人材アセスメントラボ - いちばん新しくていちばん詳しいHRマガジン

メルマガ購読はこちら
採用

オンボーディングとは?意味・目的・成功事例まで徹底解説

採用した人材の早期離職や戦力化の遅れに悩む企業は少なくありません。新入社員には一日でも早く自立し、戦力として活躍してほしいものです。

そこで近年注目を集めているのが「オンボーディング」です。

本記事では、オンボーディングの基本概念から得られる効果、成功に導くポイントまでを詳しく解説します。

また、オンボーディングを積極的に導入し、高い定着率を実現している企業の事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

記事を動画で解説

オンボーディングとは?意味や対象者、注目されている背景

ひらめき
まずこの章では、オンボーディングの基本的な意味、対象者、そして注目を集める背景について解説します。

オンボーディングの意味と使い方

オンボーディング(Onboarding)とは、新しく組織に加わった社員が職場に馴染み、期待される役割を果たせるよう支援する取り組みのことです。

語源は英語の「on board」(船や飛行機に乗り込む)です。海外では、新しいメンバーを迎える際に「Welcome on board!(ようこそ、チームの一員へ!)」と声をかけることから、人事分野でも広く使われるようになりました。

日本では「オンボーディングを導入する」「オンボーディングプログラムを設計する」といった形で用いられています。

なお、オンボーディングは単発の研修とは異なり、数週間から数か月にわたって継続して進める点が特徴です。

オンボーディングの対象となる人

オンボーディングの対象は、新入社員に限りません。環境が大きく変わるすべての社員が対象となります。

例としては、以下のような社員にも有効です。
・中途採用者
・部門異動者
・海外赴任者
・長期休職からの復職者 など
なかでも中途入社者は、即戦力としての期待が高い反面、組織に馴染めず孤立しやすい傾向があります。スムーズな適応を促すためにも、入社後のサポート体制を整えることが大切です。

なぜ今オンボーディングが注目されているのか

近年オンボーディングが注目される理由は大きく2つあります。

1つ目は、労働人口の減少による人材獲得競争の激化です。総務省の統計では、生産年齢人口(15〜64歳)が1995年の約8,700万人から2023年には約7,400万人まで減少しています。有効求人倍率も2025年6月時点で1.22倍と高止まりし、採用難は今後も続く見込みです。

出典:第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題|国土交通白書2024
出典:一般職業紹介状況(令和7年6月分)について|厚生労働省

2つ目は、採用した人材の早期離職です。厚生労働省の調査によると、新卒3年以内の離職率は30%以上にのぼります。主な離職理由は次のとおりです。
  • 労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった:28.5%
  • 人間関係がよくなかった:26.4%
  • 賃金の条件がよく なかった:21.8%
  • 仕事が自分に合わない:21.7%
出典:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
出典:令和5年若年者雇用実態調査の概況 P18|厚生労働省

こうした理由の一部は、オンボーディング施策によって未然に防げる可能性があるため、さらに施策の重要性が高まっているのです。

採用にコストをかけても、受け入れ体制が整っていなければ人材は定着しません。入社後の数か月で適切に支援すれば、「ここで働きたい」という意識を育むことができます。

オンボーディングと従来研修との違い

新入社員研修
オンボーディングは「新人研修の延長」と見なされることもありますが、実際には新人研修やOJTとは目的も進め方も異なります。

ここでは、それぞれと比較しながらオンボーディングの特徴を整理します。

新入社員研修との違い

新入社員研修は、主に新卒社員を対象に、社会人としてのマナーや会社のルール、業務の基本を学ぶ場です。

一方オンボーディングは、入社時期や職歴を問いません。社員が新しい環境に早く適応し、職場で力を発揮できるよう支援する取り組みがオンボーディングです。
〈新入社員研修の例〉
・名刺交換や電話応対などのビジネスマナー研修
・社内ルールや各種制度の紹介

〈オンボーディング施策の例〉
・メンターとの定期面談
・配属先での役割共有
・チーム目標のすり合わせ
新入社員研修が「スタートラインを揃える」ための施策だとすれば、オンボーディングは、配属後の実務や人間関係までを支える土台になります。

また、新入社員研修は短期間で完結するのに対し、オンボーディングは数か月にわたって段階的に進められる点も大きな違いです。

OJTとの違い

OJT(On the Job Training)とは、現場での実務を通じてスキルを身につける育成手法です。

オンボーディングはこのOJTを含みながら、もっと広い視点で新しいメンバーを支えます。仕事を覚えるだけでなく、チームに馴染むことや、安心して働ける環境づくりまでをカバーしているのが特徴です。

OJTが「仕事を覚えること」を目的とするのに対し、オンボーディングは「職場に根づいて活躍すること」をゴールにしています。

【関連記事:OJTとは?意味をわかりやすく解説!OFF-JTとの違いや研修の進め方など

オンボーディングを実施することで得られる効果

チェック
オンボーディングの効果は「人材の定着」「組織の生産性」「従業員の満足度」という3つの軸で現れます。それぞれの効果と、施策の重要性を見ていきましょう。

定着率を高め早期離職を防ぐ

入社初期の迷いや孤立を軽減するオンボーディングにより、「辞めたい」と思う気持ちに歯止めをかけられます。

実際に、株式会社レオパレス21では、中途採用者にメンターをつける仕組みを導入し、3年後の定着率94%を実現しました。

安心して働ける環境を整えることで、早期離職を防ぎ、社員の定着率を高められるのです。

参考:人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集~採用活動のコツ~|厚生労働省

定着率を高めるには、まず「どのような人材が長く活躍するのか」を知ることが大切です。

ミイダスの資料「データでわかる定着人材とは」では、定着する人材像を分析する方法を解説しています。

【無料ダウンロード】データでわかる定着人材とは

組織の生産性が向上する

しっかりとしたオンボーディングで新入社員が職場に馴染めば、自立も早くなり、現場のフォロー負担も軽くなります。これにより業務全体の流れがスムーズになり、チームの稼働効率が向上するのです。

さらに、離職率の低下は採用や育成にかかる人的コストの削減にもつながり、組織運営全体の効率化を実現します。このような好循環の積み重ねが、最終的に組織全体の生産性を底上げする基盤となるでしょう。

エンゲージメントや満足度を高める

オンボーディングは、新しい環境で感じる孤独や不安を和らげる仕組みです。歓迎され、困ったときに支えてくれる人がいるとわかるだけで、大きな安心感が得られます。その安心が自信を育て、会社で前向きに働こうとする姿勢につながるのです。

さらに、親身にサポートしてくれる存在への感謝は「この組織にいたい」という帰属意識を高めます。安心→自信→感謝→帰属という心理の連鎖が、エンゲージメントや満足度を高める好循環を生み出すのです。

ミイダスの「はたらきがいサーベイ」は、自社における働きがいを可視化できるツールです。活用事例を紹介した資料では、オンボーディングの効果測定から改善までの流れを確認できます。導入の参考にしてみてください。

【無料ダウンロード】「はたらきがいサーベイ」を活用し従業員のエンゲージメントを向上させる方法

オンボーディング導入の流れと進め方

笑顔の女性社員
この章では、オンボーディングの導入から実行までのステップを順に解説します。

1. 目的をはっきりさせる

最初のステップは、オンボーディングを導入する目的を明確にすることです。

定着率の向上や生産性の向上、またはエンゲージメントを重視するなど、何を重視するかによって制度設計やサポートの方向性は変わってきます。

例えば「入社6か月で主要業務を一人で遂行できるようにする」といった、期限と成果が明確な目標を定めましょう。目標が明確であれば、関係者の行動にも一貫性が生まれます。

2. 実行プランとゴールを設定する

目的を定めたら、具体的なオンボーディングプランを設計します。入社後の1年間を細分化し、時期ごとに達成すべき目標を設定しましょう。
【オンボーディングの実行プラン例】
・入社初日:社内環境の案内、ツールの準備
・入社1週間:チームメンバーとの面談を実施
・入社1か月:担当業務全体を把握し一部を担当
・入社3か月:主要業務を独力で進行できる状態へ
新入社員が達成感を得られるよう、段階的で無理のない目標を設定しましょう。

3. 関係者の役割と支援体制を整える

オンボーディングを成功させるには、人事だけでなく、現場の上司や先輩社員も一体となって支援に関わる必要があります。

あらかじめ役割を定めておくことで、責任の所在が明確になり、効果的なサポートにつながるでしょう。
  • 人事担当:オンボーディング全体の設計・進行管理
  • 上司:業務内容の指導や目標管理
  • 先輩社員(メンター):日常的な相談対応や心理的サポート
特にメンター制度やトレーナー育成は有効です。相談役を配置すれば新入社員の孤立を防止でき、教育方法を統一すれば指導のばらつきも減らせます。

オンボーディングは「制度」ではなく、「人を通じて支える仕組み」として整えることが大切です。

【関連記事:メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説

4. 現場チームの理解と協力を促す

新入社員を受け入れる現場の理解を得ることも、オンボーディングを機能させるうえで不可欠です。

現場に「すぐ辞めるかもしれない」「形ばかりの制度だろう」といった先入観があると、新人へのサポートに本気で取り組んでもらえず、結果的に支援の質が下がってしまいます。

こうした状況を防ぐには、過去の成功事例を共有するのが効果的です。オンボーディングで実際に成果が出た例を伝えることで、現場にも前向きに協力してもらえるようになります。

5. 実行に移す

計画と体制を整えたら、いよいよ実行に移します。入社初日は歓迎の場を設けて安心感を与え、最初の1週間は寄り添ったサポートを重点的に行いましょう。

その後は業務や面談を通じて、少しずつ自立を後押しします。大切なのは一律に進めるのではなく、一人ひとりに合った形で支援する姿勢です。

同じ時期に入社しても、人によって理解の速さや不安の内容は異なります。柔軟に対応することで、誰もが安心してより良いスタートを切れるようになるでしょう。

6. 実施後の振り返りと改善を行う

最後に欠かせないのが、実施後の振り返りです。社員からのフィードバックを集め、オンボーディングの効果を数字で確認し、改善に生かします。

例えば「定着率」「立ち上がりまでの期間」「満足度調査」といった指標を設ければ、効果を把握しやすくなるでしょう。

実行と改善を繰り返せば、オンボーディングは組織に根付き、長期的な成果へと結びつきます。

オンボーディングの具体的な流れについては、ミイダスの資料「採用から育成・定着までの課題解決事例集」をご参照ください。実際の企業事例から成功のヒントを得られます。

【無料ダウンロード】「採用」から「育成」「定着」までの課題解決事例集

【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説

実践で差がつく、オンボーディング3つの工夫

グータッチする手
オンボーディングを成果につなげるには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。ここでは、すぐに実践できる3つの工夫を紹介します。

入社前のコミュニケーションで信頼関係を築く

オンボーディングをスムーズに進めるうえで、入社前からのコミュニケーションは欠かせない要素です。
・歓迎メッセージを送る
・必要な資料を事前に共有する
・質問に素早く対応する など
こうした小さな配慮が信頼を築く第一歩となり、同時にリアリティショックの防止にも役立ちます。

もし入社前に得られる情報が少なかったり、サポートが不十分だったりすると、入社後に「思っていた職場と違う」と落胆し、早期離職につながる可能性もあるのです。

だからこそ「入社前から信頼を積み重ね、ギャップを減らす工夫」が、その後のオンボーディング全体を成功に導くカギとなります。

新メンバーに期待する役割を共有する

オンボーディングでは、個々の社員にどのような役割を担ってもらいたいのか、明確に伝える必要があります。

「初月は補助業務を担当」「2か月目から小規模案件を任せる」といった段階的な期待を示せば、本人も行動の方向性をつかみやすくなります。

組織の期待を明確に言葉で示せば、意欲の向上や早期戦力化につながるでしょう。

スモールステップで段階的に進める

オンボーディングでは、無理のない小さな目標を積み重ねるのが大切です。一度に多くを学ばせると負担が大きく、知識やスキルも定着しにくくなります。

簡単な業務から始めて成功体験を積ませれば、「できる」という感覚が生まれ、学びも定着します。その積み重ねが自信となり、長期的な成長につながるのです。

オンボーディングの成功事例

座学研修
理論だけではなく、実際に成果を上げている企業の取り組みを知れば、イメージがより具体的になります。ここでは2社の成功事例を紹介します。

定着率97%を実現した日本新薬のメンター制度

所属部署とは別の先輩社員をメンターとして配置し、人間関係を築く機会を増やしました。

また、採用過程での丁寧なコミュニケーションにより、入社後のギャップを最小化しています。こうした取り組みの結果、募集ポジションはすべて充足し、入社3年後の定着率は96〜97%に達したそうです。

参考:人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集~採用活動のコツ~|厚生労働省

定着率90%!客先常駐エンジニアを支えるエーエスエルの「ランチミーティング」

株式会社エーエスエルは、客先常駐のITエンジニアが定着し活躍できるように、独自のオンボーディング施策を整備しました。

営業担当者がエンジニア一人ひとりと定期的にランチミーティングを行い、現場での課題や悩みを聞き取る仕組みを整えています。さらに、営業担当者以外にも相談できるよう、任意で提出できる週報制度も導入しました。

こうしたきめ細やかなサポートと、従業員の希望に配慮した職場環境の提供により、入社3年後の定着率は約90%という高水準を維持しています。

参考:人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集~採用活動のコツ~|厚生労働省

はじめの一歩から、活躍できる環境を整えよう

ショートカットの女性
社員が定着する仕組みづくりとして、オンボーディングは非常に有効です。特に次の3点を意識して進めれば、施策成功に結びつきます。
  • 入社前からの丁寧なコミュニケーション
  • 期待する役割の明確化と伝達
  • 段階的な目標設定
こうした取り組みを丁寧に積み重ねれば、新入社員の不安が和らぎ、早期に力を発揮できる環境が整います。その結果、離職の抑制や組織全体の安定につながるでしょう。

ただし、制度を整えるだけでは不十分です。新入社員の適応状況や施策の進み具合を可視化し、成果とあわせて改善につなげる仕組みが欠かせません。

ミイダスでは、オンボーディングを支援するために次のようなアセスメントツールを提供しています。
コンピテンシー診断(特性診断)
社員一人ひとりの強みや行動特性を把握し、育成を最適化

はたらきがいサーベイ
働きやすさや意欲の変化を数値で確認し、職場改善に活用

組織サーベイ
従業員やチームのコンディションを可視化し、離職防止や生産性向上に活用
コンピテンシー診断(特性診断)、はたらきがいサーベイは無料で体験いただけます(組織サーベイは法人契約が必要です)オンボーディングの質を高めたい方は、ぜひご活用ください。

ミイダスを無料でお試し

ミイダスは自社にフィットする人材を
特定して
アプローチ
できる
「アセスメントリクルーティング」
採用ツールです。

まずは無料トライアルをお試しください。

アカウントを登録して「ミイダス 人材・カルチャー分析」機能を利用する

※アカウントの登録及びご登録後の「ミイダス 人材・カルチャー分析」機能のご利用は無料です。

タグから探す

資料ダウンロード

セミナー情報

関連情報

人気記事ランキング

こちらの記事もオススメ

ミイダスなら人材領域の課題をスマートに解決できる機能が充実!

無料でミイダスの機能を
お試しいただけます

人材アセスメントお役立ち資料をダウンロード

お役立ち資料を
ダウンロードしてみる

人材アセスメントを実践したい方必見!
無料