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人事異動を適切に行うには?意味や手法を解説

企業が社員に命じて配属や地位を変更する人事異動は、企業の生産性向上・社員のモチベーション向上・業績向上などのメリットがあります。

ただし、人事異動のメリットを享受するには適切な運用が欠かせません。感覚に頼った人事異動が実施されると、優秀な社員の退職や企業の評判が下がる可能性もあるのです。

今回の記事では、人事異動を適切に行うための考え方や手法を解説していきます。

企業と社員のどちらにもメリットがある人事異動を実施したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

なお、企業の人事担当者の方に向けて、定着人材や活躍人材の採用に役立つ資料も用意しています。下記より無料でダウンロードできるため、ぜひご活用ください。

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人事異動を適切に行うための考え方

新しいステージ
人事異動を適切に行い適材適所な人材配置をするには、社員の特性を把握する必要があります。

ここでいう適材適所な人材配置とは、下記のような複数の意義を含んでいます。
  • 部署に最適な特性を持った社員を配置し業務運営を最適化する
  • 社員にさまざまな経験を積ませてリーダー候補として育成する
  • 社員の希望に沿った異動を実現し成長を促す
社員一人ひとりを適切な業務や部署に配置すると、社員のモチベーション向上や組織の活性化につながります。人事異動を決める際は、現場の声や意向をヒアリングしつつ、社員の適性を分析して適切な配置となるよう工夫しなければならないのです。

次項では適切な人事異動を行うための手法を6つ紹介します。

適材適所の人事異動を行う6つの手法

相談する2人の社員
適切な人事異動を行い適材適所の配置を目指すには、以下6つの取り組みが必要不可欠です。
  • アセスメントツールを活用した社員情報の集約・可視化
  • 適性検査を実施して社員同士の相性を見る
  • 職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する
  • ジョブローテーションや社内留学制度を導入する
  • 社員が理想とする働き方をヒアリングする
  • 副業や兼業を解禁して適材適所なスキル習得を目指す
さっそく見ていきましょう。

アセスメントツールを活用した社員情報の集約・可視化

社員一人ひとりには、それぞれ多種多様なキャリア感・職務特性・スキルなどがあります。こうした幅広い人材データを収集・分析すると、適切な人材配置が可能となります。

しかし、社員全員にヒアリングを実施するには、莫大な人的・時間的コストが発生するだけでなく、担当者の主観が含まれる可能性もあります。そこで、コストを削減しつつ、客観的な人事異動を実施するために、莫大な人材データを集約するアセスメントツールを活用しましょう。

ミイダス」のアセスメントツールは、以下3つの診断が搭載されています。社員の適性や内面を分析・可視化し、感覚的な人材配置の予防と適切な配置に役立ちます。
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適性検査を実施して業務や社員同士の相性を見る

人事異動で適材適所の人材を割り当てるには、社員に適性検査を実施し、業務や社員同士のマッチング度を測るのが効果的です。

本人が得意と考える業務と、適性がある業務には差があるケースもあります。適性検査を実施すると客観的な判断材料を得られ、データに基づいた人材配置ができるのです。

一口に適性検査といっても、ストレス耐性・思考力・性格などさまざまな検査項目があります。業務実績などのスキルとストレス耐性などの内面の特徴を把握すれば、より適材適所な人事異動が可能となるでしょう。

職務記述書(ジョブディスクリプション)を作成する

社員の適性を把握すると同時に、部署ごとの業務内容や必要な資格・スキルを可視化するのも重要な作業です。

そこで役立つのが職務記述書(ジョブディスクリプション)。近年の日本企業で導入が進んでいる「ジョブ型人事制度」で活用されている制度です。

職務記述書(ジョブディスクリプション)に記述する内容は多岐にわたります。その一部を見てみましょう。
  • ポジション名(肩書き)
  • 職務目的
  • 職務責任
  • 職務内容・範囲
  • 指示命令系統
  • 必須となるスキル・資格・技能・経験年数など
  • 必須ではないが歓迎されるスキル・資格・技能
  • 給与・待遇
具体的な職務記述書の作成方法は、以下の記事の「現場の声を反映した職務記述書を作成する」で詳細に解説しています。ぜひご一読ください。

【関連記事:ジョブ型人事制度とは?失敗する企業の特徴や導入事例から成功の秘訣を学ぶ

ジョブローテーションや社内留学制度を導入する

新たな適性を見出すには、ジョブローテーションや社内留学制度で実際の職務を体験させるのが効果的です。顕在化しているスキルや性格は各種診断や適性検査で把握できますが、潜在的なスキルは実際に経験しないと把握できないケースがほとんどです。

ジョブローテーションを簡単に解説すると、戦略的に職種を変更し人材育成を図る制度で、期間は一般的に半年〜数年単位で実施します。
ジョブローテーションのイメージ
ジョブローテーションのメリットは、機械的な診断や検査だけではわからない適性を把握できるうえ、社員が苦手とする分野も明らかになる点です。

一方で社内留学制度とは、短期的に他部署の業務を経験させて事業内容の把握や視野の拡大を図り、最終的に元の部署に戻す制度です。他部署の業務を経験させることで視野の広い人材を育成することを目的に実施され、期間も1日〜1年と企業によって異なります。
社内留学制度のイメージ
これらの制度は人事異動のミスマッチ防止のみならず、部署間の連携強化にも優れた効果を発揮します。

社員が理想とする働き方をヒアリングする

人事異動の決定は組織主導型になりがちです。社員の自律性を尊重した適材適所を実現するには、個別にキャリアや働き方の希望をヒアリングしましょう。

客観的なデータでは適性があったとしても、本人の意向と異なる人材配置は得策と言えません。本人の熱意と希望に沿った配置の実施により、モチベーションとパフォーマンスの向上につながるケースがあります。

また、新メンバーを受け入れる側の意見もヒアリングしておきましょう。社員と部署のどちらも気持ちよく業務運営できる環境構築も重要です。

副業や兼業を解禁して適材適所なスキル習得を目指す

社員に自発的なスキルの習得を勧めるには、副業や兼業を解禁してみるのも一つの方法です。新規プロジェクトの立ち上げなど、これまで自社になかったスキルが必要となるシーンで有効でしょう。

『日本の人事部 人事白書2021』が実施した調査によると、副業や兼業の解禁に「大変メリットがあった」と回答した企業は、その理由の1つに「ナレッジを共有してくれる」と答えています。
副業・兼業解禁の効果を実感した割合
副業・兼業解禁で感じた具体的な効果
出典:『日本の人事部 人事白書2021』

副業や兼業は、社員に多様な経験やスキルを習得してもらう機会となるほか、ジョブローテーションや社内留学制度の導入が難しい企業でも検討できるメリットがあります。

ただし、企業情報の漏洩には十分な注意が必要です。

人事異動を行う企業のメリット

メリットに喜ぶ経営者
企業が適切な人事異動を実施すると、以下3つのメリットが得られます。
  • 新しい環境や学びによる社員のモチベーション向上
  • 中長期的な組織力の向上
  • 適材適所の配置による生産性の向上
一つずつ解説していきます。

新しい環境や学びによる社員のモチベーション向上

人事異動によって新しい環境に置かれた社員は、これまでにない学びや刺激的なコミュニケーションにより、業務のマンネリ化が解消されモチベーションが向上します。

未経験の業務や役職への配置は、新たな知識や経験を得る絶好の機会です。部署内でナレッジが共有されることで、チーム全体のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

このように、人事異動による社員のスキル向上は、多方面で活躍するゼネラリストの育成に向いています。

もし専門分野に特化したスペシャリストを育成したい場合、企業全体でジョブ型雇用を導入する方法もあります。詳しくは以下の記事を参考にしてください。

【参考記事:ジョブ型雇用の特徴とは?メリット・デメリット、導入の注意点を解説

中長期的な組織力の向上

適切な人事異動が定期的に実施されると、これまで社員が培ってきた知見や業務効率化の方法が企業全体に周知され、組織力向上につながります。

人事異動の対象でない社員に対しても、社内留学制度でスキル形成を図れば、将来異動があった際に即戦力として組織に貢献できるでしょう。

適材適所の配置による生産性の向上

部署ごとに必要なスキルや適性に見合った人材を配置できれば、業務効率化やチームワークの強化で生産性が向上します。

さらに効果的に生産性を向上させるには、人事異動を実施する際に、各部署の具体的な業務内容を職務記述書にまとめ、アセスメントツールや適性検査で社員の特性を洗い出しておくのがポイントです。

求めるスキルと社員が持つ適性がマッチすれば生産性向上につながるほか、人事異動によるミスマッチも予防できます。

人事異動で企業が被るデメリット

コストと書かれたスマートフォン画面
人事異動にはメリットが多い一方、業績悪化やミスマッチを引き起こす可能性もあります。ここでは以下の3つのデメリットを紹介します。
  • 社員のモチベーション低下を招く
  • コアメンバーの離脱で業績悪化につながる
  • 不十分な引き継ぎ作業で発生する不満
具体的なデメリットの内容を解説していきます。

社員のモチベーション低下を招く

社員の希望と異なる人事異動の場合、異動になった経緯や意義をしっかり説明しないと、社員は「左遷された」「不要だと思われた」とネガティブに捉えてしまう可能性があります。

また、新しい部署のメンバーやステークホルダーとの関係構築はストレス要因になりやすく、体調不良による休職や離職につながるリスクも。

人事異動の対象者を決める際は、本人の適性を慎重に見極めたり、辞令が公表される前に本人に説明を行い納得を得たりするのがポイントです。

人事異動による退職や管理職の異動で気をつけたいポイントは、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:人事異動がきっかけで退職?対処法を紹介
【関連記事:どうする人事異動!管理職の昇進で気を付けたいこと

コアメンバーの離脱で業績悪化につながる

部署の業務を一手に担う人材が離脱すると、急激な業績悪化につながる可能性もあります。

こうした事態を避けるには、人事異動の対象となる前からジョブローテーションや社内留学制度で社員にさまざまな経験を積ませるのがよいでしょう。期限付きで他部署の業務を経験させれば、組織全体の構造把握やスキル向上に期待できるほか、自発的な学びによるパフォーマンスの向上も促せます。

「すべての社員をコアメンバーにする」意識で育成や教育を実施すれば、一人が離脱するだけで業績が左右されることはなくなるでしょう。

不十分な引き継ぎ作業で発生する不満

人事異動で問題になりやすいのは、十分な時間が確保されていない状態で起こる不十分な引き継ぎです。

引き継ぎに十分な時間を確保していないと、後任者は業務内容を把握できず、チーム全体の業務遂行に多大な弊害をもたらします。

前任者が引き継ぎのスケジュールを設定する場合は、上司や後任者と事前に話し合ったり、後任者の所属部署ともすり合わせを行い、円滑な引き継ぎができるよう配慮しましょう。

引き継ぎスケジュールを企業が設定している場合は、現場の声をヒアリングして十分な時間を確保し、組織運営に遅滞が生じないように務めるのが理想です。

人事異動の命令を拒否された時の対処法

上司と社員の面談
社員の適性や希望を把握し適切と思われる人事異動を行っても、社員から命令を拒否されてしまうケースも存在します。

社員が人事異動を拒否した時は、まず社員の事情を把握し、不安を取り除くための説明を根気強く行いましょう。

命令を拒否する理由には以下が挙げられます。
  • 育児や介護など家庭の事情
  • 採用時に転勤の条件を指定された旨の主張
  • 不当な理由の転勤であるとの主張
  • 人事異動先の人間関係に対する不安・不満
育児や介護は企業側も積極的に支援する旨を伝えましょう。ただし、こうした理由で人事異動を拒否された場合、企業の支援が不十分だと捉えられている可能性もあります。

採用時に口頭、もしくは書面で「○○支社のみで勤務する」と言われたと主張する場合は、企業の方針とは異なる説明をした該当者に事実確認をしなければなりません。

人事異動を左遷やいやがらせと捉えている社員には、異動先の部署での活躍や適性に期待している旨を丁寧に説明しましょう。

人間関係を理由に命令を拒否する場合、過去に社員からハラスメントを受けたのかを明確化する必要があります。ハラスメントなどの事実がある場合は、該当社員へのヒアリングやハラスメント防止策の検討が必要です。

他にも人事トラブルの対処法を解説している記事を紹介します。人事異動でお悩みの担当者様はぜひご覧ください。

【関連記事:転勤辞令とは?辞令の正しい書き方や人事トラブルの対処法を解説
【関連記事:人事異動の決め方は?適材適所を実現するポイントを解説
【関連記事:会社都合の転勤や人事異動で起こりうる問題とは?

適切な人事異動にはミイダスのアセスメントツールが役立つ

ミイダスで表示される画面の例
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まずコンピテンシー診断で、以下4分野(41項目)のコンピテンシーを診断。その結果から部署ごとに適した人材の特性をフィッティング人材分析で判断します。
  • パーソナリティの特徴(創造的思考力・問題解決力・ヴァイタリティなど)
  • 上下関係適性(上司としてのタイプ・部下としてのタイプ)
  • ストレス要因(ストレスを感じる場面)
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フィッティング人材分析の結果をもとに人事異動の社員を決定すると、適材適所の配置となりミスマッチが起こりにくくなります。

さらに、社員のコンディションをリアルタイムで把握できる「組織サーベイ」を活用すれば、人事異動後も継続して適材適所が実現できるでしょう。

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