少子高齢化による労働力人口の減少や市場の縮小が問題となっている日本。生産性を高め、市場の開拓を進めるには、イノベーションの促進が不可欠といえます。
しかし、日本企業の多くは他国に比べてイノベーションの創出に苦戦している状況です。
そこでこの記事では、イノベーションの概要や種類、イノベーションの必要性、日本企業の事例、イノベーションの促進に必要なことについて解説します。
しかし、日本企業の多くは他国に比べてイノベーションの創出に苦戦している状況です。
そこでこの記事では、イノベーションの概要や種類、イノベーションの必要性、日本企業の事例、イノベーションの促進に必要なことについて解説します。
また、昨今はコンピテンシー診断などのアセスメントツールで社内のハイパフォーマーを分析する企業も増えてきています。自社でイノベーションを生み出すための組織形成には、下記のお役立ち資料もぜひご覧ください。
【お役立ち資料】適切な人事異動・配置をするための方法とは
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▼この記事でわかること
イノベーションとは?「イノベーション(innovation)」はオーストリア出身の経済学者ヨーゼフ・シュンペーターによって「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」と定義された言葉です。
まずはイノベーションの詳しい意味と身近な具体例から、イノベーションがどのようなものか理解しましょう。イノベーションの意味
イノベーションの定義は前述のとおりですが、一般的には「ビジネスに新しい価値を生み出す変革」の意味で使われることが多いでしょう。
イノベーションは日本語で「技術革新」と翻訳されますが、正確には技術だけが対象ではありません。今までにない新しい仕組みや価値観、考え方などを取り入れた革新・新機軸もイノベーションに含まれます。
イノベーションを最初に定義した経済学者シュンペーターは、著書『経済発展の理論』のなかで、「経済発展には人口増加や気候変動などの外的な要因よりも、イノベーションのような内的な要因が主要な役割を果たす」と述べています。
つまり、これまでにない価値を発見して新たなブルーオーシャンを創出するような、社会にとってインパクトのある変革をもたらすものは、すべて「イノベーション」と呼べるのです。身近なイノベーション事例
近年のイノベーションで最もわかりやすい例は、スマートフォンでしょう。それまで国産のガラケーでほぼ独占されていた日本の携帯電話市場のシェアを、あっという間に代替していきました。
ほかにも身近なイノベーションの事例として、次のようなものが挙げられます。- 液体洗剤・ジェルボール型洗剤
- InstagramなどのSNS
- 電気自動車
- IoT家電
- ブルーライトカット眼鏡
- オンラインスクール
- ファブレス経営
- サブスクリプション
古くは自動車の開発、最近ではAIイラストレーターなどもイノベーションの一類型といえるでしょう。
スマートフォンのように付随して新市場を創出するような大きなイノベーションもあれば、特定企業や市場を拡大するイノベーションなど、その規模はさまざまです。イノベーションと似たような言葉イノベーションと似たような言葉として下記の2つが挙げられます。- リノベーション
- 共創
それぞれの意味と、どのような違いがあるのか解説します。リノベーション
リノベーション(Renovation)とは「革新」「改善」といった意味で使われる言葉です。イノベーションと似たような言葉ですが、使われ方は大きく異なります。
リノベーションは一般的に建築・リフォーム関係で用いられる言葉です。家全体を大幅改修して、まるで新築のような大規模工事のことを指す言葉として使われます。
一方のイノベーションは、新しい技術やアイデアを活用してまったく新しい価値を生み出す、といった意味で使われる言葉です。たとえば電球を発明したり、スマートフォンを生み出したりするような革新的な発明のことをビジネスでは「イノベーション」と呼びます。
どちらも「新しい価値を生み出す」という意味では共通している言葉です。しかし、リノベーションは主に建築関係で用いられる言葉であるのに対し、イノベーションはさまざまな分野で使われる言葉、という違いがあります。共創
共創とは、さまざまな立場の人が知識やノウハウなどのリソースも持ち寄って、新しい価値を生み出すことです。個人同士だけでなく、組織と組織が協力して新しい価値の創出を行うことも共創といえます。
イノベーションと似ている言葉ですが、違いもあります。たとえばイノベーションの場合は、企業内部や特定の組織だけで新しい価値創出を目指すものです。
また、規模感も異なります。共創の場合は「既存のモノやサービスの組み合わせ」といった規模感であるのに対し、イノベーションは「これまでの文化や習慣の大幅な変化」といった、より大きな規模感になります。イノベーションの種類イノベーションの種類や分類は提唱者やフレームワークごとに異なります。ここでは代表的な次の3つについて紹介します。- 「5種類のイノベーション」:イノベーションの対象で分類
- 「破壊的/持続的イノベーション」:イノベーションの市場への影響で分類
- 「オープン/クローズドイノベーション」:イノベーションを起こす手法で分類
上記3つのイノベーションは、分類する際の着眼点がそれぞれ異なります。詳しく見てみましょう。シュンペーターの「5種類のイノベーション」
イノベーションを最初に定義したヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションを次の5種類に分類しています。- プロダクト・イノベーション(創造的活動による新製品開発)
- プロセス・イノベーション(新生産方法の導入)
- マーケット・イノベーション(新マーケットの開拓)
- サプライチェーン・イノベーション(新たな資源の獲得)
- オーガニゼーション・イノベーション(組織の改革)
シュンペーターのフレームワークでは、イノベーションをする対象にもとづいて分類します。プロダクト・イノベーション
従来にない品質や機能の新製品を開発して、消費者に新たな価値を提供するイノベーションです。<事例>
・スマートフォン
・液体洗剤 などプロセス・イノベーション
生産工程や流通経路を改善し、生産性向上や事業成長に貢献するイノベーションです。<事例>
・ファブレス経営
・製造ロボットの導入 などマーケット・イノベーション
既存技術やスキルをもとに新たなマーケットへ参入したり、顧客の新たなニーズを形成したりするイノベーションです。<事例>
・フィルムメーカーが開発した基礎化粧品
・日本画用絵具メーカーが開発したマニキュア などサプライチェーン・イノベーション
資源の新たな供給源の確保や仕入れ先の獲得、流通ルートの改善などによって生産力や価格競争力をもたらすイノベーションです。<事例>
・ネットショップによる物流機能の強化
・ファストフード店のモバイルオーダー などオーガニゼーション・イノベーション
組織やビジネスモデルの変更や、組織運営方法の刷新により、組織を強化するイノベーションです。<事例>
・トップダウン方式からボトムアップ方式への変更
・フランチャイズシステムの導入 など近年は分類方法が変化
シュンペーターの分類は、もとは5種類に分類されていました。しかし、近年ではイノベーションの分類方法自体が変化し、「プロダクト・イノベーション」と「ビジネス・プロセス・イノベーション」の2つに分類されるのが一般的となっています。プロダクト・イノベーション
新しい、または改善された製品・サービス。当該企業の以前の製品・サービスとはかなり異なり、かつ市場に導入されているものを指します。ビジネス・プロセス・イノベーション
プロセス・イノベーション、オーガニゼーション・イノベーション、マーケティング・イノベーションが集約されたもの。1つ以上のビジネス機能についての新しい、または改善されたビジネス・プロセスで、当該企業の以前のビジネス・プロセスとは大きく異なり、かつ当該企業によって利用に付されているものを指します。
製品やサービスといったプロダクトに対するイノベーションなのか、プロダクト以外の部分についてのイノベーションなのかによって大まかに分類すると考えてください。クリステンセンの「破壊的/持続的イノベーション」
ハーバードビジネススクールのクレイトン教授は、イノベーションには次の2種類があると提唱しています。- 破壊的イノベーション
- 持続的イノベーション
イノベーションが起きると市場にはさまざまな変化が現れます。その際、どのような変化が起きるかによってイノベーションを分類するという考え方です。破壊的イノベーション
破壊的イノベーションには、以下の2つがあります。【新市場型】
新たな技術やアイデアアイディアによって新しい価値観を創造し、ニーズを作り出すイノベーション
【ローエンド型】
既存の優良なハイエンド商品を、技術やプロセスの革新によってローエンド市場向けに供給するイノベーション新市場型はスマートフォン、ローエンド型は100円均一ショップなどが事例として挙げられます。
破壊的イノベーションの特徴は、それによって既存の市場が破壊され、従来とは異なる顔ぶれの企業が支配権を獲得する点です。多くの場合、新興企業によって引き起こされます。持続的イノベーション
市場で優位を維持している優良企業が、生き残り続けるために改良や改善を継続するイノベーションです。
たとえば、家電や昔からある玩具のように、顧客のニーズやトレンドに応える形でバージョンアップを続けているようなプロダクトは、持続的イノベーションに入ります。
破壊的イノベーションと異なり、持続的イノベーションは既存市場と共存する形を取るのが特徴です。日本のモノづくり企業が得意としてきた「改善」や「PDCAサイクル」も、持続的イノベーションに効果的な手法といえるでしょう。
【PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】チェスブロウの「オープン/クローズドイノベーション」
ハーバード大学の経営学者ヘンリー・チェスブロウは、イノベーションを次の2種類にわけて提唱しています。- クローズドイノベーション
- オープンイノベーション
クローズドイノベーション
研究開発〜生産までをすべて自社で完結させる「自前主義」のイノベーション。日本の大企業をはじめ、かつては主流だった手法です。
ただし、- 研究開発人材の流動性の拡大
- 研究開発費の高騰
- グローバル化による競争環境の激化
といったビジネス環境の変化により、いまは次に説明するオープンイノベーションへ変更する企業が増えています。オープンイノベーション
オープンイノベーションは、大学や外部の研究機関、別業界の企業などと連携する手法です。秘密保持契約(NDA)を結んで共同開発を行ったり、ライセンスを受けたりする手法はオープンイノベーションに該当します。
イノベーションというと、このオープンイノベーションをイメージする方も多いのではないでしょうか。
自社で研究開発から始めるのが難しくなり、日本でも徐々にオープンイノベーションを取り入れる企業が増えています。なぜ企業にイノベーションが必要なのかイノベーションは古くからある概念ですが、とくに近年は多くの日本企業がイノベーションを必要としています。
その理由として、以下の3つが考えられます。- 技術の進化スピードが加速しているから
- 市場での優位性確保のチャンスが増えたから
- 労働力人口が減少しているから
技術の進化スピードが加速しているから
イノベーションが求められる理由の1つは、技術の進化スピードの加速です。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォンの所有率は、2022年の時点で約94%です。2010年の所有率約4%から、たった12年でガラケーから大部分のシェアを奪ったことがわかります。
一方、かつて多くの家庭にあった電話は、世帯普及率10%に達するまでに76年を要しました(参考:総務省「未来をつかむTECH戦略」)。
近年生まれた技術やテクノロジーの普及および進化のスピードは、電話が登場した時代より格段に上がっており、今後もますます加速すると予想されます。言い換えれば、ブルーオーシャンだった市場が、あっという間にレッドオーシャンへと変わってしまいます。
継続してイノベーションを生み出せる組織でないと、大企業であっても生き残るのが難しい時代なのです。市場での優位性確保のチャンスが増えたから
立ち回り次第で市場シェアを独占できるチャンスが増えた点も、イノベーションが必要とされる理由です。
たとえばスマートフォンが登場して以降、次のような変化がありました。- SNSが重要なマーケティング・チャネルになった
- さまざまなスマホアプリが登場した
- LINEなど連絡手段が多様化した
このような変化により、10年前は存在していなかった企業が市場のシェアを奪うケースも多々発生しています。
次々と新たな市場やマーケティング手法が開拓される時代では、大企業が必ずしも有利とはならず、中小企業でもイノベーションにより市場で優位に立てるチャンスがあるのです。労働力人口が減少しているから
少子高齢化による労働力人口の減少も、イノベーションが注目される背景の1つです。
人手不足は多くの日本企業にとって悩ましい課題です。人が入らず仕事が回らない一方で、人手不足を補うために長時間労働や過重労働を強いれば、ブラック企業としてますます人材集めが難航してしまいます。
生産方式やビジネスモデルの領域でイノベーションを起こせれば、- 社員一人ひとりの生産性向上につながる
- 企業全体の省人化が図れる
など、人手不足による課題の解決が期待できます。ミイダスは人材アセスメントを通じて
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日本企業のイノベーションの現状日本でもイノベーションに積極的に取り組む企業は増えましたが、他の国よりも後れをとっているのが現状です。
ここでは、日本企業のイノベーションの状況と、日本のイノベーション政策について解説します。日本企業はイノベーションの創出に苦戦している状態
バブル崩壊以降、日本では資本ストックや労働投入、TFP(全要素生産性)などの低下が続き、成長率が低下しています。
国によるイノベーション政策も行われていますが、とくに技術的イノベーション(プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション)を実現している企業の割合が非常に少ないというのが現状です。
これには、以下のような原因が考えられます。- 中長期視点での投資割合の低さ
- 仕事や業務の効率の悪さ
- 失敗を許容しない文化
- 人材不足 など
自社でイノベーションを起こせなければ、国内外の競合他社が先にイノベーションを起こしてしまうかもしれません。
これまでにも、Googleがスマートフォン向けに無料のカーナビゲーションアプリを提供したことにより、アプリ提供開始から4年間でカーナビゲーション機器メーカーの消費者向けの売上は半分に下がったという実例があります。
インターネットやクラウドコンピューティング、デジタル機器などの新技術を用いた製品やサービスは世界中に普及しており、SNSによって全世界に訴求が可能です。
Googleの例のような、短期間で一気に市場を変化させてしまう「ビッグバン・イノベーション」が起きやすい状況であり、また実際に起きています。
しかし、そのような国境を越えたビッグバン・イノベーションを起こしているのは海外企業が多く、日本発のものはあまり見られません。日本のイノベーション政策
日本では、2021年3月から5年間を対象に「科学技術・イノベーション基本計画」を策定しました。
この政策では「イノベーション力の強化」「研究力の強化」「教育・人材教育」を3本柱とし、政府として総額約30兆円の研究開発投資を目指すとしています。 イノベーション力の強化 ・社会のデジタル化、カーボンニュートラルの実現
・レジリエントで安全・安心な社会の構築
・社会実装による課題解決 研究力の強化 ・博士課程学生や若手・女性研究者の支援強化
・基礎研究・学術研究、人文・社会科学の振興
・大学改革(経営体への転換)、10億円規模の大学ファンド 教育・人材教育 ・初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進
・リカレント教育を促進する環境・文化の醸成
(出典:内閣府「科学技術・イノベーション」)
IoTやビッグデータ、人工知能、ロボットなどを取り入れた産業・技術革新が世界的に進みつつあるなかで、イノベーションの促進は官民が連携して取り組むべき課題となっています。
長引く不況で日本経済が弱体化するなか、科学技術イノベーションを経済再生の原動力にできるのか今後に注目されます。日本企業のイノベーションの成功事例日本企業はイノベーションの創出に苦戦していると前述しましたが、まったくイノベーションが起こっていないわけではありません。
ここからは、イノベーションに積極的に取り組み、成功した日本企業の事例を紹介します。
なお、ほかの企業の取り組みについても「オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」で紹介されています。メルカリ
メルカリは、不用品を販売したい人と中古品がほしい人をマッチングするCtoC販売プラットフォームを、スマートフォンアプリで提供している企業です。- 参入障壁が高くないビジネスモデルながら、先駆者利益を生かして国内シェアを維持
- メルカリ便などの利便性の高い発送方法でアクティブユーザーを確保
- テレビCMなどの集客施策に積極投資
上記のような施策により個人間の中古品ECという新たな市場を創出し、2013年創業から驚異的な成長スピードで中古品業界のメインプレイヤーとなりました。
メルカリでは、経営陣を含め社員がオープンにコミュニケーションを取れる環境を構築。社員の積極的な発信や、スピーディーな行動を促進できる風土作りにより、イノベーションの創出を実現しています。NTTドコモ
大手キャリアとして携帯電話サービスを軸とした通信事業を展開しているNTTドコモ。通信事業のほかにも、動画、音楽、電子書籍などのコンテンツ配信や金融・決済サービスなどを提供する「スマートライフ事業」にも注力しています。- 新規事業創出プログラム「39work」をスタートさせ、社内起業やベンチャー企業とのオープンイノベーションを推進
- 社外パートナーと得意分野を持ち寄り、プロジェクト体制を構築
- 小さなPDCAを高速で回して、プロジェクトの成否の判断をスピーディーに行う
NTTドコモでは、プロジェクトの成否と撤退の判断を早め、ダメージが少ない状態で次の挑戦に移れる仕組みを構築。39workでは、2014年7月から2022年6月末の約8年間で事業化プロジェクト42件、子会社設立数2件に成功しています(参考:「39work」)。任天堂
任天堂はNintendo Switchなどのゲーム機やソフトウェアの世界的なゲームメーカーです。1889年に京都の花札メーカーとして誕生して以降、時代の先行きを見据えたイノベーションを繰り返し、成長を実現してきました。- 過去の成功体験にとらわれない柔軟な経営戦略
- 長期的な視点に立った投資
- 多様な価値観を持つ人材が各々の才能を発揮できる体制・環境を構築
任天堂では、オープンイノベーションに重きを置いてハードウェアの生産を外注化。クリエイターが没頭できる環境を整えることで、新しいゲーム体験の創出に成功しています。企業がイノベーションを起こすうえでの課題ここからは、企業がイノベーションを起こすうえで何が課題となっているのか、主な事柄を紹介していきます。- 企業全体の意識が変わらない
- 風通しが悪くアイデアを出しにくい
- 過去の成功体験を重視しすぎる
- イノベーションのジレンマにとらわれている
それぞれ詳しく解説します。企業全体の意識が変わらない
「イノベーションが大切だ」とは理解していても、意識を変えるのは容易ではありません。現場はもちろん、特に経営層の意識が変わらなければイノベーションは起きにくいでしょう。
たとえば現場の意識が変わらなくても、経営層が旗を振って大幅な改革に取り組めば、働く人の意識が変わり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。しかし、現場の意識が変わっても経営層の意識が変わらないと、意見を述べにくくなってしまうでしょう。
企業全体の意識を変えていくことが大切ですが、そのなかでも特に経営層の意識改革は重要です。風通しが悪くアイデアを出しにくい
組織内の縄張り意識が強く、部署を越えて意見を交換したり交流したりする土壌がないため、アイデアを出しにくい企業もあります。このような場合、意見を持っていても他の部署を巻き込めずイノベーションを起こせない恐れが高まるでしょう。
また、イノベーションを起こすうえでは情報も重要になります。しかし部署間の風通しが悪いと、外部環境はもちろん社内の内部環境に関する情報も得られにくくなり、イノベーションを起こしにくいです。
風通しの悪さはアイデアの共有を難しくします。もし組織内の風通しが悪い場合は、定期的に人事異動を行ったり、部署間でコミュニケーションを取る機会を確保したりするなど、対策を練りましょう。過去の成功体験を重視しすぎる
「この方法で業界1位を獲得した」「会社のピンチをこのやり方で乗り越えた」といった成功体験は私たちを勇気づけてくれますが、ときにはこの成功体験がイノベーションの足を引っ張る場合があります。
そもそもイノベーションとは、今までのやり方を見直してより価値のあるプロダクトを生み出すことです。そのため、イノベーションを起こすなら過去の成功体験そのものを見直す必要があります。
たとえば「営業はお客様のもとへ足を運ぶもの」という前提を見直してみたり、「便利なツールやサービスに頼るのは無駄な出費」といった、既存の価値観を見直すところからはじめてみるなどが挙げられるでしょう。イノベーションのジレンマにとらわれている
イノベーションのジレンマとは、お客様の声を重視するあまりイノベーションを起こしにくくなってしまう状態を指します。
たとえば、すでに優れた商品・サービスを提供している企業の場合、リスクのあるイノベーションを起こすことよりも、顧客の声を分析してより喜ばれる要素を追加したほうが、より確実に評価されるでしょう。
しかし顧客の声に耳を傾けすぎた結果、イノベーションを起こす組織風土がなくなってしまい、ベンチャー企業やスタートアップといった新興企業に負けてしまう可能性も高いです。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。
イノベーションのジレンマを防ぐには、顧客の声を重視するだけでなく、継続的に新しいイノベーションに取り組むリソースを確保しておくことが大切です。企業がイノベーションを起こすために必要なことイノベーション推進の取り組みは企業や事業内容によって異なりますが、成功事例からイノベーションの創出に必要な軸が見えてきます。- 自社の存在意義と価値を再認識する
- イノベーションを起こしやすい文化・環境を作る
- 心理的安全性を高める
- 多様な人材の活躍を促す
それぞれについて詳しく解説します。自社の存在意義と価値を再認識する
イノベーションを実現するためには、次の3つを理解することが重要です。- 自社のいまの状況
- 自社の強み
- 自社のビジネスで何を成し遂げたいのか
自社の存在意義や提供価値、これまでの歴史を振り返り、顧客のニーズを本質的に理解する必要があります。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションを起こすには、組織にレジリエンスが高い人を取り入れる必要があります。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。心理的安全性を高める
イノベーションの促進に取り組むにあたって、「これをやれば絶対にイノベーションを起こせる」という完璧な答えはありません。むしろ、イノベーションの創出を狙ったチャレンジは、失敗する確率のほうが高いでしょう。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。- 小さくはじめて大きく育てる
- 失敗してもやり直せばよい
- チャレンジしたことを評価する
という柔軟な意識を経営者層をはじめとするリーダーが率先して持ち、社員を指導・サポートしていく必要があります。
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
イノベーション人材の育成についてはこちらの記事でも解説しております。
【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】多様な人材の活躍を促す
イノベーションを促進するには、多様な人材が活躍できる環境作りも重要です。つまり、ダイバーシティの推進です。
とくに女性管理職や外国人、異業種から転職した社員などが活躍できる場を提供できれば、今までにない新しい発想や考えが生まれる可能性が高まります。さまざまな視点で自社を分析することで、これまで気づかなかった自社の強みや価値に気づけるかも知れません。
また多様な人材の才能を活かすには、多様性を受け入れる風土づくりのほか、採用面でもそれまでとは違った軸で人材を受け入れる必要があります。- 異業種からの転職希望者
- 特定の分野に突出した成果を出せる人材
- 自社にはない技能を有した人材
など、従来の採用要件にとらわれない採用活動が求められます。
なおダイバーシティの概要や取り入れるメリットなどについては、こちらの記事をご参照ください。
【ダイバーシティとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】イノベーションを起こせる組織づくりを進めようイノベーションとは、「ビジネスに新しい価値を生み出す変革」を指します。産業・技術革新が世界的に進み、競争が激化しているいま、企業が成長を維持するにはイノベーションの推進が不可欠といえます。
それにはまず、自社の存在意義を再認識するとともに、イノベーションを起こしやすい組織づくりが必要です。
そのために活用できるのが「ミイダス」です。フィッティング人材分析(活躍要因診断)でイノベーションを起こすための組織へ
「ミイダス」は人材の特徴や適性を分析できる、32万7,000社(2022年2月時点)導入のアセスメントリクルーティングサービスです。
独自の活躍要因診断で、以下のような分析が可能です。- 自社の組織としての現状を客観的に把握できる
- 全41項目からなるコンピテンシー(行動特性)診断により、社風やいまのチームにフィットしやすい人材を分析
- バイアス診断ゲームで仕事の意思決定の質を歪める認知バイアスを計測
チャレンジングな特性を持ち、かつ自社にあった人材が採用できるため、採用後のミスマッチが生まれにくい状態で活躍が期待できます。
ダイバーシティの促進においても、自社で活躍できるコンピテンシーを評価基準のベースとして、「多様な価値観」と「自社にあった特性」を両立した人材を採用でき、社内からイノベーションが起こる可能性が高められるでしょう。
また、自社の既存社員に活躍要因診断を受けてもらえば、社員それぞれの特性や得意分野が把握でき、イノベーションを起こしやすい組織作りに役立ちます。
さらに、「ミイダス組織サーベイ」では、社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態が把握できます。イノベーション創出への取り組みを行っても、社員がストレスを抱えて離職してしまっては意味がありません。ミイダスを活用すれば、サポートが必要な社員に対して、早急かつ的確に対応でき、離職回避につなげられます。
いまなら活躍・定着人材を分析できる「コンピテンシー診断」は15名まで無料でご利用いただけます。ぜひ以下よりぜひミイダスにご登録ください。
【1分で登録完了】組織の特徴や活躍する人材の特定をミイダスで始める
まずはイノベーションの詳しい意味と身近な具体例から、イノベーションがどのようなものか理解しましょう。
イノベーションは日本語で「技術革新」と翻訳されますが、正確には技術だけが対象ではありません。今までにない新しい仕組みや価値観、考え方などを取り入れた革新・新機軸もイノベーションに含まれます。
イノベーションを最初に定義した経済学者シュンペーターは、著書『経済発展の理論』のなかで、「経済発展には人口増加や気候変動などの外的な要因よりも、イノベーションのような内的な要因が主要な役割を果たす」と述べています。
つまり、これまでにない価値を発見して新たなブルーオーシャンを創出するような、社会にとってインパクトのある変革をもたらすものは、すべて「イノベーション」と呼べるのです。
ほかにも身近なイノベーションの事例として、次のようなものが挙げられます。
スマートフォンのように付随して新市場を創出するような大きなイノベーションもあれば、特定企業や市場を拡大するイノベーションなど、その規模はさまざまです。
イノベーションと似たような言葉として下記の2つが挙げられます。
- リノベーション
- 共創
それぞれの意味と、どのような違いがあるのか解説します。
リノベーション
リノベーション(Renovation)とは「革新」「改善」といった意味で使われる言葉です。イノベーションと似たような言葉ですが、使われ方は大きく異なります。
リノベーションは一般的に建築・リフォーム関係で用いられる言葉です。家全体を大幅改修して、まるで新築のような大規模工事のことを指す言葉として使われます。
一方のイノベーションは、新しい技術やアイデアを活用してまったく新しい価値を生み出す、といった意味で使われる言葉です。たとえば電球を発明したり、スマートフォンを生み出したりするような革新的な発明のことをビジネスでは「イノベーション」と呼びます。
どちらも「新しい価値を生み出す」という意味では共通している言葉です。しかし、リノベーションは主に建築関係で用いられる言葉であるのに対し、イノベーションはさまざまな分野で使われる言葉、という違いがあります。
リノベーションは一般的に建築・リフォーム関係で用いられる言葉です。家全体を大幅改修して、まるで新築のような大規模工事のことを指す言葉として使われます。
一方のイノベーションは、新しい技術やアイデアを活用してまったく新しい価値を生み出す、といった意味で使われる言葉です。たとえば電球を発明したり、スマートフォンを生み出したりするような革新的な発明のことをビジネスでは「イノベーション」と呼びます。
どちらも「新しい価値を生み出す」という意味では共通している言葉です。しかし、リノベーションは主に建築関係で用いられる言葉であるのに対し、イノベーションはさまざまな分野で使われる言葉、という違いがあります。
共創
共創とは、さまざまな立場の人が知識やノウハウなどのリソースも持ち寄って、新しい価値を生み出すことです。個人同士だけでなく、組織と組織が協力して新しい価値の創出を行うことも共創といえます。
イノベーションと似ている言葉ですが、違いもあります。たとえばイノベーションの場合は、企業内部や特定の組織だけで新しい価値創出を目指すものです。
また、規模感も異なります。共創の場合は「既存のモノやサービスの組み合わせ」といった規模感であるのに対し、イノベーションは「これまでの文化や習慣の大幅な変化」といった、より大きな規模感になります。
イノベーションと似ている言葉ですが、違いもあります。たとえばイノベーションの場合は、企業内部や特定の組織だけで新しい価値創出を目指すものです。
また、規模感も異なります。共創の場合は「既存のモノやサービスの組み合わせ」といった規模感であるのに対し、イノベーションは「これまでの文化や習慣の大幅な変化」といった、より大きな規模感になります。
イノベーションの種類イノベーションの種類や分類は提唱者やフレームワークごとに異なります。ここでは代表的な次の3つについて紹介します。- 「5種類のイノベーション」:イノベーションの対象で分類
- 「破壊的/持続的イノベーション」:イノベーションの市場への影響で分類
- 「オープン/クローズドイノベーション」:イノベーションを起こす手法で分類
上記3つのイノベーションは、分類する際の着眼点がそれぞれ異なります。詳しく見てみましょう。シュンペーターの「5種類のイノベーション」
イノベーションを最初に定義したヨーゼフ・シュンペーターは、イノベーションを次の5種類に分類しています。- プロダクト・イノベーション(創造的活動による新製品開発)
- プロセス・イノベーション(新生産方法の導入)
- マーケット・イノベーション(新マーケットの開拓)
- サプライチェーン・イノベーション(新たな資源の獲得)
- オーガニゼーション・イノベーション(組織の改革)
シュンペーターのフレームワークでは、イノベーションをする対象にもとづいて分類します。プロダクト・イノベーション
従来にない品質や機能の新製品を開発して、消費者に新たな価値を提供するイノベーションです。<事例>
・スマートフォン
・液体洗剤 などプロセス・イノベーション
生産工程や流通経路を改善し、生産性向上や事業成長に貢献するイノベーションです。<事例>
・ファブレス経営
・製造ロボットの導入 などマーケット・イノベーション
既存技術やスキルをもとに新たなマーケットへ参入したり、顧客の新たなニーズを形成したりするイノベーションです。<事例>
・フィルムメーカーが開発した基礎化粧品
・日本画用絵具メーカーが開発したマニキュア などサプライチェーン・イノベーション
資源の新たな供給源の確保や仕入れ先の獲得、流通ルートの改善などによって生産力や価格競争力をもたらすイノベーションです。<事例>
・ネットショップによる物流機能の強化
・ファストフード店のモバイルオーダー などオーガニゼーション・イノベーション
組織やビジネスモデルの変更や、組織運営方法の刷新により、組織を強化するイノベーションです。<事例>
・トップダウン方式からボトムアップ方式への変更
・フランチャイズシステムの導入 など近年は分類方法が変化
シュンペーターの分類は、もとは5種類に分類されていました。しかし、近年ではイノベーションの分類方法自体が変化し、「プロダクト・イノベーション」と「ビジネス・プロセス・イノベーション」の2つに分類されるのが一般的となっています。プロダクト・イノベーション
新しい、または改善された製品・サービス。当該企業の以前の製品・サービスとはかなり異なり、かつ市場に導入されているものを指します。ビジネス・プロセス・イノベーション
プロセス・イノベーション、オーガニゼーション・イノベーション、マーケティング・イノベーションが集約されたもの。1つ以上のビジネス機能についての新しい、または改善されたビジネス・プロセスで、当該企業の以前のビジネス・プロセスとは大きく異なり、かつ当該企業によって利用に付されているものを指します。
製品やサービスといったプロダクトに対するイノベーションなのか、プロダクト以外の部分についてのイノベーションなのかによって大まかに分類すると考えてください。クリステンセンの「破壊的/持続的イノベーション」
ハーバードビジネススクールのクレイトン教授は、イノベーションには次の2種類があると提唱しています。- 破壊的イノベーション
- 持続的イノベーション
イノベーションが起きると市場にはさまざまな変化が現れます。その際、どのような変化が起きるかによってイノベーションを分類するという考え方です。破壊的イノベーション
破壊的イノベーションには、以下の2つがあります。【新市場型】
新たな技術やアイデアアイディアによって新しい価値観を創造し、ニーズを作り出すイノベーション
【ローエンド型】
既存の優良なハイエンド商品を、技術やプロセスの革新によってローエンド市場向けに供給するイノベーション新市場型はスマートフォン、ローエンド型は100円均一ショップなどが事例として挙げられます。
破壊的イノベーションの特徴は、それによって既存の市場が破壊され、従来とは異なる顔ぶれの企業が支配権を獲得する点です。多くの場合、新興企業によって引き起こされます。持続的イノベーション
市場で優位を維持している優良企業が、生き残り続けるために改良や改善を継続するイノベーションです。
たとえば、家電や昔からある玩具のように、顧客のニーズやトレンドに応える形でバージョンアップを続けているようなプロダクトは、持続的イノベーションに入ります。
破壊的イノベーションと異なり、持続的イノベーションは既存市場と共存する形を取るのが特徴です。日本のモノづくり企業が得意としてきた「改善」や「PDCAサイクル」も、持続的イノベーションに効果的な手法といえるでしょう。
【PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】チェスブロウの「オープン/クローズドイノベーション」
ハーバード大学の経営学者ヘンリー・チェスブロウは、イノベーションを次の2種類にわけて提唱しています。- クローズドイノベーション
- オープンイノベーション
クローズドイノベーション
研究開発〜生産までをすべて自社で完結させる「自前主義」のイノベーション。日本の大企業をはじめ、かつては主流だった手法です。
ただし、- 研究開発人材の流動性の拡大
- 研究開発費の高騰
- グローバル化による競争環境の激化
といったビジネス環境の変化により、いまは次に説明するオープンイノベーションへ変更する企業が増えています。オープンイノベーション
オープンイノベーションは、大学や外部の研究機関、別業界の企業などと連携する手法です。秘密保持契約(NDA)を結んで共同開発を行ったり、ライセンスを受けたりする手法はオープンイノベーションに該当します。
イノベーションというと、このオープンイノベーションをイメージする方も多いのではないでしょうか。
自社で研究開発から始めるのが難しくなり、日本でも徐々にオープンイノベーションを取り入れる企業が増えています。なぜ企業にイノベーションが必要なのかイノベーションは古くからある概念ですが、とくに近年は多くの日本企業がイノベーションを必要としています。
その理由として、以下の3つが考えられます。- 技術の進化スピードが加速しているから
- 市場での優位性確保のチャンスが増えたから
- 労働力人口が減少しているから
技術の進化スピードが加速しているから
イノベーションが求められる理由の1つは、技術の進化スピードの加速です。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォンの所有率は、2022年の時点で約94%です。2010年の所有率約4%から、たった12年でガラケーから大部分のシェアを奪ったことがわかります。
一方、かつて多くの家庭にあった電話は、世帯普及率10%に達するまでに76年を要しました(参考:総務省「未来をつかむTECH戦略」)。
近年生まれた技術やテクノロジーの普及および進化のスピードは、電話が登場した時代より格段に上がっており、今後もますます加速すると予想されます。言い換えれば、ブルーオーシャンだった市場が、あっという間にレッドオーシャンへと変わってしまいます。
継続してイノベーションを生み出せる組織でないと、大企業であっても生き残るのが難しい時代なのです。市場での優位性確保のチャンスが増えたから
立ち回り次第で市場シェアを独占できるチャンスが増えた点も、イノベーションが必要とされる理由です。
たとえばスマートフォンが登場して以降、次のような変化がありました。- SNSが重要なマーケティング・チャネルになった
- さまざまなスマホアプリが登場した
- LINEなど連絡手段が多様化した
このような変化により、10年前は存在していなかった企業が市場のシェアを奪うケースも多々発生しています。
次々と新たな市場やマーケティング手法が開拓される時代では、大企業が必ずしも有利とはならず、中小企業でもイノベーションにより市場で優位に立てるチャンスがあるのです。労働力人口が減少しているから
少子高齢化による労働力人口の減少も、イノベーションが注目される背景の1つです。
人手不足は多くの日本企業にとって悩ましい課題です。人が入らず仕事が回らない一方で、人手不足を補うために長時間労働や過重労働を強いれば、ブラック企業としてますます人材集めが難航してしまいます。
生産方式やビジネスモデルの領域でイノベーションを起こせれば、- 社員一人ひとりの生産性向上につながる
- 企業全体の省人化が図れる
など、人手不足による課題の解決が期待できます。ミイダスは人材アセスメントを通じて
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日本企業のイノベーションの現状日本でもイノベーションに積極的に取り組む企業は増えましたが、他の国よりも後れをとっているのが現状です。
ここでは、日本企業のイノベーションの状況と、日本のイノベーション政策について解説します。日本企業はイノベーションの創出に苦戦している状態
バブル崩壊以降、日本では資本ストックや労働投入、TFP(全要素生産性)などの低下が続き、成長率が低下しています。
国によるイノベーション政策も行われていますが、とくに技術的イノベーション(プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション)を実現している企業の割合が非常に少ないというのが現状です。
これには、以下のような原因が考えられます。- 中長期視点での投資割合の低さ
- 仕事や業務の効率の悪さ
- 失敗を許容しない文化
- 人材不足 など
自社でイノベーションを起こせなければ、国内外の競合他社が先にイノベーションを起こしてしまうかもしれません。
これまでにも、Googleがスマートフォン向けに無料のカーナビゲーションアプリを提供したことにより、アプリ提供開始から4年間でカーナビゲーション機器メーカーの消費者向けの売上は半分に下がったという実例があります。
インターネットやクラウドコンピューティング、デジタル機器などの新技術を用いた製品やサービスは世界中に普及しており、SNSによって全世界に訴求が可能です。
Googleの例のような、短期間で一気に市場を変化させてしまう「ビッグバン・イノベーション」が起きやすい状況であり、また実際に起きています。
しかし、そのような国境を越えたビッグバン・イノベーションを起こしているのは海外企業が多く、日本発のものはあまり見られません。日本のイノベーション政策
日本では、2021年3月から5年間を対象に「科学技術・イノベーション基本計画」を策定しました。
この政策では「イノベーション力の強化」「研究力の強化」「教育・人材教育」を3本柱とし、政府として総額約30兆円の研究開発投資を目指すとしています。 イノベーション力の強化 ・社会のデジタル化、カーボンニュートラルの実現
・レジリエントで安全・安心な社会の構築
・社会実装による課題解決 研究力の強化 ・博士課程学生や若手・女性研究者の支援強化
・基礎研究・学術研究、人文・社会科学の振興
・大学改革(経営体への転換)、10億円規模の大学ファンド 教育・人材教育 ・初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進
・リカレント教育を促進する環境・文化の醸成
(出典:内閣府「科学技術・イノベーション」)
IoTやビッグデータ、人工知能、ロボットなどを取り入れた産業・技術革新が世界的に進みつつあるなかで、イノベーションの促進は官民が連携して取り組むべき課題となっています。
長引く不況で日本経済が弱体化するなか、科学技術イノベーションを経済再生の原動力にできるのか今後に注目されます。日本企業のイノベーションの成功事例日本企業はイノベーションの創出に苦戦していると前述しましたが、まったくイノベーションが起こっていないわけではありません。
ここからは、イノベーションに積極的に取り組み、成功した日本企業の事例を紹介します。
なお、ほかの企業の取り組みについても「オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」で紹介されています。メルカリ
メルカリは、不用品を販売したい人と中古品がほしい人をマッチングするCtoC販売プラットフォームを、スマートフォンアプリで提供している企業です。- 参入障壁が高くないビジネスモデルながら、先駆者利益を生かして国内シェアを維持
- メルカリ便などの利便性の高い発送方法でアクティブユーザーを確保
- テレビCMなどの集客施策に積極投資
上記のような施策により個人間の中古品ECという新たな市場を創出し、2013年創業から驚異的な成長スピードで中古品業界のメインプレイヤーとなりました。
メルカリでは、経営陣を含め社員がオープンにコミュニケーションを取れる環境を構築。社員の積極的な発信や、スピーディーな行動を促進できる風土作りにより、イノベーションの創出を実現しています。NTTドコモ
大手キャリアとして携帯電話サービスを軸とした通信事業を展開しているNTTドコモ。通信事業のほかにも、動画、音楽、電子書籍などのコンテンツ配信や金融・決済サービスなどを提供する「スマートライフ事業」にも注力しています。- 新規事業創出プログラム「39work」をスタートさせ、社内起業やベンチャー企業とのオープンイノベーションを推進
- 社外パートナーと得意分野を持ち寄り、プロジェクト体制を構築
- 小さなPDCAを高速で回して、プロジェクトの成否の判断をスピーディーに行う
NTTドコモでは、プロジェクトの成否と撤退の判断を早め、ダメージが少ない状態で次の挑戦に移れる仕組みを構築。39workでは、2014年7月から2022年6月末の約8年間で事業化プロジェクト42件、子会社設立数2件に成功しています(参考:「39work」)。任天堂
任天堂はNintendo Switchなどのゲーム機やソフトウェアの世界的なゲームメーカーです。1889年に京都の花札メーカーとして誕生して以降、時代の先行きを見据えたイノベーションを繰り返し、成長を実現してきました。- 過去の成功体験にとらわれない柔軟な経営戦略
- 長期的な視点に立った投資
- 多様な価値観を持つ人材が各々の才能を発揮できる体制・環境を構築
任天堂では、オープンイノベーションに重きを置いてハードウェアの生産を外注化。クリエイターが没頭できる環境を整えることで、新しいゲーム体験の創出に成功しています。企業がイノベーションを起こすうえでの課題ここからは、企業がイノベーションを起こすうえで何が課題となっているのか、主な事柄を紹介していきます。- 企業全体の意識が変わらない
- 風通しが悪くアイデアを出しにくい
- 過去の成功体験を重視しすぎる
- イノベーションのジレンマにとらわれている
それぞれ詳しく解説します。企業全体の意識が変わらない
「イノベーションが大切だ」とは理解していても、意識を変えるのは容易ではありません。現場はもちろん、特に経営層の意識が変わらなければイノベーションは起きにくいでしょう。
たとえば現場の意識が変わらなくても、経営層が旗を振って大幅な改革に取り組めば、働く人の意識が変わり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。しかし、現場の意識が変わっても経営層の意識が変わらないと、意見を述べにくくなってしまうでしょう。
企業全体の意識を変えていくことが大切ですが、そのなかでも特に経営層の意識改革は重要です。風通しが悪くアイデアを出しにくい
組織内の縄張り意識が強く、部署を越えて意見を交換したり交流したりする土壌がないため、アイデアを出しにくい企業もあります。このような場合、意見を持っていても他の部署を巻き込めずイノベーションを起こせない恐れが高まるでしょう。
また、イノベーションを起こすうえでは情報も重要になります。しかし部署間の風通しが悪いと、外部環境はもちろん社内の内部環境に関する情報も得られにくくなり、イノベーションを起こしにくいです。
風通しの悪さはアイデアの共有を難しくします。もし組織内の風通しが悪い場合は、定期的に人事異動を行ったり、部署間でコミュニケーションを取る機会を確保したりするなど、対策を練りましょう。過去の成功体験を重視しすぎる
「この方法で業界1位を獲得した」「会社のピンチをこのやり方で乗り越えた」といった成功体験は私たちを勇気づけてくれますが、ときにはこの成功体験がイノベーションの足を引っ張る場合があります。
そもそもイノベーションとは、今までのやり方を見直してより価値のあるプロダクトを生み出すことです。そのため、イノベーションを起こすなら過去の成功体験そのものを見直す必要があります。
たとえば「営業はお客様のもとへ足を運ぶもの」という前提を見直してみたり、「便利なツールやサービスに頼るのは無駄な出費」といった、既存の価値観を見直すところからはじめてみるなどが挙げられるでしょう。イノベーションのジレンマにとらわれている
イノベーションのジレンマとは、お客様の声を重視するあまりイノベーションを起こしにくくなってしまう状態を指します。
たとえば、すでに優れた商品・サービスを提供している企業の場合、リスクのあるイノベーションを起こすことよりも、顧客の声を分析してより喜ばれる要素を追加したほうが、より確実に評価されるでしょう。
しかし顧客の声に耳を傾けすぎた結果、イノベーションを起こす組織風土がなくなってしまい、ベンチャー企業やスタートアップといった新興企業に負けてしまう可能性も高いです。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。
イノベーションのジレンマを防ぐには、顧客の声を重視するだけでなく、継続的に新しいイノベーションに取り組むリソースを確保しておくことが大切です。企業がイノベーションを起こすために必要なことイノベーション推進の取り組みは企業や事業内容によって異なりますが、成功事例からイノベーションの創出に必要な軸が見えてきます。- 自社の存在意義と価値を再認識する
- イノベーションを起こしやすい文化・環境を作る
- 心理的安全性を高める
- 多様な人材の活躍を促す
それぞれについて詳しく解説します。自社の存在意義と価値を再認識する
イノベーションを実現するためには、次の3つを理解することが重要です。- 自社のいまの状況
- 自社の強み
- 自社のビジネスで何を成し遂げたいのか
自社の存在意義や提供価値、これまでの歴史を振り返り、顧客のニーズを本質的に理解する必要があります。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションを起こすには、組織にレジリエンスが高い人を取り入れる必要があります。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。心理的安全性を高める
イノベーションの促進に取り組むにあたって、「これをやれば絶対にイノベーションを起こせる」という完璧な答えはありません。むしろ、イノベーションの創出を狙ったチャレンジは、失敗する確率のほうが高いでしょう。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。- 小さくはじめて大きく育てる
- 失敗してもやり直せばよい
- チャレンジしたことを評価する
という柔軟な意識を経営者層をはじめとするリーダーが率先して持ち、社員を指導・サポートしていく必要があります。
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
イノベーション人材の育成についてはこちらの記事でも解説しております。
【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】多様な人材の活躍を促す
イノベーションを促進するには、多様な人材が活躍できる環境作りも重要です。つまり、ダイバーシティの推進です。
とくに女性管理職や外国人、異業種から転職した社員などが活躍できる場を提供できれば、今までにない新しい発想や考えが生まれる可能性が高まります。さまざまな視点で自社を分析することで、これまで気づかなかった自社の強みや価値に気づけるかも知れません。
また多様な人材の才能を活かすには、多様性を受け入れる風土づくりのほか、採用面でもそれまでとは違った軸で人材を受け入れる必要があります。- 異業種からの転職希望者
- 特定の分野に突出した成果を出せる人材
- 自社にはない技能を有した人材
など、従来の採用要件にとらわれない採用活動が求められます。
なおダイバーシティの概要や取り入れるメリットなどについては、こちらの記事をご参照ください。
【ダイバーシティとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】イノベーションを起こせる組織づくりを進めようイノベーションとは、「ビジネスに新しい価値を生み出す変革」を指します。産業・技術革新が世界的に進み、競争が激化しているいま、企業が成長を維持するにはイノベーションの推進が不可欠といえます。
それにはまず、自社の存在意義を再認識するとともに、イノベーションを起こしやすい組織づくりが必要です。
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- バイアス診断ゲームで仕事の意思決定の質を歪める認知バイアスを計測
チャレンジングな特性を持ち、かつ自社にあった人材が採用できるため、採用後のミスマッチが生まれにくい状態で活躍が期待できます。
ダイバーシティの促進においても、自社で活躍できるコンピテンシーを評価基準のベースとして、「多様な価値観」と「自社にあった特性」を両立した人材を採用でき、社内からイノベーションが起こる可能性が高められるでしょう。
また、自社の既存社員に活躍要因診断を受けてもらえば、社員それぞれの特性や得意分野が把握でき、イノベーションを起こしやすい組織作りに役立ちます。
さらに、「ミイダス組織サーベイ」では、社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態が把握できます。イノベーション創出への取り組みを行っても、社員がストレスを抱えて離職してしまっては意味がありません。ミイダスを活用すれば、サポートが必要な社員に対して、早急かつ的確に対応でき、離職回避につなげられます。
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・日本画用絵具メーカーが開発したマニキュア など
・ネットショップによる物流機能の強化
・ファストフード店のモバイルオーダー など
・トップダウン方式からボトムアップ方式への変更
・フランチャイズシステムの導入 など
製品やサービスといったプロダクトに対するイノベーションなのか、プロダクト以外の部分についてのイノベーションなのかによって大まかに分類すると考えてください。
新たな技術やアイデアアイディアによって新しい価値観を創造し、ニーズを作り出すイノベーション
【ローエンド型】
既存の優良なハイエンド商品を、技術やプロセスの革新によってローエンド市場向けに供給するイノベーション
破壊的イノベーションの特徴は、それによって既存の市場が破壊され、従来とは異なる顔ぶれの企業が支配権を獲得する点です。多くの場合、新興企業によって引き起こされます。
たとえば、家電や昔からある玩具のように、顧客のニーズやトレンドに応える形でバージョンアップを続けているようなプロダクトは、持続的イノベーションに入ります。
破壊的イノベーションと異なり、持続的イノベーションは既存市場と共存する形を取るのが特徴です。日本のモノづくり企業が得意としてきた「改善」や「PDCAサイクル」も、持続的イノベーションに効果的な手法といえるでしょう。
【PDCAサイクルとは?基本知識、古いと言われる理由、成功事例などを解説】
ただし、
イノベーションというと、このオープンイノベーションをイメージする方も多いのではないでしょうか。
自社で研究開発から始めるのが難しくなり、日本でも徐々にオープンイノベーションを取り入れる企業が増えています。
イノベーションは古くからある概念ですが、とくに近年は多くの日本企業がイノベーションを必要としています。
その理由として、以下の3つが考えられます。
その理由として、以下の3つが考えられます。
- 技術の進化スピードが加速しているから
- 市場での優位性確保のチャンスが増えたから
- 労働力人口が減少しているから
技術の進化スピードが加速しているから
イノベーションが求められる理由の1つは、技術の進化スピードの加速です。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォンの所有率は、2022年の時点で約94%です。2010年の所有率約4%から、たった12年でガラケーから大部分のシェアを奪ったことがわかります。
一方、かつて多くの家庭にあった電話は、世帯普及率10%に達するまでに76年を要しました(参考:総務省「未来をつかむTECH戦略」)。
近年生まれた技術やテクノロジーの普及および進化のスピードは、電話が登場した時代より格段に上がっており、今後もますます加速すると予想されます。言い換えれば、ブルーオーシャンだった市場が、あっという間にレッドオーシャンへと変わってしまいます。
継続してイノベーションを生み出せる組織でないと、大企業であっても生き残るのが難しい時代なのです。
NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、スマートフォンの所有率は、2022年の時点で約94%です。2010年の所有率約4%から、たった12年でガラケーから大部分のシェアを奪ったことがわかります。
一方、かつて多くの家庭にあった電話は、世帯普及率10%に達するまでに76年を要しました(参考:総務省「未来をつかむTECH戦略」)。
近年生まれた技術やテクノロジーの普及および進化のスピードは、電話が登場した時代より格段に上がっており、今後もますます加速すると予想されます。言い換えれば、ブルーオーシャンだった市場が、あっという間にレッドオーシャンへと変わってしまいます。
継続してイノベーションを生み出せる組織でないと、大企業であっても生き残るのが難しい時代なのです。
市場での優位性確保のチャンスが増えたから
立ち回り次第で市場シェアを独占できるチャンスが増えた点も、イノベーションが必要とされる理由です。
たとえばスマートフォンが登場して以降、次のような変化がありました。
たとえばスマートフォンが登場して以降、次のような変化がありました。
- SNSが重要なマーケティング・チャネルになった
- さまざまなスマホアプリが登場した
- LINEなど連絡手段が多様化した
このような変化により、10年前は存在していなかった企業が市場のシェアを奪うケースも多々発生しています。
次々と新たな市場やマーケティング手法が開拓される時代では、大企業が必ずしも有利とはならず、中小企業でもイノベーションにより市場で優位に立てるチャンスがあるのです。
次々と新たな市場やマーケティング手法が開拓される時代では、大企業が必ずしも有利とはならず、中小企業でもイノベーションにより市場で優位に立てるチャンスがあるのです。
労働力人口が減少しているから
少子高齢化による労働力人口の減少も、イノベーションが注目される背景の1つです。
人手不足は多くの日本企業にとって悩ましい課題です。人が入らず仕事が回らない一方で、人手不足を補うために長時間労働や過重労働を強いれば、ブラック企業としてますます人材集めが難航してしまいます。
生産方式やビジネスモデルの領域でイノベーションを起こせれば、
人手不足は多くの日本企業にとって悩ましい課題です。人が入らず仕事が回らない一方で、人手不足を補うために長時間労働や過重労働を強いれば、ブラック企業としてますます人材集めが難航してしまいます。
生産方式やビジネスモデルの領域でイノベーションを起こせれば、
- 社員一人ひとりの生産性向上につながる
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など、人手不足による課題の解決が期待できます。
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日本企業のイノベーションの現状日本でもイノベーションに積極的に取り組む企業は増えましたが、他の国よりも後れをとっているのが現状です。
ここでは、日本企業のイノベーションの状況と、日本のイノベーション政策について解説します。日本企業はイノベーションの創出に苦戦している状態
バブル崩壊以降、日本では資本ストックや労働投入、TFP(全要素生産性)などの低下が続き、成長率が低下しています。
国によるイノベーション政策も行われていますが、とくに技術的イノベーション(プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション)を実現している企業の割合が非常に少ないというのが現状です。
これには、以下のような原因が考えられます。- 中長期視点での投資割合の低さ
- 仕事や業務の効率の悪さ
- 失敗を許容しない文化
- 人材不足 など
自社でイノベーションを起こせなければ、国内外の競合他社が先にイノベーションを起こしてしまうかもしれません。
これまでにも、Googleがスマートフォン向けに無料のカーナビゲーションアプリを提供したことにより、アプリ提供開始から4年間でカーナビゲーション機器メーカーの消費者向けの売上は半分に下がったという実例があります。
インターネットやクラウドコンピューティング、デジタル機器などの新技術を用いた製品やサービスは世界中に普及しており、SNSによって全世界に訴求が可能です。
Googleの例のような、短期間で一気に市場を変化させてしまう「ビッグバン・イノベーション」が起きやすい状況であり、また実際に起きています。
しかし、そのような国境を越えたビッグバン・イノベーションを起こしているのは海外企業が多く、日本発のものはあまり見られません。日本のイノベーション政策
日本では、2021年3月から5年間を対象に「科学技術・イノベーション基本計画」を策定しました。
この政策では「イノベーション力の強化」「研究力の強化」「教育・人材教育」を3本柱とし、政府として総額約30兆円の研究開発投資を目指すとしています。 イノベーション力の強化 ・社会のデジタル化、カーボンニュートラルの実現
・レジリエントで安全・安心な社会の構築
・社会実装による課題解決 研究力の強化 ・博士課程学生や若手・女性研究者の支援強化
・基礎研究・学術研究、人文・社会科学の振興
・大学改革(経営体への転換)、10億円規模の大学ファンド 教育・人材教育 ・初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進
・リカレント教育を促進する環境・文化の醸成
(出典:内閣府「科学技術・イノベーション」)
IoTやビッグデータ、人工知能、ロボットなどを取り入れた産業・技術革新が世界的に進みつつあるなかで、イノベーションの促進は官民が連携して取り組むべき課題となっています。
長引く不況で日本経済が弱体化するなか、科学技術イノベーションを経済再生の原動力にできるのか今後に注目されます。日本企業のイノベーションの成功事例日本企業はイノベーションの創出に苦戦していると前述しましたが、まったくイノベーションが起こっていないわけではありません。
ここからは、イノベーションに積極的に取り組み、成功した日本企業の事例を紹介します。
なお、ほかの企業の取り組みについても「オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」で紹介されています。メルカリ
メルカリは、不用品を販売したい人と中古品がほしい人をマッチングするCtoC販売プラットフォームを、スマートフォンアプリで提供している企業です。- 参入障壁が高くないビジネスモデルながら、先駆者利益を生かして国内シェアを維持
- メルカリ便などの利便性の高い発送方法でアクティブユーザーを確保
- テレビCMなどの集客施策に積極投資
上記のような施策により個人間の中古品ECという新たな市場を創出し、2013年創業から驚異的な成長スピードで中古品業界のメインプレイヤーとなりました。
メルカリでは、経営陣を含め社員がオープンにコミュニケーションを取れる環境を構築。社員の積極的な発信や、スピーディーな行動を促進できる風土作りにより、イノベーションの創出を実現しています。NTTドコモ
大手キャリアとして携帯電話サービスを軸とした通信事業を展開しているNTTドコモ。通信事業のほかにも、動画、音楽、電子書籍などのコンテンツ配信や金融・決済サービスなどを提供する「スマートライフ事業」にも注力しています。- 新規事業創出プログラム「39work」をスタートさせ、社内起業やベンチャー企業とのオープンイノベーションを推進
- 社外パートナーと得意分野を持ち寄り、プロジェクト体制を構築
- 小さなPDCAを高速で回して、プロジェクトの成否の判断をスピーディーに行う
NTTドコモでは、プロジェクトの成否と撤退の判断を早め、ダメージが少ない状態で次の挑戦に移れる仕組みを構築。39workでは、2014年7月から2022年6月末の約8年間で事業化プロジェクト42件、子会社設立数2件に成功しています(参考:「39work」)。任天堂
任天堂はNintendo Switchなどのゲーム機やソフトウェアの世界的なゲームメーカーです。1889年に京都の花札メーカーとして誕生して以降、時代の先行きを見据えたイノベーションを繰り返し、成長を実現してきました。- 過去の成功体験にとらわれない柔軟な経営戦略
- 長期的な視点に立った投資
- 多様な価値観を持つ人材が各々の才能を発揮できる体制・環境を構築
任天堂では、オープンイノベーションに重きを置いてハードウェアの生産を外注化。クリエイターが没頭できる環境を整えることで、新しいゲーム体験の創出に成功しています。企業がイノベーションを起こすうえでの課題ここからは、企業がイノベーションを起こすうえで何が課題となっているのか、主な事柄を紹介していきます。- 企業全体の意識が変わらない
- 風通しが悪くアイデアを出しにくい
- 過去の成功体験を重視しすぎる
- イノベーションのジレンマにとらわれている
それぞれ詳しく解説します。企業全体の意識が変わらない
「イノベーションが大切だ」とは理解していても、意識を変えるのは容易ではありません。現場はもちろん、特に経営層の意識が変わらなければイノベーションは起きにくいでしょう。
たとえば現場の意識が変わらなくても、経営層が旗を振って大幅な改革に取り組めば、働く人の意識が変わり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。しかし、現場の意識が変わっても経営層の意識が変わらないと、意見を述べにくくなってしまうでしょう。
企業全体の意識を変えていくことが大切ですが、そのなかでも特に経営層の意識改革は重要です。風通しが悪くアイデアを出しにくい
組織内の縄張り意識が強く、部署を越えて意見を交換したり交流したりする土壌がないため、アイデアを出しにくい企業もあります。このような場合、意見を持っていても他の部署を巻き込めずイノベーションを起こせない恐れが高まるでしょう。
また、イノベーションを起こすうえでは情報も重要になります。しかし部署間の風通しが悪いと、外部環境はもちろん社内の内部環境に関する情報も得られにくくなり、イノベーションを起こしにくいです。
風通しの悪さはアイデアの共有を難しくします。もし組織内の風通しが悪い場合は、定期的に人事異動を行ったり、部署間でコミュニケーションを取る機会を確保したりするなど、対策を練りましょう。過去の成功体験を重視しすぎる
「この方法で業界1位を獲得した」「会社のピンチをこのやり方で乗り越えた」といった成功体験は私たちを勇気づけてくれますが、ときにはこの成功体験がイノベーションの足を引っ張る場合があります。
そもそもイノベーションとは、今までのやり方を見直してより価値のあるプロダクトを生み出すことです。そのため、イノベーションを起こすなら過去の成功体験そのものを見直す必要があります。
たとえば「営業はお客様のもとへ足を運ぶもの」という前提を見直してみたり、「便利なツールやサービスに頼るのは無駄な出費」といった、既存の価値観を見直すところからはじめてみるなどが挙げられるでしょう。イノベーションのジレンマにとらわれている
イノベーションのジレンマとは、お客様の声を重視するあまりイノベーションを起こしにくくなってしまう状態を指します。
たとえば、すでに優れた商品・サービスを提供している企業の場合、リスクのあるイノベーションを起こすことよりも、顧客の声を分析してより喜ばれる要素を追加したほうが、より確実に評価されるでしょう。
しかし顧客の声に耳を傾けすぎた結果、イノベーションを起こす組織風土がなくなってしまい、ベンチャー企業やスタートアップといった新興企業に負けてしまう可能性も高いです。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。
イノベーションのジレンマを防ぐには、顧客の声を重視するだけでなく、継続的に新しいイノベーションに取り組むリソースを確保しておくことが大切です。企業がイノベーションを起こすために必要なことイノベーション推進の取り組みは企業や事業内容によって異なりますが、成功事例からイノベーションの創出に必要な軸が見えてきます。- 自社の存在意義と価値を再認識する
- イノベーションを起こしやすい文化・環境を作る
- 心理的安全性を高める
- 多様な人材の活躍を促す
それぞれについて詳しく解説します。自社の存在意義と価値を再認識する
イノベーションを実現するためには、次の3つを理解することが重要です。- 自社のいまの状況
- 自社の強み
- 自社のビジネスで何を成し遂げたいのか
自社の存在意義や提供価値、これまでの歴史を振り返り、顧客のニーズを本質的に理解する必要があります。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションを起こすには、組織にレジリエンスが高い人を取り入れる必要があります。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。心理的安全性を高める
イノベーションの促進に取り組むにあたって、「これをやれば絶対にイノベーションを起こせる」という完璧な答えはありません。むしろ、イノベーションの創出を狙ったチャレンジは、失敗する確率のほうが高いでしょう。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。- 小さくはじめて大きく育てる
- 失敗してもやり直せばよい
- チャレンジしたことを評価する
という柔軟な意識を経営者層をはじめとするリーダーが率先して持ち、社員を指導・サポートしていく必要があります。
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
イノベーション人材の育成についてはこちらの記事でも解説しております。
【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】多様な人材の活躍を促す
イノベーションを促進するには、多様な人材が活躍できる環境作りも重要です。つまり、ダイバーシティの推進です。
とくに女性管理職や外国人、異業種から転職した社員などが活躍できる場を提供できれば、今までにない新しい発想や考えが生まれる可能性が高まります。さまざまな視点で自社を分析することで、これまで気づかなかった自社の強みや価値に気づけるかも知れません。
また多様な人材の才能を活かすには、多様性を受け入れる風土づくりのほか、採用面でもそれまでとは違った軸で人材を受け入れる必要があります。- 異業種からの転職希望者
- 特定の分野に突出した成果を出せる人材
- 自社にはない技能を有した人材
など、従来の採用要件にとらわれない採用活動が求められます。
なおダイバーシティの概要や取り入れるメリットなどについては、こちらの記事をご参照ください。
【ダイバーシティとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】イノベーションを起こせる組織づくりを進めようイノベーションとは、「ビジネスに新しい価値を生み出す変革」を指します。産業・技術革新が世界的に進み、競争が激化しているいま、企業が成長を維持するにはイノベーションの推進が不可欠といえます。
それにはまず、自社の存在意義を再認識するとともに、イノベーションを起こしやすい組織づくりが必要です。
そのために活用できるのが「ミイダス」です。フィッティング人材分析(活躍要因診断)でイノベーションを起こすための組織へ
「ミイダス」は人材の特徴や適性を分析できる、32万7,000社(2022年2月時点)導入のアセスメントリクルーティングサービスです。
独自の活躍要因診断で、以下のような分析が可能です。- 自社の組織としての現状を客観的に把握できる
- 全41項目からなるコンピテンシー(行動特性)診断により、社風やいまのチームにフィットしやすい人材を分析
- バイアス診断ゲームで仕事の意思決定の質を歪める認知バイアスを計測
チャレンジングな特性を持ち、かつ自社にあった人材が採用できるため、採用後のミスマッチが生まれにくい状態で活躍が期待できます。
ダイバーシティの促進においても、自社で活躍できるコンピテンシーを評価基準のベースとして、「多様な価値観」と「自社にあった特性」を両立した人材を採用でき、社内からイノベーションが起こる可能性が高められるでしょう。
また、自社の既存社員に活躍要因診断を受けてもらえば、社員それぞれの特性や得意分野が把握でき、イノベーションを起こしやすい組織作りに役立ちます。
さらに、「ミイダス組織サーベイ」では、社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態が把握できます。イノベーション創出への取り組みを行っても、社員がストレスを抱えて離職してしまっては意味がありません。ミイダスを活用すれば、サポートが必要な社員に対して、早急かつ的確に対応でき、離職回避につなげられます。
いまなら活躍・定着人材を分析できる「コンピテンシー診断」は15名まで無料でご利用いただけます。ぜひ以下よりぜひミイダスにご登録ください。
【1分で登録完了】組織の特徴や活躍する人材の特定をミイダスで始める
ここでは、日本企業のイノベーションの状況と、日本のイノベーション政策について解説します。
国によるイノベーション政策も行われていますが、とくに技術的イノベーション(プロダクト・イノベーション、プロセス・イノベーション)を実現している企業の割合が非常に少ないというのが現状です。
これには、以下のような原因が考えられます。
これまでにも、Googleがスマートフォン向けに無料のカーナビゲーションアプリを提供したことにより、アプリ提供開始から4年間でカーナビゲーション機器メーカーの消費者向けの売上は半分に下がったという実例があります。
インターネットやクラウドコンピューティング、デジタル機器などの新技術を用いた製品やサービスは世界中に普及しており、SNSによって全世界に訴求が可能です。
Googleの例のような、短期間で一気に市場を変化させてしまう「ビッグバン・イノベーション」が起きやすい状況であり、また実際に起きています。
しかし、そのような国境を越えたビッグバン・イノベーションを起こしているのは海外企業が多く、日本発のものはあまり見られません。
この政策では「イノベーション力の強化」「研究力の強化」「教育・人材教育」を3本柱とし、政府として総額約30兆円の研究開発投資を目指すとしています。
イノベーション力の強化 | ・社会のデジタル化、カーボンニュートラルの実現 ・レジリエントで安全・安心な社会の構築 ・社会実装による課題解決 |
研究力の強化 | ・博士課程学生や若手・女性研究者の支援強化 ・基礎研究・学術研究、人文・社会科学の振興 ・大学改革(経営体への転換)、10億円規模の大学ファンド |
教育・人材教育 | ・初等中等教育段階からのSTEAM教育やGIGAスクール構想の推進 ・リカレント教育を促進する環境・文化の醸成 |
IoTやビッグデータ、人工知能、ロボットなどを取り入れた産業・技術革新が世界的に進みつつあるなかで、イノベーションの促進は官民が連携して取り組むべき課題となっています。
長引く不況で日本経済が弱体化するなか、科学技術イノベーションを経済再生の原動力にできるのか今後に注目されます。
日本企業はイノベーションの創出に苦戦していると前述しましたが、まったくイノベーションが起こっていないわけではありません。
ここからは、イノベーションに積極的に取り組み、成功した日本企業の事例を紹介します。
なお、ほかの企業の取り組みについても「オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」で紹介されています。
ここからは、イノベーションに積極的に取り組み、成功した日本企業の事例を紹介します。
なお、ほかの企業の取り組みについても「オープンイノベーション白書 第三版 日本におけるイノベーション創出の現状と未来への提言」で紹介されています。
メルカリ
メルカリは、不用品を販売したい人と中古品がほしい人をマッチングするCtoC販売プラットフォームを、スマートフォンアプリで提供している企業です。
- 参入障壁が高くないビジネスモデルながら、先駆者利益を生かして国内シェアを維持
- メルカリ便などの利便性の高い発送方法でアクティブユーザーを確保
- テレビCMなどの集客施策に積極投資
上記のような施策により個人間の中古品ECという新たな市場を創出し、2013年創業から驚異的な成長スピードで中古品業界のメインプレイヤーとなりました。
メルカリでは、経営陣を含め社員がオープンにコミュニケーションを取れる環境を構築。社員の積極的な発信や、スピーディーな行動を促進できる風土作りにより、イノベーションの創出を実現しています。
メルカリでは、経営陣を含め社員がオープンにコミュニケーションを取れる環境を構築。社員の積極的な発信や、スピーディーな行動を促進できる風土作りにより、イノベーションの創出を実現しています。
NTTドコモ
大手キャリアとして携帯電話サービスを軸とした通信事業を展開しているNTTドコモ。通信事業のほかにも、動画、音楽、電子書籍などのコンテンツ配信や金融・決済サービスなどを提供する「スマートライフ事業」にも注力しています。
- 新規事業創出プログラム「39work」をスタートさせ、社内起業やベンチャー企業とのオープンイノベーションを推進
- 社外パートナーと得意分野を持ち寄り、プロジェクト体制を構築
- 小さなPDCAを高速で回して、プロジェクトの成否の判断をスピーディーに行う
NTTドコモでは、プロジェクトの成否と撤退の判断を早め、ダメージが少ない状態で次の挑戦に移れる仕組みを構築。39workでは、2014年7月から2022年6月末の約8年間で事業化プロジェクト42件、子会社設立数2件に成功しています(参考:「39work」)。
任天堂
任天堂はNintendo Switchなどのゲーム機やソフトウェアの世界的なゲームメーカーです。1889年に京都の花札メーカーとして誕生して以降、時代の先行きを見据えたイノベーションを繰り返し、成長を実現してきました。
- 過去の成功体験にとらわれない柔軟な経営戦略
- 長期的な視点に立った投資
- 多様な価値観を持つ人材が各々の才能を発揮できる体制・環境を構築
任天堂では、オープンイノベーションに重きを置いてハードウェアの生産を外注化。クリエイターが没頭できる環境を整えることで、新しいゲーム体験の創出に成功しています。
企業がイノベーションを起こすうえでの課題ここからは、企業がイノベーションを起こすうえで何が課題となっているのか、主な事柄を紹介していきます。- 企業全体の意識が変わらない
- 風通しが悪くアイデアを出しにくい
- 過去の成功体験を重視しすぎる
- イノベーションのジレンマにとらわれている
それぞれ詳しく解説します。企業全体の意識が変わらない
「イノベーションが大切だ」とは理解していても、意識を変えるのは容易ではありません。現場はもちろん、特に経営層の意識が変わらなければイノベーションは起きにくいでしょう。
たとえば現場の意識が変わらなくても、経営層が旗を振って大幅な改革に取り組めば、働く人の意識が変わり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。しかし、現場の意識が変わっても経営層の意識が変わらないと、意見を述べにくくなってしまうでしょう。
企業全体の意識を変えていくことが大切ですが、そのなかでも特に経営層の意識改革は重要です。風通しが悪くアイデアを出しにくい
組織内の縄張り意識が強く、部署を越えて意見を交換したり交流したりする土壌がないため、アイデアを出しにくい企業もあります。このような場合、意見を持っていても他の部署を巻き込めずイノベーションを起こせない恐れが高まるでしょう。
また、イノベーションを起こすうえでは情報も重要になります。しかし部署間の風通しが悪いと、外部環境はもちろん社内の内部環境に関する情報も得られにくくなり、イノベーションを起こしにくいです。
風通しの悪さはアイデアの共有を難しくします。もし組織内の風通しが悪い場合は、定期的に人事異動を行ったり、部署間でコミュニケーションを取る機会を確保したりするなど、対策を練りましょう。過去の成功体験を重視しすぎる
「この方法で業界1位を獲得した」「会社のピンチをこのやり方で乗り越えた」といった成功体験は私たちを勇気づけてくれますが、ときにはこの成功体験がイノベーションの足を引っ張る場合があります。
そもそもイノベーションとは、今までのやり方を見直してより価値のあるプロダクトを生み出すことです。そのため、イノベーションを起こすなら過去の成功体験そのものを見直す必要があります。
たとえば「営業はお客様のもとへ足を運ぶもの」という前提を見直してみたり、「便利なツールやサービスに頼るのは無駄な出費」といった、既存の価値観を見直すところからはじめてみるなどが挙げられるでしょう。イノベーションのジレンマにとらわれている
イノベーションのジレンマとは、お客様の声を重視するあまりイノベーションを起こしにくくなってしまう状態を指します。
たとえば、すでに優れた商品・サービスを提供している企業の場合、リスクのあるイノベーションを起こすことよりも、顧客の声を分析してより喜ばれる要素を追加したほうが、より確実に評価されるでしょう。
しかし顧客の声に耳を傾けすぎた結果、イノベーションを起こす組織風土がなくなってしまい、ベンチャー企業やスタートアップといった新興企業に負けてしまう可能性も高いです。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。
イノベーションのジレンマを防ぐには、顧客の声を重視するだけでなく、継続的に新しいイノベーションに取り組むリソースを確保しておくことが大切です。企業がイノベーションを起こすために必要なことイノベーション推進の取り組みは企業や事業内容によって異なりますが、成功事例からイノベーションの創出に必要な軸が見えてきます。- 自社の存在意義と価値を再認識する
- イノベーションを起こしやすい文化・環境を作る
- 心理的安全性を高める
- 多様な人材の活躍を促す
それぞれについて詳しく解説します。自社の存在意義と価値を再認識する
イノベーションを実現するためには、次の3つを理解することが重要です。- 自社のいまの状況
- 自社の強み
- 自社のビジネスで何を成し遂げたいのか
自社の存在意義や提供価値、これまでの歴史を振り返り、顧客のニーズを本質的に理解する必要があります。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションを起こすには、組織にレジリエンスが高い人を取り入れる必要があります。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。心理的安全性を高める
イノベーションの促進に取り組むにあたって、「これをやれば絶対にイノベーションを起こせる」という完璧な答えはありません。むしろ、イノベーションの創出を狙ったチャレンジは、失敗する確率のほうが高いでしょう。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。- 小さくはじめて大きく育てる
- 失敗してもやり直せばよい
- チャレンジしたことを評価する
という柔軟な意識を経営者層をはじめとするリーダーが率先して持ち、社員を指導・サポートしていく必要があります。
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
イノベーション人材の育成についてはこちらの記事でも解説しております。
【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】多様な人材の活躍を促す
イノベーションを促進するには、多様な人材が活躍できる環境作りも重要です。つまり、ダイバーシティの推進です。
とくに女性管理職や外国人、異業種から転職した社員などが活躍できる場を提供できれば、今までにない新しい発想や考えが生まれる可能性が高まります。さまざまな視点で自社を分析することで、これまで気づかなかった自社の強みや価値に気づけるかも知れません。
また多様な人材の才能を活かすには、多様性を受け入れる風土づくりのほか、採用面でもそれまでとは違った軸で人材を受け入れる必要があります。- 異業種からの転職希望者
- 特定の分野に突出した成果を出せる人材
- 自社にはない技能を有した人材
など、従来の採用要件にとらわれない採用活動が求められます。
なおダイバーシティの概要や取り入れるメリットなどについては、こちらの記事をご参照ください。
【ダイバーシティとは?企業の推進ポイントや効果、メリットを解説】イノベーションを起こせる組織づくりを進めようイノベーションとは、「ビジネスに新しい価値を生み出す変革」を指します。産業・技術革新が世界的に進み、競争が激化しているいま、企業が成長を維持するにはイノベーションの推進が不可欠といえます。
それにはまず、自社の存在意義を再認識するとともに、イノベーションを起こしやすい組織づくりが必要です。
そのために活用できるのが「ミイダス」です。フィッティング人材分析(活躍要因診断)でイノベーションを起こすための組織へ
「ミイダス」は人材の特徴や適性を分析できる、32万7,000社(2022年2月時点)導入のアセスメントリクルーティングサービスです。
独自の活躍要因診断で、以下のような分析が可能です。- 自社の組織としての現状を客観的に把握できる
- 全41項目からなるコンピテンシー(行動特性)診断により、社風やいまのチームにフィットしやすい人材を分析
- バイアス診断ゲームで仕事の意思決定の質を歪める認知バイアスを計測
チャレンジングな特性を持ち、かつ自社にあった人材が採用できるため、採用後のミスマッチが生まれにくい状態で活躍が期待できます。
ダイバーシティの促進においても、自社で活躍できるコンピテンシーを評価基準のベースとして、「多様な価値観」と「自社にあった特性」を両立した人材を採用でき、社内からイノベーションが起こる可能性が高められるでしょう。
また、自社の既存社員に活躍要因診断を受けてもらえば、社員それぞれの特性や得意分野が把握でき、イノベーションを起こしやすい組織作りに役立ちます。
さらに、「ミイダス組織サーベイ」では、社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態が把握できます。イノベーション創出への取り組みを行っても、社員がストレスを抱えて離職してしまっては意味がありません。ミイダスを活用すれば、サポートが必要な社員に対して、早急かつ的確に対応でき、離職回避につなげられます。
いまなら活躍・定着人材を分析できる「コンピテンシー診断」は15名まで無料でご利用いただけます。ぜひ以下よりぜひミイダスにご登録ください。
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たとえば現場の意識が変わらなくても、経営層が旗を振って大幅な改革に取り組めば、働く人の意識が変わり、イノベーションが生まれやすくなるかもしれません。しかし、現場の意識が変わっても経営層の意識が変わらないと、意見を述べにくくなってしまうでしょう。
企業全体の意識を変えていくことが大切ですが、そのなかでも特に経営層の意識改革は重要です。
また、イノベーションを起こすうえでは情報も重要になります。しかし部署間の風通しが悪いと、外部環境はもちろん社内の内部環境に関する情報も得られにくくなり、イノベーションを起こしにくいです。
風通しの悪さはアイデアの共有を難しくします。もし組織内の風通しが悪い場合は、定期的に人事異動を行ったり、部署間でコミュニケーションを取る機会を確保したりするなど、対策を練りましょう。
そもそもイノベーションとは、今までのやり方を見直してより価値のあるプロダクトを生み出すことです。そのため、イノベーションを起こすなら過去の成功体験そのものを見直す必要があります。
たとえば「営業はお客様のもとへ足を運ぶもの」という前提を見直してみたり、「便利なツールやサービスに頼るのは無駄な出費」といった、既存の価値観を見直すところからはじめてみるなどが挙げられるでしょう。
たとえば、すでに優れた商品・サービスを提供している企業の場合、リスクのあるイノベーションを起こすことよりも、顧客の声を分析してより喜ばれる要素を追加したほうが、より確実に評価されるでしょう。
しかし顧客の声に耳を傾けすぎた結果、イノベーションを起こす組織風土がなくなってしまい、ベンチャー企業やスタートアップといった新興企業に負けてしまう可能性も高いです。これを「イノベーションのジレンマ」と呼びます。
イノベーションのジレンマを防ぐには、顧客の声を重視するだけでなく、継続的に新しいイノベーションに取り組むリソースを確保しておくことが大切です。
イノベーション推進の取り組みは企業や事業内容によって異なりますが、成功事例からイノベーションの創出に必要な軸が見えてきます。
- 自社の存在意義と価値を再認識する
- イノベーションを起こしやすい文化・環境を作る
- 心理的安全性を高める
- 多様な人材の活躍を促す
それぞれについて詳しく解説します。
自社の存在意義と価値を再認識する
イノベーションを実現するためには、次の3つを理解することが重要です。
- 自社のいまの状況
- 自社の強み
- 自社のビジネスで何を成し遂げたいのか
自社の存在意義や提供価値、これまでの歴史を振り返り、顧客のニーズを本質的に理解する必要があります。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。
例えば任天堂は、かつて多角化を目指して専門外の分野に進出し、失敗した経験があります。そこから任天堂は自社の強みを「余暇の過ごし方の創造」と定め、顧客に新しい娯楽体験を提供するイノベーションを進めてきました。
顧客からみた自社のニーズを分析し、自社が持つリソースを最大限活用する方法を探すという思考の軸が、イノベーションの創出には不可欠だといえます。
イノベーションを起こしやすい環境を作る
イノベーションを起こすには、組織にレジリエンスが高い人を取り入れる必要があります。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。
レジリエンスは、ストレスや困難を受け止め、経験の糧として回復・成長できる能力です。レジリエンスの低い人が多い場合は、逆境に弱く、新しい課題への挑戦を避けがちな組織となってしまいます。
一方で、レジリエンスの高い人が多い組織では、課題解決や難しいプロジェクトへの挑戦などを成長の機会と捉えます。よって、イノベーションも起こしやすくなるのです。
変化が激しく予測が難しいVUCA時代では、チャレンジングな組織作りと、組織のチャレンジに対してきちんと投資する仕組み作りが必要です。
心理的安全性を高める
イノベーションの促進に取り組むにあたって、「これをやれば絶対にイノベーションを起こせる」という完璧な答えはありません。むしろ、イノベーションの創出を狙ったチャレンジは、失敗する確率のほうが高いでしょう。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。
そこで重要になるのが、社員一人ひとりの心理的安全性の確保です。失敗によりペナルティを受けたり、新しいアイデアを企画すると実行に際して重い責任を課されたりするような体制では、誰もチャレンジしようとは考えません。
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- 失敗してもやり直せばよい
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という柔軟な意識を経営者層をはじめとするリーダーが率先して持ち、社員を指導・サポートしていく必要があります。
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
イノベーション人材の育成についてはこちらの記事でも解説しております。
【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】
イノベーション創出のために必要なマインドを社内で共有し、チャレンジしやすい環境整備に取り組みましょう。
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【イノベーション人材とは?意味や採用・育成方法を解説】
多様な人材の活躍を促す
イノベーションを促進するには、多様な人材が活躍できる環境作りも重要です。つまり、ダイバーシティの推進です。
とくに女性管理職や外国人、異業種から転職した社員などが活躍できる場を提供できれば、今までにない新しい発想や考えが生まれる可能性が高まります。さまざまな視点で自社を分析することで、これまで気づかなかった自社の強みや価値に気づけるかも知れません。
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さらに、「ミイダス組織サーベイ」では、社員に定期的なアンケートを実施し、一人ひとりの社員の状態が把握できます。イノベーション創出への取り組みを行っても、社員がストレスを抱えて離職してしまっては意味がありません。ミイダスを活用すれば、サポートが必要な社員に対して、早急かつ的確に対応でき、離職回避につなげられます。
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