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ES(従業員満足度)を向上させるには?調査方法や企業事例を紹介

労働者人口の減少が進むなか、働き方の多様化により人材確保が課題となっています。そこで重視されているのがES(従業員満足度)です。ESを向上させることで、人材の確保や離職防止、顧客満足度の向上といった効果が期待できるでしょう。

しかし、ESは目に見えるものではないため「どのように調査すればいいのか」「ESの向上には何をすればいいのか」など、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

ESを高めるには、自社のESを明確に把握し、改善が見込める適切な施策を行う必要があります。本記事では、ESの調査方法やESを向上させる方法などを解説します。

なお、企業の人事担当者の方に向けて、自社に定着する人材を採用するための方法やESと関係の深い「モチベーション」を高めるための方法をくわしく紹介したお役立ち記事も用意しています。

下記より無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

【無料ダウンロード】データでわかる定着人材とは


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ES(従業員満足度)とは

ガッツポーズをするビジネスパーソンたち
ESとは「Employee Satisfaction」の略称で、従業員の職場に対する満足度を表します。
満足度は「やる気」「士気」「チームワーク」などで表面化します。

ESに影響するものには、給与や福利厚生、業務内容など物質的な要素はもちろん「この会社にいると充実感がある・楽しい・高いモチベーションを保てる」など、精神的な充実感も含まれます。

ESと従業員エンゲージメントとの違い

ESと似た言葉で、従業員エンゲージメントがあります。エンゲージメント(engagement)とは、「契約」「約束」という意味で、従業員が会社に対して愛着を持ち、信頼関係を築くことを指します。

ESは会社に対して愛着を抱いているかを指す言葉ではありません。あくまでも「ここの会社にいることで自身の働くモチベーションが向上するか」「働くことにストレスを感じない労働環境であるかどうか」に重きが置かれています。

【関連記事:エンゲージメント向上にはアセスメントツールが効果大!活用方法や事例を紹介
【関連記事:従業員のエンゲージメントを高めるメリットとその方法とは?

ES(従業員満足度)が重視される理由

ES(従業員満足度)が重視される理由として、以下が挙げられます。
  • 少子高齢化による労働人口の減少
  • 転職に対する考え方の変化
それぞれの理由を確認しておきましょう。

少子高齢化による労働人口の減少

ESが重視される理由として、少子高齢化による労働人口の減少が挙げられます。

厚生労働省の「平均寿命の推移」によると、1955年の平均寿命は男性63.60歳、女性67.75歳でした。一方、2019年には男性81.41歳、女性87.45歳と約20年伸びています。

また、高齢者の人口も増加しています。1960年65歳以上の高齢者は4.9%と少ない割合でしたが、2025年には65歳以上の高齢者の人口が3,657万人となり、日本の人口の約30%を占めると予想されているのです。

総人口は減っていますが、高齢者が増えていくということは人手不足問題はさらに加速していく一方だと考えられます。

参考:1 高齢化の現状と将来像|令和4年版高齢社会白書(全体版)| 内閣府 

人手不足解消の対策として、2021年に高年齢者雇用安定法の改正が実施されました。そして2025年4月からは、法定定年年齢が60歳から65歳まで引き上げられ、今後は70歳までの就業を確保できるよう、国から企業に積極的な声掛けを行っています。

さらに定年制の廃止も検討されている状況です。高齢の雇用者を増やす働きは出ていますが、生産性は上がるとは考えにくいでしょう。

これからは社会の中心となる若者の雇用がますます難しくなると考えられるため、企業側はいかに従業員満足度を上げるかにかかっているといっても過言ではないのです。

転職に対する考え方が変わった

若者の転職に対する考え方が変わったのも、従業員満足度が重視される理由の1つです。

かつての日本は終身雇用制度が一般的でした。勤続年数が長いほど出世できる仕組みであり、「転職する=もったいない」という認識だったのです。

しかし、現代の若者は出世よりもやりがいを求める傾向に変わりつつあります。そのため、「従業員のことを考えていない」「人間関係がうまくいかない」と感じたら、すぐほかの企業へ転職してしまうでしょう。

また市場は買い手から売り手に変化しているため、2008年のリーマンショックの時期と比べると転職活動のハードルはかなり下がっていると考えられます。

従業員満足度が低い場合、不満がたまり大切な従業員が転職してしまうリスクが高まります。企業の利益や存続のためにも従業員満足度を高めることは必然と言えるのです。

ES(従業員満足度)に関わる2つの要因

やる気に満ちたビジネスパーソン
ES(従業員満足度)を高める施策を考える前に「従業員の満足度には、何が関係するのか」を知る必要があります。

アメリカの臨床心理学者ハーズバーグの「ハーズバーグの二要因理論」によると、従業員満足度には主に以下の2つの要因が関係していることが示されています。
  • 衛生要因:不足すると仕事への「不満足」につながる要因
  • 動機づけ要因:満たされると仕事への「満足」につながる要因
衛生要因が不足すると、仕事へのモチベーションが低下して不満につながり、逆に動機づけ要因が充足するとモチベーションが高まる、と提唱しています。

具体的には、以下のイメージです。

【衛生要因(不足すると不満につながる)の例】
  • 給与
  • 福利厚生
  • 労働条件、環境
  • 社内の人間関係
【動機付け要因(充足すると満足につながる)の例】
  • 承認される(承認欲求が満たされる)こと
  • 達成感
  • 仕事への興味
  • 自身の成長
  • 責任
  • 昇進
上記の要因を自身に置き換えて考えてみると、わかりやすいでしょう。

上記のような衛生要因の不足を防ぎ、動機付け要因を充足させることが、従業員のモチベーションを高めます。結果として、ESの向上にもつながるのです。

ただし必ずしも「仕事の満足」「仕事への不満」につながるわけではありません。

よってESの向上を目指すときは、2つの要因と関係性を参考に、自社のESの現状から効果的な施策を考える必要があります。

ESの向上に深く影響する、従業員のモチベーションや承認欲求については、以下の記事をあわせてご覧ください。

関連記事【モチベーションとは?やる気を引き出す動機づけ要因とモチベーションマネジメントの手法を解説
関連記事【承認欲求の診断(評価)方法とは?社員の意欲を高める施策とポイント

経営上の利益にはCS(顧客満足度)も大切

お客様に丁寧に接する従業員
ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の両方を重視することは、利益向上にも有効です。ESを高めることで質の高いサービスの提供につながり、CSも向上します。結果として、業績も向上するという仕組みです。

厚生労働省の調査でも、顧客満足度のみを重視する企業に比べて、ESとCSの両方を重視する企業のほうが、業績が伸びて人材も確保できている傾向にあります。

参考:厚生労働省「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業」(平成27年)の報告

また、ハーバード・ビジネス・スクールのジェームス・L・ヘスケット教授は、独自の研究からES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の関係性を以下のように報告しています。
  • ESとCSとの間には99%の因果関係が認められた
  • CSが平均水準以上の店舗の78%が、ESでも平均水準以上だった
  • ESが1%増加すると、CSが0.22%増加する
(参考:ジェームス・L・ヘスケット著『カスタマー・ロイヤルティの経営 企業利益を高めるCS戦略』(日経BPマーケティング(日本経済新聞出版)、1998年)

つまり、ESとCSの増加率はイコールではないものの、CSを高める一要因としてES向上がある、というわけです。よって企業の利益を向上させるには、ESの向上が欠かせないといえます。

ES(従業員満足度)を高める6つのメリット

仕事しながらほほえむビジネスパーソン
ES(従業員満足度)の向上には、以下の6つのメリットがあります。
1. 生産性が向上する
2. 売上が向上する
3. 業務の質が向上し、顧客満足度が高まる
4. 人材が確保できる
5. 従業員のモチベーションが上がる
6. 離職を防げる
1つずつ解説していきます。

1. 生産性が向上する

ESが高まると、従業員の生産性が向上し事業の利益アップにもつながります。働く理由は人それぞれですが、給与や労働条件が著しく良くない会社でモチベーションを上げるのは難しいでしょう。

また仕事は生活のほとんどの時間を占めています。そのため、なるべく人間関係でストレスを抱えずに、生活に十分な給与がもらえる会社で働きたいと考えるでしょう。

ESが低い場合、「このくらいの給与しかもらえないから、いくら早く作業しても無駄だ……」「結局残業は当たり前だからゆっくりやるか……」など、生産性を低下させてしまいます。ESが高められる環境が整っていれば、従業員は主体的に仕事をするようになります。

生産性向上について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:生産性向上とは?必要とされる背景や具体的な取り組み施策を解説!

2. 売上が向上する

厚生労働省のデータによると、CSのみを重視した企業が48.2%売上高が増加したのに対し、CSに加えてESを重視した場合、売上高が57.1%上がったという結果が出ています。

CSのみを重視する場合、従業員は我慢を強いられる場面が増えてきます。

そうなると「この会社は会社のために顧客ばかりを優先し、従業員は置き去りだ」と不満がたまり、生産性が低下、売上も下がる可能性があります。CSとESどちらも重視することで、会社の利益も左右するのです。

出典:厚生労働省「取り組みませんか?『魅力ある職場づくり』で生産性向上と人材確保

3. 業務の質が向上し、CS(顧客満足度)が高まる

3つ目のメリットは、CS(顧客満足度)が高まることです。先述したとおり、ES(従業員満足度)はCSと深く関連しています。

ESを高めることで、従業員のモチベーションやパフォーマンスが向上します。すると、従業員は「会社により貢献したい」「会社の商品やサービスの魅力を伝えていきたい」など、ポジティブな心理状態になるのです。

結果として、より質の高い製品やサービスを提供できるようになり、CSと業績の向上につながります。業績向上によって得られた原資を従業員へ還元することで、さらなるES向上といった好循環も見込めるでしょう。

4. 人材を確保できる

また同調査により「魅力ある職場づくり」(ES向上の施策)の取り組み実施期間が長い企業ほど、業績が増加し人材確保もできている傾向にあることも報告されています。

よって、ESの向上は営業利益や人材確保に好影響を与え、生産性の向上につながっていると言えるのです。 

生産性の向上と人材の適材適所配置、人材確保に関しては次の記事でもくわしく解説しています。

【関連記事:生産性向上とは?必要とされる背景や具体的な取り組み施策を解説!

5. 従業員のモチベーションが上がる

5つ目のメリットは、従業員のモチベーションが高まることです。厚生労働省の「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」によると、従業員が「働きがい」や「働きやすさ」を感じている企業では、従業員の仕事に対する意欲が高いという結果が出ました。

以下は「働きがい」「働きやすさ」と従業員の意欲との関係において、仕事に対する意欲が「高い」または「どちらかといえば高い」と回答した人の割合です。
働きがい働きやすさ
働きがいがある働きがいがない働きやすい働きやすくない
84.2 %27.5 %72.2 %31.3 %
出典:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」(左記をもとに表は筆者作成)

この調査結果からもES(従業員満足度)が満たされ「働きがい」や「働きやすさ」を感じている従業員のほうが、仕事に対する意欲が高いことがわかります。

従業員のモチベーションが高まれば、組織のパフォーマンス向上や社内の円滑なコミュニケーションにつながるなど、プラスの影響が期待できるでしょう。

6. 離職を防げる

ESの向上は従業員のモチベーションを上げるだけではなく、離職を防げる効果ももたらします。上記と同様、「働きがい」「働きやすさ」と従業員の定着関係を調査したところ、「働きがいがある」「働きやすい」と回答した従業員のほうが「今の会社でずっと働きたい」と考えている割合が高いことがわかりました。

以下は「働きがい」「働きやすさ」と従業員の定着との関係において、仕事に対する意欲が「高い」または「どちらかといえば高い」と回答した人の割合です。
働きがい働きやすさ
働きがいがある働きがいがない働きやすい働きやすくない
50.7 %11.4 %44.4 %10.4%
出典:厚生労働省「働きやすい・働きがいのある職場づくりに関する調査報告書」(左記をもとに表は筆者作成)

ESは生産性の向上や従業員のモチベーションを上げるのみならず、会社の離職を防げるため、ESの向上は企業にとってもメリットが多いと言えるでしょう。

【関連記事:退職防止とは?要因と対策、企業事例もあわせて紹介
【関連記事:定着率を上げるには?定着率を上げる方法を紹介します

自社のES(従業員満足)を調査する方法

バインダーとペン
ES(従業員満足度)を高めるためには、まず自社の従業員の現状を知ることが大切です。現状をふまえて自社のESの課題を把握しなければ、改善のための有効な施策を実施できません。

現状のESを調べる方法としては、以下の4つが挙げられます。
  • アンケートを実施する
  • インタビューを行う
  • 職場の様子や従業員の行動を観察する
  • アセスメントツールを活用する
それぞれの方法を説明します。

アンケート

ES(従業員満足度)を明確化する基準を設けたうえで、自由回答欄のあるアンケートを準備し、従業員に回答してもらいます。1人1台のPCを所有している職場なら、Web上でアンケートを実施するのも良いでしょう。

ただし、アンケートは多くの従業員を対象に調査できる反面、具体的な意見を収集するのが難しい点はデメリットです。

また、従業員側が会社に対する遠慮や周りの目などを気にしてしまい、正直な意見を得られない可能性もあるでしょう。加えて、一人ひとり忙しい業務をこなしながら調査する必要があるため、じっくりと意見や理由を書いてくれる従業員は少数派だと考えられます。

アンケートの設問例

アンケートのおおまかな設問例は以下の通りです。

<アンケートの設問例>
  • 会社に対しての満足度
  • 経営層への満足度
  • 上司への満足度
  • 業務内容への満足度
  • 職場環境への満足度
  • 人事評価、給与などへの満足度
  • 福利厚生への満足度 など
また、先述した「衛生要因:不足すると仕事への「不満足」につながる要因」「動機づけ要因:満たされると仕事への「満足」につながる要因」についてそれぞれ質問すると良いでしょう。

【動機づけ要因】であれば、
  • 現在の仕事にやりがいを感じますか?
  • 現在の業務内容は自分の適性に合っていると思いますか?
  • 自分の働きについて十分な評価が得られていると思いますか?
【衛生要因】であれば、
  • 現在の給与は自分の成果に見合っていると思いますか?
  • 現在の福利厚生に満足していますか?
  • 有給休暇や育児、介護休暇などは取りやすい環境だと感じますか?
など、企業の課題にあわせてアンケートを作成すると良いでしょう。

インタビュー

従業員一人ひとりに実施する個人インタビューや、複数名を集めて実施するグループインタビューなどでES(従業員満足度)を調査します。インタビューでは、あらかじめ聞きたい質問を準備しておき、5W1Hの質問を中心に深掘りしていくのが効果的です。

<5W1Hの質問>

  • When・・・いつ
  • Who・・・誰が・誰に対して
  • Where・・・どこで
  • Why・・・なぜ
  • What・・・何を
  • How・・・どうしたのか
インタビューは具体的な回答を収集しやすいというメリットはありますが、大勢の従業員に実施するには実施や回収、分析など実施側の手間や時間がかかるというデメリットがあります。

また、アンケートと同じく周りを気にして正直な意見が言えない可能性があるでしょう。

職場の様子や従業員の行動を観察する

職場の様子や従業員の行動を観察し、そこからES(従業員満足度)を測るという方法です。

たとえば

「上司が部下に対してどのように対応しているか」
「部下同士でどのようなコミュニケーションが取られているのか」
「昼休みや休憩時間をどのように過ごしているのか」

など、多様な観点で観察する必要があります。

また、行動の観察においては、対象となる人物の行動を細かく観察することが重要です。したがって、観察する対象者が営業担当者であれば取引先まで同行したり、採用担当者であれば採用面接に同席したりして、その行動を観察します。

職場の様子や従業員の観察は、その場の雰囲気を目や肌で感じられますが、短時間の観察ではESを測れないため、ある程度の時間をかけて調査することが必要です。

ES調査のツールを活用する

ES調査のツールでESを確認するのも1つの方法です。現在従業員満足度に特化したツールがたくさん展開されています。

従業員満足度を調べるためには、企業における課題や従業員に調査するための質問を一から深堀りする必要があります。そのため、ESを担当する従業員は、自分の仕事と並行しながら対応しなければならないため、その分負担がかかります。

「今の業務量ではESを高めている余裕がない……」「予算には余裕がある」といった場合はツールを活用すると良いでしょう。

ES(従業員満足度)には従業員の価値観も影響する

パソコン作業中のビジネスパーソン
ESは「従業員の満足度」を表すものですが、満足を得られる要素は、その人の価値観によって変わります。

たとえば以下のような差異が考えられます。
  • スキル重視の人:仕事のやりがい、キャリアプラン
  • 働きやすさ重視の人:上司への信頼度、人事運営の満足度、組織運営の満足度
  • プライベートを重視する人:定時に帰ること
人の価値観はさまざまな経験を通して緩やかに変わっていくものではありますが、たとえば職場環境や仕事内容、上司や同僚といった周りの環境が大きく変化しない限り、その人の価値観もほとんど変わらないと言えるでしょう。

同じES施策を施したからといって、すべての従業員に同じ効果が見込めるとは言えないのです。よってESを高めるには、従業員一人ひとりの満足要因を明確にするとともに「変わりにくい価値観」を前提にしたうえで、それぞれに応じたやる気の素を提供していく必要があります。

ES向上の施策を考える際は、こうした従業員それぞれの価値観も念頭に置くと良いでしょう。

ES(従業員満足度)を高める5つの方法

ミーティングでメモを取る様子
ES調査の結果から自社の改善すべき課題を把握した後は、ES(従業員満足度)を高める施策が必要です。とはいえ「具体的には何をすればいいのか」と疑問を抱く方もいることでしょう。

そこで以下では、ESを高める具体的な方法を5つ紹介します。
1. 企業理念やビジョンを社内に浸透させる
2. 適切な人材マネジメント・評価を行う
3. 快適に仕事ができる勤務条件・待遇を提供する
4. 良好な人間関係のため、相互理解の機会を提供する
5. 適材適所で活躍・貢献できる環境づくりを行う
これからお伝えする方法を参考に、自社で効果の見込めそうな施策を検討してみてください。

1. 企業理念やビジョンを社内に浸透させる

1つ目は「企業理念やビジョンを社内に浸透させる」です。

従業員が企業理念やビジョンを理解し共感すると、「この会社で働けて嬉しい」と企業や仕事に誇りを感じることにつながるため、企業への満足度が高くなると考えられます。

また、企業の軸となる企業理念や目的、今後の目標などを社内に浸透させている場合、従業員それぞれが目的意識や熱意を持って主体的に業務に向き合いやすくなるでしょう。

企業理念やビジョンを社内に浸透させるには、たとえば以下のような方法があります。
  • 新入社員や中途社員向けに、企業理念と内容を伝える勉強会の開催
  • 数か月に一度、部署ごとに企業理念や行動指針に沿った活動が行えたかを振り返るミーティングの実施
  • 朝礼や社内ポータルサイト、社内報などで繰り返し企業理念の内容を発信
  • 人事評価制度の項目に企業理念に基づいた項目を含める
現状では社内への浸透が十分でないと感じる場合は、すべての従業員に企業理念やビジョン、行動指針などが浸透できる上記のような施策を検討してみましょう。

2. 適切な人材マネジメント・評価を行う

2つ目は「適切な人材マネジメント・評価を行う」です。

従業員への納得感のあるマネジメントや人事評価は、企業に対する信頼へとつながります。フィードバックや指示が的確で頼れる上司がいる場合、部下は安心して業務をこなせ、自身を成長させることが可能です。

また、成果や結果が正当に評価されていると感じれば、従業員は「より結果を出せるようにがんばろう」とやる気の向上や自信になり、満足度が高くなると言えます。

とはいえ、従業員が納得する人事評価を実現するのは難しいものです。
たとえば上司と部下の相性が悪い場合、公平で適正な評価につながらないケースも考えられるでしょう。すると、不本意な評価を受けた部下は会社に不満を抱く可能性があります。

そのため、ES(従業員満足度)の向上には客観的に人事評価できる仕組みや手段を検討する必要があります。

ES調査の結果、マネジメントや人事評価に課題がある企業は、評価のフローやマネジメント方法を見直すとよいでしょう。

なお、中小企業における人事評価のポイントや、客観的に従業員を評価する一助となる「コンピテンシー診断」について解説した記事があります。ESを向上させるための人事評価のヒントとして、ぜひご覧ください。

関連記事【【事例あり】中小企業のための人事評価制度とは?作り方やシステムを紹介
関連記事【コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説

3. 快適に仕事ができる勤務条件・待遇を提供する

3つ目は「快適に仕事ができる勤務条件・待遇を提供する」です。

給与や福利厚生、労働時間や残業代などの勤務条件や待遇も、ESには欠かせません。先述したように、これらの要素は「一定の水準が保たれないと、不満につながる」衛生要因です。

そのため勤務条件や待遇などについて「最低限の水準が保てているか」の確認が必要でしょう。衛生要因が不足していると、離職やモチベーション低下などのリスクが高まってしまいます。

ES調査を実施した結果、勤務条件や待遇に課題があると感じた企業は早急に見直しましょう。

ただし、一定の水準を満たしているからといって、ES(従業員満足度)の向上に直結するわけではありません。動機づけ要因に含まれるほかの要素で、ES向上につなげる必要があります。

4. 良好な人間関係のため、相互理解の機会を提供する

4つ目は「良好な人間関係のため、相互理解の機会を提供する」です。

職場の人間関係は、従業員満足度を大きく左右する要素です。職場の人は、毎日顔を合わせたりコミュニケーションを取ったりして関わる必要があります。そのため、人間関係が悪い場合は業務のたびにストレスを抱えてしまい、会社への不満につながってしまうのです。

良好な人間関係を築き、スムーズなコミュニケーションを取るためには、企業側がコミュニケーションを円滑にする機会を提供すると良いでしょう。

たとえば、従業員同士が交流できる社内イベントの実施や、従業員の人柄や活動がお互いに理解できる社内報の作成などが挙げられます。上司と部下のコミュニケーションならば、1on1(1対1のミーティング)の実施も良いでしょう。

また、お互いの性格や資質、適性をあらかじめ共有するのも有効です。「あの人は○○な資質だから、このように判断するのだな」「○○の業務に適性があるから、得意そうなあの業務について相談しよう」など相互理解につながります。

結果として、業務におけるコミュニケーションのズレを防ぎ、生産性向上も見込めるでしょう。

なお、従業員の適性や資質を可視化し、把握する手段として「ミイダス」の「コンピテンシー診断(特性診断)」がおすすめです。
  • パーソナリティの傾向
  • 上司・部下としての傾向
  • ストレス要因
上記の分野の傾向が、数値で客観的に把握できます。

たとえば、診断結果を業務でよく関わる従業員と共有することで、円滑なコミュニケーションに役立つでしょう。また、より良い人材配置や部下のマネジメントにも活用でき、ESの向上も見込めます。

ミイダスのコンピテンシー診断(特性診断)は、何人でも無料で受験可能です。

以下よりアカウント登録できますので、まずは気軽に試してはいかがでしょうか。(※受験にはミイダスの法人アカウントが必要です。また利用状況により一定の条件がございます)

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「コンピテンシー診断(特性診断)」を提供しています。

まずは無料トライアルをお試しください。

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※アカウントの登録及びご登録後のご利用は無料です。

5. 適材適所で活躍・貢献できる環境づくりを行う

5つ目の方法は「適材適所で活躍・貢献できる環境づくり」です。

自分の適性や資質を活かして働き、企業や顧客に貢献できることは満足感や達成感につながります。また、自分の適性や資質に沿った業務は、得意なことと言えるため、業務の成果が見込めます。

従業員も「自分は会社や組織に貢献できている」と感じるとESや自信が高まり、やりがいを感じて働けるでしょう。

よって企業は、従業員の適性や資質などを考慮した人事配置を実施すると良いでしょう。従業員の適性や資質の把握は「適性診断」や「コンピテンシー診断(特性診断)」などのツールを導入すると便利です。

人材配置のポイントや具体的な適材適所の実現方法は、以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

関連記事【適材適所の採用・人材配置とは?メリットとデメリット、実現方法を解説
関連記事【人材配置とは?目的や課題、最適化する方法もまとめて紹介

また、従業員のやる気を損なわない、人事異動や配置のポイントは以下の資料にまとめています。今後の施策のヒントにぜひお役立てください。

【無料ダウンロード】適切な人事異動・配置をするための方法とは

ES(従業員満足度)を向上させた企業事例を紹介

意見交換する様子
実際にES(従業員満足度)を向上させた企業は、どのような取り組みを実施したのでしょうか。具体的な事例を知ることで、ESを効果的に向上させる施策を検討する際に役立つでしょう。

ここでは、ESを向上させた2社の成功事例を紹介します。

株式会社富士通ラーニングメディア

法人向けの人材育成・研修サービスやコンサルティング、eラーニング講座などを提供する株式会社富士通ラーニングメディアでは、社内のコミュニケーション活性化として「サンクスカード」を導入しています。

サンクスカードとは、業務中に感じた感謝を小さなカードに書き、感謝を伝えたい従業員にカードを渡す取り組みを指します。同社では、社内コミュニケーションの活性化はもちろん、相手の立場に立って考える力を向上させる目的などで実施しました。

すると「他部門の人と交流しやすくなった」「チームの一体感が増した」など、社内のコミュニケーションが良好になったなどの変化があったとのことです。

また、社内から出た一部の否定的な意見もふまえて、カードに書く手間を削減するために「電子版のサンクスカード」を導入したり、カードの受領・発行枚数の上位者を定期的に社内で表彰したりする取り組みなども実施。

「一部の者だけが参画する仕組みにしない」ことを目指して改善し、サンクスカードの浸透や定着を図り、ESの向上を実現しています。

参考:株式会社富士通ラーニングメディア「個人と組織の成長のツール~当社サンクスカード活動のご紹介」

サイボウズ株式会社

グループウェアやアプリの開発・販売をおこなうサイボウズ株式会社では「100人いたら100通りの働き方」をモットーに、ワークライフバランスに配慮した多様な働き方ができるよう実現しました。

具体的な施策の一部は、以下の通りです。
  • 従業員が勤務時間や場所を決定し、働き方を宣言・実施する「働き方宣言制度」の運用
  • 社内コミュニケーション活性化のためのイベントや行事を開催
  • 子連れ出勤制度(子連れ出勤の許可)
  • 副(複)業の許可
すると、かつては離職率28%(過去最高記録)だったものの、現在は離職率3~5%程度と減少しました。多様な価値観や働き方を受け入れた施策の結果、ESは向上し離職率は大きく低下したことがうかがえます。

参考:サイボウズ株式会社「多様な働き方へのチャレンジ」

ESを高めるにはまず従業員について知ることが大切

ESを高めるためには、まずは従業員一人ひとりの行動特性やストレス要因、上司・部下との相性を客観的に把握することが大切です。その1つの方法としてミイダスのコンピテンシー診断(特性診断)の活用をおすすめします。

以下は、ミイダスが定義しているコンピテンシー項目です。
  • リーダーシップ
  • 人あたり
  • 創造性 など
計52の行動特性をもとにしたコンピテンシー項目を、10段階で分析していきます。

例えば、次のようなコンピテンシー項目があります。
コンピテンシー項目コンピテンシー評価指標のスコア(高)コンピテンシー評価指標のスコア(低)
マネジメントスタイル長期的なビジョン達成に向けてメンバーや状況を把握した上で、自分が具体的に指揮をとる短期的な目標達成に向けてスケジュールやタスクを設定した上で、メンバーの自主性を尊重し委ねる
活力周囲と競いながらエネルギッシュに業務に取り組むほうが得意である競争は好まず、自分のペースと効率を重視して業務に取り組むほうが得意である
チームワークチームに溶け込んで、メンバーと一緒に取り組む方が得意であるチームの一員として働くよりも、単独で取り組む方が得意である
創造性これまでの発想や方法にとらわれず考え、行動するほうが得意であるこれまで通りの発想や方法にならって行動するほうが得意である
問題解決力自ら問題を見つけ、その解決に向けて取り組むほうが得意である問題意識をあまり持たず、目の前の業務に取り組むほうが得意である
分析力高度な分析が求められる業務のほうが得意である分析作業が求められない業務のほうが得意である
プレッシャーへの耐性プレッシャーやストレスが多い業務のほうが得意であるプレッシャーやストレスが少ない業務のほうが得意である
調整力周囲との調整が必要となる業務のほうが得意である周囲との調整が少ない業務のほうが得意である
リーダーシップ自分が先頭に立ってメンバーを牽引するほうが得意である自分は先頭に立たず、誰かをフォローするほうが得意である
また、コンピテンシー診断(特性診断)で従業員の行動特性を把握できるのに加えて、
  • マネジメントの傾向
  • ストレス要因
  • 上司・部下としての傾向
なども分析が可能です。一人ひとりのストレス要因や相性を知ることで従業員満足度を高められるでしょう。

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さらに、従業員のコンディションを把握できる「組織サーベイ」も離職率改善に役立ちます。

ミイダスの組織サーベイの資料
従業員のパフォーマンス向上や離職率改善に役立つ 「ミイダス組織サーベイ」
組織サーベイでは、毎月の簡単なアンケートでデータを収集。社員の変化や離職の兆候をリアルタイムで把握できます。コンピテンシー診断(特性診断)の結果と合わせ、一人ひとりにあった適切なアプローチを可能にします。

ミイダス組織サーベイについて詳しく見る

はたらきがいサーベイ

ミイダスはたらきがいサーベイの画面
またミイダスの新サービスとして、「はたらきがいサーベイ」が導入されました。

はたらきがいサーベイとは、はたらく人のエンゲージメントをアンケートを通して集計し、会社の「はたらきがい」を正確に算定できるサーベイです。また、会社がはたらく人の働きがいを引き出す環境が整えられているかも定量的に評価できます。

たとえば、
  • 労働人口の減少により採用のハードルが上がって困っている
  • 従業員の不満に気づけず、離職が防げない
  • 従業員の本音を引き出してESを向上させたい
など、企業によって抱える悩みに「はたらきがいサーベイ」は役立ちます。
主な機能としては次の3つが挙げられます。
1. 従業員のはたらきがいを可視化
2. はたらきがいを高い精度で見える化できる
3. 解決すべき課題の優先順位が明確になる
はたらきがいサーベイでは、従業員が感じている「評価に対する納得度」「働くことへの動機づけ」といった正直な意見を特定できます。

さらに通常のサーベイでは調査できない「従業員が会社や組織に求めるもの」がわかるため、従業員満足度を高めるために必要な課題をいち早く見つけることができるのです。

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