本記事では、QCサークル活動の定義や特徴、メリット・デメリット、効果的な進め方などについて解説します。最後にQCサークル活動を実施する際に役立つ書籍も紹介しますので、ぜひご一読ください。
採用支援サービス「ミイダス」では、従業員のエンゲージメントを向上させるためのお役立ち資料をご用意しています。QCサークル活動は従業員のエンゲージメント向上にも効果が期待されているため、実際に効果があったかどうかを客観的に把握することも大切です。詳しくは、以下よりダウンロードのうえ参考にしてください。
QCサークル活動の定義

QCサークル活動は、現場の最前線で働く従業員が主体となって運営し、品質管理の考え方や手法を活用しながら、実務上の課題を解決していく点が特徴です。管理職からの指示(トップダウン)で動くのではなく、現場主導の改善活動(ボトムアップ)として位置づけられています。
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QCサークル活動の歴史と事例

QCサークル活動の始まりと変遷
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1951年に「デミング賞」が創設され、日本企業で品質管理の導入が進む中、現場の第一線で使える品質管理の教本として、1962年に雑誌『現場とQC』(現『QCサークル』誌)が創刊されます。QCサークル活動はこの創刊号で初めて提唱されました。
翌1963年、成果を発表する場として「第1回QCサークル大会」が仙台で開催され、QCサークル活動は全国各地に広がっていきます。1970~1980年代には労働科学の面からその効用が注目され、活発な研究が行われました。こうした発展を経て、2008年には第5000回目の大会が開催されるまでに成長したのです。
この活動を支援するため、1962年にQCサークル本部が日本科学技術連盟内に設置され、1964年以降は全国9支部に分かれた組織体制へと発展し、地域ごとの推進活動が行われています。
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構|『日本労働研究雑誌』2011年4月号(No.609)「QC サークル活動」
出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構|『日本労働研究雑誌』2020年7月号(No.720)「問題解決のための協働──日本企業における小集団活動の歴史」
出典:QCサークル活動(小集団改善活動)とは | QCサークル | 日本科学技術連盟 | 品質管理
QCサークル活動の代表的な事例
2000年代に入ると、グローバル化の加速やグループ企業再編などが進みました。これらを背景に、2004年には名称を「G‐QCサークル活動」と改め、2008年には「G‐QCサークル活動の進め方ガイドライン」を制定しています。こうして時代に合わせた活動へと進化し、会社の持続的な発展に寄与しています。
出典:トヨタ企業サイト|トヨタ自動車75年史|TQM(Total Quality Management)|詳細解説
また、製造業以外の分野でも浸透しており、コールセンターやバックオフィスの構築・運営を手がける株式会社TMJ(セコムグループ)では、2006年からQCサークル活動を導入しています。顧客満足度の向上を目的とした活動など、2022年3月時点で延べ2,231テーマが実践され、その成果は数多くの外部表彰につながっています。
出典:株式会社TMJ|2022年度QCサークル活動 優良企業・事業所表彰を受賞
出典:株式会社TMJ|QCサークル関東支部大会にてダブル受賞を達成
以下の資料には、過去(2000年1月号〜2022年12月号)の『QCサークル』誌で紹介された事例が網羅的に掲載されています。年度ごとに体験事例・ワンポイント事例が表でまとめられており、具体的な事例やテーマを知りたい方には参考となるでしょう。
一般財団法人 日本科学技術連盟|『QCサークル』誌 総目次
QCサークル活動の特徴

以下、より詳しい特徴と基本理念を見ていきましょう。
QCサークル活動の特徴
【1. 相互作用による成長メカニズム】
【2. 独自の運営メソッド】
【3. 具体的な活動支援ツール】
- QC七つ道具:チェックシート、パレート図、ヒストグラム、管理図、層別、特性要因図、散布図などの分析ツール
- QCストーリー:問題解決型、課題達成型、施策実行型、未然防止型などの進め方のフレームワーク
QCサークル活動の基本理念
QCサークル活動の基本理念 人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出す。 人間性を尊重して、生きがいのある明るい職場をつくる。 企業の体質改善・発展に寄与する。 出典:一般財団法人 日本科学技術連盟|QCサークル活動(小集団改善活動) |
QCサークル活動は時代遅れなのか

こうした経緯から、QCサークル活動は「時代遅れ」と言われることもあります。しかし、活動を継続してきた組織では、前述したトヨタ自動車の例のように、活動の形態を進化させてきました。
現在でもQCサークル活動を継続している企業は、決して少なくありません。柔軟なテーマ設定や運営方法の改善を通じて、本来の目的を再評価する動きも見られます。時代に合わせて形を変えながらも、依然として有効な手法としての側面を持っているのです。
QCサークル活動のメリット・デメリット

以下に、主なメリットとデメリットを解説します。
QCサークル活動のメリット
人材育成の面では、活動を通じて従業員の問題解決能力やコミュニケーション能力が向上するとともに、業務上のノウハウや技術の継承が行われやすくなります。接点の少ない部署間での意見交換が活発になれば、組織全体の連携が強化され、幅広い視点からの改善提案が生まれるでしょう。
さらに「現場を自分たちで良くしていく」という充実感や達成感は、従業員のモチベーション向上につながります。少人数で協力しながら目標達成を目指す中で、チームの団結力が高まり、部署の垣根を越えて職場全体のコミュニケーション活性化にも寄与します。
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QCサークル活動のデメリット
活動の形骸化も懸念されます。定期的な発表の機会に追われ、現場改善の成果よりも書類作りや発表そのものに注力してしまえば本末転倒です。QCサークル活動本来の目的を見失い、期待した効果を得られなくなります。
また難易度の高いテーマに取り組み、十分な成果や手応えを得られなかった場合、従業員のモチベーションやエンゲージメント低下を招くおそれもあります。現場の改善につながり、かつメンバー全員が意欲的に取り組めるテーマを選ぶことは難しいのです。
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QCサークル活動の進め方

1.サークルメンバーの決定
2.テーマ選定
3.現状把握と目標設定
4.要因分析
5.対策の検討と実行
6.効果測定と共有
以下に、各ステップにおけるポイントを解説します。
1.サークルメンバーの決定
メンバーを選ぶ際のポイントは、以下のとおりです。
- 日常的に同じ業務を担当している人
- 勤務形態が共通している人
- QCサークル活動の知識や経験がある人(可能であれば)
2.テーマ選定
- 緊急度
- 問題の発生頻度
- 改善効果の大きさ(コスト削減や品質向上の度合いなど)
3.現状把握と目標設定
たとえば、以下のような例が考えられます。
【例1】 テーマ:工場の生産ラインにおける不良品率の削減 現状把握:不良品の発生状況を記録し、問題のある製造工程と不良の種類を特定する 改善目標:不良品率を6ヶ月以内に5%から3%へ削減する |
【例2】 テーマ:サービス業における顧客クレームの減少 現状把握:過去の顧客クレームを整理して、主な問題点とその頻度を分析する 改善目標:顧客クレーム件数を3ヶ月以内に20%削減する |
【例3】 テーマ:オフィスにおける書類処理時間の短縮 現状把握:書類処理にかかる平均時間を測定し、非効率な作業を特定する 改善目標:書類処理時間を2ヶ月以内に15%短縮する |
4.要因分析
特性要因図とは、原因と結果の関係を図的に表現する方法です。具体的には「4M」と呼ばれるMan(作業者)・Machine(機械・設備)・Material(原材料)・Method(方法)の切り口から、問題に対して考えられる要因を書き加えていきます。
また、5W1H(いつ・どこで・誰が・何が・なぜ・どのように)の視点で情報を整理し、「なぜ?」を繰り返すことで問題の本質を深掘りすることも効果的です。メンバー全員が積極的に意見を出し合い、多角的な視点から分析することを心がけましょう。
5.対策の検討と実行
- 実現可能性
- 効果
- コスト
6.効果測定と共有
- 不良品率を6ヶ月以内に5%から3%へ削減できたか
- 顧客クレーム件数を3ヶ月以内に20%削減できたか
- 書類処理時間を2ヶ月以内に15%短縮できたか
目標を達成できた場合は、発表会などを通じて、取り組みのプロセスと結果を詳細に説明します。成功事例は他部署でも応用できるよう、具体的な方法とともに共有しましょう。
そのうえで、手順やチェック項目をマニュアル化して日常業務へ組み込み、標準化して定着させます。必要に応じて社外にも積極的に発表し、取り組みの価値を広めていきます。
QCサークル活動を活性化させるポイント

1. 活動時間の確保と配慮
2. 自主性の尊重
3. 適切なテーマ(ネタ)設定
活動時間の確保と配慮
できるだけ業務時間内での活動を基本とし、時間外の自主的活動や業務外の負担を従業員に強いないようにすることが大切です。日常業務に追われる中でさらなる負担が増えれば、残業を助長し、メンバーのモチベーション低下につながりかねません。
自主性の尊重
活動をノルマや強制にせず、自発的に取り組める環境づくりを心がけましょう。現場の自主性を育むため、管理職や経営層は活動への理解を示しながらも、基本的にはメンバー主導で進めることが重要です。一方で、活動が停滞しないよう、必要に応じて適切なサポートと助言を提供することも求められます。
適切なテーマ(ネタ)設定
また、全員の意見を取り入れながら合意形成を図ることで、一人ひとりが当事者意識を持って取り組めるようになります。テーマの難易度についても、チームの経験や能力に合わせて適切に設定しましょう。
QCサークル活動について学べる書籍3選

『新版 QCサークル活動運営の基本』
QCサークル本部 編集(1997)『新版 QCサークル活動運営の基本』
『QCサークルのためのすぐに使える研修ゲーム』
QCサークル東海支部 監修, 平井 勝利 編集, 鬼頭 靖 編集/著(2022)『QCサークルのためのすぐに使える研修ゲーム』
『QCサークルのためのQCストーリー入門 改訂版』
特に発表資料はPowerPointベースに置き換えられ、事例も最新のものに差し替えられるなど、現代のニーズに応える実践的な内容となっています。
杉浦 忠 著, 山田 佳明 著(2023)『QCサークルのための QCストーリー入門 改訂版』
QCサークル活動を自社の生産性向上につなげよう

QCサークル活動は日本のモノづくりを支えてきた取り組みですが、かつてのブームは過ぎ去り、活動を中止した企業も多いため「時代遅れ」と見なされることもあります。しかし、現場主体の改善アプローチは、時代が変わっても本質的な価値を持ち続ける活動です。
社内にQCサークル活動を導入したい、もしくは現在の活動を活性化させたいと考えている場合は、本記事の内容を参考に、自社に適した形で取り入れてみてください。現場の声を大切にし、より良い組織文化の形成と生産性向上に活かしていきましょう。
なお、採用支援サービス「ミイダス」では、現場改善や品質向上に熱心に取り組む人材の採用もサポートしています。QCサークル活動のような現場発の改善活動を推進できる人材は、どの企業にとっても貴重な存在です。
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