とはいえ、組織力を強化するにはどのような取り組みを行うべきか悩む方も多いのではないでしょうか。本記事では、組織力が高い・弱い企業の特徴や強化する方法について詳しく解説します。
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組織力とは
優秀な人材が集まっていても、それぞれの方向性がバラバラでは、会社のビジョンを実現できません。従業員全員が同じベクトルで業務に取り組んでこそ、組織力が発揮され、会社の成長へとつながるのです。
組織力の強化が必要とされる背景
以下の頭文字を取って、VUCAと呼んでいます。
- V:Volatility(変動性)
- U:Uncertainty(不確実性)
- C:Complexity(複雑性)
- A:Ambiguity(曖昧性)
- IT技術やSNSの急速な進展
- コロナ禍のリモートワーク増加
- グローバル化に伴うビジネスの複雑化
- 働き方改革の影響による労働時間削減
- 終身雇用制の崩壊 など
VUCAについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事:VUCAとは?求められる能力や生き抜くための組織づくりのポイントを紹介】
組織力が高い企業の特徴

- 企業のビジョンが浸透している
- 心理的安全性が高くコミュニケーションが活発である
- 業務の責任や権限を与えている
- 多様性を受容している
- 公平な評価制度が導入されている
- 人材育成制度が整備されている
企業のビジョンが浸透している
質の高いサービスを実現できる要因は、徹底した新人研修。新人には約80時間もの時間を研修に費やしているそうです。接客やコーヒーに関する知識はもちろん、スタッフとしての使命や価値観の浸透に多くの時間を割いています。
組織力の高い企業では、現場の従業員が理念を体現できている傾向が高いと言えるでしょう。
【関連記事:経営理念とは?意味や重要性、作り方、有名企業の事例を紹介】
心理的安全性が高くコミュニケーションが活発である
建設的な議論は誰もが忌憚なく自由に発言できてこそ実現するものです。そのため、組織の進展には心理的安全性の高さは欠かせない要素と言えるでしょう。
組織力の高い企業では、心理的安全性を確保するために、相互理解を深める取り組みを積極的に行っています。たとえば、1on1ミーティングにより、上司と部下の信頼関係を構築したり、定期的な飲み会や食事会によって、仕事では見られない一面を互いに見せ合ったりして、相互の距離感を縮める工夫を施しています。
【関連記事:心理的安全性とは?意味や組織へのメリット・高め方を解説【人事必見】】
【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法】
業務の責任や権限を与えている
従業員に責任と権限を与えることは、従業員のモチベーション向上につながります。なぜなら、責任と権限を持つことで、自分の仕事が組織に貢献していると実感できるからです。
また責任ある仕事を任されることで、従業員は自身の成長を実感し、さらなるスキルアップを目指そうとします。責任と権限の付与は、組織構造にも良い影響を与えます。
従来の階層的な組織構造では、意思決定に時間がかかり、変化への対応が遅れる可能性がありました。しかし従業員に権限を委譲することで、現場レベルでの迅速な意思決定が可能になり、組織全体の柔軟性が高まります。
このように責任と権限の付与は従業員と組織双方にとってメリットがあり、組織力の強化に不可欠な要素と言えるでしょう。
【関連記事:エンパワーメントとは?意味や注意点について紹介】
多様性を受容している
性別、年齢、国籍、人種、宗教、性的指向、障がいの有無、学歴、職歴など、あらゆる面での多様性を尊重し、個々の能力を最大限に発揮できる環境を整備することで、組織全体の活性化を図っています。
具体的な取り組みとしては、たとえば以下のようなものが挙げられるでしょう。
- ダイバーシティ研修の実施
- 社内ネットワークの構築
- 柔軟な働き方の導入
- 多様な人材の採用 など
公平な評価制度が導入されている
評価制度が不透明であったり、恣意的な評価が行われていたりすると従業員は不満を抱き、モチベーションが低下してしまいます。また不公平な評価は、優秀な人材の流出にもつながる可能性も高いです。
公平な評価制度を構築するためには、評価基準を明確化し、評価プロセスを透明化する必要があります。たとえば目標管理制度を導入し、従業員が各自の目標を設定し、その達成度に応じて評価を行う方法があります。
評価基準を数値化し、客観的な指標に基づいて評価を行うことも重要です。ほかにも多面評価や360度評価など、さまざまな評価手法を組み合わせることで、より多角的な視点から従業員を評価できます。
【関連記事:360度評価は意味がない?メリット・デメリット、導入方法を解説】
人材育成制度が充実している
具体的には、企業内大学制度・メンター制度・自己啓発支援など、自社に即した育成制度を充実させています。
最終的に企業の成長は人にかかっています。あらゆる変化に対応するには、人材育成を強化し、個々人の力、従業員のやる気を引き出す試みが必要です。
また、透明性と客観性のある人事評価体制が整備されていることも、組織力を強化するうえで重要です。「成果を出しているのになぜか評価されない」と、評価の理由が見えないようでは、従業員は会社に不信感を募らせてしまいます。
そのため、従業員の納得感を得られる評価制度をしっかり備えることも大切です。
組織力が強い企業は従業員個人個人に目を向けるがゆえ、評価制度の透明性を上げる努力もしているのです。
【関連記事:【事例あり】中小企業の人事評価制度とは?導入率や作り方、人事課題などを紹介】
【関連記事:メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説】
組織力が弱い企業の特徴

- 従業員間の交流が少ない
- 助け合いの精神がない
- 人材育成の風土がない
- 上司の指示なしでは動けない
- 管理職の力量がない
従業員間の交流が少ない
問題発生時の迅速な対応も難しく、組織全体への悪影響も懸念されます。交流を深めるためには、社内イベントの開催、部署間交流制度の導入、気軽に利用できるコミュニケーションツールの導入などが有効です。
助け合いの精神がない
これは、自分の仕事に集中したい、他人の仕事に煩わされたくない、責任を負いたくないといった個人的な理由から生まれることもありますが、評価制度や企業文化も大きく影響します。たとえば個人プレーを重視する評価制度や、失敗を許容しない企業風土では、社員はリスクを避けるようになり、結果として他人を助けることを躊躇するようになるでしょう。
助け合いの精神の欠如は、さまざまな問題を引き起こします。新しい従業員は誰にも質問できず孤立してしまうかもしれません。
また一人で抱え込みがちな従業員は過剰な負担から疲弊し、離職につながる可能性も高まります。さらに、部署間の連携が不足し、組織全体の生産性低下にもつながるでしょう。
人材育成の風土がない
人材育成の風土がない企業の特徴として、以下が挙げられます。
- 研修制度が不整備
- 教育機会の不足
- 人事評価制度の不備
- 育成意識の欠如
上司の指示なしでは動けない
上司の指示を待つ背景には、以下のような要因が考えられます。
- 失敗を責められることを恐れ、新しいことに挑戦しない
- 誰が責任を持つべきか不明確なため、指示を待つ
- 主体性を評価する制度がないため、指示待ちで仕事をする
指示待ち人間が多い企業は、変化への対応が遅く、競争に勝ち残ることが難しくなります。社員一人ひとりが自ら考え行動する主体性を持ち、組織全体を活性化していくことが重要です。
管理職の力量がない
管理職の力量不足が具体的にどのような問題を引き起こすのか、以下にまとめました。
- 部下に適切な指示が出せず、混乱や非効率を生む
- 公平な評価基準がなく、恣意的な評価を行う
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組織力を強化する方法

- 企業のビジョンを従業員に浸透させる
- コミュニケーションが取りやすい環境を整える
- 上司が部下に歩み寄る努力をする
- 現状の課題を可視化してチーム全体で共有する
- 失敗を許す風土を作る
企業のビジョンを従業員に浸透させる
従業員に企業のビジョンを浸透させるには、具体的に以下の方法が挙げられます。
- 理念の意図や意味合いを定期的に会社から発信する
- 経営陣から従業員にビジョンを直接伝える機会を設ける
- 社内制度を理念に合わせて整える
- 経営陣・管理職が手本となり行動する
- 理念を従業員の行動規範に落とし込む など
コミュニケーションが取りやすい環境を整える
従業員同士が交流できるイベントを企画したり、疑問や不安を相談できる仕組みを作ったりするなどの工夫が効果的です。
たとえば、従業員間の交流イベントとして、以下のようなイベントを開催し、コミュニケーションの活性化を図る企業も見られます。
- スポーツ大会
- レクリエーション
- 地域イベント参加
- オンライン懇親会 など
- 定期面談
- 社内匿名アンケート
- メンター制度 など
コミュニケーション活性化に関する内容は以下の記事でも解説しています。あわせてお読みください。
【関連記事:メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説】
【関連記事:働く人の価値観は変化している?活躍人材の特徴や採用方法を紹介】
上司が部下に歩み寄る努力をする
上司と部下のコミュニケーションを円滑にするために、おすすめするのは「名前を添えた挨拶」です。「Aさん、おはよう!」と上司から部下に挨拶をしてみましょう。部下からの挨拶を待つのではなく、上司から部下に名前を添えて挨拶をする点がポイントです。
ほかでもない自分に話しかけてくれたと感じられると、チームの一因として自分の存在を再認識でき、安心感を与えられる可能性が高まります。事実、名前付きの声がけによって、部下から相談される機会が増えたという声は少なくないようです。
シンプルですが、従業員の心理的安全性を高める効果的な方法と言えます。
現状の課題を可視化してチーム全体で共有する
現状の課題を洗い出すには、組織サーベイの定期的な実施が効果的です。組織サーベイとは企業が従業員に実施するアンケート調査のこと。従業員の自社に対する満足度や不満点、周囲の人間関係などをアンケート調査し、組織の現状を分析します。
調査結果は経営陣だけでなく、全従業員に公開することをおすすめします。組織の良い部分だけでなく悪い部分も公開することによって、従業員に当事者意識が芽生え、現場の従業員から改善提案が生まれる期待を持てるからです。
失敗を許す風土を作る
米Amazon社CEOのジェフ・ベゾスは、失敗を恐れないことを以下のように従業員に強く訴えています。
「絶対に成功させるぞ」といった気概で挑戦する事が大切です。最大限の努力をもってしても、また失敗しても、それを責めない。そんな企業風土が組織の成長には欠かせません。
組織力強化の成功事例3選

ヤフー株式会社
また全ての上長に週1回30分間、部下と1対1でミーティングすることを義務づけました。
「1on1」によって、部下と関わる機会を強制的につくり、苦手な部下でも上手にマネジメントするスキルを身につけてもらう狙いで実施されています。
部下の育成を推進すると同時に管理職を育てる仕組みとして活用されています。
日立ソリューションズ
役職や部署が違う従業員を集め、相互のコミュニケーションを活性化させるというもの。役職が異なる者同士では、視点が違うため多くの学びが得られます。会社の考え方を伝えるうえでも有効的な施策として実施されているようです。
会社の食堂に居酒屋業者を出張させ、費用は1人あたり3,000円まで会社が負担する力の入れようで、この点でも日立ソリューションズがいかにコミュニケーションを大切にしているかが伺えます。
低下した従業員満足度を向上させるための取り組みとして、制度化されました。
株式会社オリエンタルランド
東京ディズニーリゾートの入園者数は毎年年間3,000万人を超え「最強のサービス業」として多くの来場者の心をつかんでいます。
組織力を強化するには積極的なコミュニケーションが必要不可欠
- 企業のビジョンを従業員に浸透させる
- コミュニケーションが取りやすい環境を整える
- 上司が部下に歩み寄る努力をする
- 現状の課題を可視化してチーム全体で共有する
- 失敗を許す風土を作る
適材適所の人事で組織力をより強固に

とはいえ、従業員の能力や特徴を的確に把握して、人員を配置するのは非常に難しい作業です。大きな組織ともなれば、人事が従業員一人ひとりの特性を把握するのは困難と言えます。
アセスメントリクルーティングサービスの「ミイダス」では、従業員の行動特性や思考傾向を分析するツールを提供しています。「コンピテンシー診断」では41項目のコンピテンシーに基づき、従業員の行動特性を数値化し、データとしてまとめてくれます。
従業員の適性やストレス要因、どのような上司や部下と相性がいいのか?など、その人の思考性が把握できるので、適材適所の実現に最適なツールです。
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