1年単位で給与総額を更改する年俸制は、外資系企業などでよく見られる給与形態です。
日本企業でも年俸制を導入する例はありますが、月給制に慣れている人からすると「年俸制では残業代も含まれるのか?」「賞与は別なのか?」と疑問に感じる部分も多いでしょう。
そこで本記事では、年俸制について月給制と比較しながらわかりやすく解説します。年俸制のメリットとデメリットも紹介しますので、年俸制の企業への転職を考えている方や年俸制の導入を検討されている企業担当者の方はぜひご一読ください。
また、ミイダスでは採用市場に「ほしい人材」は何人いるか、提示年収が適性かなどを調べられるデータベース検索を無料でご利用いただけます。詳しくは以下の資料をご覧ください。
日本企業でも年俸制を導入する例はありますが、月給制に慣れている人からすると「年俸制では残業代も含まれるのか?」「賞与は別なのか?」と疑問に感じる部分も多いでしょう。
そこで本記事では、年俸制について月給制と比較しながらわかりやすく解説します。年俸制のメリットとデメリットも紹介しますので、年俸制の企業への転職を考えている方や年俸制の導入を検討されている企業担当者の方はぜひご一読ください。
また、ミイダスでは採用市場に「ほしい人材」は何人いるか、提示年収が適性かなどを調べられるデータベース検索を無料でご利用いただけます。詳しくは以下の資料をご覧ください。
▼この記事でわかること
年俸制とは年俸制とは、年単位の給与総額があらかじめ決まっている給与形態のことです。外資系企業やIT企業、ベンチャー企業などでよく導入されています。
能力や業績に基づいて従業員を評価する成果主義を強める狙いで年俸制を導入する企業が多く、年俸制を採用している企業ではハイパフォーマーほど高い報酬を得られる傾向があります。
勤続年数や年齢に応じて賃金が上がっていく年功序列とは、性質が大きく異なる給与形態と言えるでしょう。
【関連記事:年功序列とは?意味や制度のメリット・廃止する際のポイントを解説】
年俸制と月給制の違い年俸制が年単位で給与総額を定めるのに対し、月給制は1か月単位で基本給を定め、そこに各種手当を上乗せした金額を給与として支払う給与形態です。
年俸制と月給制の違いについて、以下のポイントにわけて解説します。- 給与の決め方について
- ボーナス(賞与)について
- 残業代について
- 手取りについて
給与の決め方について
年俸制も月給制も給与の決め方は企業によって異なりますが、おおよそ以下の傾向が見られます。- 年俸制:前年度の成果や業績、個人の能力を基準に、企業と従業員が話し合って決定する
- 月給制:基本給は勤続年数などを基に機械的に算出し、個人の成果や能力は賞与で反映する
上記の違いがあるため、若手のうちから高収入を得たい人材は年俸制を好む傾向があるようです。
なお、労働基準法第24条により賃金の支払いは毎月1回以上と定められています。したがって、年俸制といっても1度に全額が支払われるわけではなく、給与総額を12〜16等分した金額が毎月支払われます。
賞与(ボーナス)について
年俸制での賞与(ボーナス)は、給与総額に賞与相当分を含む場合と、給与総額とは別に支払う場合の2パターンがあります。月給制・年俸制にかかわらず賞与の有無や金額は企業が任意で決定できますが、賞与相当分を含んだ年俸制で合意している場合、あらかじめ定めた金額からの変更はできません。
また、年俸の賞与相当分については、12等分して毎月の支給額に組み込んで支払う方法と、賞与相当分を2〜3回にわけて別途支給する方法があります。
賞与の扱いは企業により異なるため、転職を検討している方はあらかじめ確認しておきましょう。賞与については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】
残業代について
年俸制においても、所定労働時間を超える労働や休日・深夜労働については残業代が発生します。残業代の計算方法は月給制と同様です。残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間数 × 割増率
「年俸制は残業代がつかない」と認識している企業担当者は少なくありませんが、給与形態により残業代の有無が決定するわけではありません。年俸制で残業代が出ない可能性があるのは以下に該当する場合です。- みなし残業代をあらかじめ年俸に組み込んでいる場合
- 管理職として採用している場合
- 雇用契約から業務委託契約へ切り替えた場合
月給制でも上記に該当すると残業代が発生しない可能性があります。たとえば年俸や月給に固定残業代が含まれる場合、規定の残業時間を超過するまで残業代は発生しません。
みなし残業代や裁量労働制については以下の記事をご覧ください。
【関連記事:みなし残業代(固定残業代)とは?定義や計算方法、注意点まとめ】
【関連記事:裁量労働制とは?生産性向上のカギを握る柔軟な働き方と運用の注意点】
手取りについて
所得税や社会保険料は給与総額に対してかかるため、年俸制と月給制で手取りに大きな違いはありません。ただし、年俸に退職金が含まれている場合は、その扱いによって手取りに影響がでる可能性があります。
また、年俸制のうち、年俸を12分割して支払う「均等割」と、賞与相当分を年2回ほどにわけて支払う「ボーナス払い」では税と社会保険料の上限額に違いが発生します。これによって手取り額に違いが出る可能性もあるでしょう。
年俸制はやばい?3つのデメリット年俸制で調べると「やめとけ」「やばい」といった声が見受けられます。年俸制のデメリットを見てみましょう。- 給与が下がる可能性がある
- 次の年俸更改まで成果が反映されない
- (企業は)経営悪化時のリスクが上がる
給与が下がる可能性がある
日本企業が多く取り入れている月給制では、成果や能力評価はおもに賞与に反映され、基本給は定期昇給で上がっていくのが一般的です。手当の縮小や残業時間の減少などはあり得ますが、毎月の給与が翌年から急に下がるような状況は考え難いでしょう。
一方、年俸制は成果が給与総額に反映されるため、前年の成績が悪いと翌年の年俸が下がる可能性があります。給与総額が減額されれば、もちろん月ごとの支給額も下がります。若手のうちから高い報酬を狙える可能性がある反面、収入の長期的な安定性を欠く状況にストレスを感じる従業員もいるようです。
次の年俸更改まで成果が反映されない
仕事で大きな成果をあげた場合、月給制であれば次の賞与で反映される可能性があります。
一方、年俸制では次の年俸更改まで成果の反映を待たなければなりません(賞与を別に支給される場合を除く)。同様に、前年に成果が出せずに年俸を減額され、そこから努力して成果を出したとしても、年俸が上がるまで時間がかかります。
成果を実感するまでの待機時間が長くなり、モチベーションが下がってしまう従業員もいるでしょう。
(企業は)経営悪化時のリスクが上がる
企業が急な経営悪化に陥った場合、月給制であれば、基本給を維持しつつ残業時間の縮小や賞与の減額などで人件費を比較的柔軟に抑制できます。
しかし、年俸制では次の年俸更改まで従業員の賃金を原則として下げることができません。経営悪化を理由として従業員に減額交渉はできますが、一方的な減額や強要に近い交渉は無効となる可能性が高いでしょう。
また、年俸更改のタイミングで年俸の減額ができると言っても、会社で定めた就業規則や賃金規程の範囲内でしか減給はできません。経営状況に応じた人件費の調整が難しく、経営悪化時のリスクが上がります。
年俸制の3つのメリット年俸制のメリットについても紹介します。- 成果が給与に直結する
- 1年の給与総額が確定している
- (企業は)従業員の意識を変容できる
成果が給与に直結する
年俸制は、個人の成果や能力に報酬が直接紐づいた給与形態です。従来の年功序列型の賃金制度とは異なり、勤続年数に関係なく個人の職務遂行能力を報酬に反映できます。高いスキルや能力を持つ若い人材にとっては、より公平で納得感のある制度と言えるでしょう。
また、年俸制を導入している企業では職務や役割が明確化されている傾向があります。従業員は自身のキャリアパスが描きやすくなり、モチベーションを高められるでしょう。
【関連記事:キャリアパスとは? 意味や種類、設計方法をわかりやすく解説】
1年の給与総額が確定している
1年間の給与総額があらかじめ確定している年俸制では、事前に決めた給与総額を下回ることは基本的にありません。これにより、年俸制で働く従業員は年間の生活の見通しが立てやすくなります。
また企業側にとっても、人件費が事前に確定することで経営計画や予算管理がしやすくなる点はメリットです。
(企業は)従業員の意識を変容できる
個人の能力や成果が年俸に直接反映されるため、従業員は自身の業績や貢献度に対してより強い意識を持つようになります。
定期的な年俸更改は従業員に緊張感を与え、自身の市場価値を考えるきっかけになるでしょう。キャリアアップやスキルアップの促進にもつながります。
年俸制が向いている企業の特徴年俸制にはメリットとデメリットがあり、すべての企業で年俸制がうまく機能するわけではありません。ここで、年俸制が向いている企業の特徴について紹介します。- 成果主義を導入したい企業
- 高いスキルや専門性を求める企業
- 優秀な若手人材を求める企業
成果主義を導入したい企業
従来の年功序列と月給制が好相性であるように、年俸制と成果主義は相性の良い組み合わせです。
必ずしも年俸制を導入している企業が成果主義とは限りませんが、社内メンバー同士が切磋琢磨しあう社風の企業や、成果重視の組織へ転換したい企業は、個人の成果に報いやすい年俸制が向いています。
高いスキルや専門性を求める企業
個人に対して高い専門性やスキルを求める企業は年俸制が向いています。
職種としては、たとえばシステムエンジニアやプログラマー、コンサルタント、プロスポーツ選手、クリエイティブ職などが該当します。これらの職種は個人の裁量範囲が広く、個人の成果が可視化しやすい傾向があり、加えて優秀人材の競争率が高いため、高額な報酬を提示しやすい年俸制がうまく機能するでしょう。
優秀な海外人材や若手を求める企業
海外では日本のような年功序列を取り入れている例が少なく、個人の能力に基づく年俸制が一般的です。日本に展開している外資系企業も年俸制が中心となっています。
したがって、海外の人材を採用したい企業は、国際基準にあわせた報酬体系として年俸制を導入することがあります。
また、年功序列による報酬体系に不満を持つ優秀な若手人材を採用し、適切に評価していきたい企業も年俸制が向いていると言えるでしょう。
年俸制が向かない企業の特徴年俸制が向かない企業の特徴についても紹介します。- じっくり若手を育成したい企業
- チームワークが協調性を重視する企業
- 評価制度が整っていない企業
じっくり若手を育成したい企業
5年10年といった長期で人材育成をしていく必要がある企業は、個人に対して常に成果を求める年俸制は向かない傾向があります。年俸制度は個人の成果に報酬を強く結びつける報酬体系です。よって、新人や後輩を育てるといった業務外の仕事に取り組むインセンティブが働きにくくなります。
とくにOJTやメンターといった職場の先輩社員による社内教育体制を強みとする企業は、長期で安定した給与形態と定期昇給を重視すべきと言えるでしょう。
チームワークが協調性を重視する企業
チームワークや協調性を重視する社風の企業も年俸制とは相性がよくありません。年俸制で従業員が各々の成果の最大化を目指すため、メンバー同士がライバル関係になりやすく、連携や協力体制の構築が難しくなります。
とくにチーム全体で大きな仕事を成し遂げるような職種の場合、サポート業務のような可視化されにくい業務が蔑ろにされ、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすおそれがあります。
評価制度が整っていない企業
年俸制がうまく機能するには、透明かつ公平な評価制度が不可欠です。納得感のある評価制度で従業員の働きぶりを評価し、成果に対してしっかり報酬で報いるというのが年俸制のポイントです。
評価制度が整っていない企業が年俸制を導入すると「定期昇給がある月給制のほうがマシだった」となり、組織が機能しなくなるおそれがあります。
組織の特徴を把握して自社にあった給与形態を選ぼう本記事では年俸制と月給制の違いや年俸制のメリット・デメリット、年俸制が向いている企業と向いていない企業の特徴について解説しました。
年俸制は海外で広く導入されている給与形態であり、個人の成果に報いるという点で日本の月給制とは違ったメリットがあります。しかし、すべての企業にとって最適な給与形態とは言えません。年俸制の導入を検討する際は、自社の企業文化や組織の性質の把握が必須と言えるでしょう。
なお、自社の特徴の分析には、人材アセスメント採用サービス「ミイダス」が提供する「コンピテンシー診断(活躍要因診断)」がおすすめです。
コンピテンシー診断では、ヴァイタリティやチームワークなどパーソナリティの特徴を含む計41項目について従業員の特性を詳しく分析できます。複数人の従業員にコンピテンシー診断を受けてもらい、その傾向を見ることで組織全体の特徴を客観的に把握できます。
コンピテンシー診断は、今なら無料で30名まで受検できます。アカウント登録は1分で完了しますので、ぜひお試しください。
ミイダスで組織の特徴を可視化する
能力や業績に基づいて従業員を評価する成果主義を強める狙いで年俸制を導入する企業が多く、年俸制を採用している企業ではハイパフォーマーほど高い報酬を得られる傾向があります。
勤続年数や年齢に応じて賃金が上がっていく年功序列とは、性質が大きく異なる給与形態と言えるでしょう。
【関連記事:年功序列とは?意味や制度のメリット・廃止する際のポイントを解説】
年俸制が年単位で給与総額を定めるのに対し、月給制は1か月単位で基本給を定め、そこに各種手当を上乗せした金額を給与として支払う給与形態です。
年俸制と月給制の違いについて、以下のポイントにわけて解説します。
年俸制と月給制の違いについて、以下のポイントにわけて解説します。
- 給与の決め方について
- ボーナス(賞与)について
- 残業代について
- 手取りについて
給与の決め方について
年俸制も月給制も給与の決め方は企業によって異なりますが、おおよそ以下の傾向が見られます。
- 年俸制:前年度の成果や業績、個人の能力を基準に、企業と従業員が話し合って決定する
- 月給制:基本給は勤続年数などを基に機械的に算出し、個人の成果や能力は賞与で反映する
上記の違いがあるため、若手のうちから高収入を得たい人材は年俸制を好む傾向があるようです。
なお、労働基準法第24条により賃金の支払いは毎月1回以上と定められています。したがって、年俸制といっても1度に全額が支払われるわけではなく、給与総額を12〜16等分した金額が毎月支払われます。
賞与(ボーナス)について
年俸制での賞与(ボーナス)は、給与総額に賞与相当分を含む場合と、給与総額とは別に支払う場合の2パターンがあります。月給制・年俸制にかかわらず賞与の有無や金額は企業が任意で決定できますが、賞与相当分を含んだ年俸制で合意している場合、あらかじめ定めた金額からの変更はできません。
また、年俸の賞与相当分については、12等分して毎月の支給額に組み込んで支払う方法と、賞与相当分を2〜3回にわけて別途支給する方法があります。
賞与の扱いは企業により異なるため、転職を検討している方はあらかじめ確認しておきましょう。賞与については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】
また、年俸の賞与相当分については、12等分して毎月の支給額に組み込んで支払う方法と、賞与相当分を2〜3回にわけて別途支給する方法があります。
賞与の扱いは企業により異なるため、転職を検討している方はあらかじめ確認しておきましょう。賞与については以下の記事で詳しく解説しています。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】
残業代について
年俸制においても、所定労働時間を超える労働や休日・深夜労働については残業代が発生します。残業代の計算方法は月給制と同様です。
残業代 = 1時間あたりの基礎賃金 × 残業時間数 × 割増率 |
「年俸制は残業代がつかない」と認識している企業担当者は少なくありませんが、給与形態により残業代の有無が決定するわけではありません。年俸制で残業代が出ない可能性があるのは以下に該当する場合です。
- みなし残業代をあらかじめ年俸に組み込んでいる場合
- 管理職として採用している場合
- 雇用契約から業務委託契約へ切り替えた場合
月給制でも上記に該当すると残業代が発生しない可能性があります。たとえば年俸や月給に固定残業代が含まれる場合、規定の残業時間を超過するまで残業代は発生しません。
みなし残業代や裁量労働制については以下の記事をご覧ください。
【関連記事:みなし残業代(固定残業代)とは?定義や計算方法、注意点まとめ】
【関連記事:裁量労働制とは?生産性向上のカギを握る柔軟な働き方と運用の注意点】
みなし残業代や裁量労働制については以下の記事をご覧ください。
【関連記事:みなし残業代(固定残業代)とは?定義や計算方法、注意点まとめ】
【関連記事:裁量労働制とは?生産性向上のカギを握る柔軟な働き方と運用の注意点】
手取りについて
所得税や社会保険料は給与総額に対してかかるため、年俸制と月給制で手取りに大きな違いはありません。ただし、年俸に退職金が含まれている場合は、その扱いによって手取りに影響がでる可能性があります。
また、年俸制のうち、年俸を12分割して支払う「均等割」と、賞与相当分を年2回ほどにわけて支払う「ボーナス払い」では税と社会保険料の上限額に違いが発生します。これによって手取り額に違いが出る可能性もあるでしょう。
また、年俸制のうち、年俸を12分割して支払う「均等割」と、賞与相当分を年2回ほどにわけて支払う「ボーナス払い」では税と社会保険料の上限額に違いが発生します。これによって手取り額に違いが出る可能性もあるでしょう。
年俸制はやばい?3つのデメリット年俸制で調べると「やめとけ」「やばい」といった声が見受けられます。年俸制のデメリットを見てみましょう。- 給与が下がる可能性がある
- 次の年俸更改まで成果が反映されない
- (企業は)経営悪化時のリスクが上がる
給与が下がる可能性がある
日本企業が多く取り入れている月給制では、成果や能力評価はおもに賞与に反映され、基本給は定期昇給で上がっていくのが一般的です。手当の縮小や残業時間の減少などはあり得ますが、毎月の給与が翌年から急に下がるような状況は考え難いでしょう。
一方、年俸制は成果が給与総額に反映されるため、前年の成績が悪いと翌年の年俸が下がる可能性があります。給与総額が減額されれば、もちろん月ごとの支給額も下がります。若手のうちから高い報酬を狙える可能性がある反面、収入の長期的な安定性を欠く状況にストレスを感じる従業員もいるようです。
次の年俸更改まで成果が反映されない
仕事で大きな成果をあげた場合、月給制であれば次の賞与で反映される可能性があります。
一方、年俸制では次の年俸更改まで成果の反映を待たなければなりません(賞与を別に支給される場合を除く)。同様に、前年に成果が出せずに年俸を減額され、そこから努力して成果を出したとしても、年俸が上がるまで時間がかかります。
成果を実感するまでの待機時間が長くなり、モチベーションが下がってしまう従業員もいるでしょう。
(企業は)経営悪化時のリスクが上がる
企業が急な経営悪化に陥った場合、月給制であれば、基本給を維持しつつ残業時間の縮小や賞与の減額などで人件費を比較的柔軟に抑制できます。
しかし、年俸制では次の年俸更改まで従業員の賃金を原則として下げることができません。経営悪化を理由として従業員に減額交渉はできますが、一方的な減額や強要に近い交渉は無効となる可能性が高いでしょう。
また、年俸更改のタイミングで年俸の減額ができると言っても、会社で定めた就業規則や賃金規程の範囲内でしか減給はできません。経営状況に応じた人件費の調整が難しく、経営悪化時のリスクが上がります。
年俸制の3つのメリット年俸制のメリットについても紹介します。- 成果が給与に直結する
- 1年の給与総額が確定している
- (企業は)従業員の意識を変容できる
成果が給与に直結する
年俸制は、個人の成果や能力に報酬が直接紐づいた給与形態です。従来の年功序列型の賃金制度とは異なり、勤続年数に関係なく個人の職務遂行能力を報酬に反映できます。高いスキルや能力を持つ若い人材にとっては、より公平で納得感のある制度と言えるでしょう。
また、年俸制を導入している企業では職務や役割が明確化されている傾向があります。従業員は自身のキャリアパスが描きやすくなり、モチベーションを高められるでしょう。
【関連記事:キャリアパスとは? 意味や種類、設計方法をわかりやすく解説】
1年の給与総額が確定している
1年間の給与総額があらかじめ確定している年俸制では、事前に決めた給与総額を下回ることは基本的にありません。これにより、年俸制で働く従業員は年間の生活の見通しが立てやすくなります。
また企業側にとっても、人件費が事前に確定することで経営計画や予算管理がしやすくなる点はメリットです。
(企業は)従業員の意識を変容できる
個人の能力や成果が年俸に直接反映されるため、従業員は自身の業績や貢献度に対してより強い意識を持つようになります。
定期的な年俸更改は従業員に緊張感を与え、自身の市場価値を考えるきっかけになるでしょう。キャリアアップやスキルアップの促進にもつながります。
年俸制が向いている企業の特徴年俸制にはメリットとデメリットがあり、すべての企業で年俸制がうまく機能するわけではありません。ここで、年俸制が向いている企業の特徴について紹介します。- 成果主義を導入したい企業
- 高いスキルや専門性を求める企業
- 優秀な若手人材を求める企業
成果主義を導入したい企業
従来の年功序列と月給制が好相性であるように、年俸制と成果主義は相性の良い組み合わせです。
必ずしも年俸制を導入している企業が成果主義とは限りませんが、社内メンバー同士が切磋琢磨しあう社風の企業や、成果重視の組織へ転換したい企業は、個人の成果に報いやすい年俸制が向いています。
高いスキルや専門性を求める企業
個人に対して高い専門性やスキルを求める企業は年俸制が向いています。
職種としては、たとえばシステムエンジニアやプログラマー、コンサルタント、プロスポーツ選手、クリエイティブ職などが該当します。これらの職種は個人の裁量範囲が広く、個人の成果が可視化しやすい傾向があり、加えて優秀人材の競争率が高いため、高額な報酬を提示しやすい年俸制がうまく機能するでしょう。
優秀な海外人材や若手を求める企業
海外では日本のような年功序列を取り入れている例が少なく、個人の能力に基づく年俸制が一般的です。日本に展開している外資系企業も年俸制が中心となっています。
したがって、海外の人材を採用したい企業は、国際基準にあわせた報酬体系として年俸制を導入することがあります。
また、年功序列による報酬体系に不満を持つ優秀な若手人材を採用し、適切に評価していきたい企業も年俸制が向いていると言えるでしょう。
年俸制が向かない企業の特徴年俸制が向かない企業の特徴についても紹介します。- じっくり若手を育成したい企業
- チームワークが協調性を重視する企業
- 評価制度が整っていない企業
じっくり若手を育成したい企業
5年10年といった長期で人材育成をしていく必要がある企業は、個人に対して常に成果を求める年俸制は向かない傾向があります。年俸制度は個人の成果に報酬を強く結びつける報酬体系です。よって、新人や後輩を育てるといった業務外の仕事に取り組むインセンティブが働きにくくなります。
とくにOJTやメンターといった職場の先輩社員による社内教育体制を強みとする企業は、長期で安定した給与形態と定期昇給を重視すべきと言えるでしょう。
チームワークが協調性を重視する企業
チームワークや協調性を重視する社風の企業も年俸制とは相性がよくありません。年俸制で従業員が各々の成果の最大化を目指すため、メンバー同士がライバル関係になりやすく、連携や協力体制の構築が難しくなります。
とくにチーム全体で大きな仕事を成し遂げるような職種の場合、サポート業務のような可視化されにくい業務が蔑ろにされ、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすおそれがあります。
評価制度が整っていない企業
年俸制がうまく機能するには、透明かつ公平な評価制度が不可欠です。納得感のある評価制度で従業員の働きぶりを評価し、成果に対してしっかり報酬で報いるというのが年俸制のポイントです。
評価制度が整っていない企業が年俸制を導入すると「定期昇給がある月給制のほうがマシだった」となり、組織が機能しなくなるおそれがあります。
組織の特徴を把握して自社にあった給与形態を選ぼう本記事では年俸制と月給制の違いや年俸制のメリット・デメリット、年俸制が向いている企業と向いていない企業の特徴について解説しました。
年俸制は海外で広く導入されている給与形態であり、個人の成果に報いるという点で日本の月給制とは違ったメリットがあります。しかし、すべての企業にとって最適な給与形態とは言えません。年俸制の導入を検討する際は、自社の企業文化や組織の性質の把握が必須と言えるでしょう。
なお、自社の特徴の分析には、人材アセスメント採用サービス「ミイダス」が提供する「コンピテンシー診断(活躍要因診断)」がおすすめです。
コンピテンシー診断では、ヴァイタリティやチームワークなどパーソナリティの特徴を含む計41項目について従業員の特性を詳しく分析できます。複数人の従業員にコンピテンシー診断を受けてもらい、その傾向を見ることで組織全体の特徴を客観的に把握できます。
コンピテンシー診断は、今なら無料で30名まで受検できます。アカウント登録は1分で完了しますので、ぜひお試しください。
ミイダスで組織の特徴を可視化する
一方、年俸制は成果が給与総額に反映されるため、前年の成績が悪いと翌年の年俸が下がる可能性があります。給与総額が減額されれば、もちろん月ごとの支給額も下がります。若手のうちから高い報酬を狙える可能性がある反面、収入の長期的な安定性を欠く状況にストレスを感じる従業員もいるようです。
一方、年俸制では次の年俸更改まで成果の反映を待たなければなりません(賞与を別に支給される場合を除く)。同様に、前年に成果が出せずに年俸を減額され、そこから努力して成果を出したとしても、年俸が上がるまで時間がかかります。
成果を実感するまでの待機時間が長くなり、モチベーションが下がってしまう従業員もいるでしょう。
しかし、年俸制では次の年俸更改まで従業員の賃金を原則として下げることができません。経営悪化を理由として従業員に減額交渉はできますが、一方的な減額や強要に近い交渉は無効となる可能性が高いでしょう。
また、年俸更改のタイミングで年俸の減額ができると言っても、会社で定めた就業規則や賃金規程の範囲内でしか減給はできません。経営状況に応じた人件費の調整が難しく、経営悪化時のリスクが上がります。
年俸制のメリットについても紹介します。
- 成果が給与に直結する
- 1年の給与総額が確定している
- (企業は)従業員の意識を変容できる
成果が給与に直結する
年俸制は、個人の成果や能力に報酬が直接紐づいた給与形態です。従来の年功序列型の賃金制度とは異なり、勤続年数に関係なく個人の職務遂行能力を報酬に反映できます。高いスキルや能力を持つ若い人材にとっては、より公平で納得感のある制度と言えるでしょう。
また、年俸制を導入している企業では職務や役割が明確化されている傾向があります。従業員は自身のキャリアパスが描きやすくなり、モチベーションを高められるでしょう。
【関連記事:キャリアパスとは? 意味や種類、設計方法をわかりやすく解説】
また、年俸制を導入している企業では職務や役割が明確化されている傾向があります。従業員は自身のキャリアパスが描きやすくなり、モチベーションを高められるでしょう。
【関連記事:キャリアパスとは? 意味や種類、設計方法をわかりやすく解説】
1年の給与総額が確定している
1年間の給与総額があらかじめ確定している年俸制では、事前に決めた給与総額を下回ることは基本的にありません。これにより、年俸制で働く従業員は年間の生活の見通しが立てやすくなります。
また企業側にとっても、人件費が事前に確定することで経営計画や予算管理がしやすくなる点はメリットです。
また企業側にとっても、人件費が事前に確定することで経営計画や予算管理がしやすくなる点はメリットです。
(企業は)従業員の意識を変容できる
個人の能力や成果が年俸に直接反映されるため、従業員は自身の業績や貢献度に対してより強い意識を持つようになります。
定期的な年俸更改は従業員に緊張感を与え、自身の市場価値を考えるきっかけになるでしょう。キャリアアップやスキルアップの促進にもつながります。
定期的な年俸更改は従業員に緊張感を与え、自身の市場価値を考えるきっかけになるでしょう。キャリアアップやスキルアップの促進にもつながります。
年俸制が向いている企業の特徴年俸制にはメリットとデメリットがあり、すべての企業で年俸制がうまく機能するわけではありません。ここで、年俸制が向いている企業の特徴について紹介します。- 成果主義を導入したい企業
- 高いスキルや専門性を求める企業
- 優秀な若手人材を求める企業
成果主義を導入したい企業
従来の年功序列と月給制が好相性であるように、年俸制と成果主義は相性の良い組み合わせです。
必ずしも年俸制を導入している企業が成果主義とは限りませんが、社内メンバー同士が切磋琢磨しあう社風の企業や、成果重視の組織へ転換したい企業は、個人の成果に報いやすい年俸制が向いています。
高いスキルや専門性を求める企業
個人に対して高い専門性やスキルを求める企業は年俸制が向いています。
職種としては、たとえばシステムエンジニアやプログラマー、コンサルタント、プロスポーツ選手、クリエイティブ職などが該当します。これらの職種は個人の裁量範囲が広く、個人の成果が可視化しやすい傾向があり、加えて優秀人材の競争率が高いため、高額な報酬を提示しやすい年俸制がうまく機能するでしょう。
優秀な海外人材や若手を求める企業
海外では日本のような年功序列を取り入れている例が少なく、個人の能力に基づく年俸制が一般的です。日本に展開している外資系企業も年俸制が中心となっています。
したがって、海外の人材を採用したい企業は、国際基準にあわせた報酬体系として年俸制を導入することがあります。
また、年功序列による報酬体系に不満を持つ優秀な若手人材を採用し、適切に評価していきたい企業も年俸制が向いていると言えるでしょう。
年俸制が向かない企業の特徴年俸制が向かない企業の特徴についても紹介します。- じっくり若手を育成したい企業
- チームワークが協調性を重視する企業
- 評価制度が整っていない企業
じっくり若手を育成したい企業
5年10年といった長期で人材育成をしていく必要がある企業は、個人に対して常に成果を求める年俸制は向かない傾向があります。年俸制度は個人の成果に報酬を強く結びつける報酬体系です。よって、新人や後輩を育てるといった業務外の仕事に取り組むインセンティブが働きにくくなります。
とくにOJTやメンターといった職場の先輩社員による社内教育体制を強みとする企業は、長期で安定した給与形態と定期昇給を重視すべきと言えるでしょう。
チームワークが協調性を重視する企業
チームワークや協調性を重視する社風の企業も年俸制とは相性がよくありません。年俸制で従業員が各々の成果の最大化を目指すため、メンバー同士がライバル関係になりやすく、連携や協力体制の構築が難しくなります。
とくにチーム全体で大きな仕事を成し遂げるような職種の場合、サポート業務のような可視化されにくい業務が蔑ろにされ、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすおそれがあります。
評価制度が整っていない企業
年俸制がうまく機能するには、透明かつ公平な評価制度が不可欠です。納得感のある評価制度で従業員の働きぶりを評価し、成果に対してしっかり報酬で報いるというのが年俸制のポイントです。
評価制度が整っていない企業が年俸制を導入すると「定期昇給がある月給制のほうがマシだった」となり、組織が機能しなくなるおそれがあります。
組織の特徴を把握して自社にあった給与形態を選ぼう本記事では年俸制と月給制の違いや年俸制のメリット・デメリット、年俸制が向いている企業と向いていない企業の特徴について解説しました。
年俸制は海外で広く導入されている給与形態であり、個人の成果に報いるという点で日本の月給制とは違ったメリットがあります。しかし、すべての企業にとって最適な給与形態とは言えません。年俸制の導入を検討する際は、自社の企業文化や組織の性質の把握が必須と言えるでしょう。
なお、自社の特徴の分析には、人材アセスメント採用サービス「ミイダス」が提供する「コンピテンシー診断(活躍要因診断)」がおすすめです。
コンピテンシー診断では、ヴァイタリティやチームワークなどパーソナリティの特徴を含む計41項目について従業員の特性を詳しく分析できます。複数人の従業員にコンピテンシー診断を受けてもらい、その傾向を見ることで組織全体の特徴を客観的に把握できます。
コンピテンシー診断は、今なら無料で30名まで受検できます。アカウント登録は1分で完了しますので、ぜひお試しください。
ミイダスで組織の特徴を可視化する
必ずしも年俸制を導入している企業が成果主義とは限りませんが、社内メンバー同士が切磋琢磨しあう社風の企業や、成果重視の組織へ転換したい企業は、個人の成果に報いやすい年俸制が向いています。
職種としては、たとえばシステムエンジニアやプログラマー、コンサルタント、プロスポーツ選手、クリエイティブ職などが該当します。これらの職種は個人の裁量範囲が広く、個人の成果が可視化しやすい傾向があり、加えて優秀人材の競争率が高いため、高額な報酬を提示しやすい年俸制がうまく機能するでしょう。
したがって、海外の人材を採用したい企業は、国際基準にあわせた報酬体系として年俸制を導入することがあります。
また、年功序列による報酬体系に不満を持つ優秀な若手人材を採用し、適切に評価していきたい企業も年俸制が向いていると言えるでしょう。
年俸制が向かない企業の特徴についても紹介します。
- じっくり若手を育成したい企業
- チームワークが協調性を重視する企業
- 評価制度が整っていない企業
じっくり若手を育成したい企業
5年10年といった長期で人材育成をしていく必要がある企業は、個人に対して常に成果を求める年俸制は向かない傾向があります。年俸制度は個人の成果に報酬を強く結びつける報酬体系です。よって、新人や後輩を育てるといった業務外の仕事に取り組むインセンティブが働きにくくなります。
とくにOJTやメンターといった職場の先輩社員による社内教育体制を強みとする企業は、長期で安定した給与形態と定期昇給を重視すべきと言えるでしょう。
とくにOJTやメンターといった職場の先輩社員による社内教育体制を強みとする企業は、長期で安定した給与形態と定期昇給を重視すべきと言えるでしょう。
チームワークが協調性を重視する企業
チームワークや協調性を重視する社風の企業も年俸制とは相性がよくありません。年俸制で従業員が各々の成果の最大化を目指すため、メンバー同士がライバル関係になりやすく、連携や協力体制の構築が難しくなります。
とくにチーム全体で大きな仕事を成し遂げるような職種の場合、サポート業務のような可視化されにくい業務が蔑ろにされ、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすおそれがあります。
とくにチーム全体で大きな仕事を成し遂げるような職種の場合、サポート業務のような可視化されにくい業務が蔑ろにされ、チーム全体の成果に悪影響を及ぼすおそれがあります。
評価制度が整っていない企業
年俸制がうまく機能するには、透明かつ公平な評価制度が不可欠です。納得感のある評価制度で従業員の働きぶりを評価し、成果に対してしっかり報酬で報いるというのが年俸制のポイントです。
評価制度が整っていない企業が年俸制を導入すると「定期昇給がある月給制のほうがマシだった」となり、組織が機能しなくなるおそれがあります。
評価制度が整っていない企業が年俸制を導入すると「定期昇給がある月給制のほうがマシだった」となり、組織が機能しなくなるおそれがあります。
組織の特徴を把握して自社にあった給与形態を選ぼう本記事では年俸制と月給制の違いや年俸制のメリット・デメリット、年俸制が向いている企業と向いていない企業の特徴について解説しました。
年俸制は海外で広く導入されている給与形態であり、個人の成果に報いるという点で日本の月給制とは違ったメリットがあります。しかし、すべての企業にとって最適な給与形態とは言えません。年俸制の導入を検討する際は、自社の企業文化や組織の性質の把握が必須と言えるでしょう。
なお、自社の特徴の分析には、人材アセスメント採用サービス「ミイダス」が提供する「コンピテンシー診断(活躍要因診断)」がおすすめです。
コンピテンシー診断では、ヴァイタリティやチームワークなどパーソナリティの特徴を含む計41項目について従業員の特性を詳しく分析できます。複数人の従業員にコンピテンシー診断を受けてもらい、その傾向を見ることで組織全体の特徴を客観的に把握できます。
コンピテンシー診断は、今なら無料で30名まで受検できます。アカウント登録は1分で完了しますので、ぜひお試しください。
ミイダスで組織の特徴を可視化する
年俸制は海外で広く導入されている給与形態であり、個人の成果に報いるという点で日本の月給制とは違ったメリットがあります。しかし、すべての企業にとって最適な給与形態とは言えません。年俸制の導入を検討する際は、自社の企業文化や組織の性質の把握が必須と言えるでしょう。
なお、自社の特徴の分析には、人材アセスメント採用サービス「ミイダス」が提供する「コンピテンシー診断(活躍要因診断)」がおすすめです。
コンピテンシー診断では、ヴァイタリティやチームワークなどパーソナリティの特徴を含む計41項目について従業員の特性を詳しく分析できます。複数人の従業員にコンピテンシー診断を受けてもらい、その傾向を見ることで組織全体の特徴を客観的に把握できます。
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