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アサーションとは?職場で実践するメリットやトレーニング方法などを解説

「アサーションを社内に取り入れると、どのような効果が得られるのだろう?」
「アサーションを実践する方法や事例を知りたい」
このようにお悩みではありませんか?

アサーションとは、自分も相手も尊重しながら自己表現するコミュニケーション手法のことを言います。職場においても、コミュニケーションを円滑にするにはアサーションスキルの習得が有効です。

自分の気持ちを率直に伝えるとともに、相手の気持ちも大切にするコミュニケーションのため、良好な人間関係構築につながります。

本記事では、アサーションの基礎知識やトレーニング方法などを解説します。社内コミュニケーションの課題を解消し、組織に変革を起こしたい経営層や人事担当者の方は、ぜひご一読ください。

なお、社内コミュニケーションが活発になると、従業員の生産性やモチベーションにも変化をもたらします。目では把握しづらいモチベーションを適切に可視化する方法は、無料のお役立ち資料で紹介しているので、あわせてご活用ください。

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アサーションとは?意味や役割を簡単に解説

テイクアウトのコーヒーを手に談笑する女性二人
ここではアサーションに対する理解を深めるために、意味や歴史的背景、職場におけるアサーションの役割などをまとめました。これから社内でアサーションに取り組んでいきたい方は参考にご覧ください。

アサーションの意味

アサーションとは、自分も相手も大切にした自己表現やコミュニケーション手法のことです。英語の「assertion」が言葉の由来になっており「主張・断言・自己主張」などの意味があります。

アサーションでは、率直に自分の気持ちを伝える一方、相手の主張を否定したり強い口調で無理に押し込めたりはしません。双方の意見が異なっても、お互いの価値観を尊重しつつ、自分の主張を適切な言葉で表現するのがアサーションです。

自己主張しながら相手にも歩み寄って物事を進める、自他尊重のコミュニケーション方法であると言えます。

アサーションの歴史的背景

アサーションは、1950年代のアメリカで誕生した概念です。対人関係がうまくいかない人や自己表現が苦手な人向けの社会的スキルトレーニングの一環として始まり、行動療法の一技法として発展しました。

アサーションのトレーニングを通して自己表現の訓練を実施し、対人不安の克服を図ったとされています。

1960年代になると、アサーションは公民権運動(黒人の基本的人権を要求する運動)と連動し、人々に大きな影響を与えました。次第にアサーションは多くの人に広まり、より効果的な人間関係構築に取り入れられるようになったのです。

日本においては1980年代に平木典子氏によってアサーションが導入されました。1990年代にはアサーションに関する本が翻訳・出版され、広く知られるようになりました。

現代では教育や看護の現場、企業研修など、さまざまな分野でアサーションが取り入れられています。

参考:日本におけるアサーション研究に関する展望

心理学におけるアサーションとは

心理学においてアサーションは、行動療法や認知行動療法の分野で特に注目され、社会的スキルの中核をなすものとして位置づけられています。

たとえば臨床心理学では、アサーショントレーニングがうつ病や社会不安障害の治療に用いられます。「友人からの映画の誘いを断りたいときにノーと言える」など、日常的な場面で適切に自己主張できるように練習するのです。

アサーションは、さまざまな領域で人々の心理的健康を支えるなど、重要な役割を果たしていると言えます。

職場におけるアサーションの役割

社内コミュニケーションにおいて、アサーションの重要性が増してきています。働き方改革やメンタルヘルスケアが重視されるようになったこと、オンラインでのコミュニケーションが増えていることなど、さまざまな背景によってアサーションが果たすことのできる役割が多岐に渡っているからです。

たとえば、職場でのアサーションの役割には下記のようなものがあります。
  • 上司や部下、同僚と円滑なコミュニケーション
  • 業務効率の改善
  • ハラスメントの防止
  • 職場の雰囲気改善と働きやすい環境づくり
  • 多様性の尊重
従業員一人一人がアサーションを身につけることによって、人間関係構築や業務効率の改善などにつながります。

職場でアサーションを実践するメリット

「MERIT」と記載されたブロックキューブと電球マーク
職場でアサーションを実践するメリットは7つあります。
  • 健全な人間関係の構築と維持
  • ハラスメントの防止
  • 従業員のエンゲージメント向上
  • 従業員の自信や問題解決力の向上
  • ストレス軽減とメンタルヘルスの向上
  • 組織の生産性向上
  • 組織文化の改善
それぞれ詳しく見ていきましょう。

健全な人間関係の構築と維持

アサーションでは、自分の権利を主張しながら相手の権利も尊重するため、職場で健全な人間関係を構築・維持しやすくなります。

たとえば、上司から現実的に無理のある締め切りで仕事が割り振られたとしましょう。その際には下記のように返答ができます。

「私を信頼して仕事を割り振っていただきありがとうございます。しかし、この短い期間では品質を保てません。来週末まででしたら品質は維持できるので、締め切りの延長はいかがでしょうか」

このように話を進めることで相互理解を深められ、誤解や摩擦も減らせます。

同僚などと意見が相違した場合も「あなたの考えは理解できます。一方で、私はこう考えています」と伝えることで、建設的な議論になるでしょう。

アサーションを続けることが、健全で長期的な信頼関係の形成につながります。

ハラスメントの防止

職場におけるハラスメント対策のひとつとしてアサーションが注目を集めています。社内コミュニケーションを活性化させ、働きやすい環境づくりに貢献するほか、多様な価値観を持つ従業員間の相互理解も促せるからです。

厚生労働省が実施した「職場のハラスメントに関する実態調査」によると、職場でパワハラを受けた人の多くが「上司と部下のコミュニケーションが少ない/ない」と回答しました。
厚生労働省実施のパワハラに関するアンケートグラフ
画像出典:職場のハラスメントに関する実態調査について|厚生労働省 104ページ

この背景には、自分の意見を思うように伝えられなかったり、コミュニケーションがうまくできずに齟齬や誤解が生まれていたりする状況がある可能性があります。

アサーションを実践すると、相手を尊重しつつ自分の意見も率直に伝えられるようになるため、ハラスメントのリスク軽減が期待できるでしょう。

職場におけるハラスメントの種類や企業に及ぼす影響などは、下記の記事で詳しく解説しています。あわせてご一読ください。

【関連記事:ハラスメントとは?定義と判断基準、発生した場合の対応方法を紹介

従業員のエンゲージメント向上

アサーションを習得した従業員が増えると、従業員エンゲージメントが向上する効果が期待できます。主な理由は下記のとおりです。
  • 心理的安全性を確保しながら自己表現できる
  • 上司・部下・同僚との相互理解が深まり、チームの一体感が醸成される
  • 適切に自己主張できる環境になることによって職場でのストレスが軽減し、働きやすくなる
これらの要因が相互に作用することで、従業員の職場に対する満足度と貢献意欲が高まるため、結果としてエンゲージメント向上につながります。

アサーションによってエンゲージメントが向上した事例として、大阪体育大学のケースを見てみましょう。同校キャリア支援部の職員にアサーションを導入したところ、全20項目のうち11項目のエンゲージメントスコアが向上しました。
従業員エンゲージメントの調査結果一覧表
図表引用元:アサーティブ・コミュニケーションが従業員エンゲージメントを高める効果 104ページ

大阪体育大学では、エンゲージメント向上と同時に学生の就職率も高まったそうです。アサーションを導入することでエンゲージメント向上だけではなく、さまざまな効果が得られると言えるでしょう。

従業員エンゲージメントの基本や高めるメリットなどは、下記の記事をご覧ください。

【関連記事:従業員エンゲージメントとは?注目されている背景や取り組み方を紹介
【関連記事:エンゲージメント向上にはアセスメントツールが効果大!活用方法や事例を紹介
【関連記事:従業員のエンゲージメントを高めるメリットとその方法とは?

従業員の自信や問題解決力の向上

アサーションの実践は、従業員の自信を大きく向上させます。自分の意見や要望を適切に伝えることで、自己肯定感が高まるからです。

たとえば、プロジェクトメンバーの従業員が「この企画には改善の余地があると思います。こういったアプローチを取り入れてみてはいかがでしょうか」と提案できる社内風土があり、受け入れてもらいやすい環境があれば自信につながります。

また、アサーションによって建設的な対話がしやすくなるため、問題解決力の向上にも効果的です。異なる立場から出る意見を調整することで、解決策や新しいアイデアが生まれる可能性が高まります。

お互いの意見を率直に伝え、尊重するからこそ、Win-Winの解決策を見出しやすくなるのです。

ストレス軽減とメンタルヘルスの向上

アサーションは、職場でのストレス軽減にも寄与します。自分の意見や感情を適切に表現することで、不満やフラストレーションが溜まりにくくなるからです。

業務の負荷が集中しているときや周りに協力を求めたいときなど、適切に伝えることができれば自分だけが我慢しているような状況から抜け出せるため、ストレス軽減につながります。

コミュニケーションのあり方ひとつで、業務上のストレスからくる不安感や精神疾患のリスクを減らすことも可能です。精神的な負担が軽くなると、従業員個人のパフォーマンス向上が期待できます。

組織の生産性向上

従業員一人一人のパフォーマンスが高まると、組織全体の生産性向上につながります。

また、アサーションによって明確な意思疎通ができるため、情報伝達の行き違いによる時間的ロスを防ぐ効果も期待できます。スムーズに物事を進められるようになり、業務のスピードアップが可能になるでしょう。

何かしらの問題発生時には、懸念事項や問題点を適切に伝えられます。組織内で意見が対立して摩擦が生じた場合でも、自分と相手の立場や感情を尊重しながら適切に自己主張できます。アサーションの実践で、問題が大きくなる前に対処が可能です。

このようにアサーションを意識したコミュニケーションは、業務の停滞を防ぎ、生産性を高められます。

組織文化の改善

アサーションを意識したコミュニケーションを社内で取り入れることで、組織文化の改善にも効果的です。
  • お互いを尊重する雰囲気がつくられる
  • ポジティブな組織風土に変わる
  • 仕事への意欲が高まり、従業員が高い目標に挑戦できる
社内にネガティブな雰囲気があったり、従業員の士気が低かったりする場合でも、アサーションによって組織文化を変えられる可能性があります。

ただし、少し実践しただけで効果が出るわけではありません。長期的に取り組み、従業員に定着させてこそ、徐々に変化を起こせるのです。

アサーションの3つのタイプ

鉛筆を持つ手とひらめきマーク
アサーションでは、コミュニケーションタイプを以下3つに分類しています。
1. 非主張的(ノンアサーティブ)
 自分よりも他者を優先し、自分のことを後回しにするタイプ・自分が負け
2. 攻撃的(アグレッシブ) 
 自分のことだけを考えて他者を踏みにじるタイプ・自分が勝つ
3. アサーティブ
 自分のことをまず考えるが、他者に配慮するタイプ・どちらも勝つ
3つのタイプのうち、アサーションが目指すのは「アサーティブ」です。イメージしやすくなるように、アニメ『ドラえもん』のキャラクターを例に挙げて3つのタイプを解説します。

非主張的(ノンアサーティブ)

非主張的(ノンアサーティブ)は、物事を相手に譲ってあげているように見えますが、自信がなく、不安が強い傾向にあります。自信のなさを隠しているため、卑屈な気持ちになりやすいのがノンアサーティブです。

アニメ『ドラえもん』に例えると「のび太くん」に該当します。ジャイアンに理不尽な要求をされても断れず、渋々従ってしまう姿が浮かぶでしょう。

気持ちを言わないだけでなく、あいまいな返し方をしたり、言い訳がましく場を取り繕ったり。のび太くんのように自己主張しないタイプの方が分類されます。

ノンアサーティブなコミュニケーションをしていると、次のような状況に陥りがちです。
・自分の権利や欲求を主張できず、他人の意見や要求を優先する
・遠慮しがちで、自分の意見を出すことが怖い
・「申し訳ない」「ごめんなさい」などの言葉を頻繁に使用する
・「自分はだめだ」といった劣等感が残りやすい
・「譲ってあげたんだ」といった恨みがましい気持ちが残りやすい
・低い自尊心によってストレスや不満を溜めやすく、心身症やうつ状態になる可能性がある
・他人に利用されやすい
長期的に見ると、非主張的(ノンアサーティブ)の人は人間関係や仕事に悪影響を及ぼす可能性があります。

攻撃的(アグレッシブ)

攻撃的(アグレッシブ)は、自分の権利や欲求を強く主張し、他人の意見や感情を軽視する傾向があります。威圧的で、相手を批判したり責めたりすることもあるでしょう。

『ドラえもん』の登場人物に例えるなら「ジャイアン」に当てはまります。「お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの」と、自己中心的な言動でのび太くんを困らせる姿が浮かぶのではないでしょうか。

相手の犠牲の上に成り立つ自己表現を繰り返すのが、攻撃的(アグレッシブ)タイプの特徴です。

自分の希望が満たされる一方で、アグレッシブな自己表現には下記のような問題点があります。
・自分の意向が通っても、その強引さのせいで後味の悪さが残りやすい
・周りから恨みを買いがち
・相互尊重には程遠いため、ギスギスした関係になる
・自分のストレスや怒りの感情をうまくコントロールできない
攻撃的(アグレッシブ)な人は、短期的には自分の目的を達成できます。しかし、威圧的な態度で相手を批判する傾向があるため、人間関係を損ないやすいところが欠点です。

組織内で周囲の反感を買ってしまうと、長期的には誰からの協力も得られなくなるケースも考えられます。特に組織内で上司の立場にある人は、強い言動で部下を支配しようとしてしまい、信頼関係を構築しにくくなるでしょう。

また、上司がアグレッシブタイプに分類される場合、「クラッシャー上司」になる可能性があります。クラッシャー上司の特徴については、下記の記事をご覧ください。

【関連記事:部下を潰すクラッシャー上司とは?特徴や企業ができる対策を解説

アサーティブ

自分と相手の権利や感情を尊重しながら、その場にふさわしい表現でコミュニケーションするタイプがアサーティブです。「私は〜と思います」「〜してほしいです」など、誠実かつ率直に自分の考えや気持ちを伝えつつ、相手の意見も尊重します。そのため、お互いに建設的なコミュニケーションが可能になるのです。

『ドラえもん』の登場人物では「しずかちゃん」に例えられます。相手の気持ちを大切にしつつ、はっきりと意見を伝えるしずかちゃんの姿を観たことがある人は多いでしょう。しずかちゃんがジャイアンやのび太の誘いを断るとしたら、きっと以下のように答えるはずです。
「いいわね!ステキ!」
「でも残念だわ。今日はピアノのお稽古があるの。明日ならいいわ」
相手の気持ちをいったん受け入れてから、自分の気持ちを伝えています。

アサーティブなコミュニケーションは、自尊心と他者尊重のバランスが取れており、長期的に良好な人間関係を築きやすい点が特徴です。さらに、自分も相手もWin-Winの結果を生み出しやすくなります。

アサーティブを心がけると、自分自身のストレス管理や感情のコントロールにも効果的です。

混同しがちな用語を整理しよう

アサーションを学ぶ中で類似の用語を混同してしまうことがあります。ここでは、下記の用語について違いを整理してみましょう。
  • アサーションとアサーティブの違い
  • アサーティブとアグレッシブの違い

アサーションとアサーティブの違い

アサーションは、自分の権利を主張しつつ、他者の権利も尊重するコミュニケーションや行動のことを指します。主にコミュニケーションスキルや方法を説明する際に使用する用語です。

一方のアサーティブは、アサーションを実践している人の性格や行動を表す際に用います。アサーションができている状態を「アサーティブ」と表現するのが一般的です。

両者は密接に関連していますが、使用される文脈によって使い方や意味合いが異なります。

なお、「アサーショントレーニング」と「アサーティブトレーニング」は同じものを指していることが多いため、2つに大きな違いはありません。

アサーティブとアグレッシブの違い

はっきりと自己主張する点では「アサーティブ」も「アグレッシブ」も共通しています。しかし、両者には下記のような違いがあります。
アサーティブアグレッシブ
態度互いの権利を尊重しながら自己主張をおこなう自分の権利のみを主張し、他者の権利を軽視する
コミュニケーション冷静で穏やかな口調、相手の意見も聞く。自己と他者の両方を尊重する威圧的な態度、大声や命令口調を使う。自己を尊重し、他者を軽視する
感情表現適切に感情を表現し、相手の感情も考慮する怒りや不満を直接的に表現し、相手の感情を無視する
問題解決の傾向お互いにWin-Winの解決策を目指す自分の勝利のみを追求する
長期的な影響良好な人間関係を築き、相互理解を深める人間関係を損ない、組織内で協力を得にくくなる
得られる結果長期的に望ましい結果を生み出しやすい短期的には目的を達成できるが、長期的には問題を引き起こす場合がある
はっきりと自己主張するコミュニケーションは同じでも、自分だけではなく相手のことも考えて、お互いに納得のいく結論を導き出せるのがアサーティブです。

アグレッシブな傾向がある人は、少しずつアサーティブに近づけるようにトレーニングしていくことが求められます。

アサーショントレーニングの方法

アサーショントレーニングのイメージ
アサーションスキルは、ゴルフやピアノのように学習・訓練を続けていくことで身につくものです。そのため、スキルの習得にはトレーニングが必要です。

具体的なトレーニング方法には以下のようなものがあります。
  • 自分のコミュニケーションタイプを知る
  • ロールプレイングやグループワークでアサーションを練習する
  • アイメッセージで自己主張する
  • DESC法(デスク法)を活用する
  • 積極的に自己開示する
それぞれ見ていきましょう。

自分のコミュニケーションタイプを知る

アサーティブなコミュニケーションを身につけるには、まず自分がどの程度アサーションできているか確認する必要があります。以下のチェックリストを使って、普段のアサーション度を確認しましょう。
アサーション度チェックリスト
アサーション度チェックリスト
画像出典:平木典子著『アサーション・トレーニング|さわやかな<自己表現>のために』p.13-p.14

チェックリストの1〜10は「自分から働きかける言動」についてであり、11〜20は「人に対応する言動」に対する項目です。
・「はい」の数が10個以上あれば、あなたのアサーションは普通以上
・「はい」の数が10個以下、うまくアサーションできていない
うまくできていない場合には、アサーションのトレーニングを日々実践することが大切です。

社内でアサーションを実践する場合には、上司と部下としてのタイプを把握しておくことも有効です。なぜなら上司と部下のタイプが合わないことで、円滑なコミュニケーションが取れないケースがあるからです。
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ミイダスのコンピテンシー診断では、簡単な質問に答えるだけで「部下としての自分」「上司としての自分」の特徴がわかります。タイプの診断だけではなく、業務への適性やストレス耐性なども同時に知れるツールです。

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ロールプレイングやグループワークでアサーションを練習する

アサーションスキルを向上させるには、実践的な練習が欠かせません。とはいえ、いきなり「実践しましょう」と呼びかけても動いてくれる従業員は少ないでしょう。

そこで、ロールプレイングやグループワークなどを通してアサーションを練習できる機会を設けてみてください。社内でよくある場面を例に挙げてアサーションを実践してみると、具体的にどのようにするのが効果的なのかわかりやすくなります。

たとえば「締め切りが厳しいので、他の業務を一時的に他の人に振り分けてもらえないか」と提案する場面を想定するとしましょう。参加者は上司と部下の役割を交互に演じ、アサーティブに伝える表現を試みます。お互いにその提案を受けたとき、どのように感じたのかをフィードバックすることで、アサーションへの理解がより深められます。

ロールプレイングやグループワークを一度しただけでは、アサーションが定着したとは言えません。定期的に振り返りする機会を設けて、アサーションが実践できているか確認するのも有効です。

アイメッセージで自己主張する

「私は~と感じる」「私は~を望む」など、自分の気持ちや考えを主語にして表現する「アイメッセージ」で伝える練習をしましょう。

相手を否定・非難することなく、自分の感情や要望を伝えられるようになるため、人間関係を良好に保ちながら、お互いの理解を深めるコミュニケーションが可能です。

「主語がある伝え方」と「主語がない伝え方」を比較すると、以下のように印象の違いが生じます。

【主語がない表現】
  • あなたは間違っているよ
  • 早くしてよ!
  • 何を言っているか、よくわからないよ
  • 大声で怒鳴らないでください
【主語がある表現】
  • 私は、あなたが間違っていると思う
  • 私は、あなたが早く進めてくれると助かるんだけど
  • 私は、もう少し詳しく説明してもらいたい
  • 私は、大声で怒鳴られると辛い
主語がない表現では、相手を責める印象が強く残ります。一方「主語がある表現」は、自分の気持ちを率直に伝えつつも、相手を尊重している印象が残るでしょう。

私を主語にすることで、自己主張しつつも相手にも配慮できます。そのため、Win-Winなやりとりができるのです。

DESC法(デスク法)を活用する

自分の気持ちをどう伝えたら良いか戸惑う場面に遭遇したら、DESC法を活用しましょう。DESC法とは、アサーションのプロセスを4つに分解したものです。相手にわかりやすく意見を伝える際に役立ちます。
D=描写する(Describe)
自分が対応しようとする状況を客観的に描写

E=表現する・説明する・共感する(Express/Explain/Empathize)
状況に対して自分または相手の気持ちを主観的に表現・説明・共感

S=特定の提案をする(Specify)
相手に望む解決策を具体的に提案

C=選択肢を示す(Choose)
相手から同意されたときと、同意されなかったときどうするか選択肢を考えておく
引用:平木典子著「マンガでやさしくわかるアサーション」P163

DESC法の活用例は下記のとおりです。

【具体例】
話し合いが長引き、終了予定時刻を大幅に過ぎています。
議論も行き詰まり、雰囲気もどことなく悪くなってきました。
あなたは休憩か延期の提案をしたいと思っています。
D(描写)
「話し合いが始まってから既に2時間経過し、予定終了時刻を大幅に過ぎています。長時間の会議に疲れが見え始め、意見も出にくくなっているようです。」

E(自分や他人の気持ちを表現)
「正直、私自身も次第に頭が回らなくなってきました。皆さんも同じではないでしょうか。」

S(特定の提案)
「どうでしょうか。いったん仕切り直しませんか。」

C(選択肢を示す)
「今日はここで終えて、明日、再度会議の場を設けるか、いったん休憩して仕切り直すのはいかがでしょう。もし、このまま続ける必要があるなら、あと30分と時間を決めて進められるとありがたいです。」

自分の気持ちを率直に伝えつつも、会議の参加者に「休憩か延期」かの選択肢を与えているため、相互的なコミュニケーションが成立しています。

コミュニケーションは経験を重ねて習得するものです。普段から意識してアサーションを活用することで、スキルを鍛えられるでしょう。

積極的に自己開示する

積極的に自己開示しましょう。「自己開示」とは、他者にありのままの自分をさらけ出すことです。自らの強みだけでなく、弱点や悩み、過去の失敗なども含めて、ありのままを相手に伝えます。

例として下記の内容を話してみることをおすすめします。
・新入社員時代の失敗
・過去に悩んでいたこと
・休日の過ごし方
・熱中している趣味
・最近読んだ本 など
このように、自分から積極的に自己開示することで相互理解が進むでしょう。

自己開示はアサーションの基本です。勇気がいるかもしれませんが、良好な関係を構築するには欠かせない心がけと言えるでしょう。

アサーティブになるためのポイント

アサーティブになるポイントは3つあります。
  • アサーションする権利があると自覚する
  • 自分の気持ちを把握する
  • 明確に自分の考えや気持ちを表現する
  • 結果を過度に気にしすぎない
ひとつずつ解説します。

アサーションする権利があると自覚する

誰もが自己表現する権利「アサーション権」を持っていると自覚しましょう。他人の尊厳を傷つけない限りは、誰でも自分の気持ちや意見を伝えて良いのです。

臨床心理学者の平木典子氏は、著書の中で具体的に以下5つのアサーション権を挙げています。
・私たちは、誰からも尊重される権利がある
・私たちは、他人の期待に応えるかどうか決める権利がある
・私たちは誰でも過ちを犯し、それに責任を持つ権利がある
・私たちは、支払いに見合ったものを得る権利がある
・私たちは、自己主張しない権利もある
参考:平木典子著「アサーション・トレーニング さわやかな〈自己表現〉のために」第2章 p58-75

頼まれごとを断る際、罪悪感を抱く人もいるでしょう。しかし、自分のしたいことと他者の希望が合わないとき、無理に相手の希望に応える必要はありません。

また、自分が希望を伝える際は「控えめにすべきだ」と思う人もいるかもしれません。しかし、私たちには誰からも尊重される権利があります。誰でも欲求を持っていて当然で、それは他の人と同じくらい大切にしてほしいと相手に求めて良いのです。

アサーション権は、自分にも相手にもあることをしっかり認識する姿勢が大切です。

自分の気持ちを把握する

アサーティブな自己表現は、自分の気持ちを明確に把握してこそ実現します。気持ちが不明確なままでは、あいまいな伝え方に終始し、互いの落とし所を見つけるのが難しくなってしまうでしょう。

自分の気持ちを把握するには、人に相談したり、紙に書き出したり、胸の内を日頃からアウトプットしたりするのが大切です。頭の中の漠然とした考えを言葉にして外に出すことで、自分の本当の気持ちや願望が見えてきます。

前述したアイメッセージで伝える習慣を身につけることで、自身の感情により気づきやすくなるでしょう。
「なんだか腹が立つなぁ」→「私は今集中したいのに、野暮用で声をかけられたから腹が立っている」
アイメッセージで伝える訓練を繰り返すうちに、なぜ腹が立ったのか、なぜ楽しいのか、理由が見えてきます。次第に自分らしさがはっきり感じ取れるようになるでしょう。

自分の感情に気づき、気持ちをありのままに受け入れて大切にすることがアサーションの出発点と言えるのです。

また、アサーションは自分の感情コントロールにも有効です。怒りや不安などの感情に振り回されず、冷静さを保てるようになることで、自分と相手への理解も深められます。

明確に自分の考えや気持ちを表現する

日頃から自分の考えや気持ちを明確に表現するよう心がけましょう。あいまいな言い回しを避け、具体的に要望を伝えます。

たとえば「少し忙しいかも」ではなく「今週中の対応は難しいです」とはっきり伝えてみてください。

自分の気持ちを表現するときには、適度なアイコンタクトや自然な表情、落ち着いた声のトーンなども心がけましょう。そうすることで相手に伝わりやすくなります。

また、無理な依頼があった場合には「申し訳ありませんが、お断りします」と断る勇気を持つことも大切です。ただし、断る際も相手への配慮を忘れてはなりません。「代わりに◯◯の業務なら対応できます」など代替案を提示することで、相手側が受ける印象も変わってきます。

自分のことを伝えるだけではなく、相手の気持ちや意見にも耳を傾け、双方向のコミュニケーションを意識していきましょう。

結果を過度に気にしすぎない

相手の反応を気にしすぎないことも大切です。相手の反応を気にしすぎると、自己表現できなくなってしまうかもしれません。

率直な意見を伝えた結果、一時的に関係が悪くなる可能性も考えられます。しかし、関係悪化を恐れてばかりいると、自分の意見を飲み込む場面が増えてしまうのです。意見の食い違いや対立はよくあるため、自然なことだと心得ましょう。

異なる意見が出るのは当然で、悪いことではありません。意見が違っていたら折り合いをつけて、なんとかやっていく方法を探れば良いのです。

<例文あり>アサーションの具体例

地球の周りに座る男女を模した粘土細工
アサーションの具体例を3つ紹介します。3つの事例に対して3つの選択肢を挙げていますので、アサーティブに振る舞うには、どれを選択すれば良いか想像しながら考えてみてください。

【事例1】「誰も仕事を教えてくれない!」

第一志望の会社に入社できました。
しかし、予想以上に上司や先輩が忙しそう。
誰も仕事を教えてくれません。
毎日、コピーや買い物など、誰でもできる雑用ばかりを頼まれます。
仕事を教えてもらうには、どうすれば良いでしょうか?
1. 仕事を教えてくれないほうが悪いと仕事をサボる
2. ネガティブな気分で指示をひたすら待つ
3. 先輩たちの仕事ぶりから学べることを探す。何か手伝えそうなことはないか、聞いてみる。

【事例2】「業後の付き合いを断りたい!」

職場で先輩や同僚から「仕事が終わったあと飲みに行こう」という誘いがありました。
仕事が忙しくて定時で帰れそうにない場合、どのように返事をしますか?
1. 「無理ですよ!仕事が山積みなんです」と断る。
2. 断りきれず、しぶしぶ誘いに乗る。
3. 「実は今仕事が山積みなんです。お誘いは嬉しいのですが、今日はお断りしたいです。来週は仕事も一段落していると思うので、良かったらまた誘ってください」と答える。

【事例3】「並んでいる列に割り込まれたら……」

スーパーのレジに並んでいます。
後ろにも数人が並んでいる状況です。
あなたの前に、人が割り込んできました。
あなたは割り込んできた人に対して、どのように対応しますか?
1. 怒りとともに「やめてください!ちゃんと後ろに並んでください」と言う
2. ムッとはするが「相手にも事情があるかも」と何も言わずそのままにする
3. きちんと状況を説明し、後ろに並んでもらうよう諭す

それぞれの適切な対応は?

いずれの事例も1が「アグレッシブ」、2が「ノンアサーティブ」、3が「アサーティブ」な対応です。

アグレッシブなコミュニケーションでは、相手を否定してしまうため、周囲との軋轢を生みかねません。ノンアサーティブなコミュニケーションでは、グッと自分の気持ちを押し込めるため、ストレスを溜め込みがちです。

アサーティブなコミュニケーションでは、しっかり自己主張はするものの、相手を傷つけることはありません。アサーティブに振る舞うことにより、人間関係を円滑に構築していきましょう。

アサーションに関するQ&A

 Q&Aのイメージ
この章ではアサーションに関する3つの疑問にお答えします。

アサーションなんて現実的に無理なのでは?

アサーティブになるのは、確かに簡単なことではありません。今まで自己主張できなかった人やこれまでアグレッシブだった人がアサーティブになるのは、非常に勇気がいることです。

しかし、自他尊重を意識してアサーションを使い続けると、よりフラットな関係性を築きやすくなります。お互いの意見に葛藤が生まれたら面倒くさがらず、それぞれの意見や気持ちを根気強く出し合いましょう。

「うまくいけばラッキーだ」ぐらいの感覚で気軽に取り組むことをおすすめします。葛藤を恐れずに自分の思いを伝えるところから相互理解が始まるのです。

アサーションを実践するときの注意点はありますか?

アサーションスキルがしっかり身についていない段階では、相手を過剰に配慮するあまり、うまく自己表現できず、意見を飲み込んでしまう場合もあるでしょう。反対にアサーティブを徹底しすぎて、自己主張が強い印象を周囲に与える可能性もあります。

また、相手の立場を尊重しても、伝え方次第でコミュニケーショントラブルの火種になることもあるので注意が必要です。

アサーションは「権利」であって「義務」ではありません。アサーションをしても良いし、しなくても良いのです。アサーティブに話すことで時間のロスや身の危険を感じるときは、無理に実践する必要はありません。

その場の状況によって適切な表現スタイルを選び、臨機応変に取り入れていきましょう。

アサーションへの理解を深める、おすすめの本は?

アサーションへの理解を深める本を2冊紹介します。日本におけるアサーショントレーニングの第一人者、平木典子氏の書籍が読みやすく書かれていておすすめです。

『マンガでやさしくわかるアサーション』

客室乗務員の三江さんは、自分の意見を飲み込んでは我慢してしまう気弱な性格。自分の都合を後回しにして、上司に言われるまま仕事を優先させた結果、恋人に振られてしまいます。ある日、偶然出会った女性にアサーションを勧められ、次第にアサーションの理論に惹き込まれていくストーリーです。

マンガと解説が交互に展開される構成で、アサーションの基礎を楽しく学べます。

『マンガでやさしくわかるアサーション』|平木典子

『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために』

累計15万部の基礎テキストです。2度目の改訂を経て、大幅に加筆修正されています。
平易な文章で書かれているため、はじめてアサーション・トレーニングに触れる方でも、理解しやすい内容となっています。

『アサーション・トレーニング さわやかな<自己表現>のために』|平木典子

アサーションの定着には継続的な実践が重要

コーヒーを片手にパソコン作業に励む女性
アサーションの基礎知識やトレーニング方法、導入のメリットなどを解説しました。職場でのコミュニケーションに課題がある方は、アサーションスキルを身につけ、継続した実践をおすすめします。上司と部下、同僚などとの相互理解が深まり、より良好な関係構築につながるでしょう。

アサーションスキルを身につけるには、日頃からアイメッセージやDESC法(デスク法)などを用いた自己開示を意識することが大切です。アサーションを身につけた従業員が増えると、社内コミュニケーションが円滑になるだけではなく、業務の生産性や従業員エンゲージメントの向上にも寄与します。

長期的な視点でアサーションに取り組み、多くのメリットを受け取りましょう。

従業員のエンゲージメントを定点観測!ミイダスの「組織サーベイ」とは?

組織サーベイのパソコン・スマートフォンデモ画面
「従業員のモチベーションやエンゲージメントが、どのように変化しているのか把握したい 」
「従業員に離職しそうな兆候があったら、早期の段階で適切に対処したい」

このような課題のある方には、ミイダス組織サーベイがおすすめです。月1回5分程度のアンケートを従業員に対して実施することで、モチベーションやエンゲージメントなどの変化を可視化できます。

従業員の内面は目には見えないため、上司との面談や人事評価をおこなっても適切に把握できていない可能性があります。最悪の場合、従業員の心境やコンディションの変化を見落としてしまい、大切な人材を失うことすらあるのです。

ミイダスの組織サーベイでは定期的にアンケートを実施するからこそ、従業員の内面の変化に早い段階で気づき、問題が起こる前に適切なアプローチができます。ミイダスが提供するコンピテンシー診断と組み合わせれば、どの課題から優先的に着手すべきか明確にすることも可能です。

従業員のモチベーションやエンゲージメントなどを可視化し、適切に対策を実施したい方は、ぜひミイダスの組織サーベイをご活用ください。

ミイダス組織サーベイの詳細を見る

株式会社アールナイン様ではミイダスの組織サーベイを導入したことにより、3年もの間、離職者が出ていないそうです。詳しくは下記の導入事例をご覧ください。

【関連記事:ミイダス「組織サーベイ」なら、離職防止から生産性向上まで。組織改善が可能に!

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