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プロボノとは何か?ボランティアとの違いや活動の概要を解説

「プロボノ」という言葉をご存じでしょうか? 耳にしたことはあっても、具体的にどのような活動を指すのか、詳しくは知らない方も多いかもしれません。

プロボノとは、専門的なスキルや知識を活かして社会貢献活動を行うことを指します。近年、プロボノは注目を集めており、個人のスキル向上や人脈形成、企業の社会貢献活動など、さまざまな目的で行われています。

この記事では、プロボノの意味や活動分野、必要なスキル、メリット・デメリット、具体的な始め方に至るまで詳しく解説します。プロボノへの理解を深めたい方は、ぜひ最後までお読みください。

なお、プロボノ活動は従業員に成長ややりがいを提供し、離職防止に寄与する可能性があります。ミイダスの調査では、転職活動を経て今の会社に残る決断をした従業員の理由として「成長の実感」や「やりがいの再認識」が挙げられています。詳しく知りたい方は、以下の調査資料をご参照ください。

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プロボノとは

プロボノワーカーの女性
プロボノとは、ラテン語の「Pro Bono Publico」(公共善のために)を語源とする言葉で、専門知識やスキルを活かして無償で行う社会貢献活動を意味します。弁護士、会計士、デザイナーなど、さまざまな専門家がそれぞれのスキルを活かし、NPOやNGOといった非営利団体を支援します。

プロボノはアメリカやイギリスの法曹界で始まり、弁護士が専門スキルを活かして社会的弱者を無償支援する活動として発展しました。全米法曹協会では、弁護士に年間50時間以上のプロボノ活動を推奨しており、一部の州では活動時間を義務化しています。

日本では2010年が「プロボノ元年」と呼ばれ、メディアでたびたび取り上げられたことで社会的認知が広がりました。2011年の東日本大震災では、復興支援の一環として弁護士や公認会計士などが被災地を訪問し、地元企業や商店街の再建に貢献しました。

現在では、多岐にわたる分野でプロボノ活動が行われています。企業が社会貢献活動の一環として、従業員のプロボノ活動を支援するケースも増加しています。

プロボノとボランティアの違い

プロボノと混同されがちな言葉に「ボランティア」があります。プロボノとボランティアは、いずれも社会貢献活動に分類されますが、目的や活動内容などに違いがあります。

ボランティアは、自発的な意思に基づき、人道的または社会的な目的のために無償で行う活動全般を指す言葉です。それに対し、プロボノは専門的な知識やスキルを活かし、非営利団体の課題解決を支援することに重点を置いています。

たとえば、災害時のボランティア活動では、被災地の復旧作業や物資の仕分けなど、人道的支援が中心です。一方プロボノでは、マーケティングの専門家がNPOの広報戦略を立案したり、WebデザイナーがNPOのWebサイトを制作したりなど、専門性を活かした具体的な支援が行われます。
項目プロボノボランティア
目的専門的な知識・スキルを活かした課題解決に重点を置く人道的・社会的な目的のために自発的に支援を行う
活動内容NPOの広報戦略の立案、Webサイト制作、財務管理など被災地の復旧作業、物資の仕分け、炊き出しなど
特徴専門性が必要誰でも参加可能
対象主に非営利団体(NPO、NGOなど)広範囲(個人、地域コミュニティ、災害被災者など)
報酬無償(専門スキルの提供が中心)無償(身体的または精神的な支援が中心)

プロボノとパラレルキャリアの違い

「パラレルキャリア」もプロボノに近い言葉として挙げられます。どちらも本業以外の活動を指しますが、目的やキャリア形成における位置付けが異なります。

パラレルキャリアとは、本業とは別に、自分の人生を豊かにする活動に取り組むことを指す言葉です。この活動には収入の有無は問われず、副業収入を目的とする場合もあれば、社会貢献や自己成長を追求する場合もあります。

一方プロボノは、社会貢献を目的とした活動に特化しており、主に本業で培ったスキルを活かして非営利団体を支援します。プロボノは新たなキャリアを築くよりも、現在のスキルを社会に還元する活動として位置付けられることが多いのが特徴です。
項目プロボノパラレルキャリア
目的社会貢献を主な目的とする人生の充実、自己成長、または副業としての収入獲得を目指す
活動内容本業のスキルを活かした非営利団体支援本業以外の活動全般(社会貢献、創作、学び直しなど)
特徴専門性が必要専門性の有無を問わず、幅広い分野での活動が可能
対象主に非営利団体(NPO、NGOなど)広範囲(個人、団体、企業、社会全般)
報酬無償(専門スキルの提供が中心)有償・無償(活動に応じて異なる)
パラレルキャリアには、副業を通じてキャリアを広げる活動も含まれます。副業に関しては、以下の関連記事もぜひご覧ください。

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プロボノ活動の分野例

支援とネットワークのイメージ
プロボノ活動は、さまざまな分野において専門的なスキルや知識を活用し、社会的課題の解決に寄与しています。以下に、代表的な分野と活動内容例を紹介します。
分野中心となる人活動内容例
法律弁護士・無料法律相談
・契約書の作成
・公益団体への法律事務支援
・社会的弱者への法律事務支援
・難民支援活動
会計・財務公認会計士、税理士・財務計画の策定
・会計ソフトの導入支援
・NPOの監事就任
・認定NPO法人取得の支援
・資金調達の支援
IT・Webエンジニア、Webデザイナー・システム開発
・Webサイト構築・制作
・デジタル活用支援
・セキュリティ対策の実施
・ITリテラシー研修
経営戦略経営コンサルタント・経営戦略策定
・事業計画立案
・マーケティング支援・調査
・経営分析と改善提案
・新規事業の検討支援

プロボノ活動に求められるスキル

タブレットを持つ女性
プロボノ活動を成功させるには、専門的なスキルに加えて、活動先のニーズに応じた柔軟な対応力や、社会人としての基礎力が求められます。これらは、プロボノが社会課題の解決に具体的な成果をもたらすための重要な要素です。

具体的には、以下のようなスキルが求められます。
  • 専門知識・スキル
  • コミュニケーション能力
  • 課題解決能力
  • プロジェクト遂行能力

専門知識・専門スキル

プロボノ活動においては、支援先の課題解決に直結する専門知識やスキルが不可欠です。

たとえば、法律分野では法律相談や契約書の作成、会計・財務分野では財務計画の策定や資金調達のアドバイスなどが求められます。また、IT・Web分野ではシステム開発やWebサイト制作、経営戦略分野では経営戦略の策定や事業計画立案などが期待されるでしょう。

これらのスキルは、現場の課題を的確に理解し、解決策を提案する力とあわせて発揮されることで初めて価値を生み出します。さらに、プロジェクトに応じた柔軟なスキルの組み合わせや応用力が成果を左右します。

コミュニケーション能力

プロボノ活動では、支援先の担当者やチームメンバー、関係者との連携がとても重要です。そのため、円滑なコミュニケーション能力が欠かせません。

特に重要なのは、相手の話を丁寧に聞き取る傾聴力や、互いに信頼関係を築くための共感力です。また、活動の進捗状況や提案内容を適切に伝えるプレゼンテーション能力や、合意を得るための交渉力も役立ちます。現場では、多様な価値観や文化的背景を持つ人々と関わることが多いため、相手の立場に立って柔軟に対応する力が必要です。

このようなコミュニケーション能力は、プロボノ活動を円滑に進めるだけでなく、支援先との長期的な信頼関係を築くうえでも大切なスキルです。

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課題解決能力

プロボノ活動の場では、支援先が抱える課題の本質を見極め、それに適した解決策を考えて実行することが求められます。

たとえば、組織運営の効率化を目指す場合、現状の課題を分析したうえで業務プロセスの改善案を提示するという取り組みが考えられます。また、地域課題に取り組む際には、現場の声を取り入れた解決策を提案し、実行支援を行うことが効果的です。分析力や論理的思考力、創造力を組み合わせ、支援先に具体的かつ実行可能な提案を行うのがポイントです。

さらに、提案後のフォローアップやプロセス全体を通した柔軟な対応も、課題解決において重要な役割を果たします。

【関連記事:組織課題の見つけ方は?具体例や解決手順、フレームワークを紹介

プロジェクト遂行能力

プロボノ活動の多くは、期間を区切ったプロジェクト形式で進行します。そのため、プロジェクト全体の目標設定や計画立案、進捗管理、成果物の作成といったスキルが欠かせません。

たとえばイベント運営を支援する場合には、具体的なスケジュールを立て、役割分担を明確にし、実施前のリハーサルを行うなど、計画性と実行力が求められます。また、チーム内での連携を強化し、課題が発生した際には柔軟に対処する姿勢も重要です。

さらに、プロボノ活動ではさまざまな専門性や価値観を持つ人々と協働する場面が多いため、相互の強みを活かして成果を最大化することが期待されます。こうしたプロジェクト遂行能力は、支援先に対してより効果的な支援を行う基盤となるでしょう。

【関連記事:スケジュール管理とは?重要性や管理する際のポイントを紹介

【関連記事:マネジメントとは?意味や種類、求められるスキル、選考方法を紹介

なお、プロボノ活動に役立つスキルを把握するには、アセスメントツールの活用がおすすめです。人材アセスメントサービス「ミイダス」なら、個人の特性や強みを簡単に可視化し、客観的なデータを通じて理解できます。以下より、ぜひこの機会にお試しください。

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プロボノのメリット

MERITと書かれたカードと手
プロボノ活動は、参加する個人と企業の双方に多くのメリットをもたらします。個人にとってはキャリア形成や人間的成長の促進、企業にとっては社会的信用の向上や組織力の強化が期待できます。それぞれの側面から、具体的に見ていきましょう。

個人にとってのメリット

プロボノ活動に参加する個人にとっては、以下のようなメリットが挙げられます。
  • スキルアップ
  • 人脈形成
  • 社会貢献
  • 人間的成長

スキルアップ

プロボノ活動では、普段の業務とは異なる環境で課題に取り組むため、新たなスキルを習得することが可能です。マネジメントやリーダーシップを実践しながら、プロジェクト推進のノウハウを学ぶとともに、限られたリソースの中で成果を出す力が磨かれます。

また、異なる業界や職種のメンバーとの協働を通じて、コミュニケーション能力や問題解決力も向上します。こうした経験は、日常業務への還元やキャリアチェンジの際の強みとなるだけでなく、柔軟な思考力を育む貴重な財産となるでしょう。

人脈形成

異業種や異職種、多様な背景を持つ人々と出会える場として、プロボノ活動は大きな可能性を秘めています。共通の目標に向けた活動を通じて信頼関係が深まり、将来のビジネスやプロジェクトでの協業につながるかもしれません。

さまざまな価値観や経験に触れることで自己理解が深まり、視野を広げるきっかけにもなります。こうしたつながりは、新たなアイデアや刺激をもたらし、個人の成長を後押しする重要な要素となるのです。

社会貢献

専門知識やスキルを活かして社会課題の解決に直接貢献できるのが、プロボノの大きな魅力です。非営利団体や地方自治体が抱える課題を支援し、社会全体の豊かさや公平性を高めることに寄与します。

また、社会の多様な層や課題と向き合う中で、それぞれの背景や現状への理解が深まり、相互理解や新たな連帯感の形成が期待されます。地域や社会に直接関与することで、他者と協力して問題を解決する喜びを実感できる点も大きな魅力です。

人間的成長

プロボノ活動を通して得られる人間的な成長は、単なるスキルや知識の習得にとどまりません。多様なバックグラウンドを持つ人々と協働する中で、自身の固定観念を見直し、共感力や柔軟な思考が磨かれるからです。

社会的弱者や異なる文化背景を持つ人々との交流を通じて、新しい価値観に触れる機会が得られるでしょう。さらに、困難を乗り越え成果を生み出す過程で自己肯定感や責任感が育まれ、自分自身の可能性を再発見できます。

実際に、NPOサービスグラントに参加した⼀般のプロボノワーカーに対するアンケート調査では「⾃⾝の視野が広がり、⼈間的な成⻑につながった」と回答した人が全体の86%にのぼり、もっとも多い結果となりました。

出典:特定⾮営利活動法⼈サービスグラント「プロボノの現状と今後の展望」P. 32

【関連記事:成長実感とは?実感を高める5つのマネジメント法と効果とは?

企業にとってのメリット

一方、企業にとっての主なメリットは、以下のとおりです。
  • 企業イメージの向上
  • 従業員満足度の向上
  • 人材育成
  • 新規事業の創出

企業イメージの向上

企業がプロボノ活動を支援することで、社会貢献に積極的な姿勢を示し、CSR(企業の社会的責任)を果たす取り組みとしてステークホルダーからの評価を高められます。特に、顧客や投資家、求職者に対しては、企業の理念やビジョンがCSRと連動しているほど、その活動意義が明確に伝わるものです。

また、従業員が取り組んだプロボノの成果が広く共有されれば、企業全体のブランド力や信頼感の向上が期待されます。さらに、現代の消費者はCSRへの取り組みに敏感です。プロボノ活動への関与は企業の差別化要因となり、長期的な顧客ロイヤリティや好意的な企業イメージにつながるでしょう。

【関連記事:CSRとは?SDGsとの違いや活動の例と人材採用に活かすポイントを解説

【関連記事:ロイヤリティとは?意味や種類、ビジネスでの活用例を簡単に解説

従業員満足度の向上

従業員が本業以外の社会貢献活動に参加できる機会は、自己実現や仕事への意欲向上に大きく寄与します。プロボノを通じて新たな技術や知見を得ることで、日常業務でも活発なアイデア創出が期待できます。

自社でプロボノを活用する場合には、従業員が他部署のメンバーや外部の専門家と協働する中で、新たな視点やアイデアを得る場として機能します。異なる視点やアプローチが日常業務に刺激を与え、職場全体の活性化にもつながるでしょう。

【関連記事:ES(従業員満足度)を向上させるには?調査方法や企業事例を紹介

人材育成

プロボノ活動は、従業員にとって通常の業務では経験しにくい課題解決の場を提供します。限られたリソースの中で成果を求められる環境で、柔軟な発想力やリーダーシップ、コミュニケーション能力を高めることができます。

また、社内外の多様な関係者と協働する中で、多角的な視点や価値観を身につけることが可能です。社会的意義の高いプロジェクトへの参加は、主体性を育むとともに、将来のリーダーを育成するうえでも効果的です。

【関連記事:初めての人材育成|担当者に求められるスキルと基礎知識を解説

新規事業の創出

プロボノ活動で培われたネットワークや知見は、新たな事業アイデアを生み出す原動力となる場合があります。社会課題を解決する過程で蓄積されたノウハウや異分野のつながりが、新商品やサービスの開発につながることもあるでしょう。

活動を通じて培われた高い社会貢献意識や多様な経験は、企業のイノベーション力を強化し、持続的な成長を支える重要な要素となります。

【関連記事:イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説

プロボノのデメリット

デメリットを検討するビジネスパーソンたち
プロボノは多くのメリットをもたらす一方で、注意が必要な側面も存在します。デメリットを理解し、十分な準備や配慮を行うことが、プロボノを成功へ導くポイントとなります。以下に、個人側と企業側のデメリットをそれぞれ詳しく解説します。

個人にとってのデメリット

個人がプロボノに参加する際は、以下のようなデメリットを考慮する必要があります。
  • 時間的拘束
  • 責任の重さ
  • 専門知識の必要性
  • 精神的な負担

時間的拘束

プロボノ活動は、本業の業務時間外に行う必要があるため、時間的な制約を受ける可能性があります。特に責任ある役割を担う場合は、活動に多くの時間を割かなければならないこともあるでしょう。こうしたデメリットは、自己管理や優先順位の明確化が求められる一方、充実感を得られる貴重な機会でもあります。

責任の重さ

社会貢献活動であると同時に、プロボノは専門家としての責任を伴う重要な取り組みでもあります。活動内容によっては大きな責任を負う場合もあり、事前の十分な検討が求められます。例えば、財務コンサルティングで誤ったアドバイスを行えば、NPO法人に損害を与えるリスクがあるからです。

専門知識の必要性

プロボノ活動は、専門知識やスキルを活かすことが前提のため、これらが不足している場合は活動に支障をきたす可能性があります。参加前には、自分のスキルや経験を客観的に評価し、活動内容にマッチしているかを確認することが重要です。適切な準備と自己理解が、プロボノ活動の成功には欠かせません。

精神的な負担

社会課題の解決に携わる中で、精神的な負担を感じる場面があるかもしれません。特に、困難な状況にある人々を支援する際には、相手の辛い経験に寄り添う必要があり、ストレスや葛藤が増すこともあります。そのため、適切な心のケアやサポート体制を整えることが必須です。

企業にとってのデメリット

一方、企業にとっては以下のようなデメリットが挙げられるでしょう。
  • 業務への影響
  • 費用発生の可能性
  • マッチングの難しさ
  • 情報・リスク管理

業務への影響

従業員がプロボノ活動に参加することで、本業の業務に影響が出る場合もあります。たとえば、重要なプロジェクトを抱える社員がプロボノ活動に時間を費やすと、進行の遅れや業務の質の低下が生じるかもしれません。こうしたリスクを最小限に抑えるためには、プロボノ活動と業務のバランスを適切に管理し、両立できる仕組みを整えることが重要です。

費用発生の可能性

原則として無償で行われる活動であっても、活動内容によっては費用(交通費や資料作成費、現場視察など)が発生するケースもあります。特に、企業がプロボノ活動を組織的に支援する場合、従業員の人件費や交通費、時間外手当、広報費用など、予想外の支出が重なる可能性も考えられるでしょう。

マッチングの難しさ

企業が求めるスキルや経験と、プロボノワーカーが持つスキルが一致しない場合、期待する成果を得るのが難しくなります。たとえば、専門的なITスキルを必要とするNPO法人に、基本的なPC操作しかできない人を紹介しても、十分な支援を提供できません。そのため、事前に双方のニーズを正確に把握し、念入りな調整を行うことが重要です。

情報・リスク管理

プロボノ活動では、企業情報や顧客情報などの機密情報を扱う場合、適切な管理体制が不可欠です。たとえば、顧客データ分析を行う際には、情報漏洩のリスクに備える必要があります。

また、活動中の事故やトラブルへの対応も重要です。たとえば、プロボノ活動中に従業員が怪我をしてしまった場合の補償や、活動によって生じた損害に対する責任の所在などを明確にしておくことで、予期せぬ事態に備えられます。

プロボノ活動の始め方(5ステップ)

5 Stepと表示されたパソコン
「プロボノ」という言葉を知っていても、実際にどのように始めたらよいのかわからない方もいるかもしれません。ここでは、プロボノ活動を始めるための具体的な5ステップを紹介します。
1. 目的を明確にする
2. スキルや経験を棚卸しする
3. 活動分野を選ぶ
4. プロボノ団体・企業の情報を探す
5. 短期プロジェクトから始める

1. 目的を明確にする

プロボノ活動を始める際には、まず自身の目的を明確にすることが重要です。たとえば、以下のような例が挙げられます。
  • 地域活性化に関わりたい
  • 教育の経験を活かしたい
  • マネジメントスキルを磨きたい
  • 人脈を広げたい
目的によって選ぶべき活動や取り組み方が変わってきます。漠然と「社会に良いことをしたい」というだけでなく、今後のキャリアや価値観との関連性を検討することで、モチベーションを保ちながら自分に合ったプロジェクトを探しやすくなるでしょう。

また、具体的なゴールを設定すると、目指すべき成果や関わり方が明確になり、活動中の軸がぶれにくくなる点も大きなメリットです。

2. スキルや経験を棚卸しする

プロボノ活動では、自分の専門スキルを活かすことが求められます。そのため、まずは自身のスキルや経験を棚卸しすることが必要です。

スキルや経験を棚卸しするには、以下のような方法で整理することをおすすめします。
  • 過去の業務経験を振り返る(担当したプロジェクトや得意分野の成果など)
  • 汎用的な能力も評価する(コミュニケーション力や論理的思考力など)
  • 周囲からのフィードバックを活用する
自分自身をあらためて見つめることで、どのような形で貢献できるのかが明確になり、適切な活動先やプロジェクトを選びやすくなります。

3. 活動分野を選ぶ

プロボノの分野は多岐にわたり、前述の分野以外にも、教育、医療、環境保護、地域活性化、国際協力など、多様な選択肢があります。自分が特に興味を持つテーマや社会課題を選ぶことで、より有意義な貢献が期待できるでしょう。

また、活動先との相性やプロジェクトの規模・期間も重要です。大きな案件では時間的・能力的負担が重くなるおそれがあり、小規模すぎる場合はやりがいや成長実感が得にくいかもしれません。現在のライフスタイルやスキルレベルに合わせて、自分の得意分野と興味関心のバランスを考慮すると、継続的に取り組みやすくなります。

4. プロボノ団体・企業の情報を探す

プロボノ活動を行う団体や支援する企業は、インターネットやSNS、各種イベントなどで情報収集ができます。NPO法人や各種プラットフォームを活用して、どのようなプロジェクトがあるのかリサーチしてみましょう。具体的な探し方は後述します。

企業のCSR活動の一環としてプロボノを募集しているケースも増えているため、活動事例や参加者の声、求められるスキルを確認しながら、自分に合った環境を見極めることが大切です。

魅力的な候補が複数ある場合は比較検討し、目的やスケジュールとの相性もしっかり見定めましょう。こうした事前の準備が、後々の活動を円滑に進めるために欠かせません。

5. 短期プロジェクトから始める

初めてプロボノに挑戦する際は、長期案件より短期プロジェクトを選ぶと負担を軽減できます。短期間であれば、活動の流れや進め方を学びやすく、成果も実感しやすいでしょう。また、成功体験を得やすいことでモチベーションが高まり、今後の活動方針を定めるうえでも有益です。

短期といっても、数週間から数か月単位まで多様な形態があるため、まずは自分に合った期間と内容のものを見つけることがポイントです。その後、得られた経験を土台に、徐々に大きな案件へステップアップするのも一つの方法でしょう。こうした段階的なアプローチが、継続的かつ効果的なプロボノ活動につながります。

プロボノの具体的な探し方

虫眼鏡とキーボード
実際にプロボノを探すときには、以下のような方法が効果的です。
  • 専用サイトを利用する
  • NPOやNGOに問い合わせる
  • 企業のプログラムを確認する
  • SNSやイベントをチェックする
これらの選択肢を組み合わせることで、自分のスキルや興味に合ったプロボノ活動を見つけることが可能です。自分の状況や目的に応じて最適な方法を選びましょう。

専用サイトを利用する

プロボノ活動を探す際、専用のマッチングサイトを活用すると非常に便利です。たとえば、以下のようなサイトが日本国内で利用されています。
  • サービスグラント:日本で初めてプロボノマッチングサービスを開始した団体。非営利団体の課題解決を支援するプロジェクト型のサービスを提供。
  • activo(アクティボ):国内最大級のNPO・社会的企業の求人情報サイト。プロボノの案件も掲載されており、幅広い世代が参加可能。
  • ふるさと兼業:地域活性化を目的とした案件を多く提供。地方でのプロボノ活動を希望する方に最適。
  • NPO法人 二枚目の名刺:社会人が本業以外で社会貢献活動を行う「二枚目の名刺」を提供する場を提供。
それぞれ特徴が異なるため、まずは興味のあるサイトを覗き、自分に合った活動を探してみることをおすすめします。

NPOやNGOに問い合わせる

社会課題に取り組むNPOやNGOでは、プロボノに興味を持つ個人の参加を歓迎している団体も多く存在します。具体的には、以下のような方法で問い合わせ可能です。
  • 公式サイトを確認する
  • SNSの公式アカウントにDMを送る
  • メールや電話で打診する
募集がない場合でも、自分のスキルや意欲を伝えることで、新たな機会を得られるかもしれません。興味のある団体があれば、直接問い合わせてみるのも一つの方法です。

企業のプログラムを確認する

CSR(企業の社会的責任)やSDGsの推進を目的に、プロボノプログラムを実施する企業も増えています。以下はその一例です。
  • パナソニック株式会社
  • 日本電気株式会社(NEC)
  • 日本マイクロソフト株式会社
  • ゴールドマン・サックス証券株式会社
出典:特定⾮営利活動法⼈サービスグラント「プロボノの現状と今後の展望」P. 22-P. 25

これらの企業は、社会貢献活動を戦略的CSRとして位置づけ、社員参加の促進や社会的インパクトの向上を目指しています。こうしたプログラムをチェックするのも有効です。

SNSやイベントをチェックする

SNSやイベント情報から、思わぬプロボノのチャンスが見つかることもあります。具体的には、以下のような方法でチェックするとよいでしょう。
  • SNSで関連ハッシュタグを検索する(#プロボノ、#社会起業、#NPO など)
  • プロボノ関連のセミナーや説明会に参加する
  • 地域のイベントや交流会に足を運ぶ
SNSやイベントは、特に個人で活動を始めたい方にとって、手軽に情報収集ができる手段です。上手に活用すれば、より幅広い選択肢に出会える可能性が高まります。

プロボノ活動の注意点

人差し指を立てて微笑む女性
プロボノ活動を円滑に進めるには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。
  • 時間管理
  • 情報管理
  • 期待値の調整
  • モチベーション維持
活動を始める前にこれらを理解し、計画的に準備を進めることでスムーズに取り組めます。

時間管理

プロボノ活動は本業と並行して行うことが多いため、時間管理が非常に重要です。活動に費やす時間を事前に明確にし、無理のないスケジュールを立てることが求められます。また、各タスクの優先度を見極めながら、無理のない範囲で取り組みましょう。

情報管理

プロボノ活動では、機密情報や個人情報を扱う場合もあります。適切なセキュリティ対策やデータの取り扱いルールを守り、支援先との取り決めを明確にしておくことが不可欠です。特にオンラインでの共有やクラウドサービス利用時には、パスワード管理やアクセス権限の設定にも注意を払いましょう。

期待値の調整

プロボノ活動は無償で行われるため、提供できる成果には限界があります。事前に目的や成果物の範囲をしっかり話し合い、お互いの期待値を調整することが必要です。現実的な目標を設定できれば、双方の満足度を高められます。

モチベーション維持

長期的なプロジェクトや困難な課題に直面すると、モチベーションが下がることもあります。定期的に進捗を振り返り、小さな成功や成長を実感してやる気を保つ工夫が大切です。
さらに、仲間との交流やフィードバックを通じて、活動への意欲を高めるのも効果的です。

【関連記事:モチベーションとは?低下する要因やマネジメントを成功させる方法を解説

プロボノ活動を理解して成長につなげよう

笑顔のビジネスパーソンたち
本記事では、プロボノ活動の基本的な概念から、始め方や注意点、企業と個人それぞれにとってのメリットや課題までを幅広く解説しました。

プロボノは、個人にとってはスキルの活用や成長の機会となり、企業にとっては社会的信用の向上や組織力強化につながる重要な取り組みです。一方で、成功させるには目的の明確化やリソースの管理が欠かせません。

本記事で紹介した方法を参考に、まずは小さなステップから始め、プロボノを通じて社会への貢献と持続可能な成長に挑戦してみましょう。
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