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シエスタとは|5つのメリットと効果的な仮眠のコツとは?

「シエスタっどんな制度?」
このように気になっていませんか?

シエスタ制度とは長いお昼休憩のこと。昼休憩を2時間〜3時間まで延長して自由に過ごせる制度です。会社によっては15分の仮眠休憩をシエスタと呼ぶケースもあります。

眠気による生産性低下を防ぐのを目的に、いまシエスタ制度を導入する企業が増えています。

この記事ではシエスタ制度とは何かを解説します。制度導入のメリット・デメリットについても解説しますので、導入を検討する際の判断材料にしてください。

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シエスタとは?

シエスタ(siesta)とはスペインで慣習的に行われている長いお昼休憩のこと。

スペインの人々は伝統的に2〜3時間ほど、昼休憩をとると言われています。シエスタが行われる時間帯は地域によってばらつきがありますが、13時〜16時までの間に2時間程度休憩するのが最も一般的です。昼食をゆっくり楽しみ、昼寝をしてから仕事に戻る流れで働いているのです。

しかし近年のスペインでは、シエスタ文化が少しずつ衰退しつつあります。他国と同じように9時〜17時まで勤務して、昼休みは1時間というスタイルの職場が増えているそうです。一方日本では生産性向上を目的に、シエスタ制度を導入する企業が徐々に増えています。記事後半で導入する企業の事例を解説していますので、そちらもお読みください。

シエスタ制度とは?

日本における昼休憩の長さはおおむね45分〜60分程度ですが、シエスタ制度では2〜3時間休憩できます。シエスタ中の過ごし方は社員の自由です。

昼寝をしても、ショッピングに出かけても、ジョギングしてもOK。たっぷり昼休憩をとった分、退社時間を後ろ倒しにして勤務時間を調整します。

制度を使うかどうかは社員の判断次第です。早く帰りたい場合には通常の昼休憩をとって定時まで働きます。

パワーナップ制度とシエスタ制度の違い

シエスタと似た意味合いで用いられる制度に「パワーナップ制度」があります。それぞれの違いは下記の通りです。
  • シエスタ:お昼休憩
  • パワーナップ:短時間の仮眠
パワーナップとは社会心理学者ジェームス・マースによる造語で「15~30分程度の短い睡眠」のことです。日本語では積極的仮眠と言います。

パワーナップ制度は昼休憩とは別に15〜30分程度の仮眠を許可する制度です。

シエスタ制度は「昼寝」を含めた長めのお昼休憩を指しますが、パワーナップ制度は、仮眠を取るためだけに使います。スマートフォンを眺めたり、同僚と談笑したりといった休み方はできません。

日本では三菱地所株式会社がパワーナップ制度を採用しています。就業時間内に仮眠室で30分まで仮眠を取れるそうです。

一方、昼寝のみを許可した休憩制度であっても「シエスタ」と呼ぶ企業もあります。「パワーナップ」よりも広義な意味合いを持つのが「シエスタ」と解釈できるでしょう。

シエスタ制度を導入する5つのメリット

メリット
シエスタ制度を導入するメリットは以下5つあります。
  • 生産性が向上する
  • ストレス解消につながる
  • 体力を回復できる
  • ワークライフバランスの実現につながる
  • 求職者へのアピールになる
それぞれ見ていきましょう。

生産性が向上する

昼食後に訪れる眠気をリフレッシュできるため、頭がスッキリとした状態で午後の業務に臨めます。愛知県労働局が公開する資料によると、社員数45名の情報通信業で昼寝制度を導入した結果、従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上したそうです。

同社では下記のように昼寝制度を運用しました。
  • 午後1時半から20分間を昼寝タイムと設定
  • 社内に昼寝スペースを設置
  • 急な電話等に対応できるよう電話当番制を採用
仮眠に集中できる体制を整えたことも成功の要因と言えるでしょう。眠気を我慢して業務に励むより、しっかり休んで業務に戻るほうが仕事の効率が良いと言えます。

参考:働き方改革応援レシピ ~労働時間制度編~|愛知県労働局

生産性向上については下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:生産性向上とは?必要とされる背景や具体的な取り組み施策を解説!
生産性を高めるには、シエスタ制度のような健康に配慮する施策だけでなく、適材適所の人事も大切です。適材適所の実現にはミイダスコンピテンシー診断がおすすめです。コンピテンシー診断では、部署にいるハイパフォーマーの行動特性を分析し、どのような社員が活躍できるかを可視化します。

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ストレス解消につながる

昼休憩を長めに取ることで、リフレッシュする時間を確保できます。45分〜1時間程度の休憩では、外でランチするだけで休憩を終えてしまうでしょう。

延ばす時間によっては、ジムで汗を流したり、映画を観たりといった過ごし方も可能です。シエスタによって、ストレスを発散させる時間的余裕が生まれるわけです。

それぞれに合った方法でストレスを発散できるため、心の健康をより保ちやすくなるでしょう。

下記の記事で効果的なストレスマネジメント方法を解説しています。

【関連記事:ストレスマネジメントのやり方とは?効果と改善事例を解説

体力を回復できる

シエスタ中の仮眠で体力を回復させられます。とくに外回りの営業マンやタクシードライバーなどは、昼休みのリフレッシュが非常に大切です。

疲れが溜まり注意力散漫になっては事故を引き起こしかねません。

心身を休めることで安全に業務を遂行できます。

ワークライフバランスの実現につながる

多くの場合、シエスタ制度は取得したい人が取得したい時に利用できるようになっています。自分の判断で働き方を決められるため、ワークライフバランスの実現につながると言えるのです。

シエスタ制度を利用するかどうかを自ら決められる制度設計であれば、シエスタを利用せず早く退社することも、シエスタを利用した分残って働くことも自分の意思で決められます。リフレッシュのためだけでなく、通院に利用したり、子どものお迎えに時間を使ったりする人もいるでしょう。

仕事だけでなく、プライベートの充実も図れるのがシエスタ制度のメリットです。

求職者へのアピールになる

シエスタ制度は人材獲得にも良い影響をもたらすでしょう。制度利用による柔軟な働き方が求職者へのアピールになります。

株式会社ヒューゴでは、自由な時間で働ける環境が広く知られた結果、中途採用の応募者が増えたそうです。企業の充実した福利厚生をアピールできるため、イメージアップにもつながるでしょう。

参考:日本経済新聞社様よりシエスタ制度(社内の昼寝)とリモートワークについて取材いただきました。|株式会社ヒューゴ

ここで働きたいと求職者に思わせる施策について下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:「ここで働きたい」と思わせるには?企業が意識したいポイントを解説

シエスタ制度のデメリット

デメリット
シエスタ制度にはデメリットもあります。以下2点のデメリットも考慮して導入を検討しましょう。
  • 退勤時刻が遅くなる
  • 仮眠が逆効果になるおそれも
それぞれ解説します。

退勤時刻が遅くなる

休憩を延長した場合、当然退社時間が遅くなります。事例を見てみましょう。仮に3時間休憩する場合には下記のように勤務時間を調整します。
  • 通常の勤務時間 9:00〜18:00(休憩1時間)
  • シエスタを導入した場合 9:00〜20:00(休憩3時間)
休憩時間の過ごし方は自由ですが、拘束時間が長くなってしまうのがシエスタ制度の難点でもあります。そのため、シエスタを取りつつ早く帰りたい社員のニーズに応え、シエスタの長さを選択できる工夫も大切です。

仮眠が逆効果になるおそれも

とくに休憩時の仮眠には注意が必要です。スッキリとした気分で業務に戻るには、短い仮眠で切り上げる工夫が社員に求められます。

仮に3時間のシエスタ中にたっぷり3時間昼寝をしてしまったら、頭が冴えるどころか、逆にぼんやりしてしまうかもしれません。生産性を高めるためのシエスタ制度なのに、仕事の効率を落としてしまう可能性だってあるのです。

そのため、シエスタ制度の導入時には効果的な仮眠方法を共有したり、仮眠室の時間を決めたりといった工夫が求められるでしょう。

シエスタ制度の導入方法

シエスタ制度は休憩時間と退社時間の延長で導入可能です。会社によってシエスタ制度における休憩時間には幅があります。2〜3時間と長めに設定するケースがあれば、通常の休憩時間に30分だけ追加し、昼寝タイムを設けるケースも。

就業時刻が大幅に遅くなる点に抵抗がある場合には、まずは15〜30分のお昼寝タイムを別に与える程度にすると良いでしょう。

ちなみに労働基準法では労働時間が8時間以上の場合、従業員に1時間休憩を取らせることが義務付けられていますが、休憩時間が1時間を超えても法律上の問題はありません。

従業員の意見をよく聞いてから導入に踏み切ることをおすすめします。

シエスタ制度を効果的に運用するポイントは?

シエスタ制度を効果的に運用するポイントは以下2点あります。
  • 社外とのやりとりに支障が出ないように配慮する
  • 気軽に制度を利用できる雰囲気をつくる

社外とのやりとりに支障が出ないように配慮する

シエスタ制度の運用によって、顧客に迷惑をかけないよう配慮が必要です。具体策は下記の通りです。
  • あらかじめ顧客にシエスタ時間をアナウンスする
  • 社員同士で取得のタイミングをずらし、顧客に対応できるよう体制を整える
  • 繁忙期の制度利用を制限する など
顧客だけでなく、周囲の社員に一声かけてからシエスタに入る気遣いも求められるでしょう。互いが配慮し合うことでシエスタ制度の運用効果が高まると言えます。

気軽に制度を利用できる雰囲気をつくる

制度導入時は制度を使いづらく感じる人もいるでしょう。周囲の目が気になって「自分だけ休んで良いのか」と悩む社員は少なくないようです。

休憩時間なのに急ぎの仕事に対応する人や勉強に励む人がいれば、シエスタの取得に気が引けてしまうかもしれません。名ばかりの制度にならないようにするには、社内の意識改革が必要です。

人事部や部署の上長が社員に周知したり、自らシエスタを使ったりして働きかけましょう。メンバーに「制度を使っても良い」と思わせることが重要です。

シエスタ中に正しく昼寝する5つのコツ

机で眠るビジネスパーソン
シエスタ中に仮眠をとる場合には、スッキリ目覚めるコツを抑える必要があります。ここでは、医師であり睡眠コーチの坪田聡(著)『パワーナップ仮眠法』を参考に効果的な仮眠方法を解説します。

最適なお昼寝時間は15分〜20分

仮眠は15分〜20分程度にしましょう。30分以上寝てしまうと、頭がスッキリするどころか、頭も身体も重くだるい状態になってしまいます。

中途半端に深い眠りに入ってしまうため、寝起きが辛くなるのです。仮に時間をオーバーしたとしても25分までにしましょう。

正午から午後3時までに行う

仮眠をとる時間帯は正午〜午後3時までがおすすめです。夕方以降の遅い時間に仮眠をとると、夜の睡眠に悪影響が出てしまいます。

夕方どうしても眠くなってしまった場合には10分程度の仮眠にとどめましょう。

座って寝る

眠る姿勢は「座る」が基本。机に伏せたり、椅子の背もたれに寄りかかって寝たりする程度が最適です。起きたい時間に起きやすくなります。

完全に横にならないのがポイントです。無理のない姿勢で眠れるよう、伏せて寝る際に使う枕やクッションを用意すると良いでしょう。

仮眠前にカフェインを摂取する

カフェインを摂取してから仮眠に入りましょう。カフェインは摂取後20〜30分後に効果が表れるとされています。15分〜20分の仮眠であれば、起きた後にちょうどカフェインの覚醒効果が出始めるため、スッキリ目覚めやすくなるのです。

おすすめはホットコーヒー。アイスコーヒーとホットコーヒーでは覚醒効果の出るタイミングが異なります。
  • ホットコーヒー:飲んでから20〜30分後に効果が出る
  • アイスコーヒー:飲んでから1時間後に効果が出る
短時間の仮眠後にスッキリ目覚めたいなら、仮眠前のホットコーヒーがおすすめです。

明かりが気になる場合は適度に光をシャットアウトする

15分程度の仮眠では明かりを遮る必要はあまりありません。しかし気になって睡眠に集中できない場合には、適度に光をシャットアウトすると良いでしょう。
たとえば、机に伏せたり、ストールを顔にかけたり、アイマスクを使ったりするのも効果的です。

シエスタ制度・日本企業の運用事例

ビル群
シエスタ制度を導入している企業の例を見ていきましょう。ここで紹介するのは以下の3社です。
  • 株式会社ノンバーバル
  • 株式会社ヒューゴ
  • スパイスファクトリー株式会社
それぞれ解説します。

株式会社ノンバーバル

大阪府大阪市に本社を置く株式会社ノンバーバルは、ブランディングデザインを手掛ける会社です。同社は2020年から「健康経営優良法人」に認定され、2021年から2年連続で同認定の中小規模法人部門上位500社である「ブライト500」にも選出されています。

従業員が健康で生き生きと働けるよう環境を整えることが経営の成長につながると考え、プチシエスタ制度を採用したと言います。

プチシエスタ制度の概要は下記の通りです。
  • 1時間の休憩時間に追加で20分〜30分の昼寝を許可
  • 13時〜16時の間であれば好きたタイミングで昼寝できる
とくに20代の社員の利用が多いそうです。集中力を取り戻し、仕事の効率化や生産性向上を期待していると言います。

参考:HEALTH健康経営|株式会社ノンバーバル

株式会社ヒューゴ

大阪市中央区にあるITコンサルタントの株式会社ヒューゴでは、毎日13時〜16時までの3時間がシエスタ時間です。長めのランチをとったり、映画を観に行ったり、ジムで運動したり、過ごし方は社員の自由。

制度を使うかどうかも社員次第です。早めに帰宅したい日は休憩をとらずに働き続けても良く、シエスタを利用した後20時まで残ることも可能としています。

同社ではシエスタ開始後5年間で売り上げは6倍以上にアップしたそうです。頭がリフレッシュしてミス軽減にもつながっていると言います。

参考:株式会社ヒューゴ|日本経済新聞社様よりシエスタ制度(社内の昼寝)とリモートワークについて取材いただきました。

スパイスファクトリー株式会社

スパイスファクトリー株式会社は、システム開発やWebデザイン、コンテンツーマーケティングなどDXを多面的に支援する会社です。スパイスファクトリーのシエスタ制度は別名「自由休憩制度」とも呼ばれます。

休憩を好きなだけとって良いため、自由休憩制度と呼ばれているそうです。
同社のシエスタ制度の概要は下記の通りです。
  • コアタイム(11時〜15時)以外の働き方は自由
  • 休憩を2時間とっても3時間とってもOK
シエスタ制度を使って病院へ行ったり、子どものお迎えに行ったりもできるため、育児中の社員に喜ばれているそうです。

参考:人気No.1!スパイスの「シエスタ制度」を徹底解説!|note

シエスタ制度を活用して午後の作業効率を向上させよう

ガッツポーズの女性
シエスタ制度について解説しました。休憩時間の長さは企業によって幅があり、昼休憩を2〜3時間まで延長する企業があれば、昼休憩とは別に15〜30分の昼寝タイムを各自で取らせる企業もあります。

2〜3時間まで休憩を延長すると、終業時間を後ろ倒しする必要が生まれるため、導入には社員の意見を聞く必要があるでしょう。制度の効果を検証するために、試験的にまずは15分程度の昼寝タイムを追加するところから始めるのも良いかもしれません。

企業が従業員の健康管理を経営課題としてとらえ、積極的に改善に取り組む姿勢は従業員のエンゲージメントを高めます。また求職者へのアピールにもなります。

事実、シエスタ制度を導入した企業で中途採用希望者が増えた事例も見られました。採用活動を強化したいとお悩みの方、生産性を高めたいとお悩みの方は、シエスタ制度の導入を検討されてはいかがでしょう。

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【関連記事:健康経営優良法人認定とは?認定要件や申請方法、メリットについて解説

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