「自社にアンガーマネジメントの考え方を取り入れるメリットや注意点があれば知りたい」
このように悩んでいる方もいるのではないでしょうか。アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合い、人との違いを認めて人間関係をより良いモノにするための心理トレーニングのことです。
本記事ではアンガーマネジメントについて理解を深め、自社のマネジメント業務に活かしたいと考えている方のお役に立つ内容を記載しています。具体的な解説内容は次のとおりです。
- アンガーマネジメントの必要性、学ぶメリット
- アンガーマネジメントを職場に取り入れるメリット
- アンガーマネジメントのやり方
- アンガーマネジメントを取り入れる際に注意すべきポイント
なお「アンガーマネジメントの導入を考えたキッカケは、社内の不満を解消して離職を防止したいからだ」とお考えの方は、この機会にミイダスの「はたらきがいサーベイ」「組織サーベイ」導入を考えてみませんか。
はたらきがいサーベイを導入すると、従業員のはたらきがいを可視化できるため不満を早期発見しやすく、離職防止に役立ちます。また組織サーベイを導入することで、社員一人ひとりの変化や離職の兆候を見逃しにくくなります。
各サービスの詳細は下記をご一読ください。
アンガーマネジメントとは?

日本では、パワハラが社会的な問題になったことから、ここ10年ほどで認知度が向上し、一般的にも知られるようになりました。オフィスからプライベートまで、幅広い分野で活用できるテクニックとして、学ぶ人が増えています。
アンガーマネジメントの必要性
それに加えて、急速に拡大した新型コロナウイルスによって、生活やワークスタイルが大きな影響を受けました。世界的にVUCAの度合いが増している近年、現代人はかつてないほどストレスフルな状態にあるといえます。
ストレスが多いということは、怒りやそれに伴う人間関係の軋轢が生じやすいと考えられます。怒りによる失敗や後悔は、人間関係や仕事などにマイナスの影響を与え、挽回が難しいケースも少なくありません。心理的問題の根本部分をアンガーマネジメントで自己解決できるようになれば、周囲のさまざまな課題もスマートに処理できるでしょう。
アンガーマネジメントを学ぶ効果
生産性の向上や社員の定着率アップなど、さまざまな良い効果が期待できます。またアンガーマネジメントを取り入れるのであれば、従業員がどれくらいストレスを感じ、どのような変化があったのか測定したいところです。
そこでおすすめなのが、ミイダスの提供する「はたらきがいサーベイ」です。従業員のはたらきがいが数字で可視化されるため、どれくらい不満を抱えているか客観的に早期発見できます。サービス詳細は下記をご確認ください。
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【関連記事:健康経営優良法人認定とは?認定要件や申請方法、メリットについて解説】
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そもそも、人はどうして怒ってしまうの?

怒りのメカニズムは、ライターが着火する原理とよく似ています。ライターには燃料のガスが入っており、着火操作の摩擦によって発生する火花によって着火する仕組みです。
この仕組みを怒りに置き換えて考えてみましょう。怒りにとっての燃料とは、心配や不安、焦りといったネガティブな感情や疲労、睡眠不足などのマイナスな状態であり、要はストレスが溜まっている状況です。
そして、多くの人が、大なり小なり持っているはずの「~べき思考」が、火花の要因となります。自分が重視している価値観を他人に否定されたり、裏切られたりしたときに感じるいら立ちが火花となり、燃料であるストレスに引火して、怒りの炎が燃え上がるというわけです。
「怒り」における5つの性質
怒りには、以下の5つの性質があるとされています。
1.高いところから低いところへ流れる
2.身近な人にほど強くなる
3.矛先を固定できない
4.伝染しやすい
5.エネルギーになる
1と2の性質のとおり、怒りは立場の強い人から弱い人にぶつけられやすく、直属の部下や家族など、対象が身近であるほど強い怒りを感じやすくなる特徴があります。また、3の矛先を固定できないと、いわゆる八つ当たりが起きやすいということです。これら3つの性質は、職場でのパワハラの発生要因になります。
また、4の性質にあるように、怒りが周囲に伝染することも少なくありません。例えば、怒りをコントロールできずに怒鳴り散らすような人がいると、周囲も次第にイライラしていき、職場の空気が悪化していく負の連鎖が起きる場合があります。
アンガーマネジメントにおいて、最も重要な性質が、最後の5です。怒りは、自身を成長させ、世の中を変えるポジティブなエネルギーにもなるため、必ずしも悪いものではありません。怒りの感情をうまくコントロールして、ポジティブなエネルギーに変えていくためのトレーニングが、アンガーマネジメントです。
アンガーマネジメントを職場に取り入れるメリット

- ストレスが少なくなる
- 人間関係が良くなる
- 仕事の質や生産性が向上する
- パワーハラスメントが減る
- 社内のコミュニケーションが活性化する
- 離職率改善につながる
- 新しいアイデアが生まれやすくなる
- チャレンジできる人が増える
- お客様からの評判がよくなる
ストレスが少なくなる
腹が立ったとしても、他人の考え方や行動を変えるのは容易ではありません。しかし、アンガーマネジメントによって、自身の「~べき思考」を緩和していくことは可能です。許せないと思うことが減れば、ストレスも軽減されます。心身ともに健康な状態で仕事に向き合うためには、ストレスは少ないに越したことはありません。
人間関係が良くなる
また、アンガーマネジメントによって感情のコントロールがうまくなったことで、内気だった人が喜怒哀楽を率直に表現できるようになる場合もあります。
仕事の質や生産性が向上する
仕事において、高い質を安定的に継続させるには、怒りを含めた感情のコントロールが欠かせません。個人の質や生産性がアップすれば、チームや組織の生産性も向上します。
パワーハラスメントが減る
上司や先輩がアンガーマネジメントを実践できれば、職場のパワハラも起こりにくくなります。離職率を下げ、優秀な人材を定着させるうえでも、パワハラはなくしていかなければなりません。
ハラスメントについて詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
社内のコミュニケーションが活性化する
冷静に話し合いを行いやすくなるため社内の意思疎通を円滑に行いやすくなり、生産性の向上にもつながります。
離職率改善につながる
そこでアンガーマネジメントを徹底することで、怒りをコントロールして職場の雰囲気が悪くなるのを防ぐことができます。結果的に働きやすい環境になり、離職率改善につながる可能性があります。
離職率に関して詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
新しいアイデアが生まれやすくなる
アンガーマネジメントが徹底できていないと「こんなことを提案すると怒られるのではないか」と萎縮してしまい、無難な意見しか出てこなくなるかもしれません。
しかし冷静に話し合うことができる、と分かれば意見を活発に言い合いやすくなり、新しいアイデアがでて新規事業や生産性の向上につながる可能性があります。
チャレンジできる人が増える
テクノロジーの急速な発展や新型コロナウイルスの影響など、外部環境の変化が激しく将来の予測が困難な時代に必要なのは、挑戦的な人材や組織です。固定概念にとらわれることなく、ブレークスルーを実現できる人材を増やしていくことが、将来の予測が困難といわれるVUCA時代における企業の活路といえるでしょう。
つまり、アンガーマネジメントの考え方を組織内に定着させていくことは、企業の競争力強化につながります。
お客様からの評判がよくなる
また、店内のスタッフ同士のピリピリとした雰囲気は、想像以上にお客様にも伝わっているものです。SNSで口コミやレビューが書かれ、拡散もされてしまう時代だからこそ、穏やかに仕事をすることが大切です。
またアンガーマネジメントを実践するなど働きやすい職場になれば、健康経営優良法人を取得できる可能性があります。健康経営優良法人に認定されると、自治体や金融機関からの評価にもプラスに働きます。健康経営優良法人については下記記事を参考にしてください。
【関連記事:健康経営優良法人認定とは?認定要件や申請方法、メリットについて解説】
またミイダスでは、健康経営優良法人の認定取得を支援するサービスを提供しております。ミイダスをご利用している方であれば無料で利用可能です。サービス詳細は下記をご一読ください。
アンガーマネジメントの基本的なやり方

1.「6秒ルール」を実践する
2.怒りの大きさをスコア化する
3.怒りを感じる原因から離れる
4.「~するべき」とった固定観念を見直す
各手順について具体的に見ていきましょう。
1.「6秒ルール」を実践する
イライラしたり怒りを感じたりする場合は、まずは心の中で6秒数えましょう。「怒るほどのことではない」「怒鳴っても仕方がない」など、気持ちを落ち着かせる言葉を繰り返すのも有効です。深呼吸を行うのもおすすめです。
2.怒りの大きさをスコア化する
「今回の怒りは100点満点中70点だ」
「怒りの大きさを10段階で評価すると3〜4ぐらいだ」
このように、怒りを感じるたびに自分の怒りの大きさをスコア化することで、自分を客観的に見ることができます。怒りの大きさをスコア化したり過去の怒りと比較したりすることで、冷静な感情を取り戻しやすくなるのです。
3.怒りを感じる原因から離れる
「なかなか怒りの感情が消えない」
6秒ルールを実施したり怒りの感情のスコア化を実施したりしても冷静になれない場合もあるでしょう。このような場合は、いったん怒りを感じる原因から離れることをおすすめします。
- トイレ休憩をとる
- 飲み物を買いに行く
- 可能であれば仕事場所を変える
4.「~するべき」とった固定観念を見直す
「〜〜するべきだ」
「〜〜しなければいけない」
このような自分の中にある固定観念を見直してみると、必ずしもそうとは言い切れなかったり他の人には当てはまらなかったりするものです。自分の固定観念を理解しておくだけでも、アンガーマネジメントに役立ちます。
また「許容できる」「条件付きで許容できる」「許容できそうにない」など自分の許容範囲を明確にすることも、怒りを抑えるうえで役立ちます。どうしても許容できないことは、相手に伝えて理解を求めることもできるでしょう。
ここまで、アンガーマネジメントのやり方をご紹介しました。手軽に実践できることばかりなので、ぜひ試してみてください。なおアンガーマネジメントを実施する際に注意しておきたいことも、この後ご紹介します。
アンガーマネジメントを取り入れる際の注意点

- アンガーマネジメントは「怒らない」ことではない
- 「怒ってはいけない」だと逆効果になりかねない
- 怒りを感じる原因への対処が必要
アンガーマネジメントは「怒らない」ことではない
「アンガーマネジメントを学んでいるのに怒ることがあるんですね」
「(こちらが怒った場合)アンガーマネジメントができていないですね」
このように言われることもあるかもしれませんが、アンガーマネジメントは決して「怒らない」ことを目的とはしていません。アンガーマネジメントを職場に導入するのであれば、まずはアンガーマネジメントの定義や目的について改めて確認しておくことが大切です。
「怒ってはいけない」だと逆効果になりかねない
- 怒る前に6秒ほど冷静になる時間を持つ(6秒ルール)
- 怒りの感情をスコア化する
- 怒りの原因から離れる
- 自分の中の固定観念を見つめ直す
怒りを感じる原因への対処が必要
そもそもアンガーマネジメントが必要になるほど、従業員がストレスを感じる要因が職場にあるはずです。従業員がアンガーマネジメントに頼らなくても良いように、根本的なストレスの原因を取り除く(軽減する)ことが大切です。
アンガーマネジメントに関するよくある疑問

- アンガーマネジメントを学ぶのにおすすめの本はある?
- アンガーマネジメントは意味がないと言われるのはなぜ?
- 怒りにはタイプがあるって本当?
アンガーマネジメントを学ぶのにおすすめの本はある?
一つ目は『マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント 』です。信用金庫に勤めている主人公が、とあるプロジェクトを任されたのを契機に、アンガーマネジメントを学んで実践していく話となっています。
マンガ形式なので読み進めやすく、ストーリーを通じてアンガーマネジメントについての理解を深めることができます。「アンガーマネジメントの概要を知りたい」「アンガーマネジメントについて、これから理解を深めたい」と考えている人におすすめです。
戸田 久実・葛城 かえで・柾 朱鷺『マンガでやさしくわかるアンガーマネジメント 』
アンガーマネジメントの実践方法まで理解を深めたい人におすすめなのが『アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング』です。
アンガーマネジメントをどう活用していけば良いのか、どうトレーニングすれば良いのか、図解を通じて分かりやすく学べます。理論の理解から実践まで幅広く知りたい人はぜひチェックしてみてください。
安藤 俊介『[図解] アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング 』
アンガーマネジメントは意味がないと言われるのはなぜ?
しかし、この指摘はアンガーマネジメントを誤解しています。前述したとおり、アンガーマネジメントは怒りを消す技術ではなく「違いを受け入れ、より良い人間関係を築く」ための心理トレーニングです。
またアンガーマネジメントについて理解したからといって、すぐに実践できるとも限りません。肉体のトレーニングと同様、心理トレーニングも何度も実践して失敗することで上手くできるようになります。
怒りにはタイプがあるって本当?
1.公明正大タイプ:ルールやマナー、モラルに反することに怒りを感じやすく、自分はもちろん周りにも正しさを求めやすい。
2.博学多才タイプ:勝敗や白黒をハッキリつけたがるため、明確にならないことに怒りを感じやすい。
3.威風堂々タイプ:自分に対して誇りを持っているため、低評価を受けたり思い通りにならないことがあると怒りを感じやすい。
4.天真爛漫タイプ:自分の考えに対して素直に行動したいため、制限を受けたり意見がハッキリしない場合に怒りを感じやすい。
5.外柔内剛タイプ:自分のルールを持っており、それに反する事があるとストレスを感じやすい
6.用心堅固タイプ:慎重な考えをもっているため、無思慮に自分の無い面へ踏み込んでくる人に怒りを感じやすい
自分がどのタイプに当てはまりそうかチェックしてみましょう。自分が怒りを感じやすいポイントについて理解を深めておくことで、自分の中の怒りの感情と付き合いやすくなります。
職場の怒り原因を「ミイダス」で解決する
例えば、自分の強みを生かせない部署に配属されてしまい、成果を出せず、先輩や上司に怒られ続けるという状況は、非常にストレスフルです。異動先のチームメンバーと馬が合わず、イライラしてしまう場合もあるでしょう。
つまり、適材適所の人材配置や自社に合った採用を行うことも、組織内のストレスや怒りを減らす重要な対策の一つだといえます。アンガーマネジメントの視点からの人材マネジメントには、「ミイダス」の活用がおすすめです。

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