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決裁とは?基本的な意味や行う際の流れ、ポイントを紹介

組織運営や業務を進めるうえで欠かせないプロセスの1つが「決裁」です。日々の業務から大きなプロジェクトまで、さまざまな場面で必要とされる決裁ですが、具体的にどのような意味で、どのような流れで行われるのか、意外と知られていないことも多いのではないでしょうか。

本記事では、決裁の基本的な意味や進め方、さらに効率的に行うためのポイントを紹介します。
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決裁とは?基本的な意味を理解しよう

「決裁」とミニチュア
決裁とは「組織において、ある案件について最終的な判断を下すこと」です。一般的に、部下からの提案や報告に対して、上司が承認を与える行為を指します。企業経営における重要な意思決定を行う際に、必要な手続きを経て正式な承認を得ることで、責任の所在を明確化し、組織全体の意思統一を図る役割を果たします。

「決裁権」と「決裁者」

「決裁」の意思決定を行う権利を持つことを「決裁権」、実際に決裁を行う人物を「決裁者」と言います。

決裁権は組織運営において重要な役割を果たし、責任ある立場の人に付与されます。そのため、決裁権を持つ決裁者は、組織全体の利益を考慮しながら慎重に判断する必要があります。適切な決裁を行うことで業務が円滑に進み、組織の成長につながるでしょう。

決裁が必要なシーン

ビジネスを進めていくうえで会社の規模にかかわらず、さまざまな場面で決裁が必要になります。おもなシーンは以下のとおりです。
シーン具体例
支出に関する決裁備品購入、広告費、人件費、交際費など
人事に関する決裁採用、昇進、移動、賞罰など
新規事業に関する決裁新商品の開発、新規事業の立ち上げなど
これらの決裁は、金額や内容に応じて必要な承認レベルが変わります。稟議書や決裁申請書を作成し、上司や関係部署に回覧して承認を得ることで、最終的な決裁へと進みます。

会社の規模が大きくなればなるほど、決裁が必要となるシーンも必然的に多くなります。そのため、決裁プロセスをスムーズに進めることは、業務効率化に不可欠です。

また決裁が必要なシーンを正しく理解することは、社内におけるコンプライアンス遵守の観点からも重要です。適切な決裁プロセスを経ずに業務を進めてしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。

決裁と似ている言葉

稟議書
決裁の流れを紹介する前に、決裁と似ている3つの言葉を確認しておきましょう。
  • 決済
  • 稟議
  • 承認

決済

決裁と混同しやすい言葉として「決済」があります。読み方は同じですが、意味は大きく異なります。違いは以下のとおりです。
  • 決済:現金・クレジットカード・電子マネーなどで代金を支払うこと
  • 決裁:業務を進めるにあたって、上司など権限を持つ人から承認を得ること

稟議

稟議と決裁は、意思決定のプロセスで異なる役割を持ちます。稟議は、案件を実行する前に関係者間で意見や承認を集め、合意形成を図る手続きです。起案者が稟議書を作成し、関係部署に回覧して承認を得ることで、最終判断のための準備を行います。

一方、決裁は、最終的な意思決定を下す行為で、決裁者(上長や経営陣)が案件を承認し、その実行を許可します。つまり稟議は、合意形成や情報共有を目的としたプロセスであり、決裁は意思決定を確定させる段階と言えます。

稟議については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事:稟議制度とは?種類・流れ・メリット・デメリットや承認・決裁をスムーズにするコツを解説

承認

承認とは、起案された内容に関係部署の責任者が承認を与えるプロセスです。関係部署の承認を得ることで、決裁者が最終判断を行う前の段階で、内容の客観性や実現可能性などを多角的に検証できます。

承認と決裁はどちらも意思決定プロセスの一部ですが、それぞれ役割が異なります。承認は、関係部署の責任者や上司などが提案された内容に問題がないかを確認し、合意を与えること。それに対し決裁は、最終的な意思決定を行い、実行の許可を出すことです。

承認は、決裁の前段階で行われ、複数段階の承認が必要な場合もあります。たとえばプロジェクトの提案は、まず関係部署の承認を得て、最終的に経営層の決裁を得る必要があるかもしれません。それぞれの段階で、内容の確認や修正が行われます。

一方、決裁は最終判断であり、これによって提案は正式に実行に移されます。決裁権を持つのは、組織内の特定の役職者や責任者です。簡単に言えば、承認は「内容への同意」、決裁は「実行の許可」と言えるでしょう。

決裁を行う際の流れ

決裁のイメージ
決裁を行う際の流れは、以下のとおりです。
1. 起案
2. 回議
3. 承認
4. 決裁
5. 実施
それぞれのプロセスを見ていきましょう。

1. 起案

起案とは「決裁を申請するための書類を作成すること」を指します。通常、起案者は決裁を求める案件を担当している責任者や担当者です。この過程では、関係部署から必要な情報を収集し、その内容を起案書に反映させる準備を行います。

たとえば、備品購入の案件では「購入理由」や「予算の確保状況」など、具体的な情報を関係部署から提供してもらい、それらをもとに起案書を作成します。起案時に作成される書類は「稟議書」や「決裁申請書」などの名称で呼ばれ、会社によって書式が異なる場合があるでしょう。

また案件の内容に応じて必要な書類や記載事項も変わります。たとえば、備品購入の場合「購入品目」「金額」「購入理由」などを項目として記載した「備品購入申請書」を作成するのが一般的です。

2. 回議

回議とは「起案内容を関係者に共有し、承認を得るための手続きのこと」です。関係部署の担当者に内容を伝え、意見や承認を求めます。

回議にはおもに以下2つの方法があります。
  • 稟議書:紙の書類に関係者が承認印を押していく方法。記録が残りやすい一方、関係者全員が集まりづらい場合や書類の保管に手間がかかるデメリットがある
  • 電子決裁システム(ワークフローシステム):システム上で承認を進める方法。手続きがスムーズでペーパーレス化が可能だが、導入にコストがかかる場合がある
また、回議を進める際は、起案内容を事前に関係部署へ事前に共有することで、スムーズな承認が期待できます。また、関係者の意見を反映した修正が必要な場合は、再回議を行いましょう。すべての関係者から承認を得たら回議は完了となり、その後、決裁者に最終承認を求めます。

3. 承認

承認とは「案件を実行する前に決裁者から同意を得る工程のこと」です。おもに「事前承認」と「事後承認」の2種類があり、リスクが高い案件では事前承認、緊急性の高い場合は事後承認が適用されます。

承認を得るには、決裁申請書に目的やリスクなどを具体的に記載し、決裁者に納得してもらうことが大切です。もし承認が得られなければ、起案内容を修正して再申請するか、場合によっては案件を中止することもあります。

4. 決裁

決裁とは先述のとおり「承認された案件を実行に移すために最終的な判断を行うプロセス」です。決裁権を持つ最終決裁者が内容を確認し、問題がなければ承認印を押します。押印された書類は正式なものとなり、その内容を実行できます。

決裁権者は通常、組織の上位に位置する人物で、案件の重要度や金額に応じて異なります。
一例は以下のとおりです。
  • 10万円以下の備品購入:営業部の部長
  • 100万円以上の備品購入:営業部の役員
  • 新規事業計画:企画部の社長
決裁印が押されることで、その案件は正式に決定され、実施に移されます。このように決裁は、組織における意思決定の最終段階として非常に重要な役割を担っているのです。また、近年では電子決裁システム(ワークフローシステム)の導入が進み、ペーパーレス化や業務効率化が図られています。

5. 実施

決裁が下りたら、速やかに承認された内容を実施に移します。このステップは、計画を実行に移す段階であり、プロジェクトの成功を左右する重要なフェーズです。具体的には以下のような流れで実行します。
1. 関係者へ周知する
2. 必要な資源の確保
3. タスクの進捗状況を管理する
4. リスク管理を行う
5. 効果測定を行う
実施段階では、関係者との連携を密にし、円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。また、進捗状況をこまめに確認し、問題が発生した場合は速やかに対応することで、プロジェクトを成功に導けるでしょう。

決裁を行う目的・メリット

印を押している場面
ところで、なぜ決裁を行う必要があるのでしょうか。決裁を行う目的・メリットは以下のとおりです。
  • 会議の時間を短縮できる
  • 意思決定の正確性を上げる
  • やりとりを可視化できる
  • リスク管理の質を高める
  • 不正の発見がしやすくなる

会議の時間を短縮できる

決裁プロセスを整えると、会議時間の短縮につながります。

仮に新しいプロジェクトを立ち上げたとしましょう。関わる各部署の承認を得る必要がある場合、いつものように会議を開いて関係者全員の意見を調整すると、多大な時間と労力がかかってしまいます。しかし決裁プロセスを導入することで、事前に関係部署の承認を得られるため、会議の時間を大幅に短縮できるのです。

意思決定の正確性を上げる

決裁プロセスを経ることで、多角的な視点を取り入れ、意思決定の正確性を向上できます。

ある新規事業の提案があったとしましょう。担当者は事業計画書を作成し、上司に提出します。上司は内容を確認後、承認、さらに上層部へと回議されます。各決裁者は、それぞれの専門知識や経験に基づいて計画を審査し、問題点や改善点を指摘します。

このように複数人が多角的にチェックすることで、担当者だけでは見落としていたリスクや課題を洗い出し、より精度の高い事業計画へとブラッシュアップできます。結果として、意思決定の質が向上し、プロジェクトの成功確率を高めることにつながるのです。

やりとりを可視化できる

決裁を行うことで「誰がいつ」「どのような判断を下したのか」が記録として残ります。

たとえば紙の決裁の場合は、起案者が誰に決裁を仰ぎ、誰が承認したのかが書類上に、電子決裁システムの場合は、システム上で承認の履歴が確認できるだけではなく「誰がいつ」「どの書類にアクセスしたのか」などといった詳細な情報も記録されます。

このように決裁プロセスにおけるやりとりを可視化することで、過去の意思決定を簡単に確認できるようになります。担当者が変更になった場合でも、スムーズに業務を引き継ぐことが可能です。また意思決定の過程が透明化されるため、コンプライアンスの強化にもつながるでしょう。

リスク管理の質を高める

決裁は、リスク管理の質を高めるうえでも重要な役割を果たします。組織内で何かを実行する際には、必ず何らかのリスクが伴います。決裁プロセスを経ることで、事前にリスクを洗い出し、適切な対策を講じることが可能になるでしょう。

また決裁プロセスにおいて複数の上司の承認を得ることで、多角的な視点からリスクを評価でき、より精度の高いリスク管理を実現できます。さらに決裁の記録を残すことで、後からリスク発生時の原因究明ができ、責任の所在を明らかにしやすくなります。このように、決裁プロセスは組織のリスク管理体制を強化し、組織の安定的な運営に貢献できるでしょう。

不正の発見がしやすくなる

決裁プロセスを経ることで、不正を発見しやすくなるというメリットがあります。

たとえば、不正な経費申請が行われた場合、決裁プロセスを経ていることで「誰が承認したのか」「どのような経緯で承認されたのか」が明確になります。また決裁システムによっては、過去の決裁記録を検索できる機能が備わっている場合もあります。そのため、不正の早期発見につながるでしょう。

このように決裁プロセスは不正の抑止力として機能し、健全な組織運営に貢献します。

スムーズな決裁を促すための重要なポイント

話し合っているビジネスパーソン
スムーズな決裁を促すには、以下3点のポイントを押さえておきましょう。
  • 決裁申請書にはなるべく細かく記載する
  • 決裁者とのコミュニケーションはこまめに行う
  • 関係者の意見を取り入れる

決裁申請書にはなるべく細かく記載する

決裁申請書は、なぜ決裁が必要なのかを伝えるための重要な書類です。決裁者がスムーズに判断できるように以下の項目は具体的に記載しましょう。
  • 背景・目的
  • 内容
  • 予算
  • スケジュール
申請内容を詳細に記載する際は、具体的な数値や図表を用いるとわかりやすくなります。また、決裁申請書は後から見返す機会も多いため、内容を細かく記載し、意思決定の経緯を明確にしておきましょう。

決裁者とのコミュニケーションをこまめにとる

円滑な決裁を進めるためには、決裁者とのこまめなコミュニケーションが欠かせません。

決裁前に相談することで、決裁者が何を求めているかを事前に把握できます。また認識の齟齬があれば修正できるので、差し戻しによる手戻りを防ぎ、スムーズな決裁につながるでしょう。

決裁申請中は、進捗状況を報告することで、決裁者は安心して決裁を進められます。もし問題が発生した場合にも、早期に相談することで解決策を一緒に検討できるでしょう。

決裁後は結果を報告することで、決裁者は状況を把握でき、次の意思決定に役立てられます。このように、こまめなコミュニケーションを心がけることで、決裁プロセス全体の効率性と透明性が向上するのです。

関係者の意見も取り入れる

決裁を行う際には、関係者の意見も積極的に取り入れましょう。関係者とは、決裁事項の影響を受ける部署や担当者などです。関係者の意見を取り入れることで、決裁の質を高められます。

たとえば、新しいシステムを導入する際の決裁を検討しているとしましょう。この場合、システムを利用する現場の担当者から意見を聞くことが重要です。現場の担当者は、システムの使い勝手や課題点を把握しているため、より良いシステム導入のための提案をしてくれる可能性があります。

関係者の意見を取り入れる際には、以下の2つの点に注意しましょう。
  • 意見を聞く相手を明確にする
  • 意見をまとめて整理する
関係者の意見を踏まえることで、円滑な意思決定につながり、プロジェクトを成功に導きやすくなります。

電子決裁システムの導入で効率化を実現することも可能

ミーティングをしているビジネスパーソン
業務効率化を図るうえで、電子決裁システムの導入は有効な手段です。紙の書類による決裁手続きを電子化することで、時間とコストの削減、ペーパーレス化による環境負荷軽減などのメリットが得られるでしょう。

電子決裁システムを導入する際には、自社の業務内容や規模に合ったシステムを選ぶことが大切です。また以下のような項目も判断材料にすると良いでしょう。
  • 月額料金や初期費用など、予算内で導入可能なシステムを選ぶ
  • ワークフロー機能や承認ルート設定など、必要な機能が搭載されているか確認する
  • セキュリティ対策が万全で、情報漏洩リスクの低いシステムを選ぶ
  • 将来的な事業拡大に対応できる拡張性を備えたシステムを選ぶ など
上記以外にも既存システムとの連携の可否、カスタマイズの柔軟性なども考慮して選ぶと良いでしょう。無料トライアルなどを活用し、実際にシステムを操作してみることもおすすめです。

決裁プロセスを活用して組織全体の強化を目指そう

サインしているビジネスパーソン
本記事では、決裁の基本的な意味や流れ、行うメリットについて紹介しました。効果的に機能する決裁プロセスは、組織全体の強化に大きく貢献します。各段階での承認・決裁を経ることで、組織内における情報共有と意思統一が促進され、個々の担当者だけでなく、経営層も含めた事業内容の理解が深まるでしょう。

また決裁プロセスにおける進捗状況の可視化は、PDCAサイクルの効率的な運用を可能にし、組織全体の継続的な改善を促進します。このように、適切な決裁プロセスは組織のガバナンス強化、リスク管理能力向上、そして最終的には組織全体の成長へとつながる重要な要素と言えるでしょう。

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