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アクティブリスニング(積極的傾聴)とは?すぐ実践できるやり方も紹介

マネジメント層に必要なスキルとして「アクティブリスニング」が注目されています。

アクティブリスニングは積極的傾聴とも言われるコミュニケーションスキルの1つです。“話を聴く”という行動を通して、話し手自らが問題解決できるよう支援します。

本記事では、アクティブリスニングの基本知識、ビジネスシーンでアクティブリスニングを導入するメリット・デメリット、実践方法について解説します。アクティブリスニングをうまく活用すれば、社内で良好な人間関係を築いたり採用面接で応募者の本音を引き出したりするのに役立ちますので、ぜひお読みください。

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アクティブリスニングとは?

アクティブリスニングを実践しているビジネスパーソンのイメージ
アクティブリスニング(Active listening、積極的傾聴)とは、アメリカの心理学者カール・ロジャーズが1957年に提唱したカウンセリング技法です。もとは心理学の用語でしたが、その有効性からビジネスシーンでも用いられるようになりました。

受容と共感の姿勢で相手の話に耳を傾け、話し手自らが会話を通して問題の原因や解決への糸口を見つけられるよう支援することがアクティブリスニングの特徴です。

アクティブリスニングはコーチングでも必要とされるスキルであり、管理職が部下たちをマネジメントするうえで重要な「傾聴力」とほぼ同義と考えて良いでしょう。マネジメントやコーチングについては以下の記事をご覧ください。

【関連記事:マネジメントとは?意味や業務内容、求められるスキル、向いている人の特徴を紹介
【関連記事:コーチングとは?意味やメリット・デメリット、導入方法を簡単に解説

参考:厚生労働省|こころの耳「傾聴とは

アクティブリスニングの活用例

メンタルヘルスの現場で生まれたアクティブリスニングですが、いまではマネジメントのほかにも以下のような場所でも活用されています。
  • ファストフード店の接客スタッフの研修
  • 英会話教室などの講師の研修
  • 子育てや教育現場
  • 採用面接
アクティブリスニングは相手(話し手)と信頼関係を構築し、要望や課題を引き出すことに長けたスキルであるため、接客業やサービス業と相性が良いと言えます。また採用面接においても、限られた面接時間内で本音を引き出す情報収集スキルとして重要視されています。

面接官に求められるスキルについては以下の記事でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

【関連記事:面接官トレーニングのメリットと強化したいスキルは?具体的な方法も紹介

アクティブリスニングと傾聴の違い

アクティブリスニングとビジネススキルの「傾聴力」はほぼ同じ意味と考えて差し支えありません。ただ、傾聴のなかの「パッシブリスニング(passive listening)」とアクティブリスニングでは、受動的か能動的かという“聴く姿勢”の部分で意味合いが異なります。

たとえば、テレビを見ながら話し手と会話したり、話し手が発言しているときに他のことを考えたりといった聴き方はパッシブリスニングにあたります。一方、相手の話を聴きながら深く共感を示したり、話し手の発言を要約できたりするレベルで理解できる聴き方はアクティブリスニングです。

アクティブリスニングには、話し手を理解しようとする姿勢が求められるのです。

アクティブリスニングの3原則

3つ重なったキューブ
アクティブリスニングの提唱者であるカール・ロジャーズは、アクティブリスニングにおける原則として以下の3つをあげています。
  • 共感的理解
  • 無条件の肯定的関心
  • 自己一致
アクティブリスニングを実践するうえで、聞き手はこの3原則を守る必要があります。

共感的理解

共感的理解とは、話し手の見聞きした内容や、そのときに抱いた感情に共感しながら理解を示すことを意味します。

ここで大切なのが「つらかったね」「それはたいへんだったね」と機械的に返答することではなく、話し手が直面している問題を共有しようとする姿勢です。話し手が「この人は私の気持ちをわかってくれる」と実感できなければ、信頼関係は構築できません。

無条件の肯定的関心

無条件の肯定的関心とは、話し手の意見や行動を、前提や善悪、好き嫌いといった条件を付けずに受容することを意味します。相手の話を否定しない姿勢とも言い換えられるでしょう。

たとえ話し手の意見が自分の常識から外れていても、聞き手はまず「どのような背景からそう考えるのだろう」と関心を示す必要があります。自分を否定されないという前提が成立し、心理的安全性が高まってこそ、話し手は正直に自己開示できるのです。

【関連記事:心理的安全性とは?意味や組織へのメリット・高め方を解説【人事必見】】

自己一致

自己一致とは、話し手に対してだけでなく、自分に対しても真摯な態度で聴くことを意味します。簡単に言うと、話を聞いていて理解できないところは素直に聞き返す姿勢です。

相手の意見や感情が理解できていない状態で「わかります」「私もそう思います」と相づちを打つのは自己一致とは言えません。「〜の部分がわかりません。もう一度教えてください」と真摯に質問し、聞き手側が等身大の自分を見せることで、話し手も本音を打ち明けやすくなります。

ビジネスにおけるアクティブリスニングのメリット・デメリット

アクティブリスニングは有効なコミュニケーションスキルですが、メリットばかりではありません。ビジネスシーンにおけるアクティブリスニングのメリットとデメリットを整理してみましょう。

アクティブリスニングのメリット

ビジネスシーンにおけるアクティブリスニングのメリットは、以下の3つがあげられます。
  • 良好な人間関係が構築できる
  • 対立を解決するきっかけになる
  • 話し手の問題解決能力が向上する
アクティブリスニングは、相手の感情や意見に積極的に耳を傾け、理解しようと努めることと同義です。誠実に話を聞こうとする姿勢を示されて、悪感情を抱く人は少ないでしょう。信頼関係の構築や相互理解の促進においてアクティブリスニングは非常に効果的です。

また、話し手自身が話しをしながら思考を深められるため、部下の育成においてもメリットがあります。

アクティブリスニングのデメリット

アクティブリスニングのデメリットは、おもに聞き手側へ発生します。
  • 聞き手の精神的負担が大きい
  • 高い傾聴スキルが求められるため、習得に時間がかかる
アクティブリスニングでは、聞き手による解決策の提示や反論・否定は推奨されていません。聞き手が自身の経験から解決策を教えたくなったり、相手の主張に口を挟みたくなったりしても、その欲求をコントロールする必要があるのです。

また話し手に共感しすぎると、聞き手の感情のバランスも崩れてしまいます。しかし、距離感を保ったまま共感や関心をもって聞き手を理解しようと努める聴き方は、言うほど簡単ではありません。アクティブリスニングで強いストレスを感じる聞き手も少なくないでしょう。

すぐ実践できるアクティブリスニングのやり方

会話する2人のビジネスパーソン
明日から使えるアクティブリスニングの実践方法について解説します。

バーバルコミュニケーション(​​言語コミュニケーション)とノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)の2つにわけてやり方を紹介しますので、取り入れやすいものからお試しください。

1. バーバルコミュニケーション

バーバルコミュニケーションとは、会話や文字といった言語を使ったコミュニケーション方法のことを指します。アクティブリスニングで活用されるバーバルコミュニケーションはおもに以下の4つです。
  • パラフレーズ(オウム返し)
  • オープン・クエスチョン
  • 言い換えと要約
  • 相づち

(1)パラフレーズ(オウム返し)

パラフレーズは、相手の発言をオウムのように繰り返すコミュニケーションテクニックです。「ちゃんと話を聞いてくれる」という安心感を話し手に与える効果があります。
(例1)
話し手「当初のスケジュールより早く進捗して、安心しました」
聞き手「余裕ができると安心しますよね」

(例2)
話し手「急にメールで呼び出されて、Aさんと打合せすることになったんです」
聞き手「Aさんから急に打合せを要求されたんですね」
ビジネスシーンで相手の発言をそのままリピートすると不快に感じさせる恐れがあるため、例のように言い換えを適度に使いましょう。

(2)オープン・クエスチョン

オープン・クエスチョンとは「イエス」「ノー」では簡単に答えられない質問を指します。相手の話を広げたいときに有効な方法です。
(例1)
話し手「会議でBさんと意見がぶつかってしまって……」
聞き手「そうだったんですね。その会議の議題は何だったのですか?」

(例2)
話し手「プロジェクトを進めるなかでスキル不足を感じています」
聞き手「どの辺に力不足を感じていますか?」
5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どうやって)を意識すると、自然な形でオープン・クエスチョンを作れます。ただ、あまり質問ばかりになると話し手に圧迫感を与えてしまうため、タイミングや回数には配慮しましょう。

(3)言い換えと要約

話し手の話す内容を別の言い方に直したり、簡単にまとめたりして論点をわかりやすくするのもバーバルコミュニケーションの1つです。会話がテーマからズレたり、発散したりしたときに軌道修正できます。
(例)
話し手「C課長から強く叱責されてショックでした。でもプロジェクトに入ってみると、事前に聞いていた話と状況が違っていたんです。その点をC課長は理解してくれません」
聞き手「プロジェクトの難易度について、C課長と現場で見解が大きくズレているのですね。実際はどのような状況だったのですか?」
アクティブリスニングをする目的やテーマに合わせて、要約や言い換えの方向性を調整しましょう。

(4)相づち

話し手が話しているときに「そうなんですね」などの反応を言葉にしたり、頷いたりする相づちも重要なバーバルコミュニケーションです。しっかり聴いていることを態度で示すと、相手が話しやすい雰囲気を作れます。
(例)
話し手「昨日は夜の11時に帰宅しました」
聞き手「わぁ、遅い!残業していたんですか?」
話し手「いえ、部署の飲み会だったんです。Dさんたちと二次会にも行って…」
聞き手「うんうん」
話し手「Dさんのおすすめのバーにいきました」
聞き手「へぇ、どんなお酒が好きなんですか?」
あまりひとつの相づちばかり使うと会話が単調になります。「それで」「すごい」「なるほど」「わかります」など相づちにバリエーションを持たせましょう。

2. ノンバーバルコミュニケーション

ノンバーバルコミュニケーションとは、視線やジェスチャーといった非言語のコミュニケーション方法です。とくにアクティブリスニングでは以下を意識すると良いでしょう。
  • 話を聴く姿勢に配慮する
  • 目線をあわせる
  • 表情を相手にあわせる
  • ミラーリングを心がける

(1)話を聴く姿勢に配慮する

背筋を伸ばし、体全体を話し手のほうへ向けて「あなたの話に興味があります」と姿勢で示しましょう。また座る位置は、正面ではなく、斜め前か横に座るとより話しやすい雰囲気が作れます。

ただし、このときに腕や足を組むと話し手に威圧感を与えてしまいます。癖になっている人は、意識して避けるようにしましょう。

(2)目線をあわせる

話し手と適度に目を合わせると「あなたの話に関心を持っています」と言外に伝えられます。

とはいえ、ずっと視線があっているのも話しづらいものです。視線を合わせる目安は3秒くらいをおすすめします。

また聞き手が上から見下ろす位置関係になると、相手に威圧感を与えてしまいます。話す際は着席するか、立ったまま話す必要がある場合は階段などの段差を利用すると良いでしょう。

(3)表情を相手にあわせる

話を聞く際の表情は、相手に近い表情を心がけます。

楽しそうに話している場合は笑顔で、悩みについて話している場合は真剣な顔をすると、話し手に共感していることを表現できます。

(4)ミラーリングを心がける

ミラーリングとは、相手と同じ行動を鏡のように真似することです。人間は自分と似た行動をする相手に好意を抱きやすいとされています。相手との心理的な距離を近づけたいときに効果的なコミュニケーション方法です。

具体的には、相手がコーヒーを飲んだら自分もカップを持ったり、相手の声のトーンに合わせて自分の声音も調整したりします。ただ、あまりやりすぎるとふざけているように見えるため、適度に取り入れましょう。

アクティブリスニングのトレーニング方法

アクティブリスニングのスキルを高める方法を3つ紹介します。

1.仕事のなかでアクティブリスニングを実践する
2.書籍を読む
3.研修に参加する

仕事のなかでアクティブリスニングを実践する

アクティブリスニングはコミュニケーションスキルであり、別項のやり方を仕事のなかで実践するだけでもトレーニングになります。

マネジメント層であれば、部下と接する際に「部下の話の途中で割り込まない」「偏見や先入観を排除して話を聞いてみる」「話がわかりにくくても投げ出さずに質問する」といった3原則の基本を実践するところから始めると良いでしょう。

書籍を読む

アクティブリスニングに関する書籍も複数刊行されています。たとえば次の2つは、アクティブリスニングの基本からビジネスにおける実践方法までまとめて解説されており、アクティブリスニングの知識を深めたい方におすすめです。

研修に参加する

アクティブリスニング研修を開催している企業もあります。

スキル不足の人がアクティブリスニングに挑戦すると、質問攻めや自分語りで話し手を疲弊させる恐れもある。研修であればロールプレイで他の参加者と練習できるため、実践で失敗する可能性を抑えられるでしょう。

アクティブリスニングでマネジメント力を向上させよう

話をする部下と話を聴く上司
アクティブリスニングは、積極的に相手の話を聴くことで良好な人間関係を構築し、良い結果へつなげようとするコミュニケーション方法の1つです。

アクティブリスニングは組織における信頼関係の構築や人材育成のシーンでとくに効果を発揮します。アクティブリスニングを取り入れることで、組織のマネジメント力向上につながるでしょう。

なお人材育成については、ミイダスが提供する「活躍ラーニング」の併用もおすすめです。活躍ラーニングは、従業員一人ひとりの特徴に合った講座を選択できる、無料のオンライン講座サービスです。

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