アンコンシャスバイアスは、人が無意識に持っている思い込みや偏見を意味します。
アンコンシャスバイアスは人の本能であり、それ自体が悪いものではありません。しかし、気づかないうちに仕事での言動や行動に表れ、悪影響をおよぼす可能性があります。
本記事では、アンコンシャスバイアスの概要と具体例を解説します。企業として職場のアンコンシャスバイアスを放置するリスクと対処法についても紹介しますので、ぜひご一読ください。
また、人材の定着にお悩みの方は、こちらの記事もぜひお役立てください。
【無料ダウンロード:社風にあった定着人材の採用を成功させる方法】
アンコンシャスバイアスは人の本能であり、それ自体が悪いものではありません。しかし、気づかないうちに仕事での言動や行動に表れ、悪影響をおよぼす可能性があります。
本記事では、アンコンシャスバイアスの概要と具体例を解説します。企業として職場のアンコンシャスバイアスを放置するリスクと対処法についても紹介しますので、ぜひご一読ください。
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▼この記事でわかること
アンコンシャスバイアスとはアンコンシャスバイアスとは、人が無意識に抱えている偏見や思い込み、先入観などを指す言葉です。- アンコンシャス(unconscious):無意識の
- バイアス(bias):偏見、思い込み、思考の偏り
「普通は〜だ」「常識として〜であるべきだ」と思ったり言ったりした経験は、多かれ少なかれ誰にでもあるでしょう。アンコンシャスバイアスは、人が生きるなかで自然に身につけるものであり、それ自体が悪いわけではありません。
しかし、アンコンシャスバイアスは、普段の何気ない行動や思考に表れ、仕事における意思決定に歪みを与える場合があります。
たとえば人事分野においては、上司や面接官が持つアンコンシャスバイアスが「採用」「人事評価」「人材育成」「人材配置」「職場環境作り」といったシーンで悪影響をおよぼす可能性があるでしょう。
仕事での意思決定の質を高めるためにも、組織への悪影響を回避するためにも、企業はアンコンシャスバイアスの対策に取り組む必要があるのです。
日常にあるアンコンシャスバイアスの事例
アンコンシャスバイアスは、日常のあらゆるところに潜んでいます。具体例としては、次のような思考・価値観があげられます。「男性だから力仕事ができるはずだ」
「女性なら家事ができて当たり前だ」
「血液型がA型の人は生真面目、B型の人はマイペースだろう」
「子どもが体調を崩したら母親が仕事を休むほうがよい」
「年齢が高くなると考え方に柔軟性がなくなる」アンコンシャスバイアスは、とくに性別、年代、人種、職業などカテゴリー分けが定着している領域で発生しやすくなります。実際、内閣府男女共同参画局の調査においても、男女の半数近くが「男性は仕事をして家庭を支えるべきだ」や「女性には女性らしい感性がある」と考えていることが見て取れます。
アンコンシャスバイアスが作る社会のムードや慣習によって、知らないうちに他人を傷つけている可能性が誰にでもあると言えるでしょう。
参考:内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果」
アンコンシャスバイアスが発生する理由
なぜアンコンシャスバイアスのような厄介なものが発生するかと言うと、私たちの脳の機能が関係しています。
毎日膨大な情報を処理する脳は、多くのエネルギーを必要とする臓器です。そこで人間は、なるべく無駄なエネルギーを使わずに情報を処理できるよう、機能を進化させました- 過去の経験則
- 属するコミュニティの意見
- 文化的な背景
などを参考にして情報処理をショートカットすることで、脳が使うエネルギーを節約できるようにしたのです。
この脳の進化は、迅速かつ適切な意思決定を可能にする一方で、既存パターンから外れた物事までパターンに納めて見てしまうアンコンシャスバイアスを生み出しました。
アンコンシャスバイアスが「誰にでもある」「それ自体が悪いものではない」とされるのは、人間が生き残るために必要な機能の1つでもあるからです。
アンコンシャスバイアスの代表例アンコンシャスバイアスにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものについて、職場での例をまじえて紹介します。
なお身近なバイアスについては下記の記事でもわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【関連記事:バイアスとは?ビジネスでの意味や種類・企業に与える影響について解説【図解あり】】
【関連記事:正常性バイアスとは?ビジネスシーンでの具体例や対処法を解説 】ステレオタイプ
人種、性別、職業といった特定の属性に対して持っている固定観念や先入観を「ステレオタイプ」と呼びます。とくに性別に関わる固定観念は「ジェンダー・ステレオタイプ」と呼ばれ、女性の社会進出を阻む原因の1つとされています。・男性(または女性)にこの職は向かない
・学歴がある人は仕事でも優秀なはずだ上記のように「相手の属するカテゴリー」と「本人の能力」を根拠なく結びつけて考える癖がある人は、ステレオタイプに引っ張られた判断を下しやすい傾向にあります。
対策としては、音楽コンクールのブラインド審査のように、評価に不要な項目はあえて見ないといったやり方が有効です。権威バイアス
「権威バイアス」は専門家、上司、著名人といった権威を持つ人物の発言を、よく考えずに信用してしまうことを言います。・有名なこの人が言っているのだから間違いない
・上司の意見はすべて正しい近年はSNSなどの普及で、さまざまな専門家の意見が見聞きしやすい環境にあります。しかし、他人の意見を深く考えずに信じてしまうのは危険です。
権威バイアスを回避するには「相手の知識や価値観はいまも通用するのか」「反対意見にはどのようなものがあるのか」を冷静に見極める訓練が必要と言えるでしょう。
正常性バイアス
予期が難しい事象や、先行きが不透明な変化に対して「きっと大丈夫だ」とリスクを過小評価してしまうことを「正常性バイアス」と呼びます。・ここが災害に巻き込まれる可能性は低いから、会社の避難訓練は軽めでいいだろう
・新しい技術が登場したようだが、うちは大丈夫だろう正常性バイアスは、判断が難しい状況において、問題を先送りしてしまう癖とも言い換えられます。組織の人材に正常性バイアスを持つ人が多い場合は、最悪を考えて行動できる人材を入れるなどの対策が必要となるでしょう。集団同調性バイアス
「集団同調性バイアス」とは、自分が属する集団の言動や価値観に、個人としての意見や思考まで同調してしまうことを指します。・みんなが言っているのだから、きっとそうなのだろう
・会社の方針に従えないのは、自分が間違っているからだ集団同調性バイアスは、自分が属する集団への過剰評価や、反対意見へのバッシングなどにつながります。集団の意思決定にブレーキがかからなくなるため、無責任でリスキーな判断を下してしまう恐れもあるでしょう。
「組織の方針を検討するにあたって、必ず反証の視点を設定する」などのルール作りが対策として考えられます。確証バイアス
自分の意見を補強する材料を無意識に探してしまうことを「確証バイアス」と呼びます。・自分と同意見の人の発言を探してしまう
・都合の悪いデータや反対意見を軽視する確証バイアスが強まると、客観性や合理性を欠いた判断を下しやすくなります。他のアンコンシャスバイアスと組み合わさり、より偏見を強めてしまうでしょう。
賛成意見と同じ量の反対意見を意識して探したり、裏付けや客観性に注意して情報を取捨選択したりといった対策が必要です。インポスター症候群
自分の能力や成果を肯定できず、褒められると周囲を騙しているような罪悪感を抱くことを「インポスター症候群」と呼びます。・成功しても「たまたま運が良かっただけ」と思ってしまう
・上司から評価されると過剰に謙遜してしまうインポスター症候群は、文化的な要因から、とくに女性に多いとされるアンコンシャスバイアスです。自己評価が非常に低い状態のため、実力に見合った昇進やチャンスに消極的になります。
組織としては「小さな成功体験の機会を増やす」「従業員を否定しない職場環境作り」などの対策が考えられるでしょう。
慈悲的差別
「慈悲的差別」とは、自分よりも弱いと認識している対象に対して、本人の意思を聞かずに勝手な配慮や気遣いを行うことです。・育児中の社員には、出張のある仕事は任せないほうがよいだろう
・ハンデのある方々に負担の大きな仕事を与えるべきではない慈悲的差別は本人の意思を無視した行いであり、される側のモチベーション低下や無力感の増大を引き起こします。やる側は「良かれと思って」行っているため、対処が難しいアンコンシャスバイアスとも言えるでしょう。
しかし、慈悲的差別を放置すると、組織内の構造的差別を強める恐れがあります。配慮を行う場合は必ず本人と対話の機会を設けるなどのルール作りが大切です。
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職場におけるアンコンシャスバイアスのリスク職場のアンコンシャスバイアスを放置すると、次のようなリスクにつながります。- 無意識のハラスメントの誘発
- 組織の多様性の遅れ
- 採用・人材配置の歪み
- 人材の成長やイノベーションの阻害
無意識のハラスメントの誘発
アンコンシャスバイアスは「自分のときはこうだった」「社会人なら〜であるべきだ」といった意識を強めます。
仮に上司が自分のアンコンシャスバイアスに無自覚だった場合、お茶の用意を女性社員に指示したり、男性の育休取得に反対したりといったハラスメントを誘発しやすくなります。
上司に悪気がなくても、会社として対応が遅れれば、深刻なトラブルに発展する可能性があるでしょう。組織の多様性の遅れ
アンコンシャスバイアスは、組織の多様性、つまりダイバーシティの促進を阻害する恐れがあります。
ダイバーシティとは、国籍、性別、年齢、宗教、人種などさまざまな属性の人が集まった状態のことです。近年は、ダイバーシティによって生まれるさまざまな物の見方や知識、能力を組織の成長につなげようとする動きが活発化しています。
しかし、アンコンシャスバイアスによって各属性に偏ったイメージを押しつけてしまうと、そうされた従業員は強いストレスを感じます。結果として、本来の実力を発揮できなかったり、居心地の悪さから離職を決断したりといった悪影響につながってしまうでしょう。
【関連記事:ダイバーシティーとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】
採用・人材配置の歪み
採用にあたる面接官や人材評価を行う上司も、アンコンシャスバイアスを持っています。
「有名大学出身だから活躍してくれるだろう」「年齢が高いから職場になじめないかもしれない」などの判断はアンコンシャスバイアスが作用しており、適切に人材が見極められているとは言えません。
実際、採用手法とその後のパフォーマンスについての調査では、年齢や学歴などバイアスを含みやすい採用基準は、その後の活躍をほとんど予測できないことがわかっています。
人材の評価が必要なシーンでは、アンコンシャスバイアスを排除できる手法を意識して取り入れる必要があると言えます。
上図にあるコンピテンシーも、アンコンシャスバイアスが発生しにくい評価基準の1つです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説】
人材の成長やイノベーションの阻害
アンコンシャスバイアスの横行は、職場の雰囲気をギスギスさせます。従業員それぞれが固定観念や先入観に無自覚な職場では、配慮に欠けた会話が生まれやすくなるためです。
そのような環境では、「君にはまだ無理じゃないか」「私の経験上、そのやり方じゃ失敗する」といった根拠の薄い決めつけも強まります。心理的安全性が下がるため、従業員のモチベーションや挑戦意欲も削がれてしまうでしょう。
結果として、人材の成長やイノベーションの芽を摘んでしまうことにもつながります。
企業ができるアンコンシャスバイアスへの対処法アンコンシャスバイアスは組織にさまざまな悪影響をもたらします。では、企業としてどのような対処を行っていけばよいのでしょうか。1.アンコンシャスバイアスについて周知する
2.従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
3.具体的な対策を実施する
の3ステップを紹介します。1. アンコンシャスバイアスについて周知する
まず必要になるのが、アンコンシャスバイアスの周知です。
アンコンシャスバイアスの存在を知らなければ、自分のなかにあるバイアスに気づくことはできません。また「誰にでもあるものだ」と認識しなければ、「自分には偏見や差別意識は一切ない」と思い込んでしまうでしょう。- アンコンシャスバイアスの種類と具体例
- 予想される組織への悪影響と対策の必要性
上記2つを従業員に知ってもらうところから始めましょう。2. 従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
次に、組織にあるアンコンシャスバイアスの実態を調査します。
とはいえ、アンケートによる意識調査だけでは、正確に状況を捉えることは困難です。アンコンシャス(無意識)な思考の偏りゆえに、従業員の自己申告だけでは限界があるためです。
そこでおすすめなのが、診断テストのような客観的な基準を活用する方法です。
たとえばミイダスの「バイアス診断ゲーム」では、簡単なゲームによって全22項目のバイアスが診断可能です。一人ひとりが持つバイアスの傾向が把握できるだけでなく、各バイアスが強い・弱い場合にどう対処したらよいのかアドバイスも得られます。
実際にバイアス診断ゲームを体験した参加者からは、「診断結果を仕事に活かせそう」「気をつけることができそう」との評価を得ています。バイアス診断ゲームの概要については、こちらの動画もぜひご視聴ください。3. 具体的な対策を実施する
アンコンシャスバイアスの実態が把握できたら、具体的な対策を実施します。専門家によるアンコンシャスバイアス研修を実施したり、対策を社内ルールに落とし込んだりといった方法が考えられます。
会社をあげてアンコンシャスバイアスの改善に取り組めば、徐々に組織内におけるバイアスの悪影響も軽減されていくでしょう。
企業がバイアス分析に取り組むメリットと可能性については、こちらの記事で取り上げています。ぜひご覧ください。
【関連記事:認知バイアスの分析で人材戦略を変革せよ ── 採用・育成など人材活躍を底上げする「バイアス診断ゲーム」の可能性】
「ミイダス」はアンコンシャスバイアスを回避した採用・人材配置が可能「ミイダス」は、コンピテンシー診断やバイアス診断を用いた人材採用が可能なアセスメントリクルーティングサービスです。診断結果に基づいて自社で活躍する可能性が高い転職希望者へアプローチできるほか、各診断は既存社員の人材配置や育成にも活用できます。
またミイダスでは、ご契約いただいた法人様限定で、コンピテンシー診断やバイアス診断ゲームの結果を実務で活かす方法を学べる研修コンテンツを用意しています。
ミイダスは定額制サービスのため、採用人数が増えても追加料金はかかりません。ぜひ一度、無料登録からミイダスを体験してみてください。
しかし、アンコンシャスバイアスは、普段の何気ない行動や思考に表れ、仕事における意思決定に歪みを与える場合があります。
たとえば人事分野においては、上司や面接官が持つアンコンシャスバイアスが「採用」「人事評価」「人材育成」「人材配置」「職場環境作り」といったシーンで悪影響をおよぼす可能性があるでしょう。
仕事での意思決定の質を高めるためにも、組織への悪影響を回避するためにも、企業はアンコンシャスバイアスの対策に取り組む必要があるのです。
「女性なら家事ができて当たり前だ」
「血液型がA型の人は生真面目、B型の人はマイペースだろう」
「子どもが体調を崩したら母親が仕事を休むほうがよい」
「年齢が高くなると考え方に柔軟性がなくなる」
アンコンシャスバイアスが作る社会のムードや慣習によって、知らないうちに他人を傷つけている可能性が誰にでもあると言えるでしょう。
参考:内閣府男女共同参画局「令和4年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果」
毎日膨大な情報を処理する脳は、多くのエネルギーを必要とする臓器です。そこで人間は、なるべく無駄なエネルギーを使わずに情報を処理できるよう、機能を進化させました
この脳の進化は、迅速かつ適切な意思決定を可能にする一方で、既存パターンから外れた物事までパターンに納めて見てしまうアンコンシャスバイアスを生み出しました。
アンコンシャスバイアスが「誰にでもある」「それ自体が悪いものではない」とされるのは、人間が生き残るために必要な機能の1つでもあるからです。
アンコンシャスバイアスにはさまざまな種類がありますが、ここでは代表的なものについて、職場での例をまじえて紹介します。
なお身近なバイアスについては下記の記事でもわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
【関連記事:バイアスとは?ビジネスでの意味や種類・企業に与える影響について解説【図解あり】】
【関連記事:正常性バイアスとは?ビジネスシーンでの具体例や対処法を解説 】
なお身近なバイアスについては下記の記事でもわかりやすく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
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ステレオタイプ
人種、性別、職業といった特定の属性に対して持っている固定観念や先入観を「ステレオタイプ」と呼びます。とくに性別に関わる固定観念は「ジェンダー・ステレオタイプ」と呼ばれ、女性の社会進出を阻む原因の1つとされています。
・男性(または女性)にこの職は向かない
・学歴がある人は仕事でも優秀なはずだ
・学歴がある人は仕事でも優秀なはずだ
上記のように「相手の属するカテゴリー」と「本人の能力」を根拠なく結びつけて考える癖がある人は、ステレオタイプに引っ張られた判断を下しやすい傾向にあります。
対策としては、音楽コンクールのブラインド審査のように、評価に不要な項目はあえて見ないといったやり方が有効です。
対策としては、音楽コンクールのブラインド審査のように、評価に不要な項目はあえて見ないといったやり方が有効です。
権威バイアス
「権威バイアス」は専門家、上司、著名人といった権威を持つ人物の発言を、よく考えずに信用してしまうことを言います。
・有名なこの人が言っているのだから間違いない
・上司の意見はすべて正しい
・上司の意見はすべて正しい
近年はSNSなどの普及で、さまざまな専門家の意見が見聞きしやすい環境にあります。しかし、他人の意見を深く考えずに信じてしまうのは危険です。
権威バイアスを回避するには「相手の知識や価値観はいまも通用するのか」「反対意見にはどのようなものがあるのか」を冷静に見極める訓練が必要と言えるでしょう。
権威バイアスを回避するには「相手の知識や価値観はいまも通用するのか」「反対意見にはどのようなものがあるのか」を冷静に見極める訓練が必要と言えるでしょう。
正常性バイアス
予期が難しい事象や、先行きが不透明な変化に対して「きっと大丈夫だ」とリスクを過小評価してしまうことを「正常性バイアス」と呼びます。
・ここが災害に巻き込まれる可能性は低いから、会社の避難訓練は軽めでいいだろう
・新しい技術が登場したようだが、うちは大丈夫だろう
・新しい技術が登場したようだが、うちは大丈夫だろう
正常性バイアスは、判断が難しい状況において、問題を先送りしてしまう癖とも言い換えられます。組織の人材に正常性バイアスを持つ人が多い場合は、最悪を考えて行動できる人材を入れるなどの対策が必要となるでしょう。
集団同調性バイアス
「集団同調性バイアス」とは、自分が属する集団の言動や価値観に、個人としての意見や思考まで同調してしまうことを指します。
・みんなが言っているのだから、きっとそうなのだろう
・会社の方針に従えないのは、自分が間違っているからだ
・会社の方針に従えないのは、自分が間違っているからだ
集団同調性バイアスは、自分が属する集団への過剰評価や、反対意見へのバッシングなどにつながります。集団の意思決定にブレーキがかからなくなるため、無責任でリスキーな判断を下してしまう恐れもあるでしょう。
「組織の方針を検討するにあたって、必ず反証の視点を設定する」などのルール作りが対策として考えられます。
「組織の方針を検討するにあたって、必ず反証の視点を設定する」などのルール作りが対策として考えられます。
確証バイアス
自分の意見を補強する材料を無意識に探してしまうことを「確証バイアス」と呼びます。
・自分と同意見の人の発言を探してしまう
・都合の悪いデータや反対意見を軽視する
・都合の悪いデータや反対意見を軽視する
確証バイアスが強まると、客観性や合理性を欠いた判断を下しやすくなります。他のアンコンシャスバイアスと組み合わさり、より偏見を強めてしまうでしょう。
賛成意見と同じ量の反対意見を意識して探したり、裏付けや客観性に注意して情報を取捨選択したりといった対策が必要です。
賛成意見と同じ量の反対意見を意識して探したり、裏付けや客観性に注意して情報を取捨選択したりといった対策が必要です。
インポスター症候群
自分の能力や成果を肯定できず、褒められると周囲を騙しているような罪悪感を抱くことを「インポスター症候群」と呼びます。
・成功しても「たまたま運が良かっただけ」と思ってしまう
・上司から評価されると過剰に謙遜してしまう
・上司から評価されると過剰に謙遜してしまう
インポスター症候群は、文化的な要因から、とくに女性に多いとされるアンコンシャスバイアスです。自己評価が非常に低い状態のため、実力に見合った昇進やチャンスに消極的になります。
組織としては「小さな成功体験の機会を増やす」「従業員を否定しない職場環境作り」などの対策が考えられるでしょう。
組織としては「小さな成功体験の機会を増やす」「従業員を否定しない職場環境作り」などの対策が考えられるでしょう。
慈悲的差別
「慈悲的差別」とは、自分よりも弱いと認識している対象に対して、本人の意思を聞かずに勝手な配慮や気遣いを行うことです。
・育児中の社員には、出張のある仕事は任せないほうがよいだろう
・ハンデのある方々に負担の大きな仕事を与えるべきではない
・ハンデのある方々に負担の大きな仕事を与えるべきではない
慈悲的差別は本人の意思を無視した行いであり、される側のモチベーション低下や無力感の増大を引き起こします。やる側は「良かれと思って」行っているため、対処が難しいアンコンシャスバイアスとも言えるでしょう。
しかし、慈悲的差別を放置すると、組織内の構造的差別を強める恐れがあります。配慮を行う場合は必ず本人と対話の機会を設けるなどのルール作りが大切です。
しかし、慈悲的差別を放置すると、組織内の構造的差別を強める恐れがあります。配慮を行う場合は必ず本人と対話の機会を設けるなどのルール作りが大切です。
ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。
まずは無料トライアルをお試しください。
アカウントを登録してフィッティング人材分析機能を利用する※アカウントの登録及びご登録後のご利用は無料です。
職場におけるアンコンシャスバイアスのリスク職場のアンコンシャスバイアスを放置すると、次のようなリスクにつながります。- 無意識のハラスメントの誘発
- 組織の多様性の遅れ
- 採用・人材配置の歪み
- 人材の成長やイノベーションの阻害
無意識のハラスメントの誘発
アンコンシャスバイアスは「自分のときはこうだった」「社会人なら〜であるべきだ」といった意識を強めます。
仮に上司が自分のアンコンシャスバイアスに無自覚だった場合、お茶の用意を女性社員に指示したり、男性の育休取得に反対したりといったハラスメントを誘発しやすくなります。
上司に悪気がなくても、会社として対応が遅れれば、深刻なトラブルに発展する可能性があるでしょう。組織の多様性の遅れ
アンコンシャスバイアスは、組織の多様性、つまりダイバーシティの促進を阻害する恐れがあります。
ダイバーシティとは、国籍、性別、年齢、宗教、人種などさまざまな属性の人が集まった状態のことです。近年は、ダイバーシティによって生まれるさまざまな物の見方や知識、能力を組織の成長につなげようとする動きが活発化しています。
しかし、アンコンシャスバイアスによって各属性に偏ったイメージを押しつけてしまうと、そうされた従業員は強いストレスを感じます。結果として、本来の実力を発揮できなかったり、居心地の悪さから離職を決断したりといった悪影響につながってしまうでしょう。
【関連記事:ダイバーシティーとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】
採用・人材配置の歪み
採用にあたる面接官や人材評価を行う上司も、アンコンシャスバイアスを持っています。
「有名大学出身だから活躍してくれるだろう」「年齢が高いから職場になじめないかもしれない」などの判断はアンコンシャスバイアスが作用しており、適切に人材が見極められているとは言えません。
実際、採用手法とその後のパフォーマンスについての調査では、年齢や学歴などバイアスを含みやすい採用基準は、その後の活躍をほとんど予測できないことがわかっています。
人材の評価が必要なシーンでは、アンコンシャスバイアスを排除できる手法を意識して取り入れる必要があると言えます。
上図にあるコンピテンシーも、アンコンシャスバイアスが発生しにくい評価基準の1つです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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人材の成長やイノベーションの阻害
アンコンシャスバイアスの横行は、職場の雰囲気をギスギスさせます。従業員それぞれが固定観念や先入観に無自覚な職場では、配慮に欠けた会話が生まれやすくなるためです。
そのような環境では、「君にはまだ無理じゃないか」「私の経験上、そのやり方じゃ失敗する」といった根拠の薄い決めつけも強まります。心理的安全性が下がるため、従業員のモチベーションや挑戦意欲も削がれてしまうでしょう。
結果として、人材の成長やイノベーションの芽を摘んでしまうことにもつながります。
企業ができるアンコンシャスバイアスへの対処法アンコンシャスバイアスは組織にさまざまな悪影響をもたらします。では、企業としてどのような対処を行っていけばよいのでしょうか。1.アンコンシャスバイアスについて周知する
2.従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
3.具体的な対策を実施する
の3ステップを紹介します。1. アンコンシャスバイアスについて周知する
まず必要になるのが、アンコンシャスバイアスの周知です。
アンコンシャスバイアスの存在を知らなければ、自分のなかにあるバイアスに気づくことはできません。また「誰にでもあるものだ」と認識しなければ、「自分には偏見や差別意識は一切ない」と思い込んでしまうでしょう。- アンコンシャスバイアスの種類と具体例
- 予想される組織への悪影響と対策の必要性
上記2つを従業員に知ってもらうところから始めましょう。2. 従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
次に、組織にあるアンコンシャスバイアスの実態を調査します。
とはいえ、アンケートによる意識調査だけでは、正確に状況を捉えることは困難です。アンコンシャス(無意識)な思考の偏りゆえに、従業員の自己申告だけでは限界があるためです。
そこでおすすめなのが、診断テストのような客観的な基準を活用する方法です。
たとえばミイダスの「バイアス診断ゲーム」では、簡単なゲームによって全22項目のバイアスが診断可能です。一人ひとりが持つバイアスの傾向が把握できるだけでなく、各バイアスが強い・弱い場合にどう対処したらよいのかアドバイスも得られます。
実際にバイアス診断ゲームを体験した参加者からは、「診断結果を仕事に活かせそう」「気をつけることができそう」との評価を得ています。バイアス診断ゲームの概要については、こちらの動画もぜひご視聴ください。3. 具体的な対策を実施する
アンコンシャスバイアスの実態が把握できたら、具体的な対策を実施します。専門家によるアンコンシャスバイアス研修を実施したり、対策を社内ルールに落とし込んだりといった方法が考えられます。
会社をあげてアンコンシャスバイアスの改善に取り組めば、徐々に組織内におけるバイアスの悪影響も軽減されていくでしょう。
企業がバイアス分析に取り組むメリットと可能性については、こちらの記事で取り上げています。ぜひご覧ください。
【関連記事:認知バイアスの分析で人材戦略を変革せよ ── 採用・育成など人材活躍を底上げする「バイアス診断ゲーム」の可能性】
「ミイダス」はアンコンシャスバイアスを回避した採用・人材配置が可能「ミイダス」は、コンピテンシー診断やバイアス診断を用いた人材採用が可能なアセスメントリクルーティングサービスです。診断結果に基づいて自社で活躍する可能性が高い転職希望者へアプローチできるほか、各診断は既存社員の人材配置や育成にも活用できます。
またミイダスでは、ご契約いただいた法人様限定で、コンピテンシー診断やバイアス診断ゲームの結果を実務で活かす方法を学べる研修コンテンツを用意しています。
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仮に上司が自分のアンコンシャスバイアスに無自覚だった場合、お茶の用意を女性社員に指示したり、男性の育休取得に反対したりといったハラスメントを誘発しやすくなります。
上司に悪気がなくても、会社として対応が遅れれば、深刻なトラブルに発展する可能性があるでしょう。
ダイバーシティとは、国籍、性別、年齢、宗教、人種などさまざまな属性の人が集まった状態のことです。近年は、ダイバーシティによって生まれるさまざまな物の見方や知識、能力を組織の成長につなげようとする動きが活発化しています。
しかし、アンコンシャスバイアスによって各属性に偏ったイメージを押しつけてしまうと、そうされた従業員は強いストレスを感じます。結果として、本来の実力を発揮できなかったり、居心地の悪さから離職を決断したりといった悪影響につながってしまうでしょう。
【関連記事:ダイバーシティーとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】
「有名大学出身だから活躍してくれるだろう」「年齢が高いから職場になじめないかもしれない」などの判断はアンコンシャスバイアスが作用しており、適切に人材が見極められているとは言えません。
実際、採用手法とその後のパフォーマンスについての調査では、年齢や学歴などバイアスを含みやすい採用基準は、その後の活躍をほとんど予測できないことがわかっています。
上図にあるコンピテンシーも、アンコンシャスバイアスが発生しにくい評価基準の1つです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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そのような環境では、「君にはまだ無理じゃないか」「私の経験上、そのやり方じゃ失敗する」といった根拠の薄い決めつけも強まります。心理的安全性が下がるため、従業員のモチベーションや挑戦意欲も削がれてしまうでしょう。
結果として、人材の成長やイノベーションの芽を摘んでしまうことにもつながります。
アンコンシャスバイアスは組織にさまざまな悪影響をもたらします。では、企業としてどのような対処を行っていけばよいのでしょうか。
1.アンコンシャスバイアスについて周知する
2.従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
3.具体的な対策を実施する
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2.従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
3.具体的な対策を実施する
の3ステップを紹介します。
1. アンコンシャスバイアスについて周知する
まず必要になるのが、アンコンシャスバイアスの周知です。
アンコンシャスバイアスの存在を知らなければ、自分のなかにあるバイアスに気づくことはできません。また「誰にでもあるものだ」と認識しなければ、「自分には偏見や差別意識は一切ない」と思い込んでしまうでしょう。
アンコンシャスバイアスの存在を知らなければ、自分のなかにあるバイアスに気づくことはできません。また「誰にでもあるものだ」と認識しなければ、「自分には偏見や差別意識は一切ない」と思い込んでしまうでしょう。
- アンコンシャスバイアスの種類と具体例
- 予想される組織への悪影響と対策の必要性
上記2つを従業員に知ってもらうところから始めましょう。
2. 従業員のアンコンシャスバイアスをチェックする
次に、組織にあるアンコンシャスバイアスの実態を調査します。
とはいえ、アンケートによる意識調査だけでは、正確に状況を捉えることは困難です。アンコンシャス(無意識)な思考の偏りゆえに、従業員の自己申告だけでは限界があるためです。
そこでおすすめなのが、診断テストのような客観的な基準を活用する方法です。
たとえばミイダスの「バイアス診断ゲーム」では、簡単なゲームによって全22項目のバイアスが診断可能です。一人ひとりが持つバイアスの傾向が把握できるだけでなく、各バイアスが強い・弱い場合にどう対処したらよいのかアドバイスも得られます。
実際にバイアス診断ゲームを体験した参加者からは、「診断結果を仕事に活かせそう」「気をつけることができそう」との評価を得ています。
とはいえ、アンケートによる意識調査だけでは、正確に状況を捉えることは困難です。アンコンシャス(無意識)な思考の偏りゆえに、従業員の自己申告だけでは限界があるためです。
そこでおすすめなのが、診断テストのような客観的な基準を活用する方法です。
たとえばミイダスの「バイアス診断ゲーム」では、簡単なゲームによって全22項目のバイアスが診断可能です。一人ひとりが持つバイアスの傾向が把握できるだけでなく、各バイアスが強い・弱い場合にどう対処したらよいのかアドバイスも得られます。
実際にバイアス診断ゲームを体験した参加者からは、「診断結果を仕事に活かせそう」「気をつけることができそう」との評価を得ています。
バイアス診断ゲームの概要については、こちらの動画もぜひご視聴ください。
3. 具体的な対策を実施する
アンコンシャスバイアスの実態が把握できたら、具体的な対策を実施します。専門家によるアンコンシャスバイアス研修を実施したり、対策を社内ルールに落とし込んだりといった方法が考えられます。
会社をあげてアンコンシャスバイアスの改善に取り組めば、徐々に組織内におけるバイアスの悪影響も軽減されていくでしょう。
企業がバイアス分析に取り組むメリットと可能性については、こちらの記事で取り上げています。ぜひご覧ください。
【関連記事:認知バイアスの分析で人材戦略を変革せよ ── 採用・育成など人材活躍を底上げする「バイアス診断ゲーム」の可能性】
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「ミイダス」はアンコンシャスバイアスを回避した採用・人材配置が可能「ミイダス」は、コンピテンシー診断やバイアス診断を用いた人材採用が可能なアセスメントリクルーティングサービスです。診断結果に基づいて自社で活躍する可能性が高い転職希望者へアプローチできるほか、各診断は既存社員の人材配置や育成にも活用できます。
またミイダスでは、ご契約いただいた法人様限定で、コンピテンシー診断やバイアス診断ゲームの結果を実務で活かす方法を学べる研修コンテンツを用意しています。
ミイダスは定額制サービスのため、採用人数が増えても追加料金はかかりません。ぜひ一度、無料登録からミイダスを体験してみてください。
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