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日本版『マネーボール』!? コンピテンシー診断を野球チームで活用するという初の試み広島の社会人野球チームがコンピテンシー診断を導入
映画『マネーボール』をご存じでしょうか。人気俳優ブラッド・ピットが主役を演じ、第84回アカデミー賞では作品賞・主演男優賞など6部門でノミネートされた、ハリウッド映画の名作です。MLBオークランド・アスレチックスが、科学的なデータ分析によるスカウト戦略や若手選手の育成により、資金力の乏しい弱小チームから常勝球団になるまでのサクセス・ストーリーです。金持ち球団が優秀な選手を囲い、野球が金銭ゲームになっているのは米国も日本も同じ。そこでお金のないアスレチックスGMビリー・ビーン(当時)は、独自のスカウト改革を断行。「目利き」のスカウトによる採用から、アナリストによる「データ解析」により優秀な選手を定義しました。
チームの勝利に貢献する数字とそうでない数字を徹底的に分析し、これまで評価されていなかった選手の能力に注目。例えば打者の能力として重視されていた打率や打点ではなく、「出塁率」の高い選手を評価するといったように。また、データにより選手の特性を見極めることで、コンバート(異動)によって活躍を生み出すことにも成功しました。その結果、アスレチックスは2000年から4年連続でプレイオフに出場。この間に2度もシーズン100勝以上を記録する常勝球団になりました。
このようなアスレチックスが採用した「スカウトの勘や経験ではなく、客観的なデータ分析に基づくチーム編成戦略」は、アセスメントの考え方と非常に近しいものがあります。実はここ日本でも、社会人野球チームが初めてコンピテンシー診断を導入し、編成や育成に活かしている実例があります。東広島市の市民球団「伯和ビクトリーズ」です。
広島市を中心に中国地区3県で多角的に事業を展開する伯和グループにより、地域貢献を目的に社会人野球チームを2005年に結成された「伯和ビクトリーズ」。これまでに都市対抗野球大会には8回中国地区代表として本大会に出場し、2012年にはベスト8に進出しています。日本選手権には6回本大会に出場し、2006年はベスト8、2015年はベスト4という好成績。過去には2名、東京ヤクルトスワローズにプロ野球選手を輩出しています。そんな強豪チームが、ミイダスのコンピテンシー診断の導入を決定。導入の背景や、実際に使ってみた感想をお伺いしてみました。「ストレス要因」のチェックで、選手達のストレス管理も可能に
【永森様】
「ミイダスの担当の方からコンピテンシー診断について「ある職務において優秀な成果を発揮する人の行動特性」が分析できる診断だというお話を伺ったとき、「仕事とスポーツ、関連性があるのではないか?何か関連性があれば、今後スポーツ界でも活用され、さまざまなところで役立てられるのではないだろうか」と可能性を感じました。選手一人ひとりの能力や行動特性がわかれば、どのように鍛えればもっと良い選手になるのかがわかるのではないか。技術的な部分だけではなく、選手の考え方や行動特性を見ながらトレーニングをしていけば、さらに早い段階から優れた選手を育成できるのではないかと思いました。それで、野球部の監督、選手、コーチ26名と人事のスタッフもコンピテンシー診断を受けさせていただきました」
【内山監督】
「これまでも、チーム全体として「厳しい環境の方が良いというような、追い込まれたいタイプの選手が多い」と思っていましたが、コンピテンシー診断でストレス要因を見たところ『ぬるま湯体質』にストレスを感じるという選手が多かったですね。さらに高く評価している選手の特徴として、「厳しいプレッシャーや時間制限がある中でもしっかりと結果を出せる」という傾向がありました。それが顕著に現れていたのが『ハードスケジュール』。プレッシャーや時間制限の中での仕事を強いられることにストレスを感じにくいという共通点がありました。一方で、そのような厳しい状況をストレスに感じやすいという選手もいることがわかりました」
【永森様】
「自分は監督ではありませんが、『変化と混沌』にストレスを感じやすいバッテリーが多い傾向があるという結果を見て、最初「これはまずいのではないか?」と思いました。急激な変化や予測できない不確かな状況に置かれることにストレスを感じるという事ですが、試合は「変化と混沌の連続」ですからね。しかし、よく考えてみると、ピッチャーには自分が投げたいタイミングというものがあります。相手に邪魔をされたり、環境を変えられたらストレスに感じるんですよね。そういうピッチャーの繊細なところを野手が敏感に察知し、気配りしてあげられないといけないと現役の時から思ってきたので、改めて納得しました」
【内山監督】
「一人ひとりのストレス要因を見ると「やっぱそうだったんだなぁ」と気付かされました。「可哀想なくらい追い込んでいたな、もう少し楽にしてやろうかな」など、接し方を考えるきっかけになりました。選手達のストレス要因を見ながら対応していく事で、ある程度ストレスをコントロールできるのではないかと思います。」「社会人野球チームならでは」の、コンピテンシー診断活用法選手の育成・コミュニケーションに活用
【内山監督】
「ポジションが変わったら能力を発揮し始める人もいます。うちのマネージャーもそうですね。チームの管理をするという役割を担うマネージャーになったら能力を発揮し始めた。同時に、キャッチャーとしても活躍しています。周りを見られる選手になり、今では最も重要な選手に成長しました。このように環境の変化が選手の成長に影響を与える事もあります。あとは、選手がプレッシャーに感じているところを敢えて外してあげるなどの工夫で、選手達のパフォーマンスが向上するのではなにかと思っています。試行錯誤しながら、環境作りにも活かしたいですね。オフシーズンに入ったら選手と面談する機会を設ける予定なので、もっとコンピテンシーのことを勉強して、選手達に良いアドバイスを行っていけたらと思っています」
【永森様】
「選手一人ひとりに対して、「こういうところにストレスを感じるんだ」ということがわかれば、ケアしてあげられますよね。技術的なことではなく、所属選手へのちょっとした気配りなどに繋がると思います。目に見えなかった部分が可視化できるのが面白いですね。今後データが増えればポジションに応じた特性や傾向などもわかって、さらにさまざまな場面でコンピテンシー診断が活用できるのではと期待しています」引退選手の活躍にも、コンピテンシー診断を活かしていく
【内山監督】
「野球はいつまでもできるわけではありません。引退後、全国から集まってきた選手は地元に帰ります。今後、コンピテンシー診断結果を「引退後も会社で活躍できる人材かどうかを見極める判断材料のひとつ」として活用したいと考えています。チームでは、引退後会社に残る選手が非常に少ないという課題があります。今後コンピテンシー診断結果を参考に、選手達とのコミュニケーションを重ねながら、課題解決につなげていきたいです」
【永森様】
「コンピテンシー診断には職務適性が把握できる項目もありますから、当社の事業内容の中から適性が高い職種を勧めたり、アドバイスをしたりもできますね。普段はスポーツクラブなど、サービス系の職種で働いている選手がほとんどです。実際には適性の高い職種にサービス職が当てはまる選手が多かったので、「今の職種が合っている」という裏付けにもなりました。今後引退選手にも「サービス業の適性が高いぞ」など、具体的でモチベーションが上がるような話をしていきたいですね」まとめ- 広島の社会人野球チームがコンピテンシー診断を導入
- 「ストレス要因」のチェックで、選手達のストレス管理も可能に
- 選手の育成・コミュニケーションに活用
- 引退選手の活躍にも、コンピテンシー診断を活かしていく
チームの勝利に貢献する数字とそうでない数字を徹底的に分析し、これまで評価されていなかった選手の能力に注目。例えば打者の能力として重視されていた打率や打点ではなく、「出塁率」の高い選手を評価するといったように。また、データにより選手の特性を見極めることで、コンバート(異動)によって活躍を生み出すことにも成功しました。その結果、アスレチックスは2000年から4年連続でプレイオフに出場。この間に2度もシーズン100勝以上を記録する常勝球団になりました。
このようなアスレチックスが採用した「スカウトの勘や経験ではなく、客観的なデータ分析に基づくチーム編成戦略」は、アセスメントの考え方と非常に近しいものがあります。実はここ日本でも、社会人野球チームが初めてコンピテンシー診断を導入し、編成や育成に活かしている実例があります。東広島市の市民球団「伯和ビクトリーズ」です。
広島市を中心に中国地区3県で多角的に事業を展開する伯和グループにより、地域貢献を目的に社会人野球チームを2005年に結成された「伯和ビクトリーズ」。これまでに都市対抗野球大会には8回中国地区代表として本大会に出場し、2012年にはベスト8に進出しています。日本選手権には6回本大会に出場し、2006年はベスト8、2015年はベスト4という好成績。過去には2名、東京ヤクルトスワローズにプロ野球選手を輩出しています。そんな強豪チームが、ミイダスのコンピテンシー診断の導入を決定。導入の背景や、実際に使ってみた感想をお伺いしてみました。
「ミイダスの担当の方からコンピテンシー診断について「ある職務において優秀な成果を発揮する人の行動特性」が分析できる診断だというお話を伺ったとき、「仕事とスポーツ、関連性があるのではないか?何か関連性があれば、今後スポーツ界でも活用され、さまざまなところで役立てられるのではないだろうか」と可能性を感じました。選手一人ひとりの能力や行動特性がわかれば、どのように鍛えればもっと良い選手になるのかがわかるのではないか。技術的な部分だけではなく、選手の考え方や行動特性を見ながらトレーニングをしていけば、さらに早い段階から優れた選手を育成できるのではないかと思いました。それで、野球部の監督、選手、コーチ26名と人事のスタッフもコンピテンシー診断を受けさせていただきました」
【内山監督】
「これまでも、チーム全体として「厳しい環境の方が良いというような、追い込まれたいタイプの選手が多い」と思っていましたが、コンピテンシー診断でストレス要因を見たところ『ぬるま湯体質』にストレスを感じるという選手が多かったですね。さらに高く評価している選手の特徴として、「厳しいプレッシャーや時間制限がある中でもしっかりと結果を出せる」という傾向がありました。それが顕著に現れていたのが『ハードスケジュール』。プレッシャーや時間制限の中での仕事を強いられることにストレスを感じにくいという共通点がありました。一方で、そのような厳しい状況をストレスに感じやすいという選手もいることがわかりました」
【永森様】
「自分は監督ではありませんが、『変化と混沌』にストレスを感じやすいバッテリーが多い傾向があるという結果を見て、最初「これはまずいのではないか?」と思いました。急激な変化や予測できない不確かな状況に置かれることにストレスを感じるという事ですが、試合は「変化と混沌の連続」ですからね。しかし、よく考えてみると、ピッチャーには自分が投げたいタイミングというものがあります。相手に邪魔をされたり、環境を変えられたらストレスに感じるんですよね。そういうピッチャーの繊細なところを野手が敏感に察知し、気配りしてあげられないといけないと現役の時から思ってきたので、改めて納得しました」
【内山監督】
「一人ひとりのストレス要因を見ると「やっぱそうだったんだなぁ」と気付かされました。「可哀想なくらい追い込んでいたな、もう少し楽にしてやろうかな」など、接し方を考えるきっかけになりました。選手達のストレス要因を見ながら対応していく事で、ある程度ストレスをコントロールできるのではないかと思います。」
選手の育成・コミュニケーションに活用
【内山監督】
「ポジションが変わったら能力を発揮し始める人もいます。うちのマネージャーもそうですね。チームの管理をするという役割を担うマネージャーになったら能力を発揮し始めた。同時に、キャッチャーとしても活躍しています。周りを見られる選手になり、今では最も重要な選手に成長しました。このように環境の変化が選手の成長に影響を与える事もあります。あとは、選手がプレッシャーに感じているところを敢えて外してあげるなどの工夫で、選手達のパフォーマンスが向上するのではなにかと思っています。試行錯誤しながら、環境作りにも活かしたいですね。オフシーズンに入ったら選手と面談する機会を設ける予定なので、もっとコンピテンシーのことを勉強して、選手達に良いアドバイスを行っていけたらと思っています」
【永森様】
「選手一人ひとりに対して、「こういうところにストレスを感じるんだ」ということがわかれば、ケアしてあげられますよね。技術的なことではなく、所属選手へのちょっとした気配りなどに繋がると思います。目に見えなかった部分が可視化できるのが面白いですね。今後データが増えればポジションに応じた特性や傾向などもわかって、さらにさまざまな場面でコンピテンシー診断が活用できるのではと期待しています」
「ポジションが変わったら能力を発揮し始める人もいます。うちのマネージャーもそうですね。チームの管理をするという役割を担うマネージャーになったら能力を発揮し始めた。同時に、キャッチャーとしても活躍しています。周りを見られる選手になり、今では最も重要な選手に成長しました。このように環境の変化が選手の成長に影響を与える事もあります。あとは、選手がプレッシャーに感じているところを敢えて外してあげるなどの工夫で、選手達のパフォーマンスが向上するのではなにかと思っています。試行錯誤しながら、環境作りにも活かしたいですね。オフシーズンに入ったら選手と面談する機会を設ける予定なので、もっとコンピテンシーのことを勉強して、選手達に良いアドバイスを行っていけたらと思っています」
【永森様】
「選手一人ひとりに対して、「こういうところにストレスを感じるんだ」ということがわかれば、ケアしてあげられますよね。技術的なことではなく、所属選手へのちょっとした気配りなどに繋がると思います。目に見えなかった部分が可視化できるのが面白いですね。今後データが増えればポジションに応じた特性や傾向などもわかって、さらにさまざまな場面でコンピテンシー診断が活用できるのではと期待しています」
引退選手の活躍にも、コンピテンシー診断を活かしていく
【内山監督】
「野球はいつまでもできるわけではありません。引退後、全国から集まってきた選手は地元に帰ります。今後、コンピテンシー診断結果を「引退後も会社で活躍できる人材かどうかを見極める判断材料のひとつ」として活用したいと考えています。チームでは、引退後会社に残る選手が非常に少ないという課題があります。今後コンピテンシー診断結果を参考に、選手達とのコミュニケーションを重ねながら、課題解決につなげていきたいです」
【永森様】
「コンピテンシー診断には職務適性が把握できる項目もありますから、当社の事業内容の中から適性が高い職種を勧めたり、アドバイスをしたりもできますね。普段はスポーツクラブなど、サービス系の職種で働いている選手がほとんどです。実際には適性の高い職種にサービス職が当てはまる選手が多かったので、「今の職種が合っている」という裏付けにもなりました。今後引退選手にも「サービス業の適性が高いぞ」など、具体的でモチベーションが上がるような話をしていきたいですね」
「野球はいつまでもできるわけではありません。引退後、全国から集まってきた選手は地元に帰ります。今後、コンピテンシー診断結果を「引退後も会社で活躍できる人材かどうかを見極める判断材料のひとつ」として活用したいと考えています。チームでは、引退後会社に残る選手が非常に少ないという課題があります。今後コンピテンシー診断結果を参考に、選手達とのコミュニケーションを重ねながら、課題解決につなげていきたいです」
【永森様】
「コンピテンシー診断には職務適性が把握できる項目もありますから、当社の事業内容の中から適性が高い職種を勧めたり、アドバイスをしたりもできますね。普段はスポーツクラブなど、サービス系の職種で働いている選手がほとんどです。実際には適性の高い職種にサービス職が当てはまる選手が多かったので、「今の職種が合っている」という裏付けにもなりました。今後引退選手にも「サービス業の適性が高いぞ」など、具体的でモチベーションが上がるような話をしていきたいですね」