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キャリアアンカーとは?8つのタイプと診断方法、診断結果の活かし方

キャリアアンカーとは、個人がキャリア形成において大切にしている価値観や、働くうえでの軸のことです。一般的に社会人5年目〜30歳前後で形成され、一度できあがったキャリアアンカーはライフイベントを経ても大きく変わることはないと言われています。

本記事では、キャリアアンカーの概要や8つのタイプ(類型)、キャリアアンカーを形成する3要素について解説します。企業におけるキャリアアンカーの活用方法についても解説しますので、ぜひご一読ください。

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キャリアアンカーとは

空に向かって手を挙げる男性
キャリアアンカーとは、社会人が自分のキャリアを考えるうえで大切にしている価値観や基本指針、働き方の軸のことです。キャリアアンカーの「アンカー」は船の錨(いかり)を意味し、自分のキャリアを考えるときの拠り所といった意味合いを持ちます。

キャリアアンカーは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の組織心理学者エドガー・H・シャイン教授が提唱した概念です。シャイン教授の研究によると、キャリアアンカーは8つの類型(タイプ)にわけられます(次項で解説)。

また、キャリアアンカーは社会人として経験を積み重ねることで次第に形成され、キャリアアンカーが確立されるのはおおよそ社会人5年目以降、30歳前後と言われます。よって、社会人経験の浅い20代の若手社員や学生が自身のキャリアアンカーを調べても、あまり意味がありません。

その一方、一度形成されたキャリアアンカーは大きく変化しにくく、その人のキャリアにおける意思決定に長く影響を及ぼすとされています。

キャリアアンカーの8つのタイプと職種例

色の違う8枚の羽
キャリアアンカーの8タイプについて紹介します。
  • 1. 専門・職能別能力タイプ
  • 2. 全般管理能力タイプ
  • 3. 自律・独立タイプ
  • 4. 保障・安定タイプ
  • 5. 起業家的創造性タイプ
  • 6. 奉仕・社会貢献タイプ
  • 7. 純粋な挑戦タイプ
  • 8. ライフスタイルタイプ
なお、キャリアアンカーはあくまで働くうえでの個人の価値観であり、各タイプに優劣はありません。また、明確に1つのタイプに当てはまらず、「全般管理能力タイプの傾向が強いが、保障・安定タイプの傾向もある」といったように複数のタイプが混ざり合っている人もいます。

1. 専門・職能別能力タイプ

専門・職能別能力タイプは、特定の分野のスペシャリストを目指して専門性を高めることに価値を見出すタイプです。いわゆる職人気質と言えるでしょう。エンジニアや技術職、研究者のほか、医師や弁護士などの士業に適性があります。
  • 専門性や技術力を活かせる仕事にやりがいを感じる
  • 昇進よりも現場で活躍し続けることを好む
  • 知識とスキルを積み重ねて課題解決を図る能力が高い
  • 専門外の仕事や人をまとめる仕事を任せられるとモチベーションが下がる

2. 全般管理能力タイプ

全般管理能力タイプは、組織を率いることに価値を見出すタイプです。経営者や管理職、プロジェクトマネージャーといった人を動かす立場に適性があります。
  • チームを率いて戦略的に動くことにやりがいを感じる
  • 出世欲が強く、ゼネラリストを目指せる環境を好む
  • リーダーシップや人脈作りに優れている
  • リーダー役になれない状況が続くとモチベーションが下がる

3. 自律・独立タイプ

自律・独立タイプは、自分のスタイルで仕事を進めることに魅力を感じるタイプです。フリーランスや自営業、コンサルタントのような職種に向いています。
  • 自分で物事を判断して意思決定できる仕事にやりがいを感じる
  • 自分のスタイルと裁量で動ける状況を好む
  • 柔軟な思考やアイデアで課題を解決する力がある
  • 組織の規則に縛られた環境ではモチベーションが下がる

4. 保障・安定タイプ

保障・安定タイプは、働くうえでの安定性や継続性を重視するタイプです。公務員や大手企業の正社員、教師などの職種に向いています。
  • 社会的・経済的に長期で安定した仕事にやりがいを感じる
  • 将来を見通せる状況で安全に働くことを好む
  • 堅実でリスク管理能力が高い
  • 異動や転勤などの環境変化には強いストレスを感じる

5. 起業家的創造性タイプ

起業家的創造性タイプは、まだ世の中にはない新商品や新サービスを創造することに価値を見出すタイプです。起業家や新規事業開発者、クリエイティブディレクターといった職種に適性があります。
  • 新規事業の立ち上げや新製品の開発に関われる仕事にやりがいを感じる
  • 変化の激しい刺激的な仕事環境を好む
  • リスクを恐れずクリエイティブな挑戦ができる
  • 既存の枠組みにより創造性が制限されるとモチベーションが下がる

6. 奉仕・社会貢献タイプ

奉仕・社会貢献タイプは、仕事を通じて社会を良くすることに価値を見出すタイプです。NPO職員、社会福祉士、医療・教育関係者などの社会的意義のある職種に向いています。
  • 社会や他者のためになる仕事にやりがいを感じる
  • 仕事を通して他人や社会の幸せに貢献できる環境を好む
  • 出世欲や権力に囚われず、人のために行動できる誠実さを持つ
  • 倫理観や正義に反する状況ではモチベーションが下がる

7. 純粋な挑戦タイプ

純粋な挑戦タイプは、新しい挑戦を続けることに価値を見出すタイプです。プロスポーツ選手や探検家、研究者などに向いています。
  • 常に新しい挑戦が求められる競争的な仕事にやりがいを感じる
  • 自己の限界へ挑戦できる環境を好む
  • 専門外の仕事やハードワークにも対応できる
  • 代わり映えのない仕事やルーティンワークを任せられるとモチベーションが下がる

8. ライフスタイルタイプ

ライフスタイルタイプは、ワークライフバランスを保ちながら働くことに価値を見出すタイプです。仕事そのものよりも、仕事以外の充実を重視するタイプと言えるでしょう。
  • プライベートが充実していると仕事へのやりがいも感じられる
  • 柔軟な働き方ができる環境を好む
  • 時間管理能力に優れ、オンとオフの切り替えがきっちりできる
  • プライベートを犠牲にする働き方を強いられるとモチベーションが下がる
ライフスタイルタイプは、リモートワークなど柔軟性の高い働き方が可能な職業全般、またはパートタイム労働などに向いています。

キャリアアンカーを形成する3要素

重なった3つの円
キャリアアンカーは、以下の3つの要素により形成されます。
  • 動機・欲求(何がしたいのか)
  • コンピタンス(何が得意なのか)
  • 価値観(どのようなときに価値を感じるのか)
3つの要素がすべて重なったところが、その人のキャリアアンカーです。個人のキャリアアンカー診断でも、これらの3要素を深掘りする質問が設定されています。

各要素について詳しく解説します。

動機・欲求(何がしたいのか)

動機・欲求とは、その人の仕事における関心事、仕事へ求めているものを指します。

たとえば専門・職能別能力タイプなら「新しい技術を学んで専門性を高めたい」、全般管理能力タイプなら「人を率いて大きなことを成し遂げたい」などが挙げられるでしょう。

動機・欲求に沿った仕事ができているとき、人はやりがいを感じやすくなります。その反面、動機・欲求に反する仕事についてしまうと「このままで良いのだろうか」と悩みやすくなるでしょう。

コンピタンス(何が得意なのか)

コンピタンスとは、働くうえでその人の核となる能力や得意分野を指します。言い換えると、仕事における専門性や組織に貢献できる能力のことです。

たとえば「創造的なアイデアを提案できる」「リーダーシップを発揮できる」などはコンピタンスと言えるでしょう。

人はコンピタンスを活かせる仕事ではモチベーションを高めやすく、コンピタンスの活用が難しい仕事では自信を失いやすくなります。

なお、コンピタンスと似た用語にコンピテンシーがありますが、コンピテンシーとはその人の行動に現れる能力や特徴のことです。スキルや専門性といった目に見えにくい資質をベースに考えるコンピタンスとは、やや異なるニュアンスの概念になります。

コンピテンシーについては以下の記事をご覧ください。

【関連記事:【簡単に解説】コンピテンシーとは?意味や使い方、活用事例を紹介

価値観(どのようなときに価値を感じるのか)

価値観とは、仕事やキャリアにおいて重視する信念を指します。その人が仕事において意思決定するときの価値基準とも言えるでしょう。

たとえば、ライフスタイルタイプなら「プライベートとのバランスが取れること」、純粋な挑戦タイプなら「新しい挑戦ができること」が、働くうえでその人が大切にしている価値観と言えるでしょう。

人は価値観に合致した仕事ができると満足度が上がりやすく、価値観に反する仕事では離職や転職へ気持ちが傾きやすくなります。

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キャリアアンカーの診断方法

スマホを操作する女性
キャリアアンカーを診断する方法としてはおもに以下の3つが挙げられます。
  • オンラインの無料ツールを利用する
  • 自己診断できる書籍を利用する
  • キャリアカウンセリングやコーチングを利用する

オンラインの無料ツールを利用する

キャリアアンカーの診断方法としてもっとも手軽なのが、オンラインの無料ツールです。

たとえば厚生労働省が運営する「マイジョブ・カード」では、興味診断・スキルチェック・価値観診断の3つの自己診断ができ、自身のキャリアアンカーの分析に役立てられます。また、転職情報サービスが公開している無料の診断ツールでは、いずれも40問ほどの質問に回答すれば自身のキャリアアンカーのタイプがわかるしくみになっています。

オンラインの無料診断ツールは分析の深さに限界がありますが、簡易的に自分のキャリアアンカーを調べたいときに有用です。

自己診断できる書籍を利用する

シャイン教授の『キャリア・アンカー:自分のほんとうの価値を発見しよう』など、キャリアアンカーを自己診断できる書籍を利用する方法もあります。

書籍のメリットは、診断結果だけでなく、キャリアアンカーが形成される過程や各タイプの特徴などを網羅的に学べる点です。よって、キャリアアンカーの考え方を組織へ導入したい経営者や人事担当者などには、書籍の利用をおすすめします。

キャリアカウンセリングやコーチングを利用する

専門家にこれまでのキャリアを掘り下げてもらい、客観的にキャリアアンカーを診断してもらう方法もあります。

カウンセラーとの会話を通じて仕事における価値観や受け入れられない事柄などを整理していき、キャリアアンカーを明らかにします。キャリア全般の相談ができるため、今後のキャリアに悩んでいる人に特におすすめです。

企業におけるキャリアアンカーの活用方法

笑顔の男女
企業において、キャリアアンカーは以下のようなシーンで活用できます。
  • 中途採用での適性診断
  • 人材配置・異動の最適化
  • チームビルディング
  • 人材育成プランの策定

中途採用での適性検査

キャリアアンカーは、中途採用における候補者と自社のマッチ度を調べる際の適性検査として活用できます。たとえばマネジメント職の採用においては、全般管理能力タイプの傾向を持つ候補者を優先して選考するといった使い方です。

また社内メンバーのキャリアアンカーがわかっていれば、「保障・安定タイプの社員が活躍している部署なので、その特性に近い人材を採用しよう」のように、ミスマッチを防ぐ方法としても活用できるでしょう。

ただし、キャリアアンカーが形成されるには5年程度の社会人経験が必要と言われます。新卒や第二新卒のような社会人経験が浅い人材の適性検査にはあまり向きません。

【関連記事:第二新卒とは?採用する3つのメリット・デメリットを解説

人材配置・異動の最適化

社員のキャリアアンカーに基づいた人材配置を行うことで、離職防止や生産性向上に役立てられます。

たとえば、新規事業の立ち上げメンバーを選出する際に起業家的創造性タイプを優先したり、福利厚生部門に奉仕・社会貢献タイプの社員を配属させたりといった使い方が可能です。

また、専門・職能別能力タイプや自律・独立タイプなど、マネジメント業務に興味の薄いタイプを昇進させたいときは、昇進でどのようにポジティブな変化が期待できるか、しっかり伝える必要があるでしょう。

チームビルディング

チームビルディングにおいて、メンバー間でお互いを知るための方法としてキャリアアンカーを活用できます。お互いに質問しあって診断すれば、仲良くなるきっかけにもなるでしょう。

また、コンピタンスを知ることでお互いの向き不向きが共有できるため、チームの役割分担の最適化にも役立ちます。

人材育成プランの策定

中堅社員の人材育成にキャリアアンカーの概念を組み込めば、社員個人の価値観や強みに最適化した育成プランの策定が可能になります。

また、何にやりがいを感じ、どんなときにモチベーションが高まるのかを把握した状態で育成できるため、離職リスクの低減にも寄与できるでしょう。

キャリアアンカー以外の自己分析(人材分析)手法

仕事における強みや傾向を知る方法として、キャリアアンカー以外にも多種多様な手法があります。

たとえば米国ギャラップ社のストレングス・ファインダーは、100個を超える質問に答えることで責任感や調和性といったその人の強みとなる資質を診断できます。

また、ミイダスのコンピテンシー診断でも、仕事におけるパーソナリティの傾向や適性、相性のよい上司・部下の傾向などが診断可能です。

各診断手法については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

【関連記事:アセスメントツールとは?5つの導入メリットと選び方・具体例を解説
【関連記事:コンピテンシーテストとは?例題や無料診断ツール・導入のコツを紹介

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本記事ではキャリアアンカーについて解説しました。キャリアアンカーは、その人のキャリアに対する価値観や思考の傾向を8タイプに分類する診断方法です。

売り手市場が続く日本では、一人ひとりの働き方が多様化し、転職も当たり前になりつつあります。企業が社員のキャリアアンカーを把握・理解することは、離職防止や人材の有効活用につながるでしょう。

また、社員の働くことへの思考や特徴を調べる方法として、ストレングスファインダーやコンピテンシー診断など、キャリアアンカー以外の手法も多く存在します。

たとえば人材アセスメントツール「ミイダス」の活躍要因診断では、社員および組織の特徴を客観的に診断できます。診断結果は採用要件の決定から入社後の育成まで幅広く活用可能です。つまずきがちな診断結果の活用方法までワンストップで提供します。

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