人材アセスメントラボ - いちばん新しくていちばん詳しいHRマガジン

メルマガ購読はこちら
コンピテンシー

論理的思考とは?ビジネスで求められる理由や注意点、鍛え方まで解説

ビジネスにおいて、仕事相手を動かすためには説得力が必要です。そして、説得力を出すには論理的思考(ロジカルシンキング)が求められます。

論理的思考ができないと「営業先と交渉がうまくいきにくい」「コミュニケーションコストが高くて社内でも意思疎通が取れにくくなる」といったデメリットが発生しかねません。

そこで本記事では、論理的思考についての概要やメリット、注意点、論理的思考力の鍛え方などを紹介していきます。論理的思考力を身につけたいとお考えの方は、ぜひご一読ください。

また、自社で活躍する人材の採用にお悩みの方は、こちらの資料もぜひお役立てください。無料でダウンロードいただけます。

【無料ダウンロード】スキル×特徴からみた活躍する営業人材とは

論理的思考(ロジカルシンキング)とは何か簡単に解説

人差し指を立てるビジネスパーソン
論理的思考(ロジカルシンキング)とは、直感的・感覚的に物事を決めるのではなく、論理で物事を理解する考え方です。

物事を「結論」と「根拠」に分けて、どのようにつながるのか(あるいはつながらないのか)、筋道を立てて考えるのが論理的思考です。このとき、多角的な視点から問題を分析することも重要になります。

たとえば「睡眠はしっかりとるべきだ」という結論を主張する場合、根拠としては「睡眠によって健康な状態を保てるため」「十分な睡眠をとると仕事のパフォーマンスを上げられるため」といった点が挙げられます。さらに「睡眠をとらないとどうなるのか」と視点を変えて考えてみることで、睡眠をしっかりとる重要性を相手に伝えやすくなるでしょう。

また、上記のように論理的思考ができる能力を論理的思考力と呼びます。

ビジネスで論理的思考力が求められる背景

ビジネスにおいて論理的思考力が求められる理由は以下のとおりです。
  • 日常的に発生する問題を適切に解決するため
  • 的確な順序で問題を解決するため
  • 前例のない状況でも合理的な意思決定を行うため
ビジネスでは常に新しい問題が発生したり市場の環境が移り変わったりするものです。情報通信技術の発達により、環境が変化するスピードは過去と比較して高速化しています。

次々と発生する問題の原因を分析し、解決に導いていくためには論理的思考力が必要です。また「どの問題を優先して解決するか」といった優先順位をつけるうえでも、論理的思考力が必要になります。

さらに、過去の経験や前例が通用しないビジネス課題にぶつかった際も、冷静に現状把握を行って合理的な意思決定を下すためには論理的思考力が必要になるでしょう。

上記のような理由から、ビジネスにおいて論理的思考力が求められているのです。

ただし論理的思考力を備えた人材であっても、社風に合っているかは別問題です。論理的思考力を備えつつ、自社にもマッチしそうな人材を探している方は、コンピテンシー診断の活用をご検討ください。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?ツールの使用方法や導入事例も解説

ビジネスや日常生活での具体例

論理的思考が役立つ場面を、ビジネスシーンと日常生活に分けて紹介します。

【ビジネスで論理的思考が役立つシーン】
  • 問題が発生したとき、論理的に原因を分析して解決に導く
  • プレゼンテーションで、主張と根拠を論理的に解説して相手を説得する
  • 生産性を上げるにはどうすれば良いのか論理的に考えて、業務を効率化する
【日常生活で論理的思考が役立つシーン】
  • 時間の使い方を考えて効率化し「やりたいこと」を達成しやすくなる
  • なぜその商品を買う必要があるのかを考え、浪費を防ぎやすくなる
  • 相手の意図や気持ちを察しやすくなり、人間関係が円滑化する
このように、論理的思考はビジネスだけでなく日常生活においても良い影響を与えます。

社内に高い論理的思考力を持つ人材が増えると、自社の業績アップにつながる可能性があるため、社内の人材に論理的思考力を高めるよう促したりトレーニングの機会を提供したりすることを検討してみましょう。

批判的思考(クリティカルシンキング)や水平思考(ラテラルシンキング)との違い

論理的思考とよく一緒に使われる用語として、批判的思考(クリティカルシンキング)と水平思考(ラテラルシンキング)が挙げられます。

論理的思考・批判的思考・水平思考の3つはトリプルシンキングと呼ばれ、いずれもビジネスにおける重要な思考法です。論理的思考と他2つの違いについて確認しましょう。

【批判的思考と論理的思考の違い】

批判的思考とは、主張の根拠や得た情報に疑問を持ち、客観的な視点で思考する方法です。思考における前提条件や根拠の精査、先入観の排除などに役立ちます。

たとえばビジネスで何らかの提案を受けたときに「根拠となっている情報は信頼できるのか」「他にもっと良い解決策はないのか」と視野を広げて考えるのが批判的思考の特徴です。

「提案内容を裏付ける十分な根拠があるか」を重視する論理的思考とは、目的や焦点が異なります。

【水平思考と論理的思考の違い】

水平思考とは、既存の論理や固定観念にとらわれず、物事を多角的に考察して新しいアイデアを生み出す思考方法です。

たとえば何らかのトラブルが発生した際に「むしろチャンスかもしれない」「これを利用して、別の課題を解決できるのでは」と複数の視点で考えるのが水平思考です。

物事を論理的に深堀りしていくのが論理的思考なら、浅く広く掘っていくのが水平思考と言えるでしょう。水平思考と論理的思考は対照的な思考法であるため、水平思考に対して論理的思考を「垂直思考(バーティカルシンキング)」と呼ぶ場合もあります。

論理的思考ができる人・できない人の特徴

ビジネスにおいて「あの人は論理的思考ができる」「あの人は論理的思考力が乏しい」といった表現がしばしば使われます。

では、具体的にどのような特徴を持つ人が「論理的思考ができる・できない」と言えるのでしょうか。整理してみましょう。

論理的思考ができる人の特徴

論理的思考ができる人の特徴は以下の通りです。
  • 説明が分かりやすい:結論と根拠が論理的につながっているため、話している内容が理解しやすい
  • 問題解決が得意である:論理的に問題を分析して解決策を出すのが得意で、問題解決能力が高い
  • 分析力がある:原因や結論に対して予想される根拠を多角的な視点からリサーチするのが得意なため、分析能力が高い
前述の通り、論理的思考力とは、主張(結論)と根拠を筋道を立てて思考できる能力です。論理的思考ができる人は「〜と考えます。その理由は〜だからです」のように因果関係を明確にした説明ができるため、聞いていて「話がわかりやすい」という特徴があります。

また物事を論理的に分析し、ボトルネックとなっている部分を見つけることが得意なため、問題解決能力や分析力に優れている傾向があります。

たとえば採用面接では、候補者に対して過去の問題解決のエピソードを質問することが一般的です。論理的思考ができる人の応答は、説明がわかりやすく、また問題解決へのアプローチに納得感があるはずです。

問題解決エピソード以外にも、自己PRや苦労した経験など何らかの物事を説明してもらうだけでも、候補者の論理的思考力が高いかどうか判断できるでしょう。

ただし、仮に候補者の論理的思考力が高くても、自社の社風にマッチする人材とは限りません。候補者の論理的思考力を見極めるのは大切ですが、それ以上に(たとえばコンピテンシー診断を活用して)その人材が自社にマッチするかどうか判断することも重要です。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

まずは無料トライアルをお試しください。

アカウントを登録してコンピテンシー診断を利用する

※アカウントの登録及びご登録後のご利用は無料です。

論理的思考ができない人の特徴

論理的思考ができない人の特徴についても確認してみましょう。論理的思考力が乏しい人の特徴を知ることで、自身の思考力の改善にもつなげられます。
  • 話の要点がわかりにくい:結論へ導く意識が低いため、話の内容が理解しにくい
  • 「絶対に〜」「普通は〜」をよく使う:自分の感覚や経験に基づいて物事を考える傾向があるため、「絶対」や「普通」といった言葉を使用しがち
  • 人の話を根拠にする:論理の深掘りが苦手なため、人の話を鵜呑みにしやすい
論理的思考ができない人は、結論と根拠を切り分けて説明することが苦手な傾向があります。そのため聞き手は、どこまでが事実で、どこからが相手の主張や提案なのか理解しにくくなります。打ち合わせなどで「結論は?」とよく聞かれる方は、論理的思考力に課題があるかもしれません。

採用面接の場で、質問に対してズレた回答を繰り返したり、要領を得ない説明を続けたりする候補者は、論理的思考力が不足していると言えるでしょう。

また物事を客観的に分析・考察することができないため、「絶対に〜だ」や「上司が〜と言っていたから」のような言い方で自分の主張を補強するという特徴があります。

論理的思考力を高めるメリット

握手をするビジネスパーソン
ビジネスパーソンとして論理的思考力を高めるメリットには、以下の3点が挙げられます。
  • 問題解決能力が高くなる
  • 主張に対する説得力が増す
  • コミュニケーション能力が向上する
各メリットについて詳しく解説します。

問題解決能力が高くなる

感覚的・直感的な判断をせず論理的思考を実践することで、問題解決能力の向上が期待できます。

論理的思考では、物事を結論と根拠に分け、多角的な視点から分析を行います。結論と根拠に論理的な筋道をつけて物事を判断するため、自然と問題解決能力が高くなるのです。

問題解決能力が高くなることで、不測の事態が発生しやすいビジネスにおいて頼られる存在となるでしょう。たとえば「困ったことがあったら〇〇さんに相談しよう」と思ってもらえれば成果も出しやすくなりますし、昇進のチャンスもめぐってくるでしょう。

主張に対する説得力が増す

論理的思考を行うことで、説得力の向上が期待できます。

たとえばプレゼンを実施する際は「何を主張したいか」を伝える必要があります。しかし「なぜその主張が必要なのか」「他に方法はないのか」など、さまざまな観点からの指摘に対応できる内容でなければ、プレゼンを受ける側は納得しにくいものです。

プレゼンに限らず、ビジネスを進めるうえで「相手を説得して物事を進めていく」という能力は非常に重要です。論理的思考力が高くなれば主張の説得力が高くなり、円滑にビジネスが進むことが期待できます。

コミュニケーション能力が向上する

論理的思考力が高まると、自分の主張やアイデアを簡潔にまとめて相手に伝えられるようになります。

ビジネスシーンでは、さまざまな情報を同僚や上司にわかりやすく共有する能力が不可欠です。論理的思考力の向上は、仕事におけるコミュニケーション能力の向上にもつながります。

ここで注意したいのが「相手に論理的に説明することは、相手を論破することではない」という点です。

論理的思考ができる人に対して、相手の感情を無視して議論を展開するイメージを持っている方もいるでしょう。しかしビジネスシーンにおいて、一方的に議論で打ち負かしても、実質的なメリットは多くありません。むしろ「言っていることは一理あるが、コミュニケーション面で難がある人物だ」と捉えられる可能性のほうが高いでしょう。

相手に納得してもらうために論理的思考を活用することと、相手を論理で言い負かすことは似て非なるものであることを押さえておきましょう。

【関連記事:コミュニケーション能力とは?高い人の特徴・鍛え方と採用時の見極め方

論理的思考の注意点

頭を抱えるビジネスパーソン
論理的思考にはメリットもありますが、以下のような注意点もあります。
  • 思い込み(バイアス)があると意思決定を誤るリスクがある
  • 状況によって最適解が変わる可能性がある
  • 前提条件や情報の誤りの発見には不向きである
論理的思考が万能だと考えていると、想定外の落とし穴にはまるおそれがあります。上記3点について詳しく確認してみましょう。

思い込み(バイアス)があると意思決定を誤るリスクがある

論理的思考を心がけても、思い込み、いわゆるバイアスが強ければ、誤った結論にたどり着きかねません。

たとえば「最近の若い人は仕事ができない」というバイアスがあると、「若い人以外を優先して採用する」「キャリアがある人以外は採用しない」といった結論に陥りがちです。

しかし、バイアスを取り除いて「そもそも本当に若い人は仕事ができないのか」「能力が低いことを示す客観的なデータがあるのか」という観点で考えてみると、以下のような疑問点も浮かんでくるはずです。
  • そもそも管理職層は若手に適切な指示と権限を与えているのか
  • 採用活動における要件定義に改善余地はないのか
  • 入社後のオンボーディング施策に不十分な点はないのか
ひとくちに「若手を戦力化できない」と言っても、上司の指示命令の出し方を見直したり、採用後のフォロー体制を構築したりすることで解決できる可能性があるはずです。また若手のフォロー体制を整備できれば、若手だけでなく既存の中堅・ベテラン社員まで働きやすくなる可能性もあるでしょう。

このように、バイアスがあると論理的思考のメリットである「問題解決能力の高さ」を活かしきれません。

【関連記事:採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説
【解説記事:オンボーディングとは?目的や効果、具体例などをまとめて解説

なおミイダスでは、社員の持っているバイアスを可視化してアドバイスも行う「バイアス診断ゲーム」を提供しております。ミイダスに登録している方は無料で利用可能です。サービスの詳細は以下をご確認ください。

バイアス診断ゲームの詳細を確認する

状況によって最適解が変わる可能性がある

論理的思考を用いて問題に対する解決策を提示しても、必ずうまくいくとは限りません。なぜなら状況によって最適な方法が変わってくるからです。

たとえば大企業であれば、社内の人員やノウハウ、資金といったリソースに比較的余裕があります。一方、中小企業だとこれらのリソースが十分でないケースも多く、実施できる打ち手も限られるでしょう。また市場環境が変わると、以前出した結論が最適解でなくなるおそれもあります。

「Aだから必ずB」という考え方に陥らないよう幅広い視野をもって結論を出すこと、状況が変わった場合に随時柔軟な対応を行うことが大切です。

前提条件や情報の誤りの発見には不向きである

論理的思考は、前提条件や集めた情報をもとに論理を展開していく思考方法です。言い換えると、これらの条件や情報などが正しいと仮定したうえで結論を導きます。

したがって、論理的思考は前提条件や根拠とする情報、設定されている課題などの誤りの発見には不向きです。複数の情報から多角的にアプローチすることで誤りに気づきやすくはなりますが、情報の不足や漏れが懸念される場合は、最初から批判的思考を組み合わせて考えるほうが良いでしょう。

「理路整然とした論理が組み立てられたから間違いない」とは考えず、論理的思考にも盲点があることを理解したうえで活用しましょう。

論理的思考力の鍛え方

豆電球がつくイメージ
論理的思考力を鍛える主な方法を8つご紹介します。
1. 書籍を読んで理解を深める
2. バイアスを排除して物事を見るよう心がける
3. 仮説を立てて検証する
4. 数字をもとに考えを深めていく
5. 常に言語化を意識する
6. 結論と根拠の一貫性を意識する
7. 他人と討論(ディベート)を行う
8. フェルミ推定の問題に挑戦する
詳しく見てみましょう。

書籍を読んで理解を深める

論理的思考力の考え方を理解して質を上げていくには、本を読んで理解を深めるのがおすすめです。書籍は質・量ともに内容が濃いものが多く出版されているため、「本気で論理的思考力を養いたい」と考えている人に向いています。

では論理的思考力について理解を深めるにはどのような本を読んだ方が良いのか、おもな書籍を3つご紹介します。

照屋 華子、岡田 恵子『ロジカル・シンキング

外資系コンサル企業「マッキンゼー」のエディターとして活動する著者が、論理的思考をもとにした「ロジカル・コミュニケーション」について解説した本です。話のズレや重複・漏れ、話の飛躍をなくすための技術が語られているため、論理的思考にもとづくコミュニケーションの取り方が学べます。

山崎 康司 『入門 考える技術・書く技術

研修歴20年を超えるキャリアを持つ著者が、ビジネス文書やメールの文面を良くするためのノウハウを語っています。日本人はなぜ論理的思考が苦手なのか、ハンデを乗り越えるためにはどうすれば良いのかが記載されており、ビジネス文書の書き方に悩んでいる人におすすめです。

安宅和人 『イシューからはじめよ

『シン・ニホン』の著者でもある安宅和人氏が執筆した、問題を解決するための考え方や解決法について記した本です。「いま解決すべき問題=イシュー」を発見してどう問題解決するかが語られており、ロジカルシンキングの本としても有名です。

バイアスを排除して物事を見るよう心がける

バイアスとは、前述の通り、いわゆる「思い込み」のことです。

誰もが多少のバイアスを持つものですが、バイアスがかかると物事の本質を見誤ったり、誤った結論・評価を下してしまったりしがちです。強いバイアスは論理的思考の妨げになってしまうため、できるだけ思い込みや先入観を排除して考えることが大切です。

【関連記事:バイアスとは?ビジネスでの意味や種類・企業に与える影響について解説【図解あり】

なお「バイアスをできるだけ排除して意思決定ができる組織をつくりたい」と考えている人におすすめなのが、ミイダスの提供する「バイアス診断ゲーム」です。社員一人ひとりがどのようなバイアスを強く持っているのか、そのバイアスにどう向き合っていけば良いのか個別のアドバイスを受けられます。

仕事の生産性を高めるバイアス診断ゲーム

仮説を立てて検証する

日常生活のちょっとした疑問や気になったことに仮説を立てて、本当に仮説の通りかリサーチしてみることも論理的思考力を養うトレーニングになります。

論理的思考力を鍛えるのに相手のいる討論が必要とは限りません。自分の頭の中だけでも良いので、多角的な視点から考えたり主張に対する根拠を掘り下げたりすると、いざという時に論理的に考えやすくなります。

数字をもとに考えを深めていく

数字ベースで物事を考えていくことも、論理的思考力を養ううえで大切です。具体的な数字をもとに考えを深めることで、問題に対する解像度を上げられます。

たとえば「たくさん事例がある」と「事例が〇件以上も存在する」だと、説得力が異なるでしょう。また数字ベースで物事を考えることで、感覚的な判断を避けやすくなります。

常に言語化を意識する

頭の中で思っていることを相手に伝えようと思ったとき「意外と言葉が出てこない」という人もいるのではないでしょうか。そこで大切なのが言語化です。

言語化とは、感情や感覚など自分自身が考えていることを言葉にすることを意味します。言語化を意識することで、自分の考えや気持ちを相手へ正確に伝えやすくなり、コミュニケーションが円滑に進みやすくなります。

論理的思考を行っても、言語化がうまくできなければ相手に物事を伝えられません。また言語化することで、自分の論理に矛盾がないか気づきやすくなる効果もあります。

結論と根拠の一貫性を意識する

普段の会話の中で「自分の会話は主張と根拠が一致しているだろうか」と意識することも、論理的思考力を高めることにつながります。

「何をしたいのか」「そのためにどうする必要があるのか」といった視点を持もって会話することで、論理的に考えて話すクセがつきます。

他人と討論(ディベート)を行う

機会があれば、友人・知人と討論を行っても良いでしょう。他人に自分の意見を伝えることで、言語化の訓練になったり、考えが深まったりすることがあります。

討論というと大げさですが、たとえばランチや休憩中の何気ない会話で自分の考えを話してみることもおすすめです。ただし相手に不快な思いをさせないよう配慮は必要です。

フェルミ推定の問題に挑戦する

フェルミ推定の問題を解いてみることも、論理的思考力の訓練になります。フェルミ推定とは、正確なデータ取得が難しい物事について、論理的思考と最低限の前提情報だけで大まかに推定する手法です。

たとえば「シカゴにピアノの調律師は何人いるか?」という問題に対して、フェルミ推定では以下のようにその人数を概算していきます。
・シカゴの人口は300万人
・1世帯あたり3人を平均とすると、シカゴの世帯数は100万世帯
・ピアノを所有しているのは全世帯の10%と仮定すると、シカゴにピアノは10万台ある
・調律師の年間労働日数は週休2日で250日
・ピアノの調律は年1回、調律師は1日で3台調律すると仮定すると、調律師が1年間に担当するピアノは750台
・シカゴにあるピアノの台数10万を750で割ると約130となり、シカゴには調律師が約130人いると推定できる
前提情報をもとに仮定を設定し、求める数字を論理的に導くのがフェルミ推定のやり方です。この思考プロセスに慣れることで、論理的思考力を高められます。

論理的思考の考え方

考え事をしているビジネスパーソン
論理的思考の考え方には、おもに以下の3つが挙げられます。
  • 演繹法
  • 帰納法
  • アブダクション(仮説的推論)
具体的にどのような思考法なのか解説します。

演繹法

演繹法とは、前提や周知の事実を積み上げて結論にたどり着く考え方です。「A=B」でかつ「A=C」であれば「B=C」になる、という考え方が演繹法です。

転職を例に、演繹法で考えてみましょう。
  • 私には前職の経歴がある(A)
  • 私は中途で採用された(B)
  • 中途で採用された人は前職の経歴がある(C)
このように考えるのが演繹法です。複雑な問題でも事実を積み重ねて結論を導き出せるという強みがある一方で、前提そのものが間違っている場合は誤った結論にたどり着いてしまうリスクがあります。

帰納法

帰納法とは、複数存在する事象の中から結論を導く考え方です。帰納法はとくに推論を出す場合に有効な考え方になります。

中途採用の場合を例に考えてみましょう。
  • 同業種・同職種から転職してきた中途採用Aさん・Bさん・Cさんは仕事ができる
  • だから同業種・同職種から転職してきた中途採用者は全員仕事ができる
ただし、帰納法で導き出された結論は、どの場面でも絶対に正しいとは限りません。上の例でも論理的には間違っていないように思われますが、実際には同業種・同職種から転職してきた人でも会社に馴染めず仕事ができない場合もあります。

帰納法で導き出されるのは、あくまで推論のひとつであることを理解しておきましょう。

アブダクション(仮説的推論)

アブダクション(仮説的推論)とは、起こった事実に対して、普遍的な事象やよくある事例から仮説を立てる考え方です。演繹法や帰納法よりも、少しひらめきが求められるのが特徴です。

アブダクションについても、転職を例に考えてみましょう。
  • Aさんが別業界のある企業に中途採用された(事実)
  • 中途採用では即戦力人材が求められるものだ(普遍的事象)
  • その企業はAさんのスキルに関連した新事業を立ち上げるのだろう(仮説)
ただし、アブダクションでは、事実に対してどのような普遍的事象を適用するかで仮説の内容や質が変わってきます。一つの事象から複数のアイデアを創出したいときに有効な考え方と言えるでしょう。

論理的思考に活用できるフレームワーク

「Check」の文字とビジネスパーソン
論理的思考は生まれ持った素質によるものとは限らず、後天的に獲得できるスキルの1つです。論理的思考力に自信がない方でも、フレームワークを活用することで論理的思考を実践できます。

ここでは代表的な5つのフレームワークを紹介します。
  • MECE
  • ゼロベース思考
  • ロジックツリー
  • ピラミッドストラクチャー
  • 5W1H

MECE

MECE(ミーシー)とは「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の略称で、「漏れなくダブりがない状態」を指す言葉です。

フレームワークとしては、課題の要素を相互排他的なカテゴリーに漏れなく分類し、俯瞰して分析する考え方を指します。MECEの詳細は以下の記事をご覧ください。

関連記事:MECE(ミーシー)とは?思考の基本や身につける方法、使い方を解説

ゼロベース思考

先入観や前提条件にとらわれず、どうすれば目的を達成できるのか白紙の状態から考える思考法です。

前例や事例を参考にしては課題解決が難しい場合や、すべてのバイアスをゼロにして新しい発想を生み出したいときに有効です。

ロジックツリー

ロジックツリーとは、問題に対する原因をツリー状に書き出して解決策を考える思考法です。

たとえば「採用目標人数に届かない」という課題に対して、「十分な母集団が形成できない」「選考途中で辞退される」「内定辞退される」のように考えられる要因を洗い出し、さらに各要因を要素分解していくのがロジックツリーのやり方です。

問題と原因を可視化できるため、視覚的に問題を討論しやすくなります。

ピラミッドストラクチャー

ピラミッドストラクチャーは、結論を頂点として根拠や理由をピラミッド状に図示していく方法です。

ピラミッドストラクチャーでは、たとえば「採用人数を増やしたい」という結論に対して、「退職予定者が複数いるから」「事業拡大の計画があるから」など根拠を展開し、さらに各根拠について「定年退職者1名、離職者1名」のように理由を書いていきます。

結論と根拠の可視化により、主張したい結論が本当に論理的に成立しているのか確認できます。プレゼン資料や提案資料を作成するときに重宝するフレームワークです。

5W1H

5W1Hとは、「誰が」「何を」「いつ」「どこで」「なぜ」「どのように」の頭文字を取った用語です。情報を報告したり整理したりするときに、5W1Hに沿って要点をまとめることでスムーズな情報伝達が可能になります。

5W1Hについては以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:5W1Hとは?ビジネスで活用するメリットやシーン別の具体例を解説

論理的思考力はビジネスを行ううえで必須

笑顔のビジネスパーソンたち
本記事では論理的思考について解説しました。ビジネスにおいて問題の原因を迅速・正確に把握して適切な解決策を実施するには、論理的思考力が欠かせません。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ論理的思考力を養ってみてください。

なお「論理的思考力がある人を採用したものの、すぐに辞めてしまった」とお悩みの方は、この機会にコンピテンシー診断を採用選考に導入してみてはいかがでしょうか。

論理的思考力が高い人であっても、社風にマッチしないと短期で離職してしまうおそれがあります。コンピテンシー診断を活用して、自社にマッチする論理的思考力の高い人材をスカウトしてみましょう。

コンピテンシー診断は人材アセスメントツール「ミイダス」に登録すると利用できます。サービス詳細は以下の動画をご覧ください。

アカウント登録はわずか1分ほどで完了します。まずは無料でお試しください。

【1分で登録完了】ミイダス独自のアセスメントツールを使ってみる

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

まずは無料トライアルをお試しください。

アカウントを登録してフィッティング人材分析機能を利用する

※アカウントの登録及びご登録後のフィッティング人材分析機能のご利用は無料です。

タグから探す

資料ダウンロード

セミナー情報

関連情報

人気記事ランキング

こちらの記事もオススメ

ミイダスなら人材領域の課題をスマートに解決できる機能が充実!

無料でミイダスの機能を
お試しいただけます

人材アセスメントお役立ち資料をダウンロード

お役立ち資料を
ダウンロードしてみる

人材アセスメントを実践したい方必見!
無料