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人事考課とは?意味と目的、評価基準や考課表の書き方をまとめて紹介

人事考課とは、業績や能力などをもとに社員を評価する仕組みです。処遇の決定や人材の成長促進などを目的としたもので、企業にとって非常に大きな役割を果たします。

この記事では、人事考課の意味・目的を確認したうえで、適切な人事考課のためのポイントや考課表の書き方、最新トレンドをまとめて紹介します。本文中で人事考課に役立つツールもお伝えしますので、ぜひご活用ください。

人事考課とは

人事考課の意味を考える人事担当者
人事考課とは、企業が社員の業績や能力、勤務態度などを総合的に評価する仕組みです。そして人事考課制度とは、評価の仕組みを正しく設計し、具体的な活用方法を定め、ルールに沿って運用していくことを指します。

「人事評価」という言葉もありますが、人事考課とほぼ同じ意味で捉えてよいでしょう。厳密にいえば人事考課はレーティング(ABCなどのランク付け)を指す場合もありますが、多くの企業では同義として使われています。

社員からみた人事考課の実態

人事評価制度と目標管理の実態調査」評価制度への満足度グラフ
出典:パーソル総合研究所「人事評価制度と目標管理の実態調査
人事考課は、人材マネジメントにおいて重要な仕組みです。しかし、評価される社員は不満を抱くことも多く、制度の運用は簡単ではありません。

パーソル総合研究所が2021年に実施した「人事評価制度と目標管理の実態調査」によると、自社の人事評価制度に不満を感じている人の割合は38.3%でした。つまり、社員の3人に1人以上は人事評価に不満を抱いているのです。

また、評価のプロセスには36.3%が、評価結果には33.2%が不満を抱いており、満足している人の割合を上回っています。この結果からも、人事考課の難しさがうかがえます。

人事考課の目的

人事考課の3つの目的のイメージ
人事考課は、人が人を評価する難しい分野であり、社員が不満を抱きやすい対象でもあります。それでも企業が人事考課をおこなうのはなぜでしょうか。

ここでは、人事考課の目的を3つ紹介します。各目的は企業が人材をマネジメントするうえでいずれも欠かせない要素であり、人事考課の重要性がわかるでしょう。
・処遇を決める根拠とするため
・社員の成長促進のため
・企業が目指す方向性を可視化するため

処遇を決める根拠とするため

人事考課の大きな目的は、社員の処遇を公平に決定するためです。つまり、あらかじめ定めた基準によって社員を評価し、給与や賞与(ボーナス)、昇進・昇格へ反映することを目的とします。

組織において社員間には何らかの「差」がつきます。給与の差、業務内容の差、役職の差など、全員が「平等」にはなりません。そこで、できる限り不平等感のない処遇を決めるために根拠となる人事考課が必要なのです。

適材適所の人材配置をおこなう際にも、人事考課の結果が判断の材料となります。正しい人事考課ができれば、適切な人材マネジメントも可能になるでしょう。

社員の成長促進のため

社員の成長促進も、人事考課の重要な目的の一つです。

定期的に自分の「仕事ぶり」を評価される機会があるからこそ、日々の業務に緊張感が生まれます。評価は処遇に反映されるため、積極的に挑戦したり、自らスキルアップに励んだりと、モチベーションの向上につながるでしょう。

また、自ら立てた目標に向かって努力することで、社員のポテンシャルが能動的に引き出される効果もあります。上手な動機付けができれば、自律型人材を多く生み出し、結果的に企業の成長をもたらすでしょう。

人事考課を通じて自分の成果や強み、貢献度を認めることで、社員は充実感や達成感を覚え、エンゲージメント(組織に対する思い入れや愛着)も向上します。改善すべき点を適切にフィードバックできれば、弱みをカバーし、組織力の底上げも可能です。

企業が目指す方向性を可視化するため

人事考課で明確な評価基準を示すことで、社員が目指すべき姿や企業の方針を伝えられます。そうした方向性が伝われば、企業の文化や風土も徐々に醸成されていくでしょう。組織づくりのガイド役としても、人事考課は大きな意味を果たすのです。

人事考課は、企業と社員とのコミュニケーション手段でもあります。逆にいえば、方向性が合わないミスマッチな社員は企業を去るかもしれません。長期的な企業の成長においては、それも組織の「代謝」と考えられるでしょう。

人事考課の評価基準・項目とは

人事考課における複数の評価基準のイメージ
人事考課には、おもに以下3つの評価基準があります。これらをもとに、社員一人ひとりに対して客観的な評価を与えます。
業績考課:成果や達成度に対する評価
能力考課:スキルやポテンシャルに対する評価
情意考課:行動や意欲に対する評価
各基準を必ずしも同程度に評価する必要はありません。数字で判断しやすい業績効果を重視したり、新入社員に対しては情意考課を重視したりと、企業の方針や組織の状況によって評価すべき基準のバランスは異なります。

自社に合った人事考課制度を設計するため、まずは各基準の内容を理解しましょう。

業績考課

業績考課は、評価対象期間において、社員がどれだけの成果を上げたか、目標に対してどれぐらい達成できたかの結果を評価するものです。

売上の数字や目標達成度など、基本的に数値化できる成果を評価します。よって、判断の基準が誰にとっても明確であり、公平で客観的な評価が可能です。社員の納得も得やすいでしょう。

株式会社HRビジョンの「日本の人事部 人事白書 2021」から、正社員の賃金の増減、昇進・昇格においては「成果・業績」に重きを置く企業が多いとわかります。以下の表は非管理職の結果ですが、管理職になるとさらに成果・業績の重要度は高まります。
「日本の人事部 人事白書 2021」賃金の増減に影響を与える評価項目-1
引用:「日本の人事部 人事白書 2021」4-03 賃金の増減に影響を与える評価項目(1)正社員・非管理職
「日本の人事部 人事白書 2021」賃金の増減に影響を与える評価項目-2
引用:「日本の人事部 人事白書 2021」4-04 昇進・昇格に影響を与える評価項目(1)正社員・非管理職
このように業績考課は、実際に人事考課の評価項目として多くの企業で重視されているといえます。

能力考課

能力考課は、業務や個人的な学習を通じて習得したスキル、または潜在的な能力を評価するものです。業績考課では目に見える成果を評価しますが、能力考課では成果に表れない過程の部分に着目します。

トラブル対応や責任範囲の広い業務など、難易度の高い仕事に取り組んだ場合も、生み出した成果にかかわらず評価が可能です。組織への貢献度やこれからの期待も込めて、適切な評価ができるでしょう。

まだ可視化されていない潜在能力も評価対象となりますが、判断が難しいため、社員の普段の行動を日頃からよく観察しなくてはなりません。不確実性が高いことから、潜在能力までは評価しない企業もあります。

情意考課

情意考課とは、日頃の業務における社員の行動や態度、意欲などに対する評価です。「情意」とは、思いや気持ちを指す言葉であり、人間的な部分にフォーカスします。

情意考課では、以下のような要素をふまえて総合的に判断します。キャリアの浅い社員に対しても、業績考課や能力考課に表れない部分をカバーできるでしょう。
  • 規律性:ルールを守って仕事を進めているか
  • 責任性:責任感を持ってやり遂げようとしているか
  • 協調性:周りと協力しチームに貢献できているか
  • 積極性:自ら積極的に挑戦する意欲や行動が見られるか
情意考課には今後への期待が込められており、社員のモチベーションアップにも有効です。企業の「熱意を買う」姿勢は、社員のやる気を引き出し、企業風土の醸成に役立ちます。

なお、情意考課は捉えにくい部分も大きいため、考課者の主観が入りやすいのが難点です。できる限り客観的で正しい評価のためには、上司だけでなく部下やチームメンバーなど、複数の人に判断してもらう対策が必要といえます。

人事考課の具体的な方法

人事考課を進める人事担当者
人事考課は、1年に1回、半期に1回といったペースで定期的に実施します。大まかには、以下のサイクルで進めるのが一般的です。

1.目標設定
2.業務遂行
3.評価
4.フィードバック

この流れの中で、効果的な人事考課の手法を採用するとよいでしょう。

以下に、人事考課でよく使われている手法を3つ紹介します。それぞれの特徴を知り、自社に合ったものを取り入れてみてください。
・MBO(目標管理制度)
・360度評価
・コンピテンシー評価

MBO(目標管理制度)

MBOとは「Management by Objectives」の頭文字を取ったもので、日本語では「目標管理制度」と訳されます。1954年に経済学者のピーター・ドラッカー氏が著書の中で提唱した組織マネジメントの考え方です。

MBOでは、一定期間において社員個人が目標を設定し、その達成度で評価をおこないます。上司から目標を与えるのではなく、社員自身が目標を立てるため、自律的な取り組みを促すことが可能です。

MBOは透明性が高くわかりやすいため、実際に多くの企業が導入しています。レベルに応じた目標設定ができれば、よい刺激となり、社員の成長にも効果的でしょう。

一方で、評価を得るために数字を追いがちになり、達成できそうな簡単な目標を立ててしまう可能性もあります。また、結果だけを重視して過程がおろそかになり、ノルマのようなプレッシャーになるリスクも否定できません。

360度評価

360度評価とは、上司だけでなくチームメンバーやリーダー、部下など複数の人が対象の社員を多角的に評価する方法です。とくに主観や心証が入りやすい情意考課では、多くの意見が入ることで客観性や納得感が得られやすくなります。

360度評価では、社員は上司一人からの一方的な評価ではなく、「周りからの見え方」を把握できます。自分を客観的に見つめ、気付かなかった強み・弱みを発見することで、自己研鑽のきっかけにもなるでしょう。

ただし匿名ではない場合、関係性によっては主観を排除できず、正しい評価ができない可能性もあります。忖度が生まれ、お互いによい評価を付け合うケースもあるでしょう。そのため、あらかじめ明確な基準を共有し、考課者に対する教育も必要になります。

コンピテンシー評価

コンピテンシー(competency)とは、仕事で高い成果を上げている人材(ハイパフォーマー)に共通する行動特性を指します。そしてコンピテンシー評価とは、優秀な社員の行動特性を基準として、社員を評価する手法です。

コンピテンシー評価では、企業が理想とする人物像を描き、その行動特性を評価基準として示します。よって、社員が具体的な行動に移しやすい点がメリットです。また、自分の現状と理想のギャップがわかりやすく、成長するための課題が把握できます。

コンピテンシー評価は能力・スキルの有無ではなく、あくまで「行動」に結び付けられているかを評価します。顕在的な部分を見るため正確な判断がしやすく、数字に表れないプロセス部分の評価も可能です。

コンピテンシー評価について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

コンピテンシー評価とは?導入方法や評価項目を解説

コンピテンシー評価は人事考課の手法として大きなメリットがありますが、問題となるのは適切な人物像の選定・分析・設計が難しい点です。また、コンピテンシーは一度定義すれば終わりではなく、事業拡大のフェーズや時代・環境の変化に合わせた対応が求められます。

そこで活用したいのが、コンピテンシーを簡単に把握・分析できるツールです。

例えば人材アセスメントに強い「ミイダス」なら、独自の「コンピテンシー診断」によって、社員の行動特性を簡単に可視化できます。ストレス要因や上下関係適性など計41項目の行動特性について明らかにし、言語化しにくいパーソナリティの把握も可能です。

自社で一からコンピテンシー評価を導入するのは大変ですが、こうした便利なツールを活用すれば、客観的なデータを根拠に人事考課を進められるでしょう。

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人事考課表の書き方(職種別例文あり)

人事考課表の書き方に悩む担当者
人事考課では、社員と考課者(上司)がそれぞれ人事考課表(人事考課シート)に記載し、その内容をもとに評価がおこなわれるのが一般的です。

人事考課表を書く上で、考課者が押さえるべきポイントは以下の通りです。
  • 具体的な事実を用いて客観的に書く
  • 数字で(定量的に)記載する
  • 前向きな伝え方を意識する
評価を受ける社員が、何をどう評価されているのか理解できるように、必ず具体的な事実を用いましょう。抽象的な内容では、伸ばすべき点や改善すべき点が分からず、成長につながりません。

評価に納得感を持ってもらうには、根拠となる数字を伝えることも重要です。

また、とくに今後改善すべき点については、否定的な「ダメ出し」ではなく、必ず前向きな表現を心がけてください。伝えたい内容が同じでも、表現一つで社員のモチベーションは大きく左右されます。

ここからは、人事考課表の具体的な書き方を職種別に3パターン紹介します。

営業・販売職

営業・販売職の人事考課では、成果が数字で表れるため比較的評価しやすいでしょう。例えば、以下のようなものが成果として挙げられます。
  • 売上目標に対する達成度
  • 受注件数と規模
  • 新規顧客獲得数
  • 販売実績と創出粗利
  • 計画対比・昨年対比での利益額
  • リピート率
  • 販管費削減
これらを用いた明確な評価が重要です。
<例>
今期の売上は○○万円、目標達成率は○○%と、素晴らしい成果を上げている。チームにおいても積極的な貢献が見られ、A社の案件では他のメンバーをサポートして受注に至ったことは、大いに評価に値する。

ただし、新規顧客数が多い一方で、顧客のリピート率は○%となっている。今後は既存顧客の定期的なフォローや関係性構築に期待したい。

事務職

事務職は営業・販売職に比べて、成果を数字で見ることが難しいかもしれません。例えば、以下のようなものが評価すべき対象として考えられます。
  • 担当業務の達成度、成果創出度
  • 非定量目標の達成度
  • 成果物の正確性
  • エラーやミス防止
  • 工数、経費の削減
  • 定型業務の処理速度
  • スケジュール遅延の有無
  • 改善提案件数
定量的な評価だけではなく、定性的な貢献や意欲にも着目すると書きやすいでしょう。
<例>
定型業務の仕組みを改善し、時間が取られていた書類のテンプレート作成によって、チームの平均残業時間を○時間短縮できた。また、今期目標のミス防止対策として、Excelでマクロを組んで自動チェック機能を作成したことも、貢献度・意欲ともに高く評価する。

なお来期からは新入社員が配属されるため、独り立ちするまでの積極的な指導とサポート、ノウハウの共有を一任したい。

開発・生産・技術職

開発・生産・技術職は、役割によって成果の判断が難しい職種でもあります。例えば、以下のようなものが評価対象として挙げられるでしょう。
  • 貢献度目標の達成度
  • 売上高と粗利額
  • 生産金額、数量
  • 原価低減率
  • 開発案件数、進捗度
  • 設計スピード、効率
  • 新技術、新商品、特許
  • クレーム発生率
  • 資格取得
業務効率化やコスト削減、数字で表しにくい取り組みも含めて、具体的な貢献内容を取り上げることがポイントです。
<例>
今期は生産工程における技術的な課題解決に取り組み、生産コスト○○%削減の目標に大きく貢献した。チーム内でもリーダーシップを発揮し、関係部署との調整や、作業スタッフとの連携など、目を見張るものがある。

今後は管理職候補として、自身の技術力向上はもちろん、部署全体のマネジメントを視野に入れた行動を期待する。在庫管理のIoT導入についても早期に検討してもらいたい。

人事考課の注意点

人事考課表の注意点を表すイメージ
適切な人事考課のためには、いくつか注意すべきポイントがあります。

人事考課は社員の給与や配置の決定にかかわる、非常に重要な業務です。社員一人ひとりの人生を左右するという自覚を持ち、以下のような注意点を忘れずに進めましょう。
・評価エラーに気を付ける
・フィードバックの仕方に注意する
・普段からコミュニケーションを意識する
・研修を通じて考課者の成長を促す
・「納得感」を大切にする

評価エラーに気を付ける

人事考課においてまず気を付けたいのが「評価エラー」です。

人事考課は人が判断する仕組みです。考課者の心理が影響を及ぼし、正しい評価ができなくなる状態を評価エラーと呼びます。

以下に、代表的な7種類の評価エラーを紹介します。
  • ハロー効果:目立つ特徴に引っ張られて全体がよく(悪く)見えること
  • 中心化傾向:評価が真ん中の値(5段階評価の3など)に集中しやすいこと
  • 寛大化傾向:評価が甘くなり、実態よりもよい評価をすること
  • 逆算化傾向:最終的な評価を先に決め、つじつま合わせで評価をすること
  • 論理誤差:関係性や整合性から、論理上の筋が通るよう評価すること
  • 対比誤差:自分自身を基準に、対象者と比較して評価すること
  • 期末誤差:人事考課期間の期末のできごとが評価に強く影響すること
いずれも無意識の偏見や先入観、認知バイアスなどによって引き起こされます。人間なら誰もが評価エラーに陥るものと認識し、意識的に注意することが重要です。

なお、ミイダスが開発した日本初の「バイアス診断ゲーム」を使えば、考課者の思考のクセを簡単に分析できます。認知バイアスを客観的に把握しておくことで、評価エラーに気付きやすくなり、適正な人事考課につながります。
ミイダス「バイアス診断ゲーム」診断画面
バイアス診断ゲームでは、フレーミング効果、リスク許容度、サンクコスト効果、否定的感情など、全部で22項目の分析を行うことができます。以下よりぜひお試しください。

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フィードバックの仕方に注意する

人事考課の目的に「社員の成長促進」があることは先に述べた通りです。社員の意欲やモチベーションを上げるためには、伝え方が非常に重要となります。

人事考課は、評価を付けたら終わりではありません。よい部分は今後も伸ばし、足りない部分は改善して、本人の成長を促すことに意味があります。

評価結果を一方的に伝えず、まずは社員の意見や自己評価をよく聞きましょう。人事考課表に書かれていない話にこそ、実は本音や問題が隠れているものです。

相手を否定しない姿勢も大切です。期待を込めたうえで、丁寧に改善点を伝えるようにしてください。そうすれば、耳の痛い指摘も素直に受け入れてもらいやすくなります。

普段からコミュニケーションを意識する

人事考課は年に1回や半年に1回などのペースで実施されますが、その時だけ社員と向き合えばいいわけではありません。とくにプロセスを評価するのであれば、日頃から社員を観察し、成長している様子や課題に取り組む姿勢を把握すべきです。

日頃のコミュニケーションが希薄で関係性を築けていないと、1対1で面談をしても社員は本音を話しづらく、改善へのモチベーションも上がりません。

人事考課は人が人を評価するものであり、「時期が来れば評価を付ける」という態度では本来の目的を達成できないでしょう。人事考課はあくまで節目となる通過点であり、普段のコミュニケーションがものを言うことを考課者は自覚しなくてはいけません。

研修を通じて考課者の成長を促す

正しい評価をおこなうには、考課者が自社の人事考課制度をきちんと理解し、評価エラーの知識を身につける必要があります。評価される側だけでなく、評価する側もともに成長しなくてはならないのです。

評価者としてのスキルや知識を学ぶには「考課者研修」が有効です。考課者研修は、評価者訓練、人事評価研修などとも呼ばれます。

具体的には、以下のような内容で進められます。
  • 評価エラーや誤差について学ぶ
  • 自社の評価制度について理解する
  • 評価の実践練習、グループワーク

「納得感」を大切にする

人事考課は、社員が不満を抱き、モチベーションが低下するリスクをはらんでいます。社員が評価に納得できない背景には、次のような思いが隠れています。
  • 「実力や努力が評価されない」
  • 「自分を見てくれていない」
  • 「他の人はもっと評価されているのに」
これらの要素をカバーし、できる限り適正な評価とフィードバックができれば、社員の不満を軽減できます。決して「ご機嫌を取る」わけではなく、評価の根拠を明確にし、公平で公正な人事考課制度の設計を目指しましょう。

人事考課の結果や評価基準に社員が納得し、目指すべき方向性を理解できれば、不満どころかモチベーションを大きく向上させることも可能です。

人事考課の歴史と最新トレンド

人事考課の歴史をたどるイメージ
最後に、日本におけるこれまでの人事考課の歴史と、最新のトレンドについて紹介します。

人事考課は時代によって変化していくものです。今の自社に合った人事考課制度を設計し、よりよい形に対応していけるよう、大まかな流れを押さえておきましょう。

日本の人事考課の歴史

日本では戦後多くの企業が「年功序列」「終身雇用」制度を採用し、勤続年数や役職をもとに人事考課をおこなってきました。日本は高度経済成長の時代であり、企業も社会も右肩上がりの状況下では、安定した生活を保障する仕組みとして有効だったのです。

1990年代にバブルが崩壊すると、日本経済は低成長期へと突入します。この頃から、業績と連動した評価をおこなう「成果主義」が注目され、「年俸主義」も目立つようになりました。年功序列の維持が難しくなり、人件費の抑制や、利益拡大に直結させる仕組みが必要とされたのです。

ところが日本では、成果主義は思うように定着しませんでした。個人がいかに成果を上げるかに注力してしまい、日本人の得意な団結力・チームワークに支障をきたすようになったためです。協力ではなく競争を煽り、部下の育成は後回しにするような弊害が目立つようになりました。

2000年代に入ると、大きな壁になったのは少子高齢化、労働人口の減少です。グローバル化による人材の流動化や、転職に対する価値観の変化などを背景に、効果的な人事考課が模索される時代となりました。この頃に、先述したMBO、360度評価、コンピテンシー評価といった新たな人事考課システムがアメリカから持ち込まれました。

現在の人事考課

2010年以降、多くの企業が自社に合った人事考課制度を模索し、さまざまな工夫や改定に取り組んでいます。時代が変化するスピードも加速度的に早くなり、働き方の多様化にも対応しなくてはなりません。

昨今ではHRテック(人事領域の課題をテクノロジーで解決するサービス・ツール)の発展がめざましく、人事考課においてはクラウド型システムが台頭しています。すべてデータで管理でき、工数・コスト削減にもつながるため、ますますこの領域は拡大していくでしょう。

企業は自社に最適なサービスを選び、上手に活用することが求められます。

テレワークへの対応が新たな課題に

2020年からは、新型コロナウイルスの影響により、多くの企業でテレワークが急速に導入されました。テレワークでは直接顔を合わせてコミュニケーションを取る機会が激減し、人事考課に新たな課題をもたらしています。
こうした新たな課題に対して、最新の人事考課サービスや、各種ツールを素早く導入することで、上手に乗り切っている企業も多く見られます。

コロナ禍のように環境が急激に変化しても、人事考課制度の運用を見直す機会と捉え、柔軟に対応できる企業が生き残っていくのかもしれません。

適正な人事考課で企業の発展を支えよう

人事考課の運用に成功し喜ぶ担当者
企業にとって人事考課は非常に重要な意味を持ち、人材マネジメントの中心となるものです。さらなる発展を目指すためには、適切な人事考課を通じて人材の成長を促し、組織力を高めることが欠かせません。

人事考課の機会を最大限に活用するためには、明確な目的を持ち、正しい評価基準で臨むことが重要です。まずは人事担当者や考課者が学びを深め、全社的な好循環につなげていきましょう。

また、変化が激しくスピード感を求められる今の時代、失敗しない人事考課をおこなうにはHRテックの活用が必須です。

例えば、人材アセスメントツールを提供する「ミイダス」は、独自の診断システム「コンピテンシー診断」や「バイアス診断ゲーム」などによって、社員の特徴を簡単に可視化できます。コンピテンシー評価のモデル策定や、考課者の評価エラー防止など、さまざまな場面で活用可能です。

計32万7000社がミイダスを導入しており(2022年2月時点)、多くの企業様から導入成功事例が届いています。アカウント登録は1分で完了し、無料で機能をお試しいただけます。人事考課に役立つツールをお探しの方は、ぜひ以下からご利用ください。

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