クラッシャー上司とは、仕事はできる一方で部下を精神的に追い詰めてしまう上司を指します。
本記事では、クラッシャー上司の特徴や放置するリスク、企業としてできる対策について解説します。
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部下を潰す「クラッシャー上司」とは?
[注]引用:松崎一葉(2017年)「クラッシャー上司 平気で部下を追い詰める人たち」PHP出版
クラッシャー上司の問題が広く認知されるようになったのは、上記の書籍が出版されて以降、企業のコンプライアンス意識が強くなった、つい最近といえます。
クラッシャー上司とパワハラ上司の違い
| 特徴 | クラッシャー上司 | パワハラ上司 |
|---|---|---|
| 行動目的 | ・仕事を円滑に進めるため | ・憂さ晴らしや嫌がらせのため |
| 傾向 | ・理詰めで追い詰める ・暴力的な行為や言動を伴わないタイプもいる | ・場所を問わず大声で叱責する ・暴力的に振る舞うタイプが多い |
部下を過度に叱責する点はどちらも同じですが、クラッシャー上司は一見すると正当性があるように見えるため、より対応が難しいです。
また、パワハラ上司は大勢の前で部下を叱責するようなある種のわかりやすさがあるのに対し、クラッシャー上司は別室で長時間叱責するようなモラハラ的なタイプもいます。
そのため人事としてパワハラ上司には対処できても、クラッシャー上司の被害にはなかなか気づけない場合もあるのです。
関連記事:ハラスメントとは?定義と判断基準、発生した場合の対応方法を紹介
クラッシャー上司の特徴
- 仕事のうえでは非常に有能
- 自分の正しさに自信がある
- 共感性がない、または鈍感である
- 他人を褒めることが下手
- 自己防衛が強い
- 部下に対して感情的になりやすい
- 仕事に私情を挟む
- 自己愛や承認欲求が強い
- 部下にも自分と同じレベルのクオリティを求める
- メタ認知能力が低い
仕事のうえでは非常に有能
そもそもクラッシャー上司が部下を潰すほど厳しく指導する背景には「仕事を円滑に進めたい」という目的があります。よって管理職に昇進しても、部下のメンタルや健康に配慮しない以外は、優秀な成果をあげる傾向があるのです。
上司や取引先から信頼され、役員へ昇進していくクラッシャー上司もいます。利益貢献度が高い人材ゆえに、部下に対する指導が問題となっても抜本的な対応がされにくい側面があります。
自分の正しさに自信がある
もちろん、職場のなかで抜きん出て成果を出している人が、仕事に自信を持つことは当然です。ただクラッシャー上司の場合、自分とあわない人はすべて相手が悪いと考え、反論してくる相手に対して執拗に攻撃します。
部下にも自己流を押し付ける傾向があるため、クラッシャー上司と価値観のあわない部下は、とくに強いストレスを抱えてしまうでしょう。
共感性がない、または鈍感である
一般的な共感性を持っている上司であれば、部下がメンタル不調になったら責任を感じるものです。しかしクラッシャー上司の場合、他人の内面に対する想像力に欠けるため、自分のマネジメントが部下に与えた精神的ダメージを理解できません。
自分の発言で部下が傷ついても、「部下が弱すぎる」「自分の対応は間違っていない」と結論づけ、何人部下を潰しても反省しない傾向があります。
部下を褒めることが下手
また途中の努力過程に目を向けず、成功か失敗かの結果のみで判断する傾向があります。よって自分が業務にあたるのと同じ感覚で部下に高いハードルを与え、成功しても褒めず、失敗すると責めるという歪んだ状態を作ってしまいます。
自己防衛本能が強い
なかにはミスをした部下を叱責するだけでなく、部下から仕事を取り上げて自ら処理してしまう上司もいます。部下からすればミスを挽回する機会を奪われたことになり、自信を喪失してしまうでしょう。
また、自らのミスを部下へ責任転嫁するタイプも存在します。
部下に対して感情的になりやすい
全方位に感情的なのではなく、部下や後輩といった自分より弱い立場の人に対してのみ配慮を欠いた発言をするのが特徴です。パワハラ上司と近いタイプですが、クラッシャー上司は論理的に責め立てる人が多いため、周囲もなかなか止めに入れません。
部下に対して感情的になってしまう背景には「これくらいは耐えて当たり前」「自分はもっと厳しくされてきた」といった価値観があります。上司としてアンガーマネジメントができていないと言えるでしょう。
関連記事:アンガーマネジメントとは?やり方や職場に取り入れるメリット、注意点を解説
仕事に私情を挟む
パワハラ上司も気分や好き嫌いで理不尽に怒りを爆発させますが、クラッシャー上司は部下の仕事に対する評価に私情を挟むことが特徴です。
叱責されるラインが上司の気分によって変わるとなると、部下は常に緊張を強いられる状況になります。上司や、そのような上司を許している企業への不信感にもつながるでしょう。
いずれにせよ部下は強いストレスを感じてしまいます。
自己愛や承認欲求が強い
また部下が新たなアイデアや提案をして、そのアイデアが刷新的であると理解していても、指摘できる部分を探して部下の評判が上がらないように、心の中ではよいアイデアと思っていても、あえて否定する言動をする場合もあるのです。
関連記事:承認欲求の診断(評価)方法とは?社員の意欲を高める施策とポイント
部下にも自分と同じレベルのクオリティを求める
しかしクラッシャー上司は「これくらいできないと」といったように部下にも同じレベルの仕事を任せたり、クオリティを求めたりする傾向にあります。
メタ認知能力が低い
メタ認知能力が低いことで、どのような物事に対しても主観的に捉えてしまい、他者視点で考えられない傾向にあります。
関連記事:メタ認知とは?高い人の特徴やメタ認知を鍛える3つの方法を解説
クラッシャー上司がターゲットにする部下のタイプ
ただし絶対ではないため、あくまでも参考程度にチェックしてみてください。
仕事ができる部下
たとえばクラッシャー上司が育成している部下が何かしら実績を出した場合も、「彼が頑張ったからです」という発言ではなく、「私がいなかったら無理でしたよ」「あのとき自分が指摘してなかったら上手くいかなかっただろうな」など、素直に認められません。
苦手と感じている部下
企業としてクラッシャー上司を放置するリスク
しかし、従来のような年功序列が成立しなくなったいま、企業がクラッシャー上司を放置するリスクは小さくありません。長期的に以下のような問題につながる恐れがあります。
- 若手や優秀な人材が流出する
- イノベーションが起こせない
- 社内の雰囲気が悪くなる
- 成長機会を減らす
- 退職者を増やす
- 会社の評判が下がる
- 職場全体のモチベーションが下がる
若手や優秀な人材が流出する
近年の採用市場では売り手有利の状況が続いており、Z世代(若手)を中心に転職へのハードルが低くなっています。またメンタルヘルスの認知が進み「精神的に壊される前に転職すべき」と考える人も少なくありません。
クラッシャー上司の部下潰しを必要悪として見過ごせる時代ではなくなってきているのです。
クラッシャー上司が管理職になっても成果をあげられてきたのは、転職に消極的な世代が部下だったからとも考えられます。若い人材が育たない企業は、いくらクラッシャー上司が1人で成果をあげても、企業としての成長は限定されてしまうでしょう。
関連記事:Z世代とは?仕事に対する価値観や9つの育成ポイントを解説
イノベーションが起こせない
- 自分のやり方が正しいと考え、異なるやり方に批判的
- 失敗を過度に責め、部下の心理的安全性を下げる
結果として、革新的なアイデアが創出されにくい組織風土を醸成してしまうのです。上司のやり方が通用しないような市場環境の変化が発生したときに、企業として対応が遅れる恐れがあります。
関連記事:イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説
社内の雰囲気が悪くなる
また、否定的な発言は周りに浸透してしまい、ネガティブ思考な組織を生み出してしまうきっかけにもなるでしょう。
成長機会を減らす
部下は自分のキャリアアップや会社に貢献するため、積極的に発言したり行動したりするのにもかかわらず、クラッシャー上司がその機会を妨げるため、部下のモチベーションはどんどん下がります。
また「自分が出したアイデアも結局潰されてしまう」「どうせ上司が否定するだろう」という思考になり、成長したいという意欲をなくしてしまうでしょう。
関連記事:仕事における成長機会とは?企業側が提供できる例やメリットなどを紹介
退職者を増やす
クラッシャー上司は優秀な部下に自分の立場を奪われないように必死です。自分の立場を守れるのであれば手段は選ばないため、言動や行動もエスカレートしていくでしょう。
クラッシャー上司を放置し、優秀な人材が退職してしまうと、会社の損害にもつながってしまいます。
関連記事:連鎖退職はなぜ起こる?原因と対策、企業に及ぼす影響とは
会社の評判が下がる
近年は会社の口コミや評判が閲覧できるサイトがあるため、クラッシャー上司への対処が遅れてしまうと、悪い評判が増えていき「パワハラ上司やクラッシャー上司を許容している会社」と認知されてしまう恐れがあります。
少子高齢化による人手不足が加速しているなか、クラッシャー上司の存在で会社の評判を下げてしまった場合、採用するのも難しくなり、売上低下にもつながってしまうでしょう。場合によっては会社存続も危ぶまれるリスクがあるのです。
職場全体のモチベーションが下がる
クラッシャー上司の部下への対応は、叱責された本人だけでなく、周囲にも悪影響を及ぼします。職場全体のモチベーションを下げ、生産性を落とすことにもつながります。
企業ができるクラッシャー上司対策
そこで、社内のクラッシャー上司が部下を追い詰める前に企業が取れる対策を紹介します。
- 匿名の相談窓口を設ける
- コンプライアンス強化に取り組む
- 評価制度や昇進制度を見直す
- 人材配置を検討する
- 組織サーベイを導入する
- クラッシャー上司本人に指導を行う
匿名の相談窓口を設ける
ただし、相談窓口は相談者が不利益を被らないという前提がないと機能しません。設置に際しては以下のポイントを押さえましょう。
- 相談者の情報は決して上司やその関係者に渡さない
- 人事直通の窓口とし、相談者の所属部署は関与させない
- 相談内容について必ず何らかの対応する
- 実際に相談が来たときの対処フローを決めておく
企業がしっかり対応して見せることで、クラッシャー上司に悩む部下が現状を訴えやすくなります。
コンプライアンス強化に取り組む
- コンプライアンス研修を実施する
- 行動規範を整備する
- 通報窓口を設ける
評価制度や昇進制度を見直す
しかし、プレイヤーとして優秀な人材が、管理職としても優秀とは限りません。管理職に求められる業務のなかには人材管理・部下育成・チームビルディングも含まれます。部下を犠牲にしてチームの成果を追い求めるクラッシャー上司は、業績への貢献度は高くても、人材管理などの面では能力不足と言えるのです。
評価制度や昇進制度を見直し、管理職としての適性がない人材をそもそも昇進させない組織作りも、有効なクラッシャー上司対策です。
人材配置を検討する
そのタイプに該当しない部下を配置した場合、クラッシャー上司の言動や行動についてあまり気にせずに対応できるケースがあります。また、上司と部下の相性も関係する場合があります。
たとえばミイダスのコンピテンシー診断(特性診断)を活用すれば上司・部下としての傾向を把握できます。客観的に測定できるツールを使用すれば、人材配置もスムーズに進めやすいでしょう[※1][※2]。
組織サーベイを導入する
組織サーベイでは従業員や組織のコンディションを確認できます。たとえばミイダスの組織サーベイであれば、以下のような項目を診断できます[※1]。
<ミイダス 組織サーベイの診断項目例>
| 診断項目 | 内容 |
|---|---|
| やりがい | 能力の発揮、成長実感など仕事にやりがいを持って取り組めているか |
| ミッション | 会社からの評価、難易度など自身のミッションは適切であると捉えて、前向きに取り組めているか |
| 健康 | 精神的ストレスや肉体的ストレスなど、健康的に働けているか |
| 支援 | 上司や同僚から、仕事を進めるうえで適切なサポートを受けられているか |
| 人間関係 | 上司や同僚と良好な関係を築けているか、気軽に話せるか |
| 組織 | 経営陣や上司への信頼、事業やミッションへの共感はあるか |
クラッシャー上司本人に指導を行う
また、その際は部下の名前は出さないように、匿名で相談があった旨を伝えましょう。第三者や客観的なデータを用いて伝えることで説得力も増します。
あまりにも状態が酷い場合は、直接指導を行いましょう。
ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」とは?
- パーソナリティの傾向
- 上司・部下としての傾向
- ストレス要因
- マネジメントスタイル
<ミイダス コンピテンシー診断(特性診断)診断結果画面イメージ>

また、クラッシャー気質が疑われる上司に部下を配属させる際には、上司・部下としての傾向の結果が参考になるでしょう。クラッシャー上司にも相性があるため、部下の気質によってはうまく関係を構築できる可能性もあります。
たとえば、上司や部下には以下のような傾向があります。
<上司としてのあなたの傾向>
| 分類 | 説明 |
|---|---|
| 指示型 | 部下に細かく指示・指導を行うことができる |
| 委任型 | 部下のやり方に干渉せず、仕事を任せることができる |
| 傾聴型 | 自分の意見を押し付けず、部下からの意見や提案を聞くことができる |
| 対話型 | 部下と話し合いながら物事を進めることができる |
| 交渉型 | 意見や考えが違う部下に対して、説得・交渉しながら働くことができる |
| 分類 | 説明 |
|---|---|
| 従順型 | 上司の意見や考えに従って働くことができる |
| 自律型 | 上司から指示がなくても、自分で考えて行動できる |
| 協調型 | 上司と協力しながら業務を遂行できる |
| 提案型 | 上司に対して業務に必要な情報を積極的に提案できる |
| 主張型 | 上司に自分の意見や考えをはっきり伝えることができる |
さらに、ミイダスでは組織サーベイも提供しています[注1]。
簡単なアンケートでストレスを抱えている社員をいち早く検知でき、クラッシャー上司との関係に悩む社員への適切な対処を可能にします。
[※1]採用機能のみをご利用中の企業さまは、定着ブランディングの基本機能を追加費用なしでご利用いただけます(最大30ID分に限る)。
[※2]ミイダス有料プランにご契約いただいていない状態でも、当該機能は活用いただけます(最大30ID分に限る)。
※本サービスの内容・条件等は、ご契約のプランの内容(付加サービス等を含む)により異なります。詳細は問い合わせフォームよりお問い合わせください。
クラッシャー上司に関するよくある質問
- Q
クラッシャー上司の特徴は?
- A
クラッシャー上司は、仕事のうえでは非常に有能であるケースが多いことが特徴として挙げられます。
また、共感性が乏しい、部下に対して感情的になりやすい、メタ認知能力が低いなどの傾向もみられます。 - Q
企業が実践できるクラッシャー上司対策は?
- A
クラッシャー上司が組織にいると考えられる場合には、匿名の相談窓口を設けたり、人材配置を検討しなおすことが望ましいです。
とくに人材配置においては、組織の状態を把握するために、ミイダス「コンピテンシー診断(特性診断)」や「組織サーベイ」のようなアセスメントツールを活用して、場合によっては
クラッシャー上司本人に指導を行うことも、対策として有効です。

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