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勤怠とは?今さら聞けない定義や管理方法、管理する際の注意点を解説

「勤怠」という言葉を日常的に使っていても、その正確な意味や、企業にとってなぜそこまで重要なのか、深く考えたことがない方もいるのではないでしょうか。特にこれから勤怠管理システムやツールの導入を予定している場合、基本をしっかりと押さえることは、最適なシステム選びやスムーズな運用に欠かせません。

本記事では「勤怠」の正確な定義から、混同しやすい言葉との違いを明確にし、企業が勤怠管理を行う目的、勤怠管理の方法を解説します。

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勤怠とは?定義を確認

時計と砂時計
「勤怠」とは、従業員の働く時間に関するあらゆる情報を指します。

労働基準法では、企業に対して従業員の正確な労働時間(勤怠)を把握・管理することを義務付けています。なぜなら、適正な給与計算や労働時間の上限規制の遵守、従業員の健康管理などに不可欠だからです。

勤怠管理では、おもに以下のような項目を記録・管理します。
  • 出勤・退勤時刻
  • 休憩時間
  • 時間外労働時間
  • 休日労働時間
  • 休暇取得状況
  • 遅刻・早退・欠勤
これらの記録は、企業が労働基準法を遵守し、従業員との信頼関係を築くうえで非常に重要となります。

「勤怠」と似ている言葉との違い

勤怠と似ている言葉として、以下のようなものが挙げられます。
  • 勤退
  • 勤務
  • 出勤・退勤
勤怠の理解を深めるためにもそれぞれの意味を理解しておきましょう。

「勤退」との違い

「勤怠(きんたい)」と「勤退(きんたい)」は、同音異義語であり、それぞれ異なる意味を持ちます。「勤退」は「出勤」と「退勤」という特定の行為のみを指す言葉です。文字通り、会社に来ること(勤)と会社から帰ること(退)を表します。一方「勤怠」は、従業員の勤務状況全般を指します。

「勤務」との違い

「勤怠」と似た言葉に「勤務」があります。勤務は従業員が会社などで、労働契約に基づいて業務を行うことそのものを指します。労働時間や場所にかかわらず、労働に従事している状態や行為全般を意味します。「勤務」が働く行為そのものであるのに対し、「勤怠」は働くことに関する状態や記録・管理といった側面が強調されます。

「出勤」「退勤」との違い

「出勤」と「退勤」は、勤怠を構成する要素の一部です。出勤は勤務を開始するために職場に到着することや、業務を開始することを指し、退勤は、勤務を終了して事業場から離れることや業務を終了することを指します。これに対し、「勤怠」は従業員の「働く状況全般」を指す広い概念です。

企業が勤怠管理を行う目的

目的
企業が勤怠管理を行う目的を説明します。

正しい給与計算のため

企業が勤怠管理を行う最も基本的な目的の1つは、従業員へ支払う給与を正確に計算することです。労働時間や残業時間、休日出勤、遅刻、早退、欠勤、有給休暇の取得状況などを正確に把握することで、労働基準法に基づいた適切な賃金計算が可能になります。

勤怠情報の正確な管理は、従業員からの信頼を得るためにも不可欠です。曖昧な勤怠管理は給与計算のミスにつながり、従業員の不満やトラブルの原因となる可能性があります。正確な勤怠記録に基づいた給与計算は、企業と従業員の双方にとって重要な信頼基盤となります。

法令(労働基準法など)遵守のため

企業が勤怠管理を行う重要な目的の1つに、労働基準法をはじめとする各種法令の遵守があります。労働基準法では、労働時間・休憩・休日・時間外労働(残業)などに関する詳細な規定が設けられています。

勤怠管理を適切に行うことで、これらの法令に則った適正な労働環境を確保し、企業は法的なリスクを回避できます。また、労働基準監督署による調査が入った際にも、適切な勤怠記録があればスムーズに対応できるでしょう。

従業員の健康管理のため

勤怠管理は、単に労働時間を記録するだけでなく、従業員の健康状態を把握する上でも重要な役割を果たします。長時間労働や休日労働が常態化していないかを確認することで、過重労働による健康障害のリスクを早期に発見できます。

これらの勤怠データを分析することで、疲労の蓄積が懸念される従業員に対し、産業医面談の実施を促したり、業務量の調整を行ったりするなどの対策を講じられます。

労働時間の上限規制に対応するため

2019年4月より、働き方改革関連法によって労働時間の上限規制が強化されました。これは、従業員の健康確保やワークライフバランスの実現を目的としています。

働き方改革関連法では、残業時間の上限が原則として月45時間、年360時間となり、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満といった厳しい上限が設けられています。

企業はこの上限規制を遵守するために、従業員の労働時間を正確に把握し、管理する必要があります。勤怠管理は、従業員の残業時間や休日労働時間をリアルタイムに把握し、上限を超えそうな従業員にアラートを出すなどの対応を可能にします。

勤怠管理で記録・把握すべきおもな項目

勤怠管理では、従業員の正確な労働実態を把握するため、以下の項目を記録・管理する必要があります。
  • 出勤・退勤時刻
  • 休憩時間
  • 勤務時間・労働時間(所定内労働時間、法定内労働時間)
  • 時間外労働(残業時間)、深夜労働時間、休日労働時間
  • 休暇(年次有給休暇、特別休暇など)
  • 欠勤
  • 遅刻・早退
特に労働時間については、所定労働時間と法定労働時間を区別し、時間外労働、深夜労働、休日労働についても正確に把握することが重要です。これらの情報は適正な給与計算や労働基準法などの法令遵守のために不可欠となります。

また、年次有給休暇の取得状況や欠勤、遅刻、早退などの記録も、従業員の勤怠状況や健康状態を把握する上で重要な項目です。これらの項目を適切に記録・管理することで、企業は従業員の働き方を正確に把握し、適切な労務管理を行えます。

勤怠管理の対象となる従業員と、適用されないケース

虫眼鏡
勤怠管理の対象となる従業員と、対象とならない従業員(労働時間規制が適用されないケース)がいます。それぞれについて説明します。

勤怠管理が必要な一般的な従業員

勤怠管理は、基本的に企業のすべての従業員に対して行う必要があります。正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトといった雇用形態にかかわらず、労働基準法の労働時間に関する規定が適用される従業員は、勤怠管理の対象となります。

具体的には、以下の従業員が該当します。
  • 正社員
  • 契約社員
  • パートタイム労働者
  • アルバイト
  • 派遣社員(派遣元企業が実施)
これらの従業員について、企業は労働時間や休日を正確に把握する義務があります。これは、適切な給与計算や労働基準法遵守のために不可欠です。

ただし、一部の従業員や特定の事業については、労働時間に関する規定の適用が除外されるケースがあります。これについては後述します。

労働時間規制の適用が除外されるケース(管理監督者など)

労働基準法では原則としてすべての従業員に労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されますが、一部の従業員についてはこれらの規制が適用されない、または一部適用が除外されるケースがあります。おもな例は以下のとおりです。
  • 管理監督者:経営者と一体的な立場で業務を行っていると認められる従業員。労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外される。ただし、深夜労働に関する規定(割増賃金)は適用される
  • 機密事務取扱者:秘書など、経営上の重要事項に直接関わる業務を行う従業員。管理監督者と同様、労働時間、休憩、休日に関する規定の適用が除外される
  • 監視又は断続的労働に従事する者:特定の条件を満たし、労働基準監督署長の許可を受けた場合に、労働時間、休憩に関する規定が適用除外される。例として、守衛などが挙げられる
ただし、上記の従業員についても、深夜労働や年次有給休暇に関する規定は原則として適用されるため、勤怠管理の必要性が全くなくなるわけではありません。対象者の範囲を正しく理解することが重要です。

事業の種類による適用除外

労働時間規制は、原則としてすべての事業に適用されますが、一部の事業については適用が除外される場合があります。これは、事業の性質上、労働時間管理になじまないといった理由によるものです。

具体的には、以下の事業が労働時間規制の適用を除外されるケースとして挙げられます。
  • 林業:造林、伐木、運材等の事業
  • 畜産・水産事業:養蚕、水産に関する事業(漁業、水産加工業を除く)
これらの事業に携わる労働者については、労働時間、休憩、休日に関する労働基準法の規定が適用されません。ただし、年次有給休暇や深夜業、危険有害業務に関する規制は適用されます。

おもな勤怠管理の方法

出勤簿
勤怠管理にはさまざまな種類があります。ここでは4種類の勤怠管理を紹介します。

手書き・紙媒体

最も原始的な勤怠管理の方法として、手書きによる記録や紙媒体での管理があります。出勤簿やタイムシートなどに、従業員自身が手書きで時刻を記入する方法です。

この方法のメリットは、特別なツールやシステムを導入する必要がなく、コストがかからない点です。そのため、小規模な事業所や、一時的に勤怠管理が必要な場合に利用されることがあります。しかし虚偽の集計や記入ミス、不正行為のリスクなどのデメリットも多く存在します。

タイムカード

タイムカードは、専用のタイムレコーダーにカードを挿入することで出勤・退勤などの時刻を記録する方法です。歴史のある勤怠管理方法の1つで、多くの企業で長らく利用されてきました。

比較的に安く導入できる、操作がシンプルなどといったメリットがある反面、集計作業に手間と時間がかかる、テレワークなどの多様な働き方に対応しにくいというデメリットもあります。

Excelやスプレッドシート

Microsoft ExcelやGoogleスプレッドシートなどの表計算ソフトを用いた勤怠管理方法です。従業員各自または担当者がデータを入力し、計算式を用いて集計を行います。表計算ソフトは多くの企業で利用されているツールのため導入しやすく、関数やマクロを活用すれば、ある程度の自動化が可能です。

しかし従業員数が増えたり、働き方が多様化したりすると、管理が煩雑になり、ヒューマンエラーのリスクが高まる点に注意が必要です。

勤怠管理システム

近年、多くの企業で導入が進んでいるのが「勤怠管理システム」です。従業員の出勤・退勤時刻や労働時間、休暇などの勤怠情報をデジタルデータとして収集・記録・集計し、一元的に管理するためのシステムです。

勤怠管理システムのメリット・デメリットについては後ほどくわしく説明します。

勤怠管理システムを導入する際のメリット

メリット
勤怠管理システムを導入するメリットを紹介します。

業務効率の向上

勤怠管理システムを導入することで、勤怠管理に関する業務効率が大幅に向上します。具体的には、以下のようなメリットが挙げられます。
  • 集計・計算業務の自動化
  • 申請・承認フローの効率化
  • データの連携
これらの効率化により、担当者の負担が軽減され、より戦略的な業務に時間を割くことが可能になります。また、リアルタイムでの勤怠状況の把握も容易になり、迅速な対応が可能となるでしょう。

ミスの削減

勤怠管理システムを導入することで、人的なミスを大幅に削減できます。手書きやExcelでの管理では、以下のようなさまざまなミスが発生しやすくなります。
  • 時刻の打ち間違い
  • 休憩時間の計算間違い
  • 労働時間の集計ミス
  • 休暇日数の誤集計 など
特に、複雑な労働時間計算や複数の従業員のデータを扱う場合、手作業でのミスは避けられません。

一方、勤怠管理システムであれば、打刻された時刻に基づいて自動的に労働時間や各種手当の計算が行えます。給与計算の基となる勤怠データが正確になり、給与計算担当者の負担軽減とミスの削減につながるでしょう。

法令順守の強化

勤怠管理システムを導入することで、労働基準法をはじめとするさまざまな法令への準拠を強化できます。手作業での管理では見落としがちな、複雑な労働時間計算や休暇取得状況などを正確に把握できるためです。

具体的には、以下のような法令順守に役立ちます。
  • 労働時間の上限規制への対応
  • 休憩時間の適切な付与
  • 年次有給休暇の管理
  • 36協定の遵守
これらの法令に違反すると、企業は罰則を受ける可能性があります。システムを活用することで、法令順守を徹底し、リスクを低減することが可能です。

【関連記事:36協定とは?メリット・デメリットや書式について解説

勤怠管理システムを導入する際のデメリット

デメリット
勤怠管理システムを導入する場合、少なからずデメリットも生じます。

導入コスト

勤怠管理システムを導入する際には、初期費用や月額費用といったコストが発生します。費用はシステムの種類や機能によって大きく異なりますが、大規模なシステムや多機能なシステムを導入する場合は初期費用が高額になる傾向があります。また、従業員数に応じた従量課金制を採用しているシステムもあるでしょう。

導入を検討する際は、自社の規模や必要な機能を考慮し、複数のシステムを比較検討することが重要です。予算とのバランスを考慮しながら、費用対効果の高いシステムを選ぶ必要があります。

従業員への周知・教育

新しい勤怠管理システムを導入する際は、従業員への丁寧な周知と教育が非常に重要です。システムの使い方を理解してもらい、正しく運用してもらうためのステップとなります。

具体的には、以下の点を明確に伝える必要があります。
  • システムの操作方法(打刻方法、申請方法など)
  • システム導入の目的とメリット(業務効率化、正確な記録など)
  • 新しいルールや変更点
操作マニュアルを作成したり、説明会を実施したりすることが有効です。特に、ITツールに慣れていない従業員や、多様な働き方をしている従業員に対しては、個別のサポートも検討しましょう。従業員一人ひとりがシステムをスムーズに使えるようになることで、導入効果を最大限に引き出せます。

セキュリティリスク

勤怠管理システムは、従業員の個人情報や勤務情報といった機密性の高いデータを扱います。そのため、情報漏洩や不正アクセスといったセキュリティリスクが存在します。

システム選定時には、提供ベンダーのセキュリティ対策状況を確認することが重要です。また従業員に対しても、パスワード管理の徹底など、セキュリティ意識を高めるための教育を行う必要があるでしょう。

勤怠管理における注意点

注意点
最後に、勤怠管理における注意点を紹介します。

不正打刻や改ざんへの対策

勤怠管理において、不正打刻や記録の改ざんは正確な労働時間把握を妨げ、正しい給与計算や法令順守に影響を及ぼす可能性があります。こうした不正行為を防ぐためには、以下のような対策を講じることが重要です。
  • 記録担当者とは別の担当者が確認する体制を設ける
  • 手書きや押印などの改ざんしやすい方法から、ICカードや生体認証を用いたシステムへの移行を検討する
  • タイムスタンプ機能を持つ勤怠管理システムを導入し、打刻時刻の信頼性を高める
  • 管理者が従業員の打刻状況や勤務時間を定期的に確認する
  • 不正行為に対する罰則規定を明確にし、従業員に周知徹底する
特にリモートワークなど場所を問わない働き方においては、ITツールを活用した位置情報確認やPCログとの連携なども有効な対策となります。

多様な働き方(テレワーク、フレックスなど)への対応

近年、テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方が普及しています。これらの働き方に対応するためには、従来の画一的な勤怠管理方法では不十分となるケースがあります。

たとえば、テレワークではオフィスへの出社が不要なため、タイムカードや紙での記録が困難です。また、フレックスタイム制も日によって勤務時間が変動するため、正確な労働時間の把握が難しくなります。

こうした多様な働き方に対応するには、以下のような点が重要です。
  • 自宅やサテライトオフィスからの打刻、コアタイムやフレキシブルタイムの設定に対応
  • 自己申告だけでなく、PCログなど客観的な記録との照合、休憩時間の適切な取得状況の把握
  • 勤怠状況の共有によるチーム内の連携強化
特に勤怠管理システムは、多様な働き方に対応するための機能を多く備えており、正確な勤怠管理を実現するうえで有効な手段となります。

法改正への対応

勤怠管理においては、労働関連法規の改正に常に注意を払う必要があります。法改正によって、労働時間の記録方法や集計ルール、休暇の取得義務などが変更されることがあるためです。

たとえば、近年では以下のような法改正がありました。
  • 労働安全衛生法改正による労働時間の客観的な記録義務化
  • 労働基準法改正による年5日の年次有給休暇の確実な取得義務化
  • 働き方改革関連法による時間外労働の上限規制強化
これらの法改正に対応するためには、勤怠管理システムの見直しや、管理ルールの変更が必要です。特に、システムの利用は法改正への迅速な対応を助ける手段となります。常に最新の情報を確認し、法令遵守体制を維持することが重要です。

勤怠の理解を深め、適切な勤怠管理を実現しよう

企業担当者のイメージ
本記事では「勤怠」の定義から、企業が勤怠管理を行う目的、管理すべき項目、対象者、そして具体的な管理方法やシステム導入のメリット・デメリット、注意点までを解説しました。

勤怠管理は、単に労働時間を記録するだけでなく以下のような役割を担っています。
  • 正しい給与計算
  • 法令遵守(労働基準法など)
  • 従業員の健康管理
  • 労働時間の上限規制への対応
また勤怠管理の方法には、手書きやExcel、タイムカード、勤怠管理システムなど、さまざまな選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、自社の状況に合った方法を選ぶことが重要です。

多様な働き方への対応や法改正など、勤怠管理を取り巻く環境は常に変化しています。適切な勤怠管理は、企業と従業員の双方にとって、健全な働き方を実現するために不可欠と言えるでしょう。

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