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人材アセスメント

アサーションとは?|自己表現の3つのタイプとトレーニング方法を解説

「社内のコミュニケーションを活性化させたい」
「コミュニケーションを円滑にして、良好な職場環境を整えたい」

このようにお悩みではありませんか?

職場のコミュニケーションを円滑にするには、アサーションスキルの習得が有効です。アサーションとは、自分も相手も尊重しながら自己主張するコミュニケーション手法のこと。

自分の気持ちを率直に伝えるとともに、相手の気持ちも大切にするコミュニケーションのため、良好な人間関係構築につながります。

本記事では、アサーションの基礎知識やトレーニング方法について解説します。社内コミュニケーションに問題を感じている経営層や人事担当者の方は、ぜひご一読ください。

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アサーション(assertion)とは

テイクアウトのコーヒーを手に談笑する女性二人
アサーション(assertion)とは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーションのことです。アサーションでは、率直に自分の気持ちを伝える一方、相手の主張を否定したり強い口調で無理に押し込めたりはしません。

双方の意見が異なっても、お互いの価値観を尊重しつつ、自分の意見を的確に言葉にするのがアサーションです。相手に歩み寄って物事を進めるコミュニケーションのため「尊重し合って決めた」という、さわやかな気持ちが残る利点があります。

アサーション・3つのタイプの特徴|ドラえもんに例えよう

鉛筆を持つ手とひらめきマーク
アサーションでは、コミュニケーションタイプを以下3つに分類しています。
1.非主張的(ノンアサーティブ)
 自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするタイプ・自分が負け
2.攻撃的(アグレッシブ) 
 自分のことだけを考えて他者を踏みにじるタイプ・自分が勝つ
3.アサーティブ
 自分のことをまず考えるが、他者に配慮するタイプ・どちらも勝つ
アサーションが目指すのは「アサーティブ」タイプです。それぞれの特徴を、アニメ『ドラえもん』のキャラクターに当てはめて解説します。

非主張的(ノンアサーティブ)

アニメ『ドラえもん』に登場する「のび太くん」をイメージしてください。ジャイアンに理不尽な要求をされても断れず、渋々従ってしまう姿が浮かぶでしょう。

気持ちを言わないだけでなく、あいまいな返し方をしたり、言い訳がましく場を取り繕ったり。のび太くんのように自己主張しないタイプは「非主張的(ノンアサーティブ)」に分類されます。

ノンアサーティブなコミュニケーションをしていると、次のような状況に陥りがちです。
・「自分はだめだ」といった劣等感が残りやすい
・「譲ってあげたんだ」といった恨みがましい気持ちが残りやすい
・過剰なストレスを自分にかける結果、心身症やうつ状態になりやすい
相手に譲ってあげているように見えながら、自信がなく不安が強い傾向にあります。自信のなさを隠して卑屈な気持ちになっていることが多いのが「ノンアサーティブ」です。

攻撃的(アグレッシブ)

ドラえもんに登場する「ジャイアン」をイメージしましょう。「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」と、自己中心的な言動でのび太くんを困らせる姿が浮かぶでしょう。

自分の思い通りに相手を動かそうとする、ジャイアンのようなタイプは「攻撃的(アグレッシブ)」タイプに分類されます。相手の犠牲の上に成り立つ自己表現を繰り返すのが「攻撃的(アグレッシブ)」タイプの特徴です。

自分の希望が満たされる一方で、アグレッシブな自己表現には下記のような問題点があります。
・自分の意向が通っても、その強引さのせいで後味の悪さが残りがち
・恨みを買いがち
・相互尊重には程遠いため、ギスギスした関係になりがち
とくに、立場が強い上司は、アグレッシブな言動で立場の弱い部下を支配してしまうことがあるでしょう。

アグレッシブタイプに分類される「クラッシャー上司」については、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:部下を潰すクラッシャー上司とは?特徴や企業ができる対策を解説

アサーティブ

最後にドラえもんに登場する「しずかちゃん」をイメージしてください。相手の気持ちを大切にしつつ、はっきりと意見を伝えるしずかちゃんの姿が浮かぶでしょう。

自分の気持ちや考えを、その場にふさわしい方法で表現するコミュニケーションタイプを「アサーティブ」と呼びます。率直に自己表現する一方で、相手の意見に耳を傾ける態度を示すのも「アサーティブ」の特徴です。

しずかちゃんがジャイアンやのび太の誘いを断るとしたら、きっと以下のように答えるはずです。
「いいわね!ステキ!」
「でも残念だわ。今日はピアノのお稽古があるの。明日ならいいわ」
相手の気持ちをいったん受け入れてから、自分の気持ちを伝えています。

はっきりと自己主張する点では「アサーティブ」も「アグレッシブ」も共通しています。しかし、両者には下記のような違いがあります。

【アサーティブとアグレッシブの違い】
  • 意見が違う相手にも、自主的な発言を推奨する
  • 意見が食い違っても押し付けたり、すぐに譲ったりせず、双方にとって納得のいく結論を出そうとする
「私もOK・あなたもOK」、それが「アサーティブ」なのです。

続いて、アサーティブな自己表現について、具体例を見て理解を深めていきましょう。

アサーションの具体例|相手も自分も大切にするコミュニケーションとは?

地球の周りに座る男女を模した粘土細工
アサーションの具体例を3つ取り上げます。アサーティブなしずかちゃんなら、どのように振る舞うかを想像しながら、下記の具体例を見てください。

【事例1】「列に割り込まれたら…」

スーパーのレジに並んでいます。
後ろにも並んでいます。
あなたの前に割り込んできた人がいます。
あなたは割り込んできた人に対して、どのように対応しますか?
1.怒りと共に「やめてください!ちゃんと後ろに並んでください」と言う
2.ムッとはするが「相手にも事情があるかも」と何も言わずそのままにする
3.きちんと状況を説明し、後ろに並んでもらうよう諭す

【事例2】「誰も仕事を教えてくれない!」

第一志望の会社に入社できた。
しかし、予想以上に上司や先輩が忙しそう。
誰も仕事を教えてくれない。
毎日頼まれたコピーや買い物など、誰でもできる雑用ばかり。
より仕事を教えてもらうには、どうすれば良いか?
1.仕事を教えてくれないほうが悪いと仕事をサボる
2.ネガティブな気分で指示をひたすら待つ
3.先輩たちの仕事ぶりから学べることを探す。何か手伝えそうなことはないか、聞いてみる。

【事例3】「業後の付き合いを断りたい!」

職場で先輩や同僚から「仕事が終わった後に飲みに行こう」という誘いがありました。
仕事が忙しくて定時で帰れそうにない場合、どのように返事をするか?
1.「無理ですよ!仕事が山積みなんです」と断る
2.断りきれずに渋々誘いに乗る
3.「実は今仕事が山積みなんです。誘いは嬉しいのですが、今日はお断りしたいです。来週は仕事も一段落していると思うので、良かったらまた誘ってください」と答える。

いずれの事例も1が「アグレッシブ」、2が「ノンアサーティブ」、3が「アサーティブ」な対応の例です。

アグレッシブなコミュニケーションでは、相手を否定してしまうため、周囲との軋轢を生みかねません。ノンアサーティブなコミュニケーションでは、グッと自分の気持ちを押し込めるため、ストレスになりがちです。

アサーティブなコミュニケーションでは、しっかり自己主張するものの、相手を傷つけることはありません。そのため、人間関係を円滑にする効果が期待できるのです。

アサーションの起源

夕焼けバックの男女のシルエット
アサーショントレーニングの起源は1950年代のアメリカ。アサーショントレーニングは行動療法の一技法として開発されました。

対人関係がうまくいかない人や自己表現が苦手な人向けに、自己表現の訓練を実施。訓練を通して対人不安の克服を図ったのです。

その後、1960年代からアサーションは公民権運動(黒人の基本的人権を要求する運動)と連動。運動を推進する人たちに大きな影響を与えました。非暴力を貫き、人間の平等をアサーティブに訴えたキング牧師の姿は、多くの人にアサーションの重要性を訴えたと言えるでしょう。

日本においては1980年代に平木典子氏によりアサーショントレーニングが導入されました。1990年代にはアサーションに関する本が翻訳・出版され、広く知られるようになってきたのです。

参考:日本におけるアサーション研究に関する展望

アサーションが注目される背景

幻想的な東京駅近郊
職場におけるハラスメント対策の一つとして「アサーション」が注目を集めています。

2020年6月1日「改正労働施策総合推進法」(通称・パワハラ防止法)が施行され、職場のパワーハラスメント防止対策が事業主に義務付けられました。2022年4月には中小企業の事業主にも適用され、日本全体としてパワハラを撲滅する気運が高まっています。

厚生労働省は「職場のハラスメントに関する実態調査」において、ハラスメント経験者に職場の特徴を調査。その結果、最も多く挙げられたのは「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」といった声でした。
厚生労働省実施のパワハラに関するアンケートグラフ
画像出典:職場のハラスメントに関する実態調査について|厚生労働省 104ページ

また「ハラスメント予防に今後勤務先に求められる取り組み」を聞いたところ、「コミュニケーションの活性化や円滑化のための取組」(30.4%)を求める声が最も割合が高く、ついで「職場環境の改善のための取組」(28.7%)となりました。

「コミュニケーションの活性化」がハラスメント対策には不可欠といった見方が強くなっています。

こうした背景からあらためて注目を集めているのが「アサーション」です。相手を尊重しつつ自分の意見も率直に伝えるコミュニケーションが広がれば、対等な意見交換や人間関係の円滑化といった効果を期待できます。

職場のハラスメントに関しては、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:ハラスメントとは?定義と判断基準、発生した場合の対応方法を紹介

コミュニケーションタイプを知る|アサーション・タイプ診断

アサーティブなコミュニケーションを身につけるには、まずは自分がどの程度アサーションできているか確認する必要があります。以下のチェックリストを使って、普段のアサーション度を確認しましょう。
アサーション度チェックリスト
アサーション度チェックリスト
画像出典:平木典子著『アサーション・トレーニング|さわやかな<自己表現>のために』p.13-p.14

チェックリストの1〜10は「自分から働きかける言動」についてであり、11〜20は「人に対応する言動」に対する項目です。
・「はい」の数が10個以上あれば、あなたのアサーションは普通以上
・「はい」の数が10個以下、うまくアサーションできていない
うまくアサーションをできていない場合には、次章で解説するトレーニングを日々実践しましょう。

社内において、上司・部下のコミュニケーションにお悩みの方もいるのではないでしょうか。その際には、お互いの特徴を知ることが大切です。

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アサーションのトレーニング方法とは?

ピラティスに励む女性
アサーションスキルは、ゴルフやピアノのように学習・訓練をして初めて身につくものです。そのためスキルの習得にはトレーニングが必要です。

日頃から下記のポイントを意識して実践することで、アサーティブなコミュニケーションを習得できるでしょう。
  • DESC法(デスク法)を活用して主張する
  • 「私」を主語にして伝える
  • 自己開示を心がける
心がけと訓練が身を助けます。3つのポイントをそれぞれ解説します。

DESC法(デスク法)を活用して主張する

自分の気持ちをどう伝えたら良いか戸惑う場面に遭遇したら、DESC法を活用しましょう。DESC法とは、アサーションのプロセスを4つに分解したものです。相手にわかりやすく意見を伝える際に役立ちます。
D=描写する(Describe)
自分が対応しようとする状況を客観的に描写

E=表現する・説明する・共感する(Express/Explain/Empathize)
状況に対して自分または相手の気持ちを主観的に表現・説明・共感

S=特定の提案をする(Specify)
相手に望む解決策を具体的に提案

C=選択肢を示す(Choose)
相手から同意されたときと、同意されなかったときどうするか選択肢を考えておく
引用:平木典子著「マンガでやさしくわかるアサーション」P163

DESC法の活用例は下記の通りです。

【具体例】
話し合いが長引き、終了予定時刻を大幅に過ぎています。
議論も行き詰まり、雰囲気もどことなく悪くなってきました。
あなたは休憩か延期の提案をしたいと思っています。
D(描写)
「話し合いが始まってから既に2時間経過し、予定終了時刻を大幅に過ぎています。長時間の会議に疲れが見え始め、意見も出にくくなっているようです。」

E(自分や他人の気持ちを表現)
「正直、私自身も次第に頭が回らなくなってきました。皆さんも同じではないでしょうか。」

S(特定の提案)
「どうでしょうか。いったん仕切り直しませんか。」

C(選択肢を示す)
「今日はここで終えて、明日、再度会議の場を設けるか、いったん休憩して仕切り直すのはいかがでしょう。もし、このまま続ける必要があるなら、あと30分と時間を決めて進められるとありがたいです。」

自分の気持ちを率直に伝えつつも、会議の参加者に「休憩か延期」かの選択肢を与えているため、相互的なコミュニケーションが成立しています。

コミュニケーションは経験を重ねて学ぶものです。普段から意識して活用することで、アサーションスキルを鍛えられるでしょう。

「私」を主語にした言い方を心がける|アイメッセージを使った自己主張

意識的に主語を「私」にして伝えましょう。「私」を主語とした主張方法を「アイ・メッセージ」と呼びます。アイメッセージで伝えると、相手を責めている印象が和らぐため、人間関係を良好に保ちやすくなるのです。

「主語がある伝え方」と「主語がない伝え方」を比較すると、印象の差をより理解できます。

【主語がない表現】
  • あなたは間違っているよ
  • 早くしてよ!
  • 何を言っているか、よくわからないよ
  • 大声で怒鳴らないでください
【主語がある表現】
  • 私は、あなたが間違っていると思う
  • 私は、あなたが早く進めてくれると助かるんだけど
  • 私は、もう少し詳しく説明してもらいたい
  • 私は、大声で怒鳴られると辛い
主語がない表現では、相手を責める印象が強く残ります。一方「主語がある表現」は、自分の気持ちを率直に伝えつつも、相手を尊重している印象が残るでしょう。

私を主語にすることで、自己主張しつつも相手にも配慮できます。そのため、win-winなやりとりができるのです。

自己開示を心がけよう

積極的に自己開示しましょう。「自己開示」とは、他者にありのままの自分をさらけ出すことです。自らの強みだけでなく、弱点や悩み、過去の失敗なども含めて、ありのままを相手に伝えます。

自分から積極的に自己開示することで、相互理解が進むでしょう。

例として下記の内容を話してみることをおすすめします。
・新入社員時代の失敗
・過去に悩んでいたこと
・休日の過ごし方
・熱中している趣味
・最近読んだ本 など
自己開示はアサーションの基本です。勇気がいるかもしれませんが、良好な関係を構築するには欠かせない心がけと言えるでしょう。

アサーティブになるポイント

アサーティブになるポイントは3つあります。
  • アサーションする権利があると自覚する
  • 自分の気持ちを把握する
  • 結果を過度に気にしすぎない
一つひとつ解説します。

アサーションする権利があると自覚する

誰もが自己表現する権利「アサーション権」を持っていると自覚しましょう。他人の尊厳を傷つけない限りは、誰でも自分の気持ちや意見を伝えて良いのです。

臨床心理学者の平木典子氏は、著書の中で具体的に以下5つのアサーション権を挙げています。
・私たちは、誰からも尊重される権利がある
・私たちは、他人の期待に応えるかどうか決める権利がある
・私たちは誰でも過ちを犯し、それに責任を持つ権利がある
・私たちは、支払いに見合ったものを得る権利がある
・私たちは、自己主張しない権利もある
参考:平木典子著「アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のために」第2章 p58-75

頼まれごとを断る際、罪悪感を抱く人もいるでしょう。しかし、自分のしたいことと他者の希望が合わないとき、無理に相手の希望に応える必要はありません。

また、自分が希望を伝える際は「控えめにすべきだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、私たちには誰からも尊重される権利があります。誰でも欲求を持っていて当然で、それは他の人と同じくらい大切にしてほしいと相手に求めて良いのです。

アサーション権は、自分にも相手にもあることをしっかり認識する姿勢が大切です。

自分の気持ちを把握する

アサーティブな自己表現は、自分の気持ちを明確に把握してこそ実現します。気持ちが不明確なままでは、あいまいな伝え方に終始し、互いの落とし所を見つけるのが難しくなってしまうでしょう。

自分の気持ちを把握するには、人に相談したり、紙に書き出したり、胸の内を日頃からアウトプットするのが大切です。頭の中の漠然とした考えを言葉にして外に出すことで、自分の本当の気持ちや願望が見えてきます。

またアイメッセージで伝える習慣を身につけることで、自身の感情により気づきやすくなるでしょう。
「なんだか腹が立つなぁ」→「私は今集中したいのに、野暮用で声をかけられたから腹が立っている」
アイメッセージで伝える訓練を繰り返すうちに、なぜ腹が立ったのか、なぜ楽しいのか、理由が見えてきます。次第に自分らしさがはっきり感じ取れるようになるでしょう。

自分の感情に気づき、気持ちをありのままに受け入れて大切にすることがアサーションの出発点と言えるのです。

結果を過度に気にしすぎない

相手の反応を気にしすぎないことも大切です。相手の反応を気にしすぎると、自己表現できなくなってしまいます。

率直に意見した結果、一時的に関係が悪くなることもあるかもしれません。しかし、関係の悪化を恐れてばかりいると、意見を飲み込む場面が増えてしまいます。人と意見が食い違ったり対立したりすることはよくあるため、自然なことだと心得ましょう。

意見が違うのは当然で、悪いことではありません。意見が違っていたら、折り合いをつけて、なんとかやっていく方法を探れば良いのです。それがアサーションなのです。

アサーションを取り入れるメリット

「MERIT」と記載されたブロックキューブと電球マーク
アサーティブ・コミュニケーションを導入すると、従業員エンゲージメントが向上する効果が期待できます。なぜなら相手に不快感を与えずに主張でき、良好な関係を築きやすくなるためです。

大阪体育大学のキャリア支援部では、アサーティブ・コミュニケーションを導入したところ、エンゲージメントに関する全20項目のうち、11項目のエンゲージメントスコアが向上したと言います。

下記のように取り組み、アサーティブ・コミュニケーションを浸透させたそうです。
  • キャリア支援スタッフにDESCL法の言葉遣いや対応方法を説明
  • グループミーティングでアサーティブ・コミュニケーションのロールプレイを実施
  • 学生相談支援の実践の場で繰り返し行う など
※DESCL法は、DESC法に相手の意見や言葉に耳を傾ける意味での「Listen」を加えた、主張手法のこと。

アサーティブ導入前の2015年度、導入後の2019年度に実施したエンゲージメントに関する調査結果について、次のように公表しています。
  • 調査対象 職員90人(内キャリア支援部10人)
  • 調査方法 アンケート調査
従業員エンゲージメントの調査結果一覧表
図表引用元:アサーティブ・コミュニケーションが従業員エンゲージメントを高める効果 104ページ

大阪体育大学では、エンゲージメント向上と同時に学生の就職率も高まったそうです。アサーションを取り入れた結果、エンゲージメントが向上するとともに、就職率向上といった実績にまでつながりました。

従業員エンゲージメントに関しては、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:従業員エンゲージメントとは?注目されている背景や取り組み方を紹介
【関連記事:エンゲージメント向上にはアセスメントツールが効果大!活用方法や事例を紹介
【関連記事:従業員のエンゲージメントを高めるメリットとその方法とは?

アサーションを使用するデメリット・注意点

「DEMERIT」と記載されたメモ
一方、アサーションにもデメリットがあります。
・自己尊重と他者尊重のバランスの取り方が難しい
・言葉選びが難しい
アサーションスキルがしっかり身についていない段階では、相手を過剰に配慮するあまり、うまく自己表現できず、意見を飲み込んでしまう場合もあるでしょう。反対にアサーティブを徹底しすぎて、自己主張が強い印象を周囲に与える可能性もあります。

また、相手の立場を尊重しても、伝え方次第でコミュニケーショントラブルの火種になることもあるので注意しましょう。

アサーションは「権利」であって「義務」ではありません。アサーションをしても良いし、しなくても良いのです。アサーティブに話すことで、時間のロスを考えると無駄だと感じるときや身の危険を感じるときは、無理にアサーティブになる必要はありません。

常にアサーティブな自己表現をするよりも、状況を読み取ったうえで自己表現スタイルを選び、応用していくことが適切な実践だと言えます。

コミュニケーション手段の選択肢として位置付けると良いでしょう。

アサーションに関するQ&A

 Q&Aのイメージ
この章ではアサーションに関する、さまざまな疑問にお答えします。

Q1.「アサーション」と「 アサーティブ」の 違いがわからない

アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーションのことです。
アサーションができている状態を「アサーティブ」と表現します。

アサーションは名詞であり、アサーティブは形容詞です。「美しい」と表現するか「美しさ」と表現するかの違いと同じであり、意味は変わりません。

「アサーショントレーニング」も「アサーティブトレーニング」も同じものを指します。

Q2.アサーションなんて現実的に無理じゃない?

アサーティブになるのは、確かに簡単なことではありません。今まで自己主張できなかった人やこれまでアグレッシブだった人がアサーティブになるのは、非常に勇気がいることだと言えます。

しかし、自他尊重を意識してアサーションを使い続けると、よりフラットな関係性を築きやすくなります。お互いの意見に葛藤が生まれたら面倒くさがらず、それぞれの意見や気持ちを根気強く出し合いましょう。

「うまくいけばラッキーだ」ぐらいの感覚で気軽に取り組むことをおすすめします。葛藤を恐れずに自分の思いを伝えるところから相互理解が始まるのです。

Q3. アサーションに関するおすすめの本は?

日本におけるアサーション・トレーニングの第一人者、平木典子氏の書籍が読みやすくおすすめです。

『マンガでやさしくわかるアサーション』

客室乗務員の三江さんは、自分の意見を飲み込んでは我慢してしまう気弱な性格。自分の都合を後回しにして、上司に言われるまま仕事を優先させた結果、恋人に振られてしまいます。ある日、偶然出会った女性にアサーションを勧められ、次第にアサーションの理論に惹き込まれていくストーリーです。

マンガと解説が交互に展開される構成で、アサーションの基礎を楽しく学べます。

『マンガでやさしくわかるアサーション』|平木典子

『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために』

累計15万部の基礎テキストです。2度目の改訂を経て、大幅な加筆修正が行われています。
平易な文章で書かれているため、はじめてアサーション・トレーニングに触れる方でも、理解しやすい内容となっています。

『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために』|平木典子

アサーティブ・コミュニケーションで社員のエンゲージメントを向上させよう

コーヒーを片手にパソコン作業に励む女性
アサーションについて解説しました。職場でのコミュニケーションにお悩みの方は、アサーションスキルを身につけ、実践を重ねることをおすすめします。相互理解が深まり、より良好な関係構築につながるでしょう。

アサーションスキルを身につけるには、日頃から下記のポイントを意識してコミュニケーションを取るのが大切です。
・DESC法(デスク法)を活用して主張する(状況描写→気持ちの表現→提案→選択肢)
・「私」を主語にした言い方を心がける
・自己開示を心がける
周囲の期待や機嫌を気にして本心を抑えることがなくなると、より積極的な動きにエネルギーを注げるようになります。アサーションにチャレンジして、自分らしい成長を加速化させましょう。

社員のエンゲージメントを定点観測!ミイダスの「組織サーベイ」とは?

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