精神障害に関する労災認定件数は年々増加し続けており、この状況を改善を図るため国が企業に対してストレスチェックを義務付けました。
しかし、
「ストレスチェックといっても、何から手をつければ良いのかわからない。」
「50人未満の職場でもストレスチェックを行ったほうが良い?」
「もし高ストレスの人が見つかったら、どう対応すれば良いの?」
と、悩む事業者や人事担当者も少なくないでしょうか。
この記事では、ストレスチェックの概要や実施の流れ、注意点について解説します。ストレスチェックのチェックシートに関する情報についても解説しますので、御社のストレスチェック実施にお役立てください。
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ストレスチェックとは
以下は労働安全衛生法の条文です。
“六十六条の十 事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。" e-Gov 法令検索 労働安全衛生法より抜粋
従業員はストレスに関する質問に質問票に答え、その結果を医師や看護師などが分析を行います。高ストレスと診断された場合には、希望すれば医師との面談を受けられます。従業員のメンタルヘルス対策として、一定規模の企業を対象に実施されるようになりました。
ストレスチェックの目的

ストレスは知らず知らずのうちに溜まるもの。不調に気づいたときには重症化しており、仕事はもちろん社会生活に支障を来たしてしまうといったことも少なくありません。
そのため、社員自身が不調に気づき、早い段階で治療を開始することが重症化を防ぐうえで重要なのです。
また、検査結果を部署や職種ごとに分析すれば、職場のストレス要因が浮き彫りになり、職場環境改善へとつなげることもできます。ストレスチェック制度は社員個人にメンタルケアの必要性を訴えるだけでなく、ストレスの要因そのものを解消する期待も込められているのです。
ストレスチェック制度義務化の背景


厚生労働省の「過労死等の労災補償状況」の調査結果によると、令和3年の精神障害の労災支給決定件数は629件。前年に引き続き、過去最高記録を更新しました。労災支給請求件数もほぼ右肩上がりに増加しており、年々労働者のメンタルヘルス問題が深刻化していることが伺えます。
労災請求された精神障害の主な要因は下記の通りです。
2位『仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった』71件(うち自殺20件
3位『悲惨な事故や災害の体験、目撃をした』66件(うち自殺1件)
4位『特別な出来事』63件(うち自殺9件)
5位『同僚等から、暴行又は(ひどい)いじめ・嫌がらせを受けた』61件(うち自殺1件)
メンタル不調の原因の多くは職場の人間関係や環境にあるようです。
ストレスチェック制度は社員のこころの健康を守る点はもちろん、事業者自身が職場の問題に気づくきっかけとしても期待されています。
ハラスメントに関する詳細な解説は下記の記事に掲載しています。ぜひ合わせてお読みください。
<関連記事>ハラスメントとは?パワハラ防止法や種類、アセスメントツールによる対策も紹介
ストレスチェック制度の概要

- 実施義務の対象企業
- 受検の対象者
- 実施頻度
- 罰則
実施義務を有するのは「労働者50人以上を超える事業場」
50名未満の事業場は努力義務とされており、実施義務はありません(令和4年時点)
対象有無を判断する際に気をつけるべきなのは、支店や営業所などの事業場単位で50名をカウントする点です。企業全体で常時雇用の労働者が50名を超えていても、それぞれの事業場で50名未満の場合は実施義務がありません。
実施義務の有無をケース別にまとめると下記の通りです。
本社 40人…努力義務
a支店 30人…努力義務
b支店 20人…努力義務
本社 100人…実施義務あり
a営業所 60人…実施義務あり
b営業所 40人…努力義務
c営業所 30人…努力義務
ストレスチェックの受検対象者は?
「常時使用する労働者」には正社員はもとより、下記2つの要件を満たす労働者も該当します。
・1週間の労働時間が正社員の4分の3以上
一方、下記に該当する労働者はストレスチェックの対象外です。
・労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間
・事業者である社長や役員、派遣労働者は制度対象外

実施頻度は最低年1回、実施時期は自由
実施時期は事業場の裁量に任せられており、とくに指定はありません。健康診断と同時に実施して効率化を図る企業も多く見られます。
しかしいつでも実施可能とは言っても、実施のタイミングには考慮が必要です。閑散期には高ストレスとならない人でも、繁忙期には高ストレス者となってしまうケースもあるためです。そのため、以下のタイミングを避けて実施時期を設定することをおすすめします。
- 繁忙期
- 決算時期
- 異動の多い時期
毎年同じ月に実施できるかといった観点でも実施月を決めましょう。
ストレスチェック制度には罰則アリ
そのため、報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりといった場合には罰則が課されます。ストレスチェックを実施しなかった場合でも報告義務は発生するため、注意が必要です。
“関係法令 労働安全衛生法 第十二章 罰則
第百二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。(中略)
五 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者”
e-Gov 法令検索 労働安全衛生法より抜粋
労働安全衛生法120条5項に基づき、違反の場合には最大50万円の罰金が課される可能性があります。
労働者50名未満の事業場はそもそも報告義務がないため、罰則もありません。
【5STEP】ストレスチェック実施の流れ

2.ストレスチェックの実施
3.検査結果の通知
4.高ストレスと判断された人には医師との面談を実施
5.労働基準監督署への報告
手順①社内の衛生委員会で実施方法や実施の方針などを決める
・ストレスチェックの実施方法
・ストレスチェックの実施時期
・従業員への通知方法
・ストレスチェック実施者・実施事務従事者の選定
・面接指導の担当医師選定 など
手順②ストレスチェックの実施
調査票の配布は誰が行っても差し支えはありませんが、実施者や実施事務従事者以外の第三者が調査票を回収することは禁止されています。
受検者が人事上の不利益を被ることがないよう、回収する担当者もまた厳密に決められているのです。
回収した質問票をもとに、実施者は各従業員のストレス度合いを分析し、結果にまとめます。
手順③従業員に結果を通知する
従業員への結果通知もストレスチェック実施者または実施事務従事者が行います。通知方法は封書や電子メールで、受検者本人に個別で送付しなければなりません。センシティブな情報を取り扱うため、ほかの人に見られないよう注意が必要です。
高ストレスと判断される者には、この通知上で医師による面接指導を受けるよう推奨されます。
手順④ストレスが高い人に医師の診断を受けさせる
事業者が医師の面接指導に同席することはありません。
医師による面接指導が実施されたら、事業者が面接指導を行った医師と面談します。
事業者と医師の面談では話し合う内容は例として下記の通りです。
- 就業上の措置が必要かどうか(勤務条件の変更など)
- 必要な場合にはどのような措置が必要か など
手順⑤労働基準監督署への報告
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ストレスチェックに従事する人とは?

- 実施者
- 実施事務従事者
実施者
実施者になれる人は下記の通りです。
- 医師
- 保健師
- 厚生労働大臣が定めるものを修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士又は公認心理士
実施事務従事者
- 個人調査票のデータ入力
- 結果の出力・結果の保存
- 調査票の回収
- 面接指導の推奨 など
ストレスチェック結果を開示できるのは本人・実施者・実施事業者
事業者はストレスチェックの方針を決定し、実施における責任を負いますが、本人の同意なしに調査結果を見ることはできません。ストレスチェックの結果により、労働者が人事上の不利益を被ることがないよう、事業者の結果取得には制限が設けられています。
ストレスチェックの項目とは?

質問票に含めるべき内容は以下の3領域です。
- ストレスの原因に関する項目
- ストレスによる心身の自覚症状に関する項目
- 働く人に対する周囲のサポート
また、近年多くの企業から注目を集めているのが「新職業性ストレス簡易調査票」です。新職業性ストレス簡易調査票は厚生労働省の調査票をもとに質問を追加し、80項目で構成されています。前述の3つの領域を含めているだけでなく、下記の内容も測定可能です。
- 労働者の仕事へのポジティブな関わり
- 職場の一体感
- 職場におけるハラスメント など
ストレスチェックにかかる費用は?

ストレスチェックには具体的に下記の費用が発生します。
- ストレスチェック実施者(医師や看護師など)に支払う人件費
- 面接指導にかかる費用
ただ、ストレスチェック実施の準備や検査結果の診断、結果の通知、面談、集団分析など、実施者が担う業務は多岐に渡り、当然ながら各工程に報酬が発生します。なかでも高額なのは、高ストレス者が医師による面接指導を受ける際にかかる費用です。
産業医契約がある場合には一人5,000円程度ですが、産業医契約がない場合では、面談の単価は1時間30,000~50,000円と想定されます。医師の面接指導にかかる費用も事業所負担です。
50名未満の事業場なら助成金を活用できる!
ストレスチェック助成金を受けるための要件は下記の通りです。要件全てを満たす必要があります。
- 労働者を雇用している法事・個人事業主であること。
- 労働保険の適用事業場であること。(厚生労働省ホームページ掲載の「労働保険適用事業場検索」にて該当した事業場を適用事業場とみなす)
- 常時雇用する従業員が派遣労働者を含め50名未満であること。
- ストレスチェックを実施者が決まっていること。
- 事業者が医師と契約を締結し「ストレスチェックに係る医師による活動」の全部または一部を行わせる体制が整備されていること。
- ストレスチェックの実施及び面接指導等を行う者は、自社の使用者・労働者以外の者であること。

ストレスチェック制度の注意点
- プライバシーの保護
- 労働者に対する不利益取扱の防止
プライバシーの保護
たとえば、結果の送付時、面接指導の要否が第三者に類推されないよう配慮が必要です。面接指導対象者のみに封書を配布する方法では周囲に面接指導対象者であることが漏洩してしまいます。
そのため、電子メールで個別に知らせる、自宅に結果を郵送するといった配慮が求められるでしょう。
労働者に対する不利益な取扱いの防止
「ストレスチェックの結果を見せてくれない」
「面接指導の対象なのに従業員から申し出がない」
これらを理由に事業者が労働者に対して不利益な取り扱いを行うことは、労働安全衛生法で禁止されています。ストレスチェックに関する態度は、労働者の意思に任せるものだからです。
労働安全衛生法では、50名以上の労働者を有する事業場にストレスチェックの実施を義務付けてはいますが、労働者の受検は義務ではありません。
したがって、就業規則でストレスチェック受検を義務付け、受検しない労働者に対して懲戒処分を行うのは、法の趣旨に照らして行ってはならないことと言えます。
また、面接指導の結果を理由とした不利益な取り扱いも禁止しています。
具体的には、
- 面接指導後、医師の意見聴取を経ずに就業上の措置を講じること
- 医師の意見聴取を経ているが、医師の意見からかけ離れた措置を講じる
- 労働者の実情が考慮されていない措置を講じる など
ストレスチェックの結果を職場改善に活かすには?

分析することで、高ストレス者が多い部署や属性別のストレス傾向が明確になり、職場環境の改善を進めやすくなります。
過重労働の傾向が見られる部署については業務量を調整したり、若手社員に高ストレス者が多い場合には若手社員に特化した研修を打ち出したりと、より的確に改善策を講じられるでしょう。
集団分析は努力義務ではありますが、職場環境を整えメンタル不調者を防ぐには必要な取り組みです。
分析は「仕事のストレス判定図」を用いてストレス要因を確認します。
「仕事のストレス判定図」を用いると、これまでの研究成果から得られている標準集団と比べて、分析対象の集団にどの程度の健康リスクがあるかが判定可能です。分析方法は「ストレスチェック制度導入ガイド」上に詳しく解説されています。
ストレスチェックの実施だけで終えるのではなく、検査結果を集計・分析し、職場改善へと繋げましょう。
社員のストレスへの効果的な対処法については以下の記事で詳しく解説しています。
<関連記事>ストレスマネジメントとは?社員のストレスマネジメントをする方法
ストレスチェックに関するよくあるQ&A

質問①派遣社員のストレスチェックは派遣元と派遣先どちらが実施するの?
質問②「こころの耳」でチェックすれば、ストレスチェックを実施したことになる?
質問③対面以外の方法で面接指導を行っても良い?
参考 :情報機器を用いた面接指導の実施について
ストレスチェックに関するお役立ちリンク集
- 厚生労働省:eラーニング「15分でわかる法に基づくストレスチェック制度」
- 厚生労働省:ストレスチェック導入マニュアル
- 労働者健康安全機構:ストレスチェック制度サポートダイヤル
- 厚生労働省:「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」ダウンロードサイト
- 厚生労働省:ストレスチェック制度Q&A
ストレスチェック制度は労働者の健康を守る施策
実施が義務付けられているのは、労働者50人以上の事業場であり、50人以下の労働者が少ない職場は努力義務とされています。
とはいえ、事業者として働きやすい職場づくりを進めるには、労働者のメンタル不調を防ぐ対策は必要です。
組織の現状を分析するならミイダスの組織サーベイ機能が秀逸!
社員や組織の現状を把握するなら、ミイダスの「組織サーベイ機能」がおすすめです。ミイダスの「組織サーベイ機能」で社員に簡単なアンケートを実施すると、社員や組織のコンディションをカテゴリ別に可視化できます。
アンケートにかかる時間はわずか5分程度で、簡単に取り組めるため、頻度高く実施しても社員に負担をかけません。
また、実施頻度や診断範囲、アンケート内容を設定すると、決められた期日にアンケートが送信されます。集めたアンケートデータは自動でレポート化されるため、集計・分析の手間がかかりません。
社員やチームのコンディションが数値で把握できるため、コンディションの変化にすぐに気づくことができます。コンデションが落ちている場合には、面談を実施して社員の悩みや不安を聞き取り、状況改善へと繋げることもできるでしょう。
ミイダスの組織サーベイと他社の組織診断ツールを比較した結果は以下の通りです。

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「コンピテンシー診断」でストレス要因を定量的に診断
コンピテンシー診断は社員の行動特性を分析するツールではありますが、「ストレス診断」の側面も持ち合わせているのです。
「ハードスケジュールに弱いタイプなのか」
「厳しい上下関係にストレスを感じるタイプなのか」
「孤独な業務が負担になるタイプなのか」
社員がストレスに感じやすい活動や条件を10段階評価で数値化します。
「組織サーベイ」と「コンピテンシー診断」を併用することによって、社員の変化や兆候を察知できれば、個人的に対策を打ったり組織全体の職場環境改善につなげたりできます。
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