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人材アセスメント

権限委譲とは?導入の目的やメリット、やり方を解説

「権限委譲とは、どのようなことをするの?」
「導入のメリットやデメリットを知りたい」

と思うことはありませんか?

上司が持っている業務上の権限を部下に委譲することで、人材育成や組織力の強化につながります。しかし導入のやり方を誤ると、本来目指すべきゴールからズレたり部下のモチベーションを削いだりと、適切な成果が得られない可能性があるのです。

当記事では、権限委譲の基礎知識のほか、メリット・デメリット、導入のやり方などを解説します。成功に導くポイントや他社事例も紹介するので、組織力を強化したいとお考えの方はぜひご一読ください。

なお「部下のモチベーションを適切に把握できていない」という課題のある方に向けた、お役立ち資料をご用意しています。モチベーション低下につながる部下のストレス要因を調べる方法をステップごとに解説していますので、組織づくりや人材育成のヒントとしてお役立てください。

【無料お役立ち資料|部下のモチベーションを把握する、その方法とは】

権限委譲とは?目的や権限委任との違い

辞書と虫眼鏡
権限委譲とは、上司が担っている業務の一部を部下に委ねるマネジメント手法です。「エンパワーメント(empowerment)」と呼ばれることもあります。権限委譲することで責任感と主体性を持った人材を増やし、組織の生産性向上を目指します。

部下には業務の一部において意思決定する権限が与えられる点が特徴です。そのため自己裁量のもとで業務を遂行でき、モチベーションアップやスキルアップなどが期待できます。

上司の役割は、部下の自律的な行動を促して適切なサポートをすることです。結果的に、上司がマネジメント業務に集中できるといったメリットを得られます。

権限委譲の読み方

権限委譲は「けんげんいじょう」と読みます。

権限委譲する目的

権限委譲の目的は部下の能力を引き出して育成することです。一定の権限を上司から部下へ委譲し、将来のリーダーやマネージャー、幹部候補の育成につなげます。

いきなり責任の大きな仕事を任せるのではなく、部下のできる範囲内で委譲していくので少しずつステップアップさせることが可能です。

将来的に意思決定できる人材が増えるとスピーディーな判断が可能となり、組織内の生産性向上が期待できます。

権限委譲が必要な理由

現代はVUCAの時代と呼ばれ、将来の予測が難しくなっています。めまぐるしく変わる市場環境への柔軟な対応力や、不測の事態が起きたときにも安定して経営できる組織力が必要です。

しかし、日本における労働人口は少子高齢化の影響を受けて減少傾向にあり、採用や育成などの人材の強化を課題に挙げる企業が多くあります。一般社団法人日本能率協会の「日本企業の経営課題2022」によると、現在の経営課題として「人材の強化」と回答する企業が右肩上がりに推移しています。
出典:第43回 当面する企業経営課題に関する調査「日本企業の経営課題2022」|一般社団法人日本能率協会

企業における人材の強化は、取り組まなければならない最重要課題のひとつと言えます。

ピラミッド型の組織で上司が指示を出し、部下は言われたことをやるだけでは企業の成長が鈍化する可能性があります。なぜなら意思決定者が上司しかいない状況だと現場での迅速な判断ができず、全体の対応スピードが落ちてしまうからです。

上司の持つ権限の一部を部下に委譲できれば、現場で状況に合わせた意思決定がしやすくなります。時代の変化に対応できる組織力や人材育成をするなら、権限委譲を強化するのも方法のひとつです。

権限委譲と権限移譲の違い

権限委譲と権限移譲は読み方が同じのため、似たような意味に捉えられがちです。しかし、詳しく見てみると意味が異なります。
  • 権限委譲:上司が持つ権限の一部を部下に任せること
  • 権限移譲:仕事・権限・所有権などを他の人に譲ること
権限委譲は立場が上の人から下の人へ「任せる」という意味が強いです。最終的な責任の所在は上司にあります。

一方の移譲は「譲ること」です。上下関係の意味合いは含まれていないため、同僚を含む対等な立場の人へ仕事を渡すときに使います。権限移譲の場合には、業務などを譲られた人が責任を負います。

たとえば、行政の場合を例にしてみましょう。県がやっていた事務処理を各市町村でできるようにするケースが権限移譲に該当します。

企業の人事分野においては権限を譲る移譲ではなく、権限を任せる委譲を意味して使われることが多いです。

権限委譲する5つのメリット

スマートフォンで通話をしながら部下に指示を出すビジネスウーマン
上司が部下に権限委譲すると、下記のメリットを得やすくなります。

1.自己裁量で部下が仕事を進められる
2.一段階上の視座を部下が身に付けられる
3.将来の幹部やマネージャー候補を育成できる
4.組織力を強化できる
5.上司がコア業務に専念できる

それぞれ見ていきましょう。

1.自己裁量で部下が仕事を進められる

権限委譲によって上司から業務を任せられることで、部下は一定の範囲内であれば自己裁量で仕事ができるようになります。自分で目標を設定したり、部署のメンバーも巻き込んだりしながら達成に向かって動いていかなければならないため、責任感の醸成や主体的な行動を促せます。

自己裁量で仕事ができるとやりがいや達成感を得られやすくなり、モチベーションアップにも効果的です。

2.一段階上の視点を部下が身に付けられる

上司がやっている仕事の一部を実際にやってみることで、これまでわからなかった視点を身に付けられます。たとえば、下記のような視点が得られやすくなります。
  • チームメンバーをまとめあげる
  • 目標数値にコミットし、達成に向けて先導する
  • 後輩を指導しながら育成につなげる など
上司から指示を受けて業務をこなすだけの立場では、なかなか感じられない視点ではないでしょうか。部下が一段階上の視点を持って物事を見て、適切な意思決定ができるよう徐々に促すことが可能です。

3.将来の幹部やマネージャー候補を育成できる

自社でも幹部・マネージャー候補となる人材の育成が大切です。権限委譲で少しずつ上司が担う役割を知り、対応できる業務範囲を広げていくことで無理なくマネジメントスキルを習得してもらえます。

自社の幹部やマネージャー候補となる人材を見極めて中途採用する方法もあります。しかし、人材の確保に各社が課題を抱えている状況では、自社で活躍できる幹部やマネージャーがすぐに見つかるとは限りません。

また部下に権限委譲すると、リーダーとしての素質があるか評価することも可能です。マネージャーの立場に昇格させたあと「リーダーに向いていない人材だった」となっては組織の混乱を招きます。

権限委譲は部下がリーダーに向いているか、マネジメントに適性があるかなどを見極める手段のひとつです。幹部やマネージャーとして昇進させても問題はないか、事前に見極める方法として権限委譲の活用をおすすめします。

4.組織力を強化できる

経営目標達成や組織の生産性向上を目指すには、スピーディーな意思決定が必要不可欠です。部下に権限委譲して適切な意思決定のできる人が社内に増えれば、商談などの現場において柔軟で迅速な判断ができるようになります。

スピーディーな意思決定は組織の強化が期待できるほか、顧客満足度の向上にもつなげやすいです。

5.上司がコア業務に専念できる

上司がマネージャーの場合、本来すべき業務はマネジメントです。しかし、人手不足の現場では、マネージャー自らが現場に出てプレイヤーにならざるを得ないこともあります。マネージャーが現場に出る時間が増えるとマネジメント業務がおろそかになってしまい、本来の役割を果たせません。

部下に権限委譲して現場の仕事を任せれば、上司の工数を削減できます。削減できた時間を使ってマネジメント業務に専念できるのです。

たとえば一人一人の部下と向き合ってチームづくりをしたり、組織全体を見ながら業務進捗を管理したりしやすくなります。上司の業務負担軽減によってマネジメントに集中する環境が整い、よりよい組織づくりを目指すことも可能です。

権限委譲は部下・上司、組織にもメリットをもたらしますが、デメリットになる部分もあります。導入前にデメリットも知っておきましょう。

権限委譲で起こる3つのデメリット

悩んだ表情でパソコンを見る2人のビジネスウーマン
権限委譲によるデメリットは下記の3つです。

1.権限委譲する部下の見極めを誤ると効果を発揮しない
2.組織が達成すべき目標から方向がズレてしまう可能性がある
3.権限委譲した部下へのフォローが必要になる

ひとつずつ解説していきます。

1.権限委譲する部下の見極めを誤ると効果を発揮しない

部下の中には、権限委譲されてパフォーマンスを発揮できる人とパフォーマンスが落ちてしまう人がいます。

仮に部下のタイプが前者だった場合、前述したようなメリットが得られやすくなります。後者だった場合は、権限委譲したあとにモチベーションや生産性の低下を引き起こす可能性があり、適切な効果を発揮できません。

たとえば業務の責任を負うことで過度なプレッシャーを感じてしまい、緊張からうまくパフォーマンスを発揮できなくなるケースです。

ある程度のストレス耐性を持っていると思われる部下に権限を委譲したり、慣れない間はある程度フォローしたりすることが大切と言えます。

また、部下の能力や経験が不足しているケースも考えられます。持っている能力以上の仕事を任せてしまうと、業務が停滞したりチームがバラバラになったりして混乱を招く可能性があるのです。権限委譲する部下の見極めを誤りチーム内で混乱が起こると、大きな損失につながりかねません。

2.組織が達成すべき目標から方向がズレてしまう可能性がある

上司から権限委譲された業務の一部について部下が目標を決め、達成に向けて舵取りすることがあります。しかし上司と部下の認識が異なると、組織として達成すべき本来の目標がズレてしまい、得られる成果が変わってしまう可能性があるのです。

権限委譲の際に組織の目標から方向がズレないようにするには、企業のミッションや意思決定の基準などの認識を共有し、統一させることが大切です。部署やチームが目指している目標も共有しておくと、大きな方向性のズレを防げます。

3.権限委譲した部下へのフォローが必要になる

上司から部下へ権限委譲したら終わりではありません。最終的な責任の所在は上司にあるため、部下に丸投げせず適宜フォローが必要です。

部下から相談があったときには「こうしたら良くなるのではないか」といった適切なアドバイスをしましょう。普段は業務を進める様子や進捗を見守り、間違いがあった際にはサポートをすることも必要です。

最終的な責任の所在が上司にあり、いつでも頼れる状況にあれば、部下も安心して任せられた業務に取り組めます。権限委譲したあとのフォロー体制も整えたうえで導入しましょう。

ここまで権限委譲のデメリットを解説しました。続いて導入のやり方を見ていきましょう。参考にしながら進めてみてください。

【5ステップ】権限委譲を導入するやり方

資料を見る女性の手元
権限委譲は次の5ステップで進めます。

1.権限委譲する部下の能力を把握する
2.権限委譲する目的やゴールをすり合わせる
3.権限の範囲を共有する
4.定期的に面談する
5.権限委譲した業務が終わったらフィードバックする

それぞれ見ていきましょう。

【ステップ1】権限委譲する部下の能力を把握する

まず部下の能力を把握し、任せる業務内容が適切か見極めます。部下の持つ能力以上の業務を任せると過度のプレッシャーやストレスにつながるため、できる範囲から委譲することが大切です。

とはいえ、部下の能力を適切に把握するのは難しいと思う方もいるのではないでしょうか。上司の判断で「責任感を持ってリーダーシップを発揮してくれる部下だろう」と思っていたとしても、実際はそうではないこともあります。

またストレスのある環境に身を置いた場合に、能力が発揮しづらくなるタイプの人だったとわかる場合もあるでしょう。

権限委譲する前に部下の持つ能力や適性を把握するには、アセスメントツールの活用がおすすめです。アセスメントツールは数多くありますが、なるべく低コストで導入するなら中途採用サービス「ミイダス」が提供するコンピテンシー診断を検討してみてください。

コンピテンシー診断では、
  • バイタリティ
  • チームワーク
  • 問題解決力
  • プレッシャーへの耐力
  • 統率力
など、全9項目を10段階で評価します。

マネジメント資質や、どのような状況下でストレスを感じやすいか(ストレス耐性)も可視化が可能です。

また上下関係適性では、自分が上司だったとき・部下だったときのタイプを診断し、人間関係の構築に役立てられます。自分が上司だった場合に権限委譲型の指示が出せるのか、どのような部下となら相性が良いのか把握できます。

ミイダスのコンピテンシー診断は社員15名まで無料で診断可能です。組織の特徴を分析することもできますので、育成や組織づくりにお役立てください。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

まずは無料トライアルをお試しください。

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【ステップ2】権限委譲する目的やゴールをすり合わせる

権限委譲の目的やゴールを明確にしたうえで、何のために実施するのか理由を添えて対象となる部下に伝えます。目的やゴールをはっきりと伝えておかないと、権限を持った部下が独りよがりな意思決定をして方向性がズレてしまう可能性があるからです。

方向性を誤るとチーム内の混乱を招き、途中で軌道修正する工数がかかる場合があります。こういった事態を防ぐためにも、権限委譲前に目的やゴールのすり合わせが大切です。

【ステップ3】権限の範囲を共有する

権限委譲は上司の持つ業務の一部を委譲することです。よって部下は任された範囲を超えた意思決定はできません。

どこまでの業務範囲を部下に任せるのか、部下の権限で何を判断・決定してもいいのか、あらかじめ共有しておきましょう。権限の範囲を明確に共有できていないと、何かしらのトラブルに発展する可能性もあります。

場合によっては与えられた権限の範囲を越えた意思決定を求められることもあるため、こうしたケースに遭遇したときには必ず上司に相談するように徹底しておくと安心です。

【ステップ4】定期的に面談する

初めて上司から権限委譲された場合、どう動いていったら良いかわからない部下もいます。そのため定期的に面談の機会を設け、現状の共有や課題に感じていることなどを話せる場があると権限委譲がよりスムーズに進みます。

部下が感じている課題に合わせて、適切なアドバイスやサポートをおこないましょう。

上司と部下がマンツーマンでする面談のポイントは、下記の記事にて解説しています。面談の時間を有意義にしたい方は、あわせてご一読ください。

【関連記事:1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法】

とはいうものの、権限委譲を導入したあとの面談は必須ではありません。あえて面談の機会を設けない場合は、小さなことでも気軽に相談できる雰囲気づくりが大切です。

【ステップ5】権限委譲した業務が終わったらフィードバックする

権限委譲した業務が一通り終わったあと、部下に対してフィードバックすることも大切です。フィードバックの際には、下記を中心に伝えましょう。
  • 良かったところや改善点を具体的に伝え、なぜそうなのか理由も添える
  • 改善に向けたアドバイスをする
  • 質問の中で部下の考えを引き出す
改善点をしっかり伝えつつ、次の業務にも活かせるポジティブなフィードバックをするのがポイントです。上手に部下へのフィードバックができれば、モチベーションの維持やスキル向上などの効果が期待できます。

フィードバックを実施する重要性やメリットは下記の記事にまとめていますので、あわせてご覧ください。

【関連記事:フィードバックとは?意味や重要性、効果的に実践するためのテクニックを紹介】

ここまで権限委譲のやり方を5つのステップに分けて解説しました。次の項目では、権限委譲を成功に導くポイントを紹介します。

権限委譲を成功に導くポイント

「POINT」と書かれた木製キューブ
権限委譲を導入するなら、なるべく最短で人材育成を実現させたいものです。権限委譲を成功に導くポイントは次の4つです。
  • レベルの小さな権限委譲から始める
  • 責任の所在がどこにあるのか明確にしておく
  • 権限委譲したら業務状況を把握しつつ、適切にフォローする
  • 日頃から部下との信頼関係構築に努める
ひとつずつポイントを見ていきましょう。

レベルの小さな権限委譲から始める

部下の能力や適性を考えて、無理のない業務範囲から権限委譲を始めましょう。いきなり責任の大きな仕事を任せたり、負担を伴う業務量・権限を与えたりすることは避けます。

あまりにも簡単にクリアできる業務だと普段とあまり変わらず、新たな責任感が生まれにくくなります。そのため、部下が持っている能力よりも少しだけ上の業務範囲を任せるのがポイントです。

ひとつずつステップアップを促し、部下が達成感を得る機会を増やすことでモチベーション維持ややりがいにつながります。

責任の所在がどこにあるのか明確にしておく

権限委譲をするとき、最終的な責任の所在は上司にあります。「何かあったときの責任は上司にあるから思いっきりやってほしい」と部下にも伝えておきましょう。

委譲した業務は部下の権限のもとで進められるようにしておき、最終的な責任が上司にあることがわかっていれば安心して着手できます。

ただし、部下の権限で進める業務範囲を決めること、それを越えた独断をしないことは徹底させましょう。

権限委譲したら業務状況を把握しつつ、適切にフォローする

部下に業務を任せたら完全に丸投げせずに、進捗状況などはしっかり把握しておきます。部下から相談があったときには、必要に応じてアドバイスをしたり手助けをしたりするなど適切なフォローを入れましょう。

権限委譲する際には、部下を見守る上司の姿勢も大切です。部下のやることに対していちいち口出ししてばかりだと「信頼して任せてもらえていない」という不満やモチベーション低下につながります。本来は得られる権限委譲の効果が減少してしまうのです。

大きな損失につながる行動がない限り見守るようにしましょう。

ときにはミスが起こる可能性もあります。だからと言って「責任のある立場は向いていない」と評価したり、強く叱ったりするのは禁物です。

また、ミスが発生した業務を上司が巻き取ってしまうのも部下の成長になりません。どうしたらうまくいくかといった視点で前向きなアドバイスをして、部下自身が対策を考え、行動できるようにサポートしましょう。

日頃から部下との信頼関係構築に努める

権限委譲は、上司・部下の信頼関係のうえで成り立ちます。お互いに信頼できていない状態では、業務を任せたり任せられたりしにくいものです。

しかし「部下に業務の権限委譲をしていこう」と思ったタイミングから信頼関係を構築しようとしても、うまくいかない可能性があります。短期間で信頼関係はつくれるものではありません。

そのため、日頃からお互いにコミュニケーションを取る機会をつくることが大切です。相手に関心を持ち、良いところは積極的に褒めるなど信頼関係構築に努めましょう。

権限委譲を成功に導くポイントを4つお伝えしました。続いて「権限委譲で成功している事例を知って自社での導入に活かしたい」という方のために、実際の企業事例を紹介します。

権限委譲を実施している企業事例

笑顔のビジネスパーソン2人
権限委譲を人材マネジメントや育成に取り入れている企業は数多くあります。その中で、特徴的な取り組みをしている企業を3社見ていきましょう。
  • 株式会社星野リゾート
  • コニカミノルタ株式会社
  • 三井化学株式会社

【事例1】株式会社星野リゾート

国内外で宿泊施設やリゾート運営をおこなう星野リゾートでは、従業員に対して積極的に権限委譲をしています。

ピラミッド型ではなくフラット型の組織を構築し、小規模なグループごとに責任者となるディレクターを配置。若いスタッフが主体的に考えて行動できるように、ベテラン社員は若手に権限委譲する社風が根付いています。

現場の従業員にまで権限委譲されているため「顧客を満足させるには何ができるのか」という視点で、それぞれが考えて行動できるようになっているそうです。上司からの指示を待たずに自ら考えて行動できるので、従業員のモチベーションアップにもつながっています。

また社内に「失敗は許容する」という価値観があるところも特徴的です。権限委譲したあとにミスが起こっても従業員を責めることはしません。「ミスにこそ宝が埋まっている」という考えのもと、ミスが起こった原因や再発防止策などを周囲の従業員と共に考えるようにしているそうです。

参考:社会への取組み(社会への取組み旅館・ホテルの未来を創る人々)|星野リゾート・リート投資法人
参考:“信じる力”が人を動かす|プロフェッショナル仕事の流儀|NHK

【事例2】コニカミノルタ株式会社

複合機及び関連消耗品の開発・製造・販売をおこなうコニカミノルタ株式会社では、中国やマレーシアなどの海外に生産拠点を置いています。2007年頃から現地での現場力を強化し、意思決定のスピードを高めることに成功しています。

中国の無錫工場では日本人駐在員が5人程度しかいないそうです。マネジメント層のスタッフは現地で採用し、その国ならではのノウハウを蓄積しています。

コロナ禍においては、各国によって感染防止対策が異なるため現地に権限を委譲。日本へ対応方法を確認することなく現地で即断即決が叶い、スムーズな意思決定と行動が実現できているそうです。

参考:オフィス事業の新たな挑戦・前編~苦境乗り越え強さを増したバリューチェーン~|コニカミノルタブログ

【事例3】三井化学株式会社 

ライフ&ヘルスケア・ソリューション事業やモビリティソリューション事業などをおこなう三井化学株式会社。同社では「三井化学グループ人材マネジメント方針」をもとに人材育成を進めています。人材が価値創造の源泉と位置づけており、自主・自律・協働を基本的な考え方と定めているそうです。

経営人材の育成として、経営層を対象としたエグゼクティブコーチングや次世代の経営者候補を育成するグローバルリーダーシップ研修などを実施。各階層でリーダーシップの発揮に求められるスキル・職務意識に基づいて人材育成プログラムが設計されています。

従業員自らが経験と内省をしながら行動し、上位レベルの業務で成果を生み出せるように人材育成プログラムを構築しているそうです。

三井化学グループ全従業員を対象としたグローバル従業員エンゲージメント調査によると、強みを持つ領域として「権限委譲/自律性」を挙げた人は2018年度で38%でした。2021年度には42%に数値が上がっており、権限委譲に対するエンゲージメントが高まっているとうかがえます。

参考:人材マネジメント|三井化学株式会社

権限委譲するなら人材の能力・適性の把握が重要

部下に権限委譲を実施し、組織づくりや人材育成を成功させるにはさまざまなポイントがあります。その中で始めに把握しておきたいのが、権限委譲する部下の能力や適性です。

「スキルや経験値は高いのに、リーダーシップを発揮しメンバーを率いる能力が欠けていた」「業務を任せているのに、上司と部下間の人間関係がうまくいかずにギクシャクしている」といったことが起こらないように、あらかじめ権限委譲する部下の能力・適性を把握しましょう。

しかし、目には見えにくい部下の能力や適性を可視化するのは難しいものです。そこでおすすめしたいのが、ミイダスが提供する「コンピテンシー診断」です。

コンピテンシー診断では、部下のパーソナリティーの特徴や業務適性、ストレス耐性などを10段階で評価します。チームをまとめて統率できるか、プレッシャーやストレスに強いかといったことが明確になるため、権限委譲する部下を選ぶ際に役立ちます。

また上下関係適性では上司・部下としてのタイプを可視化し、お互いの相性が適合するか判断することも可能です。
上下関係適性で診断される上司・部下タイプのマトリックス
上下関係適性で診断される上司・部下タイプのマトリックス
たとえば上司のタイプが権限委譲型だった場合、自主判断型の部下と適合しやすいです。素直従順型・強調協力型・情報提供型の部下とは合いにくいため「権限委譲しているけれど思うような動きをしてくれない」と感じることが出てきます。

権限委譲型の上司以外は権限委譲ができないわけではありません。上司・部下それぞれのタイプを把握し、どう指示を出したら良好な関係づくりにつながるか理解したうえで指導やアドバイスを出すことが大切です。

ミイダスのコンピテンシー診断は社員15名まで無料で診断できます。権限委譲する部下の選定や組織づくりにご活用ください。

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適切な権限委譲を実施して自社で活躍する人材を育てよう

小さくガッツポーズをするビジネスマン
権限委譲の基礎知識やメリット・デメリット、導入のやり方などを解説しました。全体のまとめは下記の通りです。
  • 権限委譲とは、上司が担っている業務の一部を部下に委ねるマネジメント手法
  • 将来のリーダーやマネージャー、幹部候補の能力を引き出し、育成することが目的
  • 権限委譲することで、生産性向上が期待できる
  • 権限委譲を成功させるには、責任を負う範囲の明確化や適切なフォローが必要
適切な権限委譲が実施できれば、自社で活躍する将来のリーダーや幹部候補の育成につながります。上司の持っている業務を少しずつ部下に任せ、自主的に判断して行動できる人材を増やしていきましょう。

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