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シェアド リーダーシップとは?メリットデメリット・実現方法を解説

企業を取り巻く状況はめまぐるしいスピードで変化し続けています。テクノロジーの急速な発展に終身雇用制度の崩壊、新型コロナウイルスの流行など、これまでの常識が覆る事象も今や珍しくありません。

先行き不透明な昨今において組織に求められるのは、多様な立場の人からの意見を踏まえて物事をまとめ、解決していく力と言えます。1人のリーダーがチームを牽引するばかりでは、状況の変化に対応しきれないのです。そこで今注目されているのが「シェアド リーダーシップ」です。

シェアド リーダーシップとは、メンバー全員がリーダーシップを発揮し、主体的に業務へ臨む状態を指します。

この記事ではシェアド リーダーシップとは何か、そのメリット・デメリットについて解説します。シェアド リーダーシップを引き出す方法についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。

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シェアド リーダーシップとは

階段を上がるスーツ姿の女性
シェアド リーダーシップとは、職場のメンバーそれぞれが役職や役割に関係なく、リーダーシップを発揮している状態のことを指します。リーダーシップというと、特定のリーダーがチームを牽引するイメージがあるかもしれません。

シェアド リーダーシップにおける「リーダーシップ」は、チームの目標を達成するために、他のメンバーへ何らかの影響を与えることを意味します。

たとえば、若手社員が話し合いの場で率直な意見を述べるのもシェアド リーダーシップです。職場で落ち込むメンバーを励ますのもシェアド リーダーシップと言えます。

シェアド リーダーシップでは、誰かがリーダーシップを発揮している時には、他のメンバーはフォロワーシップに徹します。フォロワーシップとは、他の人が発揮するリーダーシップを受け入れ、支援することです。

リーダーとフォロワーは固定せず、状況によって流動的に入れ替わるため、常に同じ人がリーダーシップを発揮するわけではありません。

そもそもリーダーシップとは何かについて、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:リーダーシップとは?マネジメントとの違いや求められる資質、見極めに使えるツールも紹介】 

シェアド リーダーシップが注目されている理由|VUCA時代を乗り切るため

都市部のビル群
時代とともに、求められるリーダーシップの形が変わってきています。たとえば、昭和のリーダーシップはトップダウンが主流でした。「俺についてこい」と部下を先導し、部下は上司に従って当たり前。

しかし、特定の個人が先導するようなリーダーシップでは、時代の変化について行けなくなってきました。VUCA時代が到来したためです。

VUCAとは下記語句の頭文字をとった言葉です。先行き不透明で将来の予測が困難な時代を意味します。
  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)
現代はまさにVUCA時代。これまでの常識を覆すようなことが続いています。

たとえば新型コロナウイルス流行を機に、在宅勤務が働き方の選択肢として定着しました。また終身雇用や年功序列が崩壊し、定年まで一つの会社で勤め上げることも少なくなりました。Uber Eatsのように、今までになかった革新的なサービスも多数登場しています。

こうした環境の変化に対応するには、複数の視点で物事を分析・判断することが求められます。トップダウンによる一方的な指示よりも、「集団」による組織運営が必要なのです。

それぞれが自分の役割を認識して、流動的に対応するシェアド リーダーシップが定着することで、環境の変化への適応が期待されているのです。

シェアド リーダーシップのメリット

鉛筆を持つ手
シェアド リーダーシップが定着すると、組織は下記3つのメリットを享受できるでしょう。
  • 職務満足度が高まる 
  • 業績アップにつながる
  • 創造的なアイデアを生み出しやすくなる
それぞれ分かりやすく解説します。

職務満足度が高まる

メンバーに仕事への参画意識が生まれるため、職務満足度を高める効果が期待できます。同じ仕事でも一方的な指示にしたがってこなすよりも、計画の意思決定に参加できたほうが満足感は高いものです。

また、職場のメンバー同士で協力し合う中でコミュニケーションが活性化します。仕事そのものだけでなく、職場の人間関係における満足度も高まるでしょう。

業績アップにつながる

シェアド リーダーシップが定着すると、仕事の成果が出やすくなります。一人ひとりが主体的に取り組んだ結果、チーム全体のパフォーマンスが向上するためです。

現場を知らない管理職が指揮をとるよりも、現場をよく理解しているメンバーに判断を委ねたほうが、思っても見ないアイデアが生まれるものでしょう。

メンバーそれぞれが場面に応じて自分の判断で動くため、持てる力を発揮しやすくなります。その結果、業績アップが期待できるのです。

創造的なアイデアを生み出しやすくなる

一部のリーダーに依存するばかりでは、良質なアイデアは生まれないでしょう。新しい知識やアイデアを生み出すには、全員の英知を結集し、試行錯誤を繰り返しながら創り上げていくしかありません。

たとえば、ご当地キャラクターで知られる「くまもん」は、県職員のアイデアが結集したからこそ、全国的に知られるキャラクターとなりました。10000人に名刺を配ったり、吉本新喜劇に登場させたりといったアイデアは、当時の職員が一丸となって考えて実行したものだと言われます。

創造的なアイデアを生み出すには、それぞれが持つ強みを活かして、目的に向かって自分のリーダーシップを発揮することが大切です。シェアド リーダーシップを実現すれば、それができるのです。

シェアド リーダーシップのデメリット・難しさとは?

パソコンを前に悩む男性
組織に嬉しい効果をもたらすシェアド リーダーシップですが、一方で難しさもあります。

メンバーがシェアド リーダーシップを発揮できるかどうかは、リーダーにかなり依存している面があります。リーダーがメンバーに無関心で、自身のリーダーシップばかりに気を取られているようでは、シェアド リーダーシップは進みません。

うまくリーダーシップを発揮できないメンバーに対して、リーダーがどれだけ心を向けられるかが、成功の鍵を握ります。

全員がリーダーシップを発揮しようといっても、控えめな性格の人は気後れしてしまうかもしれません。経験年数の浅い社員だと、どのように行動すべきかがわからず、積極的に動けないケースもあるでしょう。

リーダーは全体的な視点を持ち、目標達成に向けて何が必要かを見極める能力が必要と言えるでしょう。

リーダー育成のポイントについては下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:リーダー育成を成功させるには?難しいと言われる理由やポイントを解説

シェアド リーダーシップを引き出すには?

ガッツポーズの女性
シェアド リーダーシップを引き出す方法は下記5つあります。
  • 目標を共有する
  • 自己効力感を高める
  • メンバーの特性を把握する
  • フォロワーシップを高める
  • 多様性を認める風土を作る
それぞれ解説します。

目標を共有する

組織の目的や目標を明確にして、メンバーと共有しましょう。明確な目標はメンバーが自発的に行動する際の指針となります。

メンバーが目標を自分ごととして認識できると、下記の変化が生まれるでしょう。
  • 情報の取捨選択ができるようになる 
  • 目標達成に必要な行動を自分で判断できるようになる
  • 相互に協力しやすくなる など
メンバー全員が目標達成の重要性を認識し、貢献したいと思えることが大切です。
メンバーの主体性をより引き出すために、目的や目標をともに作るのも得策でしょう。

自己効力感を高める

自己効力感とは、要するに「自信」のことです。自分には目標を達成できる能力があると、メンバーを勇気づけましょう。自分に自信を持てなければ、メンバーは積極的な発言や判断を控えるようになってしまいます。

自己効力感を高めさせるには、下記3つのポイントを抑えた取り組みが効果的です。

1.成功体験を積ませる
2.他人の成功を観察させる
3.徹底して励ます 

それぞれかんたんに解説します。

1.成功体験を積ませる

成功体験を積み重ねることで「やればできる」という自信を深められるでしょう。日々「できたこと」を記録に残し、定期的に振り返らせるとより効果的です。

2.他人の成功を観察させる

身近な人の成功体験に触れさせましょう。成功する姿を具体的にイメージさせて「自分にもできるかも?」と思わせるのです。

ただし、あまりに自分とかけ離れた人物の成功体験に触れさせても、逆に自信を失う可能性もあります。同じ立場・同じ年次など、類似性の高い人同士で体験を共有し合う場を設けると良いでしょう。

3.徹底して励ます

メンバー同士で励まし合うことも大切です。自己効力感を高めるには、相手の可能性を信じて心から期待するのがポイントです。たとえ小さなことでも相手を褒めたり嬉しく思った事を伝えたりと、こまめに励まし勇気づけることが大切です。

下記の記事で、自己効力感を高める方法をさらに詳しく解説しています。

【関連記事:自己効力感とは?高めるメリットや具体的な方法を解説

メンバーの特性を把握する

メンバーが互いに、それぞれが持つ特性や考え方を把握し合うことも大切です。お互いの特性を把握できていれば、誰がリーダーシップを担うべきか、場面に応じて適任者を選べます。

目標達成に必要なスキルが不足している人を把握できれば、より効果的にフォローアップできるでしょう。

とはいえ特性を把握すると言っても、無意識のうちにバイアスがかかり、本来の持ち味を見落としてしまう可能性もあるでしょう。ミイダスのコンピテンシー診断では、バイアスを排除した客観的な特性診断が可能です。その人の価値観や行動特性といった内面的なデータを数値化して分析します。

新しいアイデアを求める場面では、コンピテンシー診断の「創造的思考力」の数値が高いメンバーに意見を求めると、思っても見ないアイデアが飛び出すかもしれません。プロジェクトの計画を立てる場面では「オーガナイズ能力」の数値が高い人に中心者を担わせるといった判断も可能です。

それぞれの持ち味を活かすシェアド リーダーシップに、ミイダスのコンピテンシー診断を活用してみませんか。

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フォロワーシップを高める

シェアド リーダーシップでは、場面に応じてメンバーがフォロワーシップに徹するのも大切です。メンバー全員によるリーダーシップを引き出すには、メンバーが主体的にリーダーを支えることも必要でしょう。

リーダーを支えるといっても一方的にリーダーシップにしたがうだけではありません。自ら考え、場合によっては異議を唱えるのもフォロワーシップです。

チーム全員がリーダーという前提で、お互いにフォローし合う体制が重要なのです。

フォロワーシップについては下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:フォロワーシップとは?注目される背景や得られるメリットなど徹底解説

多様性を認める風土をつくる

シェアドリーダーシップの実現には、異なる意見も互いに認め合う風土作りも大切です。意見を否定するばかりでは、メンバーは発言を控えるようになるでしょう。

多様性を認める風土を作るには、相互理解を深める取り組みが重要です。
  • 社内広報で多様な人材を取り上げる
  • シャッフルランチを実施する
  • ゲームやワークショップの実施
  • フリーアドレス制度 など
上記の取り組みを意識的に講じると良いでしょう。他者理解が深まれば、自ずと異なる意見も受け入れられるようになるでしょう。

下記の記事でダイバーシティについて詳しく解説しています。

【関連記事:ダイバーシティとは?企業が取り組むメリットや注意点、推進ポイントを解説

シェアド リーダーシップに関するQ&A

最後にシェアド リーダーシップに関するQ&Aをまとめました。

Q.シェアド リーダーシップが進むと上司はもう必要なくなる?

シェアド リーダーシップは、上司の存在を否定する概念ではありません。職場の上司は「マネジメント」を担います。

上司が担うのは戦略の策定や計画、予算配分といった管理業務です。組織目標を達成するために、職場のメンバーが効率良く効果的に活動できるよう調整します。

チームの目標を達成するには、マネジメントもシェアド リーダーシップもどちらも必要です。

Q.サーバントリーダーシップとの違いは何?

チームの1人がリーダーを担い、他のメンバーに奉仕し相手を導くリーダーシップを「サーバントリーダーシップ」と言います。全員がリーダーシップを発揮することを期待する「シェアド リーダーシップ」に対して、「サーバントリーダーシップ」では1人のリーダーがリーダーシップを発揮します。

サーバントリーダーシップにおけるリーダーは、部下の話を傾聴し自分がどう役に立てるかを考えます。部下の支援に徹するのがサーバントリーダーシップの特徴です。

参考:リーダーシップを発揮しよう|厚生労働省 P7

Q.オーセンティック・リーダーシップとの違いは何?

オーセンティック・リーダーシップも、チーム内の1人がリーダーとしてチームを牽引するスタイルのリーダーシップです。自分の価値観や考え方に基づいたリーダーシップである点に特徴があります。

独自の視点に重きをおいて、リーダーシップを担うのがオーセンティック・リーダーシップです。

参考:リーダーシップを発揮しよう|厚生労働省 P8

シェアド リーダーシップはほかのリーダーシップを否定するものではありません。場面に応じてどのリーダーシップが最適かを考える必要があるでしょう。

シェアド リーダーシップを発揮して組織力を強化しよう

凛々しい表情で遠くを指さす女性
シェアド リーダーシップについて解説しました。シェアド リーダーシップとは、全員がリーダーという前提で業務に臨むことです。シェアド リーダーシップを引き出すには下記5つの実践が求められます。
  • メンバーと目標を共有する
  • 自己効力感を高めさせる
  • メンバーの特性を把握する
  • フォロワーシップに努める
  • 多様性を認める風土をつくる
まずはメンバーと目標を共有し、目標達成に必要な行動を考えさせるところから始めましょう。カリスマ的に他のメンバーを導くだけが「リーダーシップ」ではありません。悩む人を励ますのも目標達成には必要なことであり、それも「リーダーシップ」の一つです。

職場にシェアド リーダーシップが定着すれば、メンバーの職務満足度が高まり、業績アップや創造的アイデアが出やすくなる効果を期待できます。その結果、組織力強化へつながるでしょう。

VUCA時代を乗り切る戦略として、シェアド リーダーシップの導入を検討してみてはいかがでしょう。

リーダーシップを開発するミイダスの活躍ラーニングとは

活躍ラーニングデモ画像
それぞれの持ち味を活かす形でチームに貢献する「シェアド リーダーシップ」。メンバーが自身の持ち味を活かすには、客観的に自分を知り、持ち味を伸ばす「学習」が求められます。

ミイダス活躍ラーニングなら、自身の行動や思考のくせを把握したうえで、業務へ活かす方法を学べます。

たとえば、コンピテンシー診断で自身のストレス要因を知ったら、活躍ラーニングでストレス要因別の対処法を学び、実務で活かすこともできます。考え方・感じ方を変えるフレームワークを活用した具体的なワークも用意されているため、実践に移しやすい特徴があります。

診断結果に対応した講座は下記2講座あります。
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