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人材アセスメント

人材定着とは?自社に定着しない理由と定着率を高める施策を紹介

「採用活動を続けていても自社に人材が定着しないのはなぜだろう?」
「どのような施策をしたら、人材が定着するのだろうか」
と思うことはありませんか。

多くの企業で少子高齢化による人材不足が課題となっており、自社に定着する人材を増やすことも重要視されています。しかし、何が原因となって人材が定着しないのか、どのような取り組みをしたら従業員が居続けてくれるのか明確になっておらず、適切な施策を講じられていない企業もあるのではないでしょうか。

そこで当記事では、人材定着の基本となる定義や定着しない理由、企業が取り組むメリットなどを解説します。人材定着率の計算方法や数値を高めるための施策例も紹介するので、ぜひ参考にご覧ください。

なお、定着人材の採用に課題のある方に向けた、無料のお役立ち資料もご用意しています。根拠を持って採用の要件定義をおこない、定着率向上を目指したい方は、あわせてご一読ください。

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人材定着(リテンション)とは?

人材定着とは、従業員が長期にわたって会社に留まり、継続して働き続けることを指します。人材を確保する意味で「リテンション」と表現されることもあります。

人材定着には、下記の要素が必要です。
  • 活躍できる人材の確保
  • 従業員の離職防止
  • 長期的な雇用関係の維持
自社で活躍できる人材を確保し、長く居続けてもらうことで、企業の持続的な成長と競争力の維持につながります。人材定着に取り組むと、業務の生産性や従業員のモチベーションを高く維持できたり、採用コストを削減できたりと、企業にさまざまな効果をもたらすのです。

企業に人材定着しない10の理由

書類を書くビジネスパーソンの手元
「新規で人材を採用しても、長続きせずに辞めてしまう」「採用と教育にかかるコストが増えていく」と考える企業は、人材定着がうまくできていないと言えます。

では、なぜ人材が定着しないのでしょうか。考えられる理由を10個挙げましたので、原因となるところが自社に隠れていないか確認してみてください。

1.業務量と労働時間が適切ではない
2.社内コミュニケーションが少ない
3.ストレスに耐えられない
4.給与が適切でない
5.やりがいを感じられない
6.明るいキャリアパスが描けない
7.会社や業界の将来性が期待できない
8.労働環境が悪い
9.評価制度が適切ではない
10.人間関係に不満を感じている

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.業務量と労働時間が適切ではない

業務量と労働時間のバランスが適切でないと、人材定着を妨げる要因となります。たとえば、下記が不適切な労働環境の代表例です。
  • 長時間残業が当たり前になっている
  • 休日出勤が常態化している
  • 必要なときに有給休暇等を取得できなくなっている
業務量が多いために残業や休日出勤が当たり前になっている環境では、ワークライフバランスが欠如し、従業員のモチベーション低下や心身の健康状態を損なう可能性があります。

このような環境に耐えられなくなった従業員は離職の選択を考え始めるでしょう。

2.社内コミュニケーションが少ない

社内のコミュニケーション不足は、従業員の孤立感や疎外感を生み出す原因になります。「このまま頑張っていて意味があるのだろうか」「意見を挙げても反映してもらえない」など、適切なコミュニケーションがないことによって従業員自身が会社にいる存在価値を見いだせなくなってしまうのです。

こうした従業員が多くなればなるほど、組織としての一体感は薄れていきます。

社内コミュニケーションを活性化させて上司・同僚などと風通しの良い関係を構築し、会社への帰属意識を高めることが重要です。

3.ストレスに耐えられない

ストレスは一言でまとめられがちですが、耐えられるストレスは人によって異なります。

たとえば、Aさんはハードスケジュールな環境にはストレスを感じませんが、人間関係がギスギスした環境に対してストレスを感じます。しかし、同じ職場にいるBさんの場合は、人間関係がギスギスしていてもAさんほどストレスを感じることはなく、むしろハードスケジュールのほうにストレスを感じるケースもあるのです。これは同じ環境でも人によってストレスを感じるポイントが違うことで発生します。

人材定着を図るには、従業員がどのようなストレスに弱いのかを特定することが大切です。従業員のストレス耐性やタイプを把握するには、ミイダスの「コンピテンシー診断」のようなツールを利用するといいでしょう。

4.給与が適切でない

給与は従業員にとって大きなモチベーションです。きつい仕事だとしても、給与が割に合っていればすぐには転職という選択肢は選ばないでしょう。しかし、同じ業務量・労働時間で他社と比較して給与が低い場合、転職を考える要因になってしまいます。

人材定着ができていない企業は、給与が適切であるかを一度見直してみましょう。不適切な給与は従業員の不満につながり、企業全体の業務効率も下がってしまいます。

5.やりがいを感じられない

やりがいの欠如は、従業員の士気を低下させ、人材流出を加速させる原因のひとつです。仕事に意義や成長の機会を見いだせない状況が続くと、従業員のモチベーションが低下します。

「給与・福利厚生は十分なはずなのに人材が定着しない」と悩んでいる企業は、従業員にとってやりがいのある仕事を与えられているか、成長できる環境になっているかを見直してみましょう。また、年齢や体力的に厳しい仕事に不満を感じやすいため、従業員の負担が大きくなりすぎていないか見直すこともおすすめします。

6.明るいキャリアパスが描けない

明確なキャリアパスを描けない状況では、従業員は将来に対する不安を高めます。たとえば「人事評価基準が不明確で昇進の道筋が見えない」「このままでは、やりたい仕事ができない。別の会社のほうが自分の力を発揮できそうだ」というような不安感を抱く可能性があります。

キャリア構築を従業員任せにするのではなく、企業が積極的に関わり、支援していくことが大切です。従業員一人一人のキャリア構築に寄り添うことにより、人材定着につながります。

7.会社や業界の将来性が期待できない

従業員は経営者が思っている以上に、自分が勤めている企業の将来性に敏感です。それと同時に、業界の将来性にも強い関心を持っているでしょう。

会社や業界の将来性が期待できず、衰退の道が見えているような状況では、働き続けたいと思う従業員が減ってしまいます。

人材定着を図るために、将来性のある会社だと従業員に示すことが大切です。固定観念にとらわれず、新しいことにチャレンジする姿勢を見せたり、将来性を感じさせる明確な経営ビジョンを浸透させたりするなどが求められます。

企業が成長し続けることが従業員の成長にもつながり、長期的な人材定着が実現できるのです。

8.労働環境が悪い

企業には、時代の流れに適応した労働環境が求められます。人材定着が実現できていない企業は、従業員にとって働きやすい労働環境であるかを見直してみましょう。

従業員の働きやすさが、企業全体の業務効率アップにつながります。オフィスの固定席を撤廃し、自由に席を選んで仕事ができる「フリーアドレス」にしたり、リモートワーク(在宅勤務)ができる選択肢を用意したりなど、時代に合わせた働く環境の整備が求められているのです。

企業によって働きやすい環境は異なります。自社に適切な環境構築をしていくことにより、従業員の働きがいやモチベーションアップ、生産性向上などに寄与します。

9.評価制度が適切ではない

全ての従業員を平等にチェックして評価することは、企業にとって簡単ではありません。しかし、優秀な従業員であればなおのこと「適切に評価してほしい」という気持ちを強く抱いています。優秀な人材の退職は企業にとっても大きな痛手となるため、適正な評価制度を整備する必要があるのです。

従業員の能力に適した部署へ配属することも不満解消になります。従業員一人一人が「この会社は自分の能力をきちんと見てくれている」と思えるような企業になれば、長期的な人材定着を実現しやすくなるでしょう。

10.人間関係に不満を感じている

転職理由で多く挙げられるのは「人間関係に対する不満」です。人材定着がうまく行っていない企業は、社員同士のコミュニケーションが円滑におこなわれているかを一度確認してみましょう。

たとえば上司からのパワハラがある、同僚同士の対立が起こっているなど、職場の人間関係が適切ではないことでストレスや離職の原因になります。

人材定着を目指していくためにも、社内にオープンなコミュニケーションができる文化醸成が大切です。

人材定着に取り組むメリット

人材定着が進んでいるイメージ
人材定着に取り組むと、企業はさまざまなメリットが得られます。
  • 業務効率と生産性が向上する
  • 人材の流出を防げる
  • 採用・教育コストを削減できる
  • 既存社員のモチベーションを高められる
  • 業績が安定する
順に詳しく見ていきます。

業務効率と生産性が向上する

人材定着を促進させると業務効率と生産性の向上が期待できます。

自社で長く働く従業員は業務理解ができており、経験も豊富であることから効率的に仕事を進められます。また、部署内のチームワークを高めたり、業務改善をおこなったりするなど、組織レベルで見た生産性向上も期待できるでしょう。

人材定着がなされている企業では業務効率や生産性向上が実現しやすくなり、持続的なパフォーマンスの維持も可能です。これは、企業の競争力強化にもつながると言えます。

人材の流出を防げる

人材定着が叶うと、優秀な人材の流出を効果的に防ぐことができます。

これまで育成してきた人材が他社に流れてしまっては、組織のノウハウや競争力を失い、業績低下を招く可能性があります。人材の定着は組織や業務を安定させ、将来の経営リスクを軽減させることにつながるのです。

また、人材の流出が少なければ企業文化やカルチャーを次世代に引き継ぐことができ、組織の持続的な成長と発展を促せます。

採用・教育コストを削減できる

人材定着ができている企業は離職する人が少なく、長く勤めている従業員が多い状態です。そのため、継続した採用活動や新規人材に対する教育が最小限になり、大幅なコスト削減につながります。

採用や教育にあたる従業員の人件費も抑えられるため、担当者は別の業務に注力できるようになるでしょう。

既存社員のモチベーションを高められる

人材定着は既存従業員のモチベーションアップになります。人材定着の取り組みを通して、職場環境の改善や長期的なキャリア構築の支援などをすることにより、従業員のエンゲージメント(従業員が会社を理解して信頼している状態)を高められるのです。エンゲージメントの向上は「チームの一員として頑張ろう」「会社に貢献していこう」というモチベーションにも寄与します。

モチベーションの高い従業員が多いと、主体的に業務へ取り組んだり、明るい職場の雰囲気をつくったりと、組織全体にプラスの効果をもたらします。従業員個人のモチベーションアップが組織に好循環を生み出すことが期待できるのです。

【関連記事】従業員エンゲージメントとは?注目されている背景や取り組み方を紹介

業績が安定する

人材が定着していると、企業の経営と業績が安定しやすいです。労働力が安定しているので、長期的な事業戦略を立てやすくなります。

たとえば、一度に複数人が退職してしまうと、プロジェクトの進行が滞ります。退職者の分を補充するための採用活動にも時間を要し、当初の予定通りにプロジェクトを進めることは難しいかもしれません。人材定着を促進することで、安定した品質やスピードで製品・サービスを提供できるため、顧客からの信頼、満足度向上にもつながります。

人材定着を数値化する「人材定着率」とは

電卓の上にいるミニチュアサイズのビジネスパーソン
自社の従業員がどれくらい定着しているかを可視化するには「人材定着率」を計算します。人材定着率の定義と計算方法を見ていきましょう。

入社した社員が一定期間を経て定着しているか表すもの

「人材定着率」とは、入社した従業員が一定期間を経て、どのくらい定着しているかを示す指標です。日本では入社する従業員が多い4月を基準として年度単位で計算されることが多いですが、企業によって基準月や対象期間は異なります。

基準となる期間が3年・5年と長くなっても定着率が下がらない企業は、従業員にとって働きやすい会社であり、離職リスクが少ないと判断できます。人材定着率が高いほど従業員が長く働いていることを示し、離職率が低いと分析するのが一般的です。
高い人材定着率を誇る企業は、優良企業であると言えるでしょう。

人材定着率の計算方法

人材定着率は、次の計算方法で算出します。

(一定期間を通して全日数残った従業員数 ÷ 一定期間の開始時点で雇用されていた従業員数)×100

例を挙げて実際に計算してみましょう。

基準となる期間:1年
1年前の4月に採用した従業員数:10名
今年の4月に残った従業員数:8名
計算式:(8 ÷ 10)× 100 = 80(%)

1年前の4月に採用した従業員10名のうち、今年の4月時点で8名が残っていた場合、定着率は80%です。

人材定着率と離職率の違い

「離職率」は人材定着率と対になる言葉で、退職した従業員数をもとに算出します。

上記の計算例に当てはめると、離職率は20%です。離職率は「100%-定着率」で求められます。似た文脈で使われるため、定着率と離職率を混同しないように注意しましょう。

定着率は「高い」と良く、離職率は「低い」と良い指標です。

日本の定着率の平均は?

日本の定着率の平均は「85%」程度です。つまり、離職率は15%前後で推移しています。
出典:令和4年 雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移|厚生労働省

厚生労働省によると、令和4年の離職率は15.0%(定着率は85.0%)でした。ただし、業界によって離職率は異なり、差が出ているのが現状です。
出典:令和4年 雇用動向調査結果の概要 産業別の入職と離職|厚生労働省
たとえば「複合サービス事業」や「電気・ガス・熱供給・水道業」などでは、入職者より離職者のほうが多くなっており、人材定着が進みにくいとうかがえます。

産業全体で見ると15.2%が入職したのに対し、離職は15.0%です。採用しても離職してしまい、人材定着を課題とする業界・企業が多い傾向にあると言えます。

人材定着率を向上させる8つの施策

ガッツポーズをする5人のビジネスパーソン
人材定着率の向上を目指す施策は「リテンション施策」とも言われます。

具体的な施策例として下記の8つを紹介します。

1.明確な企業ビジョンを共有する
2.オープンなコミュニケーション環境を構築する
3.ワークライフバランスを重視した制度を設計する
4.柔軟な働き方をサポートする
5.従業員のスキルアップ・キャリアアップを継続的に支援する
6.公正な評価制度と報酬体系になっているか見直す
7.選択型の人事制度を導入する
8.採用のミスマッチをなくす

それぞれ見ていきましょう。

1.明確な企業ビジョンを共有する

人材定着率の向上には、明確な企業ビジョンの共有・浸透が欠かせません。組織の目標や方向性を従業員が理解できなければ、自身の役割・将来のキャリアパスなどを描きにくくなってしまうのです。

企業ビジョンは、社内の全体会議や社内報などでの共有が効果的です。また、新入社員が入った際には、研修の場を活用して浸透を図るようにしましょう。

企業ビジョンを明確にしたうえで従業員の目標や行動と結び付けることが大切です。そうすると同じ方向へ進むことが可能になり、仕事のやりがいやモチベーションにも寄与します。

2.オープンなコミュニケーション環境を構築する


風通しの良いオープンなコミュニケーション環境を構築することで、上司・部下・同僚との信頼関係が醸成され、人間関係への不満軽減につながります。オープンで円滑なコミュニケーションを図るには、下記のような取り組みが効果的です。
  • 定期的な1on1ミーティング
  • 部活動や社内SNSなど横のつながりの強化
上司と部下が対話する1on1ミーティングの機会を設けることで、従業員一人一人の課題やキャリアの方向性を把握できます。従業員の帰属意識や満足度を高めることにも寄与するでしょう。

また、部署を超えた横のつながりを増やす取り組みは、情報交換が活発になったり新たな人脈からアイデアが生まれたりするなどの相乗効果が期待できます。

【関連記事】1on1ミーティングは意味ない?失敗する理由と成功させる方法

3.ワークライフバランスを重視した制度を設計する

定着人材を増やすには、従業員のワークライフバランスを重視した制度設計が必要です。仕事とプライベートを両立できるように企業が環境を整えることで、従業員の生活の質が高まり、会社の満足度や業務の生産性が向上します。

ワークライフバランスを整える施策には下記のようなものが有効です。
  • フレックスタイム制や在宅勤務制度の導入
  • 有給休暇など各種休暇の取得促進
  • 残業時間の上限設定やノー残業デーの実施
  • メンタルヘルスケアのサポート
従業員のワークライフバランスを重視し、積極的にリフレッシュの機会を提供することが、人材定着率向上につながります。

4.柔軟な働き方をサポートする

コロナ禍を経てリモートワークなどの新しい働き方が一気に広まりました。出社回帰の傾向もありますが、従業員が柔軟な働き方を選択できるよう、制度を整えておくことが重要です。

リモートワークをはじめ、時短勤務や出社とリモートのハイブリッドワークなど、希望の働き方ができる就業形態を用意しましょう。時間単位での有給休暇取得も効果的です。

そうすることにより、個々の事情やライフステージの変化にも対応しやすくなります。柔軟な働き方を整備することで「この会社なら長く働き続けられる」と感じてもらいやすくなり、人材定着率向上につながるのです。

5.従業員のスキルアップ・キャリアアップを継続的に支援する

継続的にキャリア形成のサポートをすると人材定着率の改善が期待できます。

一見、従業員のキャリア形成をすると転職しやすくなってしまうと感じるかもしれません。しかし、ジョブ型雇用や成果主義が浸透した現代社会では、キャリアを形成できない会社は従業員に離職されやすいのです。人間関係が良くても、自分のキャリアプランに合っていない会社は退職されるリスクが高まります。

スキルアップやキャリアアップの施策には、下記のようなものがあります。
  • 業務に関連するセミナーの受講
  • 資格取得の費用補助
  • 定期的なキャリア面談の実施
  • 社内研修の充実
  • ジョブローテーションの実施
  • OJTやメンターの導入

従業員一人一人の成長ビジョンを尊重し、それを実現する環境を整えることが、人材定着の鍵となるのです。

【関連記事】メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説
【関連記事】ジョブローテーションとは?ビジネスでの意味やメリットデメリット、ストレス軽減の方法も解説

6.公正な評価制度と報酬体系になっているか見直す

公正な評価制度と報酬体系の見直しは、従業員の帰属意識やモチベーション向上に効果的です。

企業の業績によっては、従業員の給与を上げることが難しい場合もあるでしょう。しかし、従業員が抱く会社に対する気持ちが低いままだと業務の生産性が下がり、業績にも影響する恐れがあります。

まずは現状の評価制度と報酬体系を見直し、適切になっているか見直すことが大切です。

中小企業庁の「平成29年中小企業白書」によると、半数以上の就業者が「他社よりも高い賃金水準の確保」や「成果や業務内容に応じた人事評価」が重要だと答えています。

▼人材の定着や育成のために就業者が重要だと考える企業の取り組み(%)
取り組み内容18~34歳の中核人材(n=351)
他社よりも高い賃金水準の確保58.4
成果や業務内容に応じた人事評価56.4
能力や適性に応じた昇給・昇進56.4
時間外労働の削減・休暇制度の利用促進53.0
引用:中小企業庁「平成29年中小企業白書」
このように、高い給与水準や適切な評価が企業に求められています。そのためにできることは下記のとおりです。
  • 上司の主観や直感に頼らず、客観的で公平な評価基準を設ける
  • 成果主義と能力主義のバランスを取った評価基準を設定する
  • 等級ごとの給与額を公開する
  • 昇給・昇格基準を明確にして周知する
従業員が納得できる給与制度や評価基準があれば、エンゲージメント向上につながります。公平感のある制度設計で長期的な人材定着が実現しやすくなります。

7.選択型の人事制度を導入する

人事部が主導して配属先を決めるのが一般的ですが、従業員の希望に合わせて自分のキャリアや働き方を選択できる制度を導入するのも方法です。たとえば、社内公募制度や自己申告制度、社内FA制度などが代表的です。

ソフトウェア開発をおこなうサイボウズ株式会社では、組織や評価制度を見直し、従業員に配慮した制度にしたことで離職率が28%から5%程度にまで減っています。

従業員の希望や適性に合わせたキャリア実現ができる制度を整えると、長期的な人材定着が期待できるのです。

なお、サイボウズの取り組みの詳細は後述しているので、あわせてご一読ください。

8.採用のミスマッチをなくす

人材定着率の低さは、採用のミスマッチが大きく影響している場合があります。人材定着率を高めるなら、すでにいる従業員だけではなく、採用段階にも目を向けなくてはなりません。

まず、見直すのは採用の要件定義が適切にできているかどうかです。自社の社風やカルチャー、仕事内容にフィットする人材を採用できていなければ、入社させてもミスマッチを起こしてしまい、離職の原因になります。

とはいえ、採用の要件定義が適切かどうか判断するのは、なかなか難しいものです。そこで役立つのがミイダスのフィッティング人材分析です。

自社で活躍している従業員の特徴を明確にして、社風にフィットする人材の条件を可視化します。その結果を採用の要件定義に加えることで、ミスマッチを抑えた人材採用が期待できるのです。

またミイダスでは、登録している転職者の中から、自社にフィットする特徴を持った人材に直接スカウトを送ったり面談したりといった効率的な採用アプローチができます。

フィッティング人材分析はミイダスの無料アカウント登録後、すぐにお試しいただけます。無料で使えるツールですので、採用の要件定義を見直す際にぜひご利用ください。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

まずは無料トライアルをお試しください。

アカウントを登録してフィッティング人材分析機能を利用する

※アカウントの登録及びご登録後のご利用は無料です。

なお、ミスマッチの少ない採用をするには、面接での評価も重要です。採用候補者の適性や能力を適切に評価する面接手法に「構造化面接」があります。

構造化面接については、下記の記事にて詳しく解説していますので、あわせてご一読ください。

【関連記事】構造化面接は採用に有効?導入される理由やメリット、質問例をまとめて解説

【5ステップ】自社で人材定着を図る流れ

木製キューブに書かれた5ステップのイメージ
具体的な施策例を紹介しましたが、実際に人材定着を図る取り組みを推進する際には、どのような流れでおこなうのでしょうか。ここでは下記5つのステップに分けて、人材定着を図る流れを解説します。

1.現状の人材定着率を把握する
2.離職理由を分析する
3.従業員のモチベーションを可視化する
4.改善策に優先順位を付けて実行する
5.定期的に人材定着率を確認し、施策を見直す

1.現状の人材定着率を把握する

まずは、現状の人材定着率を知るところから始めましょう。一般的な人材定着率の算出方法は前述していますので参考にご覧ください。

組織が大規模な企業の場合、雇用形態や部署、年齢別など、さまざまな角度から人材定着率を算出するようにしましょう。細分化して分析することで、どこで定着率が低くなっているのか把握できます。

人材定着率は一定期間ごとに保存し、蓄積されたデータの推移を比較できるようにしておくことが大切です。

2.離職理由を分析する

従業員が離職した理由の分析も大切な工程です。退職者との面談時やアンケートなどで離職理由を聞き、何が原因で離職に至ったのか洗い出します。

離職理由には、たとえば「業務内容への不満」「キャリアアップの機会不足」「待遇面の不満」などが考えられるでしょう。

表面的な回答だけではなく、その裏に隠された本質的な課題を見極めることが重要です。

3.従業員のモチベーションを可視化する

従業員のモチベーションや帰属意識の高さが人材定着を左右します。目には見えづらいモチベーションですが、その高さを定期的に計測しておくことが大切です。

モチベーションの可視化ができていれば、従業員が離職する兆候を察知して対策を講じることもできます。

モチベーションを可視化するには、ミイダスが提供する「組織サーベイ」がおすすめです。毎月簡単なアンケートを実施するだけで、従業員個人やチームのコンディションを分析できます。今取るべきアクションも具体的にわかるため、パフォーマンス向上や離職防止に効果的です。

ミイダスの「組織サーベイ」の詳細を知りたい方は、下記からご確認ください。
ミイダスの「組織サーベイ」を詳しく見る

4.改善策に優先順位を付けて実行する

現状を分析していくと、さまざまな課題が浮き彫りとなり、どこから着手すべきか迷うかもしれません。一気に改善策を進めると取り組みそのものが頓挫してしまい、何の成果も得られない可能性があるため、優先順位を付けて取り組むことが大切です。

改善策の優先順位を「緊急度」と「重要度」で評価し、どれから取り組むのか決定すると良いでしょう。また、課題によって短期的・中長期的どちらの成果が得られるのか分類し、バランス良く取り組むと効果的です。

5.定期的に人材定着率を確認し、施策を見直す

継続して人材定着率を高く維持するには、施策内容の定期的な見直しが欠かせません。一度施策をやって終わりではなく、継続的に実行しながら振り返りをおこなうのが大切です。

四半期や半期ごとに実行時の課題を洗い出し、効果を検証します。このとき、人材定着率に変化があったのか確認しておくと、あとから分析しやすいです。

課題が見つかったら適宜内容を調整して改善に努めます。見直しと改善を継続的におこなうことで、長期視点での人材定着率の維持につながります。

定着率を上げる施策を推進している企業事例3選

ミーティングするビジネスパーソンのイメージ
実際に定着率を上げる施策を実施し、数値を改善させた企業の事例を3つ紹介します。ぜひ自社に取り入れる施策のヒントを探してみてください。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、社内のコミュニケーションを活性化する施策を実行したところ、離職率が28%から5%前後まで減少しました。つまり、定着率が95%前後まで改善されたのです。

サイボウズでは、自分らしく働けるように、多様な働き方に対応した人事制度を導入しています。
・育児・介護休暇制度
・一人一人が自分の働き方を決める「働き方宣言制度」
・在宅勤務制度
・退職しても6年以内なら復帰が可能な「育自分休暇制度」
・副業許可
・他部署に体験入部が可能
・子連れ出勤制度
・その年にお世話になった人の表彰
・社内の部活動
・誕生月の社員が集まる誕生日会
・部内での飲み会をサポート など
上記のような人事制度を導入することで、従業員の満足度が高まり、定着率が向上しました。表彰制度や従業員同士のコミュニケーションができる場の支援などは、比較的どのような企業でも導入しやすい施策です。社内のコミュニケーションが活性化すると、メンター制度などを設けなくても同様の効果が期待できるでしょう。

参考:サイボウズ株式会社「ワークスタイル 多様な働き方へのチャレンジ」

株式会社レオパレス21

株式会社レオパレス21では、業界平均以上の離職率を記録していたところから、離職率9%弱にまで改善しています。つまり定着率は約91%です。

レオパレス21がおこなった定着率を上げる施策は「研修の見直し」です。これまで研修にあまりコストをかけず、現場任せで教育をしていたそうです。しかし、従業員にアンケートを取ったところ、充実した教育を求めていたことが判明しました。そこからは、管理職研修や営業力強化研修、組織マネジメントなどさまざまな研修をおこないました。

研修を実施したことで、管理職によるマネジメントの質が上がり、若い従業員の定着率を向上できたそうです。

また、レオパレス21は「残業の削減」にも力を入れています。労働時間が評価に直結しないことを従業員に伝え続け、カルチャーの改革をおこないました。リフレッシュ休暇や計画年休制を導入したことで、有給取得率も2倍程度にアップ。従業員のワークライフバランスが改善し、定着率が高くなっています。

残業をすればするほど評価されていたのは、ひと昔前の話。欧米の文化も輸入され、ワークライフバランスが注目されている今では、残業時間の削減こそが定着率向上の鍵となるかもしれません。

参考:リクナビNEXTジャーナル「3年間で離職率が劇的に改善! レオパレス21はなぜ変われたか?」

医療法人深慈会

医療法人深慈会では、コロナ禍で仕事と家庭の両立ができなくなった従業員の退職が続いていましたが、新たな採用ツールを導入したことで人材定着率が改善しました。

医療法人深慈会は、自社にフィットする人材を洗い出し、その人材にスカウトを送る採用ツール「ミイダス」を利用しています。自社に合った人材をピンポイントで採用できるため、採用ミスマッチを防止する効果が期待できます。

さらに、医療法人深慈会では「体験入社」を導入したことで、定着する人材を採用できました。求職者に職場を見てもらってから採用するため、すぐに離職されることが少なくなります。採用ミスマッチがなくなり人材定着率が向上すると、コストの削減や生産性アップが実現し、既存従業員のモチベーションアップにもつながるなど、メリットが多くあるのです。

関連記事】ミイダス導入事例「「スカウト」だけではない。コンピテンシー診断、トライ、スポット…「ミイダス」で、採用と組織が変わる」

体験入社については、以下の記事でも詳しくご説明しています。

【関連記事】体験入社とは?導入するメリットや注意点、導入方法をまとめて紹介

人材定着に関するよくある質問

人差し指を立てたポーズをする笑顔の女性
人材定着を図るにあたり「人材定着指導士はどのような資格?」「中小企業で人材定着を図るにはどうしたらいい?」という質問があります。この2点について回答していくので参考にしてください。

人材定着指導士は、どのような資格?

人材定着指導士は、一般社団法人 人材定着指導士協会が認定する資格試験です。初級・中級・上級に分かれており、企業で必要な人を採用し、定着する組織を構築する方法を習得します。人事担当者や人事コンサルタントなどが、人材定着についての知識・スキルの証明に役立ちます。

資格取得には、協会が主催する講座の受講と試験の合格が必要です。

働き方改革や社内プロジェクトの企画・運営などをしていきたい方は、受験を検討してみてはいかがでしょうか。

参考:一般社団法人 人材定着指導士協会

中小企業で人材定着を図るには?

中小企業が人材定着を図るには、大企業とは異なるアプローチが効果的です。

たとえば、経営者と従業員の距離が近いため、密なコミュニケーションを取ることができます。経営者と直接話せる意見交換の場を設けたり、1on1ミーティングを実施したりすることで、従業員の声を反映した新しい制度設計がしやすくなります。

経営者に直接話せることは、従業員のモチベーションや帰属意識の向上にも効果的です。

必ずしも大企業のような大きなプロジェクトを起こす必要はありません。従業員のニーズに合わせた柔軟な働き方を実現させたり、コミュニケーションを促す社内イベントを実施したりなど、小さな工夫でも人材定着を図ることは可能です。

優秀な人材を定着させるには自社にフィットする人材の把握から

笑顔でポーズする男女のビジネスパーソン
人材定着の定義や企業が取り組むメリット、人材定着率向上の施策例などを解説しました。人材定着を図るには、人材定着率を把握し、自社の課題に沿った施策を継続して実行していくことが重要です。

また、既存の従業員に対する施策も大切ですが、早期離職を防ぐには採用段階での要件定義を見直し、自社にフィットする人材採用が求められます。まずは、どのような人材が自社の社風やカルチャーに合致し、活躍してくれるのかを知らなくてはなりません。

ミイダスでは、自社で活躍する定着人材の条件を可視化できる「フィッティング人材分析(活躍要因診断)」を無料で提供しています。分析結果を採用の要件定義に加えることで採用ミスマッチを減らし、離職の根本的な原因を解決につなげます。そうすることで、人材定着率の向上を目指せるのです。

「フィッティング人材分析」はミイダスのアカウント登録をするだけでご利用いただけます。登録は1分程度で終わりますので、自社にフィットし、長期間活躍してくれる人材を採用したい方は、ぜひご活用ください。

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