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モチベーションとは?低下する要因やマネジメントを成功させる方法を解説

業務における生産性の向上や従業員の自発的な学びを促すには「モチベーションの向上」は欠かせません。しかし、モチベーションを高めるために必要な方法を誤った場合、かえって従業員のモチベーションを低下させる可能性があります。

本記事では、モチベーションの意味や従業員のモチベーションが下がる要因、モチベーションを高めるメリット、モチベーションを向上させる方法などを解説します。

なお、ミイダスでは従業員のモチベーションを測定できる「はたらきがいサーベイ」を提供しております。従業員のモチベーション向上にお悩みの企業様はぜひご検討ください。

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モチベーションとは?意味を簡単に説明

モチベーションのイメージ
モチベーション(motivation)とは、日本語に訳すと「動機づけ」を意味します。

動機づけとは、目標や目的などの要因に対して行動を起こし、達成するまで持続・保持させる過程や機能を指します。やる気や積極性があり、能動的な行動を起こす従業員に対して「モチベーションが高い」と表現することも多いでしょう。

モチベーションの種類

モチベーションは大きくわけて「外発的動機づけ」と「内発的動機づけ」の2種類あります。それぞれの概要を確認しておきましょう。

外発的動機づけ

「外発的動機づけ」とは、外部からの報酬や目的意識から生まれるモチベーションです。

外発的動機づけの要因として、以下のようなものが挙げられます。
  • 報酬
  • 評価
  • 称賛
  • 名誉
  • 地位
  • 懲罰
  • 罰則
外発的動機づけのメリットは「分かりやすさ」と「即効性」です。

「営業成績優秀者には特別ボーナス」「次回欠勤した際は降格」など、分かりやすい動機を外部から与えることで、強いやる気や危機感を抱いてもらえるでしょう。

また、上記のような動機を与えられた従業員は、すぐに意欲が向上するため、短期間での効果が期待できます。

一方で、従業員によっては外部からの動機づけが当たり前となり、自発的な行動につながらない可能性があります。

内発的動機づけ

「内発的動機づけ」は、「やりたいからやる」という自分の内面から湧き上がるモチベーションです。

内部的動機づけの要因としては、以下の5つが心理学の研究によって立証されています。
  • 感性動機:適度な刺激を求める
  • 好奇動機:新しい知識や経験を求める
  • 活動性動機:活発な行動を楽しむ
  • 操作動機:試行錯誤を楽しむ
  • 認知動機:頭脳を用いた問題解決を求める
たとえば、仕事に対する興味やチャレンジ精神、やりがいや達成感などが内発的動機づけに当てはまります。しかし、内発的動機づけにつながる前提として、そもそも仕事に対する興味関心がないと意欲は湧いてきません。

適性のある業務であっても、長期的に携わると関心が薄れる場合もあります。従業員のやる気を一定以上に保つには、主体的に業務に取り組んでもらう工夫が必要でしょう。

従業員のモチベーションが下がるおもな要因

モチベーションが低下している従業員
従業員のモチベーションが下がる要因として、たとえば以下のようなものが挙げられます。
  • 働くことの意義が見出せない
  • 仕事の適性が合っていない
  • 人事評価や待遇に不満がある
  • 成長できているか不安
  • 人間関係がうまくいっていない
  • 心理的安全性が低い
それぞれの要因を見ていきましょう。

働くことの意義が見出せない

「今の仕事は誰かの役に立っているのか」「何のために働いているのか」など、従業員自身が働く意義を見出せていないと、モチベーション低下につながる可能性があります。

業務の流れや自分が日々行っている作業がどのような役割を果たしているのか、きちんと説明する必要があるでしょう。

仕事の適性が合っていない

従業員が担当する業務と本人の適性が合っていないというように、適材適所の人材配置がうまくいっていないと、モチベーションが下がってしまうでしょう。

「私、この業務に向いていない気がする……」「上司には向いていると言われたけれど、自分ではしっくりこない」など、日々違和感を抱きながら業務を遂行することはストレスが溜まる原因となります。また生産性の低下や離職の原因にもつながりかねません。

人事評価や待遇に不満がある

人事評価や待遇に不満がある場合も、モチベーションが低下する原因となります。いくら成果を出しても、給与に反映されなかったり、昇進しなかったりすると不満が募っていくでしょう。

人事評価についてくわしく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:人事考課とは?意味と目的、評価基準や考課表の書き方をまとめて紹介
【関連記事:【事例あり】中小企業の人事評価制度とは?導入率や作り方、人事課題などを紹介

成長できているのか不安

「果たして自分は成長できているのか」「今の仕事は今後のキャリアに活かせるのか」など、不安を抱いたままだとモチベーションは下がってしまうでしょう。

成長していると実感できるイベントや上司からのフィードバックがないと、モチベーションを向上させるのは難しい可能性があります。また、抱いている不安を打ち明けられる職場環境も大切です。

人間関係がうまくいっていない

職場の人間関係がうまくいっていないと、従業員のモチベーションは維持できないでしょう。

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職者が前職を辞めた理由のなかで「職場の人間関係が好ましくなかった」を選んだ人は男性が8.1%、女性が9.6%でした。

複数の理由のなかでも上位を占めており、人間関係はモチベーションを下げる大きな原因となると考えられます。

参考:厚生労働省|令和4年雇用動向調査結果の概況

心理的安全性が低い

職場の心理的安全性が低いことも、モチベーションに大きく関わるでしょう。心理的安全性が高い状態とは、従業員が自由に意見や提案を出せる環境を指します。

従業員に意見を求めなかったり、意見を出しても常に否定されたりするなど心理的安全性が低い場合は、従業員のモチベーション低下やストレス増加につながります。

心理的安全性についてくわしく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:心理的安全性とは?意味や組織へのメリット・高め方を解説【人事必見】 

従業員のモチベーション向上で得られるメリット

やる気に満ち溢れているビジネスパーソン
従業員のモチベーション向上で得られるメリットは、以下のとおりです。
  • 従業員エンゲージメントが向上し離職率が下がる
  • 生産性が上がり企業の業績アップにもつながる
  • 人間関係にも良い影響を与える
それぞれのメリットについて見ていきましょう。

従業員エンゲージメントが向上し離職率が下がる

従業員のモチベーションが上がることで、従業員エンゲージメントが向上します。

会社に対する信頼感も強まることで、仕事にもやりがいを見出し、離職率も下がるのです。

離職率や従業員エンゲージメントについてくわしく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:離職率が高い会社・業界の特徴は?要因・デメリットと離職率を下げる対策を解説
【関連記事:従業員エンゲージメントとは?注目されている背景や取り組み方を紹介 

生産性が上がり、企業の業績アップにもつながる

従業員のモチベーションが上がると、仕事に対する意欲が高まるため生産性が上がります。結果的に、企業の業績アップにつながります。従業員のモチベーション向上は企業もメリットを得られるのです。

人間関係にも良い影響を与える

従業員一人ひとりのモチベーションが高まると、やる気が芽生え、仕事にも積極的に関わるようになります。そのため、従業員同士のコミュニケーションも活性化し、職場の人間関係にも良い影響を与えるでしょう。

従業員のモチベーションを向上させるにはマネジメントが重要

従業員のモチベーションを保つには、管理者や上司によって「モチベーションマネジメント」を行う必要があります。モチベーションマネジメントとは、チームメンバーが高いモチベーションを保って業務に取り組めるよう、動機づけにつながる施策や管理を行う働きかけを指す言葉です。

従業員のモチベーションを向上させるには、外発的動機づけと内発的動機づけを状況に応じて使い分ける必要があります。

たとえば金銭的なインセンティブの支給・罰則の強化・人事評価の見直し・教育制度の改定など、さまざまな施策が考えられます。

しかし、組織の制度を見直すだけでは、従業員のモチベーションは向上しません。「従業員個人」への直接的なアプローチや継続的な取り組みが欠かせないのです。

適切なモチベーションマネジメントの方法については、次の項で解説します。

従業員のモチベーションマネジメントを成功させる方法

UPという文字と矢印
組織内でモチベーションマネジメントを成功させる方法は、以下のとおりです。
  • 経営理念を浸透させる
  • 職場の環境を整える
  • 人事評価や待遇を見直す
  • 研修制度を整える
  • 相談窓口を設置する
  • 表彰する場を設ける
  • 1on1ミーティングやチームミーティングを実施する
  • メンター制度を導入する
  • 適切な人材配置を行う
  • 組織サーベイやエンゲージサーベイを導入する
それぞれの方法を解説します。

経営理念を浸透させる

従業員のモチベーション向上には、まずは経営理念を浸透させることが大切です。経営理念を伝える場を設けることで、仕事の意義や自分の役割などを認知するきっかけになります。

また、会社に貢献したいという気持ちを生み出す機会にもつながり、やる気を与えるでしょう。

【関連記事:経営理念とは?意味や重要性、作り方、有名企業の事例を紹介
【関連記事:パーパスブランディングとは?採用・人材育成に活かすポイントを解説 

職場の環境を整える

職場の環境を整えるのも1つの方法です。たとえばオフィスのデザインやレイアウトを変更したり、休憩所のお菓子や飲み物のバリエーションを増やしたりするなど、少し工夫を加えるだけでモチベーションを上げるきっかけになるでしょう。

もしくは従業員にアンケートを取って、現場の声を聞いてみるのもおすすめです。

人事評価や待遇を見直す

人事評価や待遇を一度見直すことも検討しましょう。
  • 福利厚生を手厚くする
  • 人事評価に関して丁寧にフィードバックする
  • 給与形態を見直す
  • 昇進制度を明確にする など
人事担当者は従業員側の声がきちんと聞けているのか再確認しましょう。

研修制度を整える

自身の成長を実感できるように研修制度を整えると、モチベーション向上につながります。できればその人の特性に合った研修を用意すると、なお良いでしょう。

たとえばミイダスの「活躍ラーニング」では、従業員一人ひとりの特性に合った研修を提供できます。研修はスキマ時間に受けられるので、従業員の主体性を伸ばすこともできるのです。

活躍ラーニングはミイダスに契約すれば無料で利用できます。くわしく知りたい方は以下よりご確認ください。

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相談窓口を設置する

相談窓口を設置する方法もあります。従業員の悩みによっては上司や先輩にも話しにくいと考えて抱え込む人もいるでしょう。

週1や月2回など、定期的にカウンセラーやアドバイザーによる相談窓口を設置するのもモチベーション維持につながります。

表彰する場を設ける

従業員のモチベーションを高めるために、表彰する場を設けましょう。月間MVP賞や新人賞、アイデア賞など会社ならではの賞を用意します。

受賞した従業員にインセンティブを渡すことで、その従業員のモチベーションは上がり、さらに「来月は自分も受賞できるように頑張ろう」と周りの従業員に影響を与えるきっかけにもなります。

1on1ミーティングやチームミーティングを実施する

1on1ミーティングやチームミーティングを定期的に実施しましょう。従業員は上司に話を聞いてもらうことで、「見守ってもらっている」と感じ、モチベーションにも影響を与えます。

上司が1on1ミーティングを行う際は、指摘ばかりではなく従業員の話に耳を傾けることが大切です。

1on1についてくわしく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法 

メンター制度を導入する

メンター制度を導入するのも、モチベーションを向上させる方法の1つです。メンターとは、管理者や上司ではなく、先輩の従業員が相談役となり、新入社員や若手社員にアドバイスやフィードバックを行う制度です。

上司に比べて、先輩従業員のほうがフランクに会話できます。また、先輩従業員も似たような経験や悩みを抱えてきた可能性が高いので、寄り添ってくれるでしょう。

メンターについてくわしく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【関連記事:メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説 

適切な人材配置を行う

モチベーションを高めるには、適切な人材配置を行いましょう。上司の主観的な判断や人手不足によるその場しのぎの配置をすると、従業員のモチベーションは低下してしまいます。

人材配置についてくわしく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【無料ダウンロード】適切な人事異動・配置をするための方法とは
【関連記事:人材配置とは?目的や課題、最適化する方法もまとめて紹介 

組織サーベイやエンゲージサーベイを導入する

組織サーベイやエンゲージサーベイを導入すると、データに基づいて従業員のモチベーションを把握できます。アンケートに答えてもらうことで、従業員が今抱えている人間関係の悩みやストレスなどを確認できます。

従業員のモチベーションを把握したいなら「組織サーベイ」

ミイダスの組織サーベイ
「従業員のモチベーションが維持できているのか把握したい」「在宅ワークで従業員のコンディションがよくわからない」とお悩みなら、ミイダスの組織サーベイをご利用ください。

ミイダスの組織サーベイは、5分ほどで簡単に答えられるアンケートを従業員に回答してもらうことでモチベーションの変化や離職の兆候などを定期的に把握・管理できます。

ミイダス組織サーベイで把握できる項目は以下の6つです。
・やりがい
・ミッション
・健康
・支援
・人間関係
・組織
他社の組織サーベイはアンケートの質問内容が固定されているものが多いですが、ミイダスの組織サーベイでは上記の項目を自由に選んで設定できます。

たとえば「今月はやりがいについて従業員にアンケートを取りたい」と思えば、やりがいに特化した質問内容でアンケートを収集できるのです。

ミイダス組織サーベイについてくわしく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事:ミイダス組織サーベイとは?使い方の流れや導入事例を紹介 

「はたらきがいサーベイ」を併用するのがおすすめ

ミイダスのはたらきがいサーベイ
組織サーベイと一緒に、ミイダスの「はたらきがいサーベイ」を活用することでさらなる効果が得られます。

はたらきがいサーベイとは、従業員のエンゲージメントについてアンケートを実施し、集計することで、会社の「はたらきがい」を可視化できるサーベイです。

いち早く現在の業務に関する興味や不満について把握できるため、人材配置やジョブローテーションなどといった対策が迅速に行えます。また、会社が従業員の働く意義を引き出す環境をつくれているかどうかも定量的に評価できます。

はたらきがいサーベイは、ミイダスに登録すれば無料で利用できます。部下の興味や不満がわからなくてお悩みの方は、以下よりお試しください。

はたらきがいサーベイを試してみる

はたらきがいサーベイの詳細を知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:無料で使える「ミイダスはたらきがいサーベイ」とは?導入のメリットや使い方を紹介 

6つのモチベーション理論を解説

本棚がうつされたスマホ
従業員のモチベーションを管理するためにも、6つの代表的なモチベーション理論について理解を深めておきましょう。

6つのモチベーション理論は以下のとおりです。

1. マズローの欲求5段階説
2. マクレガーのX理論・Y理論
3. ハーズバーグの二要因理論
4. ピグマリオン効果
5. マクレランドの欲求理論
6. アルダファーのERG理論

これらの理論について、1つずつくわしく解説していきます。

1. マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説
「マズローの欲求5段階説」は、アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した理論です。

マズローは、人間の欲求を以下の5段階の階層に分けて整理しました。

1. 生理的欲求:衣食住に関わる最も根源的な欲求
2. 安全的欲求:身の安全を欲する欲求
3. 社会的欲求:社会的なコミュニティに属したい欲求
4. 自尊的欲求:内的要因(自尊心・達成感など)と外的要因(地位・権力など)を含めた心理的欲求
5. 自己実現的欲求:成長・夢の実現といった自己実現を求める欲求

この理論では上記画像のとおり、人間は最も低次にある生理的欲求が満たされると、次に安全性欲求を求めるように、下から順番に欲求を叶えようとすると考えられています。

低次の欲求は報酬面などの外的要因で満たされ、高次の欲求は自己肯定感や達成感などの内的要因で満たされます。

マネジメントの観点では、従業員の自己実現欲求を引き出すには、まず福利厚生や組織体制の変革など、低次の欲求を満たしたうえで外発的動機づけを行う必要があるでしょう。

2. マクレガーのX理論・Y理論

アメリカの心理学者・経営学者であるダグラス・マクレガーは、著書『企業の人間的側面』で「X理論」「Y理論」という労働観を提唱しています。

【X理論とは】(性悪説)
・生来の人間は仕事嫌いで、責任感に乏しく、強制されなければ努力しないと考えられる。
・労働者を管理するには命令・罰則・強制などの抑圧的な対処や、報酬や労働環境などの外的要因によってモチベーションをコントロールする必要がある。
【Y理論とは】(性善説)
・生来の人間は仕事嫌いではなく、自分に備わった能力や可能性を発揮したいと考えられる。
・マネジメントの現場では、権利の一部を移譲したり能力開発などの自己実現欲求を肯定したりする対処が必要となる。
人間は誰しも、X理論・Y理論の労働観をどちらも持っています。そのため、マネジメントではY理論に基づいたアプローチを実施し、X理論による対処法を取り入れるのがポイントです。

3. ハーズバーグの二要因理論

アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグは、労働者を対象とした実験を通して本理論を提唱しています。

実験の内容は、労働者に対して「仕事上どのような時に幸福や満足を感じたか」「どのような時に不幸や不満足を感じたか」の2点を質問するといったものです。

その結果、それぞれ以下の回答を得ています。
  • 幸福や満足を感じた時:承認されること・何かを得られること・昇進や昇格・成長・達成感・仕事への責任など
  • 不幸や不満足を感じた時:対人関係・労働環境・会社の経営方針・上司との関係・雇用条件・作業環境など
幸福や満足につながった内容は「動機付け要因」と呼ばれ、仕事内容に関するものが大半を占めます。一方で、不幸や不満足を感じた内容は「衛生要因」と呼ばれ、職場環境に関するものが多くなっています。

本理論のポイントは、動機付け要因が満たされなくても不満は生じにくいものの、衛生要因が満たされないと不満が生じる点です。

しかし、衛生要因を必要以上に改善しても従業員のモチベーションにはつながりません。快適すぎる環境に身をおくと、現状に満足しモチベーションが低下する可能性があります。

効果的に従業員のモチベーションを向上させるには、動機付け要因と衛生要因の2つをバランスよく改善していくことが大切です。

4. ピグマリオン効果

ピグマリオン効果とは、教育心理学の分野における心理的行動の1つであり、教師の期待によって学習者の成績が向上する効果を指します。

マネジメントの分野でピグマリオン効果を活用するには、以下のような働きかけが効果的です。
  • 部下に裁量を与える:予算や時間を具体的に伝え、自由に活動できる土壌をつくる。
  • 部下に期待する内容を具体的に伝える:論理的なアドバイスや見守り、成果をほめる。
  • 達成可能な課題を与える:まずは小さなハードルを用意し、徐々に高いハードルに挑戦させる。
  • 過度な期待はしない:プレッシャーをかけすぎるとモチベーションの低下を招く。
  • 結果だけでなくプロセスも評価する:仮に目標が達成できなくても、プロセスを評価することで自信につながる。
  • 課題解決に難航する部下にヒントを与える:適切なタイミングでヒントを与えると、部下との信頼関係構築につながる。
  • 公正かつ公平な評価制度を構築する:モチベーションを最大限引き出すには、正当な評価制度の構築が欠かせない。
上記の注意点は、部下の心境を把握したうえで実施することです。現状の能力に満足している部下は、たとえ適切なアドバイスでも耳を傾けないケースがあります。

※ピグマリオン効果はアメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱したものですが、現代でも実験結果に再現性がないと批判されている点は補足しておきます。

5. マクレランドの欲求理論

アメリカの心理学者、デイビッド・マクレランドが発表したマクレランドの欲求理論によると、従業員には以下の主要な動機・欲求が存在するとされています。

達成動機

達成動機とは、より効率的に物事を成し遂げようとする動機・欲求です。達成動機が強い人材には以下の特徴があります。
  • 自発的な努力を惜しまず、何でも自分で行うのを望む。
  • 成果に対するフィードバックを早期に求める。
  • 成功確率が50%程度の状況で最もモチベーションが高くなる。
この達成動機は、優れた結果を残す人材の行動特性について考える「コンピテンシー理論」として研究が進められています。

なお、達成動機が強い人材は業績への意識が高いため、結果が数値で明確化される営業職への適性があると言えるでしょう。

権力動機

権力動機とは、他者をコントロールしたいと考える動機・欲求です。権力動機が強い人材には以下の特徴があります。
  • 競争意識が高く、高い地位や身分を重視する。
  • 責任が大きくなることに喜びを感じる。
  • 他者から命令されるより、自らが他者をコントロールしようとする。
権力動機が強い人材は、近くにライバルがいると成長が早くなる傾向があります。また、部下の扱いに長けている人材が多いため、マネージャー職への適性があると言えるでしょう。

親和動機

親和動機とは、周囲と友好的かつ親密な関係を維持したい動機・欲求です。親和動機が強い人材には以下の特徴があります。
  • 人の役に立とうと努力する。
  • 他者から認められたい、好かれたいとする願望が強い。
  • プレッシャーがかかる場面では一人で対処するのが難しい。
権力動機が強い人材とは正反対の気質を持ち、競争意識の強い組織よりも和気あいあいとした環境を好む傾向にあります。

親和動機が強い人材はコミュニケーション能力に長けているため、組織形成や接客などの対人業務への適性が高いと言えるでしょう。

回避動機

上述した3つの動機に加えて、マクレランドは4番目に回避動機という概念を追加しています。詳細は以下のとおりです。
  • 失敗を恐れるあまり、適切な目標設定をしても挑戦しない。
  • 批判を恐れて周囲に合わせようとする。
回避動機が強いと生産性の高い行動が取れなくなり、主体的な行動を起こさない懸念が高まります。

しかし、トラブル回避能力は他の3つの動機を大きく上回ることから、検証業務や事務職への適性があると言えるでしょう。

6. アルダファーのERG理論

アルダファーのERG理論
アメリカの心理学者クレイトン・アルダファーは、先述した「マズローの5段階欲求説」を発展させ、「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」に再分類しています。

マズローの理論では「低次の欲求が満たされると、次の階層を求めるようになる」と結論づけられていますが、アルダファーの理論では「3つの欲求は併存できる」とされています。

また、従業員は3つの欲求すべてが満たされた状態でこそ高いモチベーションを発揮できますが、いずれかの要素に大きなギャップが生じると不満の要因となり得るのです。

アルダファーのERG理論をマネジメントの現場に取り入れると、社内環境の改善につながります。たとえば以下のように、現在の職場環境を3つの要求にそれぞれ当てはめてみましょう。
現在の職場環境環境が良好な場合環境が不良な場合
生存欲求・残業時間や量は適切か
・給与設定は適切か
・失業の危険はないか
・関係欲求のチェックを行う・生存欲求の課題を解決する施策が必要
関係欲求・上下関係は良好か
・孤独を感じている従業員はいないか
・ハラスメントは発生していないか
・生存欲求のチェックを行う・生存欲求と関係欲求の課題を解決する施策が必要
成長欲求・希望する業務に就けているか
・進みたいキャリアに向かっているか
・裁量を持って仕事ができているか
・成長欲求をさらに満たす施策を講じる・関係欲求と成長欲求の課題を解決する施策が必要
上表のように、職場環境の現状を俯瞰的視点で当てはめていくと、どの部分を改善すべきかが浮き彫りになります。

ただし、職場環境を正しく理解するには、現場で働く従業員一人一人の意見を収集しなければ改善点を把握できないのが難点です。

しかし、人材アセスメントツール「ミイダス」の「フィッティング人材分析(活躍要因診断)」を活用すれば、組織・部署・チームの特徴を簡単に可視化できます。組織全体の長所と短所を明らかにするのに適した診断と言えます。

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モチベーション向上は企業にとってメリットがたくさんある

ガッツポーズをする男女のビジネスパーソン
本記事では、あらためてモチベーションの意味や従業員のモチベーションが下がる原因、従業員のモチベーションを上げるメリット、向上させる方法などを解説しました。

仕事の適性が合っていない、心理的安全性が低いなど企業側の従業員に対する理解が不十分だと、従業員のモチベーションが下がる傾向にあります。 

組織サーベイやエンゲージメントサーベイを導入し、従業員のコンディションを把握したうえで適切な対応を行うことをおすすめします。

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