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転勤辞令とは?辞令の正しい書き方や人事トラブルの対処法を解説

適切な人材配置で企業の活性化を図る施策として、最もよく活用されるのが「転勤」です。定期的な転勤の実施により、社員の育成や業務効率化に繋がります。

また「辞令」は法的効力こそないものの、交付することで「誰に辞令を出したか」を明確化する証拠となります。ただし、最低限記載すべき次項もあるため注意が必要です。

本記事では、辞令の種類や交付の流れ、正しい書き方などを解説します。辞令を拒否された時などのトラブル対処法も解説しているので、転勤で企業の活性化を図りたい担当者の方は、ぜひご一読ください。

なお、転勤辞令を出しても適材適所の人材配置ができていないと、かえって生産性が低下したり離職率が悪化したりする恐れがあります。そこで、適材適所の人材配置を実現するのはどうすれば良いのかを記載したお役立ち資料をご用意しました。

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転勤辞令とは?

転勤辞令とは、該当社員に対して転勤を命じる公式文書を指します。

辞令の交付方法は、本人のみに通知されたり、社内文書で全体に周知されたりとケースはさまざまです。

辞令には、セットで使われる言葉がいくつかあります。
  • 内示:辞令を公にする前に当該社員に伝達すること。
  • 発令:辞令を公的に発表すること。
  • 任命:官職や役目に就くよう命ずること。
それぞれの言葉の意味は異なるため、適切な使い分けが必要です。

転勤辞令を出す企業側のメリット

転勤辞令を出すことで、社員を別の部署へ配置転換できます。配置転換を実施することで、下記のようなメリットを得られるでしょう。
  • 社員の新たな能力開発
  • 組織の活性化
  • モチベーション向上 など
これまでと違った部署に配属されることで、これまでの業務では得られなかった経験やスキルを身につけるチャンスに恵まれます。その結果、社員のさらなるスキルアップにつながるでしょう。

また定期的に転勤をともなう配置転換を行うことで、組織が硬直化するのを防ぎ、風通しの良い組織を維持しやすくなります。人間関係も大きく変わるため、これまで上司や同僚との関係で苦労してきた人が悩みから解放されて、仕事に前向きに取り組んでくれる可能性も高まります。

ただし、配属先の人間関係が必ずしもうまくいくとは限らないため、人事としては適材適所の人材配置を心がけましょう。うまく適材適所の人材配置を実現する方法については、下記からダウンロードできる資料にまとめています。

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転勤辞令を出す企業側のデメリット

転勤辞令は企業側にとってメリットもある一方、下記のようなデメリットも懸念されます。
  • 引き継ぎやノウハウの蓄積を工夫して行う必要がある
  • 労使間でのトラブルに発展する恐れがある
  • 従業員に高いストレスをかけてしまう恐れがある
転勤辞令が定期的に出される組織の場合、同じ部署で長年働く人が限られることが予想されます。また引き継ぎを個人任せにしてしまうと、うまく引き継ぎができない人に当たったときに生産性が低下してしまいかねません。

これらのリスクに対処するため、引き継ぎの方法や部署内のノウハウ蓄積のやり方を明文化し、機械的に行うことが大切です。手順に沿って対応することで、個人の能力のばらつきによる引き継ぎミスのリスクを低減できるでしょう。

また転勤辞令を出すことで、社員と労使トラブルに発展する恐れがあります。人事権は企業側にあるものの、トラブルに発展するとお互い不幸な結果になりかねません。社員からの相談があった場合は、真摯に対応しましょう。

また転勤辞令を出すことは、社員に高いストレスを与えてしまう恐れがあります。適度なストレスは仕事への緊張感を出すために必要ですが、強すぎるストレスは体調不良や休職・離職といったリスクを招きかねません。

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辞令の種類

PCの上に置かれた辞令
辞令にはさまざまな種類があり、状況に応じて使い分ける必要があります。企業で交付する辞令で、転勤以外のものは以下の通りです。
  • 出向
  • 新規採用
  • 配属
  • 配置転換
  • 昇格
  • 降格
  • 昇給
  • 減給
  • 出張
  • 復職
  • 退職
一つずつ意味や役割を見ていきましょう。

出向

出向とは、所属企業から親会社・子会社・グループ会社などの関連会社に社員を異動させることを指します。

一般的な出向は「在籍出向」を意味しますが、場合によっては「転籍出向」に該当するケースも存在します。

在籍出向とは

在籍出向とは、出向元企業に社員として籍を置いたまま、出向先の企業で働くことです。

在籍出向は雇用契約が複雑化しやすいため、指示内容や相談先は事前に把握しておく必要があります。
  • 出向契約:出向元企業と出向先企業に関係する契約。
  • 労働契約:出向元企業と社員に関係する契約。
  • 一部の労働契約および指揮命令関係:出向先企業と社員に関係する契約。
出向元企業と出向先企業の双方で二重の労働契約が成立することから、勤務時間や休日などの条件は出向元企業、業務上の指示や命令は出向先企業に従う形となります。

なお、在籍出向はあらかじめ期間が定められており、期限を迎えたら出向元企業に戻るのが前提です。ただし、出向先企業の要望によっては契約延長となるケースもあります。

転籍出向とは

転籍出向とは、出向元企業との雇用契約を終了させ、出向先企業に籍を置くことです。

出向元企業の雇用調整の意味合いが大きく、実質的には転職と同義です。出向元を退職する関係上、退職金が支払われるのが大きな特徴になります。

給与水準や休暇などの労働条件も、出向先企業のものが新たに適用されます。

新規採用

新規採用とは、その年に学校を卒業する社会人未経験の学生や、第二新卒を対象とした採用を指します。

年に1回の採用が基本で、採用人数も経営方針や規模などさまざまな要因で変化します。そのため、数ヶ月〜年単位での計画が必要です。

配属

配属とは、各部署や部門へ適切な社員を割り当てることです。

転勤や人事異動、配置転換などで新しい部署へ移る際に使われますが、過去に配置されていた部署や部門を説明する際にも用いられます。

配置転換

配置転換(配転)とは、勤務地や職種、職務内容を長期にわたって変更することです。

企業は「配転命令権」と呼ばれる人事権を行使し、定期的な配置転換によって人材育成や事業の成長を図ります。

昇格

昇格とは、社内で自身の「格(等級)」が上がることを指し、主に職務能力の向上が認められた時に用いられます。

昇格とよく似た言葉に「昇進」がありますが、その違いは以下の通りです。
  • 昇格:能力向上が認められた結果、社内人事制度の等級が上がる時に使われる。
  • 昇進:地位・役職・立場が上がる時に使われる。
昇進は昇格と違い、肩書きが変化する時に用いられます。

一見すると、昇格と昇進は同時に行われるイメージがありますが、昇格しても昇進しないケースもあるため一概には言えません。

降格

降格は等級や地位・役職・立場を引き下げる時に使われます。

降格の理由は主に2通りあり、1つは人事の一環として、もう1つは懲戒処分として行われます。

人事権行使による降格

社員の能力面が現在の役職に不適当とみなされた場合、役職から外す人事権を行使します。

なお、地位・役職・立場を下げる時は「降職」、職能資格の等級を下げる時は「降格」を使い分けるのが一般的です。

人事権行使による降格は、立場やポジションが変化しても給与や労働条件が変更されるケースは滅多にありません。

懲戒処分による降格

懲戒処分による降格は、主に以下の理由で実行されます。
  • 勤務態度の怠慢:遅刻・無断欠勤など
  • 規律違反行為:ハラスメント・社内規則違反・法令違反など
企業側は懲戒処分を実行する前に、当該社員が受ける不利益を考慮しつつ、権利濫用や社会通念上の妥当性も慎重に検討しなければなりません。

昇給

昇給とは、昇格や勤続年数に伴う賃金の増額を指します。

昇給制度にはさまざまな種類があり、主に以下の6つに分類されます。
  • 普通昇給:技能や職務遂行能力の向上など、一般的な理由による昇給。
  • 特別昇給:特殊な職務への従事、または特別な功労といった理由による昇給。
  • 自動昇給:年齢や勤続年数といった自動的な変化を理由とする昇給。
  • 考課昇給:成績や勤務態度への評価を基準とした昇給。査定昇給とも呼ばれる。
  • 定期昇給:毎年決められた時期に実施される昇給。
  • 臨時昇給:時期を定めず、企業の業績が好調な時などに実施される昇給。

減給

減給も懲戒処分の一種で、実施には法的制限があります。労働基準法では、以下のように定められています。
就業規則で、社員に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」
引用:労働基準法第九十一条

また、減給は懲戒処分の降格と同時に実施されるケースが多いのも特徴です。ただし、人事権行使による降格で減給を言い渡すと、人事権の濫用と判断される可能性が高くなります。

出張

出張とは、臨時で通常の職場から離れた場所に赴くことを指します。

出張中の労働時間については、移動中の時間も含まれるかがポイントです。例えば、始業前や終業後など、業務に関わりのない移動は労働時間に含まれません。

一方、移動中に重要書類や有価証券などの監視を任されていたり、上司と業務の打ち合わせをしたりするケースは労働時間に含まれます。

復職

復職とは、病気やケガなどで一定期間仕事を休んだ社員が復帰することを指します。

復職の判断は非常に難しく、復帰してもすぐに再休暇となる可能性もあります。例えば主治医が復職可能との診断書を出しても、いざ復帰してみたら体調が優れないといったこともあるでしょう。また、休暇中の社員やその家族からの要望で、診断書が作成された可能性もあります。

適切な復職の判断を下すには、主治医との面談により社員の状況を把握します。それでも人事担当者だけでの判断が難しい場合は、産業医や産業カウンセラーなどと連携した決定が重要です。

退職

退職とは、法的には「雇用契約の終了」ですが、企業側から一方的に雇用契約を終了させる「解雇」以外が当てはまります。一口に「退職」と言っても、その種類はさまざまです。
  • 自己都合退職:社員側の都合による退職。(転職・寿退社・体調不良など)
  • 会社都合退職:会社側の都合による退職。(倒産・リストラなど)
  • 早期退職:企業が退職者を募集し、これに立候補することで成立する退職。
  • 定年退職:就業規則に定められた年齢に達したことで生じる退職。
  • 自然退職:社員の死亡または行方不明、長期間休暇からの復帰が困難な場合などによって雇用契約が終了となるケースの退職。
なお、自然退職の理由が病気やケガによる場合、失業給付金は自己都合退職と同様の扱いになります。

辞令交付の流れ

次のステップを表すイメージ
ここからは、辞令文書を社員に交付するまでの流れを解説していきます。

1.内示
2.辞令文書作成
3.発令
4.交付

一つずつ見ていきましょう。

1.内示

内示は正式な辞令を発令する1〜3ヶ月前に、経営者・人事責任者・上司などから直接当該社員に対して人事が言い渡されることです。口頭もしくは書面で行います。

あらかじめ辞令の内容を伝えておくことで、当該社員は必要な準備や手続きに時間を割くことができます。ただし、内示情報の取り扱いには十分注意しなければなりません。

内示を受ける社員のポストが重要であるほど、内示情報の漏洩は企業に多大なリスクをもたらします。万が一、経営層の内示情報が漏洩すれば、企業戦略が他社に知られてしまう可能性もあるでしょう。

情報漏洩を防ぐには、辞令の扱い方にルールを設けるのがポイントです。
  • 口外される可能性を考慮し、内示の公開範囲を制限する。
  • 当該社員に口外禁止期間を徹底させる。
  • メールや書面など、漏洩リスクのある方法で内示を出さない。
  • 口外はコンプライアンス違反となり、懲戒処分の対象になる旨を周知する。
内示の運用ルールやトラブル防止について詳しく知りたい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事:なぜ人事異動情報(内示)は秘密にしなければならないのか?運用ルールのポイントは?
【関連記事:人事異動の内示とは?異動のトラブルを避けるための解決方法

2.辞令文書作成

社員が内示に合意したら、辞令発令の1ヶ月〜10日前までに辞令文書を作成します。

辞令の正しい書き方は後ほど「転勤辞令の書き方」の項目で解説していますので、あわせてご覧ください。

3.発令

発令とは、当該社員以外の社員や関係者に辞令が公表されることを指します。

発令するには、定例会議や社内掲示といった方法があり、企業によってさまざまです。

なお、転居を伴う異動の場合は引っ越し準備などを考慮して、発令日から数日後に着任日を設けます。

転勤に適した時期についての詳細は、以下の記事を参考にしてください。

【関連記事:転勤の時期とは?企業にとってのメリットとデメリットを解説
【関連記事:人事異動の適切な時期と期待できる効果とは?

4.交付

経営者・人事責任者・上司などから、当該社員に正式な辞令文書を交付します。

日本では「辞令交付式」という式典を催すのが一般的です。大勢に辞令内容を周知したり、辞令文書を書面で残したりできるメリットがあります。

辞令交付式の流れは以下の通りです。

1.開会のあいさつ
2.社長や役員のあいさつ
3.辞令交付
4.役員や来賓の紹介
5.受令者代表のあいさつ
6.閉会のあいさつ

企業によっては、社訓の唱和や社歌の斉唱なども盛り込まれます。

辞令交付の流れは以上ですが、内示のタイミングによっては社員から辞令を拒否されるケースも考えられます。こうしたトラブルを未然に防ぐには、社員から十分な納得を得るための理由と説明が不可欠です。

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転勤辞令の書き方

書類を書く人の手
辞令は「企業の人事に関する重要事項」を伝える文書です。そのため、企業・社員・関係者との間で誤解が生じないように、具体的かつ正確な内容を明記する必要があります。

基本的には、「いつ・誰から・誰に・どのような辞令を発令するのか」を記載します。

発令日

正式な辞令を社員に伝える日を記載。

例:2022年11月1日

受令者

辞令を受ける社員の氏名を明記。

対象者が役職に就いている場合は役職名も記載。


例:営業部 部長 ○○殿(敬称は役職に関わらず「殿」とする)

発令者

辞令を発令する責任者の氏名を明記。

通常は代表取締役や社長が発令者となるが、一部の企業では人事責任者を明記する場合もある。


例:株式会社○○○ 代表取締役 △△△

内容

転勤辞令は以下のように「どの部署からどこへ転勤するのか」を記載。

企業によっては励ましの言葉を添える場合もある。


例:○○年○○月○○日をもって、○○部 ○○課長の任を解き、△△部 △△課長の勤務を命ずる。


貴殿の今後の活躍に期待します。

辞令の法的効力

置かれたガベル
辞令には、法的な効力や拘束力はありません。つまり転勤などを命じる際、必ずしも辞令を発令しなければならない法律は存在しないのです。

しかし、辞令書の交付は企業や社員にとってもメリットになります。

辞令書は、いわば「いつ・誰に・どのような辞令を出したか」が明確に分かる証拠です。辞令は口頭でも効力を発揮しますが、発令者と受令者の双方が内容を忘れてしまう恐れがあります。

より確実に辞令を当該社員に発令し、トラブルを予防するためにも辞令書の交付は必須と言えるでしょう。
採用時のみ、労働基準法で労働条件・基本給などの明記が義務付けられているため、書面で発令する必要があります。
また、辞令に法的効力はないものの、雇用する際に企業と社員の間で交わされた労働契約により、社内で交付される辞令には一定の効力が発揮されます。

そのため、原則として社員は辞令の拒否・変更を求めることはできません。

万が一、辞令の発令でトラブルが生じた際は、次項で解説する対処法を参考にしてください。

辞令トラブルが起きた時の対処法3選

説明する責任者と説明を受ける社員
ここからは、社員に辞令を拒否された際に取るべき対処法についてお伝えします。

辞令トラブルが起こる多くの理由は、社員個人の事情から了解が得られない点にあります。社員が不満を持つ原因を丁寧に分析したうえで、以下に挙げる対処法のいずれかを実施しましょう。

転勤の目的を丁寧に説明する
手当や給与の見直しを検討する
社員の事情を把握する

また、以下の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事:会社都合の転勤や人事異動で起こりうる問題とは?

1.転勤の目的を丁寧に説明する

なぜ当該社員に転勤を命令したのか、その理由を丁寧に説明します。
スキルアップや新規事業への人員導入といったポジティブな理由から、事業縮小などのネガティブな理由まで包み隠さず伝えるのがポイントです。

責任者が明確な理由を伝えることで、転勤命令に納得し、円滑な人事異動の遂行が期待できます。

なお、転勤の理由は内示のタイミングで伝えるのも効果的です。正式な辞令交付前に納得してもらうことで、トラブルを未然に防げるでしょう。

2.手当や給与の見直しを検討する

転居を伴う転勤の場合、経済的な理由で拒否される可能性があります。

こうしたケースは、同様の理由で転勤を拒否する社員を増やさないよう、早急な改善が望まれます。

例えば、以下の手当、および給与の見直しが検討できるでしょう。
  • 引っ越し費用の一部を支給
  • 転居先の家賃の一部、または全額を支給
  • 単身赴任手当の支給
  • 帰省のための交通費や休日の支給
  • 子どもの転園・転校手当の支給
  • 寒冷地手当の支給
社員が安心して転勤に臨める環境が整うことで、社員満足度や企業の評判も向上していく可能性があります。

3.社員の事情を把握する

社員1人1人の事情を丁寧にヒアリングし、転勤拒否が妥当と認められるかどうかを慎重に検討するのも重要です。

上記の過程を省略して転勤を強行した場合、辞令を不当とする訴訟問題に発展する可能性もあるでしょう。

ここからは、転勤拒否に繋がりやすい4つのケースを取り上げ、それぞれの対処法について解説していきます。

家庭の事情を理由とするケース

近年では男性育休の取得推進など、国単位で仕事と家庭の両立を図る動きが活発化してきています。それに伴い、家庭の事情で転勤に応じられない労働者も増えてきています。

とはいえ、「転勤 = 家庭に支障をきたす」とは限りません。これらの理由で転勤を渋る社員には、企業が積極的に介護・育児への支援をする旨を説明しましょう。

ただし、介護や育児を理由に転勤を拒否されることは、「企業の支援が不十分である」と社員に判断されている可能性もあります。転勤を拒否する社員への説明もさることながら、企業側の体制整備も重要なのです。

採用時の条件を理由とするケース

社員が採用時の条件を主張する際は、口頭、もしくは書面のどちらによって周知されたのかがポイントとなります。

【口頭で採用条件を周知されたと主張するケース】

例えば採用面接で、面接官や社長が、
  • 「育児中の社員が転勤することはない」
  • 「○○支社のみの勤務なので安心してほしい」
といった発言をしていた場合、もし社員が録音の証拠を持っていると、採用時の条件で勤務地の限定を約束したと証明できます。

(面接での録音は、企業側の禁止の有無に関わらず、違法行為に問われません)

よって、社員が口頭での約束を主張した際は、証拠の有無や発言者への確認が必要です。

とはいえ、安易な口約束は社内満足度の著しい低下を招くのみならず、企業の評判にも関わる重大な問題になります。

このような社員の主張が頻発する場合は、面接担当者への指導も必要になるでしょう。

【書面で採用条件を周知されたと主張するケース】

原則として、労働条件通知書・雇用契約書・求人票などに書かれた勤務地は、最初に勤務する就労場所が記載されています。

そのため、基本的に勤務地を限定するケースには該当しないものの、書面以外で「勤務地の限定を約束する行為がなかったか」を精査する必要があります。

転勤理由が不当な動機だと主張するケース

例えば、企業側が地方転勤を命じた際、当該社員は「左遷」だと受け止めてしまう可能性があります。

こうした誤解を与えないためにも、内示や辞令で転勤の理由を丁寧に説明する必要があるでしょう。

ちなみに、「不当な動機」に該当するものは、以下に挙げる「特定の社員を故意的に排除する意図」がある場合になります。
  • 自己都合退職を促す目的で「追い出し部屋」や過酷な業務へ異動・転勤させる。
  • 特定の幹部を排除するために地方支店へ転勤させる。
  • 企業を批判する社員を深夜勤務に転勤させる。

個人的な理由で転勤を拒否するケース

転勤拒否の理由のなかには、「異動先の上司・同僚が気に入らない」といった社員のわがままと捉えられるものもあります。

上記の理由で転勤拒否を承諾すれば、他の社員との公平性を欠き、不満を生む要因となるため、断固とした姿勢で対処しましょう。

ただし「異動先の上司・同僚から過去にハラスメントを受けた」など、社内風紀に関わる主張がある場合は例外です。該当者へのヒアリングを重ねるなどの慎重な検討が必要です。

なお、人事異動による社員の退職に悩んでいる担当者の方は、以下の記事も参考にしてください。

【関連記事:人事異動がきっかけで退職?対処法を紹介

転勤に応じない社員に対する4つの対応策

壁に貼られた出口案内の図
辞令トラブルの対処法についてお伝えしてきましたが、それでも社員が転勤を拒否する可能性も捨てきれません。

そこで、転勤に応じない社員への対応策を4つ解説します。

1.勤務条件を見直したうえで継続雇用
2.降格処分
3.退職推奨
4.懲戒解雇

一つずつ見ていきましょう。

1.勤務条件を見直したうえで継続雇用

深刻な家庭の事情など、やむを得ない理由がある社員の場合は、勤務地を限定して継続雇用する方法も検討しましょう。

特に問題を抱えていない社員が、転勤を理由に退職してしまうのは企業にとって大きな損失です。

また、厚生労働省が公表する「転勤に関する雇用管理のヒントと手法」でも、以下のような提言がなされています。
育児・介護休業法第26条は、企業が就業場所の変更を伴う配置の変更をしようとする場合に、これにより育児や介護が困難となる男女労働者がいるときは、その育児や介護の状況に配慮することを規定している。
引用:厚生労働省「転勤に関する雇用管理のヒントと手法

2.降格処分

社員に対して、退職を求める必要性がないと判断された場合でも、一つのけじめとして降格処分も視野に入ります。

降格は「人事権行使による降格」と「懲戒処分による降格」が存在し、転勤拒否の際は懲戒処分としての降格が該当します。

詳しくは「辞令の種類」の項目で解説した「降格」の内容をご覧ください。

3.退職勧奨

退職勧奨とは、社員を説得し、合意の上での退職を促すことです。退職勧告とも呼ばれます。

企業側から一方的に懲戒解雇処分を実行すると、社員が不当解雇を主張して裁判に発展する可能性があります。

こうしたリスクを回避する方法が退職勧奨です。具体的な流れを見てみましょう。

1.退職勧奨の方針を社内で共有
2.退職勧奨の理由を整理する
3.当該社員を呼び出す
4.退職を促し、回答期限を設ける
5.双方の合意後、退職の時期や処遇について話し合う
6.退職届を提出させる

特に2のステップは、議論が紛糾した時でも必要な情報を伝えるための重要な作業です。必ず書面で要点をまとめておきましょう。

4.懲戒解雇

転勤拒否で最も重い処分が懲戒解雇です。

懲戒解雇の手続きは企業にとって重大なリスクに繋がる恐れがあるため、流れを確認しながら慎重に実施してください。

【懲戒解雇処分までの流れ】
1.就業規則の懲戒解雇処分事由に該当するか確認する。
2.当該社員に弁明の機会を付与する。
3.懲戒解雇通知書を作成する。
4.社員に懲戒解雇を発令する。
5.解雇後の事後手続きを行う。

事後手続きは以下の流れで実施します。

【解雇後の事後手続きの流れ】
1.「離職証明書」「雇用保険被保険者資格喪失届」の2点をハローワークに提出する。
2.発行された離職票を解雇した社員に送付する。
3.「健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届」を年金事務所に提出する。
4.「資格喪失証明書」を解雇した社員に送付する。
5.解雇日から1ヶ月以内に、源泉徴収票を税務署と解雇した社員の双方に送付する。
6.会社が住民税の特別徴収を行っている場合、停止の手続きを行う。
7.本来の給与支払日に最後の給与を支払う。(社員から請求された場合に限り、請求日から7日以内に支払う)
8.解雇日の30日前に解雇予告をしない場合に限り、解雇予告手当を支払う。
9.中退共・特退共・社内の退職金制度を利用している場合は、規定に従って退職金支払い手続きを行う。

適材適所の転勤辞令を出すには「ミイダス」のアセスメントツールがおすすめ

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企業組織を活性化させる目的で転勤辞令を出すなら、適材適所の人材配置が重要となります。しかし、人事評価制度や直属の上司からの評価だけでは、社員の持つ能力・適性を把握しきるのは難しいものです。

そこで役立つのが、ミイダスの「コンピテンシー診断(特性診断)」です。コンピテンシー診断(特性診断)では、社員のマネジメントスタイルやストレス要因、パーソナリティの傾向など計52項目ものコンピテンシー(行動特性)を分析して可視化します。

社員ごとに、どの部署で活躍が期待できるのか割り出すことも可能です。コンピテンシー診断(特性診断)で可視化できる項目例は、以下のとおりです。

【コンピテンシー診断(特性診断)項目】
コンピテンシー診断(特性診断)項目コンピテンシー診断(特性診断)定義
(高得点ほど、この傾向が強く、低得点ほど、この傾向が弱い)
活力:周囲と競いながらエネルギッシュに業務に取り組むほうが得意である。

:競争は好まず、自分のペースと効率を重視して業務に取り組むほうが得意である。
人あたり:相手の意見を尊重し、好印象を与えるほうが得意である。

:相手が受ける印象を気にせず自己主張するほうが得意である。
チームワーク:チームに溶け込んで、メンバーと一緒に取り組む方が得意である。

:チームの一員として働くよりも、単独で取り組む方が得意である。
創造性:これまでの発想や方法にとらわれず考え、行動するほうが得意である。

:これまで通りの発想や方法にならって行動するほうが得意である。
問題解決力:自ら問題を見つけ、その解決に向けて取り組むほうが得意である。

:問題意識をあまり持たず、目の前の業務に取り組むほうが得意である。
対応力:臨機応変な対応が必要となる業務のほうが得意である。

:一貫性のある考えや行動を求められる業務のほうが得意である。
プレッシャーへの耐性:プレッシャーやストレスが多い業務のほうが得意である。

:プレッシャーやストレスが少ない業務のほうが得意である。
調整力:周囲との調整が必要となる業務のほうが得意である。

:周囲との調整が少ない業務のほうが得意である。
リーダーシップ:自分が先頭に立ってメンバーを牽引するほうが得意である。

:自分は先頭に立たず、誰かをフォローするほうが得意である。
上記の診断項目は社員ごとに可視化できるほか、組織の特徴や部署で活躍している人材の傾向を把握することもできます。

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