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部下を潰すクラッシャー上司とは?特徴や企業ができる対策を解説

仕事で高い実績をあげている一方で、「なぜか部下がよく転職する」「チーム内にメンタル不調者が多い」といった特徴を持つ管理職はいないでしょうか。もしかしたらその管理職は、近年認知が広まりつつあるクラッシャー上司かも知れません。

クラッシャー上司は、仕事はできる一方で部下を精神的に追い詰めてしまう上司を指します。

本記事では、クラッシャー上司の特徴、クラッシャー上司を放置するリスク、企業としてできる対策について解説します。職場改善を目指す方はぜひご一読ください。

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適切な人事異動・配置をするための方法とは

部下を潰す「クラッシャー上司」とは?

部下を叱責する上司
「クラッシャー上司」という用語は、精神科医・牛島定信氏とその教え子にあたる松崎一葉氏により命名されました。松崎氏は著書のなかでクラッシャー上司を以下のように定義しています。

「部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していく人」
(引用:松崎一葉(2017年)『クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち』PHP出版)

部下を精神的に攻撃し、退職や休職に追い込む上司は昔から存在していました。しかし、バブル世代くらいまではうつ病などの精神疾患を甘えと捉える人が多く、上司側の問題点はあまり注目されていませんでした。

クラッシャー上司の問題が広く認知されるようになったのは、上記の書籍が出版されて以降、企業のコンプライアンス意識が強くなった、つい最近と言えます。

クラッシャー上司とパワハラ上司の違い

クラッシャー上司とパワハラ上司の違いを見てみましょう。
名称クラッシャー上司パワハラ上司
行動目的仕事を円滑に進めるため憂さ晴らしや嫌がらせのため
傾向・理詰めで追い詰める
・暴力的な行為や言動を伴わないタイプもいる
・場所を問わず大声で叱責する
・暴力的に振る舞うタイプが多い
パワハラ上司のおもな叱責理由は、八つ当たりや嫌いな部下への嫌がらせです。一方、クラッシャー上司は仕事で成果をあげるために部下へ厳しく接します。

部下を過度に叱責する点はどちらも同じですが、クラッシャー上司は一見すると正当性があるように見えるため、より対応が難しいと言えます。

また、パワハラ上司は大勢の前で部下を叱責するようなある種のわかりやすさがあるのに対し、クラッシャー上司は別室で長時間叱責するようなモラハラ的なタイプもいます。

そのため人事としてパワハラ上司には対処できても、クラッシャー上司の被害にはなかなか気づけない場合もあるのです。

【関連記事:ハラスメントとは?定義と判断基準、発生した場合の対応方法を紹介

クラッシャー上司の事例

実際にあったクラッシャー上司の事例を紹介します。
<Aの事例>
Aはある事業の設計部隊のエースでした。新人の頃から抜群に優秀で、厳しいと有名だった上司のもとでも高い評価を得ていました。
しかし、チームに配属された新人を指導する立場となり、Aのクラッシャー気質が表面化。異常とも言える細かさで新人を追い詰め、自己研鑽の名目で深夜まで残業させるようになりました。
結果、新人はメンタル不調になり、問題に気づいた上司によって他部署へ異動となりました。
<Bの事例>
ある事業の管理職Bのもとに、久しぶりに若手の部下が異動してきました。早期に戦力化しようと徹底指導をはじめたB。あれもこれもと仕事を部下に振っては、自ら指導するというやり方を続けました。
しかし、Bの教えた方法と少しでも違うやり方をすると叱責される毎日に部下がついていけず、最後は転職されてしまいました。
Bは良かれと思って指導していたため、部下が退職を申し出た際には「期待していたのにどうして」と驚いた様子だったそうです。

クラッシャー上司の特徴

威圧的な態度を示す上司
クラッシャー上司の特徴を7つ紹介します。
  • 仕事のうえでは非常に有能
  • 自分の正しさに自信がある
  • 共感性がない、または鈍感である
  • 他人を褒めることが下手
  • 自己防衛が強い
  • 部下に対して感情的になりやすい
  • 仕事に私情を挟む

仕事のうえでは非常に有能

クラッシャー上司は、個人で仕事を遂行するプレイヤーとしては極めて有能な傾向があります。

そもそもクラッシャー上司が部下を潰すほど厳しく指導する背景には「仕事を円滑に進めたい」という目的があります。よって管理職に昇進しても、部下のメンタルや健康に配慮しない以外は、優秀な成果をあげる傾向があるのです。

上司や取引先から信頼され、役員へ昇進していくクラッシャー上司もいます。利益貢献度が高い人材ゆえに、部下に対する指導が問題となっても抜本的な対応がされ難い側面があります。

自分の正しさに自信がある

クラッシャー上司は自分の正しさに強い自信を持ち、自分とは異なる考えや仕事のやり方に批判的です。

もちろん、職場のなかで抜きん出て成果を出している人が、仕事に自信を持つことは当然です。ただクラッシャー上司の場合、自分とあわない人はすべて相手が悪いと考え、反論してくる相手に対して執拗に攻撃します。

部下にも自己流を押し付ける傾向があるため、クラッシャー上司と価値観のあわない部下は、とくに強いストレスを抱えてしまうでしょう。

共感性がない、または鈍感である

クラッシャー上司は、他人への共感性に乏しい、または非常に鈍感という特徴があります。

一般的な共感性を持っている上司であれば、部下がメンタル不調になったら責任を感じるものです。しかしクラッシャー上司の場合、他人の内面に対する想像力に欠けるため、自分のマネジメントが部下に与えた精神的ダメージを理解できません。

自分の発言で部下が傷ついても、「部下が弱すぎる」「自分の対応は間違っていない」と結論づけ、何人部下を潰しても反省しない傾向があります。

部下を褒めることが下手

クラッシャー上司は滅多に部下を褒めません。本人が有能で、部下が期待値を越えることを当然と考えるためです。

また途中の努力過程に目を向けず、成功か失敗かの結果のみで判断する傾向があります。よって自分が業務にあたるのと同じ感覚で部下に高いハードルを与え、成功しても褒めず、失敗すると責めるという歪んだ状態を作ってしまいます。

自己防衛本能が強い

クラッシャー上司は自己防衛本能が強く、部下が仕事でミスすると、自分に悪影響が及ばないよう処理したがる傾向があります。

なかにはミスをした部下を叱責するだけでなく、部下から仕事を取り上げて自ら処理してしまう上司もいます。部下からすればミスを挽回する機会を奪われたことになり、自信を喪失してしまうでしょう。

また、自らのミスを部下へ責任転嫁するタイプも存在します。

部下に対して感情的になりやすい

部下のミスを注意する際、必要以上に強い言葉で叱責するような感情的なクラッシャー上司もいます。

全方位に感情的なのではなく、部下や後輩といった自分より弱い立場の人に対してのみ配慮を欠いた発言をするのが特徴です。パワハラ上司と近いタイプですが、クラッシャー上司は論理的に責め立てる人が多いため、周囲もなかなか止めに入れません。

部下に対して感情的になってしまう背景には「これくらいは耐えて当たり前」「自分はもっと厳しくされてきた」といった価値観があります。上司としてアンガーマネジメントができていないと言えるでしょう。

【関連記事:アンガーマネジメントとは?やり方や職場に取り入れるメリット、注意点を解説

仕事に私情を挟む

仕事に私情を挟むクラッシャー上司もいます。

パワハラ上司も気分や好き嫌いで理不尽に怒りを爆発させますが、クラッシャー上司は部下の仕事に対する評価に私情を挟むことが特徴です。

叱責されるラインが上司の気分によって変わるとなると、部下は常に緊張を強いられる状況になります。上司や、そのような上司を許している企業への不信感にもつながるでしょう。

いずれにせよ部下は強いストレスを感じてしまいます。

企業としてクラッシャー上司を放置するリスク

クラッシャー上司は目標達成力が高い有能な人材が多いため、目先の利益を重視して厳しい対応をしない企業もあります。

しかし、従来のような年功序列が成立しなくなったいま、企業がクラッシャー上司を放置するリスクは小さくありません。長期的に以下のような問題につながる恐れがあります。
  • 若手や優秀な人材が流出する
  • イノベーションが起こせない
  • 職場全体のモチベーションが下がる

若手や優秀な人材が流出する

クラッシャー上司を放置するリスクとして見過ごせないのが、若手や優秀な人材の流出です。

近年の採用市場では売り手有利の状況が続いており、Z世代(若手)を中心に転職へのハードルが低くなっています。またメンタルヘルスの認知が進み「精神的に壊される前に転職すべき」と考える人も少なくありません。

クラッシャー上司の部下潰しを“必要悪”として見過ごせる時代ではなくなってきているのです。

クラッシャー上司が管理職になっても成果をあげられてきたのは、転職に消極的な世代が部下だったからとも考えられます。若い人材が育たない企業は、いくらクラッシャー上司が1人で成果をあげても、企業成長は限定されてしまうでしょう。

【関連記事:Z世代とは?仕事に対する価値観や9つの育成ポイントを解説

イノベーションが起こせない

クラッシャー上司が率いる組織は、イノベーションを起こせません。というのも、クラッシャー上司には以下の特徴があるためです。
  • 自分のやり方が正しいと考え、異なるやり方に批判的
  • 失敗を過度に責め、部下の心理的安全性を下げる
結果として、革新的なアイデアが創出され難い組織風土を醸成してしまうのです。上司のやり方が通用しないような市場環境の変化が発生したときに、企業として対応が遅れる恐れがあります。

【関連記事:イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説

職場全体のモチベーションが下がる

同僚がメンタルを病むほど追い詰められる様子を見て、やる気を出せる社員はいません。自分が被害者になったときも会社は対処しないとわかれば、企業と社員の信頼関係も崩れてしまうでしょう。

クラッシャー上司の部下への対応は、叱責された本人だけでなく、周囲にも悪影響を及ぼします。職場全体のモチベーションを下げ、生産性を落とすことにもつながります。

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部下のモチベーションについては、下記の記事にて解説しています。あわせてご一読ください。

【関連記事:モチベーションとは?やる気を引き出す動機づけ要因とモチベーションマネジメントの手法を解説

企業ができるクラッシャー上司対策

相談する人事担当者たち
クラッシャー上司によってメンタル不調を発生している部下がいる場合、上司か部下のいずれかを配置転換して物理的な距離を置く対策が現実的です。しかし、また新しい部下がクラッシャー上司の下につくのであれば、同じことの繰り返しになってしまいます。

そこで、社内のクラッシャー上司が部下を追い詰める前に企業が取れる対策を紹介します。
  • 匿名の相談窓口を設ける
  • コンプライアンス強化に取り組む
  • 評価制度や昇進制度を見直す

匿名の相談窓口を設ける

匿名の相談窓口の設置は、クラッシャー上司の問題行為の早期発見に有効です。

ただし、相談窓口は相談者が不利益を被らないという前提がないと機能しません。設置に際しては以下のポイントを押さえましょう。
  • 相談者の情報は決して上司やその関係者に渡さない
  • 人事直通の窓口とし、相談者の所属部署は関与させない
  • 相談内容について必ず何らかの対応する
  • 実際に相談が来たときの対処フローを決めておく
企業がしっかり対応して見せることで、クラッシャー上司に悩む部下が現状を訴えやすくなります。

コンプライアンス強化に取り組む

企業としてコンプライアンス強化に取り組むこともクラッシャー上司対策につながります。
  • コンプライアンス研修を実施する
  • 行動規範を整備する
  • 通報窓口を設ける
上記のような取り組みが考えられます。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事:コンプライアンスとは?意味や違反事例、遵守する方法をわかりやすく解説

また社員が自分のストレス状態を正しく把握できるよう、メンタルヘルス研修を実施することも有効です。

【関連記事:ストレスマネジメントのやり方とは?効果と改善事例を解説

評価制度や昇進制度を見直す

クラッシャー上司になるタイプは有能な人材が多いため、業績に重きを置く評価制度のもとでは昇進しやすくなります。

しかし、プレイヤーとして優秀な人材が、管理職としても優秀とは限りません。管理職に求められる業務のなかには人材管理・部下育成・チームビルディングも含まれます。部下を犠牲にしてチームの成果を追い求めるクラッシャー上司は、業績への貢献度は高くても、人材管理などの面では能力不足と言えるのです。

評価制度や昇進制度を見直し、管理職としての適性がない人材をそもそも昇進させない組織作りも、有効なクラッシャー上司対策です。

【関連記事:管理職への昇進で気を付けることは?人事異動のポイントを解説

クラッシャー上司対策にはアセスメントツールも有効

パワハラ上司と違い、クラッシャー上司は問題行動が周囲に気づかれにくいケースもあります。しかし、部下の離職や休職が続出したあとで問題を認識するのでは遅すぎます。

人材は企業の大切な資源です。取り返しのつかない事態になる前に人事として適切に対処する必要があるでしょう。

具体的には社内のコンプライアンス強化、相談窓口の設置などが考えられます。またミイダスのコンピテンシー診断のようなアセスメントツールを活用し、クラッシャー上司の内面的な特徴を把握しておくことも有効です。

コンピテンシー診断とは、個人の行動特性や思考性を分析し、仕事の適性や強みを明らかにするテストです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説

「ミイダス」のコンピテンシー診断とは?

「ミイダス」コンピテンシー診断の結果
ミイダス」が提供しているコンピテンシー診断では、社員について以下の項目が分析できます。
  • パーソナリティの特徴
  • 職務適性
  • ストレスを感じやすい環境
  • 上司と部下の相性
  • マネジメント資質
パーソナリティの特徴やマネジメント資質の結果は、人材の管理職適性の確認に役立ちます。

また、クラッシャー気質が疑われる上司に部下を配属させる際には、上司と部下の相性の結果が参考になるでしょう。クラッシャー上司にも相性があるため、部下の気質によってはうまく関係を構築できる可能性もあります。

またミイダスでは組織サーベイも提供しています。簡単なアンケートでストレスを抱えている社員をいち早く検知。クラッシャー上司との関係に悩む社員への適切な対処を可能にします。

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