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属人化とは?引き起こす原因や解消する方法を紹介

専門性の高い仕事や人手不足によって起こりやすい属人化。属人化とは、特定の担当者しか業務内容を理解していない状態です。

この状態が続くと、全体の作業効率低下やサービスの品質低下につながります。最終的に組織が機能しなくなり、経営にも支障をきたしてしまうでしょう。

本記事では、属人化の意味や引き起こす原因、解消する方法などを解説します。なお、ミイダスでは採用に役立つ資料を無料で提供しています。こちらもあわせてご活用ください。

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属人化とは?意味を簡単に説明

パソコンを操作しているビジネスパーソン
属人化とは「特定の担当者に業務が集中し、その担当者しか業務内容を理解していない状態」を指します。

たとえば、以下のような状況が挙げられます。
  • 特定の担当者しか扱えない業務がある
  • マニュアルがなく、口頭での引き継ぎで業務が行われている
  • 担当者が休暇を取ると、業務が滞ってしまう など

属人化の反対語

属人化の反対語として「標準化」と「体系化」が挙げられます。属人化の理解を深めるためにもそれぞれの意味を確認しておきましょう。

標準化

標準化とは、業務の進め方などを統一し、誰が担当しても一定の品質で業務を遂行できるようにすることです。

体系化

体系化とは、業務の手順やルールなどを整理し、わかりやすくまとめることです。標準化を進めるための前提条件となります。

標準化と体系化は、どちらも属人化による問題を解決するために重要な概念です。標準化によって業務の効率と品質が向上し、体系化によって業務の可視化と属人化の防止が期待できます。

属人化と混同しやすい言葉

属人化と似たような言葉としては「スペシャリスト」と「ブラックボックス化」が挙げられます。

スペシャリスト

スペシャリストは、ある特定の分野に深い知識やスキルを持つ人のことで、属人化は特定の担当者に業務が集中している状態です。

専門的な知識を求められる業務では属人化が起こりやすい傾向にあります。そのため、スペシャリストが多い職場は属人化しやすいと考えられます。

ブラックボックス化

ブラックボックス化は、業務プロセスが可視化されておらず、なぜそのような結果になるのかが不明瞭な状態です。

ブラックボックス化は属人化と同じように、業務の集中によって引き起こされる可能性があります。なぜなら、特定の担当者しか業務内容を理解していないため、結果的に業務プロセスが可視化されない状態に陥りやすいからです。

しかし、属人化とブラックボックス化は異なる概念です。ブラックボックス化は必ずしも特定の担当者に依存しているわけではありません。属人化を解消するためにマニュアルを作成したものの、そのマニュアルが複雑で理解できない場合も、ブラックボックス化とみなされることがあります。

ブラックボックス化について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事:ブラックボックス化とは?属人化との関係性やリスク、解消方法を解説

属人化を引き起こす原因

クエスチョンマークと人形
属人化を引き起こす原因は、以下のとおりです。
  • 業務の専門性が高い
  • 一人ひとりの業務量が多い
  • マニュアル化されていない
  • 従業員が標準化に積極的ではない
  • 研修の場が少ない
それぞれの原因を見ていきましょう。

業務の専門性が高い

属人化しやすいケースとしては、専門性や高度なスキル・知識を必要とする業務が挙げられます。
  • 顧客との関係性を築く必要がある営業
  • プログラミング言語を用いたシステム開発
  • 効果的な広告戦略の立案と実行が必要なマーケティング など
このような仕事はスキルや知識の習得に時間がかかるため、結果的に属人化の原因となるのです。

一人ひとりの業務量が多い

従業員一人ひとりの業務量が多い場合、業務のマニュアル化や引き継ぎの時間を確保することが難しくなります。

その結果、特定の担当者しか業務内容を理解しておらず、属人化が進行しやすくなります。
具体的な例は以下のとおりです。
業務量が多い状況属人化につながる理由
新規事業や繁忙期などで、従業員一人ひとりの業務量が多い業務を標準化する時間が乏しい
人員不足で、一人当たりの業務負担が大きい担当者以外に業務内容を把握する余裕がない
このように、業務量が多い状況下では、属人化を解消するための時間やリソースを確保することが難しく、結果として属人化が定着してしまう可能性があります。

マニュアル化されていない

属人化の原因の一つに、業務プロセスがマニュアル化されていない点も挙げられます。業務内容を明確化し誰でも理解できるように手順をまとめていないため、担当者以外はその業務を遂行できません。

たとえば以下のような状況は、マニュアル化されていないことが原因で属人化が起こっていると考えられます。
  • 特定の業務の手順が口頭でしか引き継がれておらず、担当者以外誰もやり方を知らない
  • 新しい従業員への研修資料がなく、OJTでしか業務を教えられない
  • 過去の事例やノウハウが共有されておらず、担当者の経験と勘に頼って業務が行われている
マニュアル化しないままだと属人化が進み、担当者が不在になった場合、業務が滞ってしまうおそれがあります。

従業員が標準化に積極的ではない

標準化を進めるうえで、従業員側の意識が低いことも属人化の要因として挙げられます。

「自分の仕事は特殊だからマニュアル化できない」「今のやり方に慣れているから変えたくない」という意見を持つ従業員もいるかもしれません。しかし属人化が続けば、業務の属人化が改善しないだけではなく、企業としての成長や競争力にも影響を与える可能性があります。

研修の場が少ない

属人化が起きやすい要因の一つに、従業員への研修機会が少ないことが挙げられます。新しい知識やスキルを身につける機会が不足すると、従業員は既存のやり方に固執しやすくなります。結果的に特定の担当者しか業務内容を理解していない状態が生まれ、属人化が進行してしまうのです。

たとえば、新しいシステムやツールを導入する場合、適切な研修が実施されないと、一部の従業員だけが使用方法を理解し、ほかの従業員は旧システムを使い続けるなど、業務効率が著しく低下する可能性があります。

属人化が引き起こすリスク

クエスチョンマークと虫眼鏡
属人化を放置すると、さまざまなリスクを引き起こします。
  • 業務のブラックボックス化
  • 知識やノウハウの喪失
  • 担当者の負担増加
  • 業務の品質低下
  • 作業効率の低下
  • 組織の機能不全
それぞれのリスクを見ていきましょう。

業務のブラックボックス化

属人化が進むと特定の担当者にしか業務内容がわからなくなるため、業務プロセスがブラックボックス化するリスクがあります。

担当者が不在になった場合、業務が滞ってしまうだけではなく、引き継ぐことが困難になり、組織全体の業務効率が著しく低下する可能性があります。

またブラックボックス化は、業務プロセス全体の可視化を阻害するため、非効率な作業や無駄なプロセスが潜んでいても、それを発見・改善することが難しくなります。結果的に、組織全体の生産性や競争力の低下につながってしまうでしょう。

知識やノウハウの喪失

属人化が進むと、特定の担当者にしか業務の知識やノウハウが蓄積されません。担当者の退職や異動に伴い、業務が滞ってしまうリスクがあります。

また、新しい担当者が業務を習得するまでに時間を要する場合、組織全体の生産性が低下する可能性もあります。属人化によって個人の能力に依存した状態は、組織にとって大きなリスクといえるでしょう。

担当者の負担増加

属人化が進むと、特定の担当者に業務が集中し、負担が増大してしまうケースも多く見られます。

業務プロセスがその担当者に最適化されているため、ほかの人が代わりに業務を行うことも難しく、そもそも、ほかの担当者では対応できないといった状況を生み出します。

その結果、担当者は長時間労働を強いられたり、休暇を取得することが難しくなったりするなど、心身のバランスを崩してしまうリスクも高まるでしょう。

担当者が退職してしまうと、業務が滞るだけではなく、これまで培ってきた知識やノウハウが失われてしまう可能性も高いため、企業は属人化によるリスクを認識しておく必要があります。

業務の品質低下

属人化によって業務の質が低下するケースも少なくありません。その仕事に関して、担当者だけが理解しているという状況では、周囲もサポートしづらいという側面があります。

そのため、担当者が体調不良や離職などで不在になった場合、業務を引き継いだ人がこれまで通りの質を維持できなくなる可能性があります。

また、担当者自身も業務内容を客観的に見直す機会が少ないため、非効率な方法を続けてしまったり、ミスに気づきにくくなったりするかもしれません。

よって属人化は業務の質の低下を招き、組織全体の生産性にも悪影響を与える可能性があるのです。

作業効率の低下

属人化によって担当者以外がその業務を行えない状況では、業務の引き継ぎにも時間がかかります。そのため、1つの業務に時間がかかり、結果として作業効率が低下してしまうでしょう。

たとえば営業部のAさんが長年培ってきた顧客との関係性によって、高い成約率を維持しているとします。

しかしAさんのみが顧客情報や営業ノウハウを把握している場合、Aさんが退職や異動になった際に、顧客対応や引き継ぎに時間がかかってしまうでしょう。新しい担当者が顧客との関係を構築し、同様の営業成果を出すまでには、さらに時間がかかってしまう可能性もあります。

このように属人化は、短期的な視点では効率的に見える場合でも、長期的に見ると作業効率を低下させる要因となり得るのです。

組織の機能不全

属人化が進むと、特定の担当者に業務が集中し、その担当者しか業務内容を理解していない状態に陥ります。

組織全体の業務効率を低下させるだけではなく、以下のような深刻な事態を招く可能性があります。
  • 担当者が退職や休職した場合、業務が滞り顧客や取引先に迷惑をかける可能性がある
  • 新しい担当者が業務を覚えるまでに時間がかかり、スムーズな引き継ぎが難しくなる
  • 担当者の負担が増大し、モチベーションの低下や離職につながる可能性がある
属人化は組織全体の生産性や競争力を低下させ、最悪の場合、組織の存続を脅かす可能性もあります。属人化を解消し、組織として持続可能な状態を築くことが重要です。

業務を属人化から標準化するメリット

MERIT
業務を属人化の状態から標準化するメリットは以下のとおりです。
  • 全体の作業効率が上がる
  • ノウハウが溜まる
  • サービスの品質が一定になる

全体の作業効率が上がる

業務が標準化されると、担当者によって業務の進め方や質にばらつきがなくなり、誰でも一定水準以上のアウトプットを出せるようになります。

これまで属人的な業務を抱えていた従業員は、ほかの業務に集中できるため、全体の作業効率が上がり、生産性の向上につながるでしょう。

また新しい従業員が入社した際も、標準化されたマニュアルや手順書があれば、短期間で業務を習得できます。そのため、教育にかかる時間やコストを削減できるのも大きなメリットといえるでしょう。

ノウハウが溜まる

属人化された業務を標準化することで、個人の暗黙知であった業務プロセスやコツを形式知として記録・共有できるようになります。組織全体として業務に関するノウハウを蓄積することにつながり、以下のような効果を生み出すでしょう。
  • 新人教育や従業員研修に活用することで、教育コストを削減できる
  • 過去の成功事例や失敗事例を分析することで、業務改善につながる
  • 業務の属人的な依存から脱却できる
  • 担当者が不在になった場合でも、業務が滞ることなくスムーズに引き継げる
ノウハウを蓄積し共有することは、組織全体の業務効率化や品質向上、人材育成などに大きく貢献します。

サービスの品質が一定になる

属人化が進んでしまうと、担当者によって仕事の進め方や質が異なり、サービスの品質にばらつきが生じてしまう可能性があります。

標準化を進めることで、誰が担当しても一定レベル以上の品質でサービスを提供できるようになり、顧客満足度の向上につながります。

属人化を解消する方法

従業員
属人化を解消する方法は以下のとおりです。
  • 業務フローを見直す
  • 優先的に改善すべき業務を選ぶ
  • 業務ごとにマニュアルを作成する
  • 従業員の特性を把握する
  • PDCAサイクルを回す
  • ジョブローテーションを実施する

業務フローを見直す

属人化を解消するには、まず現状の業務フローを見直し、標準化できる部分と属人化したままでよい部分を明確にする必要があります。

業務フローを見直す際は、以下の手順で行うとよいでしょう。
①各業務プロセスにおける現状の課題を洗い出す
②各業務プロセスを標準化できるか属人化したままがよいか判断する
③標準化できる業務プロセスについては、手順を明確化し、マニュアルを作成する
④作成したマニュアルに基づいて業務を行い、改善点があれば随時修正する
標準化できない業務や属人化したままでよい業務であっても、業務内容を可視化し、誰でも理解できるようにしておくことが大切です。

優先的に改善すべき業務を選ぶ

標準化を行う業務は闇雲にすべてを対象とするのではなく、優先順位をつけて進めていくことが大切です。以下の表の項目を参考に、自社の課題や状況に合わせて優先順位の高い業務プロセスを選定しましょう。
優先度選定基準
属人化による影響が大きい業務プロセス
業務プロセスが複雑で、標準化による効果が高い業務プロセス
標準化の難易度が低く、短期間で効果が出やすい業務プロセス
属人化による影響が比較的小さい業務プロセス
業務プロセスがシンプルで、標準化による効果が低い業務プロセス
これらの基準を参考に、まずは属人化の影響が大きく、かつ標準化しやすい業務から着手していくことが重要です。

業務ごとにマニュアルを作成する

属人化を防ぐためには、業務ごとにマニュアルを作成することが有効です。マニュアルは業務内容を標準化し、誰でも同じレベルで業務を遂行できるようにするためのツールです。

マニュアルを作成する際には、以下の点に注意することが大切です。
項目内容
対象者誰に向けたマニュアルなのかを明確にする
目的マニュアルを作成することで、何を実現したいのかを明確にする
わかりやすさ図や表を効果的に活用するなど、誰にとってもわかりやすいものにする
更新性定期的に内容を見直し、最新の情報に更新する
マニュアルを作成することで、属人化を防ぐだけではなく、業務の効率化や品質向上にもつながります。

従業員の特性を把握する

従業員一人ひとりのスキルや経験、得意分野を把握し、適切な業務を割り当てることも属人化を防ぐうえで重要です。

得意分野を活かせる業務を任せることで、従業員のモチベーション向上にもつながり、結果的に業務効率の向上や標準化の促進にもなるでしょう。

従業員同士がお互いの強みや弱みを理解すれば、協力して業務を進められるようになります。また、個々の従業員に最適な教育や研修を実施することで、スキルアップを促進し、組織全体のレベルアップを図ることも可能です。

PDCAサイクルを回す

標準化は一度実施すれば終わりではなく、継続的に改善していくことが重要です。そこで効果的なのがPDCAサイクルです。
Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)
業務フローを可視化し、標準化する手順書を作成する作成した手順書に基づいて業務を行い、記録をつける手順書通りに業務が実施できたか、業務の効率化や品質向上につながったかを評価する評価結果に基づいて、手順書の内容を修正する
このようにPDCAサイクルを回すことで、標準化を着実に進め、より効果的に属人化を防止できます。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説

ジョブローテーションを実施する

ジョブローテーションとは、従業員が一定期間ごとに異なる部署や職務を経験する人事制度です。ジョブローテーションを導入することで、担当者不在時の業務の停滞や、スキル・ノウハウの偏りなどを回避できます。

ジョブローテーションによって従業員がさまざまな業務を経験することで、担当者だけが業務内容を把握している状況を改善し、属人化によるリスクを軽減します。また、多様なスキルや知識を身につけることで、従業員の成長を促進し、組織全体の活性化にもつながるでしょう。

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コンピテンシー診断は、あらかじめ用意された質問に回答してもらうだけで、従業員一人ひとりの以下のような特性を把握できます。
  • パーソナリティの特徴
  • 行動特性
  • ストレス要因
  • 職務適性
  • 上下関係適性 など
属人化の解消方法の一つであるジョブローテーションを導入する際も活用できるでしょう。

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適切な人材配置で属人化を解消しよう

本記事では、属人化の意味や引き起こす原因、解消する方法などを紹介しました。

属人化は、特定の担当者しか業務内容を理解していない状態です。この状態が慢性化すると全体の作業効率低下やサービスの品質低下につながります。結果的に、組織が機能しなくなり、顧客に迷惑をかけてしまうおそれもあるでしょう。

まずは一度、業務プロセスを見直し、標準化すべき業務はマニュアルを作成することが大切です。また、従業員の強み・弱みを理解したうえで適切な人材配置・ジョブローテーションを実施し、属人化を防ぎましょう。

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