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採用

エッセンシャルワーカーとは?採用難の打開策を解説

エッセンシャルワーカーの採用に苦戦していませんか?エッセンシャルワーカーとは、社会の機能を維持するために不可欠な仕事に従事する人を指します。保育士や看護師、介護士など、社会を支える重要な職種ほど人手不足が深刻です。

しかし職種の特性を理解し、求職者のニーズを捉えた採用活動を行えば、優秀な人材の確保は可能です。本記事では、企業の人事や採用担当者向けに、エッセンシャルワーカーの待遇や課題、採用成功のポイントを業種別に解説します。

活躍人材・定着人材を見極める方法についても解説していますので、ぜひ最後までご一読ください。

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エッセンシャルワーカーとは「社会の屋台骨を支える人々」のこと

消防士レゴ
エッセンシャルワーカーとは、社会の機能を維持するために不可欠な仕事に従事する人々のことです。国際労働期間(ILO)の報告書では「キーワーカー」とも表現されています。

エッセンシャルワーカーは、私たちの日常生活を支えるさまざまな分野で活躍しています。彼らの献身的な働きがあってこそ、社会が円滑に機能しているのです。

2020年のCOVID-19パンデミックの際、多くの人々が自宅待機を余儀なくされました。そうした中でもエッセンシャルワーカーは、感染リスクや長時間労働といった困難な状況に直面しながらも、社会の機能を維持するために働き続けました。

このパンデミックを通じて、エッセンシャルワーカーの存在と重要性が、あらためて認識されたのです。

参考:エッセンシャルワークの重要性―ILO世界の雇用及び社会の見通し2023別冊|独立行政法人 労働施策研究・研修機構

エッセンシャルワーカーの職種一覧〜 社会を支える多彩な職種とは

では、エッセンシャルワーカーとは具体的にどのような職種に従事する人々を指すのでしょう。

エッセンシャルワーカーの対象範囲について、明確な定義はありません。一般的に、社会の基本的な機能を維持するために不可欠な職種が含まれます。

厚生労働省が2020年3月に発表した「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」では、緊急事態宣言下でも事業の継続が求められる分野を指定しています。これらの事業に従事する人々が、エッセンシャルワーカーとして認識されているのが一般的です。

下表は、エッセンシャルワーカーに該当する主な分野と、具体的な職種をまとめたものです。
分野具体的な職種
医療・医師
・看護師
・理学療法士
・診療放射線技師
・救急救命士
・作業療法士
・はり師
・きゅう師 など
介護・福祉・介護職員
・訪問介護員(ホームヘルパー)
・介護支援専門員(ケアマネージャー)
・生活相談員
・介護ドライバー
・生活支援員・障がい者支援施設職員
・障がい者居宅介護従事者 など
インフラ運営・電力
・ガス
・石油・石油化学
・上下水道
・通信・データセンター等
小売・スーパーマーケットの店員
・コンビニエンスストアの店員
・ドラッグストアの店員
・ホームセンターの店員
・ガソリンスタンドの店員 など
金融・銀行員
・信金・信組の職員 など
ゴミ処理関係・ゴミ収集作業員
育児サービス・保育士
・学童支援員 など
運輸・物流・鉄道、バス、タクシー運転手
・トラック運転手
・郵便配達員 など
行政・警察
・消防
・市役所、区役所職員など
参考:新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針 62〜63ページ|新型コロナウイルス感染症対策本部

エッセンシャルワーカーが直面する現状

エッセンシャルワーカーは、私たちの日常生活や社会機能の維持に欠かせない重要な役割を担っています。しかしその一方で、「低賃金」「非正規雇用」「人手不足」など、さまざまな課題に直面しているのが現状です。

ここでは、エッセンシャルワーカーが直面している課題を3つ挙げて、現状を具体的なデータを交えながら詳しく解説します。

低賃金(職種による)

社会に不可欠な役割を担っているにもかかわらず、エッセンシャルワーカーの待遇は十分とは言えません。

下記の図は、令和5年の産業別の平均賃金を示したグラフです。
職種別賃金グラフ
参考:厚生労働省の「​​令和5年賃金構造基本統計調査の概況」をもとに作成
エッセンシャルワーカーの多くが従事する以下3つの職種では、全産業平均の334.9千円を下回っています。
  • 運輸・郵便業 294.3(千円)
  • 卸売・小売 319.6(千円)
  • 医療・福祉 298.0(千円)
とくに、医療・福祉の平均賃金は、運輸・郵便業に次いで低く、パンデミック下で過酷な労働環境に置かれていた状況を考慮すると、待遇改善が急務です。一方、電気・ガス・熱供給・水道業は410.2千円と全産業平均を上回っており、インフラ関連のエッセンシャルワーカーの待遇は比較的良好と言えます。

エッセンシャルワーカーの多くが低賃金で働いている現状は問題であり、賃金の引き上げや労働環境の改善など、待遇の見直しが必要です。同時に、社会全体でエッセンシャルワーカーの貢献を正当に評価し、敬意を払う姿勢が求められています。

非正規雇用が多い

エッセンシャルワーカーの多くは、非正規の労働者で構成されています。下図は産業別の非正規雇用労働者数を示したグラフです。

このグラフから「卸売・小売」と「医療・福祉」の分野では、非正規雇用労働者の割合がとくに高いことがわかります。
産業別の非正規雇用労働者数の雇用形態別構成
出典:非正規雇用の現状①(雇用形態別)|首相官邸ホームページ
非正規雇用は一般的に賃金が低く、雇用も不安定です。社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーの多くが、このような不安定な立場に置かれているのが現状なのです。

エッセンシャルワーカーの処遇改善のためには、非正規雇用の問題にも着目する必要があるでしょう。

深刻な人手不足

エッセンシャルワーカーの職種では、慢性的な人手不足が深刻化しています。令和6年8月における全職種の有効求人倍率の平均値は1.23倍です。

エッセンシャルワーカーの有効求人倍率はいずれも平均を大きく上回っており、人材確保の難しさが浮き彫りになっています。

エッセンシャルワーカーの業種と具体的な職種、および有効求人倍率は下表のとおりです。
業種 具体的な職種 有効求人倍率(倍)
小売業 販売従事者 2.04
医療 医師・歯科医師・獣医師・薬剤師 3.14
保健師・助産師・看護師 2.27
医療技術者 3.09
介護 介護サービス職業従事者 4.02
行政 保安職業従事者(警察官・自衛官など) 6.71
参考:一般職業紹介状況(令和6年8月分)について|厚生労働省

とくに、介護サービス職業従事者の有効求人倍率は4.02倍、保安職業従事者にいたっては6.71倍と、極めて高い数値を示しています。

社会の基盤を支えるエッセンシャルワーカーの人手不足は深刻であり、働き手の確保と定着が喫緊の課題です。賃金の引き上げや労働環境の改善など、エッセンシャルワーカーとして働く魅力を高める取り組みが不可欠であり、人手不足解消に向けて、官民一体となった取り組みが求められています。

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エッセンシャルワーカーの待遇改善:先進企業や政府の取り組みから学ぶ

エッセンシャルワーカーの人手不足と待遇の問題が明らかになる中、この課題解決に向けて積極的に取り組む事例が増えています。国の政策として取り組むだけでなく、民間企業単位でも待遇改善に乗り出す動きが見られるのです。

ここでは、エッセンシャルワーカーの待遇改善に関する3つの先進的な取り組み事例を紹介します。これらの事例から、エッセンシャルワーカーの処遇改善に向けた有効な方策を学べるでしょう。

小売業の事例

イオンは2024年度からグループ40社で、店舗の売り場責任者を務めるパート職員の待遇を正社員と同等にすることを決定しました。基本給や手当から賞与、退職金まで、一時間当たりの支給額を正社員と同じ水準に揃えます。

ただし、正社員と同じ待遇を受けるためには、昇格試験に合格し、月120時間以上働くことが条件。現在、約150人の売り場責任者がこの制度の対象となっており、一部地域では年収が2割程度上昇したとのことです。

イオンの吉田昭夫社長は、雇用条件の差が現場力の差につながり、改善を怠る企業との格差が生まれると指摘しています。非正規と正規の格差是正が企業の競争力にも影響するため、この動きが他の企業にどれだけ広がるかが注目されます。

参考:田中洋子(編著)『エッセンシャルワーカー社会に不可欠な仕事なのに、なぜ安く使われるのか』旬報社 P50

保育士の事例

民間保育園では、平成25年度以降、保育士の給与をひとりあたり約14%(月額約4万4千円)アップし、さらに個人の技能や経験に応じて月に最大4万円の給与アップも実現しました。

また、令和4年2月からは収入を3%程度(月額9,000円)引き上げる措置も導入。加えて、保育士の業務負担を軽減する取り組みも行われています。具体例は以下のとおりです。
  • 保育補助者の採用を応援
  • 複数人で業務を分担する体制の整備
  • ICTを活用して事務作業を効率化
これらの措置により、保育士が保育に専念できる環境が整備され、保育の質の向上が図られています。

今後も、保育士の待遇改善と働きやすい環境の整備が継続的に行われることが期待されます。民間保育園の取り組みは、エッセンシャルワーカーの処遇改善に向けた一つのモデルケースとして、他の業種においても参考にすべき点が多いと言えるでしょう。

参考:保育士の働く環境は?3つの改善|厚生労働省

介護職員の事例

介護職員の処遇改善のため、国は介護職員処遇改善加算を導入しました。事業所が一定の要件を満たせば、職員1人あたり最大月3万7千円相当の賃金改善が可能です。また、この加算は事業所を対象としており、得られた利益は賃金アップや職場環境改善に充てられます。

さらに、特定処遇改善加算では、経験・技能のある職員により手厚い配分ができます。

今後も介護報酬の引き上げなどで処遇改善が進む見通しであり、職員にとってキャリアアップのチャンスと言えるでしょう。

一方で、改善の実施方法は事業所に委ねられているため、各自が支給額や対象かどうかを確認することが重要です。

参考:介護職員処遇改善加算のご案内
参考:福祉・介護職員の処遇改善


以上の事例から、エッセンシャルワーカーの待遇改善には多角的なアプローチが必要であることがうかがえます。

これらの取り組みを参考に、自社のエッセンシャルワーカーの採用と定着に向けた施策を検討しましょう。待遇面の改善は、エッセンシャルワーカーの確保と社会インフラの維持に不可欠な要素です。

業種別エッセンシャルワーカー採用の極意

握手する手
エッセンシャルワーカーの人手不足は深刻であり、業種によって採用のポイントは異なります。以下4つの職種に焦点を当て、それぞれの採用成功のコツを解説します。
  • 保育士
  • トラックドライバー
  • 看護師
  • ホテルスタッフ
共通するポイントも押さえつつ、職種特性に応じた採用活動の工夫が求められます。マッチする人材を見極め、丁寧なフォローを行うことで、エッセンシャルワーカーの採用と定着につなげましょう。

保育士を採用するポイント

保育士の採用成功のポイントは以下の通りです。
・自園の魅力や保育理念を求人情報で明確に伝える
・経験だけでなく、意欲や熱意を重視して選考する
・面接では保育観や子ども観、適応力、協調性などを丁寧に確認する
・職場見学や実技試験、適性検査など多角的な選考を行う
・内定承諾後も定期的に連絡を取り、不安を解消するフォローアップを行う
保育士採用では、自園の保育理念や特色と合致する人材を見極めることが重要です。求人情報では、園の魅力を具体的に伝え、共感できる人材の応募を促しましょう。選考では、経験だけでなく、保育への情熱や子どもとの接し方など、実践力を多角的に評価することが求められます。

また、内定後のフォローアップを丁寧に行い、スムーズな入職を支援することも欠かせません。保育士採用は、長期的な視点に立ち、定着を見据えた取り組みが必要です。働きやすい環境整備や研修制度の充実など、継続的な支援により、保育士とともに園の発展を目指しましょう。

以下の記事では保育士採用のポイントについて、さらに詳しく解説しています。

【関連記事:保育士を採用するには?求人・選考方法と定着率アップのコツを解説

トラックドライバーを採用するポイント

トラックドライバーの採用では、以下のポイントが重要です。
・給与や休日などの労働条件を具体的に提示する(歩合給の場合はモデル年収も)
・免許取得費用の補助や有給の取得しやすさなど、福利厚生をアピールする
・女性や未経験者も歓迎する姿勢を示し、多様な人材が活躍できる職場であることを伝える
採用方法は複数の手法を組み合わせるのが効果的です。

【主な採用手法例】
  • 転職サイト
  • ハローワーク
  • リファラル採用
  • ダイレクトリクルーティング
  • SNS採用 など
求職者との接点を増やし、会社の魅力を積極的に伝えましょう。優秀なドライバーの採用につながります。

以下の記事ではドライバーを採用するポイントについて、詳しく解説しています。

【関連記事:ドライバーを採用するには?成功させるポイントやおすすめサービスを紹介

看護師を採用するポイント

看護師を採用するポイントは以下のとおりです。
・採用後のオンボーディングプロセスへの注力
・給与以外の魅力の訴求
看護師の採用成功には、独り立ちまでの計画を立て、段階的にサポートすることが重要です。マニュアルやオリエンテーションの整備、教育担当者の配置など、スムーズに職場に馴染める体制づくりが求められます。

また、働きやすさやキャリアアップの機会など、給与以外の魅力をさまざまな観点から伝える取り組みも欠かせません。自院の理念や方針、求める人物像を明確にし、マッチする人材を見極めましょう。丁寧なオンボーディングで定着を促すことが、看護師の採用成功のカギとなります。

看護師採用については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:看護師を採用するにはどんな方法がおすすめ?応募が集まらないときの解決策

ホテルスタッフを採用するポイント

ホテルスタッフの採用成功には、労働環境の改善と戦略的な採用活動が不可欠です。

【労働環境の改善】
  • 給与水準の引き上げ
  • 働き方改革の推進
  • 人材育成制度の構築
  • DXツールの導入による業務効率化
【採用活動のポイント】
  • 採用ターゲットの見直し
  • ホテルの魅力発信
  • 採用チャネルの多様化
離職率の高いホテルスタッフの採用では、スタッフファーストの姿勢で労働環境を整備し、戦略的な採用活動を行うことが重要です。給与水準の引き上げや働き方改革、人材育成制度の構築などにより、魅力的な職場環境を整えましょう。

また採用ターゲットの見直しやSNSを活用したホテルの魅力発信、多様な採用チャネルの活用により、優秀な人材の確保につなげられます。

ホテルスタッフの採用については、下記の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:ホテルスタッフを採用するには?離職率が高い理由や採用成功のポイントも解説

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