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採用

トライアル雇用とは?試用期間との違いやトライアル雇用助成金の要件も解説

トライアル雇用とは、ハローワークが職務経験・技能・知識の不足等の理由がある求職者を企業に紹介し、双方がスキル・人間性・職場環境等を確認したうえで常時雇用する制度です。

主に採用ミスマッチの予防に大きな効果が期待できるほか、トライアル雇用を利用する企業は助成金を受け取れます。ただし、制度を活用するには、いくつか注意点もあるのです。

本記事では、トライアル雇用の制度内容やメリット・デメリットに加え、助成金の申請方法についても詳しく解説します。未経験者採用におけるミスマッチでお悩みの担当者様は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、企業の人事担当者の方に向けて、自社に定着する人材を採用するための方法を紹介したお役立ち資料も用意しています。下記より無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください。

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トライアル雇用とは

トライアル
トライアル雇用には、スキルや知識不足で就職が難しい求職者の早期就職を促進したり、企業側に適性を見極める機会を提供したりする目的があります。

求職者にとっては次の仕事が探しやすくなるほか、新しい技術や知識の習得が可能です。

企業にとっても原則3か月の期間で求職者の適性をじっくり見極められるため、ミスマッチの少ない採用が実現できます。

また、企業はトライアル雇用の種類や、雇用する対象者によって受け取れる助成金の種類が変化します。詳しくは次項をご覧ください。

トライアル雇用で人材を雇い入れる際は、対象者に面接を行います。最初の面接である程度人材を見極めるには、以下の記事も参考にしてください。

【関連記事:コンピテンシー面接とは?やり方や質問例も紹介
【関連記事:【面接官必見】採用面接の質問内容とは?人材を見抜く質問集80選
【関連記事:面接での採用基準とは?採用したい人材を見極める評価項目を解説

トライアル雇用の種類

厚生労働省が公表しているトライアル雇用には2つのコースがあり、障害者向けには2種類の短時間コースが設けられています。
  • 一般トライアルコース
  • 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース
短時間コースとは、各コースで定められた一週間の労働時間よりも、短い時間で雇用できる制度です。後ほど紹介するトライアル雇用助成金についても、短時間コースの場合は受給金額が少なくなります。

また以前は「新型コロナウイルス感染症対応トライアルコース・新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコース」というコースもありました。しかし、こちらは令和5年3月31日限りで廃止となっています。

トライアル雇用の対象者

トライアル雇用の対象となる労働者は、各コースによって条件が異なります。

それぞれ見ていきましょう。

※トライアル雇用助成金の支給条件も含みます。

【一般トライアルコース】

まずは一般トライアルコースの対象労働者について見てみましょう。

”次の[1]から[4]のいずれにも該当する者であること

[1]1週間の所定労働時間が30時間以上の無期雇用による雇入れを希望している者であって、トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している者であること
[2]ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等(以下「ハローワーク等」という。)に求職申込をしていること
[3]ハローワーク等の職業紹介の日(以下「紹介日」という。)において、次のアからエまでのいずれにも該当しない者であること
ア 安定した職業(※)に就いている者
※期間の定めのない労働契約を締結し、1週間の所定労働時間が通常労働者の1週間の労働時間と同じ程度であるものをいう。
イ 自ら事業を営んでいる者又は役員等に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上のもの
ウ 学校に在籍している者
エ トライアル雇用期間中のトライアル雇用労働者

[4]次のアからオまでのいずれかに該当する者であること
ア 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
イ 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている(※)
※パート・アルバイトなどを含め、一切の就労をしていないこと
ウ 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
エ  55歳未満で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
オ  就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する(※)
※生活保護受給者、母子家庭の母等、父子家庭の父、日雇労働者、季節労働者、
中国残留邦人等永住帰国者、ホームレス、住居喪失不安定就労者、生活困窮者”

引用:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

また上記に加えて、ウクライナ避難民やアフガニスタン・シリア避難民も対象労働者として追加される予定です。

参考:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(改正入管法の施行に伴う改正)|厚生労働省

【障害者トライアルコース】

次は障害者トライアルコースの対象労働者を見てみましょう。

“1.対象労働者

次の[1]と[2]の両方に該当する者であること

[1]継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者トライアル雇用制度を理解した上で、障害者トライアル雇用による雇入れについても希望している者

[2]障害者雇用促進法に規定する障害者のうち、次のア~エのいずれかに該当する者
ア紹介日において就労の経験のない職業に就くことを希望する者
イ紹介日前2年以内に、離職が2回以上または転職が2回以上ある者
ウ紹介日前において離職している期間が6か月を超えている者
エ重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者
2.雇入れの条件

(1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
(2)障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと”

引用:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

【障害者短時間トライアルコース】

障害者短時間トライアルコースの対象労働者は、下記のとおりです。

“1.対象労働者
本助成金における「対象労働者」は、継続雇用する労働者としての雇入れを希望している者であって、障害者短時間トライアル雇用制度を理解した上で、障害者短時間トライアル雇用による雇入れについても希望している精神障害者または発達障害者が対象となります。

2.雇入れの条件
対象労働者を次の(1)と(2)の条件によって雇い入れること
(1)ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
(2)3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすること”

引用:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

なお文中にある「紹介日」とは、ハローワークが労働者に職業紹介をした日を指します。

トライアル雇用と試用期間の違い

トライアル雇用と試用期間の大きな違いは、以下の3つになります。
  • 期間
  • 助成金の有無
  • 雇用継続義務
トライアル雇用は原則3ヶ月と国が定めているのに対し、試用期間は企業によって自由に定められます。一般的には1~6ヶ月ですが、なかには1年間の試用期間を設けるケースもあるようです。

また、トライアル雇用は厚生労働省が管理している制度であるため、条件を満たした企業は助成金を受け取れます。これに対し、試用期間は企業が本採用の可否を決める制度であり、助成金の対象とはなりません。

トライアル雇用では、原則3ヶ月の雇用期間が終了すると、労働者の能力や勤務実績等から雇用継続の有無を判断します。雇用継続をしないと判断した場合、解雇の手続をしなくても「解雇」と同様の効果が生じます。

一方、試用期間は本採用を前提としている雇用なので、解雇時は通常と同様の手続きが必要です。詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事:試用期間とは?設定方法と必要事項・解雇や労働契約上の注意点

トライアル雇用助成金とは

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トライアル雇用助成金とは、就業経験やスキルの不足・障害状態などでスムーズな就業が困難な求職者を原則3か月間試用雇用する事業主に対して支給される助成金です。

本制度は、就労困難な求職者が早期に就職できる機会を提供したり、および試用雇用でミスマッチを防いだりする目的で活用されます。

金額はコースによって2万5000円・4万円・8万円と異なり、支給対象期間中の各月の月額合計額がまとめて支給されますが、支給要件は『トライアル雇用の対象者』でお伝えした要件をすべて満たす必要があります。

トライアル雇用助成金の支給額

トライアル雇用助成金の支給額についても、各コースによって異なります。一つずつ確認していきましょう。

【一般トライアルコース】

支給対象者1人につき4万円が支給されます。ただし、母子家庭・父子家庭であったり途中で退職したりするなど、場合によっては支給金額が変動する場合があります。

参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

【障害者トライアルコース】

支給対象者1人につき、以下いずれかの金額が支給されます。

1. 対象労働者が精神障害者の場合、月額最大8万円を3か月、月額最大4万円を3か月(最長6か月間)
 2. 1以外の場合、月額最大4万円(最長3か月間)

【障害者短時間トライアルコース】

支給対象者1人につき月額最大4万円(最長12か月間)が支給されます。

引用:障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース|厚生労働省

トライアル雇用助成金の増額・減額条件

トライアル雇用助成金には増額・減額となる条件があります。

ただし、障害者トライアルコースおよび障害者短時間トライアルコースに助成金の増減はありません。

それぞれの条件を確認していきましょう。

増額条件



【一般トライアルコース】
一般トライアルコースで、対象労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は、1人当たり月額5万円に増額されます。

引用:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

減額条件

次の①および②に当てはまる場合は、実際に就労した日数に基づいて後述の計算式で算出した結果に基づく金額となります。
①次の1~3のいずれかに該当し、トライアル雇用の期間が1か月に満たない月がある場合

1. 支給対象者が支給対象期間の途中で、以下のいずれかの理由で離職した場合
・本人の責めに帰すべき理由による解雇    
・本人の都合による退職    
・本人の死亡    
・天災その他のやむを得ない理由により、事業の継続が不可能になったことによる解雇

2. 支給対象期間の途中で無期雇用へ変更した場合

3. トライアル雇用期間中に、週の所定労働時間を30時間未満または20時間未満に変更した場合

②支給対象者本人の都合による休暇や休業があった場合
いずれかの条件に当てはまる場合、以下の計算式で日数割合を求めます。
A =(支給対象者が1か月間に実際に就労した日数)/(支給対象者が当該1か月間に就労を予定していた日数)
算出したAの日数割合を次表の左欄に当てはめると、減額後の助成金月額が求められます。
トライアル雇用助成金の減額対照表
引用:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

トライアル雇用の手続き方法

書類を書く男性
ここからは、トライアル雇用の手続き方法を解説します。

各種書類を提出する時期が異なるため、タイミングを間違えないよう注意が必要です。
トライアル雇用の仕組み
出典:トライアル雇用|厚生労働省

トライアル雇用を申請し、助成金を受け取るまでの流れは以下のとおりです。
1. ハローワークトライアル雇用である旨を記入した求人票を提出
2. ハローワークから対象労働者の紹介を受け、各コースの期限に従って雇用する
3. トライアル雇用開始から2週間以内に、対象労働者を紹介した機関に「トライアル雇用実施計画書」を提出する
4. トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内に「トライアル雇用結果報告書」「トライアル雇用奨励金支給申請書」を労働局に提出する
5. 助成金を受給
なお、トライアル雇用期間中に離職・休職・本採用などの減額条件が発生した際は、すみやかにハローワークへ連絡する必要があります。

各コースの申請様式は、以下のリンク先からダウンロードできます。ぜひご活用ください。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の申請様式ダウンロード
トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース)の申請様式ダウンロード

助成金申請時に気をつけたい2つの注意点

トライアル雇用を実施して助成金申請を行っても、すべての企業に助成金が認められるとは限りません。

助成金申請の前に、以下2つの注意点を押さえておきましょう。
1. 自社ホームページからの雇用は助成金の支給対象外
2. 助成金制度の改正や廃止がないかチェックする

自社ホームページからの雇用は助成金の支給対象外

トライアル雇用はハローワークからの紹介によって進行する制度なので、自社ホームページから雇用した場合は助成金の支給対象外となります。

「トライアル雇用はハローワークからの仲介が原則」と覚えておきましょう。

また、一部の職業紹介事業者からの紹介の場合、ハローワーク同様にトライアル雇用助成金の支給対象となります。対象の事業者は厚生労働省の人材サービス総合サイトで確認できます。

助成金制度の改正や廃止がないかチェックする

トライアル雇用制度は助成金の不正受給を防ぐため、制度が改正・創設・廃止されるケースが多々あります。

トライアル雇用に応募する求職者および実施する企業の条件、申請期限の変更等も起こりうるので、定期的に厚生労働省のホームページを確認しておきましょう。

トライアル雇用制度の最新情報はこちらから確認できます。

トライアル雇用助成金とキャリアアップ助成金の併給条件

条件はシビアですが、トライアル雇用助成金とキャリアアップ助成金の併給も可能です。

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用労働者の正社員化・処遇改善に取り組んだ企業に助成する制度です。
キャリアアップ助成金のコース概要
出典:キャリアアップ助成金|厚生労働省

上図のうち、トライアル雇用助成金と併給できるのは正社員化支援のコースです。

それでは併給の条件を見てみましょう。
1. トライアル雇用を前提に労働者を雇い入れる
2. トライアル雇用期間の終了後に無期雇用で契約更新を行う
3. 無期雇用へ転換して3ヶ月(トライアル雇用から数えて6ヶ月)が経過した社員を正規雇用に転換している(この段階で給与を5%以上引き上げる必要がある)
4. 正社員転換後さらに6ヶ月が経過し、転換後に引き上げた給与も引き続き支払われている
留意点として、トライアル雇用期間の満了時に有期雇用から無期雇用へ転換しているため、無期雇用から正規雇用に転換した際のキャリアアップ助成金が支払われます。

この際に受け取れるキャリアアップ助成金は、およそ28万5000円~36万円。キャリアアップ助成金単体では57万~72万円受け取れるため、併給した場合より受給総額は多くなるのです。

とはいえ、トライアル雇用助成金単体では12~48万円の支給に留まるので、併給条件に合致するケースがあれば積極的に利用するのが良いでしょう。

トライアル雇用やキャリアアップ助成金以外にも、助成金は50種類以上も存在します。他の助成金についても知りたい方は「雇用関係助成金検索ツール」をご活用ください。

トライアル雇用のメリット5選

企業戦略の前進
企業はトライアル雇用の実施により、5つのメリットを享受できます。
1. 採用ミスマッチの予防につながる
2. 採用コストの削減が可能
3. 契約解除が容易
4. 助成金を受け取れる
5. スピード感のある採用活動が可能
未経験者採用の現場では、どれだけ応募者の適性を見極められるかがポイントです。その点、トライアル雇用で業務を任せながら採用可否を判断できるのは、大きな利点になります。

各メリットについて詳しく見ていきましょう。

1. 採用ミスマッチの予防につながる

トライアル雇用では、実際の業務を通して労働者のスキルが一定基準に達しているか、職場に適応できる人材であるかをじっくり確認できます。

履歴書や面接では適性がある人材のように思えても、採用したあとにミスマッチがあったと判明するケースも少なくありません。その逆も然りで、未経験でも高い潜在能力を備えている可能性もあります。

未経験の労働者を一定期間雇用し、つぶさに観察できるのがトライアル雇用最大のメリットと言えるでしょう。採用ミスマッチが起きる原因について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事:採用ミスマッチはなぜ起こる?理由と対策を解説
【関連記事:離職率が高い会社・業界の特徴は?要因・デメリットと離職率を下げる対策を解説

2. 採用コストの削減が可能

トライアル雇用を実施した企業は、コースと実施期間に応じた助成金を受け取れます。

助成金は採用にかかった人件費にあてられるため、通常の採用活動よりも少ないコストで適材適所の人材を見つけられるのです。ただし、助成金は企業側が申請手続きを行わないと支給されない点には注意してください。

3. 契約解除が容易

トライアル雇用後の常用雇用は義務ではありません。したがって、トライアル雇用の期間満了後は、企業側の意向で契約を解除できます。事前に企業と人材の間で起こるミスマッチに気づけることで、未経験者採用で起こりやすい早期離職の防止にも効果的です。

ただし、あくまでトライアル雇用期間が終了したあとの話となるので、労働者が雇用期間中に退職してしまうと、さまざまなデメリットにつながります。

厚生労働省の調査によると、トライアル雇用終了者のうち常用雇用へ移行しなかった者の内訳で最も多いのは「自己都合退職」で、その割合は約6割にもおよびます。
常用雇用へ移行しなかった割合
出典:トライアル雇用助成金事業|厚生労働省

トライアル雇用期間中のミスマッチを予防して常用雇用へつなげるには、従業員の行動特性(コンピテンシー)や業務適性の分析・可視化が可能な「ミイダス」のアセスメントツールがおすすめです。

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求職者が潜在的に持っている認知バイアス(直感・経験などによる先入観)の測定や行動特性(コンピテンシー)の分析が可能です。また、自社組織を分析してフィッティング人材の特徴を可視化し、自社に合う適性を持った人材を割り出せます。

そのため、面接の段階から精度の高い見極めが可能です。

【関連記事:採用面接を補うバイアス診断ゲームとは?面接だけで決めない中途採用が重要に!
【関連記事:【簡単に解説】コンピテンシーとは?意味や使い方、活用事例を紹介

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4. 助成金を受け取れる

トライアル雇用を実施した企業は、国から支給された助成金を人件費などに活用できるメリットがあります。

一般的な採用活動における人件費はすべて企業の負担となりますが、費用の一部を国に負担してもらえるため、コスト削減と採用活動の両立が可能となります。

5. スピード感のある採用活動が可能

トライアル雇用では、企業が求める人材像に合致する求職者をハローワークが紹介してくれるため、書類選考は不要です。

書類選考は一般的に1〜2週間ほどかけて求職者を選定しますが、場合によっては1か月ほど時間をかけるケースもあります。求職者と企業の双方に負担がかかるため、面接だけで採用活動が完了するのは大きなメリットだと言えるでしょう。

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トライアル雇用のデメリット5選

悩む人事担当者
トライアル雇用は採用活動の効率化や経費削減に役立つ反面、以下のようなデメリットも存在します。
1. 人材育成に時間がかかる
2. 教育体制を一から構築しなければならない
3. 即戦力の採用には適していない
4. 申請手続きが事務負担になる
5. 助成金受給のスケジュール管理が必須
トライアル雇用の制度そのものが業務未経験者を対象としているため、人材育成に時間がかかります。加えて制度や助成金の手続きが必要になり、事務負担が増える可能性もあります。

それでは、詳しいデメリットの内容を見ていきましょう。

1. 人材育成に時間がかかる

トライアル雇用後に採用する未経験者は、離職期間の長い労働者や障害者などです。そのため、教育や指導にかかる時間が長期化しやすい傾向にあります。

教育や人件費、時間などの各種コストが発生するのは避けられません。トライアル雇用の導入を検討すると同時に、受け入れ態勢を整えておく必要があるでしょう。

人材育成の課題解決や成功事例については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事:人材育成の課題とは?解決策や育成手法の選び方を解説

2. 教育体制を一から構築しなければならない

トライアル雇用は職種未経験者が多く、なかには就業そのものに慣れていない求職者から応募が来る可能性もあります。

必然的に人材育成が長期化するため、教育係の選任や教育体制の構築が必須です。採用コストは削減できるものの、育成コストはかかると覚えておきましょう。

3. 即戦力の採用には適していない

厚生労働省はトライアル雇用制度について、以下のように公表しています。

“職業経験の不足などから就職が困難な方や、これまで経験がない職業に就くことを希望している方が、試行雇用を経て無期雇用に移行することを支援する制度があります。”

引用:トライアル雇用|厚生労働省

制度の目的そのものが、就労困難者や業界未経験者の早期就職であるため、即戦力採用への活用はできません。

もし即戦力の採用を目指す場合は、要件定義で自社が必要とする人材の条件を定めてから、中途採用を実施するのが効果的です。

【関連記事:即戦力人材とは?メリット・デメリットと適切に見極めるチェックポイント

4. 申請手続きが事務負担になる

企業がトライアル雇用を申請し、助成金を受け取るには、申請手続き・計画書・終了報告書といった段階的な事務手続きが発生します。

したがって、雇い入れた労働者が増えるほど手続きが煩雑化し、人事や採用担当に負担がかかるのです。トライアル雇用を実施する際は、雇い入れる労働者の人数についても慎重に検討する必要があるでしょう。

5. 助成金受給のスケジュール管理が必須

トライアル雇用助成金を受け取るには、計3回の書類提出を済ませる必要があり、そのうち2回は提出期限に注意しなければなりません。

提出する書類や提出期限は『トライアル雇用の手続き方法』でも解説したとおり、以下のようになっています。
1. 求人票:ハローワークに提出
2. トライアル雇用実施計画書:トライアル雇用開始から2週間以内に、対象労働者を紹介した機関へ提出
3. トライアル雇用奨励金支給申請書:トライアル雇用終了日の翌日から2ヶ月以内に労働局へ提出
トライアル雇用で採用する求職者が多くなれば、その分スケジュール管理が煩雑になるので注意が必要です。

トライアル雇用の活用事例(障害者雇用)

団結する社員
厚生労働省の資料にある障害者トライアル雇用の活用事例について、求職者側のニーズと求人事業主側のニーズに分けて紹介します。
求職者(障害者)求人事業主
ニーズ男性40代 重度知的障害・難病の重複障害
障害特性:運動失調症状(歩行が不安定等)、言葉がうまく話せない
職歴:警備員8年、食品製造工6年、建築塗装工4年
畜産食料品製造業、小規模事業所
障害者雇用の経験なし
障害者雇用に不安がある
課題近年になって重複障害となり、以前よりさらに手厚い支援体制の立ち上げを要する。○ 小規模事業所であり、障害者の雇用経験がなく、障害者を雇用するノウハウがない。
○ 障害者を雇用することに漠然とした不安あり。
支援内容・ポイント○ 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所が連携し、チーム支援を実施。
○ 地域障害者職業センターでは知的障害の重度判定と職業指導、就業・生活支援センターでは職場適応のための助言、就労移行支援事業所では障害特性の理解などの本人向け支援を行う。
○ 養鶏作業員として職場実習を経て、トライアル雇用を開始。
○ チーム支援体制により、職員が定期的に事業所を訪問し、障害特性の理解、受け入れ環境の整備が進展。
○ 本人の作業への習熟、持続力を見極めながら、就業時間を延ばしていくよう助言。
【結果】
○ 職場実習とトライアル雇用により、実際に作業する様子を事前に間近で見ることで、労働能力を確認でき、障害者を雇用する不安を払拭することができた。
○ トライアル雇用終了後は、継続雇用に移行。障害者就業・生活支援センターが引き続き支援を継続。

厚生労働省「障害者トライアル雇用」のご案内の「障害者トライアル雇用を活用された事業所の事例」をもとにミイダス株式会社が一部表の体裁を変更して作成

障害者トライアル雇用では求職者と企業の間に各種専門機関が入り、双方の悩みや不安の解消に向けた具体的なアドバイスを行います。個々の障害状態に応じた支援を受けられるため、企業とのマッチング度が向上し早期の就職が期待できます。

企業のみが障害者に対して支援やアドバイスを行うわけではないため、専門機関やジョブコーチからのサポートも合わせて障害者の適性を見極められるのです。

トライアル雇用の実施に不安を感じている企業担当者の方にも、ぜひ専門機関と連携した採用活動が可能な手段として把握していただきたい内容です。

求職者の適性把握には「ミイダス」

ミイダスで表示される画面の例
トライアル雇用期間中に労働者の適性を把握するには、人材アセスメントツール「ミイダス」がおすすめです。

求職者と企業の双方を数値的・客観的に分析し、採用ミスマッチを極限まで軽減可能です。これにより、自社での活躍が見込まれる人材の発掘に貢献します。

アセスメントツールでご利用いただける3つの診断を紹介します。どのような機能が搭載されているか気になる方はぜひご覧ください。
  • バイアス診断ゲーム
  • コンピテンシー診断
  • フィッティング人材分析

バイアス診断ゲーム

バイアス診断ゲームの画面例①
バイアス診断ゲームの画面例②
「バイアス診断ゲーム」は、NTTデータ研究所とミイダスが共同開発した世界初の診断ツール。約30分×2回(計60分)のゲームで認知バイアスを測定し、特定の状況下でどのような判断を下す可能性があるかを判定します。

認知バイアスは、以下22項目に分けて細かく測定されます。
フレーミング効果表現方法によって判断が変わりにくいか。
現状維持未知のものや未体験のものを受け入れたくないと思い、現状維持をしたいか。
サンクコスト効果一度リソースを投資したものの回収できないとわかった場合に、投資し続けてしまうか。
現在志向将来の利益よりも目の前の利益に価値を置くか。
衝動制御自分の衝動をコントロールし、集中力を持続させるか。
予測態度不確かで見通しの悪い状況でも、冷静に規則性や法則性を判断しようとするか。
リスク許容度リスクを取ることに対する許容度。
協力行動集団内で行動するときの利益の考え方。
全体注意多くの情報から必要な情報を選択するときに、俯瞰的に考えて意思決定するか。
焦点注意多くの情報から必要な情報を選択するときに、全体よりも細部の情報にこだわって意思決定するか。
否定的感情物事に対するネガティブな感情の抱きやすさ。
バイアス診断ゲームを活用すれば、社員一人一人が持つ思考のクセを考慮し、きめ細かな人材育成に役立てられます。

コンピテンシー診断

「コンピテンシー診断」では、職務適性・ストレス要因・パーソナリティ・社員のマネジメント適性など41項目ものコンピテンシー(行動特性)を分析・可視化することで、適切な採用や人材配置に役立てられます。

【コンピテンシー診断項目】
コンピテンシー項目コンピテンシー定義
ヴァイタリティ活動的
行動することで生き生きとする。常に忙しくしていたい。
やるべきことが沢山ある状態を楽しいと思う。

競争性
勝ちたいと思う。競争を楽しみ、負けることを嫌う。
人あたり社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

面倒み
他人に共感でき、思いやりがある。世話好きで他人の個人的な問題にも支援を惜しまない。
チームワーク社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

協議性
広く相談し、他の人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない。
創造的思考力創造的
新しいアイデアを生み出す。新しいものを作り上げることを好む。独創的な解決法を考える

概念性
理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う
問題解決力データへの関心
数字を扱うことが好きで統計データを分析することを楽しむ。事実や数字に基づいて判断する。

概念性
理論に関心を持つ。抽象的な概念について話し合うことを楽しいと思う。
状況適応力社会性
初対面の人と会うのも気楽である。公式の場でもくつろげる。

人間への関心
人の行動や動機を理解しようとする。人を分析することを楽しむ。
プレッシャーへの耐力余裕
リラックスできる。あまり緊張しない。概ね冷静で落ち着いている。

タフ
あまり他人の言動で傷ついたりしない。侮辱を聞き流せる。自分への批判に対して鈍感である。
オーガナイズ能力先見性
長期的な味方をする。将来の目標を設定し、戦略的に考える。

緻密
物事の細部に目がいく。物事を順序立てて系統的に処理することを好む。細部にとらわれすぎることがある。
統率力指導性
リーダーとなって指揮を取り、何をすべきか人に指示する。主導権を取ることを好む。

協議性
広く相談し、他の人に意思決定への参加を求める。自分一人で決定を下すことは少ない。
コンピテンシー診断については以下の記事で具体的に解説されています。ぜひ一度ご覧ください。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説

フィッティング人材分析

ハイパフォーマーの行動特性(コンピテンシー)を分析し、自社で活躍する人材の特徴を可視化するのが「フィッティング人材分析」です。

分析結果をもとに組織や部署ごとの「理想の社員像 = コンピテンシーモデル」を作成し、育成計画の立案や目標設定に役立てられます。

【コンピテンシーモデルの3タイプ】
  • 実在型:ハイパフォーマーから抽出したデータを基に作成する。
  • 理想型:企業理念や経営戦略と照らし合わせた理想像を作成する。
  • ハイブリッド型:実在型モデルと理想型モデルをかけ合わせて作成する。
マネジメントの現場では、トライアル雇用で本採用となった社員(実在型モデル)と、理想型モデルの特徴をかけ合わせた「ハイブリッド型」の作成がおすすめです。

具体的なコンピテンシーモデルの作成方法は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【関連記事:コンピテンシーモデルとは?5つのモデル化手順と注意点を徹底解説!

トライアル雇用は基本的に面接のみで採用しますが、求職者を詳しく知るには不十分と言えます。面接に頼り切った採用活動では、ミスマッチの多発や早期離職を招く可能性が高まるでしょう。

上記のリスクを回避するには、求職者の能力や特徴を可視化できる「人材アセスメント」や認知バイアスを活用しながら、面接での評価を補強するのが重要なのです。

【関連記事:選考基準とは?決め方や面接点数の付け方、選考時の注意点を解説
【関連記事:優秀な人材の特徴と見極め方とは?採用担当が面接で失敗しないポイント

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