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嘱託とは?他の雇用形態との違いや給与やボーナスについて解説

嘱託社員とは非正規従業員の一種です。パートやアルバイト、契約社員と同じく有期雇用契約で働きます。

専門性の高い業務を期間限定で専門家に依頼する場合や定年退職後、一定期間再雇用する場合に「嘱託」と呼ぶのが一般的です。

この記事では、嘱託の意味や定義を確認したのち、嘱託社員と他の雇用形態との違いについて解説します。嘱託社員は何歳まで働けるのか、ボーナスの支給は必要なのかといった疑問にも答えていきますので、ぜひ最後までお読みください。

嘱託契約の打診前に必要な知識を身につけたいといった方におすすめの記事です。

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嘱託とは|意味・読み方

森の中で辞書を開く
「嘱託(しょくたく)」には以下2つの意味があります。
1. 仕事を人にたのんで任せること。
2. 正式な身分ではなく、頼まれて仕事の一部を受け持つ人。

出典:三省堂 例解小学 国語辞典 第八版 P642 より
嘱託とは、報酬を支払って業務を依頼することであり、依頼される人の身分を指す言葉として用いられます。例として以下のように用います。
  • 病院の嘱託医として働く
  • 彼は内務省の嘱託だ
  • 嘱託で仕事を続けることになった
では「嘱託社員」とは、具体的にどのような社員を指すのでしょう。

嘱託社員とは?

微笑むビジネスマン達
嘱託社員とは、非正規雇用で働く従業員の一種です。パートやアルバイト、派遣社員と同じく有期雇用契約で働きます。

法律上の定義はありませんが、主に以下いずれかの意味で用いられることが多いです。
・定年退職後に再雇用する場合
・専門的な知識や経験を必要とする業務に従事してもらう場合
それぞれ見ていきましょう。

定年退職後に再雇用する場合

定年退職後、一定期間再雇用する者を「嘱託社員」と呼びます。定年退職の年齢は最低60歳です。高年齢者雇用安定法では、年齢に関わりなく、働く意欲がある誰もが能力を発揮できるよう、企業に65歳までの雇用機会を確保するよう義務づけています。

国が企業に義務づけている内容は以下の通りです。
・「65歳までの定年の引き上げ」
・「65歳までの継続雇用制度(再雇用)の導入」
・「定年の廃止」のいずれかの措置
60歳で定年退職後に再雇用で働く場合、半年から1年更新の有期雇用契約を結ぶのが一般的です。

参考:高年齢者雇用安定法改正の概要|厚生労働省 ハローワーク

専門的な知識や経験を必要とする業務に従事してもらう場合

定年退職後の再雇用以外でも「嘱託社員」として人材を雇用する場合があります。専門的な知識や資格を有する者に必要な期間だけ業務を依頼する場合に、嘱託社員として雇用するのです。

たとえば、社員の健康診断を医師に頼む場合には、医師と嘱託契約を結んで業務を依頼します。また特定のプロジェクト遂行に際して、期間限定で必要な人材を嘱託社員として迎え入れるケースもあります。
企業のリソースには限界があるものです。業務の内容によっては社内では対応しきれない場合もあるでしょう。そこで必要に応じて、嘱託社員を採用して対応するわけです。

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嘱託社員と他の雇用形態の違い

嘱託社員と他の雇用形態の違いを確認しましょう。嘱託社員と他の雇用形態の違いは下表の通りです。
雇用形態一覧表
雇用形態の種類は法律で定義されているわけではありません。労働基準法や民法では一律に「労働者」として扱っているため、法律上の明確な線引きはないのです。そのため、待遇や条件は企業によってさまざまで、職場の呼称として雇用形態が分かれています。

ここでは一般的な違いを解説します。

嘱託社員と正社員の違い

嘱託社員も正社員も直接雇用である点は同じです。

嘱託社員と正社員の大きな違いは、雇用期間の有無です。正社員には雇用期間の期限がありませんが、嘱託社員には雇用期間の期限があります。

多くの場合、嘱託社員は半年や1年更新の雇用契約で就労します。契約期間が満了した場合、会社は原則として雇用契約の更新を拒絶できるのです。これを雇い止めと言います。

一方、正社員は会社側に正当な理由がなければ、解雇できません。働く上での安定性は正社員のほうがあると言えるでしょう。

嘱託社員と契約社員の違い

嘱託社員も契約社員も、有期雇用契約の非正規雇用である点では同じです。嘱託社員と契約社員の違いは「労働時間」にあり、契約社員は基本的にフルタイム勤務です。

一方、嘱託社員はフルタイム勤務だけでなく勤務時間を短めに設定する場合もあります。年齢や体力的な配慮から、労働時間を減らす調整がされることも少なくないのです。

嘱託社員とパートの違い

パートタイマーとは、正社員より所定労働時間が短いか、労働日数が少ない労働者のことを指します。嘱託社員もパートタイマーも非正規雇用。雇用期間を定めて働く点も同じです。

異なる点は賃金の支払われ方です。嘱託社員は基本的に月給制で賃金が支払われます。一方パートタイマーは時給制で賃金が支払われます。

働き手の年齢層にも違いがあり、パートタイマーには主婦層が多い一方、嘱託社員には60歳以上のシニア層が多いという特徴があります。

嘱託社員と派遣社員の違い 

嘱託社員と派遣社員では、雇用主が違います。嘱託社員の雇用主は就業先です。一方、派遣社員の雇用主は派遣会社です。

派遣会社と有期もしくは無期雇用契約を結んだうえで、期間を定めて企業に派遣されます。

嘱託社員と業務委託の違い

業務委託契約とは、自社業務の一部を外部の企業や個人事業主に任せる契約を指します。特徴的なのは、業務を委託する者と受託する者の関係が対等であることです。

嘱託社員には会社との雇用契約があるため、会社の指揮命令に沿って業務に従事します。一方、業務委託契約には雇用契約がありません。そのため、業務委託契約における受託者は委託者の指揮命令を受けず、受託者の裁量に任せて業務を遂行する特徴があります。

業務委託契約については、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:業務委託とは?雇用契約との違いや契約時の注意点について簡単に解説
【関連記事:業務委託契約とは?契約書作成の流れやテンプレート・注意点も合わせて紹介
【関連記事:業務委託とアルバイトの違いとは?企業側のメリット・デメリット、人材の募集方法を紹介

嘱託社員の労働条件

時計と手
嘱託社員の労働条件は、企業によってまちまちです。嘱託社員という雇用形態自体は特に法律で規定されていないため、事業主と個々の従業員との間で話し合い、自由に決めることができます。

しかし、正社員と不合理な待遇差をつけることはパートタイム・有期雇用労働法の8条で禁じられているため注意が必要です。

嘱託社員の労働条件について、詳しく見ていきましょう。

契約期間|有期労働契約である

嘱託社員は有期契約で働きます。多くの場合、定年後再雇用する際に、正社員から嘱託社員へと立場を変え、1年毎に労働条件を見直します。

労働者側からすれば、できるだけ長い期間雇用してもらいたいと考えるものです。しかし、会社の立場からすると、再雇用した者の健康状態によっては雇用継続が困難になるケースもあるでしょう。

そのため通常は、企業が労働者の意思や状況を確認しつつ、1年ごとに雇用契約を更新するのです。

業務内容|同じ場合があれば異なる場合もある

定年前と同じ業務に従事するケースがほとんどです。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「高年齢者の雇用に関する調査」(令和2年3月31日)では、以下のような結果を公表しています。

嘱託社員の仕事内容について、
・定年前とまったく同じ仕事と答えた人は44.2%
・定年前と同じ仕事であるが、責任の重さが軽くなると答えた人は、38.4%
・定年前と一部、またはまったく異なると答えた人は6.1%
まったく異なる業務に従事するケースは少なく、8割以上の企業で定年後も同じ業務に就業させていることがわかります。

参考:高年齢者の雇用に関する調査(企業調査)4ページ|独立行政法人労働政策研究・研修機構 

勤務時間|個別に設定 

各企業の事情や定年を迎えた労働者の状況に応じて、勤務時間を設定しています。

正社員と近い働き方はもとより、下記制度を導入する企業もあります。
・1日の労働時間を短くする短時間勤務制度
・出社・退社時刻を再雇用社員の裁量に委ねるフレックスタイム制度
・在宅勤務制度 など
嘱託社員の労働時間や休日なども、必ずしも定年前と同様の条件とする必要はありません。

参考:図解とQ&Aでわかる パート・契約社員・派遣社員の法律問題とトラブル解決法 (すぐに役立つ) (Kindleの位置No.2558-2559)

給与|減額するケースが多い

嘱託社員の給与は月給制で支払うのが一般的です。給与額は、定年前より減少する傾向が高いと言えます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査結果によると、定年直後の賃金額変化について、回答者の82.3%が「減少した」と回答。賃金の減少率は「41〜50%」が23.6%と最も高くなっています。

しかし定年後の再雇用だからといって、会社の裁量でいくらでも賃金を減額して良いわけではありません。給与は労働者の職務内容に応じて額を決めるべきであり、雇用形態だけで差をつけるのは、同一労働同一賃金の原則に反します。

同一労働同一賃金の原則とは、同じ労働には同じだけの賃金を支払うべきとするルールのことです。
もし給与を下げる場合には以下のような調整が求められます。
・役職を降ろす(役職手当を外す)
・残業・休日出勤をなしにする
・トラブル・クレーム対応は正社員だけにする など
賃金は、労働の対価です。再雇用者に対する賃金も、職務内容に応じて決めましょう。仮に、定年前とまったく同じ仕事の場合には、給与を下げることは裁判上不利に働く懸念も生まれます。

同一労働同一賃金の原則については、後ほど詳しく解説します。

参考:70歳就業時代の展望と課題ー企業の継続雇用耐性と個人のキャリアに関する実証分析 12ページ|独立行政法人労働政策研究・研修機構

ボーナス|支給がないのが一般的

嘱託社員へのボーナス支給も会社によって異なります。ボーナスの支給がないのが一般的ですが、近年では成果主義を採用して、嘱託社員にボーナスを支給する例も見られます。

無論、もともと正社員に対してボーナスを支給していなかった会社では、再雇用後にボーナスを支給することはほとんどありません。

判例によると、正社員と嘱託社員の仕事内容が同じでも、嘱託社員に対する給与や手当の一部、賞与の無支給は不合理ではないと判断されています。無期労働契約の正社員と、定年後再雇用の有期労働契約の嘱託社員とではそもそも賃金体系が異なることから、このように考えられているのです。

社会保険|要件を満たす場合には嘱託社員も加入対象になる

会社の規模によりますが、再雇用で以下の要件を満たす場合には、嘱託社員も社会保険の加入対象となります。
・週予定労働時間20時間以上
・月額賃金8.8万円以上
・2ヶ月を超える雇用見込みがある
・学生でない
社会保険の加入条件については厚生労働省の特設サイトでご確認ください。

定年後に嘱託社員として再雇用された場合には、一度退職(資格喪失)したことにして新たに資格取得の手続きを行います。定年前から引き続き社会保険に加入し続けると、定年前の高い月収をベースに社会保険料が差し引かれてしまうため、このような流れで手続きを行うのです。

この手続きは、同じ日付で資格の喪失と取得を行うため「同日得喪」と呼びます。同日得喪により、再雇用した月分から低下後の賃金に対する社会保険料が適用されます。

企業が嘱託社員を雇用するメリット

ハートに添える手
企業が嘱託社員を雇用するメリットは以下の通りです。
  • 即戦力の確保
  • 人件費の削減
  • それぞれ見ていきましょう。

即戦力の確保

定年を迎えた社員を嘱託社員として再雇用することで、即戦力を確保し人手不足を補えます。業務に関する知識や経験が豊富なので、一から教育するコストがかかりません。

また定年後の社員は、多くの顧客と信頼関係を築いているケースが多いものです。嘱託社員として再雇用することで、顧客との信頼関係を維持できるでしょう。

人件費の削減

人件費を抑えながら労働力を確保できるメリットがあります。身分は嘱託社員であっても正社員と同レベルの業務を行わせ、責任も負わせる場合は、給与額も同等とすることが必要です。

しかし多くの場合、定年前よりも業務量や勤務日数を削減して契約します。少ない仕事量しか与えなかったり、軽微な責任しか生じなかったりする場合は相当の給与額に抑えられるでしょう。

企業が嘱託社員を雇用するデメリット

デメリット
企業が嘱託社員を雇用するデメリットは以下の通りです。
  • 従業員の世代交代が進みにくくなる
  • モチベーション維持が難しい
それぞれ解説します。

従業員の世代交代が進みにくくなる 

高齢者を再雇用すると、その分、新しい人材を採用する機会が減ってしまいます。結果、会社全体で世代交代が進みにくくなってしまう面があるのです。

嘱託社員の豊富な知識やスキルが、若手社員の育成に活きる場面もあるでしょう。一方で、再雇用された嘱託社員の発言力や影響力が強いと、若い世代が萎縮して積極的にアイデアを出せなくなってしまう可能性もあります。

そのため、嘱託社員も若手社員もそれぞれが持ち味を発揮できる環境作りが求められると言えるでしょう。

モチベーション維持が難しい

高齢者の再雇用においては、モチベーションの維持が難しいと言えます。役職が変わったり、給与が低下したりすることで、業務への意欲を失う社員は少なくありません。

かつての部下が上司になり、やりづらさを感じる人もいるでしょう。また、年齢とともに体力や気力が低下し、従来のパフォーマンスの発揮が難しくなる可能性もあります。

そのため、高齢社員の承認欲求を満たす心配りが必要と言えるでしょう。

埼玉県の菓子メーカー・三州製菓株式会社では、シニアの活躍を引き出す取り組みに力を入れています。モチベーションを保てるよう役職名を残したり、定年後も公正な評価を受けられるよう、時間当たり成果で評価したりといった配慮がされているのです。

三州製菓では、本人が希望すれば原則77歳まで働けるそうです。

嘱託社員が可能な限り能力を発揮できるよう、企業には社員のモチベーションを維持する工夫が求められると言えるでしょう。

参考:社員のモチベーションを高める取り組み 三州成果株式会社|農林水産省

嘱託社員の雇用に関する注意点

CAUTION
嘱託社員を雇用する際に知っておきたい注意点を3つ解説します。
  • 同一労働同一賃金の原則に準じる
  • 無期転換ルールに対応する
  • 雇い止めのルール
非常に重要なポイントです。それぞれ見ていきましょう。

同一労働同一賃金の原則に準じる

正社員から嘱託社員に変わったからと言って、雇用形態の変化のみを理由に給与を下げてはいけません。同一労働同一賃金の原則に反するためです。

同一労働同一賃金の原則とは、同じ労働には同じだけの賃金を支払うべきとする原則のことです。パートタイム・有期雇用労働法8条では、雇用形態を理由に待遇差を受けてはいけないと定めています。
定年前と業務内容や責任が変わらないのに、嘱託社員になっただけで給与を減額するのは法令違反になる可能性があるのです。

同一労働同一賃金の原則に準ずるために、雇用側には以下の対応が求められます。
  • 正社員と同じ量の仕事で責任感の重さも変わらない場合には、正社員に準じた給与を支給する
  • 賃金を下げる場合には、仕事内容を正社員よりも簡易なものにするか、業務量を減らす
(不合理な待遇の禁止)
第八条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

e-GOV|短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
嘱託社員の労働条件を設定する際は同一労働同一賃金の原則に照らして、準じているか確認しましょう。

無期転換ルールへの対応

嘱託社員は有期雇用契約ですが、以下の要件を満たす場合には、会社側は労働者の申し込みに応じて、労働者を無期契約に転換しなければなりません。
【無期転換ルールの適用要件】
・有期労働契約が繰り返し構成され、通算5年を超える
・契約期間が満了するまでに、労働者が無期雇用契約の締結を申し込む
労働者から無期転換の申し込みがあった場合には、会社側はこれを拒否できません。有期雇用契約者が契約更新の有無を心配せずに安心して働けるよう、このようなルールが整備されているのです。

とはいえ、無期転換ルールが適用されたからと言って、正社員の待遇になるわけではありません。契約期間が無期限になるだけです。

一方、無期転換ルールには特例も設けられています。定年後の継続雇用者や一定の要件に該当する専門職などに対しては、以下の特例がある点も抑えておきましょう。
・一定の雇用管理措置を講じたうえで労働局長の認定を受ければ、無期雇用転換の対象外にできる
・事業者が第二種計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた場合は、特例の対象とすることができる

参考:高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について|厚生労働省
つまり、労働局長から認定を受ければ、無期転換ルールに応じる必要がなくなるわけです。中長期的に人材を管理する上でこのような特例があることも覚えておきましょう。

雇い止めのルール

契約期間満了時に、企業側が契約更新せず雇用関係を終了させることを「雇い止め」と言います。嘱託社員は有期雇用契約であるため、企業側の都合で契約を更新しないケースが十分あるのです。

とはいえ、いかなる場合も契約期間満了をもって雇い止めできるわけではありません。労働者保護の観点から、一定の場合にこれを無効とする判例上のルールが確立されています。人事担当者として、しっかり理解しておきましょう。

雇い止めが無効になる可能性があるのは以下のケースです。
・仕事内容が臨時的ではなく、正社員とあまり変わらない
・採用基準や給与、労働時間などが正社員とあまり変わらない
・会社側も更新を期待させるような言動があった
・何度も契約更新が繰り返されてきた
・契約更新の意思確認がほとんどなく、手続きが形式的
・勤続年数が長い
・会社では、過去に雇止めをしたことがない。

引用:現役人事・労務さんの声を生かした 人事・労務のお仕事がテキパキはかどる本 P41より
期間が満了したからといって、安易に雇い止めをしてしまうと、雇い止め無効の訴えをされてしまう可能性もあります。更新の期待が発生しないよう、あらかじめ雇用の上限年齢を明示するなどの配慮が求められるでしょう。

嘱託に関するよくある質問(Q&A)

Q&A
嘱託契約に関するよくある質問に答えていきます。

嘱託社員は何歳まで働けるのか?

基本的に65歳まではどこの会社でも働けます。高年齢者雇用安定法により、65歳までの雇用確保が義務付けられているためです。

高年齢者雇用安定法では、定年を65歳未満に定めている事業主に以下いずれかの措置を講じる義務を定めています。
  • 65歳までの定年引き上げ
  • 定年制の廃止
  • 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
さらに65歳から70歳までの就業機会確保に関しては、現状では努力義務とされています。

厚生労働省の調査結果によると、全国の常時雇用する労働者が21人以上の企業232,059社のうち、
・70歳以上まで働ける制度のある企業は84,982社(36.6%)
・中小企業でが37.0%、大企業では32.1%。
・定年制の廃止企業は9,190社(4.0%)
・中小企業では4.2%、大企業では0.6%
といった結果が出ています。つまり約3割程度の会社では70歳以上の高齢者も働けるわけです。

参考:令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します|厚生労働省
参考:高年齢者雇用安定法改正の概要|厚生労働省 ハローワーク

嘱託社員の残業は可能なのか?

嘱託社員にも残業は頼めます。ただ原則として1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはなりません。企業と従業員が36協定を結んでいる場合は、1日8時間以上、週40時間以上の時間外労働が可能です。

嘱託社員の評価はどのように行われるのか?

すべての企業が嘱託社員の評価制度を導入しているわけではありません。評価制度を導入している企業と導入していない企業の割合はほぼ半々です。

評価方法は企業によってまちまち。正社員に対する評価の仕組みをそのまま嘱託社員に適用している企業があれば、嘱託社員用の評価制度を適用している会社もあります。

評価制度のある企業へのアンケート結果は以下の通りです。
・現役正社員の仕組みをすべての高齢社員に適用している企業が 50.1%,
・一部の高齢社員に適用している企業が 12.2%
・現役正社員と異なる制度を適用している企業が 36.4%

参考:嘱託(再雇用者)社員の人事管理の特質と課題ー 60 歳代前半層を中心にして|独立行政法人 労働政策研究・研修機構 114ページ
ある企業では、再雇用したシニアの人事評価制度を成果主義の制度に改めたと言います。成果比例の賞与を追加することで、従来より年収が上がるようにしたそうです。

評価制度は嘱託社員のモチベーションにもつながります。自社の現状に沿った最適な評価手法を模索しましょう。

嘱託社員として定年後再雇用した場合、年休は引き継がれるのか?

年休の日数は引き継がれます。雇用形態が変わっても、雇用の実態が退職前と何ら変わることはないためです。

年休付与の要件に「6ヶ月以上の継続勤務」があります。継続勤務とは在籍期間のこと。

厚生労働省の通達では、「継続勤務」を勤務の実態に即して判断すべきとしています。そのため、雇用の実態において変わりがないため、前年の残余日数が引き継がれることになります。

参考:定年退職後、再雇用した場合、勤続年数を通算して年休を与えなければならないでしょうか。|厚生労働省 東京労働局

雇用ルールを遵守して、嘱託社員を有効活用しよう

ひらめき
嘱託社員は非正規雇用の一種です。パート・アルバイトと同じ有期雇用で働きます。

定年を迎えた社員を嘱託社員として再雇用すると、企業にとって貴重な労働力確保になると同時に、若手社員の育成に良い影響をもたらすでしょう。

一方でモチベーション維持の難しさに課題があります。定年前に比べて給与が下がったり、かつての部下が上司になったりといった状況に、仕事への意欲を失う嘱託社員は少なくありません。

そのため会社には、嘱託社員も生き生きと働ける環境づくりに努める必要があるでしょう。定期的に嘱託社員のモチベーションを把握することをおすすめします。

会社がはたらく人の働きがいを引き出す環境を作れているかを評価する「はたらきがいサーベイ」

安定的な雇用確保には、従業員自身が業務に働きがいを感じられる環境整備が大切です。しかし、従業員が働きがいを感じているかどうかは、アンケートをとってもなかなか本音が見えないケースも多いでしょう。

そこで活用いただきたいのが、ミイダスの「はたらきがいサーベイ」。

ミイダスの「はたらきがいサーベイ」は、従業員の働きがいを把握し、課題を特定するのに役立つサービスです。従来のサーベイと明確に異なるポイントは、主観と客観に分けて質問する点。

答えた質問が主観的な解答なのか客観的な解答なのか、回答者の立ち位置が明確になるため、社員の本音により近い回答を得やすくなるでしょう。

従業員のはたらきがいを「満足度」と「重要度」の両面から可視化できるのが特徴的です。従業員が会社や組織に求めるものを確認できるため、解決すべき課題の優先順位もわかります。

従業員が会社で働き続けたいと思っているか、働いていることに満足できているか、こういったことがわかるのです。

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