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採用

採用計画の立て方を7ステップで解説!テンプレートや計画立案後の注意点も

企業の経営戦略に大きな影響を与える採用活動。労働市場や経営環境の変化により、採用市場は年々厳しくなっています。

採用を成功させて優秀な人材を確保するには、綿密な採用計画が必要です。しかし、現実は退職者が出るたびに採用するなど、短期的な採用計画になってしまいがちです。

「いつまでに何人を採用するのか」
「採用方法はどうするのか」
「採用にどの程度コストをかけるのか」

採用において検討すべきことは多々あります。そこで今回は、採用計画の立て方を徹底解説します。採用計画のテンプレートや、計画立案後の注意点などについても紹介しますので、ぜひご一読ください。

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採用計画とは?

採用計画とは、企業の人材パフォーマンスを高めるための採用・配置の計画を指します。

企業が事業を成功に導くには、適切な人材の採用・異動・配置が重要です。やみくもに採用するのではなく、経営方針や事業計画に基づいて方針を決めなければなりません。

そのため人事は、経営方針や事業計画を把握したうえで、次の要素を明確にして採用活動の指標となる計画を立てる必要があります。
  • なぜ採用が必要なのか
  • いつまでに何人採用するのか
  • どのような方法で採用するのか
  • どの部署に必要なのか
  • 欲しい人材はどのような人材なのか

採用計画が必要な理由

採用計画を考えるイメージ
採用計画の立案には手間がかかります。そもそも、なぜ採用計画を立てる必要があるのでしょうか。採用計画がないとどのような問題が起こるのかとあわせて見ていきましょう。

採用市場が変化しているため

少子高齢化が進行し、生産年齢人口は減少しています。採用市場の環境は厳しく、人材確保に苦戦する企業が増えているのが現状です。求人広告を出しても応募が集まらず、優秀な人材の不足が事業展開の足枷になっている企業も少なくありません。

また、中小企業は採用が難しくなっているというデータも出ています。大手企業に比べて中小企業は知名度がなく、また有利な勤務条件の提示が難しいことも多いため、応募が集まりにくいのです。

人手不足についてはこちらの記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

【関連記事:人手不足が深刻化する日本|現状と原因、企業が実施したい6つの対策

中小企業が採用計画なしに漫然と採用活動をしていても、自社が希望する人材を適切に採用することは難しい状況と言えます。人手不足が続く今、採用計画を立てて競合企業との差別化を行う必要があるのです。

明確な目的を持ち、的確な施策を行うため

採用に限らず、どのような施策も計画が必要です。明確な目標を持ち、達成のために逆算した的確な施策を行う必要があります。採用計画を立てずに行き当たりばったりな対応をすると、応募が集まらなかったり、離職率が高まったりするなど、思うように結果が出ないリスクがあるのです。

採用計画を立てると、採用活動を通して達成したい目標や現状の課題を明確化できます。さらに計画を採用担当者内で共有するため、採用チームの方針の統一化にもつながるでしょう。

また採用計画をドキュメントとして文字に起こすことで、多方面からのレビューも行えます。経営陣の意見を聞きやすくなり、企業の利益アップという目的に最適化された計画を作成できるでしょう。

さまざまな視点から採用計画のブラッシュアップを行えば、自社に必要な施策を的確に実施できます。

採用計画を立てる前に調べるべきこと

採用計画を立てる人事部メンバーたち
実際に採用計画を立てる際には、以下の3項目について下調べしておくことをおすすめします。
・近年の求職者の傾向
・競合他社の採用傾向
・新卒採用スケジュールの確認
必要なリサーチをしたうえで採用計画を立案すると、視野が広がり、採用目標を達成できる計画が立案しやすくなります。

近年の求職者の傾向

求職者の傾向は景気や社会情勢で変化します。近年の傾向を把握することは、採用市場に適した計画を立てるうえで非常に重要です。

求職者の傾向はおもに2つの視点から調査できます。
  • 求人市場全体
  • 今まで自社に応募してきた人材
まずは求人市場全体のデータを分析してみましょう。厚生労働省が出している「雇用動向調査」や、民間が調査している「求職者の動向・意識調査」などを参考にしてください。求人市場で求職者が何をポイントに就職活動しているのか分かるので、企業のアピールポイントや採用条件・待遇・募集時期を決めるときに役立ちます。

次に、今までに自社へ応募してきた応募者の傾向を分析します。分析する項目としては、たとえば以下が挙げられます。
  • どの時期に応募が多かったか
  • 自社の何に魅力を感じて応募したのか
  • どの地域・どの年齢層の応募が多かったのか
これらを分析することで、次回の求人時に打ち出す条件やアピールポイントの参考にできます。これまでの面接などの記録を見返し、在籍する社員にもヒアリングしてみると良いでしょう。

競合他社の採用傾向

効率的な採用のために、競合他社の採用傾向を把握しましょう。採用活動を有利に展開するには、競合他社との差別化を図る必要があります。

ただし、競合とひとくちに言っても、採用市場では同規模の同業者だけが競合になるとは限りません。地域や職種、勤務時間などによっては、あらゆる企業が競合になりえます。

同じような条件で求人募集を出している企業が複数あった場合、当然ながら、もっとも魅力的な条件の企業に応募が集中します。

自社の競合がどこか、そして競合がどのような採用活動を行っているのか知るため、これまでの応募者がどの企業と比較して応募してきたのかリサーチしましょう。

リサーチ方法としては、近年自社に入社した社員に
  • 就活中は何を重視して活動したのか
  • 他にどのような企業を受けたのか
  • 入社を決めたきっかけ
などをヒアリングする方法があります。また採用の口コミサイトで競合他社を調べたり、人材紹介会社の担当者からヒアリングするのも良いでしょう。

新卒採用スケジュールの確認

新卒採用を計画している場合は「就活ルール」の確認も必要です。
<2024年度卒業・修了予定者の採用スケジュール>

広報活動開始:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
採用選考活動開始:卒業・修了年度の6月1日以降
正式な内定日:卒業・修了年度の10月1日以降

(参考:内閣官房「就職・採用活動に関する要請」)
就活ルールとは、新卒採用の活動開始日などを定めたルールを指します。もともとは経団連が主導してきたルールでしたが、経団連がルール廃止を発表してからは、政府主導でスケジュールの蹈襲が続いている状況です。

とはいえ、ルール自体に強制力はありません。インターンシップなどで学生との早期接触を図ったり、広報活動開始前に内々定を出したりする企業もあります。とくに外資系企業やベンチャー企業では、大企業より早く優秀な人材を確保しようとする動きが活発です。

就活ルールを意識しつつも、早期に有望な学生へ内定を出せるよう柔軟な対応が求められます。

【関連記事:インターンシップとは?企業側のメリット・デメリットや給与体系、導入の流れを解説

採用計画の立て方を7ステップで解説

採用計画の立て方を解説する5人のビジネスパーソンのイメージ
採用計画の立て方は、大きく以下の7ステップに分けられます。
1. 採用戦略を立てる
2. 採用する職種と人数を決める
3. 雇用形態を決める
4. 採用したい人物像を決める
5. 採用手法を選定する
6. 採用活動のスケジュールを立てる
7. 内定者のフォロー方法を決める
それぞれ詳しく解説していきます。

①採用戦略を立てる

採用戦略とは、自社に優秀な人材を獲得するために立てる戦略であり、経営戦略や事業計画に基づいて立案します。たとえば新規事業の拡大に力を入れる経営戦略が立てられているならば、採用戦略ではその新規事業で必要となる人材をどのように獲得するかを立案します。

採用戦略については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

【関連記事:採用戦略とは?意味と具体的な手順、事例を紹介
【関連記事:採用戦略のフレームワークとは?意味と事例を紹介

採用計画は採用戦略を具体的に進めるための計画書であり、適切な採用戦略があってこそ有効な採用計画が立案できます。

②採用する職種と人数を決める(要員計画の策定)

次に、会社に必要な職種と採用する人数を明確化します。人事異動も選択肢として持ちつつ、どの部署に何人採用しなければいけないのかを考えましょう。

部署や部門、職種ごとに必要な人材・人数を把握するために、まずは部署別・年齢別の人員構成表を作成し、シミュレーションします。採用する職種と人数を決める具体的な方法を4つ紹介します。

(1)ヒアリングによるアプローチ(ボトムアップ)

現場社員へのヒアリングによって必要な人数を算出する方法は、ミクロ的算出法(ボトムアップ)と呼ばれます。各部署へのヒアリングや、要員依頼書の提出によって現場のニーズを知り、採用計画に落とし込んでいきます。

接客業のような、現場のスムーズな稼働がとくに重視される業界で取り入れられることの多い方法と言えるでしょう。部署ごとのニーズが分かれば、必要な職種も見えてきます。

ただし、現場のニーズを優先しすぎると単なる欠員補充になってしまうため注意が必要です。人件費や人材育成も考慮しながら、中長期的に企業の核となる人材をバランスよく採用計画の中に入れることを忘れないようにしましょう。

(2)財務アプローチ(トップダウン)

財務アプローチは、目標利益を達成できる採用人数を計算する方法です。人件費や利益などから採用人数を算出するこの方法は、マクロ的算出法(トップダウン)と呼ばれます。
必要人数 =(売上高 - 人件費以外の経費 - 目標利益)÷ 1人あたりの人件費
採用人数 = 必要人数 - 既存社員数
財務アプローチは、売上高がある程度一定になる企業に向いている方法です。売上高の変動が大きい場合、赤字に転じる可能性もあるため注意が必要です。

また「この人数を採用しても目標利益を達成できる」という指標となるため、財務アプローチで計算した採用人数が業務効率に最適化されているとは限りません。人材を採用したことで売上アップにつながるケースもありますが、これを計算に入れるのは難しいため、財務アプローチによる算出結果は参考程度に留めるのが良いでしょう。

(3)業務量アプローチ(トップダウン)

業務量アプローチは、業務量に合わせて必要な採用人数を算出する方法です。
必要人数 = 総労働時間 ÷ 1人あたりの労働時間
採用人数 = 必要人数 - 既存社員数
業務量の増加を予測できる場合に、既存社員の労働時間を増やさないように必要な人材を採用します。既存社員の負担が増えると離職につながる可能性もあるため、業務量の増加が分かっている場合は有効な算出法と言えるでしょう。

しかし、一時的に業務量が増加するケースで正社員を増やすと、業務量が減少したときに人件費が膨らんでしまいます。この場合は、業務委託や契約社員などを活用すると良いでしょう。

(4)戦略アプローチ(トップダウン)

戦略アプローチは、経営計画の中で決められた投資金額から採用人数を計算する方法です。
必要人数 = 投資人件費 ÷ 1人あたりの人件費
採用人数 = 必要人数 - 既存社員数
経営計画に沿った人数を採用できるメリットがあります。ただし、人件費に使える投資金額を正しく計算することは困難なため、現実的な数字が算出できているかの検討は必要です。

③雇用形態を決める

続いて、どの雇用形態で採用するのかを決定します。採用計画を立てる際には、正社員を採用することにフォーカスしてしまいがちですが、業務委託やパートタイムなどの雇用形態もあります。

目的に応じて適切な雇用形態で人材を獲得すれば、効果的に採用目標を達成できるでしょう。各雇用形態について簡単に紹介します。

なおこちらの記事でも雇用形態について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【関連記事:雇用形態とは?種類や企業側・従業員側それぞれのメリット・デメリットを紹介

正社員

多くの場合、採用計画を立てる際にメインとなるのが正社員です。正社員は長期的に活躍してくれる人材を確保しやすく、教育による投資もしやすい点がメリットと言えます。企業の安定した基盤になることが期待できるでしょう。

しかし、自社に合わない人材だったとしてもすぐに解雇できなかったり、人件費がかさみやすかったりする点がデメリットです。

契約社員

契約社員とは、労働契約にあらかじめ雇用期間を定めて採用している人材のことを指します。専門的な知識を持った人材を一時的に活用したい場合などに有効な雇用形態です。

ただし、契約を更新できなかった場合に新たな人材を見つけるコストがかかります。正社員よりも不安定な人材リソースだと言えます。

業務委託・アウトソーシング

採用計画を立てる際、業務委託の利用も考えましょう。業務委託は、特定の業務を委託して報酬を支払うことで成立しており、雇用契約ではありません。そのため、一時的な業務量の増加などに対応しやすく、新たな社員を採用するよりもコストを抑えられます。

デメリットは、社内知識の流出につながる可能性がある点と、委託先の選定によっては業務の質が下がる可能性がある点などが挙げられます。業務委託契約書の書き方やメリット・デメリットなどについての詳しい説明は、ぜひ以下の記事をご覧ください。

【関連記事:業務委託とは?雇用契約との違いや契約時の注意点について簡単に解説

④採用したい人物像を決める

自社の求める人材と求職者のミスマッチを防ぐため、求める人物像をはっきりさせなければなりません。採用したい人物像を作成することを「採用要件」や「人材要件」と呼び、おもに以下の2つの方法が挙げられます。

該当部署の社員にヒアリングをする

部署によって、必要とする人材像は異なるため、各部署からのヒアリングが人材像の明確化には有効です。情報が集まったら、能力やスキル、属性、経験、志向、勤務条件などを細かく定義していきましょう。

コンピテンシー診断ツールを使用する

求める人材像の明確化には、経営戦略や経営計画、既存社員のコンピテンシーを把握しておく必要があります。

コンピテンシーとは、ハイパフォーマーに共通する行動特性のことです。自社で長期的に活躍している人材に共通する要素を洗い出すことで、採用したい人物像を明確化できます。

ミスマッチが発生しにくいタイプの把握にもつながるため、短期・中長期において会社が必要とする人材像を導きやすくなるでしょう。

ハイパフォーマーの特徴や分析方法については、以下の記事をぜひご覧ください。

【関連記事:ハイパフォーマーとは?特徴や分析方法、離職を防ぐ方法を徹底解説

経験者採用のプラットフォーム「ミイダス」では、オンラインのコンピテンシー診断ツールを提供しています。既存社員にコンピテンシー診断を受けてもらうと、以下の項目を分析して活躍する人材の特徴を可視化できます。
  • 求職者や従業員のパーソナリティの特徴
  • 職務適正
  • ストレス要因
  • 上司または部下との相性
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⑤採用手法を選定する

採用する人数や職種が決まったら、次は採用手法を策定しましょう。コストやターゲットによって採用手法を変えるのが選定のポイントです。

採用手法には次のようなものがあります。
  • 自社のWEBサイト
  • 求人広告(紙面上・WEB上)
  • 人材紹介会社の利用
  • スカウティングサイトの利用
  • SNSの利用
  • ハローワーク
  • リファラル採用(社員からの紹介)
それぞれ以下のようなメリット・デメリットがあります。

自社のWEBサイト

  • メリット:自社の雰囲気を伝えることができ、他社との差別化がしやすい
  • デメリット:WEBサイトの改修だけだと集客しづらく、求職者の目に留まらない可能性が高い

求人広告(紙面上・WEB上)

  • メリット:求人広告を求職者の目に触れさせることができるため、自社サイトの改修後などに併用すると効果的
  • デメリット:文言の決定や出稿単価の調節など、広告運用の業務が発生する

人材紹介会社の利用

  • メリット:自社に合う人材を人材紹介会社の広いネットワークから紹介してもらえる
  • デメリット:費用が高額で、人材会社とのやり取りの業務も発生する

スカウティングサイトの利用

  • メリット:企業側から気になる人材にアプローチできるため応募を待つ必要がなく、自社で活躍する人材を採用しやすい
  • デメリット:スカウトを送る業務が発生する

SNSの利用

  • メリット:自社の雰囲気をカジュアルに伝えやすいため、中小企業は大企業と比べて会社のイメージが伝わりにくい弱みを克服できる
  • デメリット:炎上の可能性があるため慎重に運用しなければならず、定期的な更新も必要

ハローワーク

  • メリット:費用がかからないため、手軽に利用できる
  • デメリット:求めている人材がハローワークに登録していない可能性がある

リファラル採用(社員からの紹介)

  • メリット:社員がすでに関わりを持っている人材のため、自社にフィットする可能性が高い
  • デメリット:社員の人脈頼りとなってしまい、計画的な採用には不向き
それぞれ採用スピードやコストが異なるため、自社のニーズに応じて選ぶ必要があります。

たとえば「人材紹介会社を利用すれば、人材のスペックが高い分、費用も高額になる」「ハローワークなら費用はかからないが、自社に合う人材が見つかるとは限らない」など、特徴を理解して利用しましょう。複数のツールを併用する方法も有効です。

とはいえ、「どれを選んだら良いのか分からない」と悩む担当者の方もいるでしょう。そのようなときは、採用にかけるコストや達成したい目標から逆算して、採用方法を選定する方法がおすすめです。

採用にかけるコストから逆算する方法

採用計画を立てる際は、採用活動にかけられるコストを考えます。

採用コストには、採用担当者の人件費や交通費といった企業内部のコストと、求人広告の掲載や人材紹介サービスの利用、合同企業説明会に参加するなどの外部コストがあります。

とくに外部コストは採用方法によって大きく異なるため、十分な検討が必要です。

企業が採用にかけられるコストには限りがあるため、採用コストを抑えたい場合はコストから逆算して採用方法を決めると良いでしょう。
  • 採用予算に余裕がないため、無料のハローワークを利用する
  • コストはかかっても良いが、少数を効率的に採用したいので人材紹介会社を利用する
といったように、最適な採用方法を選ぶ必要があります。

採用コストを抑える方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【関連記事:採用コストの削減方法とは?コストが増えてしまう原因や減らすコツを紹介

達成したい目標から逆算する方法

採用計画で達成したい目標から逆算する方法もあります。

採用計画を立てるメリットの一つは、いかに予算内で採用目標を達成できるかを事前に検討できることです。コストだけに捉われて最終的な目標が達成できなければ、元も子もありません。
  • 人材確保を急いでいるため、スカウティングサイトで積極的に声をかける
  • 大人数の採用を予定しているため、ターゲット人材が多く利用している求人広告を使う
上記のように採用目標の達成可能性が高い手法を選ぶと良いでしょう。

⑥採用活動のスケジュールを立てる

計画倒れを防ぐため、採用活動のスケジュールを考える必要があります。スケジュールは「中長期」と「短期」の2種類で考えましょう。

中長期のスケジュール

中長期のスケジュールは、会社の方向性に沿うために中期経営計画や企業理念を基に考えます。中長期の経営計画とは、企業の目標を実現するために、3~5年でやるべきことを明確にした計画です。

課題や現状を整理して、取り組むことや利益目標を定めています。この中期計画をもとに、自社が必要とする人材の人数や時期、採用にかける予算を3〜5年の計画に落とし込みます。

短期のスケジュール

次に1年単位の短期計画を立てます。短期計画では、求人開始から入社までの全体スケジュールと、募集開始・筆記試験・適性検査・面接・内定者フォロー・入社手続きまでの各タスクにわけて作成します。

なお、スケジュールは途中で見直しが利くよう、余裕をもった計画にしましょう。

新卒採用では、インターンシップ、企業説明会、内定者フォローなどトータルで1年以上の計画を策定するケースも珍しくありません。

中途採用のスケジュールにおいても、募集開始から選考までの期間は最短でも2、3ヶ月は見積もっておきましょう。ちなみに、経験者採用(中途採用)が活発になりやすい時期は、以下の傾向にあります。
  • 1~3月:4月入社を目指して動き出すタイミング
  • 4月:年度替わりのタイミングのため心境の変化が起きやすい
  • 6~7月:夏の賞与受け取り後のタイミング
  • 9月:4月同様、年度替わりのタイミングのため心境の変化が起こりやすい
  • 10~11月:冬の賞与受け取り後のタイミング
一方、5月や8月、12~1月は長期休みがあるため転職活動を控えやすい時期です。短期計画を立てる際は、このような市場の傾向も考慮しましょう。

⑦内定者のフォロー方法を決める

選考が終わって内定を出したあとも、採用担当者の仕事は終わりません。内定辞退を防ぐ必要があるからです。

多くの時間や労力、コストをかけて選考した人材に入社してもらうために、適切な内定者フォローの方法を検討しておきましょう。採用計画には、内定を出したあとのフォロー内容と工数まで含めることをおすすめします。

優秀な人材ほど、複数の企業から内定をもらっているものです。他社ではなく「うちの企業」を選んでもらうには、円滑なコミュニケーションや入社への納得感を高める必要があります。
  • こまめに連絡を取り、コミュニケーション不足から内定者が不安にならないよう配慮する
  • 入社への納得感を出すために、企業理解を深める機会を提供する
  • 配属予定先の社員との面談を計画する
上記の方法などが一般的ですが、いずれも内定者に負担を強いることがないように注意しましょう。

内定辞退率を減らす方法についての詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。

【関連記事:内定辞退率を減らすには?内定承諾率向上と辞退者を出さないコツを解説

採用計画のテンプレート

採用計画を考える人事部社員
立案した採用計画は、Excelやパワーポイントなどを使って計画書の形に落とし込みます。

形式に決まりはありません。はじめて作成する場合は、Excelのガントチャートなど無料のテンプレートを活用すると作成しやすいでしょう。

以下、採用計画書に記載すべき項目例を「採用目標・採用方法」「採用要件」「採用スケジュール(短期)」にわけて紹介します。

採用目標・採用方法

採用目標 募集職種 〇〇職
雇用形態 正社員(勤務地〇〇)
人数 〇名
採用時期 〇年〇月末に完了
採用方法 募集方法 ・求人媒体A
・求人媒体B
・採用サイト
選考方法 ・書類選考(履歴書・職務経歴書)
・適性検査
・一次面接(Web面接、採用担当)
・二次面接(部門長)
・最終面接(役員)

採用要件

スキル・経験性格
必須条件〇〇資格保有者〇〇の価値観を持っている人物
歓迎条件経験年数〇年以上〇〇に関して前向き
不要条件未経験者〇〇ができない人物
採用要件の決め方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

【関連記事:採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説

採用スケジュール

〇〇年4月・要員計画の策定(採用が必要なポジションと人数の決定)
・採用要件の策定
・採用計画の策定
5月・募集要項の作成・決定
・面接官の選出
・採用サイトの作成・公開
・媒体Aと媒体Bに出稿
・エントリー開始
6月〜7月・採用選考(書類選考、適性検査、面接2回)
・内定(内定通知書、労働条件通知書、内定承諾書の発行)
8月・内定者フォロー(内定者面談)
・入社手続き
・内定状況の把握と再募集の検討
・採用活動の振り返り

採用計画を立案したあとの注意点

採用活動をはじめる人事部メンバーたち
採用計画を立案したあとは、いよいよ採用活動がスタートします。採用活動では人事部の採用担当チーム以外にも多くの人が関係してきます。

計画倒れにならないよう、以下の点に注意しましょう。
・採用活動の状況を関係者間で共有できるようにする
・配属予定部署のメンバーと協力体制を構築する
・自社採用サイトやSNSを定期的に更新する
・採用計画は定期的に見直す

採用活動の状況を関係者間で共有できるようにする

スケジュールや実施すべきタスクを関係者間で共有し、進捗状況を確認しあえる体制を整えましょう。

また採用選考が進むと、受け入れ部署の部門長や役員などが面接官を担うことになります。あらかじめスケジュールを確保しておくとともに、採用戦略や採用基準について打ち合わせをしておく必要があります。

配属予定部署のメンバーと協力体制を構築する

内定者を受け入れる予定の部署との連携も大切です。

採用要件策定の際のヒアリング、採用サイトに掲載する先輩社員インタビュー、内定者フォローなど部署メンバーの協力が必要になる場面は少なくありません。

入社後のオンボーディングをスムーズに進めるためにも、配属予定部署と協力して採用活動に取り組める体制を構築すべきです。

自社採用サイトやSNSを定期的に更新する

近年は自社採用サイトやSNSを活用して認知拡大を図る企業が少なくありません。とくに大企業に比べて知名度が低い中小企業にとっては、採用サイトやSNSは有効な認知拡大方法と言えます。

しかし、採用サイトやSNSは定期的な運用が必要です。作っただけでまったく更新できていないと「本当に募集しているのだろうか」と求職者からの信頼を損なってしまう可能性もあります。

運用担当者を配置し、更新が滞らないよう注意しましょう。

採用計画は定期的に見直す

採用計画は、作成したあとも継続的な見直しが求められます。採用計画を立案したからといって、計画通りに進むとは限りません。

とくに募集を開始してから長期間経過しているのに応募がない求人は、募集方法や時期が適切ではなかったと考えられます。そのまま採用活動を続けても効果は望めないため、問題点や改善点をはっきりさせ、計画を軌道修正する必要があります。

採用計画を見直すタイミングは、3ヶ月や半年置きなど定期的に設定するのがおすすめです。あらかじめタイミングを設定しておくことで意識的に採用計画を見直せます。
  • 各プロセスの歩留まりやエントリー経路の人数などの数値的な分析
  • 応募者の動機や就職先の決め手などの目に見えない情報の分析
上記2つのポイントにわけて分析し、採用計画を再検討しましょう。

最後に採用計画の振り返りを実施する

採用計画を振り返る人事部のイメージ
採用活動におけるタスクがすべて終了したら、記憶が新しいうちに採用計画の振り返りを実施しましょう。反省点を抽出しておけば、次回の採用計画をより効果的なものへブラッシュアップできます。

では、採用計画を振り返る際は何を意識すれば良いのでしょうか?5つの振り返りポイントを紹介します。
・スケジュールは厳しくなかったか
・採用活動全体を通して、クレームや事故はなかったか
・採用コストのかけ方は適切だったか
・内定を辞退した方の理由を把握できているか
・採用した人材は期待した通りの成果を出しているか

採用スケジュールは厳しくなかったか

まずは選考に十分な時間がかけられていたかを確認しましょう。

募集前に立てたスケジュールは余裕のあるものだったでしょうか?採用スケジュールでは「いつまでに入社してほしいか」という入社時期を事前に考えなければなりません。

とくに中途採用では、新卒採用と違って働きながら転職活動をしている求職者も多いでしょう。内定承諾後に、現在勤務している会社で退職手続きを行う期間を考慮する必要があります。

また、採用活動は人事が他の業務と並行しながら行う企業もあります。人事業務の繁忙期と採用時期が重なり、マンパワーが不足していなかったかなども確認しましょう。

採用活動全体を通して、クレームや事故はなかったか

応募者からの不満はなかったか、情報の保管・やり取りにミスはなかったかも振り返りましょう。

近年では応募者が選考で不満を抱くと、すぐにSNSや口コミサイトなどに書かれてしまう傾向があります。書き込みの内容によっては企業の評判を落としかねません。企業の今後の業績や採用活動にも支障が出てしまうでしょう。

インターネット上で応募者とやり取りをする中で、ミスが発生する例も増えています。近年では、転職サイトを通じて応募受付や選考の連絡などが簡単にできるようになりました。その一方で、連絡の行き違いなどのケアレスミスも発生しやすくなっています。慎重かつ確実な運用体制が必要です。

また面接の場面でもトラブルがよく起こります。「聞いてはいけない事柄を質問してしまった」「面接官が高圧的だった」などの問題です。面接時のトラブルを防ぐためにも、採用活動を行う前にはマニュアル整備や研修を行っておくと良いでしょう。

面接の質向上を目的に面接官トレーニングを取り入れる企業もあります。詳しくはこちらで解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

【関連記事:面接官トレーニングのメリットと強化したいスキルは?具体的な方法も紹介

採用コストのかけ方は適切だったか

今回の採用ではどこに費用がかかったか、コストのかけ方は適切だったかを確認しましょう。コストは数値で確認できるため、把握しやすい項目です。

たとえば複数の求人媒体を利用したのに特定の媒体からの応募がなかった場合は、その求人媒体への出稿費用は無駄だったことになります。

コストの検証は、利用した採用方法やサービス、かけたコスト、1人当たりの採用単価を出して可視化すると効率的です。採用方法やサービスごとに内容や料金が異なるため、採用単価で比較すると、コストパフォーマンスが悪いと思われる方法を洗い出せます。

検証した結果は、次回の採用計画で適切な採用方法を選択する際の参考にできます。

内定を辞退した方の理由を把握できているか

内定者の辞退が発生してしまった場合は、なぜ辞退したのか、辞退してどこの会社に就職したのかを把握すると今後につなげられます。内定辞退の理由によっては、採用計画を見直す必要があるでしょう。

よくある内定辞退の理由としては、次のようなものがあります。
  • 勤務地、給与など条件面の折り合いがつかない
  • 応募時のイメージと違う
  • 社風が合わない
  • 求人情報や面接時の条件と食い違いがあった
  • 他企業の方が早く内定が出た
  • 担当者や面接官の対応が悪かった
内定辞退の理由によって、以下のような改善が求められます。
  • 食い違いのない情報提供を行う
  • コミュニケーションを密にする
  • 条件を変更する
  • 採用スケジュールを変更する
また、内定辞退者がどの企業に就職したのかを把握できると、自社に不足している部分を知ることが可能です。

採用した人材は期待した通りの成果を出しているか

採用活動は、採用して終わりではありません。採用した人材が配属先で期待通りの成果を出せているかの検証も必要です。配属後しばらくしたら、上司や本人へのヒアリングを実施しましょう。

「優秀な人材だと見込んで採用したのに、思ったような活躍をしてくれなかった」というケースは少なくありません。その場合、必要な人材の要件定義ができていなかったり、適切な部署に配属されていなかったりした可能性があります。

採用計画を見直し、欲しい人材像の再定義が必要です。

活躍人材を採用するポイント

活躍人材のイメージ
採用計画の立て方から計画立案後の注意点まで解説してきました。

しかし、採用計画がうまく進捗したとしても、自社で活躍する人材を採用できるかは別問題です。選考の方法によっては自社にフィットする人材を見極められず、入社後のミスマッチや早期離職につながる可能性があります。

よってここでは、活躍人材を見極める効果的な選考方法を紹介します。

採用基準の明確化と周知

選考の際には、面接官によって評価がぶれないように評価方法を統一しておく必要があります。誰がいつ面接をしても同じ評価ができるように、評価基準や選考ルールを定めておきましょう。

そのためにも自社が求める人材像の明確化は欠かせません。主観的な評価にならないよう、評価シートの作成や適性検査結果の共有などを行いましょう。定量化しづらい人材の資質や潜在能力の部分は、先ほど紹介したミイダスの「コンピテンシー診断」などの採用アセスメントツールを利用するのも有効です。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説

構造化面接

明確な評価基準で面接を行う際は「構造化面接」の実施がおすすめです。構造化面接とは、採用基準に基づいた質問をあらかじめ用意して、各候補者に同じ質問をする面接手法のこと。

明確な評価基準に基づいた客観的な判断ができるため、面接官の違いによる評価のバラつきを防止できます。一貫性のある評価をすることで、自社で活躍する可能性が高い人材を採用しやすくなるでしょう。

構造化面接についての詳しい説明は以下の記事をご覧ください。構造化面接で有効な質問例や、メリット・デメリット、導入方法などを丁寧に解説しています。

【関連記事:構造化面接は採用に有効?効果やメリット、質問例をまとめて解説
【関連記事:コロナ禍で進む「オンライン面接」。「構造化面接」との併用で、見極め精度は格段に向上する!

体験入社

選考フローに体験入社を導入すると、入社後のミスマッチ予防が可能です。体験入社では、候補者に1日~数日程度、業務を体験してもらいます。

こうすることで、企業側は候補者のパーソナリティをより高い精度で見極められるのです。また、候補者側も「業務が自分に合うか」「会社の雰囲気がイメージと合っているか」を確認できます。ミスマッチによる早期離職のリスクを削減し、効果的な採用ができるでしょう。

体験入社の導入方法やメリット・デメリット、おすすめのプログラムなどについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【関連記事:体験入社とは?導入するメリットや注意点、導入方法をまとめて紹介

バイアス診断ゲームの導入

自社で活躍する人材を採用するには、選考フローから評価者の主観をいかに取り除くかがポイントとなります。明確な採用基準に基づき、データから算出された自社にフィットする人材を採用できれば、ミスマッチも最小限に留められるでしょう。

しかし、人には無意識のうちに「バイアス(偏見)」が発生しています。「前職で良い成績を上げていたから、自社でも活躍するだろう」などの無意識の評価がこれに当たります。

無意識のうちに発生してしまうため、バイアスを取り除くことは簡単ではありません。そこで、NTTデータ研究所とミイダスが共同開発したツール「バイアス診断ゲーム」の利用がおすすめです。バイアス診断ゲームは、約30分×2回、計60分で求職者や社員の意思決定の癖を診断し、改善方法をご提案します。

バイアス診断ゲームについての詳しい解説は以下の記事をご覧ください。バイアスが採用に与える影響や、バイアス診断ゲームの使い方について説明しています。

【関連記事:採用面接を補うバイアス診断ゲームとは?面接だけで決めない中途採用が重要に!

ミイダスのコンピテンシー診断で、自社で活躍する人材を採用

ミイダスのサービス説明
採用を成功させるには、自社に合った人材を効果的に採用していく工夫が必要です。採用計画を立てる際は、採用コストを抑えつつ自社で長期間活躍する人材を採用する方法を考えましょう。

ミイダスの「コンピテンシー診断」では、自社組織の特徴やパフォーマンスを発揮する社員の傾向・特徴を分析し、求める人物像を客観的なデータで算出可能です。

また、選考段階では「バイアス診断ゲーム」を利用することで評価のブレを予防し、一貫した採用を実現できます。バイアス診断ゲームで把握できる認知バイアスは、全22項目あり、自分では気づけなかった意思決定の癖を知れるのです。

ミイダスでは、登録している求職者にスカウトメッセージを送ることも可能です。応募を待つ必要はなく、気になる人材に企業側から直接アプローチできます。採用コストを抑えて、自社にフィットする人材を採用したい方はぜひミイダスをお試しください。

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