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育成

責任感とは?人材育成に必要な知識と方法

「部下の仕事に対する責任感を育てるにはどうしたら良いのだろう」
このようにお悩みではありませんか?

ただ部下を叱咤激励するだけでは、責任感は育ちません。本記事では責任感の本質から効果的な育成方法まで、上司が知っておくべきポイントを解説します。

最後までご一読ください。

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責任感とは?

考え事
「責任」とは、「立場上当然負わなければならない任務や義務」、もしくは「自分のしたことの結果について責めを負うこと」を指します(出典:goo辞書『責任』)。

そして「責任感」とは「自分の仕事や行為について責任を果たそうとする気持ちのこと」です。仕事の質を高め、信頼関係を築くうえで欠かせない要素となっています。

「責任感」を別の言葉で表現すると、以下の言葉に置き換えられます。言葉の意味をより理解しやすくなるでしょう。
  • 使命感:与えられた役割や任務の重要性を深く認識し、それを全うしようとする意識
  • 義務感:社会的・道徳的な規範に基づいて、なすべきことを果たそうとする意識
  • 主体性:自らの意思で考え、判断し、行動する姿勢
  • 当事者意識:問題や課題を自分事として捉え、積極的に関与しようとする態度
  • 正義感:公平性や道徳的価値観に基づいて行動しようとする意識 など

仕事で求められる2つの責任感

ガッツポーズの男女
仕事においてとくに求められる責任感には、大きく分けて「自責という責任感」と「当事者意識の責任感」があります。これらは補完的な関係にあり、両者のバランスが取れていることで、より健全な責任感が育まれるとされています。

自責という責任感

自責とは、自分が直接関与した出来事に対する責任意識を指します。たとえば、商談で契約を逃してしまった営業担当者が「自分の準備不足が原因だ」と、深く自省するケースがこれにあたります。

このような失敗から学ぶ姿勢は、単なる自己批判を超えた、次の成長につながる重要な心理的特性と言えるでしょう。

当事者意識の責任感

当事者意識の責任感は、直接関与していない事柄でも「自分ごと」として捉える姿勢を指します。たとえば、同僚がプロジェクトで困っているのを見かけた際に「自分に何かできることはないか」と考え、サポートを申し出る行動がこれにあたります。

当事者意識の責任感は、チーム全体の成果向上に貢献し、組織の一員として積極的に関与しようとする意識から生まれます。周囲の問題に対しても、他人事とせず、主体的に関わろうとする態度が特徴的です。

責任感が強い人に共通する3つの特徴

責任感が強い人
責任感が強い人には、いくつかの共通した特徴があります。その中でもとくに顕著なのが、以下3つの特徴です。
  • 時間や約束を守る
  • 自分のミスを認める
  • 向上心がある
これらの特徴は仕事の質を高め、周囲との信頼関係を築くうえで重要な役割を果たしています。

時間や約束を守る

責任感の強い人は、時間や約束を大切にします。相手の時間を無駄にしたり、期待を裏切ったりしません。

「会議の開始時刻を守る」「締め切りを守る」などといった行動は、相手への敬意の表れでもあります。約束を守ることは、円滑なコミュニケーションの土台となり、より良い関係を築くうえで欠かせません。

自分のミスを認める

責任感の強い人は、自分のミスを素直に認めます。失敗から学び、より良い結果を出すためには、自分の非を認める勇気が必要だと理解しているためです。

たとえばプロジェクトの遅延の原因が自分にあると気づいたら、すぐに上司に報告し改善策を提案します。誠実な姿勢を貫くことで、周囲との信頼関係がより強固なものとなります。

向上心がある

責任感の強い人は、常に向上心を持っているものです。現状に満足することなく、より高いレベルを目指して努力を重ねます。

自主的に勉強会に参加したり、新しい知識を吸収したりなど、成長の機会を積極的に見つけ出します。このような姿勢は周囲に良い影響を与え、チーム全体の成長を後押しする原動力となるでしょう。

責任感のない人に共通する3つの特徴

責任感のない人
責任感の欠如は、職場環境に大きな影響を及ぼす要因となります。とくに顕著な特徴が以下3つです。
  • 物事を途中で投げ出す
  • 失敗を他人のせいにする
  • 自己中心的に考える
これらの特徴は、チームの生産性低下や職場の雰囲気悪化につながる可能性があります。

物事を途中で投げ出す

責任感のない人は、物事を途中で投げ出して周囲に迷惑をかけるケースが目立ちます。

株式会社アイデム 人と仕事研究所が実施した、パート・アルバイト雇用事業所への調査では、責任感に欠けるパート・アルバイトの行動として、「急に休むときに仕事への影響を考えない」が57.2%と最も多く、「突然辞めることを何とも思わない」が55.0%と拮抗する結果が出ています。

自分本位に考え、後のことまで責任を取ろうとしないため、急な離職や欠勤につながるのです。このような行動は、職場の生産性を下げ、同僚の士気にも悪影響を与えかねません。

参考:4.責任感とプロ意識|株式会社アイデム 人と仕事研究所

人のせいにする

責任感のない人は他人の指示に従っても、自分の行動に対する責任を感じない面があります。失敗したときは、自分のミスを認めずに他人のせいにしがちです。

このような態度では、周囲からの信頼を得ることは難しく、チームワークを乱す原因にもなります。

自己中心的に考える

責任感のない人は、組織よりも自分の都合を優先しがちです。たとえば、仕事の締め切りが迫っているにもかかわらず個人的な予定を優先したり、品質よりも作業の速さだけを重視したりすることで、組織全体の生産性を低下させてしまいます。

組織の一員として働く以上、自分の行動が周囲に与える影響を考えることが重要です。特に、期限や品質に関わる判断では、チーム全体の成果を意識する必要があります。

自分本位な姿勢を続けると、周囲からの信頼を失うだけでなく、自身の成長の機会を逃してしまうかもしれません。

部下の責任感を育てる方法

張り切る上司
部下の責任感を効果的に育むためには、段階的な育成が重要です。単なる指導や叱咤激励だけでは、真の意味での責任感は育ちません。

そこで本章では、実践的な3つの育成方法を紹介します。
  • 目標について公言する場を設ける
  • 部下自身に意思決定を委ねる
  • 部下のメタ認知を鍛える
それぞれ解説します。

目標について公言する場を設ける

チーム内で互いの目標を共有するなど、公言する機会を設けましょう。責任感が欠ける人は、目標を隠す傾向があります。目標に届かなかったり、失敗に終わったりしても、周囲にバレないよう、予防線を張るのです。

たとえば毎週月曜日の朝礼で、各自の週次目標を発表し合いましょう。

「今週中に新規契約を3件取る」
「本日中にプロジェクトを8割方完成させる」
など、具体的な数値目標を掲げさせ、チームで共有します。

過度なプレッシャーは心身の健康を損なう可能性もあります。そのため、部下が困ったときにいつでも相談できる雰囲気づくりを心がけ、適度な緊張感を保つ工夫が大切です。

部下自身に意思決定を委ねる

意思決定の機会を増やすことは、責任感を育むうえで重要な要素です。他者が設定した目標や方法に従うだけでは、結果に対する当事者意識が生まれにくくなります。自ら決めた行動目標・結果目標(自己決定)にコミットすることで、自然と成果をあげようとするようになります。

たとえば、新規プロジェクトを任せる際、上司が細かい指示を出すのではなく、「どのように進めていくか」を部下自身に考えさせましょう。スケジュールの立て方や、チーム内の役割分担なども、可能な限り部下の裁量に任せることで、自分で決めたことへの責任感が芽生えます。

時には失敗することもありますが、その経験を通じて確実に成長していくはずです。
この手法を実践する際は、段階的に権限を委譲していくことが望ましいでしょう。

部下のメタ認知を鍛える

メタ認知は、自分の思考や行動を客観的に見つめる能力です。責任感を育むためには、この自己を振り返る力が不可欠となります。

メタ認知を高めるためには、日々の振り返りが効果的です。1日の終わりに「今日の判断は適切だったか」「より良い方法はなかったか」などを考える習慣をつけましょう。

また業務日誌をつけることで、自身の行動パターンや課題が明確になります。上司は、部下との1on1ミーティングなどで、これらの振り返りをサポートすることで、部下の成長を促せるでしょう。

メタ認知を高める方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:メタ認知とは?高い人の特徴やメタ認知を鍛える3つの方法を解説

責任感のある人材が組織にもたらす効果

ひらめき
組織における責任感の強い人材は、以下のような効果をもたらします。
  • 安心して仕事を任せられる
  • 意思決定のスピードが上がる
  • チームにポジティブな影響が広がる
それぞれ見ていきましょう。

安心して仕事を任せられる

責任感の強い部下は期限を守り、着実に業務を遂行します。たとえ困難な案件でも、あきらめずに粘り強く取り組む姿勢が期待できます。

上司としては、そのような部下に安心して仕事を任せられるでしょう。

責任感が強い部下は自分の役割をしっかりと理解し、上司の期待に応えようと努力します。結果として上司の負担が軽減され、より重要な業務に専念できるようになるのです。

意思決定のスピードが上がる

責任感の強い部下は、組織における自身の役割と目標を明確に理解しているため、課題解決に向けて自発的に行動します。上司の指示を待つことなく、状況変化に応じて臨機応変に判断を下す能力が高いのです。

問題発生時には、原因を追究し、解決に向けた具体的な提案を行ってくれるでしょう。責任感の強い部下を置くと、組織の意思決定スピードが加速し、環境変化へのすばやい適応が可能となります。

チームにポジティブな影響が広がる

責任感の強い部下は、前向きに仕事に取り組む姿勢を貫きます。時には困難に直面しながらも、あきらめず、最後までやり遂げる姿は、他のメンバーに良い刺激を与えるでしょう。その真摯な態度は、チーム全体の士気を高め、目標達成へのコミットメントを強化します。

責任感の強い部下が率先して行動すると、チーム内に協力的な雰囲気が生まれ、パフォーマンスの最大化につながります。素晴らしいチームワークを生み出すうえで、責任感の強い部下の存在は欠かせないのです。

過度な責任感がもたらす問題と解決方法

責任感は仕事を円滑に進めるうえで重要な要素ですが、強すぎると思わぬ弊害を招くものです。過度な責任感は、
  • メンタルヘルスの悪化
  • 人間関係の軋轢
  • 意思決定の遅れ
といった問題を引き起こす可能性があります。以下で具体的な問題点と解決策を見ていきましょう。

メンタルヘルスを崩しやすい

責任感の強さは、時として私たちの心身を蝕んでしまうことがあります。責任感の強い人は、自分に課せられた役割を全うしようと懸命に努力を重ねます。

しかし、その真面目さゆえに自身の限界を超えた無理を重ねてしまい、結果としてメンタルヘルスを損なうケースも珍しくありません。とくに、完璧を求めすぎる傾向がある人は要注意です。

自分の許容量を超えた仕事を抱え込んだり、得意ではない業務でも無理に引き受けたりするうちに、大きなストレスを抱えてしまいます。周囲は本人の体調や業務状況に目を配り、適切なサポートを行うことが大切でしょう。

部下のストレス要因の特定には、日頃のコミュニケーションはもとより、アセスメントツールの活用が効果的です。アセスメントツールとは、心理テストなどを用いて、人の特性や能力を測定するためのツールのことです。

ミイダスのコンピテンシー診断では、部下のストレス要因を数値化します。部下のメンタル管理にぜひお役立てください。

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周囲との軋轢を生むこともある

責任感の強い人は、自分に厳しいだけでなく、周囲にも高い基準を求める傾向があります。
たとえば、締め切りや品質に対する厳格さは素晴らしい姿勢ですが、チームメンバー全員に同じレベルを求めすぎると、人間関係に軋轢が生じかねません。

完璧を追求することは大切ですが、状況に応じて柔軟に対応することも必要です。職場での良好な人間関係を築くには、時にはお互いの違いを認め合い、適度な妥協点を見出すことも重要になってきます。

決断の遅れにつながる

強すぎる責任感は、しばしば決断の遅れを引き起こす要因となります。「失敗したら取り返しがつかない」「自分の判断で周囲に迷惑をかけてはいけない」という思いが強すぎると、必要以上に慎重になり、決断を先送りにしがちです。

また問題が発生した際も、全てを自分で抱え込もうとする傾向が強くなります。このような場合はチームで問題を共有し、複数の視点で解決策を検討することが有効です。

完璧を目指すあまり一人で抱え込まず、適切なタイミングで周囲からのサポートを受け入れる姿勢が重要です。

人事評価における「責任感」を評価するポイント

面談中の手元
責任感は、人事評価において重要な評価項目の一つです。評価者は、部下の日々の行動や姿勢から責任感の強さを判断する必要があります。

しかし実績や数値とは異なり、責任感は目に見えない要素であるため、評価が難しいと感じる方も多いでしょう。

評価の客観性を高めるためには、具体的な行動事例に基づいて判断することが重要です。例として、以下5つの項目に沿った行動を思い起こすと「責任感」を評価する重要な判断材料となるでしょう。
  • 期限内に業務を完遂できているか
  • 問題が発生した際、自ら解決に動いているか
  • 約束事を確実に守っているか
  • チーム全体の目標達成に向けて主体的に行動しているか
  • 与えられた役割を全うしているか など
評価の際は、人間の思考に潜むバイアスにも注意が必要です。たとえば、直近の印象を重視しすぎる「直近バイアス」や、特徴的な印象に引きずられて、全体の評価をしてしまう「ハロー効果」などが、適切な評価を妨げる要因となります。

これらのバイアスに注意を払い、評価期間全体の行動を振り返ることで、より公平な評価が可能になります。また、複数の評価者で意見を出し合い、評価結果を本人にフィードバックすることで、今後の成長につながる建設的な対話が実現できるでしょう。

以下の記事では、認知バイアスについて詳しく解説していますので、評価前にご一読ください。

【関連記事:認知バイアスとは?身近にある認知バイアスの種類や対策について解説

人材の責任感を適切に育み、組織力を高める

ビジネスマン3名
本記事では、責任感の定義から、その育成方法まで幅広く解説してきました。組織の成長には、責任感を持って行動できる人材の存在が不可欠です。

一方で、過度な責任感はメンタルヘルスの低下や、周囲との軋轢を生む可能性もあります。そのため、部下一人ひとりの特性を理解し、適切なバランスで育成していくことが重要となってきます。

部下の責任感を育む以下3つの方法をお試しください。
  • 目標を公言する機会を設ける
  • 部下自身に意思決定させる
  • メタ認知を促す
このようなアプローチを実践することで、部下の責任感は着実に育っていくはずです。しかし、これらを効果的に実践するには、部下自身にも上司自身にも適切なスキルと知識が必要となります。

そこで、次に紹介する教育プログラムをぜひ活用してみましょう。

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効果的な人材育成には、適切な教育プログラムの選択が重要です。従来の画一的な研修では、個々の社員の特性や課題への対応に限界があります。

とくに責任感の育成においては、一人ひとりの性格や行動特性に合わせたアプローチが求められるでしょう。そこで注目したいのが、個人の特性に応じた学習プログラム「活躍ラーニング」です。

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とくに注目すべきは、コンピテンシー活用講座の充実度です。診断結果から自身のマネジメントスタイルを把握し、部下の特性に合わせた効果的な育成方法を学べます。

さらに、具体的な成功事例や実践的なアドバイスを通じて、日々の業務における責任感の醸成に役立てることができるでしょう。部下の育成に悩む管理職の方は、ぜひ活用を検討してみてください。

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