人事評価制度を導入したい・整えたいと思っても、
「どこから手をつければ良いか、わからない」
「運用がうまくいかない」
このようにお悩みではありませんか?
評価制度は昇給や昇進を決める仕組みとしてだけでなく、社員の成長を後押しし、組織全体のパフォーマンスを高めるうえで重要な基盤です。
本記事では人事評価制度の基本構造や評価手法、制度設計・運用のステップを解説します。制度を見直したい方、自社に合った仕組みをつくりたい方は、参考にしてみてください。
評価制度の導入効果を高めるには、制度が社員にどう受け止められているかを把握することも欠かせません。ミイダスの「はたらきがいサーベイ」を活用すれば、従業員の納得感やモチベーション、組織のエンゲージメント状態を定量的に可視化できます。
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「運用がうまくいかない」
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評価制度は昇給や昇進を決める仕組みとしてだけでなく、社員の成長を後押しし、組織全体のパフォーマンスを高めるうえで重要な基盤です。
本記事では人事評価制度の基本構造や評価手法、制度設計・運用のステップを解説します。制度を見直したい方、自社に合った仕組みをつくりたい方は、参考にしてみてください。
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従業員のエンゲージメントを向上させる方法
▼この記事でわかること
人事評価制度の概要
まずは、人事評価制度の基本的な定義や似た制度との違いを確認しましょう。人事評価制度とは?
人事評価制度とは、社員の働きぶりを見える形で評価し、その結果を昇給や昇格、異動などの判断に活かす仕組みです。目標の達成度や職務遂行能力、日常の行動姿勢などが評価の軸となります。
評価基準が明確で公平に運用されていれば、社員の納得感が高まり、日々の働き方にも良い影響を与えます。人事評価制度は、個々の成長を促し、企業全体の成長を支える基盤となるでしょう。人事考課と人事評価制度の違いとは?
人事考課は従業員の業績や能力、勤務態度を評価し、処遇に反映するための仕組みです。
一方、人事評価制度は考課に加え、人材育成や人員配置といった広い視点で人材マネジメントを行う枠組みを指します。
両者の違いを整理すると、以下のようになります。項目 人事考課 人事評価制度 評価の目的 処遇の決定 処遇+育成・配置 評価の範囲 業績・能力・態度 育成視点も含む 制度の役割 評価の一部 人事マネジメントの中心
人事評価制度の導入状況と求められる理由
この章では人事評価制度の導入状況を確認するとともに、導入の必要性を、データを交えて解説します。人事評価制度は企業規模が大きくなるほど導入が進んでいる
人事評価制度は、企業の規模が大きくなるほど導入が進んでいます。これは組織が拡大するにつれて、評価の基準や処遇の透明性がより強く求められるためでしょう。
実際に、企業規模によって導入率には明確な差があります。従業員規模 評価制度「あり」の割合 5~20人 35.0% 21~50人 57.2% 51~100人 72.5% 101人以上 87.2%
出典:2022年版 中小企業白書|中小企業庁
人が増えるほど、感覚や属人的な評価では対応しきれなくなるものです。担当者ごとの基準では全体のバランスが取れず、不公平感や納得感の欠如を招きやすいのが現実です。
あらかじめ評価基準を定め、誰もが納得できる運用にすることで、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。なぜ人事評価制度が必要か ― 売上に表れる明確な効果
人事評価制度の有無は、売上成長にも大きく影響します。下表は、従業員数別に見た売上高の増加率です。従業員数 評価制度「あり」 評価制度「なし」 5~20人 6.6% 2.6% 21~50人 7.9% 3.9% 51~100人 7.7% 5.9% 101人以上 10.4% 0.6%
出典:中小企業庁『2022年版 中小企業白書』
たとえば、101人以上の企業では評価制度の有無で約10ポイントの差が出ており、評価制度の存在が成長力に直結していることがわかります。
また、制度を見直す頻度においても売上高増加率の違いが明確です。見直し頻度 売上高増加率 数年に1度など定期的に見直し 12.8% 過去10年以内に一度見直し 6.4% 10年以上見直していない 0.2%
出典:中小企業庁『2022年版 中小企業白書』
定期的に人事評価制度を見直している企業(売上高増加率12.8%)と、10年以上見直していない企業(0.2%)では、売上の伸びに12ポイント以上の開きがあります。
これは、時流に合わせて評価内容を調整することで、社員がいま求められる行動を明確に意識できるためでしょう。結果として、生産性が上がり、業績にもつながりやすくなると考えられます。人事評価制度の仕組み|等級・評価・報酬の役割とは
この章では、人事評価制度の構成要素である「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の役割と関係性について解説します。これらは単体ではなく、三位一体で設計・運用することで、組織の成長と社員の納得感を両立させる基盤となるものです。等級制度|社員の成長を支える道しるべ
等級制度とは、社員を役割やスキルに応じて階層に分類する仕組みです。「何ができれば次のステージに進めるのか」を明確にすることで、社員は成長の方向性を描きやすくなります。
等級制度には以下の3種類があります。- 職能資格制度:職務を遂行する能力を基準に等級を定める
- 職務等級制度:担当する業務の内容や難易度に応じて等級を決める
- 役割等級制度:期待される役割の大きさや達成度に応じて等級を設定する
たとえば、役割等級制度を採用すれば、組織の目標と個人の役割を連動させやすくなります。求められる成果や期待値が明確になるため、評価にも反映しやすく、処遇に対する納得感が生まれるでしょう。
【関連記事:役割等級制度とは?メリット・デメリットから導入手順まで詳しく解説】評価制度|働きぶりを公平に見える化する
評価制度は、社員の働きぶりを客観的に把握し、公平に判断するための仕組みです。成果だけでなく、日々の姿勢やチームへの貢献も含めて評価されます。
評価のおもな基準は次の3つです。- 業績評価:売上や目標の達成度
例:数値目標の達成、新規顧客の獲得 - 能力評価:スキルや知識の活用度
例:専門知識を活かした課題対応、業務フローの改善 - 情意評価:積極性や周囲への貢献度
例:後輩のサポート、業務改善の提案
これらの評価結果は、等級や昇格、給与といった処遇に反映されます。納得感のある制度とするには、基準の明確さと評価の公平性が欠かせません。報酬制度|努力に応える公平な仕組み
報酬制度とは、評価や等級の結果をもとに、社員の待遇を決定する仕組みです。給与・賞与・退職金といった金銭的な報酬に加え、研修や表彰といった非金銭的な要素も含まれます。
たとえば、評価結果に応じて昇給や等級アップが決まる制度や、スキル向上や貢献を社内で称える取り組みもあります。日々の努力が正しく報われる実感が、モチベーションや定着率の向上につながるでしょう。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】評価手法の種類と選び方
人事評価制度を設計するうえで、どの評価手法を選ぶかは、制度全体の方向性を大きく左右します。
ここでは代表的な4つの評価手法について整理します。目標達成度で評価する成果主義型(MBO・OKR)
成果主義型の評価手法は、設定した目標に対する「達成度」を基準に評価する方法です。代表的なものにMBOとOKRがあります。MBO
MBO(Management by Objectives/目標管理制度)は、個人やチームに明確な目標を設定し、その達成率に基づいて評価を行います。
たとえば「半年で新規顧客を40件獲得する」といったように、数値と期限を具体的に定めるのが特徴です。営業職など、目標の定量化がしやすい業務に適しています。OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、挑戦的な目標(Objective)を掲げ、複数の成果指標(Key Results)で進捗を確認する手法です。
達成率100%ではなく、60〜70%の到達で「成功」と見なす設計が多く、個人やチームの成長を促進したいときに効果的です。プロジェクト型の業務や企画部門などに向いています。能力・コンピテンシーを重視した評価手法
コンピテンシー評価は、成果に結びつく思考や行動の特性に注目する手法です。「顧客志向」「問題解決力」「チームビルディング」など、優秀な人材に共通する行動を可視化して評価に反映します。
たとえば「顧客の期待を超える提案ができたか」といった具体的な行動に着目し、結果だけでなくプロセスも評価します。
この手法は、若手や育成対象の社員にとくに有効です。職能等級制度とも親和性が高く、制度全体の納得感を高める役割も担います。
評価基準の整備には、ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」の活用も効果的です。53項目の行動特性を数値化することで、主観に左右されない一貫性のある評価が実現できます。
【関連記事:コンピテンシー評価とは?項目例や導入方法、メリット・デメリットなどを解説】多面的に評価する仕組み(多面評価・360度評価)
多面評価は、直属の上司だけでなく、同僚・部下・他部門のメンバーなど複数の視点からフィードバックを集める仕組みです。なかでも代表的なのが360度評価で、自己評価とのギャップを明らかにし、行動改善や自己理解の促進を目的としています。
評価結果を処遇に反映せず、教育や育成に特化して活用されるのが一般的です。リーダーシップや対人スキルなど、数値化しにくい力の把握にも適しています。
【関連記事:360度評価は意味がない?メリット・デメリット、導入方法を解説】企業の価値観を軸にした行動評価(バリュー評価)
行動評価(バリュー評価)は、自社の理念や価値観に沿った行動を評価対象とする手法です。たとえば「顧客第一」「挑戦を恐れない」といったバリューを具体的な行動基準に落とし込み、その実践度を評価します。
近年では、OKRなどの成果評価と組み合わせ、成果と行動の両面から評価する企業も増加。組織文化を醸成する目的でも有効であり、とくにスタートアップやベンチャー企業で活用が進んでいます。
導入にあたっては、制度設計の初期段階から評価の意図を明確にし、行動基準を丁寧に定義することが成功のポイントです。人事評価制度の設計から運用・改善までの6フェーズ
人事評価制度を機能させるには、いきなり設計に入るのではなく、段階を踏んで整えていくことが重要です。最初のステップは、自社の課題を明らかにすることから始まります。1.課題を明確にする
制度設計の第一歩は、組織が抱える課題の特定です。問題が不明確なままでは、評価の目的や軸が定まらず、制度が形骸化してしまいます。
たとえば「評価と給与の関係が見えにくい」「評価されても昇進に結びつかない」といった社員の不満や、「優秀な人材の流出」「若手育成の停滞」といった課題が手がかりになるでしょう。
アンケートやヒアリングで現状を可視化し、何を解決すべきかを明確にすることが、制度設計の出発点となります。2.評価項目と基準を設計する
次に評価項目と評価基準を決めます。評価項目は一般的に次の4つに分類されます。- 業績項目:売上や顧客対応数など、数値で示せる結果
- 成果項目:業務の完遂やチーム貢献などの実績
- 能力項目:必要な知識・資格・スキルなど
- 情意項目:主体性や協調性など、仕事への姿勢
3.等級制度・評価制度・報酬制度を連動させ、一貫性を持たせる
人事評価制度は、評価・等級・報酬の三つを連動させて設計・運用することで、納得感のある仕組みとして機能します。評価結果が昇給や昇格にどのように結びつくかが明確になっていれば、社員も制度に信頼を持ちやすくなるでしょう。
たとえば、等級ごとに期待される役割や行動を明文化し、それに基づいて評価項目を設計します。そして、評価結果に応じて昇格・昇給のルールを明示することで、制度同士が一貫した流れでつながります。
「成果を出せば昇格できる」「役割が変われば処遇も変わる」といった因果関係が可視化されていれば、社員の行動と動機づけも自然と連動していくでしょう。4.運用ルールを整える
評価制度を形骸化させないためには、現場で着実に実践される状態をつくることが大切です。目標の立て方からフィードバックまでの一連の運用フローを定め、共有しましょう。運用プロセス 実施内容 目標設定 SMARTやOKR、MBOなどのフレームで、達成度を測れる目標を設ける 進捗確認 期中に1on1を実施し、課題や方向性のズレを早期に修正する 上司評価 事実と行動に基づいて、主観を排した評価を行う フィードバック 面談で評価理由を伝え、今後の成長に向けた対話を行う
こうしたルールを事前に整えておくことで、制度の形骸化を防ぎ、現場で機能する評価サイクルが実現します。5.評価者を育て制度の質を高める
評価者の評価スキル向上は、公平な制度運用の土台となります。研修や実践機会を通じて、評価の質を高めていきましょう。
おもな取り組み例は以下のとおりです。- 評価項目の読み解き方や行動観察の視点を学ぶ
- 面談時の伝え方を研修で身につける
- ロールプレイや事例研究を通じて実践力を養う
- 自己チェックや振り返りで評価の精度を向上させる など
これらを継続的に実施することで、評価のばらつきを抑え、制度の信頼性を高められます。6.試行と改善を繰り返す
制度はつくって終わりではありません。運用と改善を繰り返す努力が大切です。
まずは一部の部署やグレードで試験運用を行い、フィードバックを集めましょう。「評価項目が多すぎる」「処遇ルールがわかりにくい」といった声があれば、柔軟に見直します。
評価制度の効果を測るには、エンゲージメント調査や離職率・昇格率などのデータを使うのも良いでしょう。PDCAを回しながら、制度をアップデートしていくことが、持続的な組織づくりにつながります。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】人事評価制度をうまく運用するためのポイント
評価制度を機能させるには、導入後の「運用」が要となります。ここでは制度を形骸化させず、現場で活かしていくための工夫や見直しのポイントを整理します。業績好調期に導入して好発進させる
人事評価制度は、業績が好調なタイミングで導入するとスムーズに軌道に乗りやすくなります。利益に余裕がある時期であれば、評価結果に応じた昇給や賞与といった「目に見える形の還元」がしやすくなるためです。
一方で、業績が落ち込んでいる時期に導入して、昇給や賞与を出せないと「頑張っても昇給できない制度」と受け止められ、制度そのものへの不信感につながるかもしれません。
導入のスタートを成功させるには、制度そのものの設計だけでなく、「いつ導入するか」のタイミングも重要な視点となります。評価のゆがみを防ぐバイアス対策と公正性を担保する
人事評価において公平性を保つには、評価者の主観によるゆがみを防ぐ仕組みが欠かせません。人が人を評価する以上、無意識のバイアスによって結果が歪むリスクは常にあります。
まずは、評価者自身が自らの考え方の偏りに気づくことが重要です。ミイダスの「バイアス診断ゲーム」のようなツールを使えば、自身の思考傾向を体感的に理解できます。
加えて、公正性を高める手法として「育成会議」を実施するのも有効です。これは、複数の評価者が集まり、評価のズレをすり合わせる場です。評価のばらつきを項目ごとに確認し、共通認識のもとで最終評価を定めます。
制度が整っていても、公正に運用されなければ信頼は得られません。バイアス対策と評価調整の仕組みを組み込み、継続的に見直すことが、公平な制度づくりのカギとなります。
参考:山元浩二(著)『 改訂版 小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい! 』Kindle版 位置1340ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
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自社に合った制度づくりで成長サイクルを回そう
本記事では、人事評価制度の基本的な仕組みから、設計・運用のステップ、評価手法の選び方までを整理しました。評価制度は、社員の成長やモチベーションを高め、会社の生産性や定着率にもつながる重要な仕組みです。
制度をうまく運用するためには、社員に評価の基準をわかりやすく伝えること、そして評価を行う上司や管理職のスキルを育てていくことが欠かせません。また、現場の声をもとに柔軟に見直しを重ねることも、制度を長く使ううえで大切なポイントです。
社員の納得感を高めることで、働きがいのある職場づくりにつながるでしょう。
ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」を使えば、自社で活躍する人材の行動特性を可視化でき、評価基準や育成方針の明確化に役立ちます。曖昧になりがちな評価軸を客観的な指標に落とし込めるため、納得度の高い制度設計につなげやすくなるでしょう。
制度の見直しや設計の出発点として、ぜひご活用ください。
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評価基準が明確で公平に運用されていれば、社員の納得感が高まり、日々の働き方にも良い影響を与えます。人事評価制度は、個々の成長を促し、企業全体の成長を支える基盤となるでしょう。
一方、人事評価制度は考課に加え、人材育成や人員配置といった広い視点で人材マネジメントを行う枠組みを指します。
両者の違いを整理すると、以下のようになります。
項目 | 人事考課 | 人事評価制度 |
---|---|---|
評価の目的 | 処遇の決定 | 処遇+育成・配置 |
評価の範囲 | 業績・能力・態度 | 育成視点も含む |
制度の役割 | 評価の一部 | 人事マネジメントの中心 |

この章では人事評価制度の導入状況を確認するとともに、導入の必要性を、データを交えて解説します。
人事評価制度は企業規模が大きくなるほど導入が進んでいる
人事評価制度は、企業の規模が大きくなるほど導入が進んでいます。これは組織が拡大するにつれて、評価の基準や処遇の透明性がより強く求められるためでしょう。
実際に、企業規模によって導入率には明確な差があります。
実際に、企業規模によって導入率には明確な差があります。
従業員規模 | 評価制度「あり」の割合 |
---|---|
5~20人 | 35.0% |
21~50人 | 57.2% |
51~100人 | 72.5% |
101人以上 | 87.2% |
出典:2022年版 中小企業白書|中小企業庁
人が増えるほど、感覚や属人的な評価では対応しきれなくなるものです。担当者ごとの基準では全体のバランスが取れず、不公平感や納得感の欠如を招きやすいのが現実です。
あらかじめ評価基準を定め、誰もが納得できる運用にすることで、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
人が増えるほど、感覚や属人的な評価では対応しきれなくなるものです。担当者ごとの基準では全体のバランスが取れず、不公平感や納得感の欠如を招きやすいのが現実です。
あらかじめ評価基準を定め、誰もが納得できる運用にすることで、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
なぜ人事評価制度が必要か ― 売上に表れる明確な効果
人事評価制度の有無は、売上成長にも大きく影響します。下表は、従業員数別に見た売上高の増加率です。
従業員数 | 評価制度「あり」 | 評価制度「なし」 |
---|---|---|
5~20人 | 6.6% | 2.6% |
21~50人 | 7.9% | 3.9% |
51~100人 | 7.7% | 5.9% |
101人以上 | 10.4% | 0.6% |
出典:中小企業庁『2022年版 中小企業白書』
たとえば、101人以上の企業では評価制度の有無で約10ポイントの差が出ており、評価制度の存在が成長力に直結していることがわかります。
また、制度を見直す頻度においても売上高増加率の違いが明確です。
たとえば、101人以上の企業では評価制度の有無で約10ポイントの差が出ており、評価制度の存在が成長力に直結していることがわかります。
また、制度を見直す頻度においても売上高増加率の違いが明確です。
見直し頻度 | 売上高増加率 |
---|---|
数年に1度など定期的に見直し | 12.8% |
過去10年以内に一度見直し | 6.4% |
10年以上見直していない | 0.2% |
出典:中小企業庁『2022年版 中小企業白書』
定期的に人事評価制度を見直している企業(売上高増加率12.8%)と、10年以上見直していない企業(0.2%)では、売上の伸びに12ポイント以上の開きがあります。
これは、時流に合わせて評価内容を調整することで、社員がいま求められる行動を明確に意識できるためでしょう。結果として、生産性が上がり、業績にもつながりやすくなると考えられます。
定期的に人事評価制度を見直している企業(売上高増加率12.8%)と、10年以上見直していない企業(0.2%)では、売上の伸びに12ポイント以上の開きがあります。
これは、時流に合わせて評価内容を調整することで、社員がいま求められる行動を明確に意識できるためでしょう。結果として、生産性が上がり、業績にもつながりやすくなると考えられます。
人事評価制度の仕組み|等級・評価・報酬の役割とは
この章では、人事評価制度の構成要素である「等級制度」「評価制度」「報酬制度」の役割と関係性について解説します。これらは単体ではなく、三位一体で設計・運用することで、組織の成長と社員の納得感を両立させる基盤となるものです。等級制度|社員の成長を支える道しるべ
等級制度とは、社員を役割やスキルに応じて階層に分類する仕組みです。「何ができれば次のステージに進めるのか」を明確にすることで、社員は成長の方向性を描きやすくなります。
等級制度には以下の3種類があります。- 職能資格制度:職務を遂行する能力を基準に等級を定める
- 職務等級制度:担当する業務の内容や難易度に応じて等級を決める
- 役割等級制度:期待される役割の大きさや達成度に応じて等級を設定する
たとえば、役割等級制度を採用すれば、組織の目標と個人の役割を連動させやすくなります。求められる成果や期待値が明確になるため、評価にも反映しやすく、処遇に対する納得感が生まれるでしょう。
【関連記事:役割等級制度とは?メリット・デメリットから導入手順まで詳しく解説】評価制度|働きぶりを公平に見える化する
評価制度は、社員の働きぶりを客観的に把握し、公平に判断するための仕組みです。成果だけでなく、日々の姿勢やチームへの貢献も含めて評価されます。
評価のおもな基準は次の3つです。- 業績評価:売上や目標の達成度
例:数値目標の達成、新規顧客の獲得 - 能力評価:スキルや知識の活用度
例:専門知識を活かした課題対応、業務フローの改善 - 情意評価:積極性や周囲への貢献度
例:後輩のサポート、業務改善の提案
これらの評価結果は、等級や昇格、給与といった処遇に反映されます。納得感のある制度とするには、基準の明確さと評価の公平性が欠かせません。報酬制度|努力に応える公平な仕組み
報酬制度とは、評価や等級の結果をもとに、社員の待遇を決定する仕組みです。給与・賞与・退職金といった金銭的な報酬に加え、研修や表彰といった非金銭的な要素も含まれます。
たとえば、評価結果に応じて昇給や等級アップが決まる制度や、スキル向上や貢献を社内で称える取り組みもあります。日々の努力が正しく報われる実感が、モチベーションや定着率の向上につながるでしょう。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】評価手法の種類と選び方
人事評価制度を設計するうえで、どの評価手法を選ぶかは、制度全体の方向性を大きく左右します。
ここでは代表的な4つの評価手法について整理します。目標達成度で評価する成果主義型(MBO・OKR)
成果主義型の評価手法は、設定した目標に対する「達成度」を基準に評価する方法です。代表的なものにMBOとOKRがあります。MBO
MBO(Management by Objectives/目標管理制度)は、個人やチームに明確な目標を設定し、その達成率に基づいて評価を行います。
たとえば「半年で新規顧客を40件獲得する」といったように、数値と期限を具体的に定めるのが特徴です。営業職など、目標の定量化がしやすい業務に適しています。OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、挑戦的な目標(Objective)を掲げ、複数の成果指標(Key Results)で進捗を確認する手法です。
達成率100%ではなく、60〜70%の到達で「成功」と見なす設計が多く、個人やチームの成長を促進したいときに効果的です。プロジェクト型の業務や企画部門などに向いています。能力・コンピテンシーを重視した評価手法
コンピテンシー評価は、成果に結びつく思考や行動の特性に注目する手法です。「顧客志向」「問題解決力」「チームビルディング」など、優秀な人材に共通する行動を可視化して評価に反映します。
たとえば「顧客の期待を超える提案ができたか」といった具体的な行動に着目し、結果だけでなくプロセスも評価します。
この手法は、若手や育成対象の社員にとくに有効です。職能等級制度とも親和性が高く、制度全体の納得感を高める役割も担います。
評価基準の整備には、ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」の活用も効果的です。53項目の行動特性を数値化することで、主観に左右されない一貫性のある評価が実現できます。
【関連記事:コンピテンシー評価とは?項目例や導入方法、メリット・デメリットなどを解説】多面的に評価する仕組み(多面評価・360度評価)
多面評価は、直属の上司だけでなく、同僚・部下・他部門のメンバーなど複数の視点からフィードバックを集める仕組みです。なかでも代表的なのが360度評価で、自己評価とのギャップを明らかにし、行動改善や自己理解の促進を目的としています。
評価結果を処遇に反映せず、教育や育成に特化して活用されるのが一般的です。リーダーシップや対人スキルなど、数値化しにくい力の把握にも適しています。
【関連記事:360度評価は意味がない?メリット・デメリット、導入方法を解説】企業の価値観を軸にした行動評価(バリュー評価)
行動評価(バリュー評価)は、自社の理念や価値観に沿った行動を評価対象とする手法です。たとえば「顧客第一」「挑戦を恐れない」といったバリューを具体的な行動基準に落とし込み、その実践度を評価します。
近年では、OKRなどの成果評価と組み合わせ、成果と行動の両面から評価する企業も増加。組織文化を醸成する目的でも有効であり、とくにスタートアップやベンチャー企業で活用が進んでいます。
導入にあたっては、制度設計の初期段階から評価の意図を明確にし、行動基準を丁寧に定義することが成功のポイントです。人事評価制度の設計から運用・改善までの6フェーズ
人事評価制度を機能させるには、いきなり設計に入るのではなく、段階を踏んで整えていくことが重要です。最初のステップは、自社の課題を明らかにすることから始まります。1.課題を明確にする
制度設計の第一歩は、組織が抱える課題の特定です。問題が不明確なままでは、評価の目的や軸が定まらず、制度が形骸化してしまいます。
たとえば「評価と給与の関係が見えにくい」「評価されても昇進に結びつかない」といった社員の不満や、「優秀な人材の流出」「若手育成の停滞」といった課題が手がかりになるでしょう。
アンケートやヒアリングで現状を可視化し、何を解決すべきかを明確にすることが、制度設計の出発点となります。2.評価項目と基準を設計する
次に評価項目と評価基準を決めます。評価項目は一般的に次の4つに分類されます。- 業績項目:売上や顧客対応数など、数値で示せる結果
- 成果項目:業務の完遂やチーム貢献などの実績
- 能力項目:必要な知識・資格・スキルなど
- 情意項目:主体性や協調性など、仕事への姿勢
3.等級制度・評価制度・報酬制度を連動させ、一貫性を持たせる
人事評価制度は、評価・等級・報酬の三つを連動させて設計・運用することで、納得感のある仕組みとして機能します。評価結果が昇給や昇格にどのように結びつくかが明確になっていれば、社員も制度に信頼を持ちやすくなるでしょう。
たとえば、等級ごとに期待される役割や行動を明文化し、それに基づいて評価項目を設計します。そして、評価結果に応じて昇格・昇給のルールを明示することで、制度同士が一貫した流れでつながります。
「成果を出せば昇格できる」「役割が変われば処遇も変わる」といった因果関係が可視化されていれば、社員の行動と動機づけも自然と連動していくでしょう。4.運用ルールを整える
評価制度を形骸化させないためには、現場で着実に実践される状態をつくることが大切です。目標の立て方からフィードバックまでの一連の運用フローを定め、共有しましょう。運用プロセス 実施内容 目標設定 SMARTやOKR、MBOなどのフレームで、達成度を測れる目標を設ける 進捗確認 期中に1on1を実施し、課題や方向性のズレを早期に修正する 上司評価 事実と行動に基づいて、主観を排した評価を行う フィードバック 面談で評価理由を伝え、今後の成長に向けた対話を行う
こうしたルールを事前に整えておくことで、制度の形骸化を防ぎ、現場で機能する評価サイクルが実現します。5.評価者を育て制度の質を高める
評価者の評価スキル向上は、公平な制度運用の土台となります。研修や実践機会を通じて、評価の質を高めていきましょう。
おもな取り組み例は以下のとおりです。- 評価項目の読み解き方や行動観察の視点を学ぶ
- 面談時の伝え方を研修で身につける
- ロールプレイや事例研究を通じて実践力を養う
- 自己チェックや振り返りで評価の精度を向上させる など
これらを継続的に実施することで、評価のばらつきを抑え、制度の信頼性を高められます。6.試行と改善を繰り返す
制度はつくって終わりではありません。運用と改善を繰り返す努力が大切です。
まずは一部の部署やグレードで試験運用を行い、フィードバックを集めましょう。「評価項目が多すぎる」「処遇ルールがわかりにくい」といった声があれば、柔軟に見直します。
評価制度の効果を測るには、エンゲージメント調査や離職率・昇格率などのデータを使うのも良いでしょう。PDCAを回しながら、制度をアップデートしていくことが、持続的な組織づくりにつながります。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】人事評価制度をうまく運用するためのポイント
評価制度を機能させるには、導入後の「運用」が要となります。ここでは制度を形骸化させず、現場で活かしていくための工夫や見直しのポイントを整理します。業績好調期に導入して好発進させる
人事評価制度は、業績が好調なタイミングで導入するとスムーズに軌道に乗りやすくなります。利益に余裕がある時期であれば、評価結果に応じた昇給や賞与といった「目に見える形の還元」がしやすくなるためです。
一方で、業績が落ち込んでいる時期に導入して、昇給や賞与を出せないと「頑張っても昇給できない制度」と受け止められ、制度そのものへの不信感につながるかもしれません。
導入のスタートを成功させるには、制度そのものの設計だけでなく、「いつ導入するか」のタイミングも重要な視点となります。評価のゆがみを防ぐバイアス対策と公正性を担保する
人事評価において公平性を保つには、評価者の主観によるゆがみを防ぐ仕組みが欠かせません。人が人を評価する以上、無意識のバイアスによって結果が歪むリスクは常にあります。
まずは、評価者自身が自らの考え方の偏りに気づくことが重要です。ミイダスの「バイアス診断ゲーム」のようなツールを使えば、自身の思考傾向を体感的に理解できます。
加えて、公正性を高める手法として「育成会議」を実施するのも有効です。これは、複数の評価者が集まり、評価のズレをすり合わせる場です。評価のばらつきを項目ごとに確認し、共通認識のもとで最終評価を定めます。
制度が整っていても、公正に運用されなければ信頼は得られません。バイアス対策と評価調整の仕組みを組み込み、継続的に見直すことが、公平な制度づくりのカギとなります。
参考:山元浩二(著)『 改訂版 小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい! 』Kindle版 位置1340ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
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自社に合った制度づくりで成長サイクルを回そう
本記事では、人事評価制度の基本的な仕組みから、設計・運用のステップ、評価手法の選び方までを整理しました。評価制度は、社員の成長やモチベーションを高め、会社の生産性や定着率にもつながる重要な仕組みです。
制度をうまく運用するためには、社員に評価の基準をわかりやすく伝えること、そして評価を行う上司や管理職のスキルを育てていくことが欠かせません。また、現場の声をもとに柔軟に見直しを重ねることも、制度を長く使ううえで大切なポイントです。
社員の納得感を高めることで、働きがいのある職場づくりにつながるでしょう。
ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」を使えば、自社で活躍する人材の行動特性を可視化でき、評価基準や育成方針の明確化に役立ちます。曖昧になりがちな評価軸を客観的な指標に落とし込めるため、納得度の高い制度設計につなげやすくなるでしょう。
制度の見直しや設計の出発点として、ぜひご活用ください。
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等級制度には以下の3種類があります。
【関連記事:役割等級制度とは?メリット・デメリットから導入手順まで詳しく解説】
評価のおもな基準は次の3つです。
例:数値目標の達成、新規顧客の獲得
例:専門知識を活かした課題対応、業務フローの改善
例:後輩のサポート、業務改善の提案
たとえば、評価結果に応じて昇給や等級アップが決まる制度や、スキル向上や貢献を社内で称える取り組みもあります。日々の努力が正しく報われる実感が、モチベーションや定着率の向上につながるでしょう。
【関連記事:賞与(ボーナス)とは?仕組みや種類、よくある支給額の決め方を解説】

人事評価制度を設計するうえで、どの評価手法を選ぶかは、制度全体の方向性を大きく左右します。
ここでは代表的な4つの評価手法について整理します。
ここでは代表的な4つの評価手法について整理します。
目標達成度で評価する成果主義型(MBO・OKR)
成果主義型の評価手法は、設定した目標に対する「達成度」を基準に評価する方法です。代表的なものにMBOとOKRがあります。
MBO
MBO(Management by Objectives/目標管理制度)は、個人やチームに明確な目標を設定し、その達成率に基づいて評価を行います。
たとえば「半年で新規顧客を40件獲得する」といったように、数値と期限を具体的に定めるのが特徴です。営業職など、目標の定量化がしやすい業務に適しています。
たとえば「半年で新規顧客を40件獲得する」といったように、数値と期限を具体的に定めるのが特徴です。営業職など、目標の定量化がしやすい業務に適しています。
OKR
OKR(Objectives and Key Results)は、挑戦的な目標(Objective)を掲げ、複数の成果指標(Key Results)で進捗を確認する手法です。
達成率100%ではなく、60〜70%の到達で「成功」と見なす設計が多く、個人やチームの成長を促進したいときに効果的です。プロジェクト型の業務や企画部門などに向いています。
達成率100%ではなく、60〜70%の到達で「成功」と見なす設計が多く、個人やチームの成長を促進したいときに効果的です。プロジェクト型の業務や企画部門などに向いています。
能力・コンピテンシーを重視した評価手法
コンピテンシー評価は、成果に結びつく思考や行動の特性に注目する手法です。「顧客志向」「問題解決力」「チームビルディング」など、優秀な人材に共通する行動を可視化して評価に反映します。
たとえば「顧客の期待を超える提案ができたか」といった具体的な行動に着目し、結果だけでなくプロセスも評価します。
この手法は、若手や育成対象の社員にとくに有効です。職能等級制度とも親和性が高く、制度全体の納得感を高める役割も担います。
評価基準の整備には、ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」の活用も効果的です。53項目の行動特性を数値化することで、主観に左右されない一貫性のある評価が実現できます。
【関連記事:コンピテンシー評価とは?項目例や導入方法、メリット・デメリットなどを解説】
たとえば「顧客の期待を超える提案ができたか」といった具体的な行動に着目し、結果だけでなくプロセスも評価します。
この手法は、若手や育成対象の社員にとくに有効です。職能等級制度とも親和性が高く、制度全体の納得感を高める役割も担います。
評価基準の整備には、ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」の活用も効果的です。53項目の行動特性を数値化することで、主観に左右されない一貫性のある評価が実現できます。
【関連記事:コンピテンシー評価とは?項目例や導入方法、メリット・デメリットなどを解説】
多面的に評価する仕組み(多面評価・360度評価)
多面評価は、直属の上司だけでなく、同僚・部下・他部門のメンバーなど複数の視点からフィードバックを集める仕組みです。なかでも代表的なのが360度評価で、自己評価とのギャップを明らかにし、行動改善や自己理解の促進を目的としています。
評価結果を処遇に反映せず、教育や育成に特化して活用されるのが一般的です。リーダーシップや対人スキルなど、数値化しにくい力の把握にも適しています。
【関連記事:360度評価は意味がない?メリット・デメリット、導入方法を解説】
評価結果を処遇に反映せず、教育や育成に特化して活用されるのが一般的です。リーダーシップや対人スキルなど、数値化しにくい力の把握にも適しています。
【関連記事:360度評価は意味がない?メリット・デメリット、導入方法を解説】
企業の価値観を軸にした行動評価(バリュー評価)
行動評価(バリュー評価)は、自社の理念や価値観に沿った行動を評価対象とする手法です。たとえば「顧客第一」「挑戦を恐れない」といったバリューを具体的な行動基準に落とし込み、その実践度を評価します。
近年では、OKRなどの成果評価と組み合わせ、成果と行動の両面から評価する企業も増加。組織文化を醸成する目的でも有効であり、とくにスタートアップやベンチャー企業で活用が進んでいます。
導入にあたっては、制度設計の初期段階から評価の意図を明確にし、行動基準を丁寧に定義することが成功のポイントです。
近年では、OKRなどの成果評価と組み合わせ、成果と行動の両面から評価する企業も増加。組織文化を醸成する目的でも有効であり、とくにスタートアップやベンチャー企業で活用が進んでいます。
導入にあたっては、制度設計の初期段階から評価の意図を明確にし、行動基準を丁寧に定義することが成功のポイントです。
人事評価制度の設計から運用・改善までの6フェーズ
人事評価制度を機能させるには、いきなり設計に入るのではなく、段階を踏んで整えていくことが重要です。最初のステップは、自社の課題を明らかにすることから始まります。1.課題を明確にする
制度設計の第一歩は、組織が抱える課題の特定です。問題が不明確なままでは、評価の目的や軸が定まらず、制度が形骸化してしまいます。
たとえば「評価と給与の関係が見えにくい」「評価されても昇進に結びつかない」といった社員の不満や、「優秀な人材の流出」「若手育成の停滞」といった課題が手がかりになるでしょう。
アンケートやヒアリングで現状を可視化し、何を解決すべきかを明確にすることが、制度設計の出発点となります。2.評価項目と基準を設計する
次に評価項目と評価基準を決めます。評価項目は一般的に次の4つに分類されます。- 業績項目:売上や顧客対応数など、数値で示せる結果
- 成果項目:業務の完遂やチーム貢献などの実績
- 能力項目:必要な知識・資格・スキルなど
- 情意項目:主体性や協調性など、仕事への姿勢
3.等級制度・評価制度・報酬制度を連動させ、一貫性を持たせる
人事評価制度は、評価・等級・報酬の三つを連動させて設計・運用することで、納得感のある仕組みとして機能します。評価結果が昇給や昇格にどのように結びつくかが明確になっていれば、社員も制度に信頼を持ちやすくなるでしょう。
たとえば、等級ごとに期待される役割や行動を明文化し、それに基づいて評価項目を設計します。そして、評価結果に応じて昇格・昇給のルールを明示することで、制度同士が一貫した流れでつながります。
「成果を出せば昇格できる」「役割が変われば処遇も変わる」といった因果関係が可視化されていれば、社員の行動と動機づけも自然と連動していくでしょう。4.運用ルールを整える
評価制度を形骸化させないためには、現場で着実に実践される状態をつくることが大切です。目標の立て方からフィードバックまでの一連の運用フローを定め、共有しましょう。運用プロセス 実施内容 目標設定 SMARTやOKR、MBOなどのフレームで、達成度を測れる目標を設ける 進捗確認 期中に1on1を実施し、課題や方向性のズレを早期に修正する 上司評価 事実と行動に基づいて、主観を排した評価を行う フィードバック 面談で評価理由を伝え、今後の成長に向けた対話を行う
こうしたルールを事前に整えておくことで、制度の形骸化を防ぎ、現場で機能する評価サイクルが実現します。5.評価者を育て制度の質を高める
評価者の評価スキル向上は、公平な制度運用の土台となります。研修や実践機会を通じて、評価の質を高めていきましょう。
おもな取り組み例は以下のとおりです。- 評価項目の読み解き方や行動観察の視点を学ぶ
- 面談時の伝え方を研修で身につける
- ロールプレイや事例研究を通じて実践力を養う
- 自己チェックや振り返りで評価の精度を向上させる など
これらを継続的に実施することで、評価のばらつきを抑え、制度の信頼性を高められます。6.試行と改善を繰り返す
制度はつくって終わりではありません。運用と改善を繰り返す努力が大切です。
まずは一部の部署やグレードで試験運用を行い、フィードバックを集めましょう。「評価項目が多すぎる」「処遇ルールがわかりにくい」といった声があれば、柔軟に見直します。
評価制度の効果を測るには、エンゲージメント調査や離職率・昇格率などのデータを使うのも良いでしょう。PDCAを回しながら、制度をアップデートしていくことが、持続的な組織づくりにつながります。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】人事評価制度をうまく運用するためのポイント
評価制度を機能させるには、導入後の「運用」が要となります。ここでは制度を形骸化させず、現場で活かしていくための工夫や見直しのポイントを整理します。業績好調期に導入して好発進させる
人事評価制度は、業績が好調なタイミングで導入するとスムーズに軌道に乗りやすくなります。利益に余裕がある時期であれば、評価結果に応じた昇給や賞与といった「目に見える形の還元」がしやすくなるためです。
一方で、業績が落ち込んでいる時期に導入して、昇給や賞与を出せないと「頑張っても昇給できない制度」と受け止められ、制度そのものへの不信感につながるかもしれません。
導入のスタートを成功させるには、制度そのものの設計だけでなく、「いつ導入するか」のタイミングも重要な視点となります。評価のゆがみを防ぐバイアス対策と公正性を担保する
人事評価において公平性を保つには、評価者の主観によるゆがみを防ぐ仕組みが欠かせません。人が人を評価する以上、無意識のバイアスによって結果が歪むリスクは常にあります。
まずは、評価者自身が自らの考え方の偏りに気づくことが重要です。ミイダスの「バイアス診断ゲーム」のようなツールを使えば、自身の思考傾向を体感的に理解できます。
加えて、公正性を高める手法として「育成会議」を実施するのも有効です。これは、複数の評価者が集まり、評価のズレをすり合わせる場です。評価のばらつきを項目ごとに確認し、共通認識のもとで最終評価を定めます。
制度が整っていても、公正に運用されなければ信頼は得られません。バイアス対策と評価調整の仕組みを組み込み、継続的に見直すことが、公平な制度づくりのカギとなります。
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自社に合った制度づくりで成長サイクルを回そう
本記事では、人事評価制度の基本的な仕組みから、設計・運用のステップ、評価手法の選び方までを整理しました。評価制度は、社員の成長やモチベーションを高め、会社の生産性や定着率にもつながる重要な仕組みです。
制度をうまく運用するためには、社員に評価の基準をわかりやすく伝えること、そして評価を行う上司や管理職のスキルを育てていくことが欠かせません。また、現場の声をもとに柔軟に見直しを重ねることも、制度を長く使ううえで大切なポイントです。
社員の納得感を高めることで、働きがいのある職場づくりにつながるでしょう。
ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」を使えば、自社で活躍する人材の行動特性を可視化でき、評価基準や育成方針の明確化に役立ちます。曖昧になりがちな評価軸を客観的な指標に落とし込めるため、納得度の高い制度設計につなげやすくなるでしょう。
制度の見直しや設計の出発点として、ぜひご活用ください。
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たとえば「評価と給与の関係が見えにくい」「評価されても昇進に結びつかない」といった社員の不満や、「優秀な人材の流出」「若手育成の停滞」といった課題が手がかりになるでしょう。
アンケートやヒアリングで現状を可視化し、何を解決すべきかを明確にすることが、制度設計の出発点となります。
たとえば、等級ごとに期待される役割や行動を明文化し、それに基づいて評価項目を設計します。そして、評価結果に応じて昇格・昇給のルールを明示することで、制度同士が一貫した流れでつながります。
「成果を出せば昇格できる」「役割が変われば処遇も変わる」といった因果関係が可視化されていれば、社員の行動と動機づけも自然と連動していくでしょう。
運用プロセス | 実施内容 |
---|---|
目標設定 | SMARTやOKR、MBOなどのフレームで、達成度を測れる目標を設ける |
進捗確認 | 期中に1on1を実施し、課題や方向性のズレを早期に修正する |
上司評価 | 事実と行動に基づいて、主観を排した評価を行う |
フィードバック | 面談で評価理由を伝え、今後の成長に向けた対話を行う |
おもな取り組み例は以下のとおりです。
まずは一部の部署やグレードで試験運用を行い、フィードバックを集めましょう。「評価項目が多すぎる」「処遇ルールがわかりにくい」といった声があれば、柔軟に見直します。
評価制度の効果を測るには、エンゲージメント調査や離職率・昇格率などのデータを使うのも良いでしょう。PDCAを回しながら、制度をアップデートしていくことが、持続的な組織づくりにつながります。
【関連記事:PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】

評価制度を機能させるには、導入後の「運用」が要となります。ここでは制度を形骸化させず、現場で活かしていくための工夫や見直しのポイントを整理します。
業績好調期に導入して好発進させる
人事評価制度は、業績が好調なタイミングで導入するとスムーズに軌道に乗りやすくなります。利益に余裕がある時期であれば、評価結果に応じた昇給や賞与といった「目に見える形の還元」がしやすくなるためです。
一方で、業績が落ち込んでいる時期に導入して、昇給や賞与を出せないと「頑張っても昇給できない制度」と受け止められ、制度そのものへの不信感につながるかもしれません。
導入のスタートを成功させるには、制度そのものの設計だけでなく、「いつ導入するか」のタイミングも重要な視点となります。
一方で、業績が落ち込んでいる時期に導入して、昇給や賞与を出せないと「頑張っても昇給できない制度」と受け止められ、制度そのものへの不信感につながるかもしれません。
導入のスタートを成功させるには、制度そのものの設計だけでなく、「いつ導入するか」のタイミングも重要な視点となります。
評価のゆがみを防ぐバイアス対策と公正性を担保する
人事評価において公平性を保つには、評価者の主観によるゆがみを防ぐ仕組みが欠かせません。人が人を評価する以上、無意識のバイアスによって結果が歪むリスクは常にあります。
まずは、評価者自身が自らの考え方の偏りに気づくことが重要です。ミイダスの「バイアス診断ゲーム」のようなツールを使えば、自身の思考傾向を体感的に理解できます。
加えて、公正性を高める手法として「育成会議」を実施するのも有効です。これは、複数の評価者が集まり、評価のズレをすり合わせる場です。評価のばらつきを項目ごとに確認し、共通認識のもとで最終評価を定めます。
制度が整っていても、公正に運用されなければ信頼は得られません。バイアス対策と評価調整の仕組みを組み込み、継続的に見直すことが、公平な制度づくりのカギとなります。
参考:山元浩二(著)『 改訂版 小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい! 』Kindle版 位置1340
まずは、評価者自身が自らの考え方の偏りに気づくことが重要です。ミイダスの「バイアス診断ゲーム」のようなツールを使えば、自身の思考傾向を体感的に理解できます。
加えて、公正性を高める手法として「育成会議」を実施するのも有効です。これは、複数の評価者が集まり、評価のズレをすり合わせる場です。評価のばらつきを項目ごとに確認し、共通認識のもとで最終評価を定めます。
制度が整っていても、公正に運用されなければ信頼は得られません。バイアス対策と評価調整の仕組みを組み込み、継続的に見直すことが、公平な制度づくりのカギとなります。
参考:山元浩二(著)『 改訂版 小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい! 』Kindle版 位置1340
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自社に合った制度づくりで成長サイクルを回そう
本記事では、人事評価制度の基本的な仕組みから、設計・運用のステップ、評価手法の選び方までを整理しました。評価制度は、社員の成長やモチベーションを高め、会社の生産性や定着率にもつながる重要な仕組みです。
制度をうまく運用するためには、社員に評価の基準をわかりやすく伝えること、そして評価を行う上司や管理職のスキルを育てていくことが欠かせません。また、現場の声をもとに柔軟に見直しを重ねることも、制度を長く使ううえで大切なポイントです。
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制度の見直しや設計の出発点として、ぜひご活用ください。
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