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現状維持バイアスとは?外し方と克服方法を具体例とともに解説

現状維持バイアスとは「今のままで大丈夫だろう」と変化を避け、好転する可能性があっても新しい行動を取れない心理傾向のことです。誰しもが持つバイアスですが、強く働くとビジネスにおいてさまざまな弊害をもたらします。

本記事では、現状維持バイアスの意味と原因、具体例、外し方について解説します。現状維持バイアスによるビジネスへの悪影響を避けたい方は、ぜひ最後までお読みください。

また、ミイダスの調査では年代別にバイアスの傾向が異なることが判明しています。従業員のバイアス傾向を把握したい方は、以下の資料を参考にしてください。

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現状維持バイアスとは?

現状を変えようか悩んでいる女性のイメージ
現状維持バイアスは認知バイアスのひとつです。まずはその意味と、発生する原因について解説します。

関連記事:認知バイアスとは?身近な具体例と種類一覧・対策を簡単に解説

現状維持バイアスの意味

現状維持バイアス(Status Quo Bias)とは、変化を避けて現状維持を求める心理傾向を指します。現在の状況よりも好転するとわかっていても、新しい行動を取れない状態に陥ります。

たとえば、以下のようなケースです。
  • 成果が出ていないのに「昔はこの方法で成功したから」と従来の手法にこだわる
  • 人事制度の改善が必要なのに「今まで通りでいい」と先延ばしにする
なお、バイアス(bias)とは「先入観」や「偏見」という意味です。誰しもが無意識に持っているものですが、自分の成長や組織の発展を妨げる可能性があるため、認識することが重要です。

関連記事:バイアスとは?ビジネスでの意味や種類・企業に与える影響について解説【図解あり】

現状維持バイアスが起こる3つの原因

現状維持バイアスが生じる主な原因として、以下の3つが挙げられます。
  • 1.デフォルトの選択肢に従う
  • 2.損したくないと考える
  • 3.過去の経験にとらわれる
人間はもともと決まっている選択肢に従う傾向があります。この「デフォルト効果」を示す有名な例が、ドナーカードの表記による同意率の違いです。
「臓器提供の意思がある場合は〇」と記載された国 → 同意率は10%前後
「臓器提供の意思がない場合は〇」と記載された国 → 同意率は90%超

※出典:Medical Decision Making: Johnson, E. J. & Goldstein, D. G. (2003). Do defaults save lives? Science, 302, 1338-1339.|Dan Goldstein
また、何かを得るより失いたくないという感情を優先する傾向があります。昇進の話が出ても「責任が増える」と不安になって断ってしまうのは、この「損失回避性」の表れです。

さらに、人間は過去の経験に固執しやすい点も挙げられます。たとえば「以前この採用手法で成功したから」という理由だけで、同じ方法を続けてしまいがちです。

【具体例】ビジネス・日常で陥りやすい現状維持バイアス

CASEと書かれたブロック
ここでは、ビジネスと日常の場面に分けて現状維持バイアスの具体例を紹介します。

ビジネスにおける現状維持バイアスの例

まずはビジネスシーンでの現状維持バイアスの例を見ていきましょう。

今までのルールを変えることをためらう

「問題点はあるが、今うまくいっているので改善しなくていい」
「新ルールへの変更が決まったが、やり方が変わるのがストレスだ」

このように、改善点があるにもかかわらず先延ばししたり、より良いルールに変わるのにストレスを感じたりするのは、現状維持バイアスの典型例です。

組織や業務の改善に消極的である

「人事制度の見直しは合理的だが、手間がかかるので後回しにしよう」
「前例のないことにチャレンジして、かえって非効率になったら困る」

組織改革や業務改善が頭では必要とわかっていても、実際には手間と時間がかかるため腰が重くなるケースです。前例のないことへの不安から、現状維持を選んでしまいがちです。

新規事業へのチャレンジを怠ってしまう

「今の事業でうまくいっているから、新しいことに投資する必要はない」
「新規事業にチャレンジして失敗したら、今の安定を失ってしまう」

会社が市場で生き残るには新しいことにもチャレンジする必要がありますが、現状維持バイアスが強いと新規事業への投資に消極的になってしまいます。結果的に市場ニーズの変化に対応できず、競争力を失うリスクが高まります。

日常生活における現状維持バイアスの例

日常生活でも、現状維持バイアスはさまざまな場面で現れます。

いつも同じメニューを注文する

「平日のランチは毎回同じお店で、同じメニューを注文している」
「自販機やコンビニでいつも同じ飲み物を買う」

こうしたパターンに当てはまる場合、現状維持バイアスが強くなっているかもしれません。毎回同じものを注文すれば安心感はありますが、新しいメニューや商品の良さに気付く機会を失ってしまいます。

同じ席に座る

「毎回同じ席でお昼ご飯を食べている」
「いつもの席が空いていないと不安になる」

このような傾向も、現状維持バイアスの表れかもしれません。毎回同じ席に座れば、いつもと同じ景色で落ち着けます。しかし、別の席から見える景色の魅力に気づけないでしょう。

サブスクリプションを解約しない

「あまり使っていないサブスクを、なんとなく契約し続けている」
「そのうち使うかもしれないから、とりあえず解約しない」

このようなケースも、現状維持バイアスによる影響の可能性があります。無駄な出費になるかもしれないと理解していても、現状を変えることへの抵抗感から解約できない人は多いのです。

現状維持バイアスが引き起こすデメリット

デメリットの文字と虫眼鏡
現状維持バイアスは、組織と個人の両方にさまざまなデメリットを引き起こします。

組織へのデメリット

現状維持バイアスが組織に与える影響は深刻です。特に経営者や役員といった意思決定者の現状維持バイアスが強い場合、以下のようなリスクが高まります。

新しいアイデアが採用されず、組織の成長が止まる

現状維持バイアスが強い組織では、従業員から斬新なアイデアが出ても「今までのやり方で問題ない」と却下されがちです。結果として、最新の技術やビジネス手法を取り入れるのが遅れ、競合他社に顧客を奪われるリスクがあります。

もし従業員の意見を採用できない場合は、「このままで良い」と突き放すのではなく、具体的な数字や根拠を示して理由を説明すると納得感が高まります。

従業員の不満がたまり、離職につながる

従業員の意見や提案を受け入れない状態が続くと、職場への不満やストレスがたまり離職につながります。特に成長意欲の高い優秀な人材ほど、「この会社では成長できない」と感じて転職を考えるようになります。

人事担当者の立場からすれば、現状維持バイアスのせいで貴重な人材を失うことは避けたい事態です。

業務のやり方が古いままで、コストがかかる

古い仕事のやり方をそのまま続けていると生産性が低下し、無駄なコストが発生します。システムや業務の進め方を見直すのを先送りにすれば、将来的に大規模な修正作業が必要になり、余計に時間もお金もかかってしまうのです。

新しいことに挑戦できず、競争力が落ちる

企業が生き残るには、既存の事業だけでなく新しい分野にも取り組む必要があります。しかし、現状維持バイアスが強ければ「今はうまくいっているから変える必要はない」「挑戦して失敗するのが怖い」という心理が働き、新規事業に踏み出せません。

個人へのデメリット

個人においても、現状維持バイアスはさまざまな悪影響をもたらします。

キャリア成長の機会を逃す

キャリアチェンジのチャンスがあっても、現状維持バイアスが強いと一歩を踏み出せません。新しい仕事に挑戦しスキルを身につける機会を逃し続けた場合、昇進や社内での役割拡大の可能性が狭まり、結果的にキャリアが停滞してしまいます。

新しいスキルや知識の習得が遅れる

「今のやり方で十分」という考え方に陥ると、新しい技術やトレンドを学ぶ気持ちが薄れていきます。新しいことへの挑戦を避けていれば、専門性が深まらず、組織内での評価も下がっていくでしょう。

意思決定力と自己効力感が低下する

現状維持を選び続けることで、自分で判断し決断する力が弱くなります。今までの判断にこだわり続けると、変化に対応する柔軟性がなくなり、「自分には何も変えられない」と自己肯定感も低下してしまうのです。

心理的ストレスが増大する

変化に対する不安や迷いから、「あのとき決断していれば」という後悔の念が強まり、メンタルヘルスを損なってしまう場合もあります。不満がありながらも変化を避けていると、問題が解決されないまま慢性的なストレスを抱え、パフォーマンスにも悪影響が出てしまいます。

現状維持バイアスの外し方・克服方法

バイアス(色眼鏡)に囲まれている人物
現状維持バイアスを完全になくすのは難しくても、意識的に対処すればデメリットを最小限に抑えられます。ここでは4つの方法を紹介します。

現状維持バイアスを認知する

まずは自身や組織の現状維持バイアスを認知することが大切です。バイアスは無意識に働くため、自ら意識しない限り認知は難しいものです。選択を迫られた際に「現状維持は自分のためになるのか」と自問自答しましょう。

自社の経営者や社員の現状維持バイアスを認知させたいなら、ミイダスの「バイアス診断ゲーム」がおすすめです。ミイダスは何名でも無料で診断できるため、導入を検討されている方は以下よりぜひご活用ください。

(※受験にはミイダスの法人アカウントが必須です。また利用状況により一定の条件がございます。)

客観的データで現状を可視化する

何かを変えるべきか判断に迷ったときは、客観的なデータで現状を可視化してみましょう。感覚や直感だけで判断すると、現状維持バイアスに引っ張られてしまいます。新しい方法に変えた場合と現状維持を続けた場合を比較し、具体的な数字でメリット・デメリットを整理すると、より合理的な判断が可能です。

第三者からアドバイスをもらう

第三者からアドバイスを受けるのも有効な方法です。自分一人で判断すると、なかなか決断できず時間だけが過ぎてしまいます。友人や家族といった身近な存在には感情的になりやすいため、コンサルタントやカウンセラーなど、客観的な立場でアドバイスしてくれる専門家に相談するといいでしょう。

小さな変化から始めてみる

まずは少しずつ自分の行動を変えることから始めてみましょう。日常生活なら、いつもと違うお店でランチを食べたり、違う道を通って通勤したりといった小さな変化でかまいません。こうした行動を積み重ねることで、「普段とは違う行動をする」ことへの抵抗感が薄れていきます。

ビジネスでも同様です。組織改革や業務改善を行う場合、いきなり大きな改革を目指すのではなく、まずは小さなことから始めて、うまくいきそうだと判断できれば徐々に規模を拡大していくアプローチが効果的です。

ミイダスの「バイアス診断ゲーム」で自分のバイアスを知ろう

ミイダス活用マップ(バイアス診断ゲーム)
本記事では、現状維持バイアスの意味から具体例、克服方法まで解説しました。

現状維持バイアスは認知バイアスのひとつです。誰もが持っている心理傾向ですが、組織や個人の成長を妨げる要因となります。特に変化の激しい現代において、このバイアスを認識し適切に対処することは、企業の競争力維持と個人のキャリア成長に欠かせません。

関連記事:認知バイアスとは?身近な具体例と種類一覧・対策を簡単に解説

ただし「自分はどんなバイアスを持っているのか」を把握するのは、実際には難しいものです。

そこで役立つのが、ミイダスの「バイアス診断ゲーム」です。現状維持バイアスを含む全22項目のバイアスを診断でき、自分や組織のバイアス傾向を客観的に可視化できます。診断結果をもとに、より効果的な改善ができるでしょう。

ご自身がどのようなバイアスを持っているか、まずは診断してみませんか?詳しくは以下よりご覧ください。

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