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ホールパート法とは?メリットやPREP法との違い、上手に活用するポイントを紹介

「結局何が言いたいのか、よく分からない......」そう言われた経験はありませんか?ビジネスシーンや説明の場で、自分の話がうまく伝わらないと感じることは多くの人が経験することでしょう。

そんな悩みを解決する効果的なコミュニケーションのフレームワークが「ホールパート法」です。

ホールパート法とは、伝えたい情報全体の「結論」や「全体像(ホール)」を最初に提示し、その後に詳細な「部分(パート)」を説明、最後に再び「結論」や「まとめ(ホール)」で締めくくる話法です。最初に全体像を示すことで、聞き手や読み手は話の目的や着地点を把握しやすくなり、その後の詳細な説明がより深く理解されるというメリットがあります。

本記事では、ホールパート法の基本的な考え方から、具体的な例文を通して学ぶ活用シーン、聞き手の理解度向上や話の脱線防止といったメリットを詳しく解説します。

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ホールパート法とは?

説明しているシーン
ホールパート法とは、効果的なコミュニケーションや文章構成に用いられるフレームワークの1つで、特にビジネスシーンや説明の場で活用されます。伝えたい情報全体(ホール)をまず提示し、その後に詳細な部分(パート)を説明する方法です。

具体的には、以下のような流れで情報を展開します。

1.ホール (全体像・結論):話全体の要点や最終的な結論を最初に伝える
2.パート (詳細・根拠):次に、その全体像や結論を裏付ける具体的な情報、根拠、詳細な説明などを加える
3.ホール (まとめ・再度結論):最後に、あらためて全体をまとめ、結論を繰り返し行い、締めくくる

このように最初に全体像を示すことで、聞き手や読み手は話の目的や着地点を把握しやすくなります。これにより、その後の詳細な説明がより理解されやすくなるというメリットがあるのです。

ホールパート法を使った例文

例と書かれた紙
ボールパート法を理解するために、まずは例文を簡単に見ていきましょう。今回は会議でプレゼンしているシーンを想定しています。
●全体像:「本日は、来期の新規事業として「オンライン学習プラットフォーム」の立ち上げをご提案いたします」
●詳細(パート):
 ・ターゲット顧客:「働きながらスキルアップを目指す20代~40代のビジネスパーソンを想定しています」
 ・サービス内容: 「専門性の高いビジネススキルに特化した動画講座を月額課金で提供します」
 ・競合との差別化: 「現役の専門家による実践的な講義と、個別メンタリングオプションが強みです」
 ・収益モデル: 「月額課金収入に加え、法人向け研修サービスや教材販売なども展開予定です」
●全体像の繰り返し・まとめ(ホール): 「以上が新規事業の概要です。このプラットフォームを通じて、現代のビジネスパーソンが必要とする実践的なスキル習得を支援し、新たな収益の柱を確立したいと考えております。ご質問やご意見がございましたら承ります」
このように、まず全体像を示し、次に詳細を説明し、最後に再度全体像を繰り返すことで、聞き手は話の全体像を把握しやすく、個々の詳細が何に関する情報なのかを理解しやすくなります。

ホールパート法を活用するメリット

話を聞いているビジネスパーソン
ホールパート法を活用するメリットは、以下のとおりです。
  • 聞き手の理解度が上がる
  • 話が脱線しにくくなる
  • 伝えたいことを際立たせる
  • 要点を伝えやすくなる
  • コミュニケーションのパフォーマンスが上がる
それぞれのメリットを見ていきましょう。

聞き手の理解度が上がる

ホールパート法は、まず全体像を示し、その後に詳細を説明するため、聞き手の理解を促します。話の冒頭で結論や概要を示すことで、聞き手は何についての話かを瞬時に把握でき、その後の詳細な説明も文脈の中で捉えやすくなるでしょう。

これにより、話の途中で「結局何の話をしているのだろう?」と迷うことが減り、内容がスムーズに頭に入ってきます。特に複雑な内容や多くの情報を含む説明の場合に有効です。

聞き手は、話の全体像という「地図」を最初に手に入れることで、その後の詳細な説明という「道」を迷わずに進むことができるようになります。結果として、説明の意図が正確に伝わりやすくなり、誤解が生じにくくなります。これは、説明する側とされる側の双方にとって大きなメリットと言えるでしょう。

話が脱線しにくくなる

ホールパート法を活用すると、話が脱線しにくくなるというメリットがあります。はじめに結論を提示することで、聞き手と話し手の間で「今から何について話すか」という共通認識が生まれます。

この共通認識が、話を進めるうえでの「道しるべ」のような役割を果たします。次に、具体的な詳細を説明する段階に入りますが、最初に示した結論に戻ることを常に意識しながら話を進めるため、話題がそれてしまうことを防ぎやすくなります。

このように、全体像を常に意識することで、無関係な情報や個人的な意見などが入り込む余地が減り、論理的で分かりやすい説明が可能になります。結果として、時間のロスを防ぎ、効率的なコミュニケーションを実現できるでしょう。

伝えたいことを際立たせる

ホールパート法では、最初に話全体の要点である「ホール(全体像)」を提示します。これにより、聞き手はこれから何について話されるのか、その全体像や結論を最初に把握できます。

具体的には、以下のような効果が期待できます。
  • 情報の優先順位が明確になる:聞き手は提示された全体像をもとに、続く「パート(詳細)」のどの情報が重要なのかを意識しやすくなる
  • 重要なポイントに注目が集まる:はじめに結論や最も伝えたいことを示すことで、聞き手の注意を引きつけ「ここが重要だ」というメッセージを効果的に伝えられる
  • 最後に再度全体像を示す:話の詳細を聞いた後、改めて最初の結論や要点が繰り返されることで、聞き手の記憶に強く残る効果がある
このように、サンドイッチのように重要な情報を挟み込む構造は、伝えたいことを際立たせ、聞き手の記憶に残るように工夫されています。特に、多くの情報を伝えたい場合や、聞き手に特定の行動を促したい場合などに有効です。

要点を伝えやすくなる

ホールパート法は、まず全体の結論や概要(ホール)を伝え、その後に詳細(パート)を説明する構成です。この構成により、聞き手は話の全体像を最初に把握できるため、「何についての話なのか」「最も伝えたいことは何か」といった要点を容易に理解できます。

たとえば、新しいプロジェクトの説明を行う場合、まず「このプロジェクトの目的は〇〇です」と全体像を示すことで、その後の詳細説明(具体的なタスク・スケジュールなど)が、目的達成という文脈の中で捉えられやすくなります。

コミュニケーションのパフォーマンスが上がる

ホールパート法を使うことで、コミュニケーションの質と効率を高められます。

具体的には、以下のような点でパフォーマンス向上につながります。
  • 無駄なやり取りの削減
  • 時間の有効活用
  • スムーズな意思決定
このように、ホールパート法を用いることで、話し手と聞き手の双方にとって、より質の高いコミュニケーションを実現できると言えるでしょう。これは、単に「伝わる」だけでなく、その先の「行動」「理解促進」につながる重要な要素となります。

ホールパート法が役立つ場面を紹介

会議
ホールパート法が役立つ場面を紹介します。
  • 自己紹介
  • プレゼンテーション
  • スピーチ
  • 会議

自己紹介

ホールパート法は、自己紹介の場面でも非常に効果を発揮します。特に、短時間で自分のことを分かりやすく伝えたい場合に役立つでしょう。

たとえば、新しい環境での挨拶や、ビジネスの場で初めて会う人に対する自己紹介などが挙げられます。

ホールパート法を使って自己紹介をする際は、まず自分がどのような人物であるか、最も伝えたい「全体像(ホール)」を最初に述べます。たとえば「私は〇〇の専門家です」といった具体的な肩書きや役割を示すと良いでしょう。

次に、その全体像を構成する「部分(パート)」として、具体的な経験やスキル、実績などをいくつかピックアップして説明します。

【自己紹介での活用例】
構成要素内容例
ホール私は〇〇業界で10年間、営業職として従事しております。
パート・最初の5年間は新規開拓を中心に担当し、売上目標を毎年達成しました。
・直近5年間はマネージャーとしてチームを率い、メンバーの育成に注力しました。
・特に、顧客課題解決型の提案を得意としております。
ホールこれらの経験を活かし、貴社に貢献したいと考えております。
このように、全体像→具体的な部分→再び全体像(まとめや今後の抱負など)の流れで話すことで、相手はあなたのことを短時間で効率的に理解できます。

特に、相手の記憶に残りやすい自己紹介にしたい場合に有効です。

プレゼンテーション

プレゼンテーションは、聴衆に特定の情報やアイデアを伝え、理解や共感を得るための重要な機会です。ホールパート法を用いることで、限られた時間の中で効果的にメッセージを伝えられます。

まず、プレゼンテーション全体を通して最も伝えたい「結論」や「全体像(ホール)」を冒頭で提示しましょう。これにより、聴衆は何についての話が始まるのかをすぐに把握できます。

次に、その結論を裏付ける具体的なデータや事例、詳細な説明といった「詳細(パート)」を順に展開します。各パートは、聴衆が情報を整理しやすいように構成することが重要です。最後に、もう一度結論を繰り返したり、全体を要約したりすることで、最も重要なメッセージを強調し、聴衆の記憶に定着させます。

たとえば、新商品のプレゼンテーションであれば、以下のように構成できます。ここでは、聴衆が「この新商品に価値がある」と納得し、導入を検討してもらうためのプレゼンテーションを例に、ホールパート法の構成を見てみましょう。

【新商品のプレゼンテーションでの活用例】
構成要素内容例
ホール「本日は、皆様が現在直面されている『〇〇(具体的な課題、例:非効率な業務プロセス)』という課題を根本的に解決し、△△%のコスト削減と生産性向上を実現する、弊社の新サービス『□□』についてご提案いたします」
パート次に、このサービスがどのように課題を解決し、成果をもたらすのか、詳細をご説明します。

●課題の深掘り:「まず、現在〇〇という課題によって具体的にどのような問題(例:年間〇〇時間のロス、〇〇万円の機会損失)が発生しているのか、最新の市場データやヒアリング結果をもとにご説明します」
●新サービスの機能と特徴: 「弊社の新サービス『□□』は、この課題を解決するために開発されました。特に、『機能A』と『機能B』が皆様の業務プロセスを劇的に改善します」
●競合製品との差別化: 「類似サービスとの比較において、『□□』は特に〇〇(例:使いやすさ、サポート体制、特定の機能)において優位性があります」
●導入効果の具体例:「すでに導入いただいた企業様からは、『△△%の作業時間削減』や『顧客満足度の向上』といったお声をいただいております。」
●導入プロセスとコスト:「導入は最短〇週間で完了します。価格プランは複数ご用意しており、初期費用を抑えた形でのスタートも可能です」
ホール「以上の点から、弊社の新サービス『□□』は、皆様の『〇〇という課題』を解決し、事業の成長を加速させるための最適なソリューションであると確信しております。ぜひ、具体的な導入計画について、次回の打ち合わせでご提案させていただけますでしょうか」
このように、ホールパート法を活用することで、聴衆はプレゼンテーションの全体像を把握しながら、各論を理解し、最終的に最も伝えたいメッセージを明確に受け取れるでしょう。

スピーチ

スピーチは、多くの聞き手に対してメッセージを伝える機会です。ホールパート法を用いることで、聞き手が内容をスムーズに理解し、最も伝えたいメッセージを印象付けることができます。たとえば、社内表彰式で受賞者が感謝や今後の抱負を述べる際にも、ホールパート法は有効です。
構成要素内容例
ホール「本日は、この〇〇賞という素晴らしい賞をいただき、誠にありがとうございます。この受賞は、私個人の力だけでなく、チームや会社の皆様の支えがあってこそだと心から感謝しております」
パート具体的な活動内容:「今回のプロジェクトでは、特に△△の課題解決に注力し、新たな手法を取り入れました」
苦労や学び:「途中、難しい局面もありましたが、チームの協力や上司のアドバイスに助けられました。この経験から、□□の重要性を改めて学びました」
感謝の対象:「特に、いつもサポートしてくれたチームメンバーの皆さん、そして挑戦の機会を与えてくださった上司には、この場を借りて厚く御礼申し上げます」
ホール「今回の受賞を励みに、今後もより一層、会社の成長に貢献できるよう精進してまいります。重ねて御礼申し上げます」
このように、感謝と謙虚さという全体像を最初に示し、具体的な活動や周囲への感謝を詳細に語ることで、聞き手に誠実な印象を与えつつ、伝えたいメッセージを明確にできます。

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ホールパート法とほかのフレームワークとの違い

ミニチュアと吹き出し
ホールパート法のほかにも、ビジネスシーンで使えるフレームワークがあります。ここでは、いくつかのフレームワークを紹介します。
  • PREP法
  • SDF法
  • DESC法
  • 時系列法

PREP法

ビジネスシーンでよく使われるフレームワークに「PREP法」があります。これはPoint(結論)、Reason(理由)、Example(具体例)、Point(再度結論)の頭文字をとったものです。結論を最初に述べ、その理由や具体例を示し、最後に再び結論で締めくくる構成です。

PREP法は、主張とその根拠を明確に伝えたい場合に特に効果的です。

ホールパート法とのおもな違いは以下のとおりです。
項目ホールパート法PREP法
基本構成全体像 → 詳細 → 全体像(結論や要点)結論 → 理由 → 具体例 → 結論
目的全体像を把握させ、詳細の理解を深め、要点を伝える主張を明確に伝え、説得力を持たせる
適した場面説明、報告、プレゼン(概要説明)など提案、議論、意見表明、プレゼン(主張)など
ホールパート法が全体像から入るのに対し、PREP法は結論から入る点が大きな違いです。

どちらの手法も効果的な情報伝達に役立ちますが、目的や状況に応じて使い分けることが重要です。場合によっては、これらを組み合わせて活用できます。

SDS法

SDS法は、概要(Summary)、詳細(Detail)、まとめ(Summary)の順で構成される説明のフレームワークです。おもに、ニュース記事や報告、商品の説明などで用いられます。

ホールパート法とSDS法は、どちらも「全体像(結論)→詳細→全体像(まとめ)」というサンドイッチ構造を持つ点で似ていますが、最初に提示する「全体像」の内容と、それぞれの目的に違いがあります。

それぞれの特徴は以下のとおりです。
項目ホールパート法SDS法
開始点話全体の概要やテーマ、大きな枠組み話の結論、最も重要な要点
主な目的全体像の早期把握、詳細情報の位置づけを明確化結論の早期伝達、迅速な理解、記憶への定着
適した場面物事の全体像や仕組みの説明、導入説明ニュース速報、報告、商品/サービスの紹介
例文イメージ「新しいプロジェクトの概要をご説明します」「このサービス導入でコストを△△%削減できます」
このように、ホールパート法が「全体→詳細→全体」で話の地図を示すイメージだとすれば、SDS法は「結論→詳細→結論」で最も重要な目的地を先に示し、そこに至る詳細を説明するイメージと言えます。

DESC法

DESC法は、相手に何かを伝えたり、自分の意見を主張したりする際に用いられるフレームワークです。特に相手の行動を変えてほしい場合や、建設的な対話を行いたい場合に効果的です。
  • Describe(描写する):状況や相手の行動を客観的に具体的に描写する
  • Express(説明する):その状況や行動に対して、自分がどう感じているかを表現する
  • Specify(特定する):相手にどうしてほしいのか、具体的な行動を提案する
  • Consequences(結果を伝える):提案した行動をとった場合、どのような良い結果になるかを伝える
DESC法の特徴は、相手を一方的に非難するのではなく、事実に基づいて自分の気持ちを伝え、具体的な改善策を提案することで、相手の納得を得やすくなる点です。ホールパート法のように全体像から入るのではなく、状況描写から始める点が異なります。

たとえば、チームメンバーが会議の資料提出期限を守らなかった場合に、DESC法を使って状況を伝える例を挙げます。
  • Describe(描写する):
    「〇〇さん、先週お願いしていた会議資料ですが、今日の会議開始時間になっても提出されていませんでした」
    (事実に基づき、客観的に状況を伝える。「また遅刻した!」のような感情的な表現は避ける)
  • Express(説明する):
    「資料がないと、会議で必要な議論が進められず、私としては困ってしまいます。また、ほかのメンバーも準備に影響が出てしまう可能性があります」(状況が自分や周囲にどのような影響を与えているか、率直な気持ちや懸念を伝える。「あなたはいつも遅い」のような非難ではなく、「私は困る」という主語で伝える。)
  • Specify(特定する):
    「今後、資料の提出は会議開始の〇時間前までにお願いできますか?もし、どうしても期限に間に合わない場合は、事前に連絡をいただけますでしょうか」
    (相手に具体的にどうしてほしいのか、明確な行動を提案する。曖昧な表現ではなく、具体的な期限や行動内容を示す)
  • Consequences(結果を伝える):
    「そうしていただけると、会議の準備がスムーズに進み、全員が効率的に議論に参加できるようになります。結果として、プロジェクト全体の遅延を防ぎ、より良い成果につながると思います。」
    (提案を受け入れた場合、どのようなポジティブな結果が生まれるかを伝える。相手にとってのメリットを示すことで、行動変容を促しやすくなる)
このように、DESC法は相手とのコミュニケーションにおいて、特に課題解決や行動改善を促したい場合に有効な手法と言えます。

時系列法

時系列法は、出来事や情報を時間の流れに沿って説明するフレームワークです。過去から現在、あるいは現在から未来へと順を追って話を進めます。特定の出来事の経緯や歴史、プロジェクトの進行状況などを説明する際に適しています。

たとえば、以下のような状況で役立ちます。
  • 出来事の報告: 事件の発生から解決までの流れ
  • 製品開発の歴史:初代モデルから最新モデルへの変遷
  • プロジェクトの進捗:企画段階から現在の状況まで
ホールパート法が「全体像→詳細」と進むのに対し、時系列法は「過去→現在→未来」のように時間軸を重視します。

時系列法のメリットとしては、出来事の因果関係が分かりやすい点が挙げられます。時間の流れに沿っ
て説明することで、何が原因で何が結果となったのか、なぜその出来事が起こったのかといった背景や流れを聞き手が理解しやすくなります。

また、状況の変化を聞き手が追体験できるため、物語や歴史の説明などでは感情移入や理解を深める効果も期待できるでしょう。

一方で、時系列法のデメリットとしては、結論や最も伝えたい点が分かりにくい場合がある点です。話の終盤まで結論が出てこないため、聞き手は話の全体像や重要なポイントをすぐに把握しにくい可能性があります。

特に、伝えたい結論や要点を先に知りたいビジネスシーンなどでは、まどろっこしいと感じられることもあります。また、説明に時間がかかりすぎると、聞き手が飽きてしまうリスクもあるでしょう。

したがって、何を伝えたいか、どのような状況で話すかによって、適切な手法を選ぶ必要があります。結論を先に伝えたい場合はホールパート法、経緯や流れを重視したい場合は時系列法というように、それぞれの特性を理解して使い分けることが重要です。

ホールパート法を上手に活用するには?ポイントを紹介

人差し指を立てるビジネスパーソン
ホールパート法を上手に活用するためのポイントを紹介します。
  • 話したい内容を書き出す
  • 強調して伝えたいところを決める
  • PREP法と組み合わせる
  • 普段から結論ファーストで伝える習慣をつける

話したい内容を書き出す

ホールパート法を活用するための第一歩は、伝えたい内容をすべて洗い出すことです。まずは、話したいテーマに関する情報を、順序や重要性を気にせずに自由に書き出してみましょう。

たとえば、新しい企画について説明する場合、以下のような項目が考えられます。
  • 企画の目的
  • 企画の概要(全体像)
  • 企画の背景にある課題
  • 具体的な実施内容
  • 期待される効果
  • 必要なコスト
  • リスクとその対策
  • スケジュール
  • チーム体制
  • 参考にしたデータや事例
  • 質疑応答で想定される内容 など
このように、思いつく限りの情報をメモしたり、箇条書きにしたり、マインドマップのように整理したりすると良いでしょう。

この段階では、情報の網羅性を重視することが大切です。後ほど整理するので、抜け漏れがないように、関連すると思われる情報をどんどん書き出していきましょう。このステップを踏むことで、話すべき内容が明確になり、次のステップに進みやすくなります。

強調して伝えたいところを決める

ホールパート法は、最初に全体像(ホール)を示し、次に詳細(パート)を説明し、最後に全体像に戻るという構成です。この構成を効果的に活用するためには、詳細を説明する「パート」の部分で、特に何を強調したいのかを明確にすることが重要です。

具体的には、以下の点を意識すると良いでしょう。
  • 最も伝えたい結論や主張は何か?
  • 聞き手に特に理解してほしいポイントはどこか?
  • 行動を促したい内容は何か?
たとえば、新しいプロジェクトの提案をする場合「このプロジェクトが成功すれば、売上が〇%向上する」という結論や、「競合他社との差別化ポイントは〇〇である」という重要な要素を強調したいとします。

このように、詳細を説明するパートの中で、どこに光を当て、どこを丁寧に説明するかを決めることで、聞き手の記憶に残りやすくなり、伝えたいメッセージがより鮮明になるでしょう。強調したいポイントを事前に決めておくことで、詳細の説明がぶれることなく、聞き手にとって本当に重要な情報が明確に伝わります。これは、話の説得力を高めるうえでも非常に効果的です。

PREP法と組み合わせる

ホールパート法は、話全体の構成を整理するのに役立ちますが、個々の「パート」の中で説得力を持たせるには、ほかの手法と組み合わせるのが効果的です。特にPREP法は、ホールパート法と相性が良いとされています。

たとえば、ホールパート法で「全体像」を提示し、次に「詳細なパート」として説明する際に、その「詳細なパート」をPREP法で構成することで、より論理的で分かりやすい説明ができます。

ホールパート法で大きな枠組みを作り、その中の要素をPREP法で掘り下げて説明することで、聞き手は全体の構造を理解しつつ、各論についても納得感を持って受け止めやすくなるのです。

普段から結論ファーストで伝える習慣をつける

ホールパート法を効果的に使うためには、日頃から結論を先に伝える意識を持つことが大切です。これは、ビジネスシーンだけでなく、日常生活でも実践できる習慣です。

たとえば、上司への報告や同僚への相談、さらには家族との会話でも、「今日伝えたい一番大事なことは何か」を最初に考えてから話し始めるようにします。

この習慣が身につくと、自然と以下のようなメリットが得られます。
  • 話の組み立てがスムーズになる
  • 聞き手が話の全体像を掴みやすくなる
  • 無駄な情報が減り、簡潔に伝えられる
最初は難しく感じるかもしれませんが、意識的に繰り返すことで徐々に慣れていきます。

たとえば、以下のように意識を変えてみましょう。
状況習慣をつける前(例)習慣をつけた後(例)
上司への報告経緯から話し始める結論:〇〇の件、成功しました。
(その後に経緯を説明)
友人に週末の予定を伝えるあれこれ迷った話を順に説明する結論:週末は〇〇に行くことにしたよ。
(その後に詳細を説明)
このように、小さなことから結論ファーストを心がけることで、ホールパート法のような「型」を使ったコミュニケーションがよりスムーズに行えるようになります。

ホールパート法を身につけるために役立つ書籍を紹介

開かれている本
ホールパート法に関する書籍を紹介します。

海津 佳寿美 (著)『大事な順に身につく 説明の「型」 ~相手にイライラされない、“伝わる”説明の技術』

海津佳寿美氏の著書『大事な順に身につく 説明の「型」 〜相手にイライラされない、“伝わる”説明の技術』は、ホールパート法のような説明の「型」を学びたい方におすすめです。

本書では、聞き手が納得する伝え方の基本として、説明の「型」が重要であると説いています。特に本書で紹介されている「型」は、ビジネスシーンでよくあるさまざまな状況に対応できるように体系化されています。

たとえば、以下のような説明の型が紹介されており、ホールパート法を含むさまざまなフレームワークを実践的に学べます。

各章には具体的な例文が多く掲載されており、実際の会話やプレゼンテーションでどのように活用すれば良いかが分かりやすく解説されています。また、練習問題も用意されているため、読み進めるだけでなく、実践的にスキルを身につけられます。

本書を読むことで、相手に「分かりやすい」と思ってもらえる説明力を着実に向上させることができるでしょう。ビジネスにおけるコミュニケーションの質を高めたいと考えている方に、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

ホールパート法を活用して、プレゼンの質を上げよう

堂々とプレゼンしているビジネスパーソン
本記事では、ホールパート法について、メリットや活用方法、ほかのフレームワークとの違いなどを解説しました。

ホールパート法は、「全体(結論)」→「部分(詳細)」→「全体(まとめ)」の順で構成することで、聞き手の理解を深め、効率的に情報を伝えることができる話法です。

特にプレゼンテーションや会議、指導などのビジネスシーンで非常に有効です。PREP法などほかのフレームワークとの違いを理解し、それぞれの特性を活かして使い分けることが重要です。

ホールパート法を効果的に活用するには、事前に話す内容を整理し、最も伝えたい結論を明確にすることが大切です。普段から結論を先に伝える習慣をつけ、PREP法と組み合わせることで、さらに伝わるコミュニケーションを実現できます。

ぜひ、日々のコミュニケーションにホールパート法を取り入れてみてください。

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