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採用

ポリコレに企業が取り組む意義やメリットとは?人事が採用で気をつけたい点も解説

近年、SNSなどでよく耳にするようになった「ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)」。特に映画やゲームの表現に対して使われるケースが多いため、トレンドワードだと思う方も多いでしょう。

しかし、実際は1970年代から1980年代のアメリカで発祥した言葉であり、ジェンダーや人種の多様性に配慮する表現として浸透していった歴史があります。

現代において「ポリコレ」は、企業が「ダイバーシティ経営」を推進するうえで押さえるべき重要な観点です。

そこで本記事では、ポリコレの具体的な定義や企業が取り組むメリット、人事が採用活動で気をつけたいポイントなどを網羅的に解説します。

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ポリコレとは?意味と歴史を解説

男女平等のイメージ
「ポリコレ」とは「ポリティカル・コレクトネス(political correctness)」の略称で、politicalは「政治的」、correctnessは「正しさ」を意味し、政治的な妥当性や公平性を求めることを指しています。

この言葉は、政治的に正しいとされる言動や態度を表すものであり、多様性や差別に配慮する意識を持つ人々が用いる表現です。

日本におけるポリコレは、言語・制度・創作など、あらゆる物事から差別をなくしていこうとする考え方の側面を持っています。

ポリコレの起源と歴史

いつ誰がポリコレという言葉を使うようになったのかは、はっきりとわかっていません。しかし、ポリコレが表舞台に出てきたのは1970年以降のアメリカとされています。

1970年代頃のアメリカでは公民権運動やフェミニズムが活発化し、「政治的正しさ」を求める言葉として使用されていました。ただし、当時は活動家が自身の行いを自嘲する時に用いる言葉だったようです。

しかし1980年代に入ると、人種・性別・民族などによる差別を防ぐ思想を指す言葉として世界中に広まりました。

「ポリコレ」という言葉を聞いたことがなくとも、1980年代以降に「看護婦」が「看護師」となったように、さまざまな言葉の変化は目にしていると思います。これがポリコレを身近に感じられる代表的な例です。

ポリコレによって変化した表現や制度の実例

さまざまな人種のイラスト
ポリコレによって、身近な言葉の変化がよく見られるようになりました。その他、さまざまな制度で内容が見直され、性別や人種などに配慮する動きが活発化しています。

ここからは「性別・人種・その他」のカテゴリに分けて、ポリコレによる変更点を見ていきましょう。

性別に関する変更例

特定の性別を連想させる呼称は、多数変更されています。
変更前変更後
ビジネスマンビジネスパーソン
看護婦看護師
カメラマンフォトグラファー
保母・保父保育士
スチュワーデスキャビンアテンダント・客室乗務員
チェアマンチェアパーソン
ポリスマン ポリスオフィサー
彼氏・彼女パートナー
Ladies and Gentlemen, Boys and Girls
(東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの園内アナウンス)
Hello Everyone
Ladies and Gentlemen
(JALの機内放送)
all passengers, everyone
少し前まで耳にしていた言葉も、ポリコレ意識の向上とともに見直される例が数多くあります。

制度の変更例としては、企業の福利厚生や服装変更などが挙げられるでしょう。

たとえば、育児休暇・介護休暇を性別問わず取得できる制度や、不公平感への対策と意識づけを強化する企業が増えています。また、企業や学校の制服も「男性 = ズボン」「女性 = スカート」の固定観念は差別的であるとの風潮が強まり、特に女性が制服を自由に選べるように変化してきています。

人種に関する変更例

民族や肌の色に関する表現も、見直す動きが活発化しています。
変更前変更後
ブラック(黒人)アフリカン・アメリカン
インディアンネイティブ・アメリカン
美白(花王)
ホワイトニング(外資メーカー)
商品表記を取りやめ
肌色
(ファミリーマート・文房具メーカー)
ベージュ(ファミリーマート)
うすだいだい(文房具メーカー)

その他の変更例

身体的特徴や病気などの表現も変更されています。
変更前変更後
障害者障碍者・障がい者
蒙古症ダウン症
牛眼先天性緑内障
精神分裂病統合失調症
痴呆症認知症
ポリコレの浸透により、さまざまな言葉の表現や制度の見直しが行われています。

企業がポリコレに注目する理由

電球を持つ手
近年、企業がポリコレを意識するようになった理由として、主に以下の3つが挙げられます。
  • ダイバーシティ経営の強化
  • 社会的な規範に対する企業の役割
  • 多様性を尊重する社会への変化
一つずつ内容を見ていきましょう。

ダイバーシティ経営の強化

ダイバーシティとは「多様性」を意味し、人種・性別・民族・宗教といった多様な属性を受け入れている状態を指します。そしてダイバーシティ経営とは、組織に属するあらゆる人々がお互いを認め、最大限のパフォーマンスを発揮できる環境づくりを行っていくものです。

こうしたダイバーシティ経営が重要な理由として、以下の3つが挙げられます。
  • 少子高齢化による労働力人口の減少
  • 多様化する顧客ニーズへの対応
  • 市場のグローバル化
少子高齢化の影響により、数十年前まで主流だった「男性中心・長期就労・フルタイム」の条件で人材を確保するのは困難になっています。

また、インターネットの普及による顧客ニーズの細分化や市場のグローバル化により、多種多様な要望への対応や外部環境への対応が求められるようになりました。

つまり、ダイバーシティ経営には多様な労働力の確保と新たなイノベーションの創出が期待されており、実現のためにはポリコレの観点を正しく理解する必要があるのです。

ダイバーシティについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事:ダイバーシティとは?企業が取り組むメリットや注意点、推進ポイントを解説

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社会的な規範に対する企業の役割

企業がポリコレの観点を意識することで、社会的規範にのっとった事業の運営につながり、結果的に消費者・求職者・社員からの評価向上につながります。

たとえば、採用や人事評価では人種や性別にとらわれず公正・公平な評価が求められ、広告やマーケティング活動では差別的な表現を避ける必要があります。

ポリコレの考え方が社会に浸透してきた昨今において、人種差別や性差別などの問題に企業が真摯に向き合うことで、対外的な評価も高まるのです。

企業の評価が高まれば、売上拡大や求職者数の増加、自社社員のエンゲージメント向上にもつながり、企業経営に好循環が生まれます。

多様性を尊重する社会への変化

世界的に人種や性別、価値観などに対する差別や偏見をなくし、中立的な立場を求める動きが活発になっています。

社会全体が多様な価値観を認め合い、共生していく方向に動いていることから、企業も積極的にポリコレと向き合い、こうした価値観を持つ組織を作り上げていく必要があります。

組織全体がグローバルな価値観を共有し、社会全体の変化に貢献していくためにも、ポリコレへの理解と対応が不可欠なのです。

企業がポリコレを意識するメリット

ポリコレで目指す健やかな社会のイメージ
社会に広く浸透してきたポリコレですが、企業が意識することで以下のメリットを得られます。
  • 好意的な評価や信頼の獲得
  • 多様性の促進による新たなイノベーションの創出
  • 社員のモチベーション向上
それぞれ具体的に解説します。

好意的な評価や信頼の獲得

企業がポリコレを意識することで、社内外から好意的な評価を得られ、信頼を獲得できます。

ポリコレを意識しダイバーシティ経営を重視する企業は、社会的責任を果たす企業として消費者や投資家から好意的な評価を受ける傾向にあります。

また、社員も社会的に正しい取り組みを行う職場に魅力と信頼を覚えるため、エンゲージメントの向上にも期待できるでしょう。

すなわち、企業がポリコレを意識すると、企業のブランド価値や社会的価値の向上につながり、持続可能な企業の成長を実現できると考えられます。

多様性の促進による新たなイノベーションの創出

多様性の促進により、幅広いバックグラウンド・経験・個性・考え方を持つ人材が集まると、多角的な視点による問題解決や新たなビジネスチャンスに恵まれます。

また、多様な人材が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることで、モチベーション向上や離職率の低下にも効果的です。

このように、企業が主体的にポリコレを意識した取り組みを実施すると、新たなイノベーションが創出される機会に恵まれ、ビジネスチャンスと社会的価値向上につながります。

イノベーションについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事:イノベーションとは?種類や成功事例をもとにわかりやすく解説

社員のモチベーション向上

前項でも触れましたが、企業がポリコレを意識すると多様な人材の活躍が見込まれ、社員のモチベーション向上につながります。

組織全体でポリコレを意識する風土になると、職場における差別や偏見が取り払われ、社員全体が心理的安全性を感じながら意欲的に働けるようになるでしょう。

さらに、ポリコレを意識すると社員の多様な視点が組織に取り入れられ、より活発な意見交換による革新的なアイデアや戦略の創造が期待されます。

社員のモチベーション向上は、企業の持続的な発展に必要不可欠です。企業全体でポリコレを意識することは、今後の企業経営において非常に重要な課題であると言えます。

モチベーションについては、以下の解説記事も役立ちます。あわせてご覧ください。

【関連記事:モチベーションとは?やる気を引き出す動機づけ要因とモチベーションマネジメントの手法を解説

人事がポリコレについて気をつけるべき点

真剣な表情の人事担当者達
企業がポリコレを意識するのと同じく、求職者もポリコレに強い関心を抱いています。

たとえば面接官にとっては世間話のつもりでも、求職者にとっては差別や偏見と感じる言動だった、というケースは少なくありません。

採用担当者はポリコレに抵触する言動を慎み、求職者の個性や背景に配慮した採用活動を行う必要性が以前より高まっているのです。

ここからは、採用活動において人事が気をつけておくべき点を3つ紹介します。

採用時に気をつけたいポリコレ

採用時にまず気をつけたい点は、男女雇用機会均等法の順守です。

同法第五条と第六条によると、労働者の募集及び採用において、性別の違いにかかわらず均等な機会を与えることや、性別を理由とした差別的取り扱いを禁止しています。
第五条 事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。

第六条 事業主は、次に掲げる事項について、労働者の性別を理由として、差別的取扱いをしてはならない。
 労働者の配置(業務の配分及び権限の付与を含む。)、昇進、降格及び教育訓練
 住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であつて厚生労働省令で定めるもの
 労働者の職種及び雇用形態の変更
 退職の勧奨、定年及び解雇並びに労働契約の更新

引用:e-GOV法令検索「昭和四十七年法律第百十三号 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第五条 第六条
たとえば、求人広告に「営業マン」など特定の性別を連想させる職種名や、男女で異なる服装規定の記載はポリコレに抵触します。

また、応募フォームに性別や年齢の入力欄を設けると、求職者に性差別や年齢差別をしていると誤解される恐れがあり、削除したほうが良いでしょう。

性別や身体的特徴に関するポリコレ

採用面接やカジュアル面談など、求職者と言葉を交わす場面でもポリコレを意識した言動が求められます。

たとえば、以下の例に挙げた求職者に対する担当者の言動は、ポリコレの観点から大きく逸脱しています。
求職者の情報担当者の言動
・女性
・シングルマザー
・営業職に応募
「シングルマザーなら、定時に上がれて時短勤務もできる事務職のほうがいいと思いますよ」
・男性
・第二新卒
・事務職に応募
「第二新卒の男性なら、営業をやらないとキャリアアップできませんよ」
・女性
・ショートカット
・スポーツで日焼けした肌
「男性みたいな見た目ですね」
・男性
・高身長
・ふくよかな体格
「よく力士みたいって言われません?」
身体的特徴や性別に対する偏った言動は、ハラスメント防止の観点からも決して認められるものではありません。

採用担当者は上記のような言動に十分注意するとともに、経営者層はハラスメントを許す風潮になっていないか厳しくチェックする必要があります。

SNSを利用する際のポリコレ

ポリコレによる批判が一気に集中・拡散し、企業の評判を著しく下げるリスクがあるのがSNSでの言動です。

近年多くの企業が利用するTwitterやInstagramは多くの人の目に触れ、企業の規模を問わず自社を宣伝できるメリットがあります。

しかし、些細な発言でも炎上する可能性があるほか、一度発信したメッセージは「デジタルタトゥー」としてネット上で永久に残ってしまいます。

SNSを通じて発信する際は、ポリコレの観点から問題がないか、入念にチェックしてから行うことが重要です。

企業が取り組みたいポリコレの内容4つ

虹を描いたスケッチブック
企業が取り組みたいポリコレ対策を4つ紹介します。
  • ジェンダー平等の推進
  • 多様性の尊重
  • バリアフリーの推進
  • マイクロアグレッションの防止

ジェンダー平等の推進

ジェンダー平等の推進は、ポリコレへの取り組みであると同時に、SDGsの目標5「ジェンダー平等を実現しよう」の達成課題でもあります。

世界的にジェンダー平等への機運が高まっていることもあり、企業が果たすべき社会的責任の一つであると考えてよいでしょう。

ジェンダー平等の実現に向けた企業の取り組みとして、以下のものが挙げられます。
取り組み具体的な内容
雇用条件や待遇の見直し男女間の雇用条件や待遇格差の解消
【例】
・平等な雇用条件の整備
・育休復帰後の研修制度
・転居による離職防止(勤務地変更制度)
ハラスメント防止あらゆるハラスメントの防止・早期解決
【例】
・ハラスメント防止研修の実施
・就業規則にハラスメント厳罰化の明記・周知徹底
・迅速な被害把握を実現する体制整備
女性管理職の積極起用女性管理職登用の数値目標を設定・実践
【例】
・多様なキャリアコースの設定・提示
・女性管理職候補者・希望者向けの研修制度
・女性役員割合3割達成を目的とする組織「30%club」への加入
働きやすい環境の整備男女の隔てなく働きやすくなる環境整備
【例】
・男性育休の整備・意識改革・復帰後の環境整備
・多様な働き方が可能になる環境整備
・副業や兼業の推進
マイノリティの受け入れLGBTQやハンディキャップを持つ人への理解・平等
【例】
・同性パートナーへの家族手当支給
・社内規定の配偶者定義に同性パートナーを追加
・障がい者の積極雇用・転職支援
身体の性別・心の性別による差別や偏見をなくし、多様な性を受け入れた企業運営を行うことにより、ジェンダー平等が組織内で実現していくでしょう。

ダイバーシティ経営の推進

一口にダイバーシティ経営を推進すると言っても、「女性活躍」「高齢者雇用」「障がい者雇用」「外国人雇用」など、企業によって注力すべき内容が異なります。

自社の雇用状況や労働環境を振り返り、どの課題を解決すべきか明確にするのが、ダイバーシティ経営を成功させる第一歩です。

ここで、ダイバーシティ経営を成功させた企業の事例を簡単に4つ紹介します。
株式会社吉村
主婦層のニーズを掴むため、子育て中の女性社員を「ブランドオーナー」としてリーダーの裁量を持たせ、企画から提案まで担当できるように調整。

株式会社小川の庄
高い製造技術を持つ高齢者を積極採用。「60歳入社・定年なし」をスローガンに掲げ、高齢層・中間層・若手層の役割分担を明確化させ、互いを尊重する空気を醸成。

コクヨ株式会社
障がい者雇用の推進と共に、既存事業や商品開発の知識を持つ社員を出向させ、障がい者社員の指導担当として任命。業務も細分化させ、障がい者社員にアウトソーシングできる体制を整備。

株式会社小金井精機製作所
ベトナムの大学と連携して、若手技術者の採用を推進。同時にベトナム人社員の配偶者も積極採用したり、採用候補の学生の家族にも面会したりと丁寧な配慮を実施。
ダイバーシティ経営を成功させるには、社員一人ひとりの意思を尊重するだけでなく、社員全体のバイアス(無意識の思い込み)を取り払い、差別や偏見をなくす取り組みの継続が欠かせません。

バイアスについて理解を深めたい方は、以下の記事も参考にしてください。

【関連記事:バイアスとは?ビジネスでの意味や種類・企業に与える影響について解説【図解あり】

バリアフリーの推進

企業がバリアフリーに取り組むのも、ポリコレの対策として重要なポイントです。

障がい者雇用やダイバーシティへの理解が浸透した昨今において、設備の見直しや障がいの程度によって業務範囲を取り決めるなどの取り組みは、必須事項とも言えるでしょう。

具体的に企業が取り組みたいバリアフリー対策には、ハード面とソフト面の2種類があります。

【ハード面のバリアフリー対策】
  • 車いすの方に配慮したスロープの設置
  • 視覚に障がいがある方向けの点字表記
  • 障がい者用トイレの設置・増設
  • 移動用リフトやエレベーターの設置
【ソフト面のバリアフリー対策】
  • 通院が必要な社員への特別休暇制度
  • 障がい者社員の業務対応範囲の調整
  • 車いす社員への時差出勤許可
  • 障がい者への理解を深める研修制度
このように、バリアフリーは設備の見直しだけでなく、障がいを持つ人が安心して働ける環境の整備も重要です。

自社の環境を見直し、ハード面だけの対策になっていないか、ソフト面の対策に不満や不足がないかなどを確認しておきましょう。

マイクロアグレッションの防止

マイクロアグレッションとは、差別や偏見の意図がないにもかかわらず、無意識に相手を傷つけてしまう行為です。

具体的には以下のような言動が当てはまります。
相手の情報マイクロアグレッションに該当する言動隠されたメッセージ
結婚を公表した女性社員「新しい名字は?」女性が姓を変えるのは当たり前
日本語学校に通っていた帰国子女「なんで英語話せないの?」外国にいたのに言葉を覚えないなんておかしい
黒人のハーフ「やっぱり黒人は走るのが早いね!」本人の努力を無視して人種のイメージで一括りにしている
スイーツ好きな男性「女の子みたいだね」甘い物 = 女性というステレオタイプな発想
マイクロアグレッションを引き起こす原因に「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)」があります。自分は偏見や差別をしていないと思っていても、長年培ってきた価値観によって人を無意識に傷つけてしまうのです。

【関連記事:アンコンシャスバイアスとは?職場での例や企業ができる対処法を解説

マイクロアグレッションを防ぐには、まずはどういった言動が該当するかを社員に周知し、その上で社員全体のアンコンシャス・バイアスをチェックしましょう。

アンコンシャス・バイアスをチェックするには、「ミイダス」の「バイアス診断ゲーム」の活用がおすすめです。

社員には簡単なゲームを実施してもらい、その結果をもとに22項目のバイアスを測定。一人ひとりが持つバイアスの傾向を把握するだけでなく、対処法についてもアドバイスがもらえます。

実際にバイアス診断ゲームを受けた参加者に実施したアンケートでは、「診断結果を仕事に活かせそう」「理解して認識すれば気をつけられる」の回答が多くなっています。
バイアス診断ゲーム診断結果アンケート
以下は、バイアス診断ゲームを1本無料で視聴できる動画です。約10分でご覧いただけます。

ポリコレに取り組む企業の事例

CASEと書かれたボックス
ポリコレに取り組み、商品や表現を変更した企業は多く存在します。そこで今回は、国内企業2社のポリコレ事例を紹介します。

【三菱鉛筆株式会社】「はだいろ」から「うすだいだい」に呼称変更

三菱鉛筆株式会社は、2000年9月以降に製造された色鉛筆から「はだいろ」の呼称を「うすだいだい」に変更しました。

「はだいろは皮膚の色に対する固定観念を植え付ける」と指摘されたのをきっかけに、株式会社トンボ鉛筆・株式会社サクラクレパスと共同で「うすだいだい」に変更した経緯があります。

参考:三菱鉛筆株式会社「よくあるご質問:はだいろがなくなった」

【日本航空株式会社】機内放送の「ladies and gentlemen」を廃止

日本航空株式会社は、機内放送の冒頭に発していた「ladies and gentlemen」を廃止し、「Attention,all passengers」や「Good morning,everyone」と言い換えるようになりました。

「ladies and gentlemen」には「人間は男性か女性のみ」との前提があるため、多様な性に配慮した言い方に変更したかたちです。

参考:NHK「日本航空「ladies and gentlemen」という言い方をやめる」

ポリコレをめぐる2つの問題点

注意マークと虫眼鏡
ポリコレの観点から差別・偏見につながる物事が見直されている昨今ですが、そのポリコレを巡って大きな問題が起こっています。

ポリコレには明確なルールが存在しないため、どこまでが許容範囲であるかは個人の感覚に委ねられています。その結果、ポリコレに過剰な反応を示した人々による「新たな差別」が生まれてしまうのです。

ここからは、具体的にポリコレをめぐる問題点を2つ解説していきます。

過剰な「言葉狩り」

ポリコレの影響により、さまざまな言葉や制度が見直されるようになりました。それ自体はとても良いことです。

しかし、あらゆる言葉に対して差別や偏見の意味があると捉えてしまうと、過剰な「言葉狩り」に発展する恐れがあります。

Weblio国語辞典によると、言葉狩りの意味は以下の通りです。
言葉狩り
読み方:ことばがり

今までは普通に使用されていた言葉などが、一部の人々により不適切だと見なされてタブーとなること。単に言葉尻をとらえて批判されているのではないか、またあまりにも過剰な反応なのではないかと疑問を呈するような、タブー化の流れに反対する際に使用される言葉である。

引用:Weblio国語辞典「言葉狩り」
言葉狩りの例として「Merry Christmas」が挙げられます。日本でもクリスマスの時期になると、家族や友人の間で挨拶代わりに使いますが、アメリカでは事情が変わってきています。

というのも、そもそもクリスマスがキリスト生誕を祝う祭りであるため、アメリカ国家が公式に祝うと他の宗教への差別にあたる、といった意見が出てきたのです。

そのため、最近はメディアでも「Merry Christmas」ではなく「Happy Holidays」と表現したり、クリスマスツリーをホリデーツリーと言い換えたりしています。

もちろん、他宗教に属する人を迫害する行為は許されません。しかし、他者の信仰に口出ししていないにもかかわらず「Merry Christmas」がタブー視される社会は、寛容ではなく不寛容であるとも言えるでしょう。

このように、どこまでがポリコレで許されるのか、またはジョークの範囲で済まされるかは個人の判断になるため、常に言葉遣いに気を使わなくてなりません。

こうした「言葉狩り」による過剰な動向を受けて、最近では「ポリコレ疲れ」といった言葉も生まれています。

ヘイトスピーチと表現の自由のせめぎ合い

「ヘイトスピーチ」とは、人種・性別・宗教・性的指向などの属性を持つ人々に対する攻撃的な言葉や行動を指します。そして「表現の自由」とは、個人が自由に意見や思想を伝えられる権利です。

この2つがせめぎ合う理由は、ヘイトスピーチが個人の尊厳を侵害する可能性がある一方で、多様性や社会的進歩に必要な民主主義の基盤として表現の自由が必要不可欠であるためです。

ちなみにヘイトスピーチと表現の自由をめぐる議論は、日本でも頻繁に行われています。

以下は、大阪市で2016年に制定された「ヘイトスピーチ規制条例」をめぐるNHKの記事を引用したものです。
争われたのは、大阪市が2016年に全国で初めて制定したヘイトスピーチを規制する条例。
弁護士などでつくる審査会が認定した場合はヘイトスピーチを行った個人や団体の名前を公表することなどを定めています。
この条例について市内に住む6人が「憲法が保障する表現の自由を侵害するもので無効だ」と訴え、1審と2審は憲法に違反しないとして訴えを退け、市民側が上告しました。

最高裁判所第3小法廷は判決で「条例の規定は表現の自由を一定の範囲で制約するが、人種や民族などへの差別を誘発するような表現活動は抑止する必要性が高い。市内では過激で差別的な言動を伴う街宣活動が頻繁に行われていたことも考えると規定の目的は正当だ」と指摘。

そのうえで「条例で制限される表現活動は過激で悪質性の高い差別的言動を伴うものに限られており、表現の自由の制限は必要やむをえない限度にとどまる」として憲法に違反しないと判断し、市民側の敗訴が確定しました。

引用:NHK「2021年国民審査後の主な裁判 “ヘイトスピーチ規制条例”「表現の自由」に反するか 2022年2月15日判決 第3小法廷」
この事例では、ヘイトスピーチは条例で規制されてしかるべきとの判断が下されています。

一方で、2014年に行われた橋下元大阪市長と在特会「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長の意見交換会では、ヘイトスピーチをめぐる議論が平行線のまま終了しています。

具体的には、橋本元大阪市長が「個人を特定の民族としてひとくくりに評価を下すのは控えろ」と発言したのに対し、桜井会長は「韓国人や朝鮮人を非難することの何が悪いのか」と反論し、議論は紛糾しました。
(参考:logmiBiz「【全文】橋下徹・大阪市長vs在特会・桜井誠会長!激論8分間、意見交換会のすべて」

ポリコレの観点による批判と、ヘイトスピーチを表現の自由と主張する議論は、この事例だけに留まりません。

表現の自由とポリコレのバランスを保ち、寛容な社会を実現するには、まだまだ課題が山積みであると言えます。

ポリコレを正しく理解し、ダイバーシティ経営を推進するには「ミイダス」

「ミイダス」のサービスイメージ
企業がポリコレを正しく理解して、ダイバーシティ経営を推進するには「ミイダス」で利用できる以下の機能が役立ちます。
コンピテンシー診断
→社員のコンピテンシー(活躍人材に共通する行動特性)を41項目で細かく可視化。上司と部下の相性や、社員育成のデータとして活用可能

フィッティング人材分析(活躍要因診断)
→活躍人材のコンピテンシー診断結果から、活躍が期待される人材の特徴を分析・可視化

バイアス診断ゲーム
→社員の認知バイアス(思考のクセ)の強さを測定し、結果をもとに意思決定の質や生産性向上につなげられる

組織サーベイ
→定期的に社員のストレスやモチベーションを測定し、エンゲージメント向上に向けた施策に役立てられる
上記のアセスメントツールを活用することで、人種・性別・民族・宗教などに関係なく活躍できる人材を客観的に判断し、ポリコレの観点からダイバーシティ経営につなげられるでしょう。

ミイダスのアセスメントツールは、アカウント登録の後無料でお試しいただけます。個々の診断を受けてみてから、自社に導入できるか検討してみてください。

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なお、ミイダスをご契約いただいた法人様限定で、「コンピテンシー活用講座」の動画教材を無料でご覧いただけます。コンピテンシー診断とバイアス診断ゲームの結果を、どのように業務で活かせるかを解説した内容です。
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