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同調圧力の具体例とは?日本・海外の事情や生産性との関係を解説

「同調圧力」について、どのようなイメージをもっているでしょうか。

社会で生きている限り誰もが同調圧力に接しており、会社・組織でも同調圧力が存在します。

本記事では同調圧力の意味と具体例、日本と海外の違い、さらに仕事の場での生産性への影響を解説します。

同調圧力について深く知りたい方や、自社の生産性を高めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、同調圧力のから受ける影響の大きさなど、多様な項目で人材を見極めることや事例をくわしく解説したお役立ち資料も、ぜひご活用ください。

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同調圧力の意味と関連する言葉

同調圧力のイメージ
日頃見聞きすることも多い「同調圧力」は学術分野でも幅広く研究され、組織づくりにも活かされています。

同調圧力の意味や関連する言葉について、押さえておきましょう。

同調とは

同調とは、調子が同じこと、あるいは他に調子を合わせることをいいます。そこから転じて、他者の主張・意見に賛同したり、自らの意見を変えたりすることや、他者に行動や行き先を合わせたり変更したりすることを指します。

「同調圧力」における同調とは、主に後者の意味合いをもつといえるでしょう。

同調圧力とは

同調圧力の意味は、「ある集団において同調を強く求め、強制する力」です。
組織内における圧力という意味で「ピアプレッシャー」と呼ばれることもあります。

同調圧力は以下の性質をもっています。
  • 目に見えない力である
  • 客観的な正しさと異なる意見・状態への同調を引き起こすことがある
  • 多数派の意見や興味をひきつける意見に同調させる傾向がある
同調圧力は物理的な圧力と同じように目に見えるものではなく、暗黙のうちに人の意見や行動に影響を与える力です。

目に見えるもので強制的に人の行動や意見に影響を与えるものとして、組織や集団のルールや明文化された教義・倫理、意見などがあります。同調圧力はルールや教義、意見そのものではなく、それらによる暗黙の影響力です。

目に見えない圧力の一例に「マナー」があります。ドレスコードのない結婚式や披露宴に招待された場合を考えてみましょう。

ドレスコードがない場合、日本ではスーツや和装、パーティードレスなどを身に着けて参列することが一般的です。その際、主役となるカップルよりも目立つ服装ではないものや、色などへの気遣いが発生します。このように「一般的な事例に従おう」「主役を引き立てよう」などと気を遣わせる見えない力こそが、同調圧力です。

マナーについては厳密な正解があるわけではありませんが、同調圧力がルールや客観的な正しさと競合することもあります。

たとえば、駅前に人の腰の高さほどの植え込みがあり、「ここに座らないでください」と管理者の名前が書かれた張り紙があるとします。そのルールを守らせようとする力や破らせようとする力のひとつが、同調圧力です。

ルールを破ることは客観的な正しさに反します。しかし、ルールに従うことなく、「植え込みに座ってもかまわないのではないか」と思わせてしまうこともあるのです。

その理由は、同調圧力は多数派と少数派の構図に大きく関係しているからです。

同調圧力によって客観的な正しさとは異なる意見・行動が選択されるのは、多数派の意見が優勢になりやすいからでもあります。上記の植え込みの例でも、ルールを守る人が多数派だった場合、勝手に座り込む人が出ればルールの逸脱が目立つでしょう。

客観的に見て正しくない意見・行動が選ばれてしまうことは、同調圧力の大きな問題だといえます。

ここからは、同調圧力と関係がある以下の3つの言葉について解説します。
  • 同調行動
  • 同調効果
  • 協調(協調性)

同調行動とは

同調行動とは、同調圧力を受けた結果の行動をいいます。

同調圧力は人の意見や行動を変えようとする力を指すのに対し、圧力を受けたことによって変化した行動が同調行動です。なんらかの行動の因果関係が同調圧力で説明できる場合は、結果の部分が同調行動です。

同調効果とは

同調効果とは、人が自らの意見や行動を周囲に合わせてしまう効果をいいます。社会心理学の分野で研究されてきた概念です。

意識しようとしなくても自らの意見を周囲の状況や多数派の流れに合わせようとしてしまうのが同調効果です。同調心理、同調現象とも呼ばれます。心理学的なしくみについては後述します。

協調・協調性とは

協調とは、仮に意見や立場が異なったとしても相互に協力し合うことです。協調する力のある人を「協調性がある」といいます。

同調は自らの意見や行動を他者の意見に合わせ、同一視しますが、協調の場合は自らの意見・立場が別にあり、必ずしも行動を完全一致させるとは限らない点が異なります。

たとえば、「ルールを破ることは好ましくない」と考えている人が同調する場合と強調する場合を考えてみましょう。

同調する人の場合は、自らの意見を押し殺し、その場のルール違反を黙認したり、ときには一緒にルールを犯したりするでしょう。協調する人の場合は、安易にルール違反を見逃すのではなく、落とし所を見つけるために調整することが考えられます。真っ向から「それはいけないから今すぐやめるように」と迫るのではなく、理由を尋ねたり、代替案を示したりして歩み寄りを目指します。

協調・協調性については以下の記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:協調性とは?ビジネスで必要な理由やある人の特徴、面接で見抜く方法を解説

同調圧力・同調行動の具体例は?ハラスメントやいじめにも関係

ハラスメントに苦しむ人
同調圧力は集団・組織のなかで起こるものです。
ここで、具体的にどのようなものが同調圧力・同調行動となるのか、いくつかの事例を挙げてみましょう。

同調圧力が生まれる場面としてよくあるのが以下のパターンです。
  • 評価・人気に基づく場合
  • 本質的な優劣がないものを選ぶ場面
  • 誰かが口火を切る場面
  • 流行
  • カリスマの言動の影響
  • 別のプレッシャーが強い場面での代償
一つひとつ、事例とともに見てみましょう。

評価・人気に基づく場合

視聴する音楽や動画を選ぶとき、人気ランキングの上位にあるものから選んでしまうことはありませんか。特段選びたいものがなかったり、他に視聴したいものがあったにもかかわらずランキング上位から選ぶことは同調行動のひとつです。

口コミサイトや評価サイトの普及により、評価や人気への同調は影響力を強めていると考えられます。

本質的な優劣がないものを選ぶ場面

ビールやチョコレートの銘柄がいくつかあり、他の人が挙って同じ銘柄を選んでいたら「同じものを」といってしまった経験はありませんか。機能や成分がほとんど同じであるなど、客観的には優劣がつけにくいものを選ぶとき、多数派の意見に集約されていくことも同調行動の一例です。

誰かが口火を切る場面

会議などで「意見のある人」と問われても発言しづらいにもかかわらず、誰かが発言すると次々に発言が集まることも同調の例です。お客さまの声や利用実績のある商品・サービスを購入しやすかったり、SNSに「いいね」や「フォロワー」が多いと安心感があるのもこの種類の同調圧力といえるでしょう。

流行

流行も同調圧力と同調行動と密接に関係します。「行列に並ぶ人の心理」も流行が元となった同調行動の例です。

ある食べ物が話題を集めると、そのお店に行く人が増え、やがて行列ができます。行列を目にした人のうち、流行に敏感な人が次々に「あの店は話題を呼んでいるのではないか」「この波に乗り遅れたくない」と感じ、行列に並ぶ人が増えていきます。

カリスマの言動の影響

カリスマと呼ばれる人々の言動は、既存の意見や行動の有無にかかわらず、同調圧力を生むことがあります。

ニュースに対する著名人の発言が影響を集め、大衆の意見をつくり出すケースが日々起こっています。この同調圧力を受けて、人々が意見や行動を変え、SNS等に意見が投じられることで政治的な判断に影響を及ぼすことも珍しくありません。こうした同調圧力と同調行動が、世の中の大きな流れを変える可能性があるのです。

別のプレッシャーが強い場面での代償

集団内が緊張状態にあったり、メンバーそれぞれが負担を抱えていたりしてプレッシャーを感じている場面では、同調行動が起こることがあります。

たとえば試合前で緊張感のあるなか、チームメンバーに試合後の食事を2種類から選ぶように促すと1種類に集約されてしまう、などの例が考えられます。

組織(職場・学校)におけるハラスメントやいじめと同調圧力

同調圧力は、ハラスメントやいじめにもつながっていると聞いたことはありませんか。

集団では、「よくない」とわかっていても、ハラスメントやいじめを容認したり、否定しきれなかったりする勢力が大きくなり、結果的にハラスメントやいじめが起きてしまうこともあります。

職場や学校でも上記の同調圧力・同調行動の起こるパターンに似たようなことは多くあります。それらが絡み合い、ハラスメントやいじめにつながっていると考えられるのです。

ハラスメントやいじめは、1対1の関係で起こることばかりではありません。止めに入れなかったり、加勢せざるを得ないと感じて加害者が増えてしまったりしまうことで、「被害者とそれ以外のメンバー全員」という構図に発展することもあります。

その際「ハラスメントやいじめを行っている人を止めるのは怖い」「止めに入ると自分に火の粉がかかるかもしれない」などと、暗黙のうちに恐れをもたらす力が同調圧力です。また、ハラスメントやいじめを黙認してしまうことは同調行動といえます。

さまざまな要因が絡み合ってハラスメントやいじめは起こりますが、最初に起きないように対策するのはもちろんのこと、同調圧力に打ち勝つ力がない状況を改善することの両方が必要です。

職場でのハラスメントについては、以下の記事でくわしく解説しています。

【関連記事:ハラスメントとは?定義と判断基準、発生した場合の対応方法を紹介

【関連記事:部下を潰すクラッシャー上司とは?特徴や企業ができる対策を解説

また、現在職場でのハラスメントやいじめに苦しんでいる方、その周囲の方は以下の相談窓口に相談することもおすすめします。

相談窓口のご案内|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-|厚生労働省

同調圧力のしくみ・心理学的な理由とは?

同調するビジネスパーソン
同調圧力については、心理学(社会心理学)の領域でとくに深く研究されてきました。同調圧力のしくみや起きる理由について、心理学的な見地をヒントに紐解いてみましょう。

同調圧力に関する基礎的な心理効果

同調圧力が起こるしくみについても、さまざまな研究がなされています。ここでは、最も基礎的な心理効果として以下の2つを紹介します。
  • ハーディング効果
  • バンドワゴン効果
ハーディング効果とバンドワゴン効果はどちらも「集団の流れに合わせようとする」人の傾向を指すものです。リーマンショックの引き金にもなったとされ、行動経済学の領域でも注目されてきました。両者は似た概念ですが、微妙に異なります。

ハーディング効果とは、「ひとりぼっちになりたくない」という心理から、集団への同調をきたすことです。人は集団から外れたくないという心理をもっており、集団の多数派に従う傾向があることをいいます。

バンドワゴン効果とは、「流行についていきたい」という気持ちから、集団の流れに乗ることを指します。楽隊の先頭を行くバンドワゴンからとられた名称であり、「行列についていく」イメージの現象です。

職場でもハーディング効果・バンドワゴン効果があらわれることがあります。一例を見てみましょう。
来週の展示会に向けた準備を進めており、隣のチームから応援要請を受けたAチームのリーダー。チームメンバーにそのことを伝えて数人に声をかけたところ、Aチームのメンバーのうち3人だけが部屋に残った。
残されたAチームのメンバーたちも「私も手伝いたい」と申し出て、準備に加わった(ハーディング効果)。

楽しそうに準備を進めていたところ、応援要請を受けたが多忙を理由に断ったBチームのリーダーが通りかかった。和気あいあいと準備する姿を社内の他部署のメンバーも微笑ましく見守っている。
Bチームのリーダーは断ったことを後悔し、「手伝わせてほしい」と願い出て、自部署のメンバーもそれに従って集まってきた(バンドワゴン効果)。
多くの心理学者たちによる研究の結果、同調が起こるのは、主に以下2つの人の欲求が影響しているとされています。この欲求は、ハーディング効果とバンドワゴン効果にも関連があります。
  • 正しい判断を行いたいという欲求(情報的影響)
  • 他者からの期待に応えたいという欲求(規範的影響)
情報的影響とは、自らが客観的な判断基準をもっていないときに「他者の評判や意見を参考にしたい」という欲求からくるものです。それに加え、集団の価値観に則って動きたいという思いは「集団からの期待に応えること」ともいえます。

同調と服従に関する実験・研究

心理学の領域では、同調に関して数々の実験が行われ、同調における心理状態を解き明かそうとしました。

そのなかから以下の3つを紹介します。
  • アッシュの線分:社会的圧力に関する実験
  • アイヒマン実験:権威者への服従に関する実験
  • ピグマリオン効果:期待に応えようとする効果・観察者効果

【アッシュの線分】

心理学者ソロモン・E・アッシュは、以下のような実験を行いました。
サクラの人物(複数名)と被験者(1名)を同じ部屋に入れ、1本の線が描かれたカード(基準線分)と複数の長さの線が描かれたカード(比較線分)を渡す。
被験者の回答順を最後にし、サクラの人物から順に「基準線分と同じ長さの線を選んでください」と指示し、全員に聞こえるように回答させる。比較線分から正解を導くことは容易で、難易度がかわらない問題を出し続け、正解を繰り返す。
正解が繰り返された後サクラの人物が口を揃えて誤答を行うと、被験者も誤った選択肢を選んでしまう。
明らかな誤答であるにもかかわらず、被験者はその場の多数派であるサクラの誤答に影響を受けてしまいます。このことから、人は誤った答えであっても集団の圧力に屈することがあると示されました。

これを「社会的圧力」(斉一性の原理/斉一性の圧力)といいます。

【アイヒマン実験】

アイヒマン実験とは、権威のある人物への服従に関する実験です。ナチス・ドイツにおいて大量のユダヤ人を殺害したホロコーストの責任者であったアドルフ・アイヒマンの行動をヒントに行いました。
同調のうち、権威のある人物の指示・命令に従う同調を「服従」と呼ぶことがあります。組織内での服従は指示命令にかかわるため、大きな影響を及ぼします。

この実験はイェール大学の心理学者、スタンレー・ミルグラムにより行われました。離れた場所にいる人物に電気ショックを与えるボタンを押せと命じられた被験者の多くは、人体に危険が及ぶとわかっていながらも、電気ショックを与えるボタンを押し続けたのです。

アイヒマンが裁判にかけられてから「私の罪は、従順であったことだ」と述べたとされています。この実験結果から、人は権威のある人物からの指示・命令で、自らの責任において行うことではない場合、非人道的な行為・倫理に反する行為さえも行うおそれがあると示唆されました。

【ピグマリオン効果】

 アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが提唱したピグマリオン効果は、別名教師期待効果とも呼ばれます。教師から期待されていることがわかると、生徒の成績が上がることからこの名前がつきました。

前述のとおり、人は期待に応えようとする傾向をもっていることから、期待されている方向に行動変容が起きるのです。人に見られていると自覚していると行動が変わる「観察者効果」も関係します。

集団凝集性と同調圧力

人の個人としての行動と集団における行動には違いが見られます。集団内の影響力を受けたままとどまる力のことを、集団凝集性といいます。

集団凝集性の高さは、同調圧力の影響にもおおいに関係するのです。以下は集団凝集性によって集団に起こる状態の例です。
  • 集団極性化
  • 集団的浅慮(集団思考)
  • 社会的促進/社会的手抜き
  • 傍観者効果

【集団極性化】

集団極性化とは、集団全体の意見が極端なものになってしまう現象のことです。たとえば、「残業はよくない」と考え、秒単位、あるいはそれ以上に細かな単位の計測をして一斉に退勤しなければならないなど、実現不可能なレベルの意見が醸成されてしまうこともあります。

より良い方向に傾くことを「コーシャスシフト」、危ない方向に傾くことを「リスキーシフト」といいます。

【集団的浅慮】

集団では合理性を欠く意見や正しくない判断が起こり得るという現象です。

集団凝集性が高い場合、カリスマ性の高いリーダーの意見が集団の意見と同一視され、批判的検討がなされないまま通ってしまったり、外部の情報がシャットアウトされて客観性を失った意見が醸成されたりすることが原因です。

【社会的促進/社会的手抜き】

社会的促進とは、集団のなかで職務や課題の遂行が促進されることをいいます。単純に「みんなで行えば一気に仕事が片付く」という意味だけでなく、実現困難な課題を与えられる場合、ネガティブな思いが増幅されてしまうこともあります。

モチベーションが同調行動にも影響を与える現象のひとつだといえるでしょう。

社会的手抜きは、同じものに集団で取り組むと一人ひとりが出す力が抑えられ、ポテンシャルを発揮しないという現象です。重いものを運ぶとき、人数が増えるほど一人あたりのかける力が減ることがその例です。「全力を出すのはやめよう」という同調圧力が生まれ、結果的に仕事が進まないこともあり得ます。

【傍観者効果】

傍観者効果は社会的手抜きに似ていますが、「他者が行うだろう」と考えて手助けしないことを指します。

業務場面では「誰か資料を作成しておいてね」と上司が指示した際、近くにいたメンバーが返事をすると「自分はしなくてよいだろう」と考える例が挙げられます。
傍観者効果がある環境下では、業務を自分事として考えられない同調圧力が広まり、チームの生産性が低下するおそれがあるでしょう。

心理学的な見地からは、集団行動と同調圧力についてさまざまな研究がなされています。
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現状維持バイアスの記事も参考にしてください。

【関連記事:現状維持バイアスとは?起こる原因や外し方を解説

日本以外の同調圧力と海外の同調圧力

仲間はずれにされる女性
日本は同調圧力の影響力が大きいといわれることがありますが、海外にも同調圧力はあります。

日本と海外における同調圧力について見ていきましょう。

日本の同調圧力

日本は、島国という地理的特性をもつ国です。島のなかで助け合って生きていくという風土から、同調圧力が強い傾向があるといわれています。

生活や仕事、政治、経済などあらゆる場面で同調圧力の影響にさらされながら人々が暮らしていますが、近年はSNSの発達により多様性を尊重しようという動きも活発化しています。

多様性については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

【関連記事:ダイバーシティとは?企業が取り組むメリットや注意点、推進ポイントを解説

民族や気候と同調圧力(アジア・アフリカ・南アメリカ・オセアニア)

日本以外のアジア圏やサハラ以南のアフリカでも、同調圧力が日常的に影響を及ぼしています。民族や家族を重視する文化が強く、家族の絆や年長者を敬う心を重んじる人もたくさんいます。

民族や家族の文化を尊重するような社会的要請があり、周囲に馴染むこと・伝統を守ることを求められる傾向をもつ国が多くあるのです。

赤道に近いアジア圏やアフリカでは、厳しい気候を耐え抜き、野生動物と共存するうえでも同調圧力が発生しやすいと考えられます。南アメリカのアマゾン流域やアンデス山脈付近の人々、オセアニア島しょ部でも同様に、厳しい気候を生き抜き、食物を得るために農業や漁業を行ううえで同調圧力があるといえるのです。

宗教と同調圧力(イスラム圏/アラブ~北アフリカ)

イスラム圏における同調圧力は、宗教に基づくところがあります。

イスラム教のラマダンの時期には家族や友人とお祝いをし、日頃もお祈りの時間を大切にするなど、宗教と日常が深く結びついています。生まれながらにしてイスラムの教えに親しんでいる人々にとって、教義に従いながら暮らすことは同調圧力でもあり、日常のことでもあるといえるのです。

個人主義・ビジネス・政治と同調圧力(北アメリカ・ヨーロッパ)

アメリカ合衆国やカナダのある北アメリカでは、個人主義の文化であり一見同調圧力とは円が遠い文化かと思うかもしれません。たしかに個人主義が浸透してはいますが、ビジネスの場では組織の統率をとる必要があり、各企業には同調圧力が存在します。

また、政治の場でも同調圧力が見られます。アメリカ大統領選挙では支持政党ごとに同調圧力が起き、いくら個人主義の国だといえども自らの意見を曲げて支持を貫く人もいるのです。

ヨーロッパでもビジネスや政治の場で同調圧力が存在します。世論が政治家やロイヤルファミリーに大きな影響を与えることもあり、伝統文化の影響を強く受けた世論やパパラッチの動きに対してストレスを抱え、皇室を離れる決断をしたロイヤルファミリーもいます。これも同調圧力の影響だといえるでしょう。

コロナ禍の同調圧力の事例

コロナとSTAY HOMEの文字
コロナ禍では人々の混乱が生じ、その時期特有の同調圧力が強く、人々にインパクトを与えることもありました。たとえば、以下はコロナ禍における同調圧力の例と考えられます。
  • マスク着用やワクチン接種に関する考え・ハラスメント
  • 感染発生時の対応
  • リモートワーク導入の有無
なんらかの事情や個人の信念でマスク着用やワクチン接種を控える人々に対し、心ないバッシングを行う人がいたり、ハラスメントが起こったりしました。

また、企業や店舗などで感染者が報告されると、感染拡大を防ぐために感染の事実を周知し、濃厚接触者にあたる人に呼びかけが必要になります。その際、事実を伝えるだけでなく、責任ある立場の人の名前で謝罪する例もありました。

企業でリモートワークを導入しないことに対するネガティブな受けとめもありました。リモートワークを導入できない企業もあるなか、「対応すべき」という論調が強まっていたこともあるでしょう。

これらは、暗黙のうちに「感染はよくない」「感染拡大に協力しないのはよくない」という同調圧力を生みました。悪意もなく、当時防ぎきれなかった感染やその他の事実に対して責めたり、ネガティブに捉えたりする動きがあったことが一因だと考えられます。

リモートワークについては、以下の記事をご一読ください。

【関連記事:リモートワーク(テレワーク)でサボる人への対処方法は廃止しかない?働き方・マネジメントや求人の工夫を解説

同調圧力のメリット・デメリット

勢いのあるチームのイメージ
同調圧力にはネガティブなイメージがあるかもしれませんが、メリットもあります。
同調圧力のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

同調圧力のメリット

同調圧力のメリットは以下のとおりです。
  • 組織内の不正防止に役立つ
  • チームの一体感が醸成される
  • 協力関係が築ける
  • 理念が浸透し従業員エンゲージメントが高まる
同調圧力は、集団凝集性の項目で紹介したように、集団が良い方向に進むことにつながればメリットとなります。

良い文化を築き、不正を許さずチームで連携するという同調圧力が生まれれば、同調でなく協調に近い形で従業員同士の連携がとれるでしょう。

また、メンバー間で共有しておきたい優れた考え・理念を尊重できることで、チームに対する愛着が生まれ、会社の場合は従業員エンゲージメントが高まることになります。

不正防止について関心のある方は、こちらの記事もご覧ください。

【関連記事:コンプライアンスとは?意味や違反事例、遵守する方法をわかりやすく解説

同調圧力のデメリット

同調圧力のデメリットは以下の点です。
  • 多様性が生まれにくい
  • 違和感があっても伝えられず、ストレスを抱えやすい
  • 不正や悪い文化がはびこる
  • 切磋琢磨しない
文字どおり同調するために、ダイバーシティが進みにくくなることが最大の弊害です。仮に職場の文化に違和感や罪悪感をおぼえていても発言しにくいため、ストレスを抱えたり、不正や悪しき風習が是正されないままにされるおそれがあります。

同調圧力が強いと、能力の高い人が抜きん出ることもなく、結果的にメンバー間で競い合いながらスキルを磨くことも難しくなる場合があります。

組織の文化も含めて抜本的な改善を望む方には、こちらの記事がおすすめです。

【関連記事:組織改善が企業に必要な理由 フレームワークと進め方も解説

同調圧力の影響を受けやすい人・受けやすくなるとき

チームの流れに合わせるビジネスパーソンたち
同じ環境にいても、同調圧力の影響を受けやすい人と、そうでない人がいます。

組織の状況を個人の力で変えることは難しいものですが、自らの影響の受けやすさを自覚しておき、コントロールすることが可能です。

同調圧力の影響を受けやすい人の特徴は、以下のとおりです。
  • 一人になることを恐れる
  • 自らの正当性を主張したい
  • 目立ちたくない
  • ステレオタイプにとらわれる
  • 責任感・正義感が強い、白黒思考
個人の責任を追及する文化や出る杭は打たれる文化から、多様な個性を受けいれる文化を醸成しようとすることは大切なことであり、組織の特徴を捉えて時代に合わせて変革すべきところもあるでしょう。

それと同時に、同調圧力の影響を受けやすい特性が自分自身にあることを把握しておき、自分でコントロールしたり、上司や周囲が理解してマネジメントしたりすることで、大きな影響を受けずに活躍することが可能です。

同調圧力を受けやすい特性を把握してマネジメントできるミイダス

ミイダスのサービス概要
42万4,950社(2022年12月時点)が導入する人事・採用支援サービス「ミイダス」は、「活躍要因診断」という機能を備えています。

活躍要因診断は、以下2種類のアセスメントツールで構成されています。
  • バイアス診断ゲーム
  • コンピテンシー診断
各々の思考や意思決定の特性をつかめる「バイアス診断ゲーム」は、意思決定の質を高めたり、自らの認知バイアスを意識することで生産性を高めたりする効果もあります。

仕事の場面においては、他人との人間関係が避けられません。他者の言動や自身・自社への評価を感じたことや自らの感情により意思決定が簡単になったり、逆に難しくなったりします。これを認知バイアスと呼びます。これまでの経験に基づく先入観によって非合理的な判断をしてしまう心理現象です。

同調圧力の受けやすさは認知バイアスのひとつであるため、バイアス診断ゲームを活用すれば個々の特徴が把握できます。

バイアス診断ゲームは感覚で答えさせる診断であるため、一般的な適性検査とは異なり、虚偽の回答をしようがありません。分析により従業員の特徴だけでなく、組織としての特徴も判明します。自社の弱みや強みが言語化できれば、強みを活かす育成戦略、弱みを克服する育成戦略を練ることが可能になります。

バイアス診断ゲームについてくわしく見る

【関連記事:採用面接を補うバイアス診断ゲームとは?面接だけで決めない中途採用が重要に!

コンピテンシー診断は、ハイパフォーマーに共通する行動特性(コンピテンシー)を可視化するアセスメントツールです。診断では「問題解決力」「ストレス要因」など41項目のコンピテンシーを数値化。

診断結果から優秀な社員に共通する行動特性を分析し、ロールモデルを設定すれば、人材育成や人材開発の精度向上が期待できます。

どのような特性があるのかを把握して従業員と向き合い、お互いに負担を下げて成長を促せます。新規採用を行う際には、配属予定の部署で活躍できる人材であるか、自社にフィットするかを見極められるため、ミスマッチ回避にも効果的です。

また、似たコンピテンシーをもつ従業員同士であれば、必要以上にコミュニケーションを重ねなくても、意思疎通がしやすく円滑に業務を行えるでしょう。

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