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コンピテンシー

コンピテンシー面接とは?やり方や質問例も紹介

コンピテンシー面接は、人材の行動や考え方、特性を見極め、自社での活躍を予測する面接手法です。通常の採用面接とは違うため、「やり方がわからない」「進め方が難しそう」と感じる人事担当者も少なくありません。

しかし、採用ミスマッチを防止し、自社で長期的に成果を生み出す人材を確保するには、取り入れておきたい手法です。

そこで当記事では、コンピテンシー面接の基礎知識や導入方法、質問例などを解説します。自社における採用の課題を解決し、活躍人材を確保したい方は、ぜひご一読ください。


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コンピテンシー面接とは?目的や背景、採用面接との違いは?

「コンピテンシー面接」とは、人材の行動や考え方、特性を見極め、自社での活躍を予測する面接手法です。「適性面接」と言われることもあります。

履歴書や職務経歴書からわかる学歴・職歴などではなく、「高い成果を上げるために必要な行動特性を持ち合わせているか」を基準にして人材を評価するところが特徴です。

ここでは、コンピテンシー面接を企業が実施する目的や従来の採用面接との違いを解説します。

コンピテンシーの基本概念から知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:コンピテンシーとは?4つの活用シーンや分析ツールの導入事例を紹介】

コンピテンシー面接を企業が実施する目的と背景

コンピテンシー面接を実施する目的は、即戦力かつ成果を出せる活躍人材を確実に採用することです。

終身雇用や年功序列制が当たり前だった時代では、学歴やスキル、経験値が高い人材を優秀だと評価し、大量に採用していました。採用後、長い年月をかけて社内で育成していくのが主流だったのです。

しかし、時代の変化と共に「一社で働き続けるのではなく、自分の能力を活かせる会社で働きたい」というニーズが人材に広まり、転職へのハードルも低くなりました。長い年月をかけて人材育成ができなくなったため、採用段階から即戦力が求められるようになっています。

ところが、企業からは次のような声も聞かれます。

せっかく採用した人材が早期離職してしまう
自社で高いパフォーマンスを出す社員を思うように採用できない

これまでと同様に学歴や経験値を優先し、本質的に自社と合わない人材を採用することで「採用ミスマッチ」が起こるようになりました。そこで、学歴や経験ではない視点から、見極め精度を高める方法として注目されたのが「コンピテンシー面接」です。

コンピテンシー面接では、応募者の持つスキルや知識のほか、潜在的に持つ能力にも焦点を当てます。過去の出来事や経験に関する質問をし、自社に必要となる能力を持っているかを評価していくところが特徴です。

コンピテンシー面接と従来の採用面接との違い

「コンピテンシー面接と通常の採用面接は同じではないの?」と思う方もいるのではないでしょうか。そこで「コンピテンシー面接」と「従来の採用面接」との違いを、以下の表にまとめました。
コンピテンシー面接従来の採用面接
評価方法行動特性や思考性などに注目し、自社で成果を生み出す能力を持つ人を評価する第一印象・学歴・経歴などで評価する
評価のしかた・客観的
・面接官が違っても一貫性のある評価
・主観的
・面接官によって異なるバラつきのある評価
質問内容過去に取った行動の意図や詳細などを会話形式で深掘り志望動機や自己PRなど表面的なことを聞く
採用ミスマッチの発生採用ミスマッチが抑えられ、自社で長い期間に渡って活躍する可能性が高い採用ミスマッチが発生し、早期離職につながる可能性がある
従来の採用面接では、面接官が感じた第一印象・受け答えのしかた・学歴・経歴・自己PRの内容など、表面的な部分を基準に判断します。そのため、担当面接官によって評価のバラつきが発生。面接時の評価と実際の仕事での成果にギャップが生じ、早期離職の原因となる可能性があるのです。

コンピテンシー面接では、これまでの体験を深掘りし、
  • 何を意図して行動を取ったのか
  • そのとき、どのような困難があったのか
  • 困難をどう乗り越えたか
など、応募者の行動に着目した質問をします。

たとえば「マネジメント経験がある」と言っても、発揮してきた能力は人材によってさまざまです。マネジメント経験に関する質問を通して「発揮した能力が何だったのか」「受け身ではなく、自ら積極的に動いてマネジメントができる人物なのか」など、本質的な部分を見極めます。

人材に対して過去の経験を深掘りしていきますが、質問内容や評価基準が明確に定められているため、面接官の違いによる評価のバラつきを抑えることが可能です。

応募者の行動パターンを具体的に探り、従来の面接では見えない行動基準を知ったうえで採用するため、入社後のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。

続いて、企業がコンピテンシー面接を導入するメリットを見ていきましょう。

コンピテンシー面接を導入する4つのメリット

笑顔の面接官
コンピテンシー面接を導入すると、以下のメリットを享受できます。
  • 応募者の本質を見極めやすい
  • 応募者が入社したあとの働く様子がイメージしやすい
  • 誇張や矛盾を見抜ける
  • 評価のバラつきが少なくなる
さまざまな採用課題を解決するカギとなるでしょう。それぞれ詳しく解説します。

【メリット1】応募者の本質を見極めやすい

コンピテンシー面接は、応募者の本質を見極める手段として有効です。書類や自己PRなどでは判断できない「パーソナリティ」や「行動特性」などを見極めやすくなります。

コンピテンシー面接では、自社が必要とするコンピテンシーをあらかじめ定めます。学歴・経歴のあるなしに関わらず、自社が求めるコンピテンシーを持つ人材を採用するため、履歴書や面接でわかる表面的な印象に左右されにくくなります。

同等のスキルや経験を持つ応募者が複数いた場合、最終的な見極めの判断基準として活用できるのがコンピテンシーです。人材が潜在的に持つ行動特性を把握することで、本質的な部分まで見抜いた採用ができます。

また、短時間の面接で本領発揮できる応募者はごくわずかです。緊張で思うように話せない人もいるでしょう。

しかし、緊張する面接の場面でパフォーマンスを発揮できない応募者のなかにも、自社で活躍する人材はいるはずです。これまでの面接では、受け答えや態度などから判断し、本来は自社にフィットする人材を不採用にしていた可能性もあります。

適切な評価をして自社で活躍する人材を採用するには、コンピテンシー面接が重要です。企業が抱える「短時間で応募者の素質を見抜けない」という課題を解消できるでしょう。

【メリット2】応募者が入社したあとの働く様子がイメージしやすい

コンピテンシー面接では、過去に取った行動やその意図などを質問します。これまでの出来事に対して深掘りするので、その人の考え方や性格・行動特性を深く理解することが可能です。

面接という特殊な状況ではなく、普段のシチュエーションにおける行動が見えてきます。自社に入社したあと、どのような行動を取って活躍しそうかイメージできるところがメリットです。

応募者が入社したあとのイメージを描けると、採用のミスマッチを最小限に留める効果が期待できます。「活躍できるだろうと思って採用したのに、入社後になかなか成果が出ない」といった事態も防げるでしょう。

コンピテンシー面接のときには、自社で過去に発生したシチュエーションを題材に挙げ、どのような行動を取るのか質問すると、より具体的に人材像を把握できます。

【メリット3】誇張や矛盾を見抜ける

履歴書や職務経歴書の内容に偽りがないか、話していることに誇張・矛盾がないか確認できるところがメリットです。

応募者のなかには、面接の際に自分を良く見せようと誇張した回答をする人がいます。しかし、コンピテンシー面接では、過去の出来事に沿って質問を深掘りするため、嘘が通用しません。

また、コンピテンシー面接は自社が求めるコンピテンシーを定めたうえで質問内容を設定します。そのため、応募者が事前に面接の質問を予測するのは困難です。従来の面接で聞くことの多い、志望動機や自己PRなどの定番な質問への対策はできません。

仮に、面接で自分を良く見せようと誇張する発言があったとしても、矛盾を見抜きやすくなります。

【メリット4】評価のバラつきが少なくなる

コンピテンシー面接では「コンピテンシーモデル」を作成します。コンピテンシーモデルとは、自社で成果を上げる社員(ハイパフォーマー)の行動特性から作成する、求める人材の理想像です。

【関連記事:コンピテンシーモデルとは?5つのモデル化手順と注意点を徹底解説!】

コンピテンシーモデルを評価基準として定めるため、従来の面接方法と比べて面接官の主観が入りにくく、評価のバラつきが少なくなります。

面接官によって見極め精度が変わる課題を解消でき、自社で活躍する人材の採用に効果的です。

ここまで、コンピテンシー面接を導入するメリットを4つに分けて解説しました。続いて、コンピテンシー面接を実際に導入するやり方を見ていきましょう。

コンピテンシー面接のやり方!導入・実施・評価の6ステップ

2人の女性面接官
コンピテンシー面接を実施する手順は、以下の6ステップです。

1.コンピテンシーモデルを作成する
2.面接を標準化し、評価基準を決定する
3.評価シートを作成する
4.面接担当者を育成する
5.コンピテンシー面接を実施する
6.応募者を評価する(コンピテンシーレベル)
ひとつずつ手順を見ていきましょう。

【ステップ1】コンピテンシーモデルを作成する

自社で活躍しているハイパフォーマーを探し、共通する行動特性を特定します。
  • どのような行動をしたか
  • 行動を起こしたきっかけは
  • どのような工夫をして達成したか
  • どのように考えて行動を起こしたのか
これらのことをヒアリングして、共通点を導き出します。その共通点から、どの能力を使って成果を出しているのか分析していきます。このとき、一人のハイパフォーマーだけではなく、複数の社員からヒアリングすると効果的です。

分析したコンピテンシーを採用要件に設定します。募集職種、もしくは人材が所属するチームごとに、コンピテンシーモデルを作成するのが理想です。作成時には、自社の社風や価値観、ビジョンに合致したコンピテンシーモデルになっているか確認しておきましょう。

しかし、複数のハイパフォーマーを探してヒアリングし、コンピテンシーを分析するのは手間がかかります。コンピテンシーモデルの作成や採用の要件定義の負担を減らすには、ミイダスの「フィッティング人材分析(活躍要因診断)」がおすすめです。

フィッティング人材分析は、ハイパフォーマーのコンピテンシーを分析し、自社にフィットする人材の条件を可視化するアセスメントツールです。社員15名まで無料で利用できますので、ぜひご活用ください。

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なお、コンピテンシーモデルを作成する詳しい方法は、以下の記事にてまとめています。あわせてご一読ください。

【関連記事:コンピテンシーモデルとは?5つのモデル化手順と注意点を徹底解説!】

【ステップ2】面接を標準化し、評価基準を決定する

誰が面接官になっても一定の評価ができるよう、面接の質問内容や評価基準を統一させます。全社統一ではなく、募集職種や人材が所属するチームごとに設定すると、ミスマッチ防止に効果的です。

コンピテンシー面接の質問を決める際には、どの質問をして、それに対してどう受け答えするかをマニュアル化していきます。

たとえば、見極めたい項目ごとに質問と回答例、進め方を用意します。
  • 面接官の質問に対して、Aという回答が応募者から返ってきたら評価は5。Aの回答だった場合に深掘りする質問に進む
  • Bの回答だった場合の評価は3
  • Cの回答だった場合は評価1
このように、面接の流れをマニュアル化していきます。評価基準も明確に定め、1~5までの5段階評価など、回答例ごとに数値化できるようにすると曖昧さがなくなります。

工数のかかるところではありますが、事前準備をしっかり行うことでコンピテンシー面接の成功につながるでしょう。

質問の進め方は「STAR」のフレームワークに沿って進めるとわかりやすいです。詳しくは後述していますので、あわせてご覧ください。

【ステップ3】面接評価シートを作成する

面接評価シートとは、面接で評価する項目と評価基準を記載した用紙です。面接官によって評価にバラつきが出ないように、事前に面接評価シートを作成し、これに沿って進めていきます。

面接評価シートには、
  • 質問内容
  • 評価基準
  • 評価の比重
  • 応募者の回答内容をメモする欄
などを記載するのが一般的です。ステップ1とステップ2でお伝えしたことを反映した評価シートを作成しておくと、より面接の標準化を図れます。

【ステップ4】面接担当者を育成する

コンピテンシー面接は、従来の面接とは質問の内容や流れが異なります。そのため、いきなり面接官をしようと思っても、うまくいかないことがほとんどです。

コンピテンシー面接を導入する際には、担当する面接官に概念や目的を理解してもらい、スムーズな実施ができるようにロールプレイングなどの練習を加えると良いでしょう。

マニュアル通りにコンピテンシー面接を進めるロールプレイング動画を作成し、視聴してもらうのも効果的です。

【ステップ5】コンピテンシー面接を実施する

コンピテンシー面接を実施し、応募者を評価します。

面接時は応募者の話を聞き、過去の経験を引き出すことに徹しましょう。面接官が自らの経験や情報などを応募者に伝える必要はありません。

5W1Hに沿って、過去にどのような経験があったのか具体的に聞き出します。応募者は過去を振り返りながら回答するので、うまく言葉にできない場合もあるでしょう。そのときには、面接官から適切な質問をして回答を引き出すテクニックも必要です。

【ステップ6】応募者を評価する(コンピテンシーレベル)

応募者を評価するときには、コンピテンシーレベルが役立ちます。コンピテンシーレベルとは、行動特性を5段階に分類したものです。

1.受動行動
2.通常行動
3.能動行動
4.創造行動
5.パラダイム転換行動
この分類を活用することで、評価のブレを抑えられます。それぞれの分類について、詳しく見ていきましょう。

レベル1. 受動行動

受動行動は、周囲に言われて行動する受け身の状態のことです。自分で課題を発見したりアイディアを出したりすることはなく、上司などからの指導に沿って行動します。目的意識が薄く「言われたので仕方なくやった」というマインドセットの人が多いです。

能動的に働く人材を求めている企業では、受動行動のコンピテンシーレベルに分類される応募者は合わない可能性が高いでしょう。

レベル2. 通常行動

通常行動に分類される人は、自分に与えられた仕事をミスなくこなせます。受動行動と同じく自分からアイディアを出すことはあまりありませんが、「ミスなく正確にこなせる」ところがレベル1とは異なる点です。

マニュアルや作業手順通りに物事を進められるものの、自分なりの工夫を凝らせない人がレベル2に分類されます。

レベル3. 能動行動

能動行動は、自分で設定した目標に向かって積極的に取り組める状態です。「来週、新規顧客の元を訪問する」と言われれば、上司に指示されなくても顧客をリサーチしたり、事前資料を作成したりできます。

複数の可能性を常に考え、それぞれに対して対策を打てる人がレベル3に分類されます。ほとんどの企業において、コンピテンシーレベル3以上を持つ応募者の採用が望ましいでしょう。

レベル4. 創造行動

創造行動では、状況に変化をもたらす工夫をします。自分の役割にとらわれず、新たな可能性や進む道を創造できる人です。

自分だけが行動を起こすのではなく、周囲にも発信することで組織全体に良い影響を及ぼす傾向にあります。

たとえば、新規顧客の元を訪問する予定があるとき、自分でリサーチを済ませるのではなく、メンターとなってチーム内の若手に調べ方を教えるなどの対応ができます。これは、長期的な視点で若手メンバーの成長も考えて行動できている例です。

レベル4に分類される人は、自ら課題点を見つけ、改善に向けた行動を主体的に行えます。

レベル5. パラダイム転換行動

パラダイム転換行動は、組織内の固定観念や風習などを覆す力を持つ行動です。独創的な提案ができるため、組織に新しい風を吹かせます。

たとえば新規顧客の元を訪問する予定がある場合、
  • 新たなツールを使用して事前アンケートに回答してもらえないか工夫する
  • 実際に製品のデモンストレーションを準備する
など、これまでにない試みを積極的に取り入れようとします。パラダイム転換行動ができる応募者は、かなり稀です。

しかし、レベル5の人材が自社にフィットするとは限りません。自社が求めるコンピテンシーレベルを事前に設定したうえでの評価が重要です。

コンピテンシー面接の導入から評価までを6つのステップで解説しました。コンピテンシー面接を設計する際に「どんな質問を用意したら良いか」と悩む方もいます。次の項目では、コンピテンシー面接の質問例をフレームワークに沿って解説します。

STARフレームワークを活用したコンピテンシー面接の質問例

ガッツポーズをする男女のビジネスパーソン
STARのフレームワークは、構造化面接を実施する手法のひとつです。「STAR面接」とも呼ばれます。

STARは、以下の頭文字4つを取ったものです。
  • Situation(状況)
  • Task(課題)
  • Action(行動)
  • Result(結果)
4つの項目を基準に質問を実施することで、過去の出来事について深掘りしやすくなります。では、それぞれの項目の詳細と質問例を、STARフレームワークに沿って見ていきましょう。

なお、構造化面接については、以下の記事にて解説していますので、より理解を深めたい方はご一読ください。

【関連記事:構造化面接は採用に有効?効果やメリット、質問例をまとめて解説】

Situation(状況)

Situation(状況)の項目では、過去に置かれていたシチュエーションについて質問します。応募者がどのような組織で、どんな役割を担っていたかを知ることができます。

同じ行動を取っていても、置かれた状況によって、その行動の意図は変わってくるものです。そのため、コンピテンシー(行動特性)を判断するには、状況の詳細を明らかにする必要があります。

▼Situation(状況)の質問例
・特に力を入れて取り組んだプロジェクトはありますか
・組織のなかで、どのような役割・ポジションでしたか
・プロジェクトに関わっていた人は何人程度でしたか
・どれくらいの期間、プロジェクトに関わっていましたか
・そのプロジェクトに取り組んだ背景は何ですか
このあとに続く質問の、前提となる情報を聞き出しましょう。

コンピテンシー面接では、応募者の行動特性を把握したいため、自社のコンピテンシーモデルに沿った質問が有効です。たとえば、コンピテンシー別に質問をするとしたら、以下のような質問が考えられます。

▼コンピテンシーを踏まえた質問例
【チームワーク】
・チームのなかでどのような役割を任されていましたか?
・チームワークが求められた状況はありますか

【リーダーシップ】
・会社の業績に貢献したエピソードを聞かせてください。
・チームを率いてまとめあげた経験を教えてください。

【ストレス耐性】
・上司に強く叱責されたとき、どのような感情を抱きましたか?

【決断力】
・これまでで最も難しかった決断を挙げてください。

【コミュニケーション力】
・コミュニケーションに問題が発生した出来事はありましたか?

【正確性】
・業務で細心の注意を払って進める場面はありましたか?

【業務の推進力】
・複数のプロジェクトを抱えているとき、どのような順番で仕事に着手しますか?

Task(課題)

Task(課題)の項目では、解決が求められた課題について深掘りします。

どのような仕事でもトラブルはつきものです。トラブルが発生したときの行動で、応募者の問題解決能力の高さやストレス耐性、ロジカルシンキング力などを判断できます。

▼Task(課題)の質問例
・プロジェクトでどのような課題を抱えていましたか
・トラブルが起きた原因は何だと思いますか
・トラブルの緊急性・難易度は高いものでしたか
・どのような目標を設定し、達成に至るまでの課題はありましたか

Action(行動)

Action(行動)では、Taskの項目で明らかにした課題に対して、どのような行動を取ったのか質問します。具体的に行動の詳細を聞くため、トラブルなどのイレギュラーな事態が発生したときの特性も評価できます。

▼Action(行動)の質問例
・トラブル発生時、どのように対処しましたか
・なぜその行動を取ったのですか
・実施したことを具体的に教えてください
・トラブル対処で特に苦労したことは何でしたか
応募者のコンピテンシーを判断するうえで、行動の意図を問う質問は特に大切です。同じ行動でも、その行動に至った意図を聞くことで応募者の内面的な部分が明確になります。

たとえば、似たような経験を持つ応募者が複数いた場合、「目標達成のために効率を重視したのか」「チーム内の人間関係を優先したのか」など、行動の内容はそれぞれ異なります。

自社が求める人材像により近い経験をしている応募者のほうが、入社後に活躍する可能性は高くなるでしょう。

Result(結果)

Result(結果)の項目では、行動をしたことで、どのようなことが起こったかを質問します。課題解決の有無だけではなく、学んだことや他者評価なども掘り下げましょう。

▼Result(結果)の質問例
・課題解決のために取った行動は、どのような結果になりましたか
・自分の行動を振り返って、反省する点や改善点はありましたか
・この体験から、どのようなことを学びましたか
・この行動は周囲にどのような影響を与えましたか
応募者のパーソナリティを判断するには、実際に取った行動だけではなく、その行動に対して何を思うのか知ることも大切です。たとえば、自分に厳しい性格であれば反省点が多く、吸収する力が強い人なら学んだことが多いと述べるでしょう。

このように、STARのフレームワークに沿って質問を考えると、コンピテンシー面接をスムーズに実施できます。

ここまで、STARフレームワークに沿ってコンピテンシー面接の質問例を解説しました。次の項目では、企業がコンピテンシー面接をする際に大切にしておきたいことをお伝えします。

企業がコンピテンシー面接を実施するうえで大切なこと

書類を見て思案する男性社員
コンピテンシー面接を成功させるには、以下2つのポイントが大切です。
  • 人事だけではなく、関係部署と協力して進める
  • 自社が求めるコンピテンシーは定期的に検討する
それぞれのポイントを解説します。

人事だけではなく、関係部署と連携して進める

コンピテンシー面接では、コンピテンシーモデルや質問項目の作成など、設計段階で時間と工数がかかります。募集する職種や部署・チームが多い場合は、それぞれについて設計する必要がありますが、人事部だけではなく関係部署との連携が重要です。

同じ社内だったとしても、求める人材像は職種によって異なる場合があります。採用要件は適切か、設計した質問内容で見極めができそうかなど、現場の意見を取り入れるとミスマッチを抑えられます。

募集職種のマネージャーのほか、コンピテンシーモデルの作成に協力したハイパフォーマーの社員から確認してもらうのも有効です。

関係部署からの協力を仰ぐには、コンピテンシー面接の目的や意義など理解してもらうようにしましょう。理解が得られないまま進めると、快く協力してもらえず、コンピテンシー面接の土台が揺らいでしまう可能性もあります。

自社が求めるコンピテンシーは定期的に検討する

「自社が求める人材のコンピテンシーはこれだ!」と固定化してしまう場合があります。しかし、時代や環境の変化などによって、自社で活躍する人材の定義がいつの間にか変わることがあるのです。

長い期間、同じコンピテンシーを持つ人材を求め続けると、現状に合わない人を採用することになるかもしれません。このようなリスクに対処するには、定期的にコンピテンシーの内容を見直し、採用の要件定義に加えたり、質問を調整したりするのが重要です。

コンピテンシー面接の導入・実施に役立つ本

机の上に広げられた本
コンピテンシー面接を導入・実施するときに参考になる本を2冊紹介します。
  • コンピテンシー面接マニュアル
  • まんがでわかるコンピテンシー面接
より実践的な方法を知りたい方におすすめです。

コンピテンシー面接マニュアル

川上真史・齋藤亮三 著、 弘文堂、2006年

『コンピテンシー面接マニュアル』というタイトルのとおり、導入の準備や進め方、評価方法などが実例も加えながら解説されています。

ケーススタディとして、面接官と学生のやりとりも掲載されているため、質問項目を設定する際にも役立つでしょう。

初版の発売が2006年ですが、現代の面接でも十分活用できる内容です。コンピテンシー面接の理解を深めながら、マニュアルに沿った設計をしたい方におすすめします。

コンピテンシー面接マニュアル|Amazon

まんがでわかるコンピテンシー面接

川上真史・齋藤亮三 著、 弘文堂、2018年

上記で紹介した『コンピテンシー面接マニュアル』のまんが版です。コンピテンシーの意味や目的、実践まで、重要なポイントを押さえて、まんが化されています。

まんがで描かれている分、初めてコンピテンシーの概念に触れる方でも読みやすいでしょう。新任の人事担当者や面接官におすすめしたい一冊です。

まんがでわかるコンピテンシー面接|Amazon

コンピテンシー面接で中途採用を成功させるならミイダス

ミイダスのサービスイメージ画像
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コンピテンシー面接を設計するときには、自社が求める理想の人材像「コンピテンシーモデル」の作成が重要です。しかし、ハイパフォーマーの行動特性を可視化・分析するには莫大な工数がかかります。

分析が進まないと採用の要件定義が定まらず、コンピテンシー面接が実施できないといったこともあるでしょう。

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コンピテンシー面接を実施し、自社にフィットする人材を採用しよう

本を開く男性社員
コンピテンシー面接の基礎知識や導入方法、質問例などを解説しました。

自社で活躍する人材を採用するには、コンピテンシー面接が有効です。人材の経験やスキルだけではなく、潜在的に持つ能力・行動特性に注目して評価します。

面接官による評価のバラつきを抑えながら、応募者の本質を見抜けるなどのメリットが得られるため、採用ミスマッチの防止にも効果的です。

しかし、コンピテンシー面接の実施にあたって課題となるのが、コンピテンシーモデルの作成。ミイダスが提供する「フィッティング人材分析(活躍要因診断)」を活用すると、工数をかけずに自社が求めている人材像を明確にできます。

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