会するリファレンスチェックを実施する
- グループワークを取り入れる⋯⋯など
たとえば、アセスメントツールのひとつであるミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」では、求職者の行動特性やストレス耐性などを客観的なデータをもとに分析できます。構造化面接の実施を検討中の方は、ぜひご活用ください。
関連記事:ミイダス コンピテンシー診断(特性診断)の活用方法を解説【事例付き】
構造化面接の導入方法
- ステップ1:採用基準を定める
- ステップ2:評価項目と評価基準を検討する
- ステップ3:質問を決める
- ステップ4:面接官のトレーニングをする
- ステップ5:面接を実施し、評価する
ステップ1:採用要件を定める
- どのような労働条件を定めるか
- どのようなスキル・価値観を持っているか
- 自社に必要な人柄や行動特性は何か
上記3点を中心に、できるだけ詳しく決めていきましょう。求人募集をする職種が複数ある場合は、それぞれ採用要件を定めます。
ポイントとしては、「コンピテンシー」を参考に採用要件を決めることです。コンピテンシーとは、自社で活躍する人材に共通する行動特性や思考特性を意味します。
コンピテンシーを参考にする具体的な方法は本記事下部の「構造化面接の効果を上げるには、ツールの活用がおすすめ」で紹介します。
関連記事:コンピテンシーとは?成果に直結する「行動特性」の活用メリットと導入のポイント【専門家監修】
ステップ2:評価項目と評価基準を検討する
評価項目が決まったら、「どの尺度で評価するのか」という評価基準を決めます。仮に「コミュニケーション力」を判断したい場合、評価する尺度を「非常に良い」「良い」「普通」「悪い」などの段階に分けます。唯一の最適解はありませんが、実務では3〜7段階での設計が多くみられます。
ステップ3:質問を決める
「起点となる質問」のあとには、得られた回答をさらに掘り下げる質問もいくつか用意します。このように深掘りしていくと、内面に潜む価値観や行動パターンなどが分かる可能性があります。
なお、深堀りの質問は職務関連の行動事実・判断過程・結果確認に限定し、思想信条や私的な価値観を探るものにならないよう注意しましょう。
質問内容がある程度決まったら社内でシミュレーションを行い、改善と再検討を重ねます。このとき、評価方法や評価基準を書いた「評価基準表」や質問への回答をメモできる「面接シート」をあわせて作成しておきます。
質問の具体例は本記事下部の「構造化面接で活用できる質問例」で解説します。
ステップ4:面接官のトレーニングをする
面接官はいきなり本番となると、固い雰囲気になりやすいので、リラックスした雰囲気で面接ができるように、本番の環境に近い状態でロールプレイングをして練習しておきましょう。気付きを得られ、問題点の改善にもつなげられます。
関連記事:面接官トレーニングとは?実施するメリットや強化すべきスキルを紹介
ステップ5:面接を実施し、評価する
その回答をもとに、主観を入れることなく、評価基準に沿って評価を判断します。もし評価基準に合わない回答があった場合は評価基準に照らして「低水準」として扱い、採点していきます。
「面接シート」に回答を記入しているため、実際に面接を担当した人ではない人事担当者や該当部署の上司なども評価に加われます。評価基準に沿った判断ができているか確認する意味でも有効です。
構造化面接で活用できる質問例
- 過去の行動に基づく質問(STAR面接)
- 仮説に基づく質問
過去の行動に基づく質問(STAR面接)
「○○したときのことを教えてください」といった質問で、過去の業務でどのように行動し、対処してきたのかを問います。過去の行動に基づく質問は「STAR面接」という手法がベースになっています。次の4つの単語のアルファベット頭文字を取って「STAR」です。
- Situation:状況質問
- Task:課題質問
- Action:行動質問
- Result:結果質問
これらの質問は、候補者が持っている価値観や思考パターンの把握につながります。候補者が過去の特定の状況で、どのように考え、行動し、どんな結果を出したのかを具体的に引き出すことで思考の深さや再現性を確認することができます。
起点となる質問と深掘りする質問の例を次に紹介します。
STAR面接の質問例
<起点となる質問>
- あなたのチームが抱えていた課題は何でしたか?
<深掘りする質問>
- あなたの行動がチームに与えた良い影響はありますか?
- プロジェクトの目標がある中で、あなたが設定した1番の目標は何でしたか?
- なぜ、それを目標としたのですか?
- 目標達成に向けて、どのような行動をしましたか?
- 目標の達成度はどれくらいでしたか?また、行動して良かったことは何ですか?
- 今後はどのような目標を立てて実行していきますか?
仮説に基づく質問(状況設定型面接)
仮説に基づいた質問をすることで、問題解決力や自己管理力などの評価に役立ちます。仮説は、自社で実際に起こりうる状況を設定すると効果的です。今後、問題や課題が起こったときの対処の仕方を見極められます。
仮説に基づいた質問例
- もし、自社の取引先から急遽納期を早めてほしいと依頼があった場合、あなたが上司の立場ならどう行動しますか?
- もし、これまでに経験のない仕事を上司に依頼されたら、どうしますか?
- トラブルが発生したとき、どのような対処をしますか?
構造化面接を実施するときの注意点
面接官が複数でも、評価基準は一定にする
しかし、人間は無意識にバイアスを抱く生き物です。「女性なら細かい作業が得意だ」「男性なら表に出る営業が向いている」など、面接官の価値観や経験で判断してしまう可能性があります。
構造化面接はバイアスがはたらきにくい手法ではありますが、ベテランの面接官が従来の面接方法から抜け出せない、などというケースがあるかもしれません。その場合は、構造化面接の重要性や自身が抱くバイアスを意識してもらうところから始めましょう。
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想定質問では、候補者の本音を見極める
想定質問では、候補者が本音で話しているのか見極めなくてはなりません。なかには自分をよく見せようと取り繕った回答をする人もいるでしょう。本音ではない可能性を踏まえ、回答を深掘りしたり、違う視点から質問を投げかけてみたりといった工夫が必要です。
誘導質問は質問項目から外す
これらは企業の都合で聞いている質問であり、候補者の特性や内面を知る質問ではありません。また、どう回答すると評価が高くなるか候補者が分かってしまうので、「候補者を公平に評価する」という構造化面接の目的から外れてしまいます。
労働条件・配置条件の観点から確認する必要がある場合は、面接において他の求職者との評価対象とするのではなく、ミスマッチを防ぐ目的であることを明示して行いましょう。その際は求人票・募集要項と同一内容で確認し、認識の齟齬が起きないようにします。
評価基準や質問を定期的に見直す
また、同じ質問を使い続けていくと候補者同士での情報が共有されることも予想されます。このような状況を防ぐには、定期的に質問内容をアップデートする必要があります。特に大勢の候補者を相手に採用活動を行う場合には、SNSやQ&Aサイトから情報漏洩をさせないよう、候補者に注意喚起することも重要です。
したがって、採用の目的が変わった場合も長く同じである場合も、構造化面接の内容は定期的に見直しましょう。
実施のルール・運用を定めて行う
たとえば、次のような書類・基準を事前に整備しておきましょう。
- 評価基準表
- 面接シート
- 面接官マニュアル
- 禁止質問一覧
また、障害、疾病、宗教、育児・介護等に関する合理的配慮が必要な候補者について、どのような対応を行うかも事前に検討しておく必要があります。
さらに、面接実施後は下記のものを紐づけて保存し、アクセス権限を制限したうえで管理することが重要です。
- 面接メモ
- 採点結果
- 採否判断の理由
一方で、採用選考に関する情報は個人情報でもあるため、保存期間を定め、一定期間経過後に適切に削除・廃棄するルールまで設けておくことが望まれます。
構造化面接の効果を上げるには、ツールの活用がおすすめ
ミイダスは自社で活躍できる人材の分析から、採用要件の定義、求職者の評価、従業員の育成などを一括管理できるアセスメントツールです。採否は人が総合判断するのが原則ですが、職務関連性が検証された指標を補助資料として用いることでより総合的に自社に合う人材の採用を行うことができます。
「コンピテンシー診断(特性診断)」や「バイアス診断ゲーム」で分析ができるうえに、その結果をもとに面接の質問文を作成する機能「ミイダス質問集」がご利用いただけます。これらのサービスを活用すると、簡単に構造化面接を仕組み化できます。
コンピテンシー診断(特性診断)
ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」では、パーソナリティの傾向やストレス要因など計52の項目から従業員の行動特性や思考性を分析します。
「コンピテンシー診断(特性診断)」を構造化面接に活用する方法は次の通り、簡単です。
- 自社の従業員に「コンピテンシー診断(特性診断)」を実施する
- 募集するポジションで求められるコンピテンシーを把握する
- 「ミイダス質問集」の検索ページで(2)のコンピテンシーを入力し、質問を抽出する
「ミイダス質問集」とは、自社や組織に合ったコンピテンシー(行動特性)を応募者が保有しているかどうか、面接で判断するために有効な質問項目をまとめたツールです。コンピテンシー要素を評価するうえで効果的な質問を100個以上用意しています。
ミイダスをご活用いただくと、構造化面接に必要な採用要件の設定から質問作成までが簡単に行えます。
関連記事:ミイダス コンピテンシー診断(特性診断)の活用方法を解説【事例付き】
関連ページ:ミイダス質問集とは - ミイダス サポートセンター
バイアス診断ゲーム
バイアスとは意思決定が必要な際に、無意識に入り込む思考の癖です。今までの経験や価値観によって作られるため、面接官など平等な判断をする必要がある人は、自身が持つバイアスを把握してコントロールしなければなりません。
ミイダスのバイアス診断ゲームでは、「フレーミング効果」「現状維持」「現在思考」など全22項目のバイアスを診断できます。また、ミイダスを利用している企業様の従業員は「認知バイアス」について理解を深めるための講座をすべて無料で受講できます。
関連記事:意思決定の質を高め、生産性を向上させるバイアス診断ゲーム
まとめ
ミイダスでは、本記事で紹介した「コンピテンシー診断(特性診断)」や「バイアス診断ゲーム」、「質問集」だけでなく、1,733種類の詳細な検索項目により、書類や面接で見極めるのが難しい内面的な特徴も含めて自社にフィットする人材を探すことができます。
まずはバイアス診断ゲームやコンピテンシー診断(特性診断)から無料トライアルをお試しください。
※本記事は2026年5月(監修時期)現在の内容に基づいて記載されたものです。

村井社会保険労務士事務所 代表/社会保険労務士・キャリアコンサルタント・経営学修士(MBA)
総合士業事務所で経験を積み、愛知県豊橋市にて2014年に独立開業。LGBTQ+アライ。行政協力業務を経験し、あいち産業振興機構外部専門家を務めた。地方中小企業における企業理念を人事育成に落とし込んだ人事評価制度の構築・組織設計が強み。著作に『職場問題グレーゾーンのトリセツ』『職場問題ハラスメントのトリセツ』、漫画『御社のモメゴト』の原作など。






